(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2に開示された従来の変位量測定方式は、FBGセンサ素線に直接張力が加えられる形式であるので、測定対象物が変位した際や、測定装置の調整時あるいは設置時にFBGセンサに過大な力が加わりやすい。そのため、光ファイバを用いたFBGセンサに破損が生じ、測定が不能となったり、検出精度が低下したりして、信頼性が乏しいという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術では、バイメタル部材を介してFBGセンサに加えられる張力を温度変化によるFBGセンサの反射波長の変化を抑制するものとしなければならないので、製作が比較的難しく、また、調整に多くの時間を要し、生産コストが高くなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、耐久性・信頼性が高く、生産が比較的容易で生産コストの低い温度補償機能を有する変位量測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の変位量測定システムは、
一端
部が固定され他端
部が変位可能な片持ち梁状に形成された
板状の起歪体と、
前記起歪体
の一方側の面に付設された
第1FBGセンサ
及び第2FGBセンサと、
前記他端
部が変位した際の
前記第1FBGセンサの反射波長の変化量
と前記第2FGBセンサの反射波長との変化量との差に基づいて、
前記他端
部の変位量を算出する測定装置とを備え
、
前記起歪体は、温度が同一と認められ、且つ、前記他端部に設けられた作用点に荷重を受けて前記他端部が変位した場合の歪み量が異なる第1領域及び第2領域を有し、
前記第2領域は、前記第1領域の前記他端部側に連設され、
前記第1FGBセンサは、前記第1領域に付設され、
前記第2FGBセンサは、前記第2領域に付設され、
前記第1領域の両側縁は、平面形状において、前記作用点と一致する頂点、及び、前記作用点よりも前記一端部側に位置する底辺を有する第1の二等辺三角形の両側縁と一致し、
前記第2領域の両側縁は、平面形状において、前記作用点と一致する頂点、及び、前記作用点よりも前記一端部側に位置し、且つ、前記第1の二等辺三角形の底辺よりも大きい底辺を有する第2の二等辺三角形の両側縁と一致していることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、起歪体において温度が同一と認められ歪み量が異なる複数の位置にFBGセンサを配置し、各FBGセンサの反射波長に基づいて起歪体の変位可能な他端の変位量のみを算出するので、算出される変位量は温度変化に依存しないものとなる。したがって、変位量測定システムは、温度変化の影響を回避し得る温度補償機能を有する。なお、温度が同一と認められるとは、完全に温度が同一である場合の他、温度差が無視できる程度に小さい場合も含む。
【0012】
また、FBGセンサは、起歪体に付設され、起歪体と一体となるものであるので、測定対象物に変位が生じた際にもFBGセンサのみに歪みが生じることがない(すなわち、FBGセンサに直接張力が加えられることがない)ので、FBGセンサに過大な力が加わりにくく、破損が生じにくい。
【0013】
よって、耐久性・信頼性が高く、生産コストの低い温度補償機能を有する変位量測定システムを得ることができる。
【0014】
また、本発明の変位量測定システムにおいては、
前記他端
部が変位した際におけ
る前記
第1FBGセンサを付設した位置における
前記起歪体の歪み量
と前記
第2FBGセンサを付設した位置における
前記起歪体の歪み量との比率が、予め定められていることが好ましい。
【0015】
このように、複数のFBGの各々が検出する歪み量の比率を起歪体の形状や材質等を変更することによって予め定めておけば、算出過程が複雑なものになりにくく、より簡易で信頼性の高いシステムとすることができる。
【0016】
また、本発明の変位量測定システムにおいては、
前記第1FBGセンサ
及び前記第2FGBセンサは、
前記一端
部から
前記他端
部に向かう方向に沿って
前記起歪体に付設され、
前記起歪体は、
前記他端
部が変位した際に、少なくとも
前記第1FBGセンサ
及び前記第2FGBセンサがそれぞれ付設された位置で
前記一端
部から
前記他端
部に向かう方向の曲率が一定になるように、湾曲することが好ましい。
【0017】
このように、FBGの向きにおいて、起歪体が一定の曲率で湾曲するように構成すれば、FBGの反射波長の尖鋭性を損なうことなく精度及び信頼性の高いシステムとすることができる。
【0018】
また、本発明の変位量測定システムにおいては、
前記起歪体は、
前記第1FBGセンサを収容可能に設けられた
第1溝部
、及び、前記第2FGBセンサを収容可能に設けられた第2溝部を有していることが好ましい。
【0019】
このような溝部を設ければ、FBGの配置位置を容易に確定させることができ、また、接着面積をより広くすることができるので、製造が容易になり、ひいては、生産コストを低下させるとともに、起歪体に対して強固にFBGを付設することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る変位量測定システム1について説明する。
【0023】
まず、変位量測定システム1の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、変位量測定システム1は、ベース11と、ベース11に固定された片持ち梁状の起歪体12と、起歪体12に付設された第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bと、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長を測定する測定装置14と、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bと測定装置14とを接続する光ファイバ15と、光ファイバ15の測定装置14の端部とは反対側の端部に接続された屈折率整合ジェル16とを備えている。
【0025】
第1FBGセンサ13aの初期反射波長と第2FBGセンサ13b初期反射波長とは、異なる波長となっている。
【0026】
測定装置14は、光ファイバ15を介して、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bへ所定の帯域の光を出射する広域帯光源14aと、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bから反射された光を測定する光スペクトルメータ14bと、光スペクトルメータ14bが測定した光の波長から起歪体12の歪み量を算出する算出部14cとを有している。
【0027】
図2A〜
図2Cに示すように、起歪体12は、熱伝導率が高い材料(例えば、ベリリウム銅)で形成された板状の弾性部材である。起歪体12の一端部12aは、ベース11に固定された固定端である。起歪体12の他端部12bは、測定対象物Oから作用点Pに荷重を受けた際に、変位する自由端である。
【0028】
また、
図2Aに示すように、起歪体12は、第1FBGセンサ13aが付設される一端部12a側の第1領域A1と、第2FBGセンサ13bが付設される他端部12b側の第2領域A2とに分けられる。
【0029】
第1領域A1の両側縁は、平面形状において、底辺の長さがbで、作用点Pを頂点とする二等辺三角形の底辺側と一致する。第2領域A2の両側縁は、平面形状において、底辺の長さが2bで、作用点Pを頂点とする二等辺三角形の頂点側と一致する。すなわち、起歪体12の平面形状は、底辺の長さが2bの二等辺三角形の底辺側の両側縁が切欠かれた形状となっている。
【0030】
第1領域A1に付設される第1FBGセンサ13aの向き及び第2領域A2に付設される第2FBGセンサ13bの向きは、一端部12aから他端部12bに向かう方向に沿う方向となっている。
【0031】
図2Cに示すように、第1領域A1及び第2領域A2は、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bがそれぞれ付設された位置で、他端部12bが変位した際に、一端部12aから他端部12bに向かう方向(すなわち、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの向きと一致する方向)において、各領域において曲率が一定になるように湾曲する。
【0032】
本実施形態においては、起歪体12の平面形状(
図2A参照)における第1領域A1の板幅と第2領域A2の板幅との比が1:2に近似できる。
【0033】
ここで、起歪体12の第1領域A1の板幅b
1及び第2領域A2の板幅b
2と第1領域A1の曲率κ
1及び第2領域A2の曲率κ
2との関係を説明する。
【0034】
一般に、曲率κは、任意の着目点から荷重が加わる点までの距離をx、曲げモーメントをM(x)、ヤング率をE、断面二次モーメントをIとしたとき、以下の式で表すことができる。
【数1】
【0035】
断面二次モーメントIは、起歪体12の板幅をb(x)、板厚をhとしたとき、以下の式で表すことができる。
【数2】
【0036】
曲げモーメントM(x)、ヤング率E、板厚hは第1領域A1及び第2領域A2で同じであるので、第1領域A1の板幅b
1及び第2領域A2の板幅b
2と第1領域A1の曲率κ
1及び第2領域A2の曲率κ
2との関係は、以下の式で表すことができる。
【数3】
【0037】
すなわち、起歪体12の第1領域A1及び第2領域A2における板幅b(x)と曲率κとは反比例の関係にあるので、本実施形態においては、他端部12bが変位した際における第1領域A1の曲率と第2領域A2の曲率との比は2:1と近似できる。
【0038】
なお、起歪体表面の弾性歪み量ε
eと曲率κとの関係は、以下の式で表すことができる。
【数4】
【0039】
すなわち、弾性歪み量ε
eは曲率κに比例する。また、上記したように曲率κは板幅b(x)に反比例するので、弾性歪み量ε
eも板幅b(x)に反比例する。
【0040】
このように、他端部12bが変位した際における第1領域A1で生じる弾性歪み量と第2領域A2で生じる弾性歪み量との比率は、所定の比率となるように予め定められる。この比率は、起歪体12の形状を変更することによって、任意に定めることができる。
【0041】
第1領域A1と第2領域A2とは十分に近接した位置に存在するので、それらの領域の間で温度が大きく変化することはない。すなわち、第1領域A1に付設された第1FBGセンサ13aと第2領域A2に付設された第2FBGセンサ13bとは、温度が同一と認められる位置に付設されている。なお、温度が同一と認められるとは、完全に温度が同一である場合の他、温度差が無視できる程度に小さい場合も含む。
【0042】
また、
図2AのI−I線断面図である
図2Dに拡大して示すように、起歪体12の第2FBGセンサ13bを付設する位置には、第2FBGセンサ13bを収容可能な溝部12cが形成されている。第2FBGセンサ13bは、溝部12cに配置された後、接着剤17で固定される。また、起歪体12の第1FBGセンサ13aを付設する位置にも同様の溝部12cが形成されている。起歪体12には、このような溝部12cが設けられているので、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの配置位置を容易に確定させるとともに、接着面積をより広くすることができる。これにより、製造が容易になって、生産コストを低下させるとともに、起歪体12に対して強固に第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bを付設することができる。
【0043】
次に、変位量測定システム1の測定装置14が、算出部14cにおいて、測定対象物Oの変位量(すなわち、他端部12bの変位量)を算出する方法について説明する。
【0044】
起歪体12の他端部12bが変位した際(すなわち、測定対象物Oが変位した際)における第1領域A1の弾性歪み量(第1FBGセンサ13aの歪み量)をε
e1、第2領域A2の弾性歪み量(第2FBGセンサ13bの歪み量)をε
e2としたとき、その歪み量の比率frは次式(1)で表すことができる。
【数5】
【0045】
第1領域A1の弾性歪み量ε
e1、第2領域A2の弾性歪み量ε
e2及びそれらの歪み量の比率frは、起歪体12の形状によって任意に定めることができる。例えば、本実施形態の起歪体12は、ベリリウム銅で形成されており、
図2で示した形状(具体的には、他端部12bが変位した際における第1領域A1の曲率と第2領域A2の曲率との比が2:1と近似できる形状)であるので、曲率に比例する弾性歪み量ε
e1,ε
e2の比率frは次のように設定されている。
【数6】
【0046】
また、例えば、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bを側方(他端部12bが変位する方向と交わる方向)から見て起歪体12を挟んで対向する位置に付設した場合(具体的には、
図3に示す第1変形例の起歪体18、又は
図4に示す第2変形例の起歪体19の場合)には、比率f
rは次のように設定することができる。
【数7】
【0047】
一般に、起歪体12の他端部12bが変位すると、起歪体12が湾曲する。このとき、起歪体12とともに起歪体12に付設された第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bも湾曲する。ここで、温度一定の条件の下で、他端部12bが変位した際の第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量をΔλ
B1(δ
s)とし、第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量をΔλ
B2(δ
s)とすると、他端部12bの変位量δ
sは、次式(2)で表すことができる。
【数8】
【0048】
ここで、一般に、弾性歪み量ε
eとFBGセンサの反射波長の変化量Δλ
Bとの間には、次式(3)で示す関係が成立する。
【数9】
【0049】
式(3)におけるk
eは、所定の波長範囲ではほぼ一定とみなすことができる(例えば、波長が1550nm近傍の場合にはε
e=1μひずみ当たりでk
e=1.2pm)。
【0050】
したがって、第1FBGセンサ13aの歪み量ε
e1、第2FBGセンサ13bの歪み量ε
e2、第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量Δλ
B1(δ
s)、第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
B2(δ
s)との間には、次式(4)で示す関係が成立する。
【数10】
【0051】
式(2),(4)より得られた2つの係数K
f1及びK
f2と比率f
rとの間には、次式(5)で示す関係が成立する。
【数11】
【0052】
式(5)より、他端部12bが変位した際の第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量Δλ
B1(δ
s)及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
B2(δ
s)と、それらの比率f
rとの関係を示す式として、次式(6)が得られる。
【数12】
【0053】
ところで、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長は、温度の変化による影響を受ける。そこで、温度がΔTだけ変化した際の第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量をΔλ
B1(ΔT)とし、第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量をΔλ
B2(ΔT)とすると、起歪体12の他端部12bが変位するとともに温度が変化した際の第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2は、次式(7),(8)で表すことができる。
【数13】
【0054】
ここで、本実施形態の起歪体12に付設された第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bは、温度が同一と認められる位置に付設されている。そのため、温度が変化した際の第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量Δλ
B1(ΔT)と、第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
B2(ΔT)は、同一の変化量Δλ(ΔT)とみなすことができる。そのため、式(7),(8)は次式(9),(10)となる。
【数14】
【0055】
式(6),(9),(10)より、次式(11)を得ることができる。
【数15】
【0056】
上記の
図3に示す起歪体18において、温度が変化した際の第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2と温度の変化量との関係は、例えば
図5のグラフで示される。このグラフにおいて基準点とはδ=0,T=20℃の状態であり、グラフ中の各線はP点を約1mm押し下げた状態(δ
s=1mmの状態)を示す。また、Δλ
T=1nmはε=833μ歪みに相当する。
【0057】
このグラフからも明らかなように、温度が変化した際の第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量の差(Δλ
TB1−Δλ
TB2)は、温度によらず一定となる。
【0058】
式(2),(11)より、起歪体12の他端部12bの変位量δ
sを表す式として、次式(12)を得ることができる。
【数16】
【0059】
式(12)において、弾性歪み量の比率f
r,係数K
f1は既知の値であり、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2は測定により得られる値である。また、式(12)には、温度が変化した際の第1FBGセンサ13aの反射波長の変化量Δλ
B1(ΔT)及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
B2(ΔT)が存在していない。
【0060】
すなわち、式(12)は、温度が変化した際の第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量の影響を受けない式であるので、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2を測定することによって、温度補償をしつつ起歪体12の他端部12bの変位量δ
s(すなわち、測定対象物Oの変位量)を得ることができる。
【0061】
本実施形態においては、第1領域A1における弾性歪み量と第2領域A2における弾性歪み量との比率frを予め定めている。この比率frの値は、起歪体12の設計によって凡その値を定めることができるが、正確な値は実際の試験によらなければ得ることはできない。ただし、起歪体12の他端部12bの変位量δ
sと反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2との関係を実際に求めておけば(具体的には、式(12)において、K
f1/(1−fr)を求めておけば)、比率frの正確な値を予め知ることは、実用上必ずしも必要ではない。
【0062】
なお、本実施形態の変位量測定システム1では、起歪体12の他端部12b変位とともに温度が変化した際の第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2を測定することによって、温度による第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの反射波長の変化量Δλ(ΔT)を求めることができる。すなわち、温度測定を行うことができる。
【0063】
例えば、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bを、側面から見て起歪体12を挟んで対向する位置とならないように付設した場合(f
r≠−1の場合)、比率f
rと式(9),(10)より、次式(13)を得ることができる。
【数17】
【0064】
式(13)を変形すると、次式(14)を得ることができる。
【数18】
【0065】
式(14)において、弾性歪み量の比率f
rは既知の値であり、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2は測定により得られる値である。また、式(14)は、他端部12bの変位量δ
sに依存しない。したがって、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2を測定することによって、反射波長の変化量Δλ(ΔT)を求めることができる。すなわち、温度測定を行うことができる。
【0066】
さらに、温度変化量ΔTとFBGセンサの反射波長の変化量Δλ(ΔT)をとの間には、次式(15)が成立する。
【数19】
【0067】
ここで、係数k
Tは、FBGセンサに用いられる光ファイバと起歪体12の材料によって定まる値である。そのため、係数k
Tを予め求めておくことにより、基準温度からの温度変化量ΔTの測定も行うことができる。
【0068】
また、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bを、側面から見て起歪体を挟んで対向する位置となるように付設した場合(f
r=−1の場合。
図3に示す第1変形例の起歪体18又は
図4に示す第2変形例の起歪体19の場合)、式(9),(10)より、次式(16)を得ることができる。
【数20】
【0069】
f
r=−1であるので、式(16)は、次式(17)となる。
【0071】
式(17)を変形すると、次式(18)を得ることができる。
【0073】
式(18)において、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2は測定により得られる値である。また、式(18)は、他端部12bの変位量δ
sに依存しない。したがって、反射波長の変化量Δλ
TB1,Δλ
TB2を測定することによって、反射波長の変化量Δλ(ΔT)を求めることができる。さらに、式(15)を用いることにより、基準温度からの温度変化量ΔTの測定も行うことができる。
【0074】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。
【0075】
例えば、上記実施形態においては、第1FBGセンサ13aを起歪体12の一端部12a側の第1領域A1に付設し、第2FBGセンサ13bを起歪体12の他端部12b側の第2領域A2に付設している。しかし、起歪体に3つ以上のFBGセンサを付設するようにしてもよい。また、FBGセンサの配置位置も、検出される歪み量が異なる位置であればよい。例えば、起歪体の表裏に1つずつFBGセンサを配置するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、
図2Aに示すように、起歪体12の平面形状を、底辺側の領域の外縁が切欠かれた二等辺三角形となるように構成し、起歪体の一方側の面に2つのFBGセンサを配置している。しかし、起歪体はこのような形状に限定されない。
【0077】
例えば、
図3に示す第1変形例の起歪体18のように、ベース11に固定された一端部18a近傍の平面形状を、作用点Pを頂点とする二等辺三角形の底辺側の形状とし、測定対象物Oから作用点Pに荷重を受けた際に変位する他端部18b近傍の平面形状を、端部が半円形で二等辺三角形の底辺側から頂点側に延びた形状とし、FBGセンサ13a,13bを、起歪体18の表裏に1つずつ配置するようにしてもよい。
【0078】
また、例えば、
図4に示す第2変形例の起歪体のように、ベース11に固定された一端部19a近傍の平面形状を、作用点Pを頂点とする二等辺三角形の底辺側の形状とし、測定対象物Oから作用点Pに荷重を受けた際に変位する他端部19b近傍の平面形状を矩形として、FBGセンサ13a,13bを、起歪体19の表裏面に1つずつ配置するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、起歪体12に溝部12cを設け、その溝部12cに第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bを付設している。しかし、溝部12cは、省略しても構わない。
【0080】
また、上記実施形態では、起歪体12の平面形状を、二等辺三角形の底辺近傍の外縁を切欠いた形状としている。しかし、本発明の起歪体の形状はそのような形状に限定されるものではない。例えば、FBGセンサのグレーティング長が起歪体の長さに対して十分に小さいとみなせる場合等には、平面形状が矩形であってもよいし、切欠きのない三角形であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの向きと起歪体12の曲率が変化する向きを一致させるとともに、その向きにおいては他端部12bが変位した際における起歪体12の曲率が、第1FBGセンサ13a及び第2FBGセンサ13bの配置した位置(上記実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2)で、それぞれ一定となるように構成している。しかし、FBGセンサの向きや、起歪体の湾曲時の曲率は、適宜変更してもよい。