特許第6397358号(P6397358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397358
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】回転操作装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/20 20060101AFI20180913BHJP
   H01H 19/00 20060101ALI20180913BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20180913BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20180913BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20180913BHJP
   H01C 10/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01H19/20 C
   H01H19/00 Y
   G05G1/08 B
   G05G5/03 B
   H01F7/02 Z
   H01C10/00 X
   H01H19/20 M
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-48275(P2015-48275)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-170886(P2016-170886A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】田端 正史
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−257996(JP,A)
【文献】 特開2011−008960(JP,A)
【文献】 特開2003−280799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 − 21/88
H01H 25/00 − 25/06
H01H 36/00 − 36/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、
前記第1の部材の円周方向外側に位置する第2の部材と
を有し、
前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方の部材に、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された着磁部が設けられており、
回転操作に応じて、前記第1の部材と前記第2の部材との前記円周方向における相対的な位置関係を変化させながら回転可能であり、前記着磁部による磁気的相互作用によってクリック感を生じさせ、
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち少なくとも前記着磁部が設けられた部材が、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の着磁部を各々備えた複数の磁石モジュールを重ね合わせ、当該複数の磁石モジュール間の回転角度を変更することで、前記着磁部の前記角度間隔を変更可能な構成を有している
回転操作装置。
【請求項2】
前記第1の部材は、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の第1の前記着磁部を有し、
前記第2の部材は、前記複数の第1の着磁部と円周方向の外側で対向可能に位置し、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された第2の前記着磁部を有し、
前記回転操作に応じて、前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方が、前記第1の着磁部と前記第2の着磁部との円周方向における相対的な位置関係を変化させながら回転可能であり、前記第1の着磁部と前記第2の着磁部との磁気的相互作用によりクリック感を生じさせる
請求項1に記載の回転操作装置。
【請求項3】
前記複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち回転する回転体の回転角度の検出分解能を変更可能な角度検出部
を有する請求項1または請求項2に記載の回転操作装置。
【請求項4】
前記角度検出部は、
円周方向に複数の検出電極を備え、
前記複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、前記複数の検出電極からの出力を合成または分離する請求項3記載の回転操作装置。
【請求項5】
前記第1の部材と前記第2の部材とのうち回転する回転体と一体となって回転する操作部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の回転操作装置。
【請求項6】
前記複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させるハートカムを有する請求項1〜5のいずれかに記載の回転操作装置。
【請求項7】
前記複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させるソレノイドを有する請求項1〜5のいずれか記載の回転操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気的相互作用によってクリック感を生じさせる回転操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、回転体の回転を、該回転体に設けた回転検出用磁性体の磁極による磁界を検出するホール素子を検出するホール素子の出力の変化により検出する多機能スイッチ(情報入力装置)において、回転体を回転操作するときのクリック感を回転体側と固定側とを接触させることなく発生できる情報入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−280799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、回転体の回転操作時にクリック感を得ることができる情報入力装置が開示されているが、特許文献1に開示される発明では、クリック感の間隔を変更することができない。しかし、大雑把な調整を行う粗調整と細かな調整を行う微調整とを同一の操作装置で行いたいという要望がある。このような場合に、粗調整と微調整との間で操作装置のクリック感の間隔が変わらないと、ユーザが粗調整または微調整のどちらの調整をおこなっているのかがわかり難いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであり、回転操作時のクリック感の間隔を変更できる回転操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における回転操作装置は、第1の部材と、前記第1の部材の円周方向外側に位置する第2の部材とを有し、前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方の部材に、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された着磁部が設けられており、回転操作に応じて、前記第1の部材と前記第2の部材との前記円周方向における相対的な位置関係を変化させながら回転可能であり、前記着磁部による磁気的相互作用によってクリック感を生じさせ、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち少なくとも前記着磁部が設けられた部材が、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の着磁部を各々備えた複数の磁石モジュールを重ね合わせ、該複数の磁石モジュール間の回転角度を変更することで、前記着磁部の前記角度間隔を変更可能な構成を有している。
【0007】
この構成によれば、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち少なくとも前記着磁部が設けられた部材の着磁部の角度間隔を変更可能な構成を有しているので、回転操作時のクリック感の間隔を変更することができる。
【0008】
本発明では、前記第1の部材は、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の第1の前記着磁部を有し、前記第2の部材は、前記複数の第1の着磁部と円周方向の外側で対向可能に位置し、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された第2の前記着磁部を有し、前記回転操作に応じて、前記第1の部材及び前記第2の部材の少なくとも一方が、前記第1の着磁部と前記第2の着磁部との円周方向における相対的な位置関係を変化させながら回転可能であり、前記第1の着磁部と前記第2の着磁部との磁気的相互作用によりクリック感を生じさせることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、回転操作に応じて、第1の部材及び第2の部材の少なくとも一方が、第1の着磁部と第2の着磁部との円周方向における相対的な位置関係を変化させながら回転可能であり、第1の着磁部と第2の着磁部との磁気的相互作用によってクリック感を生じさせ、第1の部材と第2の部材の少なくとも一方が、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の着磁部を各々備えた複数の磁石モジュールを重ね合わせ、該複数の磁石モジュール間の回転角度を変更することで、第1の着磁部あるいは第2の着磁部の前記角度間隔を変更可能な構成を有しているので、回転操作時のクリック感の間隔を変更することができる。また、第1の着磁部と第2の着磁部とにより強いクリック感を生じさせることができる。
【0010】
本発明では、前記複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち回転する回転体の回転角度の検出分解能を変更可能な角度検出部を有することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、第1の部材と第2の部材とのうち回転する回転体の回転角度の検出分解能を変更可能な角度検出部を有しているので、回転操作時のクリック感の間隔の変化に合わせて検出分解能を変更することができる。
【0012】
本発明では、前記角度検出部は、円周方向に複数の検出電極を備え、前記複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、前記複数の検出電極からの出力を合成または分離することが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、角度検出部は、円周方向に複数の検出電極を備え、複数の磁石モジュール間の回転角度に応じて、複数の検出電極からの出力を合成または分離しているので、回転角度の検出分解能を変更することができる。
【0014】
本発明では、前記第1の部材と前記第2の部材とのうち回転する回転体と一体となって回転する操作部を有することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、操作部を回転操作することで、第1の部材と第2の部材とのうち回転する回転体を回転させることができる。
【0016】
本発明では、前記複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させるハートカムを有することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、ハートカムにより複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させることができる。
【0018】
本発明では、前記複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させるソレノイドを有することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、ソレノイドにより複数の磁石モジュール間の回転角度を変化させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、回転操作時のクリック感の間隔を変更できる回転操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る回転操作装置の概観図である。
図2】本発明の実施形態に係る回転操作装置の内部構成を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る第1の部材の構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る回転操作装置のクリック感のイメージを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る磁石モジュール間の回転角度の変更方法の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る磁石モジュール間の回転角度の変更方法の他の例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る磁石モジュール間の回転角度の変更方法の他の例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る角度検出部の構成図である。
図9】本発明の実施形態に係る角度検出部の動作を説明する模式図である。
図10】本発明の実施形態に係る回転操作装置の粗調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る回転操作装置の微調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図12】本発明の他の実施形態に係る回転操作装置の粗調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図13】本発明の他の実施形態に係る回転操作装置の微調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る回転操作装置1の概観図である。回転操作装置1は、操作部10と、固定部20とを備える。操作部10は、固定部20を中心として回転自在に固定部20に保持されている。ユーザは、固定部20を中心として、操作部10を回転させることにより回転操作装置1を操作することができる。
【0023】
図2は、回転操作装置1の内部構成を示す平面図である。図3は、第1の部材100の構成図である。図4は、回転操作装置1のクリック感(力覚)のイメージを示す図である。回転操作装置1の内部には、第1の部材100と、第2の部材200と、角度検出部300とを備えている。
【0024】
図3に示すように、第1の部材100は、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の第1の着磁部130a,130bを各々備えた複数の磁石モジュール110,120を重ね合わせた構成を有する。各磁石モジュール110,120は、相対的に回転角度を変更可能なように構成されており、該複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変更することで、第1の着磁部130a,130bの角度間隔を変更可能となっている。
【0025】
図3(a)は、大雑把な調整を行う粗調整時における磁石モジュール110,120間の配置(粗調整モード)を示す図である。図3(b)は、細かな調整を行う微調整時における磁石モジュール110,120間の配置(微調整モード)を示す図である。
図3(a)に示すように、粗調整時には、磁石モジュール110の第1の着磁部130aと、磁石モジュール120の第1の着磁部130bとが回転軸に直交する方向に置いて重なり合って位置する。
【0026】
一方、図3(b)に示すように、微調整時には、磁石モジュール110の第1の着磁部130aと、磁石モジュール120の第1の着磁部130bとが回転軸に直交する方向に置いてずれている(重なり合っていない)。具体的には、円周方向において隣接する第1の着磁部130aの中間位置に、第1の着磁部130bが位置している。
図4(a)は、粗調整モードにおけるクリック感(力覚)のイメージを示している。図4(b)は、微調整モードにおけるクリック感(力覚)のイメージを示している。
【0027】
図3(b)及び図4(b)に示す微調整モードでは、図3(a)及び図4(a)に示す粗調整モードに比べて、同じ回転角度で2倍のクリック感(力覚ともいう)を得ることができる。また、図3(b)及び図4(b)に示す微調整モードでは、図3(a)及び図4(a)に示す粗調整モードに比べて、停止位置での磁力が半分になるため、ユーザが感じるクリック感の強さも約半分となる。このため、ユーザは、粗調整モードであるのか微調整モードであるのかを容易に判別することができる。
【0028】
第2の部材200は、複数の第1の着磁部130の円周方向の外側に位置し、円周方向に沿って所定の角度間隔で着磁された複数の第2の着磁部230が設けられている。なお、上述の操作部10は、第2の部材200と結合されており、第2の部材200と一体となって回転する。つまり、操作部10を回転させることにより、第2の部材200が回転し、回転操作装置1を操作することができる。
【0029】
本実施形態では、操作部10を回転操作することで第2の部材200が回転し、当該回転操作時においては第1の部材100は固定されている。
【0030】
以下、第1の部材100を構成する磁石モジュール110,120間の回転角度の変更方法の一例を説明する。
図5(a),図5(b)は、ソレノイドSにより複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変更する例を示した図である。図5(a)は、ソレノイドSを縮めて粗調整モードとした場合を示した図、図5(b)は、図5(a)は、ソレノイドSを伸ばして微調整モードとした場合を示した図である。
【0031】
図5(a),図5(b)に示すように、磁石モジュール110の表面の凸部151に対して棒状部材153を固定し、棒状部材153をソレノイドSによって直線方向に移動させることで磁石モジュール110を磁石モジュール120に対して所定の回転角度だけ回転させる。
【0032】
また、図6図7は、ハートカムC1又はハートカムC2により複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変更する例を示した図である。図6は、粗調整モードとした場合を示した図、図7は、微調整モードとした場合を示した図である。
【0033】
ハートカムC1を用いる場合は、磁石モジュール110を1ストローク動かすか、回転方向にテンションをかけておき、棒状部材P1の丸端は回転方向には拘束しておく。また、ハートカムC2を用いる場合には、ソレノイドS2で棒状部材P2を矢印の方向へ1ストローク動かすことで磁石モジュール110,120間の回転角度を変更することができる。
【0034】
なお、図5(a),図5(b),図6及び図7に示す複数の磁石モジュール110,120間の回転角度の変更は、一例であり、図5(a),図5(b),図6及び図7に示す方法に限られない。例えば、単なるカムを用いたり、ギアドモーターを用いるようにしてもよい。
【0035】
図2に示すように、角度検出部300は、第2の部材200に設けられ、該第2の部材と共に回転する複数の導体板310と、第2の部材200の円周方向の外側に位置し、円周方向に沿って配置された複数の検出電極320と、複数の検出電極320からの出力信号に基づいて、第2の部材200の回転角度及び回転方向を検出する角度検出回路330とを備える。
【0036】
図8は、第2の部材200の円周方向の外側に位置する角度検出部300の構成図である。この実施形態では、角度検出部300は、12枚の導体板310と、24枚の検出電極320とを備えている。12枚の導体板310は、絶縁された状態、いわゆるフローティング状態で第2の部材200に設けられている。また、24枚の検出電極320は、2枚が一組となっており、一方に電圧が印加され、他方で電荷量を検出する構成となっている。
【0037】
角度検出回路330は、第2の部材200を構成する磁石モジュール110,120間の回転角度、すなわち粗調整モードであるか微調整モードであるかに応じて、複数の検出電極320からの出力を合成または分離する分離・合成回路331と、2枚一組となった検出電極320の一方に電圧を印加する電圧印加回路332と、他方の電荷量を検出する電荷検出回路333とを備えている。
【0038】
図9は、角度検出部300の動作を説明する模式図である。図9(a)は、粗調整モードの場合の角度検出部300の動作を示す模式図である。図9(b)は、微調整モードの場合の角度検出部300の動作を示す模式図である。図9(a)に示すように、粗調整モードの場合、角度検出部300の分離・合成回路331は、隣り合う2枚の検出電極320をひとつに合成する。この結果、合成後の隣り合う2枚の検出電極320の一方に電圧印加回路332からの電圧が印加され、他方の電荷量が電荷検出回路333で検出される。
【0039】
また、図9(b)に示すように、微調整モードの場合、角度検出部300の分離・合成回路331は、個々の検出電極320を分離した状態とする。この結果、個々の検出電極320のうち、隣り合う2枚の検出電極320の一方に電圧印加回路332からの電圧が印加され、他方の電荷量が電荷検出回路333で検出される。つまり、図9(b)に示す微調整モードの場合、図9(a)に示す粗調整モードの場合に比べて、回転角度の検出分解能が2倍となる。
【0040】
図10(a)〜図10(g)は、回転操作装置1の粗調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図10(a)〜図10(g)において、縦の一点鎖線は導体板310の停止位置(力覚が大きくなる位置)を示す。
図10(a)は第2の部材200の第2の着磁部230の位置を説明するための図、図10(b)は第1の部材100の第1の着磁部130a,130bの位置を説明するための図、図10(c)は第2の部材200に固定された導体板310、図10(d)は検出電極320の合成パターンを説明するための図である。
【0041】
図10(e)は、図10(d)で(2)´を付した検出電極320を電圧を印加し、(3)´を付した検出電極320で検出した場合の検出電圧パターンを示す図である。図10(f)は、図10(d)で(3)´を付した検出電極320を電圧を印加し、(1)´を付した検出電極320で検出した場合の検出電圧パターンを示す図である。図10(g)、図10(d)で(1)´を付した検出電極320を電圧を印加し、(2)´を付した検出電極320で検出した場合の検出電圧パターンを示す図である。
【0042】
図10(a)〜図10(g)に示すように、粗調整モードの場合、分離・合成回路331により、隣り合う2枚の検出電極320がひとつ検出電極となるように合成される。このため、検出用として選択された検出電極320から電荷検出回路333への出力は、図10(e),図10(f)、図10(g)のようになり、導体板310が、各停止位置を通過する度に、図10(e),図10(f),図10(g)の何れか一つの検出電圧パターンに、回転方向に応じた順序でパルスが発生する。
そのため、検出回路330は、これらの検出電圧パターンから、操作部10の回転方向と粗調整モードにおける回転量とを検出できる。
【0043】
図11(a)〜図11(g)は、回転操作装置1の微調整モードの場合の動作を説明するタイミングチャートである。
図11(a)は第2の部材200の第2の着磁部230の位置を説明するための図、図11(b)は第1の部材100の第1の着磁部130a,130bの位置を説明するための図、図11(c)は第2の部材200に固定された導体板310、図11(d)は検出電極320の合成パターンを説明するための図である。
図11(e),図11(f),図11(g)は、図10(e),図10(f),図10(g)と同様である。
【0044】
図11(a)〜図11(g)に示すように、微調整モードの場合、分離・合成回路331により、全ての検出電極320が単独の検出電極となるように分離されて使用される。このため、検出用として選択された検出電極320から電荷検出回路333への出力は、図11(e),図11(f)、図11(g)のようになり、導体板310が、各停止位置を通過する度に、図11(e),図11(f)、図11(g)の何れか一つの検出電圧パターンに、回転方向に応じた順序でパルスが発生する。
そのため、検出回路330は、これらの検出電圧パターンから、操作部10の回転方向と微調整モードにおける回転量とを検出できる。
【0045】
つまり、図11に示す微調整モードの場合、図10に示す粗調整モードの場合に比べて、第2の部材200の回転角度の検出分解能が2倍となる。
【0046】
以上のように、本実施形態の回転操作装置1によれば、操作部10の回転操作のクリック感覚を変更できる。
また、回転操作装置1は、複数の磁石モジュール110,120間の回転角度に応じて、第1の部材100と第2の部材200とのうち回転する回転体の回転角度の検出分解能を変更可能な角度検出部300を有している。このため、回転操作時のクリック感の間隔の変化に合わせて検出分解能を変更することができる。
【0047】
また、回転操作装置1の角度検出部300は、円周方向に複数の検出電極320を備え、複数の磁石モジュール110,120間の回転角度に応じて、複数の検出電極320の配列を変更している。このため、回転角度の検出分解能を変更することができる。
【0048】
また、回転操作装置1の角度検出部300は、複数の磁石モジュール110,120間の回転角度に応じて、複数の検出電極320からの出力を合成または分離している。このため、回転角度の検出分解能を変更することができる。
【0049】
また、回転操作装置1は、第1の部材100と第2の部材200とのうち回転する回転体と一体となって回転する操作部20を有している。このため、操作部20を回転操作することで、第1の部材100と第2の部材200とのうち回転する回転体を回転させることができる。
【0050】
また、回転操作装置1は、複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変化させるハートカムを有している。このため、ハートカムにより複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変化させることができる。
【0051】
また、回転操作装置1は、複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変化させるソレノイドを有している。このため、ソレノイドにより複数の磁石モジュール110,120間の回転角度を変化させることができる。
【0052】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。図12及び図13は、本発明の他の実施形態に係る回転操作装置1の動作を説明するタイミングチャートである。図12は、粗調整モードにおけるタイミングチャートである。図13は、微調整モードにおけるタイミングチャートである。通常、回転方向を検出する場合、3つ以上の状態を作り、その遷移を検出する必要があるが、図12及び図13に示すように、本実施形態においては、2信号でも、回転体200の回転を検出することが可能である。この場合は、着磁部の数は4の倍数となる。
【0053】
図12(a),図12(b),図12(c)は、前述した図10(a),図10(b),図10(c)と同様である。
また、図13(a),図13(b),図13(c)は、前述した図11(a),図11(b),図11(c)と同様である。
【0054】
粗調整モードでは、図12(e)に示すように、図12(d)で(2)´、(3)´、(6)´、(7)´を付した検出電極320を電圧を印加し、(4)´、(5)´を付した検出電極320で検出する。また、図12(f)に示すように、図12(d)で(1)´、(4)´、(5)´、(8)´を付した検出電極320を電圧を印加し、(6)´、(7)´を付した検出電極320で検出する。図12(e),図12(f)に示す検出電圧パターンから、操作部10の回転量と回転方向を検出できる。
【0055】
一方、微調整モードでは、図13(e)に示すように、図13(d)で(2)、(4)を付した検出電極320を電圧を印加し、(3)を付した検出電極320で検出する。また、図13(f)に示すように、図13(d)で(3)、(1)を付した検出電極320を電圧を印加し、(4)を付した検出電極320で検出する。図13(e),図13(f)に示す検出電圧パターンから、操作部10の回転量と回転方向を検出できる。
【0056】
また、上記実施形態では、第2の部材200が回転する構成となっているが、第1の部材100が回転する構成としてもよい。さらに、上記実施形態では、第1の部材100が、複数の磁石モジュール110,120を備える構成となっているが、第2の部材200が、複数の磁石モジュールを備える構成となっていてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、第1の部材100と第2の部材200の双方に着磁部を設けた場合を例示したが、これらの部材の一方にのみ着磁部を設けてもよい。この場合には、一方の部材の着磁部と対向する他方の部材の周面は磁性面となり、当該着磁部と磁性面との間に磁気的相互作用が生じる。
【0058】
以上のように、本発明は、前記各形態の構造、形状のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて適宜に設計変更して具体化できる。
【符号の説明】
【0059】
1 回転操作装置
10 操作部
20 固定部
100 第1の部材
110,120 磁石モジュール
130a,130b 第1の着磁部
200 第2の部材
230 第2の着磁部
300 角度検出部
310 導体板
320 検出電極
330 角度検出回路
C1,C2 ハートカム
S,S2 ソレノイド
図1
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