(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397367
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】内燃機関およびその運転方法
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20180913BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20180913BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20180913BHJP
F02D 41/14 20060101ALI20180913BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
F02D45/00 324
F02D45/00 301M
F02D45/00 320Z
F02D45/00 328
F02D45/00 368A
F02D45/00 368F
F02D45/00 368S
F02B43/00 A
F02D41/02 325K
F02D41/14 310D
F02M21/02 G
F02M21/02 L
F02M21/02 311B
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-94678(P2015-94678)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-214976(P2015-214976A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年6月22日
【審判番号】不服2017-10932(P2017-10932/J1)
【審判請求日】2017年7月24日
(31)【優先権主張番号】A 345/2014
(32)【優先日】2014年5月9日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】504344576
【氏名又は名称】ゲーエー ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】エルウィン アンプラッツ
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート コペチェク
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート シャムベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス スピラ
【合議体】
【審判長】
金澤 俊郎
【審判官】
松下 聡
【審判官】
佐々木 芳枝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−30302(JP,A)
【文献】
特開平8−93572(JP,A)
【文献】
特開2010−7618(JP,A)
【文献】
特開2000−54889(JP,A)
【文献】
特開2009−264217(JP,A)
【文献】
特開2007−270719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D45/00
F02D41/02
F02D41/14
F02B43/00
F02M21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関であって、
空気(L)、燃焼ガス(B)および前記内燃機関を連続的に運転させることができる安定化ガス(S)が供給できる少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)と、
少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)を測定するための少なくとも1つのセンサ(3、14)と、
前記少なくとも1つのセンサ(3)に接続された開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)と、
を備え、
前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)によって、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量が、前記少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御できる、内燃機関において、
少なくとも1つのセンサが、エンジン変数として、燃焼中に前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の圧力を測定するために提供され、前記少なくとも1つのセンサは前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続されている、
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、エンジン変数としてのラムダ値(λ)を測定するために、前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続されたラムダプローブ(14)及び/又は酸素センサをさらに含む、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
圧力センサ(3)として実現される少なくとも1つのセンサが、エンジン変数として、燃焼中に前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の圧力を測定するために提供され、前記少なくとも1つのセンサは前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続されている、請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
燃焼チャンバ(2)毎に1つのセンサが提供されている、請求項3に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)は、前記少なくとも1つのセンサの測定値から、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に存在するガスの燃焼速度に特徴的な時間変数を計算し、かつ、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量を、前記時間変数に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御するように設計されている、請求項3または4に記載の内燃機関。
【請求項6】
燃焼ガス(B)と空気(L)とのプレミックスを生成するために第1混合装置(7)が提供されており、前記プレミックスと安定化ガス(S)とで成る主混合物を生成するために、前記第1混合装置(7)に接続された第2混合装置(8)が提供されており、前記主混合物は前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給できる、請求項1から5のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項7】
安定化ガス(S)を提供するために、前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続された調節バルブ(10)が安定化ガス供給ライン(9)内に提供されている、請求項1から6のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項8】
内燃機関を運転する方法であって、
少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に、空気(L)、燃焼ガス(B)および前記内燃機関を連続的に運転させることができる安定化ガス(S)が供給され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に存在するガスに点火され、
少なくとも1つのセンサ(3、14)によって、少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)が前記内燃機関において測定され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される安定化ガス(S)の量が、前記少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、
内燃機関を運転する方法において、
エンジン変数として、燃焼中に前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の圧力が前記少なくとも1つのセンサによって測定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサが、ラムダプローブ及び/又は酸素センサをさらに含み、
前記ラムダプローブ(14)により測定され、及び/又は、前記酸素センサの測定値によって決定されるラムダ値(λ)がエンジン変数として使用される、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
もし前記ラムダ値が下方のラムダ限界値(λmin)よりも降下したら、前記供給される安定化ガス(S)の量は増加する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エンジン変数として、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内のおける圧力の測定にセンサが利用され、圧力センサ(3)がセンサとして使用される、請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する、燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の燃焼速度に特徴的な時間変数は、少なくとも1つの測定された圧力(p)から計算され、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量は、前記時間変数に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の燃焼チャンバ(2)を有した内燃機関を使用するものであり、それぞれの燃焼チャンバ(2)に対して個別時間変数(AI50、MFB50)が計算され、前記時間変数は前記個別時間変数(AI50、MFB50)の最大値、最小値またはメジアンとして計算される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
燃焼中に、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)における圧力変数値(DV)が、
前記少なくとも1つのセンサによって測定され、前記時間変数の計算に使用される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
発熱変数値(HV)は、前記圧力変数値(DV)と、点火されないときに前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に発生する圧力を示す圧力駆動圧力変数値(SV)との差異から計算され、
累積発熱変数値(kHV)は前記発熱変数値(HV)の積分として計算され、
前記累積発熱変数値(kHV)は前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)の計算に使用される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記累積発熱変数値(kHV)がその最大値の定義された割合を達成する瞬時が、時間変数または個別時間変数(AI50、MFB50)として使用され、前記割合は、5%から20%、または30%から80%である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
50%の割合の前記累積発熱変数値(kHV)を使用し、前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)はピストンの位置によって示され、対応するクランクシャフトのクランク動作の角位置として表示され、上死点から前記クランクシャフトの回転方向に測定され、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量は、50%の燃焼質量割合(AI50_Ref)の基準値に、開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50,MFB50)を計算する目的で、前記圧力変数値(DV)に位置する第1点(P1)と、前記第1点(P1)の前記圧力変数値(DV)によりも大きな前記圧力変数値(DV)に位置する第2点(P2)とが選択され、前記圧力変数値(DV)の絶対値及び/又は前記圧力変数値(DV)の勾配が、前記第1点(P1)及び/又は前記第2点(P2)の選択のための基準値として使用され、前記第1点(P1)および前記第2点(P2)の時間座標間の値が、前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)のために決定され、50%の割合が利用される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前提部分の特徴による内燃機関に関し、さらに、請求項9の前提部分の特徴による内燃機関の運転のための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関には幾つかの適用形態が存在し、内燃機関は比較的低い発熱量を有する燃料で運転され、さらに場合によっては、大きく値を変える発熱量を有する燃料で運転される。例としての特定の形態では、例えば、石炭鉱山から発生する所謂低BTUガスで運転されるガスエンジン(ガス機関)が存在する。この低BTUガス(BTU:英国熱量単位)は低い発熱量を有するだけでなく、大きく変動する発熱量も有するので、燃焼ガスが一時的に非常に低い発熱量を有する場合でさえも、燃焼を確実に実行させる安定化ガスを燃焼ガスに混入することが従来から行われている。これは、例えば、出願人のシリーズ6、620E51モデルでおいて実現されている。
【0003】
この混合は、燃焼を確実にする条件のみが満たされるように実行される。安定化ガスの倹約的な使用は必要である。なぜなら、このガスは購入仕入れが必要であり、さらにその優れた燃焼性のために大抵は燃焼ガスよりも高価だからである。
【0004】
好適には、使用される安定化ガスは、水素及び/又はメタンを含んだガス類、例えば、純水素または純メタンを含んだガス類であり、天然ガスあるいはコークス炉ガスである。しかし原則的に、安定化ガスとして内燃機関を連続的に運転させることができる任意のガスを使用することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】内燃機関の基礎(Internal Combustion Engine Fundamentals)」(ヘイウッド(Heywood)著;マクグローヒル社出版(McGraw−Hill)、1988年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の、可能な限り少量の安定化ガスを使用するという目的は、さらなる開発に導いた。内燃機関に供給される前に燃焼ガスの組成を連続的に測定し、その結果から、その瞬間に存在する発熱量を測定することは知られている。このように、もし燃焼ガスがその瞬間に特に低い発熱量を有していたなら、安定化ガスを選択的にさらに供給できる。この場合の弱点は、燃焼ガスを分析するために要する測定機器、例えば、クロマトグラフまたは質量分析装置は非常に複雑で精巧な機器であることである。これら分析法は比較的時間がかかり、燃焼ガスの急速に変動する発熱量の場合には、要求通りに正確に安定化ガスを混入することが可能ではない結果を招く。さらに、それら機器は高価で、故障のリスクが高く、本明細書の初頭で説明した安定化ガスの定量混入の方法に戻ることが必要になる。
【0007】
本発明の目的は、内燃機関の提供と、内燃機関を運転する方法の提供であり、発熱量が変動し、及び/又は発熱量が低すぎる燃焼ガスの燃焼における信頼性が高い運転を可能にし、安定化ガスの効率的な利用を達成させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を備えた内燃機関によって、また請求項9の特徴を含んだ方法によって達成される。
【0009】
これは、少なくとも1つの内燃機関に供給される安定化ガスの量を、少なくとも1つのエンジン
変数(エンジン変動因子)に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御することで実施できる。
【0010】
従って本発明は、多くの場合において、内燃機関にすでに存在するセンサが燃焼の質の検出に利用が可能であるという知見に基づいている。従って本発明は、測定要素のための必要資金は実質的に同じで、安定化ガスを効率的および選択的に活用することを可能にする。
【0011】
内燃機関にとっては高過ぎる発熱量を燃焼ガスが有する逆の場合であっても、安定化ガスによって安定した運転が確保できる。ここに低い発熱量を有する安定化ガスを使用することで、その内燃機関に許容可能な発熱量を有するガス混合物を常に燃焼チャンバ(燃焼室)内に存在させることができる。
【0012】
さらに本発明によれば、燃焼ガスの他のパラメータが利用対象の内燃機関に適していない場合であっても安定化ガスが活用できる。その重要な例は火炎速度(flame speed)である。すなわち、内燃機関のために適切な火炎速度を有した混合ガスを総量で提供するため、遅過ぎる(速過ぎる)火炎速度を有した燃焼ガスが存在するなら、さらに速い(遅い)火炎速度を有した安定化ガスが混合できる。
【0013】
もし燃焼ガスの複数のパラメータが内燃機関に不適であれば、そのガスを燃焼に適合させるために複数の異なる安定化ガスを使用することも明らかに可能である。
【0014】
従来技術に関して説明する汎用種の内燃機関の全ての可能な形態、または汎用運転法は、本発明の内燃機関または運転方法の場合にも有効である。
【0015】
本発明のさらなる有利な実施態様は従属請求項において定義されている。
【0016】
好適には、本発明は、8、10、12、16、18、20、22または24体のシリンダを有したガスエンジンの場合に活用できる。
【0017】
本発明は、好適には発電の目的で発電機に連結されているか、直接的に機械を駆動する、特にポンプおよびコンプレッサを駆動するのに利用される、特に外部的に点火される形態の固定型内燃機関の場合に好適に活用される。
【0018】
少なくとも1つの燃焼チャンバに供給される安定化ガス、燃焼ガスまたは空気の一定量は、好適には一定量のガス物質を意味すると理解できる。基本的には、例えば、質量ベースの量の概念に基づく一定量が閉ループ制御または開ループ制御のために使用できる。しかし、例えば、その化学的エネルギー含量の観点からガス量を特定することも可能である。
【0019】
好適には、開ループ制御装置または閉ループ制御装置に接続されたラムダプローブ(lambda probe)がエンジン
変数としてのラムダ値(空気過剰数)の測定のために利用される実施形態が可能である。ラムダプローブは好適には排気管内に配置できる。測定されたラムダ値は安定化ガスの供給の閉ループ制御または開ループ制御のために活用できる。
【0020】
同様に、ラムダ値は入口パイプ内で酸素含有量を計測することで測定でき、エンジンの閉ループ制御システムに供給される。
【0021】
代わりに、または追加的に、ラムダ値は酸素センサによって測定できる。なぜなら、ラムダ値は酸素センサの測定値から導き出すことが可能だからである。明らかに、ラムダ値を測定させる他のセンサを使用することも可能である。例示可能なその1例は一酸化炭素プローブである。
【0022】
さらに、好適には、開ループ制御装置または閉ループ制御装置に接続された少なくとも1つのセンサが、燃焼中に少なくとも1つの燃焼チャンバ内に存在する燃焼ガス、安定化ガスおよび空気の混合物の少なくとも1つの圧力をエンジン
変数として測定するために利用される1実施態様が可能である。その少なくとも1つの燃焼チャンバ内に存在するガスの燃焼速度に特徴的な時間変数(time variable)は、そのように検出されたシリンダ圧力から計算できる。そのような時間変数も安定化ガスの開ループ制御または閉ループ制御に有利に活用が可能である。
【0023】
本明細書が圧力センサに言及するときは常に、
−イオン電流センサ(ionic current sensor)、または
−少なくとも1つの燃焼チャンバの温度を検出するためのセンサ
を使用することが同様に考えられる。
【0024】
これらセンサの測定値は特徴的な燃焼変数値(combustion progression)を導き出すのにも利用できる。
【0025】
本発明の特に好適な実施態様では、ただ1つのセンサ、特に圧力センサが、燃焼チャンバ毎に利用される。このように、個別の時間変数がそれぞれの燃焼チャンバのために計算できる。さらに別な好適実施態様では、計算される時間変数の精度を向上させるため、これら個別の時間変数は平均化され、あるいは個別の時間変数のメジアン(median)が計算される。しかし、安定化ガスの混合物を開ループ制御または閉ループ制御によってそれぞれの燃焼チャンバのために個別に制御することも考えられる。
【0026】
時間変数及び/又は個別時間変数の測定において、いわゆる“燃焼質量割合(mass fraction burned)(MFB)”を利用することが可能である。その定義は、技術本「内燃機関の基礎(Internal Combustion Engine Fundamentals)」(ヘイウッド(Heywood)著;マクグローヒル社出版(McGraw−Hill)、1988年)の9章の1および9章の2、特に、9章の2.1および9章の2.2を参照されたい。MFBが、その最大値の定義された割合を達成する瞬時は時間変数及び/又は個別時間変数として利用できる。本発明においては、この割合の好適値は30%から80%であり、特には40%から65%であり、特に好適には50%である。このようにして得られた時間変数及び/又は個別時間変数はMFB50(50%の割合の場合;他の選択された割合の場合も同様)という。
【0027】
この割合はまた0%から10%でもあり得る。その場合には時間変数及び/又は個別時間変数は点火遅れ(ignition delay)という。この定義は、技術本「内燃機関の基礎」(ヘイウッド著;マクグローヒル社出版、1988年)の9章の2.3を参照されたい。
【0028】
本発明の特に好適な実施態様では、少なくとも1つの燃焼チャンバ内での燃焼中に、圧力変数値(pressure progression)が少なくとも1つの圧力センサによって測定され、時間変数の計算に利用される。好適にはこれは、その少なくとも1つの圧力センサによる複数の圧力値の測定によって実行できる。燃焼毎に少なくとも1つの圧力センサによって供給される圧力値の数が多ければ多いほど、すなわち、測定される圧力変数値の時間分解能が高ければ高いほど、そこから決定される時間変数の計算精度は向上する。
【0029】
このことは、この実施態様の以下の展開において特に当てはまる。発熱変数値(heating progression)が、圧力変数値と駆動圧力変数値(motored pressure progression)の差異として計算され、累積発熱変数値(cumulative heating progression)は発熱変数値の積分として計算され、その累積発熱変数値は時間変数の計算に利用される。駆動圧力(motored pressure)は燃焼を伴わない燃焼チャンバ内での圧力の変数値(progression)を意味すると理解される。例えば、ピストン−シリンダ装置の場合には、燃焼が起きなくても駆動運転中に圧力は周期的に変化する。駆動圧力変数値は、シミュレーション(simulation)または分析計算の手段で実験的に決定できる。この実施態様は燃焼チャンバ内での正確な燃焼変数値の獲得を可能にする。
【0030】
MFBに基づく時間変数または個別時間変数は発熱変数値から容易に決定でき、累積発熱変数値がその最大値の定義された割合を達成する瞬時は、時間変数または個別時間変数として活用され、その割合は30%から80%、好適には40%から65%、特に好適には50%である。
【0031】
代わりに、または追加的に、0%から20%の割合も活用できる。この場合には、時間変数または個別時間変数は点火遅れという。
【0032】
点火遅れの利用は有利であろう。なぜなら、燃焼開始時にシリンダ内で支配的な比較的単純な流動状態(条件)(例えば、50%の燃焼質量割合点の瞬時との比較)が存在するからである。このための必須条件は、少なくとも1つの圧力センサにおいては十分に高い燃焼プロセス開始時の圧力レベルである。
【0033】
しかしながら、時間変数は他の方法で計算することもできる。その幾つかの例を挙げる。
− 示差熱法則(differential heating law)の最大値
− 示差熱法則の質量中心の決定
− シリンダ圧のピーク値の位置(この方法で50%の燃焼質量割合点は特に容易に決定が可能)
− シリンダ圧力側フランク(cylinder pressure flanks)の評価(この方法は図面の説明で簡単に解説;
図3参照)
【0034】
本発明の特に好適な実施態様では、ラムダプローブと、少なくとも1つの燃焼チャンバ内に設置された少なくとも1つの圧力センサとの両方を使用することができる。しかし、ラムダプローブによって測定する代わりに、その少なくとも1つの圧力センサの測定値からラムダ値を計算することも可能である。
【0035】
本発明のさらなる利点と詳細は、図面と、それら図面に関連した説明によって開示されている。
(項目1)
内燃機関であって、
空気(L)、燃焼ガス(B)および安定化ガス(S)が供給できる少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)と、
少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)を測定するための少なくとも1つのセンサ(3、14)と、
前記少なくとも1つのセンサ(3)に接続された開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)と、
を備え、
前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)によって、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量が、前記少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御できる、
ことを特徴とする内燃機関。
(項目2)
エンジン変数としてのラムダ値(λ)を測定するために、前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続されたラムダプローブ(14)及び/又は酸素センサが提供されている、
項目1記載の内燃機関。
(項目3)
少なくとも1つのセンサ、好適には圧力センサ(3)としてのセンサが、エンジン変数として、燃焼中に前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の少なくとも1つの圧力を測定するために提供され、
前記少なくとも1つのセンサは前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続されている、
項目1または2記載の内燃機関。
(項目4)
燃焼状態の検出のために少なくとも1つのイオン電流センサが提供されている、
項目1から3のいずれか1項に記載の内燃機関。
(項目5)
燃焼チャンバ(2)毎に正確に1つのセンサが提供されている、
項目3または4記載の内燃機関。
(項目6)
前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)は、前記少なくとも1つのセンサの測定値から、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に存在するガスの燃焼速度に特徴的な時間変数を計算し、かつ、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量を、前記時間変数に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御するように設計されている、
項目3から5のいずれか1項に記載の内燃機関。
(項目7)
燃焼ガス(B)と空気(L)とのプレミックスを生成するために第1混合装置(7)が提供されており、
前記プレミックスと安定化ガス(S)とで成る主混合物を生成するために、前記第1混合装置(7)に接続された第2混合装置(8)が提供されており、
前記主混合物は前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給できる、
項目1から6のいずれか1項に記載の内燃機関。
(項目8)
安定化ガス(S)を提供するために、前記開ループ制御装置または閉ループ制御装置(4)に接続された調節バルブ(10)が安定化ガス供給ライン(9)内に提供されている、
項目1から7のいずれか1項に記載の内燃機関。
(項目9)
内燃機関を運転する方法であって、
少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に、空気(L)、燃焼ガス(B)および安定化ガス(S)が供給され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に存在するガスに点火され、
少なくとも1つのセンサ(3、14)によって、少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)が前記内燃機関において測定され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される安定化ガス(S)の量が、前記少なくとも1つのエンジン変数(λ、p)に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、
ことを特徴とする方法。
(項目10)
センサとしてラムダプローブ及び/又は酸素センサが使用され、
前記ラムダプローブ(14)により測定され、及び/又は、前記酸素センサの測定値によって決定されるラムダ値(λ)がエンジン変数として使用される、
項目9記載の方法。
(項目11)
もし下方のラムダ限界値(λmin)が降下したら、前記供給される安定化ガス(S)の量は増加する、
項目10記載の方法。
(項目12)
エンジン変数として、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内のおける圧力の測定にセンサが利用され、
好適には圧力センサ(3)がセンサとして使用される、
項目9から11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)内に存在する、燃焼ガス(B)、安定化ガス(S)および空気(L)の混合物の燃焼速度に特徴的な時間変数は、少なくとも1つの測定された圧力(p)から計算され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量は、前記時間変数に応じて開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、
項目12記載の方法。
(項目14)
前記安定化ガス(S)と前記燃焼ガス(B)の量は、前記時間変数に応じて同一因子によって変更される、
項目13記載の方法。
(項目15)
複数の燃焼チャンバ(2)を有した内燃機関を使用するものであり、
それぞれの燃焼チャンバ(2)に対して個別時間変数(AI50、MFB50)が計算され、
前記時間変数は前記個別時間変数(AI50、MFB50)の最大値、最小値またはメジアンとして計算される、
項目13または14記載の方法。
(項目16)
燃焼中に、前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)における圧力変数値(DV)が、前記少なくとも1つのセンサによって測定され、前記時間変数の計算に使用される、
項目13から15のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
発熱変数値(HV)は前記圧力変数値(DV)と駆動圧力変数値(SV)との差異から計算され、
累積発熱変数値(kHV)は前記発熱変数値(HV)の積分として計算され、
前記累積発熱変数値(kHV)は前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)の計算に使用される、
項目16記載の方法。
(項目18)
前記累積発熱変数値(kHV)がその最大値の定義された割合を達成する瞬時が、時間変数または個別時間変数(AI50、MFB50)として使用され、
前記割合は、5%から20%、または30%から80%、好適には40%から65%、特に好適には50%である、
項目17記載の方法。
(項目19)
好適には50%の割合の前記累積発熱変数値(kHV)を使用し、
前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)はピストンの位置によって示され、対応するクランクシャフトのクランク動作の角位置として表示され、上死点から前記クランクシャフトの回転方向に測定され、
前記少なくとも1つの燃焼チャンバ(2)に供給される前記安定化ガス(S)の量は、50%の燃焼質量割合(AI50_Ref)の基準値に、開ループ制御または閉ループ制御によって制御される、
項目16から18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50,MFB50)を計算する目的で、前記圧力変数値(DV)に位置する第1点(P1)と、前記圧力変数値(DV)に位置する第2点(P2)とが選択され、
前記圧力変数値(DV)の絶対値及び/又は前記圧力変数値(DV)の勾配が、前記第1点(P1)及び/又は前記第2点(P2)の選択のための基準値として使用され、
前記第1点(P1)および前記第2点(P2)の時間座標間の値が、前記時間変数及び/又は前記個別時間変数(AI50、MFB50)のために決定され、
好適には50%の割合が利用される、
項目16記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明による内燃機関の概略図である。
【
図2】
図2aと
図2bは、第1実施例における時間変数の決定のための2つのグラフ図である。
【
図3】
図3は、第2実施例における時間変数の決定のためのグラフ図である。
【
図4】
図4は、本発明による内燃機関、または本発明による方法の閉ループ制御概念を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
内燃機関1は燃焼ガスBと安定化ガスSの供給源を有する。燃焼ガスBは燃焼ガス供給ライン11を介して第1混合装置7に供給される。第1混合装置7には空気供給ライン12を介して追加的に空気Lが供給される。第1混合装置7において生成されるプレミックス(予備混合物)は第2混合装置8に供給される。第2混合装置8では、安定化ガスSが安定化ガス供給ライン9を介してプレミックスと混合され、燃焼チャンバ2に供給される主混合物が生成される。純粋に実施例として、10個の燃焼チャンバ2が図示されている。しかしながら、本発明自体においては、燃焼チャンバ2の数は重要ではない。明確性のために、燃焼チャンバ2や圧力センサ3の全部には番号を付していない。
【0038】
特に、鉱山ガスまたはピットガスの場合には、空気供給ライン12と燃焼ガスBの供給源は図示の場合とは異なって互換が可能であり、その結果、燃焼ガスBは自由通流し、空気は調節バルブ10を介して測定される。
【0039】
この実施例では、燃焼チャンバはピストン−シリンダ装置として実現されている。ターボチャージャ16が提供されている。複数のターボチャージャ16(図示せず)を存在させることもできる。
【0040】
ターボチャージャ16はコンプレッサ側にバイパスバルブ17を有し、タービン側に排気ゲート18を有する。これらの存在によって、ブースト圧と給気量は非常に急速に影響を受け、内燃機関1の出力パワーと排気ガスを閉ループ制御によって制御することができる。
【0041】
この実施例では、内燃機関1は発電のために発電機5を駆動する。
【0042】
排気ガスライン20内にはラムダプローブ14が存在し、閉ループ制御装置4に接続されている。閉ループ制御装置4の機能の理解には
図4を参照されたい。
【0043】
それぞれの燃焼チャンバ2に対しては、それぞれの圧力センサ3が提供され、燃焼チャンバ2内で燃焼中に圧力変数値が測定される。測定値は閉ループ制御装置4に送られ、時間変数の計算に利用される。これは
図2aと
図2bに関して以下でさらに説明する方法に従って実行される。
【0044】
ラムダプローブ14と圧力センサ3の測定値に加えて、閉ループ制御装置4には、ブースト圧センサ6と、供給温度センサ19と、発電機5のパワーセンサ15の測定値が供給される。閉ループ制御装置4は燃焼ガス供給ライン12と安定化ガス供給ライン9内に存在する調節バルブ10に影響を及ぼす。この実施例では、これらバルブは流速制御バルブとして実現されている。
【0045】
上記の供給温度センサ19の利用の代替として、給気量センサも使用が可能である。
【0046】
さらに、閉ループ制御装置4は、スロットルバルブ13、コンプレッサ側のバイパスバルブ17および排気ゲート18に影響を及ぼす。
【0047】
燃焼チャンバとそれらの点火装置は従来技術に従って実現される。当然ながら、本発明を他の知られた技術と組み合わせることは可能である。例えば、排気ガスの再循環または改質は問題なく実行が可能である。
【0048】
圧力センサ3により測定された圧力変数値DVは
図2aに図示されている。この場合、それぞれのピストンの位置は時間の単位として利用される。この位置はクランクシャフトの対応するクランク動作の位置によって示され、0°はピストンの上死点を表わす。
【0049】
図2aは、駆動変数値SV、すなわち、シリンダ内のガスが点火されないときに発生するシリンダ圧の変数値をさらに示す。この場合、駆動変数値は分析的に計算される。
図2bで示される発熱変数値HVは圧力変数値DVと駆動変数値SVの差異から計算できる。この図には、累積発熱変数値kHVも示されており、これは発熱変数値HVの積分である。MFB50(燃焼質量割合50%)で表わされる累積発熱変数値の最大値の50%の達成を示すクランクシャフトの位置が時間変数として使用される。
【0050】
発熱変数値HWは技術文献(ヘイウッド著、“内燃機関の基礎”、1988年、387ページ他)において説明されている。
【0051】
明らかに、他の割合でも時間変数の定義に適している。
【0052】
MFB50もAI50(集積角度(Angle Integrated)50%)として言及されている。
【0053】
図3は圧力変数値DVから時間変数を決定するための別実施例を図示する。この場合には、圧力変数値の最大値が決定され、圧力変数値DVの曲線上のオフセット値Vだけ圧力最大値よりも前に位置する点P1が確認される。圧力変数値DVの右側に位置し、点P1と同一の圧力値を有する第2の点P2が続いて決定される。この方法では平均値をスライドさせることで点P1と点P2を確認することが可能であり、これは精度を向上させる。
【0054】
これら点P1と点P2の2つの時間座標間の値が時間変数または個別時間変数として使用され、50%の割合が通常的に活用される。明らかに、他の割合(40%から60%、30%から70%)の活用も可能である。
【0055】
図1で示す本実施例による内燃機関1の閉ループ制御は以下で解説されている。燃焼ガスBと安定化ガスSの必要量はラムダ値λに基づき、または追加的に酸素含有量に直接的に基づき、閉ループ制御装置4によって設定される。
【0056】
ラムダプローブ14による閉ループ制御は、最良に安定し頑丈なエンジンの運転を確実化するため、好適には燃焼センサ(例:圧力センサ3)によって閉ループ制御と組み合わされる。
【0057】
開ループ制御または閉ループ制御は、もし時間変数が所定の限度値以上であれば、さらに多量の燃焼ガスと安定化ガスが(一定速度で)供給されるように実現できる。もしラムダ値λが許容範囲内でなければ、燃焼ガスBと安定化ガスSの混合比は調節される。
【0058】
よって閉ループ制御は、内燃機関1が常にラムダ値λ>1.0を有するガスと空気の混合物で運転されることを確実化できる。これは安定した運転に有利であり、低排気ガスと実現可能な効率にとって有利である。
【0059】
対応する閉ループ制御概念は
図4で示されている。
【0060】
閉ループ制御装置4にはAI50の基準値(AI50_Ref)と最小ラムダ値λminが保存されている。
【0061】
測定値λはλminと比較され、その結果は比例コントローラ31に供給される。(本実施例ではλmin=1.1)
【0062】
比例コントローラ31の活用は本発明に必須なものではない。別タイプのコントローラまたは特徴図であっても利用が可能であろう。
【0063】
燃焼ガスBと安定化ガスSの割合をパラメータ化する比例コントローラ31により提供された値Xは、その後に飽和器33によって設定飽和限界Xsat(例えば、X<=0.2)未満に保たれる(Xは0と1の間の値であり、安定化ガスSと燃焼ガスBの物質の総量に対する安定化ガスSの物質の量の比として定義)。すなわち、もし値XがXsatよりも大きければ、飽和器33はXをXsatと置換する。もし、飽和器33の入力値が負になるなら手順は類似する。すなわち、負の入力値の場合には、飽和器33はX=0を出力する。
【0064】
もし比例コントローラ31により提供された値Xが飽和限界Xsat(例:Xsat=0.2)を達成したら、内燃機関1のパワー出力は偏差X−Xsatに比例して減少する。説明の簡素化のため、それ自体は知られているパワー出力の閉ループ制御回路は図示されていない。
【0065】
値Xは供給される安定化ガスの量の基礎として利用される。1−Xは供給される燃焼ガスの量の基礎として利用される。
【0066】
理解を助けるため、数値実施例が提供される。もし測定されたラムダ値λが最小ラムダ値λminと等しければ、すなわち、λ=λminであれば、値0が比例コントローラ31に供給され、この値は変更を介さずに飽和器33に送られる。値0は飽和器33の許容値範囲内にあるので、飽和器はX=0を出力する。もしその後に、測定ラムダ値がλ=1.0に変化するようにガスの組成が変化すると、λとλminの比較は値0.1を提供する。この数値実施例においては、対応する比例コントローラ31の定数は1となる。飽和器33は同様に値0.1を受領する。値0.1は同様に飽和器33の値範囲内にあるので、飽和器はX=0.1を出力する。これは、この場合には10%の安定化ガス(物質の総量に対して、すなわち、安定化ガスSと燃焼ガスBのエネルギー含有量に対して)が混合されることを意味する。
【0067】
AI50_Refは、圧力センサ3によって決定され、決定装置31に送られる実際のAI50と比較される。決定装置31は、実際のAI50とAI50_Refの偏差が所定の限界値を超えているか否かを確認する(例:|AI50−AI50_Ref|>3°)。
【0068】
もし、そうであれば、偏差が、例えば別な比例コントローラ32に供給され、その別な比例コントローラ32の後に存在する結果によって、安定化ガスSと燃焼ガスBの量は同一因子によって変えられる。この実施例では、これはマルチプライヤ34で実行される。
【0069】
代わりに、または追加的に、安定化ガスSと燃焼ガスBの割合を調節することもできる。すなわち、前述の場合とは異なり、ガスの物質量またはエネルギー含有量は同一因子では変更されないことを意味する。
【0070】
調節バルブ10に対する結果としての出力は、供給される安定化ガスの物質量Y
Sと供給される燃焼ガスの物質量Y
Bである。