(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体と前記検出領域(38、51)との動作可能な接触を維持しながら、前記検出領域(38、51)を前記流体との直接的な接触から分離するように構成された誘電体保護層をさらに含む、請求項1または2に記載のシステム(10)。
前記検出材料(56)は、誘電体であって、約1℃から約260℃までの範囲の温度において、前記流体に対して化学的に不活性であるか、または前記流体による劣化に対して化学的に耐性がある、請求項4に記載のシステム(10)。
前記検出材料(56)は、誘電体であって、約0℃から約−260℃までの範囲の温度において、前記流体に対して化学的に不活性であるか、または化学的に耐性がある、請求項4に記載のシステム(10)。
前記コントローラ(22)は、共振インピーダンススペクトルの各々の少なくとも4つのスペクトルパラメータを解析することによって、前記共振インピーダンススペクトルを解析するように構成される、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム(10)。
前記コントローラ(22)は、前記共振パラメータFp、Zp、F1、Z1、F2、またはZ2のうちの少なくとも1つまたは複数をさらに解析することによって、前記共振インピーダンススペクトルを解析するように構成される、請求項9に記載のシステム(10)。
同調入力に基づいて各LCR回路を前記検出領域(38、51)に結合または分離するように構成された各LCR回路に結合された1つまたは複数の同調部品(42)をさらに含む、請求項1乃至10のいずれかに記載のシステム(10)。
前記センサ(14、55、108)の前記検出領域(38、51)と熱的に接触し、前記検出領域(38、51)に隣接して局所的加熱または局所的冷却の少なくとも一方を供給するように構成された熱素子をさらに含む、請求項11乃至13のいずれかにに記載のシステム(10)。
前記信号に基づいて前記センサ(14、55、108)の共振インピーダンススペクトルを解析し、前記解析された共振インピーダンススペクトルに基づいて、前記流体の1つまたは複数の特性を決定するように構成された処理回路をさらに含む、請求項1乃至14のいずれかに記載のシステム(10)。
前記センサ(14、55、108)は、メモリチップ(52)に動作可能に結合され、前記センサ(14、55、108)は、前記メモリチップ(52)によって用いられる動作周波数により少なくとも部分的に決定される周波数で動作する、請求項1乃至15のいずれかに記載のシステム(10)。
エンジンオイルと接触する単一のセンサ(14、55、108)であって、解析の周波数範囲の複数の所定の周波数で動作するように構成されたLCR共振回路を含む単一のセンサ(14、55、108)を励起するステップと、
解析の前記周波数範囲にわたって、前記単一のセンサ(14、55、108)から、前記エンジンオイルの共振インピーダンススペクトルに関する情報を含む信号を受信するステップと、
前記共振インピーダンススペクトルに少なくとも部分的に基づいて、前記エンジンオイルの複数の特性を決定するステップと
を含み、
前記複数の特性を決定するステップは、水の成分と燃料の成分とを含む複数の成分と関係する共振インピーダンススペクトルの共振パラメータの特性変化及び、前記水の成分の効果と前記燃料の成分の効果とを評価するために決定された先に構築された分類モデルに基づいて、前記水及び燃料の成分の濃度を識別することによって前記流体の前記特性を決定するステップを含む、方法(60)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による、流体を評価するためのシステムのブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、共振センサの概略図である。
【
図3】本開示の実施形態による、複数の周波数を用いて流体を検出するように構成されたセンサ組立体を使用する例示的なセンサシステムの一部の概略図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、共振センサの等価回路の一例を示す図である。
【
図5A】本開示の一実施形態による、検出領域が共振アンテナの全体または一部を構成している、共振検出のために適合されたRFIDタグの一例を示す図である。
【
図5B】本開示の一実施形態による、検出領域がアンテナおよびメモリチップに直流的に接触している、共振検出のために適合されたRFIDタグの一例を示す図である。
【
図6】本技術の実施形態による、共振センサの一実施形態の測定された共振インピーダンスパラメータのグラフである。
【
図7A】本開示の一実施形態による、検出領域が被測定流体中へのセンサ軸挿入に対して平行に、したがって、センサの挿入ポートに対して垂直に配置された共振センサの一例を示す図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による、検出領域が被測定流体中へのセンサ軸挿入に対して垂直に、したがって、センサの挿入ポートに対して平行に配置された共振センサの一例を示す図である。
【
図8A】本開示の一実施形態による、センサがリザーバ内に組み込まれ、センサの検出領域が流体に露出され、センサ読み取り装置がセンサの近傍に配置されてケーブルでセンサに接続されている場合の、流体リザーバ内のセンサによる流体特性の検出の一例を示す図である。
【
図8B】本開示の一実施形態による、センサがリザーバ内に組み込まれ、センサの検出領域が流体に露出され、センサ読み取り装置がセンサに直接接続されている場合の、流体リザーバ内のセンサによる流体特性の検出の一例を示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、流体評価のフローチャートである。
【
図10】強調表示された水漏れがあるエンジンオイル、水、および燃料を検出するための共振インピーダンスデータのプロットである。
【
図11】強調表示された燃料漏れがあるエンジンオイル、水、および燃料を検出するための共振インピーダンスデータのプロットである。
【
図12】共振インピーダンススペクトルパラメータの主成分解析を示す図である。
【
図13】単一の共振センサを用いた、水/燃料/オイル混合物中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関プロットである。
【
図14】単一の共振センサを用いた、水/燃料/オイル混合物中の燃料の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関プロットである。
【
図15A】ヘキサンとトルエンとを区別するための共振センサの分解能を示すスペクトルパラメータのプロットである。
【
図15B】ジオキサンに添加された水の分解能を示すスペクトルパラメータのプロットである。
【
図16A】煤および水を添加した後の共振インピーダンススペクトルの実数部のプロットである。
【
図16B】煤および水を添加した後の共振インピーダンススペクトルの虚数部のプロットである。
【
図17】センサを5種の溶液に暴露して共振インピーダンス測定を実行した場合の、PC1対PC2のPCAスコアプロットを示す図である。
【
図18A】汚染されていないジオキサンに対する単一のセンサからの4つの共振スペクトルプロファイルのプロットを示す図である。
【
図18B】ジオキサンに水を添加した場合の、単一のセンサからの共振スペクトルプロファイルのプロットを示す図である。
【
図19】Fpの測定感度に対するセンサ設計の影響のプロットである。
【
図20】Zpの測定感度に対するセンサ設計の影響を示す図である。
【
図21】2つの多変数共振センサによるオイル中の水の測定結果のプロットである。
【
図22】異なる温度における水の添加に対する共振センサの応答の開発されたPCAモデルのスコアプロットであり、異なる応答方向を示す。
【
図23】単一のセンサの応答を用いてオイル中の水の濃度を定量化するために、部分最小二乗手法を用いる多変量線形回帰モデルの結果のプロットである。
【
図24A】3つの温度における経時的なオイル中の水の実際の(測定された)濃度(実線)および予測された濃度(白丸)のプロットである。
【
図24B】3つの温度における経時的なオイル中の水の実際の濃度と予測された濃度との間の予測された誤差のプロットである。
【
図24C】3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関のプロットである。
【
図25A】多変数共振センサおよび油温センサの応答を用いた、3つの温度における経時的なオイル中の水の実際の(測定された)濃度(実線)および予測された濃度(白丸)のプロットである。
【
図25B】多変数共振センサおよび油温センサの応答を用いた、3つの温度における経時的なオイル中の水の実際の濃度と予測された濃度との間の予測された誤差のプロットである。
【
図25C】多変数共振センサおよび油温センサの応答を用いた、3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関のプロットである。
【
図26】それぞれ25、25、および50ppmのレベルのエンジンオイル中への水漏れに対する開発された共振センサの応答である。
【
図27A】それぞれ25、25、50、100、200、500、および1000ppmのレベルのエンジンオイル中への水漏れに対する基準キャパシタンスセンサの応答である。挿入図は、初期水漏れに対する応答を示す。
【
図27B】それぞれ25、25、50、100、200、500、および1000ppmのレベルのエンジンオイル中への水漏れに対する開発された共振センサの応答である。挿入図は、初期水漏れに対する応答を示す。
【
図28A】単気筒機関車エンジン内の開発された共振センサの〜34日間の動作を示す。オイルの温度およびセンサの応答を示している。
【
図28B】〜34日間の単気筒機関車エンジン内の開発された共振センサの応答とオイルの温度との相関を示す。
【
図29】内燃機関の典型的な部品における漏れの動的シグネチャの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
検出方法およびシステムに関する実施形態が開示されている。共振センサなどのセンサは、流体を検出するためのセンサまたはトランスデューサとして使用することができるインダクタ−キャパシタ−抵抗器(LCR)センサを含むことができる。本明細書で提供されるものは、流体および流体内の様々な成分もしくは汚染物質が存在するところで解析可能な変化を示す共振構造である部分を有するセンサである。
【0012】
一実施形態では、センサは、インダクタ−キャパシタ−抵抗器(LCR)共振器回路を含むことができ、これはこの回路の共振インピーダンス(Z)により与えられる共振周波数応答を有する。本明細書で提供されるセンサは、変化するノイズ源が存在するところで目的の特性を検出することができ、かつ、変化する温度条件の下で動作することができて、経時的に安定したセンサ性能を提供することができる。本明細書では、インダクタ−キャパシタ−抵抗器(LCR)共振器を含むセンサが開示され、それはセンサまたはトランスデューサとして機能することができる。センサの共振インピーダンススペクトルは、ピックアップコイルとセンサとの間の誘導結合を介して測定することができ、あるいはセンサ読み取り装置に接続することにより直接測定することができる。センサの電気的応答は、センサの共振インピーダンスの変化に変換することができる。
【0013】
個々のセンサの信号変化の非限定的な例としては、結合された同時共振インピーダンス変化、インダクタンス変化、抵抗変化、およびキャパシタンス変化を挙げることができる。本明細書に開示される好適なセンサおよびシステムは、センサの共振回路を構成する電極間のセンサに接触させることにより、エンジンオイルまたは燃料などの流体の変化を測定する能力を高めることができる。センサの共振回路は、電気共振回路とすることができる。他の共振回路は、機械的共振器を含んでもよく、この場合には、流体の粘度および/または密度の変化が機械的共振器の応答に影響を及ぼす。
【0014】
好適な機械的共振器としては、音叉共振器、厚みすべりモード共振器、水晶発振子マイクロバランス共振器、弾性表面波共振器、バルク弾性波共振器などを挙げることができる。これらのおよびその他の機械的共振器とは異なり、電気共振器では流体の粘度および/または密度の変化の影響が予測可能でない場合がある。代わりに、電気共振器では、流体の複素誘電率の変化の影響を予測可能とすることができる。電気共振器は、設計が非常に複雑になる場合があり、たとえばマージナル発振器は複雑な多数の部品の回路を必要とする。
【0015】
少なくとも一部のオイルおよび潤滑剤の劣化は、それらが形成されたオイルおよび潤滑剤よりも相対的に有極性であり得る分子および/またはその他の成分を生成する場合がある。ベースオイルまたは潤滑剤は、弱い極性をもつ長鎖炭化水素分子を含む場合があり得る。したがって、有極性汚染物質の存在は、オイルの複素誘電率の1つまたは複数の部分を増加させることができる。
【0016】
一態様によれば、共振トランスデューサは、再構成可能な共振構造として動作し、流体の状態(さらに、たとえば、このような流体と接触している機器の健全性)をモニターするために複数の周波数で動作し、制御されていない周囲環境ノイズの寄与があるところで、任意の試料の誘電特性をより正確にプロービングする。流体の健全性をモニターすることは、このような流体の組成の決定または汚染の決定を含んでいる。
【0017】
干渉物質および周囲環境ノイズの寄与の非限定的な例としては、温度または試料中の干渉の存在を挙げることができる。「干渉」という用語は、センサの測定の正確さおよび精度に悪影響を及ぼす望ましくない環境パラメータを含む。「干渉物質」という用語は、センサの誤応答を潜在的に生じさせ得る材料または環境条件を指す。このような干渉物質の存在および/または濃度を低減、排除、または考慮するために、用途に特有のパラメータに基づいて、フィルタ(物理的、化学的、および/または電子的)を用いることができる。
【0018】
図1を参照すると、接触する流体を評価するのに有用であるシステム10が示されている。例示の目的のために、代表的な流体をエンジンオイルとすることができる。システムは、流体およびセンサ14のための流体リザーバ12を含むことができる。あるいは、センサを流体の流路に配置してもよい。センサは、または、リザーバ内にまたはその上に配置された共振センサであってもよいし、あるいは流路を画定する流体リザーバと流体連通するインラインコネクタに結合されてもよい。一実施形態では、センサはリザーバまたは流路内の流体の連続的なモニタリングを提供することができる。
【0019】
好適な流体は、炭化水素燃料および潤滑剤を含んでもよい。好適な潤滑剤としては、エンジンオイル、ギヤオイル、作動流体、潤滑オイル、合成系潤滑剤、潤滑流体、グリース、およびシリコーンなどが挙げられる。好適な燃料としては、ガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料もしくはケロシン、バイオ燃料、石油ディーゼルバイオディーゼル燃料混合物、天然ガス(液体または圧縮)、および燃料オイルを挙げることができる。さらに他の流体は、変圧器中の絶縁オイル、溶剤、または溶剤の混合物であってもよい。さらに他の流体は、それに対応して好適なセンサパラメータである、水、空気、エンジン排気、生物学的流体、ならびに有機および/または植物油などを含めることができる。流体は、液体であってもよいし、気相であってもよい。さらに、多相組成物も想定される。
【0020】
種々の流体成分の非限定的な例としては、近接システムからの意図しない漏れ(たとえば、エンジンオイル中へのラジエータ流体、またはディーゼル燃料もしくは変圧器オイル中の水結露)を挙げることができる。他の検出可能な流体成分は、動作が高温になることによる、あるいは酸化剤(空気など)との接触による流体の劣化生成物を含んでもよい。システムの動作は、汚れ、塩、煤もしくは炭素、摩耗金属粒子、摩耗生成物などの流体成分を導入する場合があり得る。いくつかの環境では、細菌などによる汚れが流体成分となる場合がある。また、すべての場合に、酸性成分が存在することを示すpHの上昇などの間接的な測定が有用であり得る。
【0021】
センサは、共振インピーダンススペクトル応答により、流体の特性を検出することができる。LCR共振器の1つまたは複数が、共振インピーダンススペクトル応答を測定することができる。単純な共振インピーダンス測定とは対照的に、開示される実施形態は、少なくとも1つの共振電気回路により試料をプロービングする。試料に近接するセンサ(流体と動作可能に接触するセンサ)の共振インピーダンススペクトルは、試料の組成および/または成分および/または温度に基づいて変化する。測定された共振インピーダンス値Z’(共振インピーダンスの実部Zreであり得る)およびZ’’(共振インピーダンスの虚部Zimであり得る)は、共振電気回路の電界の刺激に対する流体(たとえば、センサに近接する流体の部分)の応答を反映する。
【0022】
電界は、電極を介してセンサによって印加することができる。電極は、試料と直接または間接に電気的接触することができる。たとえば、センサは、検出領域および関係する回路の組み合わせであってもよい。検出領域は、裸であってもよいし、保護誘電体層でコーティングされてもよい。いずれの場合も、検出領域は、流体と動作可能に接触しているとみなすことができる。このような実施形態では、同調回路は流体に直接接触しない。試料との間接的な電気的接触の一例は、検出する電極構造が誘電体保護被膜でコーティングされている場合であって、かつ、電極間で発生し得る電界が誘電体保護被膜を貫通した後に流体と相互作用する場合であり得る。好適な誘電体保護被膜は、電極に整合的に被覆することができる。
【0023】
好適なセンサは、1回使用または複数回使用のセンサを含むことができる。好適な複数回使用の共振センサは、組み込むことができるシステムの寿命の間に使用できる再使用可能なセンサであってもよい。一実施形態では、共振センサは、反応もしくは処理のすべてまたは一部の間に用いることができる使い捨てのセンサであってもよい。たとえば、共振センサは、1つもしくは複数の電極対、ならびに、たとえば抵抗、キャパシタ、インダクタ、共振器、インピーダンス変成器、またはこれらの2つ以上の組み合わせである1つもしくは複数の同調素子を含むことができ、少なくとも1つの共振周波数で動作するインダクタ−キャパシタ−抵抗器(LCR)共振回路を形成することができる。特定の実施形態では、共振センサの複数の共振回路の異なる共振回路は、異なる周波数で共振するように構成することができる。異なる周波数は、測定される流体組成物の分散プロファイルを横断するように選択することができる。分散プロファイルは、プローブ周波数に対する流体組成物の誘電特性の依存性であってもよい。流体の様々な構成要素は、異なる分散プロファイルを有している。複数の共振周波数で測定した場合には、流体の異なる成分の濃度を決定することができる。
【0024】
共振センサからのデータは、データ収集回路16により取得することができ、データ収集回路16は、センサと関係してもよいし、あるいは、データ処理回路を含むコントローラまたはワークステーション22などの制御システムと関係してもよく、制御システムでは追加の処理および解析を実行することができる。コントローラまたはワークステーションは、1つまたは複数の無線または有線の構成要素を含むことができ、また、システムの他の構成要素と通信することができる。好適な通信モデルは、無線または有線を含む。少なくとも1つの好適な無線モデルは、RFID無線通信などの無線周波数装置を含む。他の無線通信様態を、用途に特有のパラメータに基づいて使用することができる。たとえば、EMF干渉があり得る場合には、他の様態が機能しない場合に、特定の様態が機能することができる。データ収集回路は、
図2に示すように、流体リザーバ内に配置することができる。他の好適な位置は、ワークステーション内の配置を含んでもよい。さらに、ワークステーションは、処理全体の制御システムと置き換えることができ、その場合には、共振センサおよびそのデータ収集回路は、処理の制御システムに接続することができる。
【0025】
動作中には、モニタリング処理は、とりわけ、内燃機関、油入変圧器、化学反応処理、生物学的反応処理、精製および/または分離処理、触媒処理、一般的な燃焼処理、原料オイルの製造、原料ガスの製造、材料の抽出、ならびに他の工業プロセスの動作に結合することができる。データ収集回路は、センサ読み取り装置の形式であってもよく、流体リザーバおよび/またはワークステーションと無線もしくは有線で通信するように構成することができる。たとえば、センサ読み取り装置は、バッテリで動作する装置であってもよいし、および/または、主制御システムから利用可能なエネルギーを用いるか、周囲のソース(光、振動、熱、または電磁エネルギー)からのエネルギーの採収を用いて、電力を供給してもよい。
【0026】
さらに、データ収集回路は、1つまたは複数の共振センサ14(たとえば、アレイ状に形成された複数のセンサ、または流体リザーバ内または周囲の異なる位置に配置された複数のセンサ)からデータを受信することができる。データは、アーカイブ通信システムなどの短期または長期のメモリ記憶装置に記憶することができ、それはシステム内またはそれから離れて配置することができ、および/またはオペレータワークステーションなどでオペレータのために再構成され、表示することができる。本技術のセンサおよびセンサシステムの配置および取り付けの非限定的な例としては、燃料もしくは流体リザーバ、関連する配管部品、コネクタ、フロースルー部品、および他の任意の関連する処理部品を挙げることができる。
【0027】
データを表示することに加えて、オペレータワークステーションは、システムの上述した動作および機能を制御することができる。オペレータワークステーションは、汎用または特定用途向けコンピュータ24などの、1つまたは複数のプロセッサベースの構成要素を含むことができる。プロセッサベースの構成要素に加えて、コンピュータは、磁気的および光学的大容量記憶装置、RAMチップなどの内部メモリを含む、様々なメモリおよび/または記憶構成要素を含むことができる。メモリおよび/または記憶構成要素は、本明細書に記載した技術を実行するためのプログラムおよびルーチンを格納するために用いることができ、それらはオペレータワークステーションまたはシステムの関連する構成要素によって実行することができる。あるいは、プログラムおよびルーチンは、オペレータワークステーションから離れているが、コンピュータ上に存在するネットワークおよび/または通信インターフェースによってアクセスすることができる、コンピュータアクセス可能な記憶および/またはメモリに格納することができる。コンピュータはまた、様々な入力/出力(I/O)インターフェース、ならびに様々なネットワークまたは通信インターフェースを含んでもよい。様々なI/Oインターフェースは、ディスプレイ26、キーボード28、マウス30、およびプリンタ32などのユーザインターフェースデバイスとの通信を可能にすることができ、これらは構成情報を閲覧し入力するために、および/またはイメージングシステムを動作させるために用いることができる。タッチパッド、ヘッドアップディスプレイ、マイクロフォンなどの他の装置は、図示していないが、インターフェースするために有用であり得る。様々なネットワークおよび通信インターフェースは、ローカルおよび広域エリアイントラネットの両方、および記憶ネットワーク、ならびにインターネットへの接続を可能にすることができる。様々なI/Oおよび通信インターフェースは、適宜または必要に応じて、ワイヤ、ライン、または好適な無線インターフェースを用いることができる。
【0028】
センサは、流体リザーバ内の流体を複数の周波数でプロービングするように構成することができる複数の共振回路を含むことができる。流体リザーバは、設計された流体不浸透性の壁により、または自然に形成された流体不透過性の壁により、または流体をプロービングするためにセンサ領域から放射される電磁エネルギーの距離により囲まれたリザーバであってもよい。さらに、流体試料を異なる深さでプロービングするために、異なる周波数を用いることができる。特定の実施形態では、集積回路メモリチップを共振センサに直流的に結合することができる。集積回路メモリチップは、異なるタイプの情報を含むことができる。集積回路チップのメモリ内のこのような情報の非限定的な例としては、センサの較正係数、センサのロット番号、製造日、エンドユーザ情報が挙げられる。別の実施形態では、共振センサは、共振器の一部とすることができる櫛形構造とすることができ、検出領域を有している。
【0029】
特定の実施形態では、集積回路メモリチップが共振センサに直流的に結合することができる場合に、センサ応答の読み取りは、センサのアナログ部分を読み取るように動作可能な回路を含むセンサ読み取り装置を用いて行うことができる。センサのアナログ部分は、共振インピーダンスを含んでもよい。センサのデジタル部分は、集積回路メモリチップからの情報を含んでもよい。
【0030】
図2は、共振センサの設計の非限定的な実施例を示す。センサの検出電極構造34は、同調回路およびデータ収集回路に接続することができる。検出電極構造34は、裸であって、流体に直接接触することができる。あるいは、検出電極構造は、保護被膜36でコーティングされてもよい。検出電極構造は、保護被膜の有無にかかわらず検出領域38を形成する。被膜は、整合的に成膜することができ、誘電体材料とすることができる。検出電極構造は、検出領域を形成する保護被膜の有無にかかわらず、流体に動作可能に接触することができる。流体は、分析物または汚染物質を含む。検出電極構造は、保護被膜が無くても(裸)よいし、あってもよい。裸の検出電極構造は、電極間に流体と直接相互作用する電界を生成することができる。誘電体保護被覆を有する検出電極構造は、誘電体保護被膜を貫通した後に流体と相互作用する電界を電極間に生成することができる。一実施形態では、被膜は、すべての電極表面の上におよび基板上の電極間に同じ厚さを有する共形の保護層を形成するように、電極上に成膜することができる。被膜が保護層を形成するために電極に成膜されている場合には、被膜は基板および基板上のセンサ電極にわたってほぼ一定または可変の最終的な厚さを有してもよい。別の実施形態では、電極が基板によって流体から分離している場合には、基板は同時に保護層として機能する。このシナリオでは、基板は、一方の面に流体に直接接触しなくてもよい電極を有し、基板の他方の面は流体に面する電極を有していない。流体の検出は、電極からの電界が基板を貫通して流体中に侵入する場合に行うことができる。このような基板材料の好適な例としては、セラミック、酸化アルミニウム、および酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。
【0031】
図3は、単一の検出領域38を有する共振センサシステムの一部を示しており、それは複数の周波数を用いて流体試料をプロービングするのに有用なセンサ組立体40で使用される。検出領域は、基板上に配置することができ、適切な検出材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサの基板は誘電体基板であってもよい。いくつかの実施形態では、センサ組立体は、複数の同調素子42を含むことができる。複数の同調素子は、複数の共振回路を画定するように、単一の検出領域に動作可能に結合することができる。同調素子は、単一の検出領域と共に、複数の共振回路を画定することができる。複数の共振回路の各共振回路は、複数の同調素子のうちの1つまたは複数の同調素子を含むことができる。選択的障壁を通過し検出領域への選択的な分析物または汚染物質を可能にする(または防止する)半透過性膜、半透膜、または半透過性無機障壁(集合的に「選択的障壁」)は図示していない。
【0032】
好適な櫛形電極構造は、2および4電極構造を含む。電極に好適な材料としては、ステンレス鋼、白金、金、貴金属などが挙げられる。基板および/または誘電体保護層の好適な材料としては、二酸化シリコン、窒化シリコン、パリレン、シリコーン、フッ化ポリマー、アルミナ、およびセラミックなどが挙げられる。好適な電極は、金属エッチング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、およびマスクベースの金属堆積技術を用いて形成することができる。基板上に作製された電極の厚さは、約10ナノメートルから約1000マイクロメートルまでの範囲とすることができる。櫛形電極構造、基板、誘電体保護層の材料、および電極形成方法は、用途に特有のパラメータに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
【0033】
図示する実施形態に示すように、複数の同調素子は、センサの外部に配置されてもよい。しかし、一実施形態では、同調素子は、センサの基板に配置されてもよい。別の実施形態では、複数の同調素子のうちのいくつかがセンサ基板の外部にあって、他の同調素子が基板上に配置されてもよい。同調素子は、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、共振器、インピーダンス変成器、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
センサ組立体40は、マルチプレクサ44を有するコントローラを含むことができる。マルチプレクサは、複数の同調素子間の電子的切り換えを容易にすることができる。マルチプレクサは、プローブ周波数に関係する1つまたは複数の信号を選択し、選択した信号を出力装置または読み取り装置へ転送することができる。一実施形態では、マルチプレクサは、出力装置または読み取り装置に信号を選択的に送信することができる。マルチプレクサは、センサ読み取り装置に複数の信号を同時に送信することができる。マルチプレクサは、複数の検出領域間の電子的切り換えを容易にすることができる。
【0035】
動作中は、各共振回路は、規定された周波数で共振することができる。少なくとも1つの共振回路は、他の共振回路の共振周波数と異なり得る周波数で共振することができる。例として、検出領域が一対の電極を含んでいる場合には、同調素子は、インダクタ−キャパシタ−抵抗器(LCR)共振回路を形成する抵抗器、キャパシタ、およびインダクタとすることができる。同調素子は、検出領域に電気的に結合することができる。一実施形態では、同調素子は、検出領域に並列に接続されてもよい。特定の実施形態では、複数の共振回路の異なる共振回路は、異なる周波数で共振するように構成することができる。異なる共振回路は、複数の共振周波数により流体試料をプロービングするように構成することができる。異なる共振周波数は、スペクトル分散の周波数範囲にわたって、流体試料をプロービングするために用いることができる。本開示のセンサでモニターすることができるスペクトル分散は、約0.1Hzから約100GHzの周波数範囲にわたることができ、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、および用途に特有のパラメータによって制約されるスペクトル分散の他のタイプを含むことができる。
【0036】
図4は、別のセンサ回路10を示す。検出領域38(可変抵抗器および可変キャパシタで示す)は、同調部品42と結合される(可変インダクタンスおよび可変キャパシタンスで示す)。異なる周波数範囲でセンサ応答を実現するために、追加の回路素子を、周波数範囲を同調するために用いることができる。したがって、センサは、インダクタ、キャパシタ、およびインピーダンス変成器などの追加の回路部品の定義されたまたは選択された組み合わせを用いることにより、複数の周波数範囲で動作することができる。これらの部品は、動作周波数範囲を変化させるために、必要に応じて、センサに並列または直列に接続することができる。コントローラは、感度に影響を与えるインピーダンス変換比を制御することができる。センサの周波数応答およびその大きさは、セルの状態、およびその挙動などに対するセンサの応答に起因する全体的な入力共振インピーダンスの変化に少なくとも部分的に基づく場合があり得る。したがって、センサの感度は、変換比の動的調整可能性により制御することができる。各チャネルの応答を調整することは、たとえば、1つまたは複数のインダクタを用いて達成することができる。一実施形態では、電極からの無線読み出しは、応答の選択性および感度を向上させることができる。一実施形態では、変圧器に基づく結合は、計測機器(とりわけ、解析装置、ケーブル)からの寄生LCR成分を排除することができる。
図4のLCR共振器は、他の共振器と比較して、たとえば、電流帰還増幅器および他の部品を含む動作のための複雑な多部品回路を必要とするマージナル発振器と比較して、比較的簡素な設計を有する。
【0037】
本明細書で述べるように、好適な無線センサは、無線周波数識別(RFID)センサであってもよく、パッシブ型RFIDタグは検出機能を実行するように適合することができる。
図5Aおよび
図5Bには、共振センサが適合するRFIDタグであり得る一実施形態が示されている。
図5Aでは、共振アンテナ50およびメモリチップ52は、保護材料または検出材料56でコーティングすることができる。検出材料は、RFIDタグの検出領域であってもよい。
図5Bでは、検出領域(任意選択で、保護材料または検出材料を含むことができる)は、アンテナの両端に取り付けることができる。両方の場合(
図5Aおよび
図5B)には、検出領域の電気的応答は、センサの共振インピーダンス応答の変化に変換することができる。メモリチップを有するRFIDセンサは、メモリチップにより用いられる動作周波数で少なくとも部分的に決定される周波数で動作することができる。すなわち、いくつかの動作周波数(センサおよびチップの)が互いに干渉する場合があり、あまり望ましくはないが、破壊的な高調波または破壊的な波形を有するおそれがある。さらに、センサは、円形、正方形、円筒形、矩形、または他の適切な形状の検出領域および/またはアンテナを有することができる。
【0038】
アンテナ回路の共振周波数は、センサ回路の共振周波数よりも高い周波数に設定することができる。周波数差は、たとえば、約4倍から約1000倍までの範囲であってもよい。一実施形態では、センサ回路は、決定された検出された環境条件に応答することができる共振周波数を有してもよい。2つの共振回路を接続することができ、そのようにして、アンテナ共振回路によって交流(AC)エネルギーが受信された場合に、センサ共振回路に直流エネルギーを印加することができる。ACエネルギーは、ダイオードおよびキャパシタを用いて供給することができ、ACエネルギーは、LCタンク回路のL内のタップまたはLCタンク回路のC内のタップのいずれかにより、LCタンク回路を介してセンサ共振回路に伝送することができる。さらに、2つの共振回路を結合して、センサ共振回路からの電圧がアンテナ共振回路のインピーダンスを変化させるようにすることができる。アンテナ回路のインピーダンスの変調は、トランジスタ、たとえばFET(電界効果トランジスタ)を用いて達成することができる。
【0039】
RFIDセンサのメモリチップは、任意であってもよい。メモリチップの無いRFIDセンサは、共振LCRセンサとすることができ、キロヘルツからギガヘルツまでの異なる周波数範囲で動作することができる。すなわち、メモリチップの不在は、利用可能な周波数範囲を広くすることができる。
【0040】
本明細書で開示される好適な検出材料および検出膜は、環境との相互作用時に共振インピーダンスセンサ応答に予測可能かつ再現可能に影響を与える機能を実行するためにセンサ上に堆積された材料を含むことができる。たとえば、ポリアニリンなどの導電性ポリマーは、異なるpHの溶液に暴露すると、その導電率が変化する。すなわち、このような導電性ポリマー膜がRFIDセンサの表面上に堆積された場合には、共振インピーダンスセンサ応答はpHの関数として変化する。したがって、このようなRFIDセンサは、pHセンサとして働く。
【0041】
ガス状流体検出の一例として、このようなポリアニリン膜が気相中での検出のためにRFIDセンサ上に堆積された場合には、複合共振インピーダンスセンサ応答はまた、塩基性(たとえば、NH
3)または酸性(たとえばHCl)ガスに暴露された時に変化する。好適なセンサ膜は、それが配置された環境に基づいてその電気的および/または誘電体特性が変化するポリマー膜、有機膜、無機膜、生物学的膜、複合膜、およびナノ複合膜を含む。センサ膜の他の例は、市販のナフィオンなどのスルホン化ポリマー、シリコーン系接着剤などの接着剤ポリマー、ゾルゲル膜などの無機膜、カーボンブラック・ポリイソブチレン膜などの複合膜、カーボンナノチューブ・ナフィオン膜などのナノ複合膜、金ナノ粒子のポリマー膜、金属ナノ粒子のポリマー膜、ゼオライト、有機金属構造体、ケージ化合物、クラスレート、包接化合物、エレクトロスピニング(電界紡糸)されたポリマーナノファイバ、エレクトロスピニングされた無機ナノファイバ、エレクトロスピニングされた複合ナノファイバ、および用途に特有のパラメータに基づいて選択された他のセンサ材料であってもよい。センサ膜の材料が液体環境中に漏れることを低減または防止するために、センサ材料は、共有結合、静電結合、および他の技術などの標準的な技術を用いてセンサ表面に取り付けることができる。
【0042】
一実施形態では、システムは、センサの共振インピーダンス
【0043】
【数1】
(式(1)で表される)を測定することができる。
【0044】
【数2】
ここで、Z
re(f)は共振インピーダンスの実部であってもよく、Z
im(f)は共振インピーダンスの虚部であってもよい。一実施形態では、センサの共振を横切ってセンサ応答を測定するために複数の周波数を用いることができるので、センサの共振インピーダンス応答は、多変数応答とすることができる。いくつかの実施形態では、センサの共振ピークの外側でセンサ応答を測定するために複数の周波数を用いることができるので、センサの共振インピーダンス応答は、多変数応答とすることができる。いくつかの実施形態では、センサ応答は、センサの共振を横切って複数の周波数で測定することができる。たとえば、センサが約1MHzで共振する場合には、測定された周波数および関係するセンサ応答は、約0.25MHzから約2MHzで測定することができる。多変数応答は、多変量解析によって解析することができる。センサの多変数応答は、センサのフル共振インピーダンススペクトル、および/またはこれに限らないがF
p、Z
p、F
z、F
1、F
2、Z
1およびZ
2などのいくつかの個別に測定された特性を含む。
【0045】
図6は、本技術の実施形態による、共振センサの一実施形態の測定された共振インピーダンスパラメータのグラフを示す。これらおよび他の測定された特性は、「スペクトルパラメータ」とすることができる。これらの特性は、共振インピーダンスの実部の最大値の周波数(F
p、共振ピーク位置)、共振インピーダンスの実部の大きさ(Z
p、ピーク高さ)、ゼロリアクタンス周波数(F
z、共振インピーダンスの虚部がゼロであり得る周波数)、共振インピーダンスの虚部の共振周波数(F
1)、共振インピーダンスの虚部の反共振周波数(F
2)、共振インピーダンスの虚部の共振周波数(F
1)における信号の大きさ(Z
1)、共振インピーダンスの虚部の反共振周波数(F
2)における信号の大きさ(Z
2)を含む。他のパラメータは、全体の共振インピーダンススペクトル、たとえば共振の品質係数、位相角、および共振インピーダンスの大きさを用いて測定することができる。
【0046】
流体リザーバ内の流体特性を測定するために、それらの検出領域を有するセンサは、標準ポートまたはリザーバに特別に作られたポートに適合するように設計することができる。好適な設計例を
図7Aおよび
図7Bに示す。位置合わせされた検出領域51を有する共振センサ50の実施例を示す。検出領域は、第1の軸Aを画定し、それは軸Bとラベルされた横軸に対して垂直である。挿入ポート構造53は、軸Aに沿って細長い挿入開口部54を画定する。検出領域は、次に、ポートの細長い開口部に平行に配置され、軸Bに沿った平行移動によって、センサ領域がポート内に挿入され、被測定流体に接触することが可能になる。検出材料56がポート構造58によって画定された開口部57との相対的な形状によって制約されない別の共振センサ55の実施例を
図7Bに示す。整列ピンは、図示していないが、センサおよび検出領域をポート開口部に対して位置合わせするために、所望に応じて使用することができる。
【0047】
流体リザーバ内の流体特性の測定は、
図8Aおよび
図8Bに示すように、流体に露出された検出領域を有するセンサを用いて行うことができる。
図7Bに示すセンサは、流体移送パイプ59Aに設置され、センサ読み取り装置59Bに結合される。センサ読み取り装置は、
図8Aに示すように、有線またはケーブルにより結合され、センサに近接して配置することができる。別の実施形態では、センサ読み取り装置は、
図8Bに示すように、ケーブルを用いずにセンサに直接接続することができる。動作中には、流体はパイプを通って流れ、検出領域に接触する。検出領域が目的の分析物を検出すると、センサ読み取り装置に信号を送る。
【0048】
方法60のフローチャートを
図9に示す。一実施形態では、オイルの健全性をモニターするための方法は、オイルなどの流体中にセンサを浸漬すること(ステップ62)、および単一のセンサのいくつかの共振において共振スペクトルの電気的共振パラメータを測定すること(ステップ64)を含む。センサを用いて水、燃料漏れ、および煤によるエンジンオイルの汚染を定量化するために、センサをステップ62で流体に動作可能に接触するように配置することができる。具体的な実施形態では、センサなどのセンサの共振インピーダンススペクトル
【0049】
【数3】
をステップ64で決定することができる。たとえば、周波数位置F
p、ならびにZ
re(f)の大きさZ
p、ならびに共振周波数F
1および反共振周波数F
2、ならびにZ
im(f)の大きさZ
1およびZ
2、ならびにZ
im(f)のゼロリアクタンス周波数F
zなどの測定された
【0050】
【数4】
スペクトルからのパラメータを計算することができる。
【0051】
方法60は、ステップ70で、電気的共振パラメータを分類する。これは、たとえば、水効果74、燃料効果75、および温度効果76のうちの1つまたは複数を評価するための決定された分類モデル72を用いて行うことができる。電気的共振パラメータの定量化は、所定の、先に保存された定量化モデル82と、水、燃料、煤、および摩耗金属粒子90ならびに温度92などのオイル中の成分86の決定と、オイルの健全性98およびエンジンの健全性100の予測と、を用いることにより、ステップ80で行うことができる。これは、決定されたエンジンの健全性記述子102およびオイルの健全性記述子104ならびに任意の追加のセンサ108からの入力のうちの1つまたは複数を用いることによって行うことができる。好適な追加のセンサは、侵食、温度、圧力、システム(エンジン)負荷、システムの場所(たとえば、GPS信号による)、機器年数算出部、およびpHなどを検出するものを含むことができる。
【0052】
たとえば、一実施形態では、センサシステムは、有線または無線の励起により励起され得る電気的共振器であってもよく、この場合には、共振スペクトルが収集され解析されて、パラメータの自動スケーリングまたは平均中心合わせでさらに処理することができる少なくとも4つのパラメータを抽出し、エンジンオイル中の水および燃料の濃度を定量的に予測し、エンジンオイルの残存寿命および/またはエンジンの残存寿命を予測することができる。F
p、Z
p、F
z、F
1、F
2、Z
1およびZ
2などの共振スペクトル、または単一もしくは複数の共振器の全体の共振スペクトルのスペクトル応答は、データ処理のために使用することができる。
【0053】
分類モデル(
図9のモデル72を参照)は、汚染されていない流体についてはスペクトルパラメータの予測される寄与を用いて、および流体汚染については前に決定された成分効果およびそれらの対応するスペクトルパラメータを用いて、構築することができる。このような効果は、測定または検出された流体が水効果、燃料漏れ効果、または温度効果を有するか否かを予測するために定量化することができる(たとえば、
図9の定量化モデル82を参照)。すなわち、特定の流体の成分の以前にまたは経験的に決定された効果に基づいて、目的の成分が存在する場合には、共振パラメータの実部および虚部の両方が定量化可能なように影響を受けることがあり得る。さらに、測定されたパラメータに基づいて、特定成分の濃度も予測することができ、多成分モデルを生成することができる。開示した技法は、適切な流体を検出し、成分および環境効果モデルを構築するために使用することができる。
【0054】
一実施形態では、流体の特性の測定を流体の2つ以上の温度で行うことができる。異なる温度における測定は、広い周波数範囲にわたって周波数分散プロファイルとして測定した場合、または比較的狭い周波数範囲にわたって周波数応答として測定した場合に、流体中の目的の化学種および他の化学種(化学成分)に関する情報を提供する。異なる温度で収集されたセンサの共振インピーダンススペクトルの解析を行い、解析した共振インピーダンススペクトルに基づいて温度当たりの流体の2つ以上の特性を決定することにより、目的の化学種の特性の決定のセンサ精度を向上させることができる。この向上は、これらの異なる化学種の分子構造に起因する、温度の関数としての流体中の目的の化学種および他の化学種の周波数応答の差によるものであり得る。異なる温度での測定は、共振センサの検出領域と熱的に接触する熱素子を有する共振センサを用いて行うことができる。熱素子は、検出領域に近接することができる流体の温度の局所的な変化を生成する。この局所的な温度変化は、センサを有する容器内の流体のバルクの温度より上または下であり得る。熱素子の非限定的な例としては、ペルチエ素子、薄膜ヒータ、および鉛筆ヒータが挙げられる。熱素子は、約1℃から約50℃の範囲の流体の温度の局所的な変化を生じさせることができる。
【0055】
一実施形態では、流体の特性の測定は、流体中の化学成分の変化の動的シグネチャを決定するために実行することができる。これらの動的シグネチャのタイムスケールは、大幅に変化させることができる。約1秒から約200日までの範囲の適切な時間スケールは、エンジン内の流体の漏れの種々のタイプを決定するために有用であり得る。そのような決定は、エンジン内の漏れの動的シグネチャの識別、識別されたシグネチャと特定のエンジン部品からの既知の漏れのシグネチャとの関係、およびシグネチャに基づく漏れの場所の決定を可能にする。
【0056】
流体の特性の測定は、極端な温度条件で行うことができる。用途に応じて、これらの条件は、下は約−260℃から上は約+260℃までの温度範囲であってもよい。約−260℃までの負の温度のこのような過酷な温度条件は、液化天然ガス(LNG)に関連して、また生物学的および他の種類の試料の保管に有用であり得る。約+260℃までの正の温度の過酷な温度条件は、機器の動作部品の温度が約+260℃に達し得るような機器のモニタリングに有用であり得る。このような機器の例としては、たとえば、石油およびガス製造における地面に掘った穴の機器、ならびに、1つもしくは複数の燃料のための内燃機関(ディーゼル、天然ガス、水素(直接燃焼または燃料電池)、ガソリン、およびこれらの組み合わせなど)、潤滑システム、および冷却/放熱システムの動作を挙げることができる。このような機器の別の例としては、油入変圧器を挙げることができる。
【0057】
多変数電気共振器の適用可能性は、水およびディーゼル燃料によるエンジンオイルの汚染の検出、ならびに、オイルと同様な誘電率を有するジオキサンなどのモデル流体中の水の決定により、実証することができる。センサ測定の分解能の決定は、モデル系としてヘキサンおよびとトルエンを用いて行うことができる。いくつかのエンジンオイルの試料は、GE Transportation社から入手されたが、他の化学物質はAldrich社から購入することができる。
【0058】
センサの共振インピーダンスの測定は、LabVIEWを用いたコンピュータ制御下で、ネットワークアナライザ(Agilent社)またはプレシジョンインピーダンスアナライザ(Agilent社)を用いて実行することができる。収集した共振インピーダンスデータは、Matlab(マサチューセッツ州NatickのMathworks社)で動作する、KaleidaGraph(ペンシルベニア州ReadingのSynergy Software社)およびPLS_Toolbox(ワシントン州MansonのEigenvector Research社)を用いて解析することができる。
【0059】
オイルへの燃料漏れおよび水漏れの異なる量は、単一の多変数共振センサを用いて定量的かつ実験的に決定することができる。好適なオイルは、鉄道用内燃機関オイルであってもよい。好適な燃料は、ディーゼル燃料であってもよい。オイル中の水および燃料の2元および3元混合物は、種々の割合で生成することができる。水の濃度は、0、0.1%、および0.2%(体積%)であってもよい。燃料の濃度は、0、3%、および6%(体積%)であってもよい。
【0060】
測定された試料からの共振スペクトルを処理することができ、処理されたデータは、主成分解析(PCA)ツールへの入力として役立った。PCAは、データの分散を、主成分(PC)として知られているオリジナル変数の重み付き和として説明するパターン認識方法であってもよい。エンジンオイル、水、および燃料の混合物中の水の検出のハイライトは、開発されたPCAモデルのスコアプロットを示す
図10に示すことができる。エンジンオイル、水、および燃料の混合物中の燃料の検出のハイライトは、開発されたPCAモデルのスコアプロットを示す
図11に示すことができる。
図10および
図11では、0.1%および0.2%の水の濃度は、それぞれW0.1およびW0.2としてラベル付けしてある。3%および6%の燃料の濃度は、それぞれD3およびD6としてラベル付けしてある。共振トランスデューサの多変数応答は、トランスデューサの測定された共振スペクトル全体から、多変量解析ツールを用いてこれらのスペクトルを処理して生成される。単一の多変数センサを用いて水漏れおよび燃料漏れによるエンジンオイルの汚染を定量化するために、共振トランスデューサの共振インピーダンススペクトル
【0061】
【数5】
を測定することができる。
図6に示すように、測定された
【0062】
【数6】
スペクトルからいくつかのパラメータを計算することができ、それは、周波数位置F
p、ならびにZ
re(f)の大きさZ
p、ならびに共振周波数F
1および反共振周波数F
2、ならびにZ
im(f)の大きさZ
1およびZ
2、ならびにZ
im(f)のゼロリアクタンス周波数F
zを含む。
【0063】
【数7】
スペクトルの計算されたパラメータの多変数解析を用いることにより、分析物の分類を行うことができる。多変数センサからのスペクトルデータの多変量解析に適した解析技術は、主成分解析(PCA)、独立成分解析(ICA)、線形判別解析(LDA)、可撓性判別解析(FDA)を含むことができる。PCAは、ペプチドをベースとする検出材料を用いて種々の蒸気を判別するために使用することができる。PCAモデルの添加量プロットを
図12に示す。このプロットは、共振スペクトルからの個々の成分の寄与を示す。プロットは、F
p、F
1、F
2、F
z、Z
p、Z
1、およびZ
2などのすべての成分がセンサ応答に対する寄与を有していたことを示す。
【0064】
2元および3元混合物のオイル中の水および燃料の定量化は、Matlab(マサチューセッツ州NatickのMathworks社)で動作するPLSツールボックス(ワシントン州MansonのEigenvector Research社)を使用して、単一の多変数共振センサによりさらに行うことができる。
図13は、単一の共振センサを用いた、水/燃料/オイル混合物中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関プロットを示す。
図14は、単一の共振センサを用いた、水/燃料/オイル混合物中の燃料の測定された濃度と予測された濃度との相関プロットを示す。単一のセンサによるオイル中の水および燃料の同時定量化の予測される誤差は、水では0.02%、燃料では1.3%であり得る。
【0065】
別の例では、センサの分解能は、マルチパート実験で決定することができる。第1の実験では、誘電率の違いを分析するセンサの能力を決定するために、ヘキサンおよびトルエンをモデル化学物質として用いることができる。ヘキサンは1.88の誘電率を有し、トルエンは2.38の誘電率を有する。開発されたセンサは、0.0004〜0.0012の誘電率の分解能でこれらの2液を分析することができる。予想される結果を
図15Aに示す。第2の実験では、1,4−ジオキサンは、誘電率がオイルと同様であり、水と容易に混和することができるので、オイルに対するモデル化学物質として使用することができる。センサは、ジオキサン中の水添加を7〜20ppmまで分析することができる。予想される結果を
図15Bに示しており、開発されたセンサは、200ppmの単位で水を添加して、ジオキサン(オイルのためのモデル系)中の水添加を7〜20ppmまで分析することができることを示している。
【0066】
別の例では、水および煤(カーボンブラック)の添加をジオキサンに対して行い、センサを用いて測定することができる。水添加は、500ppm、1000ppm、2500ppmの添加として行うことができる。煤(カーボンブラック)は、2500ppmの水と共に100ppmのカーボンブラックとして添加することができる。例示的なセンサの共振スペクトルを
図16Aおよび
図16Bに示す。多変量解析の結果を
図17に示す。
図16Aは、共振インピーダンスの実部Z
re(f)を示し、
図16Bは共振インピーダンスの虚部Z
im(f)を示す。測定した試料は、(0)清浄なモデルオイル(ジオキサン)、(1)500ppmの水を添加したもの、(2)1000ppmの水を添加したもの、(3)2500ppmの水を添加したもの、(4)2500ppmの水および100ppmの煤(カーボンブラック)を添加したものであってもよい。
図17は、主成分1対主成分2のスコアプロットを示し、異なる種類の汚染に対するセンサ応答間のスペクトルの関係を示している。試料は、(0)清浄なモデルオイル(ジオキサン)、(1)500ppmの水を添加したもの、(2)1000ppmの水を添加したもの、(3)2500ppmの水を添加したもの、(4)2500ppmの水および100ppmの煤(カーボンブラック)を添加したものであってもよい。
【0067】
別の実施例では、4つの共振周波数を有する複合共振センサシステムを構築することができる。1,4−ジオキサンは、オイルに対するモデル化学物質として使用することができるが、それは、誘電率がオイルにやや類似し、水と混和性があるからである。水添加は、ジオキサンに対して行われ、センサを用いて測定することができる。センサの4つの例示的共振スペクトルを
図18Aおよび
図18Bに示す。これらの値は、汚染されていないジオキサンにおけるセンサの分散プロファイル(
図18A)が、水の添加によってその形状を変化させたことを示している(
図18B)。また、共振ピークの幅および大きさは、水を添加することにより変更されている。
【0068】
別の実施例では、水に対するF
p、Z
pの応答が最大になるように、センサ電極形状および共振周波数を最適化することができる。実験の2要因設計は、櫛形電極(IDE)の間隔Dと電極幅Wとを変化させ、かつ、共振周波数F
pを変化させることにより行うことができ、ここでD=W=150、300、450マイクロメートル(μm)であり、F
p=20、35、50MHz(空気中)である。測定は、ジオキサンに水を5000ppm濃度に添加して行うことができる。
図19は、センサ設計がF
p測定の感度に及ぼす影響を示す。
図20は、センサ設計がZ
p測定の感度に及ぼす影響を示す。300μmのIDE間隔および50MHzの動作周波数により、強いF
pおよびZ
p信号の両方が得られた。
【0069】
図21に示す別の実施例では、オイル中の水の決定は、テストループ内でオイルを循環させ、2000ppm刻みで水を加えて、2000ppm、4000ppm、および6000ppmのオイル中の水濃度を生成することによって実行することができる。測定は、2つの共振センサを用いて行うことができる。センサ1は、2cm
2の面積を有し、電極の幅/間隔が0.4mm/0.4mmであり、空気中では80MHzで共振した。センサ2は、実験の設計による幾何学形状の1つであってもよく、4cm
2の面積を有し、電極の幅/間隔が0.15mm/0.15mmであり、空気中では〜50MHzで共振した。オイル中の水の検出限界は、測定したセンサノイズレベルおよび水が2000ppm添加された場合の信号レベルに基づいて、3〜12ppm(センサ1)および0.6〜2.6ppm(センサ2)である3つの信号対雑音レベルで決定することができる。
【0070】
別の実施例では、異なるオイル温度におけるオイル中の水の決定は、テストループ内でオイルを循環させ、400ppm刻みで水を加えて、400ppm、800ppm、1200ppm、および1600ppmのオイル中の水濃度を生成することによって実行することができる。オイルの公称温度は、熱浴によって生成され、T1=80℃、T2=100℃、およびT3=120℃とすることができる。
図22は、開発されたPCAモデルのスコアプロットを示し、異なる温度における水の添加に対する共振センサの応答が異なる方向であってもよいことを示している。
図22の個々の矢印は、オイル温度T1、T2、およびT3における水濃度を増加させる方向を示す。
図23は、単一のセンサの応答を用いてオイル中の水の濃度を定量化するための、部分最小二乗(PLS)手法を用いた多変量線形回帰モデルの結果を表すことができる。PLS手法は、独立変数の最大分散を説明するセンサ応答の多次元空間における方向を求めることにより、独立変数とセンサ応答との相関を決定することができる。
図24は、このような多変量線形回帰がオイル温度に依存しない水濃度を予測することができることを示す。
【0071】
オイルの異なる公称温度(80℃、100℃、および120℃)におけるオイル中の水(0ppm、400ppm、800ppm、1200ppm、および1600ppm)を決定するこのセンサデータの解析は、多変量非線形(2次)回帰を用いて行うことができる。
図24Aは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度(実線)および予測された濃度(白丸)を示す。
図24Bは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の濃度と予測された濃度との間の予測された誤差を示す。
図24Cは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関プロットを示す。
【0072】
オイルの異なる公称温度(80℃、100℃、120℃)におけるオイル中の水(0ppm、400ppm、800ppm、1200ppm、1600ppm)を決定するこのセンサデータの解析は、測定されるオイル中に配置された温度センサからの追加入力を用いる多変量非線形(2次)回帰を用いてさらに行うことができる。
図25Aは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度(実線)および予測された濃度(白丸)を示す。
図25Bは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の濃度と予測された濃度との間の予測された誤差を示す。
図25Cは、3つの温度におけるオイル中の水の実際の(測定された)濃度と予測された濃度との相関プロットを示す。
【0073】
4cm
2の面積を有し、電極の幅/間隔が0.15mm/0.15mmであり、空気中では〜50MHzで共振する開発された多変数センサの内の1つは、オイル中の低濃度の水漏れを測定することができる。
図26は、それぞれ25ppm、25ppm、および50ppmのレベルのエンジンオイル中への水漏れに対する、この開発された共振センサの応答を示す。同図のデータは、このセンサが、高い信号対雑音品質で少なくとも最低試験レベルである25ppmの水漏れを検出できることを示す。
【0074】
この開発された共振センサの性能は、基準キャパシタンスセンサとして役立つ標準的な非共振キャパシタンスセンサの性能と比較することができる。比較は、両センサを同じオイル循環ループに配置し、両センサに対して水漏れを導入し提示することにより行うことができる。水漏れレベルは、25、25、50、100、200、500、および1000ppmとすることができる。
図27Aは、それぞれ25、25、50、100、200、500、および1000ppmのレベルのエンジンオイル中への水漏れに対する基準キャパシタンスセンサの応答を示す。本図は、基準キャパシタンスセンサが、25、25、50、100、および200ppmの水漏れが導入され得るまで、そのノイズから測定可能な信号変化を示さなかったことを示す。一方、
図27Bは、エンジンオイル中への水漏れに対する一実施形態による共振センサの応答を示し、このセンサは、25ppmの最小の水漏れを検出することができ、かつ、両センサに提示された他のすべての水漏れを検出することができる。
【0075】
この共振センサは、約34日間、単気筒機関車のエンジン試験台で試験することができる。
図28Aは、オイル温度およびセンサ応答について、単気筒機関車エンジン内の開発された共振センサの動作の結果を示すことができる。
図28Bは、約34日間の単気筒機関車エンジン内の開発された共振センサの応答とオイルの温度との相関を示す。
【0076】
別の実施例では、漏れの動的シグネチャを識別し、識別されたシグネチャを特定のエンジン部品からの既知の漏れのシグネチャと関係付け、シグネチャに基づいて漏れの場所を決定することによって、エンジン内の漏れの発生源を決定することができる。このようなアプローチは、先を見越したメンテナンスの能力を提供することができ、反応するだけのメンテナンスに取って代わることができ、潤滑システムを有する、または内燃機関を有する資産の使用時間を増加させることができる。
【0077】
内燃機関を有するこのような資産の非限定的な例としては、様々な車両タイプを挙げることができ、それぞれが動作パラメータのそれ自体のセットを有している。本明細書に開示した実施形態は、動的漏れシグネチャによる漏れ成分の早期決定のための予知センサツールを提供することができる。これらのセンサは、漏れの発生源を特定するために、エンジン内の複数の位置に適用することができる。
図29は、ターボチャージャ(エンジン当たり1〜2つのターボチャージャ)、インタークーラ(エンジン当たり2つのインタークーラ)、水ポンプ(エンジン当たり1つの水ポンプ)、およびシリンダヘッド(エンジン当たり12〜16のシリンダヘッド)の漏れの動的シグネチャの概略図を示す。
【0078】
技術的効果は、エンジンオイルの健全性などの流体の健全性を評価するための技術を含むことができる。そのような技術は、流体が汚染されるおそれがあるかどうか、または交換する必要があるかどうかを決定することができ、業務および全体的な処理の利点を提供し、たとえばエンジンに用いられる流体の場合には改善されたエンジンの健全性を提供する。
【0079】
本明細書は、本発明を開示するために、および当業者が本発明の実施形態を実施できるように実施例を用いており、装置またはシステムを製作し使用し、方法を実行することを含んでいる。本発明の特許され得る範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、それらが請求項の文言と実質的な差異が無い等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。