(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二次ブロー成形工程時に、前記中間成形体への前記把手の押し付け箇所の近傍に前記把手と前記中間成形体との非接触部を形成しておくことを特徴とする請求項2に記載の把手付き容器の製造方法。
前記把手として、把持可能な棒状の把持部と、前記把持部に対して上下端で連結部によって連結されて前記把持部との間に間隔をあけて配置された取付棒部と、前記取付棒部の上下端から略上下方向に突出する係止部とを有するものを用い、
前記二次ブロー成形工程において、前記取付棒部と前記中間成形体とを近接した状態に配置させ、前記取付棒部の幅方向における両側において前記把持部側に向けて突出して前記取付棒部及び前記連結部を係止する前記容器本体の一部からなる山状突起を成形するとともに、前記係止部よりも前記連結部側へ入り込んで前記係止部を係止する前記容器本体の一部からなる組み付き部を成形することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の把手付き容器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような把手付き容器は、一般に、耐熱性の高いポリカーボネート樹脂からなるプリフォームをブロー成形することで製造されている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂のようなビスフェノールAを原料とする合成樹脂は、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合に、ビスフェノールA成分が溶け出すことが指摘されている。
【0005】
そこで、ポリカーボネート樹脂に代えて、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いて把手付き容器を製造することが提案されている。しかしながら、従来の製法を用いて、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなるプリフォームをブロー成形して把手付き容器を製造しても、容器に耐熱性を付与しつつ把手を容器に確実に取り付けることが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器本体の耐熱性を高めつつ容器本体に把手を組み付けることが可能な把手付き容器の製造方法、把手付き容器の製造装置および把手付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の把手付き容器の製造方法は、
ポリエチレンテレフタレート樹脂製のプリフォームをブロー成形して中間成形体を成形する一次ブロー成形工程と、
内面に把手を保持したブロー型内に前記中間成形体を配置させ、前記中間成形体に対して前記把手を近接させた状態で前記中間成形体をブロー成形することにより、前記ブロー型内で膨張した前記中間成形体からなる容器本体に前記把手を組み付ける二次ブロー成形工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
この把手付き容器の製造方法によれば、一次ブロー成形工程と二次ブロー成形工程とで複数回にわたってブロー成形することで、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のプリフォームから耐熱性の高い容器本体を成形することができる。そして、二次ブロー成形工程において、中間成形体に把手を近接させた状態でブロー成形することで、中間成形体に把手を確実に組み付けることができる。これにより、ポリカーボネート樹脂を用いることなく、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂製の把手付き容器を製造することができる。
【0009】
本発明の把手付き容器の製造方法において、前記二次ブロー成形工程時に、前記把手の一部を前記中間成形体に押し付けて接触させておいても良い。
この把手付き容器の製造方法によれば、二次ブロー成形工程時に、把手の一部を中間成形体に押し付けて接触させておくので、ブロー成形によって膨張する容器本体に把手を食い込ませ、容器本体に対して把手を更に確実に組み付けることができる。
【0010】
本発明の把手付き容器の製造方法において、前記二次ブロー成形工程時に、前記中間成形体への前記把手の押し付け箇所の近傍に前記把手と前記中間成形体との非接触部を形成しておいても良い。
この把手付き容器の製造方法によれば、二次ブロー成形工程時に、中間成形体への把手の押し付け箇所の近傍に非接触部を形成しておくことで、ブロー成形によって膨張する中間成形体が非接触部の周囲で円滑に変形することとなる。よって、容器本体に対して把手を更に確実に組み付けることができる。
【0011】
本発明の把手付き容器の製造方法において、前記一次ブロー成形工程時に、前記中間成形体の一部に凹部を形成し、前記二次ブロー成形工程におけるブロー開始時に、前記把手を前記中間成形体の凹部に前記中間成形体と接触させない状態で配置させておいても良い。
これにより、中間成形体が膨らむ過程において中間成形体の一部に破裂が生じたり偏った肉厚分布が発生する等の成形不良が発生することを抑制することができる。
【0012】
本発明の把手付き容器の製造方法において、前記把手として、把持可能な棒状の把持部と、前記把持部に対して上下端で連結部によって連結されて前記把持部との間に間隔をあけて配置された取付棒部と、前記取付棒部の上下端から略上下方向に突出する係止部とを有するものを用い、前記二次ブロー成形工程において、前記取付棒部と前記中間成形体とを近接した状態に配置させ、前記取付棒部の幅方向における両側において前記把持部側に向けて突出して前記取付棒部及び前記連結部を係止する前記容器本体の一部からなる山状突起を成形するとともに、前記係止部よりも前記連結部側へ入り込んで前記係止部を係止する前記容器本体の一部からなる組み付き部を成形しても良い。
【0013】
この把手付き容器の製造方法によれば、山状突起が、取付棒部及び連結部の左右両側を係止することとなる。よって、把手は、山状突起によって容器本体に対して水平方向への移動が規制された状態に容器本体に組み付けられる。また、組み付き部が、把手の係止部を係止することとなる。よって、把手は、組み付き部によって容器本体に対して上下方向及び離間する方向(把手が容器本体から離れる方向、取付棒部から把持部へ向かう方向)への移動が規制された状態に容器本体に組み付けられる。これにより、容器本体に対する把手の固定強度を大幅に高めることができる。
【0014】
また、上記課題を解決することのできる本発明の把手付き容器の製造装置は、
ポリエチレンテレフタレート樹脂製のプリフォームをブロー成形して中間成形体を成形する一次ブロー成形手段と、
内面に把手を保持したブロー型内に前記中間成形体を配置させ、前記中間成形体に対して前記把手を近接させた状態で前記中間成形体をブロー成形することにより、前記ブロー型内で膨張した前記中間成形体からなる容器本体に前記把手を組み付ける二次ブロー成形手段と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
この製造装置によれば、上述した製造方法を実行して、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂製の把手付き容器を製造することができる。
【0016】
本発明の製造装置の前記二次ブロー成形手段の前記ブロー型は、前記把手の一部を前記中間成形体に押し付けて接触させた状態で保持する把手保持部を有しても良い。この構成によれば、容器本体に対して把手が更に確実に組み付けられた把手付き容器を製造することができる。
【0017】
本発明の製造装置の前記一次ブロー成形手段は、凹部を有する中間成形体を成形可能であり、前記ブロー型は、前記凹部内において前記把手を前記中間成形体に接触させない状態で保持可能な把手保持部を有しても良い。この構成によれば、中間成形体が膨らむ過程において中間成形体の一部に破裂が生じたり偏った肉厚分布が発生する等の成形不良が発生することを抑制することができる。
【0018】
また、上記課題を解決することのできる本発明の把手付き容器は、上述のいずれかの製造方法により形成されたことを特徴とする。このように製造された把手付き容器は、耐熱性に優れるとともに、把手が容器本体から外れにくい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器本体の耐熱性を高めつつ容器本体に把手を組み付けることが可能な把手付き容器の製造方法、その製造方法を実行することが可能な把手付き容器の製造装置および把手付き容器を提供することできる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る把手付き容器の製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る把手付き容器の製造方法によって製造される把手付き容器について説明する。
【0022】
図1(a),(b)に示すように、把手付き容器11は、容器本体12と、把手13とを備えている。
【0023】
容器本体12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されている。容器本体12は、筒状に形成された胴部21と、胴部21の底面を構成する底部22と、胴部21の上部を構成する肩部23とを有している。また、容器本体12は、その上部中央に口部24を有しており、口部24と胴部21との間に肩部23が設けられている。容器本体12内には、口部24から液体が流入される。また、容器本体12内の液体は、口部24から流出される。口部24には、蓋部(図示略)が着脱可能とされており、口部24に蓋部を装着することで、容器本体12が密閉される。
【0024】
胴部21は、その周面における一部に、把手装着部31を有している。把手装着部31は、側面視で略凹状に凹む形状に形成されており、底面部31aと、この底面部31aの上下側の壁面部31bとを有している。把手装着部31には、正面視における中央に、把手13が取り付けられている。
【0025】
把手13は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されている。
図2(a),(b)に示すように、把手13は、棒状に形成された把持部41と、把持部41に連結された固定部42とを有している。把持部41は、把手付き容器11の運搬等の際に作業者が把持する部分である。固定部42は、容器本体12に固定される部分である。
【0026】
固定部42は、把持部41と略平行に間隔を空けて配置された取付棒部43と、取付棒部43の上下端から把持部41の上下端へ向かって延びて把持部41の上下端に連結する連結部44とを有している。
【0027】
取付棒部43は、把持部41よりも長さが短い。これにより、上方側の連結部44は、取付棒部43から把持部41に向かって斜め上方に傾斜されており、下方側の連結部44は、取付棒部43から把持部41に向かって斜め下方に傾斜されている。
【0028】
取付棒部43には、その上下端部に、略上下方向へ向かって突出する係止部45が形成されている。また、取付棒部43には、上下方向の中間部分に、把持部41と反対側へ突出する係合突起部46が形成されている。この係合突起部46には、その先端部分に、上下左右に張り出す張り出し部47が形成されている。また、取付棒部43の上下方向の中間部分には、その幅方向(左右両側)に向けて張り出す押圧片48が形成されている(
図1(b)参照)。
【0029】
図1及び
図2に示すように、上記の把手13は、容器本体12における把手装着部31に取り付けられる。容器本体12の把手装着部31には、複数の山状突起51が形成されている。これらの山状突起51は、把手13の押圧片48よりも上方側及び下方側にそれぞれ形成されている。これらの山状突起51は、取付棒部43の幅方向における両側において、容器本体12の一部が外側(把持部側)へ膨出することで形成されている。そして、これらの山状突起51は、把手13の固定部42を構成する取付棒部43の上下端部分及び連結部44の左右両側を係止する。これにより、把手13は、山状突起51によって容器本体12に対して水平方向への移動が規制されている。
【0030】
また、容器本体12の把手装着部31には、複数の組み付き部52が形成されている。組み付き部52は、係止部45と連結部44に沿って、係止部45よりも連結部44側に入り込むように形成されている。組み付き部52が、把手13の係止部45を係止する。これにより、把手13は、組み付き部52によって容器本体12に対して上下方向及び離間する方向(把手13が容器から離れる方向、取付棒部43から把持部41へ向かう方向)への移動が規制されている。
【0031】
さらに、容器本体12の一部は、把手13の係合突起部46における張り出し部47よりも取付棒部43側に食い込み、係合突起部の46の形状に沿って形成されている。これにより、把手13は、容器本体12に対して上下左右方向及び離間する方向への移動が規制されている。
【0032】
次に、上記の把手付き容器11を製造する本実施形態に係る製造方法について、
図3から
図7を参照して説明する。
【0033】
(1)一次ブロー成形工程
図3(a)に示すように、容器本体12となるプリフォーム61を用意する。このプリフォーム61は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されたもので、上端部に口部24が形成された有底円筒状に形成されている。
【0034】
そして、延伸適温まで加熱されたこのプリフォーム61に対してブロー成形を行うことで、
図3(b)に示すように、容器本体12よりも小さい中間成形体62を成形する。具体的には、例えば、まず、一次ブロー型(不図示)を、棒状ヒータ等で、PET樹脂の結晶化温度以上(140℃から180℃程度)になるように温度調整を行う。この調温された一次ブロー型の内部にプリフォーム61を配置し、そのプリフォーム61の内部に、20秒程度、高圧エアーを導入する。高圧エアーが導入されたプリフォーム61は延伸されて一次ブロー型の内壁面に接触し、一次ブロー成形品62Aが形成される。このとき、PET樹脂の残留応力が緩和され、また、結晶化密度が向上する(ヒートセット処理による耐熱性の向上)。
【0035】
そして、一次ブロー型から高圧エアーを排出する処理を行い、その後、一次ブロー型を開状態にして、一次ブロー型から一次ブロー成形品62Aを取り出す。このとき、一次ブロー成形品62Aは、その体積が10〜30%程度収縮して、中間成形体62になっている。このように形成された中間成形体62は、続く処理に対して十分な熱量を保有した状態である。
【0036】
(2)二次ブロー成形工程
図4(a),(b)に示すように、二次ブロー成形工程では、ブロー型71を用いる。このブロー型71は、二つの割型72,73から構成されている。割型72は、容器本体12の水平方向における半分を成形する型であり、割型73は、把手13が取り付けられる把手装着部31を含む容器本体12の水平方向における半分を成形する型である。割型73には、把手保持部73aが設けられており、この把手保持部73aには、把手13が保持される。
【0037】
このブロー型71を用いてブロー成形を行うには、まず、割型72,73が互いに離間されて開かれた状態のブロー型71内に中間成形体62を配置させることで、ブロー型71に中間成形体62をセットする。
【0038】
この状態から、割型72,73を近接させてブロー型71を閉じる。このようにすると、
図5(a),(b)に示すように、割型72,73の内面からなる成形面が中間成形体62の周囲に近接した状態に配置される。また、このとき、把手保持部73aに保持されている把手13は、その固定部42の一部が中間成形体62の周面に接触される。
【0039】
この状態において、中間成形体62に対してブロー成形を行うことで、
図3(c)に示すように、把手付き容器11を成形する。具体的には、温調媒体を循環させる等して、ブロー型71を80〜100℃程度まで昇温して、ブロー型71内の中間成形体62を所定温度であるブロー適温に温調し、中間成形体62内へ口部24から高圧エアーを、15秒程度、導入する。このようにすると、中間成形体62が膨らみ、ブロー型71の割型72,73の内壁面からなる成形面に沿った形状の容器本体12に成形される。また、中間成形体62が膨らんで容器本体12となる際に、把手保持部73aに保持された把手13が容器本体12に組み付けられる。
【0040】
その後、ブロー型71から高圧エアーを排出し、エアーを容器内に15秒程度流して容器本体12を冷却する。そして、ブロー型71の割型72,73を離間させることで、把手付き容器11をブロー型71から脱型して取り出す。
【0041】
ところで、ポリエチレンテレフタレート樹脂で容器本体12を成形する場合、ポリカーボネート樹脂と比較して樹脂自体の耐熱性を利用することが困難である。しかし、本実施形態では、一次ブロー成形工程及び二次ブロー成形工程を行うことによる複数回の熱処理で、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる容器本体12の耐熱性が大幅に高められる。なお、把手付き容器11には、一次ブロー型およびブロー型71に起因するパーティング線(一対のブロー割型間の線)が、側面視で少なくとも2本、形成されている。
【0042】
次に、容器本体12への把手13の組み付け状況について説明する。
図6(a)及び
図7(a)に示すように、中間成形体62をブロー型71にセットした状態でブロー型71を型締めすることで、把手保持部73aに保持されている把手13は、その固定部42の一部が中間成形体62の周面に押し付けられて接触される。これにより、中間成形体62は、把手13の固定部42が押し付けられることで弾性変形し、周面の一部が把手13の固定部42に沿って配置される。
【0043】
また、把手13には、固定部42の取付棒部43に、把持部41と反対側へ突出する係合突起部46が形成されている。これにより、中間成形体62は、固定部42の取付棒部43における上下中央部分が把持部41と反対側へ押圧されて湾曲され、固定部42の取付棒部43と中間成形体62との間に非接触部Sが形成された状態とされる。この非接触部Sは、中間成形体62と接触する把手13の係合突起部46の周囲近傍に形成されている。また、中間成形体62の取付棒部43における上下中央部分が把持部41と反対側へ押圧されて湾曲されることで、中間成形体62の一部が把手13の上下近傍部分に近接される。
【0044】
この状態でブローが始まり、中間成形体62が膨らむと、中間成形体62は、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、把手13の固定部42の外形に沿った形状に変形する。このとき、固定部42の取付棒部43と中間成形体62との間に非接触部Sが形成されているので、取付棒部43に中間成形体62が全体的に接触している場合と比較し、取付棒部43との摩擦が抑えられる。これにより、中間成形体62は、把手13の固定部42の外形に沿った形状に容易に変形する。
【0045】
図6(c)及び
図7(c)に示すように、二次ブロー成形工程でブロー成形が進んで中間成形体62がさらに膨らんで容器本体12に成形されると、容器本体12の一部が、把手13の固定部42の左右両側における押圧片48よりも上方側及び下方側に入り込み、この部分が山状突起51となる。
【0046】
そして、これらの山状突起51が、取付棒部43の上下端部分及び連結部44の左右両側を係止する。これにより、把手13は、山状突起51によって容器本体12に対して水平方向への移動が規制された状態に容器本体12に組み付けられる。
【0047】
また、容器本体12の一部は、係止部45と連結部44の境界部分の凹部44aへ入り込んで連結部44に沿う形状に成形され、この部分が組み付き部52となる。そして、これらの組み付き部52が、把手13の係止部45を係止する。これにより、把手13は、組み付き部52によって容器本体12に対して上下方向及び離間する方向への移動が規制された状態に容器本体12に組み付けられる。
【0048】
さらに、容器本体12の一部は、把手13の係合突起部46における張り出し部47よりも取付棒部43側に食い込む。これにより、把手13は、容器本体12に対して上下左右方向及び離間する方向への移動が規制された状態に容器本体12に組み付けられる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態に係る把手付き容器の製造方法によれば、一次ブロー成形工程と二次ブロー成形工程とで複数回にわたってブロー成形することで、ポリエチレンテレフタレート樹脂製のプリフォーム61から耐熱性の高い容器本体12を成形することができる。そして、二次ブロー成形工程において、中間成形体62に把手13を近接させた状態でブロー成形することで、中間成形体62に把手13を組み付けることができる。これにより、ポリカーボネート樹脂を用いることなく、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂製の把手付き容器11を製造することができる。
【0050】
また、二次ブロー成形工程時に、把手13の一部を中間成形体62に押し付けて接触させておくので、ブロー成形によって膨張する容器本体12に把手13を食い込ませ、容器本体12に対して把手13を確実に組み付けることができる。
【0051】
特に、二次ブロー成形工程時に、中間成形体62への把手13の押し付け箇所の近傍に把手13と中間成形体62との非接触部Sを形成しておくことで、ブロー成形によって膨張する中間成形体62が非接触部Sの周囲で円滑に変形することとなる。よって、容器本体12に対して把手13をさらに確実に組み付けることができる。
【0052】
しかも、山状突起51が、取付棒部43及び連結部44の左右両側を係止することとなる。よって、把手13は、山状突起51によって容器本体12に対して水平方向への移動が規制された状態に容器本体12に組み付けられる。また、組み付き部52が、把手13の係止部45を係止することとなる。よって、把手13は、組み付き部52によって容器本体12に対して上下方向及び離間する方向への移動が規制された状態に容器本体12に組み付けられる。これにより、容器本体12に対する把手13の固定強度を大幅に高めることができ、大容量であっても把手13を把持して良好に運搬等を行うことができる大型リターナブル容器を製造することができる。
【0053】
次に、上述した把手付き容器11を製造する製造方法を実施するための装置構成の一例を
図8を参照して説明する。
【0054】
図8に示すように、把手付き容器の製造装置100は、中間成形品62(
図3参照)を製造するための第1製造部200と、中間成形品62から把手付き容器11(
図1参照)を製造するための第2製造部300と、備える。
【0055】
第1製造部200は、プリフォーム61(
図3参照)を射出成形する射出装置201及び射出成形部202と、一次ブロー前にプリフォーム61の温度を調整する温調部203と、プリフォーム61から一次ブロー成形品62A(
図3参照)を形成する一次ブロー成形部204(一次ブロー成形手段の一例)と、取り出し部205と、を備える。
【0056】
一次ブロー成形部204は、一次ブロー型とブローノズルとを有し、一次ブロー型の内部に配置されたプリフォーム61の内部にブローノズルを用いて高圧エアーを導入することが可能である。高圧エアーが導入されたプリフォーム61は延伸されて一次ブロー型の内壁面に接触し、一次ブロー成形品62Aが形成される。このように、一次ブロー成形部204は、上述した一次ブロー成形工程を実行する機能を有するものである。取り出し部205は、一次ブロー型から一次ブロー成形品62Aを取り出し、一次ブロー成形品62Aからその体積が10〜30%程度収縮した中間成形体62を一時的に収容する。
【0057】
第2製造部300は、装着部301と、最終ブロー成形部302と、ハンドル供給装置303と、回収部304と、を備える。装着部301は、移動手段(図示せず)によって第1製造部200の取り出し部205から供給された中間成形体62を第2製造部300の搬送手段(図示せず)に装着する。
【0058】
最終ブロー成形部302(二次ブロー成形手段の一例)は、ブロー型71(
図4等参照)とブローノズルとを有する。ハンドル供給装置303は、複数の把手13(
図2参照)を収容し、最終ブロー成形部302に把手13を供給するものである。最終ブロー成形部302は、ハンドル供給装置303から供給された把手13と搬送手段で搬送されてきた中間成形体62とがブロー型71にセットされた状態で、中間成形体62の内部にブローノズルを用いて高圧エアーを導入することが可能である。このように、最終ブロー成形部302は、上述した二次ブロー成形工程を実行する機能を有するものである。回収部304は、最終ブロー成形部302から搬送されてきた把手付き容器11を回収し、その後、例えば、ベルトコンベアー等にて所定の保管場所まで把手付き容器11を搬送する。
【0059】
このように、上記構成を有する把手付き容器の製造装置100によれば、上述の一次ブロー成形工程及び二次ブロー成形工程を実行することができ、耐熱性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂製の把手付き容器11を製造することができる。
【0060】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、一次ブロー成形工程でプリフォーム61をブロー成形し、その後、二次ブロー成形工程で中間成形体62をブロー成形したが、成形安定性や成形品質向上を図るために、一次ブロー成形工程の前にプリフォーム61の予備ブロー処理を行っても良い。
【0062】
また、本発明は、3ガロンや5ガロン(約12リットル〜20リットル)等の大容量の大型リターナブル容器だけでなく、これより小さい容器にも適用可能である。
【0063】
また、本例では、二次ブロー成形工程のブロー型71を閉じた状態において、把手13の一部が中間成形体62の周面と接触している例を説明しているが、この例に限られず、両者は接触していなくても良い。すなわち、ブロー型71を閉じた状態において、把手13の一部が中間成形体62の周面に近い位置に配置される、すなわち、近接した状態に配置されれば良い。
【0064】
次に、上記把手付き容器11の製造方法の変形例について、
図9を参照して説明する。本例の製造方法は、側面の一部に凹部64を有する中間成形体63を準備し、二次ブロー成形工程のブロー開始時に把手13をその凹部64に中間成形体63と接触させない状態で配置させている点で上述した例の製造方法と異なっている。
【0065】
(1)一次ブロー成形工程
ブロー成形品を成形する一次ブロー型として、ブロー成形品の側壁の一部に凹部を形成するための凸部を有する一次ブロー型を用いる。この一次ブロー型の内部に配置したプリフォーム61内に高圧エアーを導入することにより、プリフォーム61が延伸されて一次ブロー型の内壁面に接触し、側壁の一部に凹部を有した一次ブロー成形品が形成される。
【0066】
そして、上述した例と同様にして一次ブロー型から一次ブロー成形品を取り出すことで、体積が10〜30%程度収縮した中間成形体(例えば
図9に示された中間成形体63)が形成される。
図9に示すように中間成形体63は、側壁の上下方向における略中央の一部に凹部64を有している。
【0067】
(2)二次ブロー成形工程
図9(a),(b)に示すように、割型72と割型73とが開かれた状態のブロー型71内に中間成形体63がセットされたとき、把手保持部73aに保持された把手13の固定部42側の部分は、中間成形体63の凹部64内に配置される。さらに、凹部64内に配置された把手13の各部(例えば係合突起部46,係止部45)は、中間成形体63の凹部64の周面に接触しない状態に配置される。
【0068】
なお、図示は省略するが、割型72,73を近接させてブロー型71を型閉めした状態においても、把手保持部73aに保持された把手13の各部は中間成形体63の凹部64の周面に接触しない状態で配置される。また、ブロー型71内にセットされた中間成形体63は、一次ブロー成形工程において最終成形品に近い大きさまでブロー成形されており、割型72,73の内面からなる成形面が中間成形体63の周囲に対してより近接した状態に配置される。
【0069】
そして、上述した例と同様に中間成形体63に対してブロー成形を行うことにより把手付き容器11が成形される。
【0070】
次に、本例における容器本体12への把手13の組み付け状況について説明する。
ブロー型71を型締めした状態において、中間成形体63の凹部64内に配置された把手13は、把手13の各部が中間成形体63の周面に対して略均一な距離(空間)を確保しつつ、その周面に接触していない状態で配置されている。
【0071】
この状態で二次ブローが始まり、中間成形体63が膨らむ。このとき、中間成形体63の凹部64が膨らむ過程で、把手13の固定部42の全体がほぼ同時に中間成形体63と接触し、把手13が中間成形体63に組み込まれていく。
【0072】
また、二次ブロー成形工程において、さらに中間成形体63が膨らんで容器本体12に成形される。
【0073】
このように、本例の把手付き容器の製造方法によれば、一次ブロー成形工程において凹部64を有する中間成形体63が形成される。また、二次ブロー成形工程のブロー開始時において把手保持部73aに保持された把手13がブロー型71内にセットされた中間成形体63の凹部64内に配置される。また、凹部64内に配置された把手13は、中間成形体63の周面と接触しない状態に配置される。
【0074】
これにより、二次ブロー成形時において、中間成形体63の凹部64が膨らむ過程で、把手13の固定部42側の部分の全体がほぼ同時に中間成形体63と接触しやすくなり、膨らむ部位の特定の部分に圧力が集中しにくくなる。このため、中間成形体63が膨らむ過程において中間成形体の一部(特に係合突起部46と接触する部分)に破裂が生じたり偏った肉厚分布が発生する等の成形不良が発生することを抑制することができる。
【0075】
また、中間成形体63に凹部64が形成されているので、凹部64内に配置させた把手13の各部と中間成形体63の周面との距離(隙間)を予め調整することができ、把手13に対する中間成形体63の相対位置を的確に設定することができる。
【0076】
また、本例では、ブロー型71内にセットされる中間成形体63の形状を、一次ブロー成形工程において最終成形品に近似した形状に成形している。このため、二次ブロー成形工程において形成される最終成形品を安定的かつ高品質に成形することができる。
【0077】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2013年8月21日出願の日本特許出願・出願番号2013-171015に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。