(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の加熱調理装置では、作業者が調理するメニューに応じて手動でドラムや加熱装置の駆動状態を設定しなければならなかった。
【0007】
そのため、作業者に熟練を要するものであり、また、調理するメニュー毎にドラムや加熱装置の駆動を設定しなければならず、作業が煩雑であり、誤った操作をしてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置において、ドラム及び加熱装置の駆動を制御する制御装置
と、前後方向に伸延するドラムを左右方向に所定角度範囲内で揺動させる揺動機構と、ドラムの上方を開閉させる開閉機構とを備え、制御装置は、ドラム及び加熱装置の駆動を複数のステップに分けて制御を行うとともに、ステップ間に
揺動機構によって水平よりも傾けた状態でドラムを停止
するとともに、開閉機構によってドラムを開いた状態にして食材の投入を可能とする制御を行うことにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記制御装置は、ステップ毎にドラム及び加熱装置の駆動を設定可能とすることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記制御装置は、複数のステップからなる調理メニューを複数種類に分けて設定可能とすることにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、中空状のドラムを加熱装置で加熱することで前記ドラムの内部に投入した食材を調理する加熱調理装置において、ドラム及び加熱装置の駆動を制御する制御装置を備え、制御装置は、ドラム及び加熱装置の駆動を複数のステップに分けて制御を行うとともに、ステップ間にドラムを停止して食材の投入を可能とする制御を行うことにしているために、作業者が調理するメニュー(調理メニュー)毎にドラムや加熱装置の駆動を調整する必要がなくなり、作業者の熟練を要求されず、作業性を向上させることができ、また、誤った操作の発生を防止することができる。
【0013】
特に、ステップ毎にドラム及び加熱装置の駆動を設定可能とした場合には、調理する食材等に応じて調理方法を詳細に設定することができ、味や食感などの品質を向上させることができる。
【0014】
また、複数のステップからなる調理メニューを複数種類に分けて設定可能とした場合には、1台の加熱調理装置で複数の調理メニューを容易に製造することができ、各調理メニューに適応した調理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る加熱調理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1〜
図6に示すように、加熱調理装置1は、基台2の上部に前後方向に向けて伸延する中空円筒状のドラム3を左右揺動可能に設けるとともに、基台2の上部にドラム3を外方から加熱するための加熱装置4を設けて、加熱装置4でドラム3を加熱することでドラム3の内部に投入した食材を加熱して調理するものである。
【0018】
基台2は、矩形板状の固定台5の後端上部に矩形板状の傾動台6の後端下部を左右一対のヒンジ7,7を介して上下方向に向けて傾動可能に取付けている。
【0019】
固定台5には、加熱調理装置1の各部を制御するための制御装置8が取付けられている。
【0020】
固定台5と傾動台6との間には、固定台5に対して傾動台6を上下に傾動させるための傾動機構Aが設けられている。傾動機構Aは、傾動台6に形成した左右一対の貫通孔9,9にそれぞれ油圧シリンダ10を挿通させるとともに、油圧シリンダ10を傾動台6で前後回動自在に支持し、油圧シリンダ10の伸縮するロッド11の下端を固定台5に取付けている。この油圧シリンダ10は、固定台5の上部に取付けられた油圧駆動ユニット12に接続されている。なお、ドラム3及び加熱装置4は、傾動台6の上部に設けられている。
【0021】
そして、基台2は、油圧駆動ユニット12を駆動して油圧シリンダ10のロッド11を伸縮させることで、基台2に対して傾動台6を上下に傾動させることができ、傾動台6の傾動に伴ってドラム3を加熱装置4とともに上下に揺動させることができる。
【0022】
ドラム3は、上方を開口させたパン部13と、パン部13の開口を開閉するカバー部14とで形成している。パン部13は、前後一対の半円板状の前後壁15,16の間に半円弧断面を有する側壁17を取付けて、下方に向けて凸状のハーフパイプ形状となっている。後壁16には、排出口18が開閉可能に形成されている。カバー部14は、前後一対の半円板状の前後壁19,20の間に半円弧断面を有する側壁21を取付けて、上方に向けて凸状のハーフパイプ形状となっている。これにより、ドラム3は、パン部13とカバー部14とで中心軸線を前後方向に伸延させた中空円筒形状となっている。このドラム3では、パン部13の側壁17の内周径よりもカバー部14の側壁21の内周径の方を大きくして、カバー部14を閉じた状態においてパン部13とカバー部14との境界に段差が形成されるようにしている。
【0023】
このドラム3には、パン部13に対してカバー部14を開閉するための開閉機構Bが設けられている。開閉機構Bは、パン部13の左端上縁部に駆動モータ22を取付け、駆動モータ22にアーム23の基端部を取付け、アーム23の先端部をカバー部14の左端下縁部に取付けている。
【0024】
そして、ドラム3は、駆動モータ25を駆動してアーム23を上下に回動させることで、パン部13に対してカバー部14を上下に昇降させてパン部13の上方の開口を開閉できるようにしている。
【0025】
また、ドラム3には、内部の食材を撹拌するための撹拌機構Cが設けられている。撹拌機構Cは、パン部13の前後壁15,16の間にドラム3の中心軸線よりも下方であってドラム3の中心軸線と平行に前後方向に伸延する回動軸24を回動自在に取付け、回動軸24の前端部に駆動モータ25を接続するとともに、回動軸24の中途部に前後に間隔をあけて3本のアーム26の基端部を取付け、各アーム26の先端部に撹拌羽27を取付けている。
【0026】
そして、ドラム3は、駆動モータ25を駆動して回動軸24を回動させることで、3個の撹拌羽27でドラム3の内部に投入された食材を撹拌させることができる。なお、前側の撹拌羽27を後方に向けて傾斜させるとともに、後側の撹拌羽27を前方に向けて傾斜させることで、ドラム3の中央側に食材を寄せるようにしている。また、各撹拌羽27は、パン部13の内周部下端側で接触し、パン部13の内周部上端側では接触しないようにしている。
【0027】
さらに、ドラム3には、ドラム3を左右方向に所定角度範囲内で往復して揺動させるための揺動機構Dが設けられている。揺動機構Dは、ドラム3のパン部13の前後端外周部に半円弧状のリム28,28を取付けるとともに、カバー部14の前後端外周部に半円弧状のリム29,29を取付け、一方、傾動台6の上部に取付けた4本の支持体30の上部にプーリ31を回動自在に取付け、リム28,29とプーリ31とを係合させてドラム3を傾動台6で回動自在に支持させている。また、揺動機構Dは、傾動台6に駆動モータ32を取付けるとともに、駆動モータ32に駆動ギヤ33を取付け、一方、パン部13の前側外周部に半円弧状の従動ギヤ34を取付け、駆動ギヤ33と従動ギヤ34とを噛合させている。
【0028】
そして、ドラム3は、駆動モータ32を左右に所定角度範囲で往復して回動させることで、基台2(傾動台6)に対して左右方向に揺動するようになっている。
【0029】
加熱装置4は、ドラム3の外側から内部を加熱するための加熱機構Eを設けている、加熱機構Eは、基台2(傾動台6)に前後方向に伸延する半円弧断面を有する中空状の加熱ダクト35を取付けている。この加熱ダクト35の下部には、左右一対のメタルマット型のバーナ36,36が取付けられており、各バーナ36に燃焼ユニット37を接続している。また、加熱ダクト35の左右端部には、左右一対の排気ダクト38,38が接続されている。排気ダクト38は、加熱ダクト35の左右端部に接続した前後方向に向けて伸延させるとともに左右方向に向けて傾斜させた上流部39と、上下方向に向けて伸延させた下流部40と、上流部39と下流部40とを連結する連結部41とで形成している。この排気ダクト38は、上流部39及び連結部41を側面視でカバー部14よりも下方に配置するとともに、下流部40を側面視でドラム3よりも前方(後方でもよい。)に配置することで、カバー部14の開放時やパン部13の清掃時などに排気ダクト38が支障とならないようにして加熱調理装置1のメンテナンス性を向上させている。
【0030】
そして、加熱装置4は、燃焼ユニット37を駆動させることで、バーナ36,36によってドラム3の内部をパン部13の外部から加熱することができる。その際に生じた排気は、加熱ダクト35から排気ダクト38へと排出される。なお、加熱装置4は、温度センサーを有しており、所定の温度を保持するように燃焼ユニット37を駆動させることができるようになっている。また、加熱装置4は、PID制御によって加熱温度を連続して可変することができるようになっている。
【0031】
制御装置8は、
図7に示すように、上記傾動機構A、開閉機構B、撹拌機構C、揺動機構D、加熱機構Eと接続されている。また、制御装置8は、外部から作業者が操作を行うとともに、外部の作業者に表示を行うためのタッチディスプレイからなる操作表示機構Fと接続されている。さらに、制御装置8は、内部にコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を収容している。
【0032】
そして、制御装置8は、記憶媒体に記憶したプログラムにしたがって傾動機構A、開閉機構B、撹拌機構C、揺動機構D、加熱機構E、操作表示機構Fを制御する。
【0033】
加熱調理装置1は、以上に説明したように構成している。なお、上記加熱調理装置1は、本発明を適用した一実施例に過ぎず、傾動機構A、開閉機構B、撹拌機構C、揺動機構D、加熱機構Eなどの具体的な構成は上記構成に限られず適宜設計されるものである。また、揺動機構Dは、ドラム3を一定角度範囲内で往復して揺動する場合に限られず、ドラム3を回転できるようにしてもよい。加熱調理装置1は、少なくとも揺動機構Dと加熱機構Eを制御装置8で制御できればよく、傾動機構A、開閉機構B、撹拌機構Cなどが設けられていなくてもよい。
【0034】
加熱調理装置1では、予め1又は複数種類の調理メニューをそれぞれ分けて登録しておくことができる。また、加熱調理装置1では、予め各調理メニュー毎に1又は複数のステップからなる調理方法を登録しておくことができる。調理メニューや調理方法の登録は、作業者が操作表示機構Fを用いて行う。各ステップでは、ドラム3の駆動について駆動時間、駆動速度(揺動速度)などの揺動機構Dに対する制御内容(調理方法)や、加熱装置4の駆動について駆動時間(加熱時間)、駆動温度(火力)などの加熱機構Eに対する制御内容(調理方法)を登録することができる。また、各ステップでは、傾動機構Aや開閉機構Bや撹拌機構Cに対する各制御内容を登録することもできる。
【0035】
たとえば、加熱調理装置1は、
図8(a)に示すように、複数の調理メニューM1,M2,M3・・・からなる調理メニュー群を操作表示機構Fに表示する。作業者は、登録を行ういずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・を操作表示機構Fを用いて選択する。なお、ここで新たに調理メニューを追加して登録することもできる。
【0036】
次に、加熱調理装置1は、
図8(b)に示すように、選択されたいずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・に対応した複数のステップS1,S2,S3・・・からなる調理ステップ群を操作表示機構Fに表示する。作業者は、登録を行ういずれかのステップS1,S2,S3・・・を操作表示機構Fを用いて選択する。なお、ここで新たにステップを追加して登録することもできる。
【0037】
次に、加熱調理装置1は、
図8(c)に示すように、選択されたいずれかのステップS1,S2,S3・・・に対応した複数の調理方法A1,A2,A3・・・からなる調理方法群を操作表示機構Fに表示する。作業者は登録を行ういずれかの調理方法A1,A2,A3・・・を操作表示機構Fを用いて選択する。調理方法A1,A2,A3・・・とは、ドラム3の揺動速度や加熱装置4の駆動時間や加熱装置4の駆動温度などを指す。ここで作業者は、各ステップS1,S2,S3・・・ごとに、ドラム3の揺動速度や加熱装置4の駆動時間や加熱装置4の駆動温度などの調理方法A1,A2,A3・・・を登録する。
【0038】
そして、作業者は、以下のようにして加熱調理装置1を用いて調理を行う。
【0039】
まず、加熱調理装置1は、
図8(a)に示すように、複数の調理メニューM1,M2,M3・・・からなる調理メニュー群を操作表示機構Fに表示する。作業者は、調理を行ういずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・を操作表示機構Fを用いて選択する。
【0040】
次に、加熱調理装置1は、選択されたいずれかの調理メニューM1,M2,M3・・・について予め登録された複数のステップS1,S2,S3・・・を順に実行する。なお、加熱調理装置1は、最初のステップS1を実行する前に、傾動機構Aを用いて基台2を水平にし、揺動機構Dを用いてドラム3を水平よりも少し傾けた状態で停止し、撹拌機構C及び加熱機構Eを停止し、開閉機構Bを用いてカバー部14(ドラム3)を開いた状態にしておく。
【0041】
たとえば、ステップS1において、ドラム3を予備加熱するために、調理方法A1としてドラム3の揺動速度が低速(揺動周波数1Hz)と登録され、調理方法A2として加熱装置4の加熱時間が60秒と登録され、調理方法A3として加熱装置4の設定温度(火力)が180℃と登録されている場合には、以下のように動作する。作業者は、ドラム3のパン部13に油を投入した後に操作表示機構Fを操作する。なお、作業者が行う油の投入などの操作内容を操作表示機構Fに表示するようにしてもよい。加熱調理装置1は、操作表示機構Fが操作された後に、開閉機構Bを用いてカバー部14を閉じた状態にし、加熱機構Eを180℃で60秒間駆動するとともに揺動機構Dを揺動周波数1Hzで駆動する。その後(ステップS1の終了後)、加熱調理装置1は、揺動機構Dを用いてドラム3を水平よりも少し傾けた状態で停止し、加熱機構Eを停止し、開閉機構Bを用いてカバー部14(ドラム3)を開いた状態にする。
【0042】
また、ステップS2において、食材を炒めるために、調理方法A1としてドラム3の揺動速度が高速(揺動周波数3Hz)と登録され、調理方法A2として加熱装置4の加熱時間が180秒と登録され、調理方法A3として加熱装置4の設定温度(火力)が200℃と登録されている場合には、以下のように動作する。作業者は、ドラム3のパン部13に炒める食材を投入した後に操作表示機構Fを操作する。なお、作業者が行う食材の投入などの操作内容を操作表示機構Fに表示するようにしてもよい。加熱調理装置1は、操作表示機構Fが操作された後に、開閉機構Bを用いてカバー部14を閉じた状態にし、加熱機構Eを200℃で180秒間駆動するとともに揺動機構Dを揺動周波数3Hzで駆動する。その後(ステップS2の終了後)、加熱調理装置1は、揺動機構Dを用いてドラム3を水平よりも少し傾けた状態で停止し、加熱機構Eを停止し、開閉機構Bを用いてカバー部14(ドラム3)を開いた状態にする。その後、操作表示機構Fを用いて作業者に通知する。なお、ドラム3を水平よりも少し傾けた状態でカバー部14を開いた状態とすることで、その後の食材の投入等の作業を容易なものとしている。
【0043】
以上に説明したように、上記加熱調理装置1は、制御装置8によってドラム3及び加熱装置4の駆動を複数のステップに分けて制御を行うとともに、ステップ間にドラム3を停止して食材の投入を可能とする制御を行うように構成している。
【0044】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、作業者が調理するメニュー(調理メニュー)毎にドラム3や加熱装置4の駆動を調整する必要がなくなり、作業者の熟練を要求されず、作業性を向上させることができ、また、誤った操作の発生を防止することができる。
【0045】
また、上記加熱調理装置1は、制御装置8によってステップ毎にドラム3及び加熱装置4の駆動を設定可能に制御する構成としている。
【0046】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、調理する食材等に応じて調理方法を詳細に設定することができ、味や食感などの品質を向上させることができる。
【0047】
さらに、上記加熱調理装置1は、制御装置8によって複数のステップからなる調理メニューを複数種類に分けて設定可能に制御する構成としている。
【0048】
そのため、上記構成の加熱調理装置1では、1台の加熱調理装置1で複数の調理メニューを容易に製造することができ、各調理メニューに適応した調理を行うことができる。