特許第6397364号(P6397364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397364
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】パネル体
(51)【国際特許分類】
   E06B 11/02 20060101AFI20180913BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20180913BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20180913BHJP
   E04C 2/40 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   E06B11/02 R
   E04C2/30 G
   E06B3/70 E
   E04C2/40 J
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-80640(P2015-80640)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2016-164363(P2016-164363A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-36731(P2015-36731)
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】畦地 雄作
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−057283(JP,U)
【文献】 実開昭60−172984(JP,U)
【文献】 特開2015−117549(JP,A)
【文献】 特開2014−238511(JP,A)
【文献】 特開2007−331232(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0170438(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/02
E06B 3/68−3/88
E04C 2/30−2/34
E04C 2/40
E04H 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の押出形材を押出方向と直交する方向に並べて配置してあり、各形材は、表面に山と谷が連なった凹凸が形成してあり、凹凸のピッチが同じで凹凸の斜面の角度が異なる少なくとも2種類の形材を用いていることを特徴とするパネル体。
【請求項2】
凹凸の斜面の角度が11.7°〜58.3°であることを特徴とする請求項1記載のパネル体。
【請求項3】
異なる種類の形材の凹凸の斜面の角度の差が8°以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のパネル体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出形材で構成されるパネル体に関する。
【背景技術】
【0002】
門扉等に用いられるパネル体として、従来より、アルミニウム合金の押出形材を押出方向と直交する方向に複数並べて配置したものがあった。かかるパネル体は、各形材の表面が同一色ではデザイン性に乏しく、かといって形材の色目や模様を変える場合には、異なる色で各々表面処理した形材をいくつも用意しなければならず、コストや手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、コストや手間を抑えつつデザイン性を高めることのできるパネル体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるパネル体は、複数の押出形材を押出方向と直交する方向に並べて配置してあり、各形材は、表面に山と谷が連なった凹凸が形成してあり、凹凸のピッチが同じで凹凸の斜面の角度が異なる少なくとも2種類の形材を用いていることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明によるパネル体は、請求項1記載の発明の構成に加え、凹凸の斜面の角度が11.7°〜58.3°であることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明によるパネル体は、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、異なる種類の形材の凹凸の斜面の角度の差が8°以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によるパネル体は、各形材の表面に山と谷が連なった凹凸が形成してあり、凹凸のピッチが同じで凹凸の斜面の角度が異なる少なくとも2種類の形材を用いていることで、形材の着色条件を変えることなく色目を変えることができるので、コストや手間を抑えつつデザイン性を高めることができる。
【0008】
請求項2記載の発明によるパネル体は、凹凸の斜面の角度が11.7°〜58.3°であることにより、斜面の角度の変化に伴って均等な色変化が得られる。
【0009】
請求項3記載の発明によるパネル体は、異なる種類の形材の凹凸の斜面の角度の差が8°以上であることで、形材の色目を確実に違わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図2の門扉のパネル体を構成する形材の表面を拡大して示す縦断面図である。
図2】本発明のパネル体を適用した門扉の第1実施形態を示す正面図である。
図3】本発明のパネル体を適用した門扉の第2実施形態を示す正面図である。
図4】本発明のパネル体を適用した門扉の第3実施形態を示す正面図である。
図5】本発明のパネル体を適用した門扉の第4実施形態を示す正面図である。
図6】(a)は夏至の仰角にて太陽光が下の凹凸上面に影を落とす限界の状態、(b)冬至の仰角にて太陽光が下の凹凸上面に影を落とさない限界の状態を示す。
図7】斜面の角度を0°から85°まで5°刻みで変化させ、夏至の仰角78.4°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図8】斜面の角度を下限値の11.7°付近で細かい刻みで変化させ、夏至の仰角78.4°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図9】斜面の角度を0°から85°まで5°刻みで変化させ、冬至の仰角31.6°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図10】斜面の角度を上限値の58.3°付近で細かい刻みで変化させ、冬至の仰角31.6°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図11】斜面の角度を11.7°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図12】斜面の角度を35°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図13】斜面の角度を58.3°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図14】斜面の角度を11.7°とし、ピッチを0mmから5mmまで1mm刻みで変化させたものに対して、冬至の31.6°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図15】斜面の角度を11.7°とし、ピッチを0mmから1mmまで0.1mm刻みで変化させたものに対して、冬至の31.6°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図16】斜面の角度を11.7°とし、ピッチを2.3mmから3.3mmまで0.1mm刻みで変化させたものに対して、冬至の31.6°の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図17】小中大の3種類の斜面の角度の差を、小基準、中基準及び大基準で変化させたものに対して、春分秋分の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図18】小中大の3種類の斜面の角度の差を、小基準、中基準及び大基準で変化させたものに対して、夏至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図19】小中大の3種類の斜面の角度の差を、大基準で13°から4°まで1°刻みで変化させたものに対して、夏至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図20】小中大の3種類の斜面の角度の差を、大基準で12°から11°まで0.1°刻みで変化させたものに対して、夏至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図21】小中大の3種類の斜面の角度の差を、小基準、中基準及び大基準で変化させたものに対して、冬至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図22】小中大の3種類の斜面の角度の差を、小基準で13°から4°まで1°刻みで変化させたものに対して、冬至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
図23】小中大の3種類の斜面の角度の差を、小基準で8°から7°まで0.1°刻みで変化させたものに対して、冬至の太陽光を当てたときの形材表面の見え方を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明のパネル体は、複数の押出形材を押出方向と直交する方向に並べて配置して構成され、各形材は、図1に示すように、表面に山3と谷4が連なった凹凸2が形成してあり、凹凸2のピッチPが同じで凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3及び凹凸2の深さd1,d2,d3が異なる少なくとも2種類の形材1a,1b,1cを用いていることを特徴とする。各形材1a,1b,1cは、基本的に押出方向を横方向とし、上下方向に並べて配置されるものである。
【0012】
本発明のパネル体は、上述のように各形材1a,1b,1cの表面に山3と谷4が連なった凹凸2が形成してあり、凹凸2のピッチPが同じで凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3及び凹凸2の深さd1,d2,d3が異なる少なくとも2種類の形材1a,1b,1cを用いていることで、形材1a,1b,1cごとに太陽光線の反射の具合及び陰影の付き具合が異なるために、形材1a,1b,1cの着色条件を変えることなく色目を変えることができる。
【0013】
凹凸2の斜面の角度は、11.7°〜58.3°であることが好ましい。下限値の11.7°は、図6(a)に示すように、夏至の仰角78.4°の太陽光が当たったときに、下の凹凸上面に影を落とす限界の角度である(斜面の角度が11.6°以下だと、下の凹凸上面に影を落とさない。)。斜面の角度が11.7°以上であると、下の凹凸上面に落ちる影の幅が斜面の角度によって均等に変化することで、均等な色変化が得られる。上限の58.3°は、図6(b)に示すように、冬至の仰角31.6°の太陽光が当たった時に、下の凹凸上面に影を落とさない限界の角度である(斜面の角度が58.4°以上だと下の凹凸上面に影が落ちる。)。斜面の角度が58.3°以下であると、凹凸下面の陰影の明度が斜面の角度によって均等に変化することで、均等な色変化が得られる。したがって、斜面の角度を11.7°〜58.3°の範囲内で違わせることで、四季を通じて形材の色目を変えることができる。
【0014】
図7は、斜面の角度を0°から85°まで5°刻みで変化させたものに、夏至の仰角78.4°の太陽光を当てた場合の色目の変化をシミュレーションによって求めたものであり、図8は斜面の角度の下限値である11.7°付近をより細かく刻んでシュミレーションしたものである。この結果からも、斜面の角度が11.7°以上であると角度によって色目が均等に変化することが分かる。
図9は、斜面の角度を0°から85°まで5°刻みで変化させたものに、冬至の仰角31.6°の太陽光を当てた場合の色目の変化をシミュレーションによって求めたものであり、図10は斜面の角度の上限値である58.3°付近をより細かく刻んでシュミレーションしたものである。この結果からも、斜面の角度が58.3°以下であると角度によって色目が均等に変化することが分かる。なお、図7〜10に示すシミュレーションにおいては、凹凸のピッチをいずれも2mmとしている。
【0015】
図11は斜面の角度を11.7°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方をシミュレーションによって求めたものであり、図12は斜面の角度を35°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方をシミュレーションによって求めたものであり、図13は斜面の角度を58.3°とし、ピッチを0,1,5,10mmと変化させたものに対して、冬至の31.6°、春分秋分の55°、夏至の78.4°の太陽光をそれぞれ当てたときの形材表面の見え方をシミュレーションによって求めたものである。これらの結果より明らかなように、斜面の角度が小さく(下限値の11.7°)、太陽光の仰角が小さい(冬至の31.6°)ときに、凹凸が一番分かりにくいことが分かる。
【0016】
そこで、凹凸が最も分かりにくい条件である冬至の仰角31.6°で斜面の角度11.7°の場合に、ピッチPを0から1mm刻みで変化させたときの形材表面の見え方をシミュレーションによって求めた。図14はその結果を示す。図14より明らかなように、ピッチPが0の場合は、凹凸が無くダイスマークが目立つ状態であり、ピッチPが4mm以上では凹凸が模様/柄のように感じられ、また、凹凸斜面の幅が広くなりすぎ、ダイスマークが目立つ。ピッチPが1〜3mmでは、凹凸が規則的に感じられると共に自然な質感も感じられ、ダイスマークも目立たない。
図15は、ピッチPが0から1mmまでをより細かく刻んでシミュレーションしたものである。同図より明らかなように、ピッチPが0〜0.4mmまでは凹凸が分かりにくく、ダイスマークのように見え、ピッチPが0.5mm以上で凹凸が確認できる。ピッチPが1mm以上では、凹凸がよりはっきり確認できる。図16は、ピッチPが2.3から3.3mmまでをより細かく刻んでシュミレーションしたものである。同図より明らかなように、ピッチPが3mmまでは凹凸が規則的に感じられると共に自然な質感も感じられ、それ以上では凹凸が模様/柄のように感じられる。
以上の結果より、凹凸のピッチPは0.5〜3mmが好ましく、1〜2.5mmが最適であるといえる。
【0017】
次に凹凸の斜面の角度の差が何度以上あれば色目が違って見えるかをシミュレーションにより検証した。図17〜23はそのシミュレーションの結果を示す。
図17より明らかなように、春分秋分のときには、斜面の角度の差が8°以上あれば色目が違って見える。図18〜20は夏至のときを示しており、図18より明らかなように、夏至のときには斜面の角度が大きいとき(大基準)に色目の違いが分かりにくいので、斜面の角度が大きいとき(大基準)で角度の差をより細かく刻んでシミュレーションしたところ(図19,20)、斜面の角度の差が12°以上あれば色目が違って見えることが分かった。図21〜23は冬至のときを示しており、図21より明らかなように、冬至のときには斜面の角度が小さいとき(小基準)に色目の違いが分かりにくいので、斜面の角度が小さいとき(小基準)で角度の差をより細かく刻んでシミュレーションしたところ(図22,23)、斜面の角度の差が8°以上あれば色目が違って見えることが分かった。
以上のシミュレーションの結果より、斜面の角度の差が8°以上あれば、ほとんどのケースで色目が違って見えるといえる。斜面の角度の差が12°以上であれば、夏至の南中時頃で、且つ斜面の角度が大きいときも含め、全ての条件で色目が違って見える。
【0018】
図2は、本発明のパネル体の第1実施形態であって、門扉に適用した例を示している。この門扉は、左右一対のパネル体5,5を門柱6,6に蝶番7で取付け、観音開き状に開閉できるようにしたものである。各パネル体5は、3種類のアルミニウム合金製の押出形材1a,1b,1cで構成したものであり、各形材1a,1b,1cは押出方向を横方向に向けて配置され、押出方向と直交する方向である上下方向に並べて配置してある。3種類の形材1a,1b,1cは、同一条件で表面処理を施したものであるが、表面に後述する凹凸2を施すことで、色目が違って見えるようにしている。
【0019】
3種類の形材1a,1b,1cは、図1に示すように、表面に山3と谷4が連なった凹凸2が形成してあり、3種類の形材1a,1b,1cの凹凸2は、ピッチ(山と山の間の距離)Pが同じで、斜面の角度θ1,θ2,θ3及び深さd1,d2,d3が異なっている。一番明るく見える形材1aは、斜面の角度θ1は緩く、深さd1が浅くなっている。2番目に明るく見える形材1bは、斜面の角度θ2がθ1より急で、深さd2はd1より深くなっている。一番暗く見える形材1cは、斜面の角度θ3がθ2より急で、深さd3はd2より深くなっている。具体的には、ピッチPは2mm、斜面の角度θ1,θ2,θ3は、それぞれ17.7°,34.4°,47.5°としてある。深さd1,d2,d3は、ピッチPと斜面の角度θ1,θ2,θ3が特定されることで、必然的に特定される。
このような凹凸2は、形材1a,1b,1cを押し出すダイスに凹凸2を予め形成しておき、押し出すと同時にダイスに形成した凹凸2を形材1a,1b,1cに転写することで形成できる。
【0020】
前記3種類の形材1a,1b,1cは、同一の条件で表面処理がなされる。例えば、陽極酸化被膜を形成し、陽極酸化被膜の上にクリア塗装(透明合成樹脂塗装)を施す。3種類の形材1a,1b,1cは、かかる表面処理を行った後、所定の長さに切断される。
【0021】
本パネル体5は、各形材1a,1b,1cの表面に山3と谷4が連なった凹凸2が形成してあり、凹凸2のピッチPが同じで凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3及び凹凸2の深さd1,d2,d3が異なる3種類の形材1a,1b,1cを用いており、各形材1a,1b,1cは同一の条件で表面処理したものでありながら、凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3及び深さd1,d2,d3の違いにより、太陽光線の反射の具合及び陰影の付き具合が異なるために、3種類の形材1a,1b,1cの色目が違って見える。すなわち、斜面の角度θ1,θ2,θ3が急になり、深さd1,d2,d3が深くなるにつれて、山3の影になる面積の割合が増えるため、暗く見える。
【0022】
図3は、本発明のパネル体の第2実施形態であって、同じく門扉に適用した例を示している。このパネル体5は、凹凸2の斜面の角度が小さい(θ1)形材1aと、斜面の角度が大きい(θ3)の形材1cの2種類で構成したものである。パネル体5の上部には、凹凸の斜面の角度が小さい形材1aが上下方向に並べて複数配置され、パネル体5の中間部及び下部には、凹凸の斜面の角度が大きい形材1cが上下方向に並べて複数配置されている。これにより本パネル体5は、形材1a,1cの着色条件を変えることなく、上下に2色に色分けしたように見える。
【0023】
図4は、本発明のパネル体の第3実施形態であって、同じく門扉に適用した例を示している。このパネル体5は、上下左右に4つの領域5a,5b,5c,5dに区画され、対角線状に位置する領域5aと5dには、凹凸2の斜面の角度が小さい(θ1)形材1aを上下方向に並べて配置され、領域5bと5cには、斜面の角度が大きい(θ3)の形材1cを上下方向に並べて配置してある。これにより本パネル体5は、形材1a,1cの着色条件を変えることなく、上下左右の領域5a,5b,5c,5bで2色に色分けしたように見える。
【0024】
図5は、本発明のパネル体の第4実施形態であって、同じく門扉に適用した例を示している。このパネル体5は、左右に2つの領域5a,5bに区画され、各領域5a,5bに凹凸の斜面の角度が異なる3種類の形材1a,1b,1cをランダムに上下方向に並べて配置してある。これにより本パネル体5は、形材1a,1b,1cの着色条件を変えることなく、パッチワークやモザイクのように色目が変化する意匠を実現できる。
【0025】
以上に述べたように本パネル体5は、各形材1a,1b,1cの表面に山3と谷4が連なった凹凸2が形成してあり、凹凸2のピッチPが同じで凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3及び凹凸2の深さd1,d2,d3が異なる複数種類の形材1a,1b,1cを組み合わせることで、形材1a,1b,1cの着色条件を変えずに色目を変えられることから、コストや手間を抑えつつデザイン性を高めることができる。
凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3を11.7°〜58.3°としたことにより、斜面の角度θ1,θ2,θ3の変化に伴って均等な色変化が得られる。
異なる種類の形材1a,1b,1cの凹凸2の斜面の角度θ1,θ2,θ3の差が8°以上であることで、形材1a,1b,1cの色目を確実に違わせることができる。
さらに、凹凸2のピッチPを0.5〜3mmとすることで、凹凸2が規則的に感じられると共に自然な質感も感じられ、且つダイスマークを目立たなくすることができる。
【0026】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。形材の材質、断面形状、表面処理の状態は任意である。形材は、断面形状がホロー形状のもの、ソリッド形状のものの何れであってもよい。凹凸の深さ、ピッチ、斜面の角度は、適宜変更することができる。形材の種類は、2種類であってもよいし、4種類以上とすることもできる。本発明のパネル体は、門扉に限らず、天井、壁、戸など、あらゆる用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1a,1b,1c 形材
2 凹凸
3 山
4 谷
5 パネル体
d1,d2,d3 凹凸の深さ
P 凹凸のピッチ
θ1,θ2,θ3 凹凸の斜面の角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図23