(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
約10W以下のパワーにおいて、約980nm、約1470nm及び約1950nmのそれぞれ±約30nmの少なくとも一つのレーザー放射線を供給する、少なくとも一つのレーザー源をさらに備え、
前記可撓性導波管の前記一端部は、前記少なくとも一つのレーザー源と光学的に連結されており、
前記可撓性導波管の前記放射線射出表面は、周囲の脈管壁上へ、軸方向に延在している環状パターンにおいて、前記可撓性導波管の前記軸について側方に放射線を射出する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の血管腔内治療装置。
前記可撓性導波管に推進可能に連結され、前記可撓性導波管が平均で約50J/cm未満、約40J/cm未満、約30J/cm未満、約20J/cm未満及び約10J/cm未満のいずれかのエネルギー伝達率で前記血管の壁へレーザー放射線を伝達する間に、前記血管を通って前記可撓性導波管を引き戻せるよう構成されている、電気プルバック装置をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の血管腔内治療装置。
【背景技術】
【0002】
人間の下肢静脈機構は、本質的に表在性静脈機構および深部静脈機構から構成されている。これら両方は、貫通している静脈によって接続されている。表在性静脈機構は大伏在静脈と小伏在静脈とを含み、一方、深部静脈機構は、膝近くに集まって膝窩静脈を形成する前脛骨静脈および後脛骨静脈を含む。膝窩静脈は、小伏在静脈に合流した場合には、大腿静脈となる。
【0003】
当該静脈機構は、心臓へ戻る一方向性の血流を達成する機能を有する弁を含む。静脈弁は二尖弁であり、それぞれの先端が血液のリザーバーを形成している。二尖の静脈弁は、逆行性血圧の元では、それらの自由な面を互いに押しつけ合う。適切に処置した場合、血流の後退は防がれ、順方向の心臓への流れのみが可能となる。その尖弁が後退する圧力の傾きの元で適切に封じることができない場合、後退する血流が生じるようになり、二尖弁は役に立たないようになる。逆行性血流が生じると、下肢の静脈部分における圧力が増加し、すると静脈が拡張しさらなる弁の機能不全に導く。
【0004】
通常、静脈機能不全として言及されている弁の機能不全は、肌の変色、静脈瘤、痛み、膨張および潰瘍形成へ導きうる慢性の病気である。静脈瘤では、拡張され、ねじ曲げられ、かつ当該静脈壁における進歩的な伸縮性を失っている。血管の拡張によると、弁は完全に閉鎖されることができず、静脈は血液を心臓へ戻すという自身の機能を失う。これにより、脈管内部への血液の蓄積が導かれ、すると静脈をさらに拡張およびねじ曲げうる。静脈瘤は、通常青または紫色を有しており、おそらく、肌の表面上に特徴的な美しくない見た目で、ねじ曲がった形状で生じるように突き出ているだろう。静脈瘤は、脚の表面の静脈に共通に形成され、立った際に高圧力を受けさせる。静脈瘤のその他のタイプとしては、静脈湖、網状の静脈および末梢血管拡張を含む。
【0005】
弁の症状のこれらのタイプを根絶するのに、利用可能ないくつかの治療法がある。そのようないくつかの治療法は、ある症状のみを和らげるのに作用するが、静脈瘤を取り除いたり、またはそれらが再び作られるのを防いだりはしない。これらの治療は、横になること、もしくは座る際に足載せ台を使用することによって脚を高めるもの、弾性ストッキングおよびエクササイズを含む。
【0006】
静脈瘤は、静脈不全を除去することによって、よく治療される。これらの治療では、取り除かれた静脈を通って流れていた血液を、残っている健康な静脈を通って流れるよう強要させる。様々な方法が問題を含んだ静脈の不全の除去に使用され、外科、硬化療法、電気焼灼およびレーザー治療を含む。
【0007】
硬化療法では、静脈に直接溶液を注入するための鋭敏な針が使用される。この溶液は、静脈の内側を刺激し、内側に膨張を引き起こし、血液に凝固を引き起こす。静脈は瘢痕組織となり、見た目において完全に変色しているだろう。ある医師は、静脈瘤とクモ状静脈との両方を硬化療法によって治療する。今日、一般に使用される硬化剤は高張性生理塩水、またはSotradecol(商標)(テトラデシル硫酸ナトリウム)を含む。硬化剤は、静脈壁の内部の内側上に作用し、それらの閉鎖および血液の流れの閉塞を引き起こす。硬化療法は様々な合併症を引き起こす可能性がある。アレルギーを有する人々は、時折激しいアレルギー反応に苦しむこともある。もし針が適切に挿入されなかったら、硬化剤は肌を焼いてしまい、または恒久的に肌にマークまたはしみを付けてしまう可能性がある。さらに硬化療法は、時折血餅または血餅の移動を導く可能性がある。ある研究によると、硬化療法で治療した場合はさらに大きな静脈瘤がより再発し易いことがあり、それ故、硬化療法の治療は一般的に特定の大きさより下の静脈に制限されている。
【0008】
静脈ストリッピングは、一般または局所麻酔の元での静脈瘤の治療が使用される外科の手法によるものである。可撓性装置に静脈を通過させ鼠径部近くの切り口を通って取り除くことにより、問題のある静脈を体から剥離している。同様にこれらの静脈の支流であるものも、そのような装置を用いて剥離され、または一連の小切開を通って取り除かれる(例えば、通院での静脈切除による)。より深い静脈と連結している当該静脈は、その後、ほどかれる。
【0009】
ストリッピング手法の一つの欠点は、切開された場所において瘢痕化を引き起こす可能性があり、時折血餅を引き起こすかもしれないということである。もう一つの欠点は、静脈ストリッピングは痛みを伴い、手術での時間消費となる可能性があり、長い修復期間を必要とする可能性もあることである。さらにもう一つの静脈ストリッピング手法の欠点は、出血し、それ故血腫が生じる、または、失血、苦痛、感染、神経損傷および腫れのような他の合併症に導くかもしれない、剥離した静脈の傍系分岐に損傷を与える可能性があるということである。さらにもう一つの静脈ストリッピングの欠点は、治療領域になされた損傷のため、患者は何時間も苦痛および不快を有し、そうでないとしても何日も外科に通うかもしれないということである。静脈ストリッピング手法のもう一つの欠点は、吐き気、嘔吐症状および創感染の危険を含む、麻酔の元でのそのような外科的な手法の処置に関連する、その他の消極的な側面の影響を含む可能性があるということである。
【0010】
もう一つのよく知られている静脈不全の治療法は、無線周波数(“RF”)の使用を通る方法である。例えばRF方法は、特許文献1に記載されている。電極が静脈の内部のカテーテルを通って導入され、電極が静脈壁と接触するように配置され、RFエネルギーが選択的に静脈壁を熱すよう電極を通って印加される。RFエネルギーは、指向性方向において、電極を通り、加熱の局在化および静脈組織の線維形成を引き起こすよう、電極と接触する静脈壁の部分の中へ印加される。一つのRF方法の欠点は、RF電極と静脈壁との接触を維持することが必要であり、それ故本質的にそのような接触ポイントのみを通して静脈壁にエネルギーを伝達するということである。さらにRF方法のもう一つの欠点は、より時間を消費し、このため他の望ましい方法よりもより患者に対してストレス性となることである。さらにもう一つのRF方法の欠点は、製造するためには、他の望ましいものよりも、RFカテーテルおよび電極が相対的に複雑であり、より高価となる可能性が高いということである。
【0011】
拡張蛇行静脈瘤のための、もう一つの最小の浸潤性の先行技術の治療は、腔内レーザー切除(“ELA”)である。典型的な先行技術のELAの手法においては、光ファイバーが治療される静脈の中へ、イントロデューサシースを通って導かれる。光ファイバーラインは、その遠位の末端に平坦な射出面を有している。先行技術のELAの手法の一つの例は次のステップを含む:第1に、ガイドワイヤが治療する静脈の中に挿入され、好ましくは、導入針の助力をもって行われる。第2に、イントロデューサシースは、ガイドワイヤ上を導かれ、かつ治療箇所へと進める。その後、イントロデューサシースを残し、ガイドワイヤは取り除かれる。(レーザー源と連結されている)光ファイバーは、それから、イントロデューサシースを通って挿入させられ、ファイバーの遠位のチップにある平坦な射出面およびシースが同じ位置にあるように配置される。膨潤麻酔は、それから治療する静脈の周囲の組織に適用される。レーザーを射出する前に、シースを射出レーザーエネルギーで損傷させないよう充分な距離だけ、シースは平坦な射出面から引っ込められる。それから、平坦な射出面を通り、血液および/または射出面の直接前の静脈壁の中へレーザーエネルギーが射出するよう、レーザーが焼灼される。レーザーエネルギーが射出されている間、レーザーファイバーおよびイントロデューサシースが、治療する静脈を望ましい長さに閉鎖するために、共に引っ込められる。レーザーエネルギーは、血液および/または静脈壁組織によって吸収され、それ故熱的に損傷を与え、静脈の線維形成を引き起こす。
【0012】
特許文献2には、先行技術の装置の一例および治療の領域への最小挿入物での皮下レーザー治療の方法が開示されている。毛細管無秩序、くも状母斑、血管腫および拡張蛇行静脈瘤のような、共通の血管の異常性を選択的に取り除くことができる。針は血管構造の中に挿入され、ターゲットとなる異常に、レーザー放射線の射出を受けさせる。当該装置は治療の間、レーザー伝達光ファイバーの適応およびポジショニングを可能とする。ユーザーに、静脈の中へファイバーが挿入された長さを知らせるよう、把持部に対して相対的に固定された位置でかつ把持部から固定された距離に、伸長部品は光ファイバーを維持している。
【0013】
特許文献3には、光ファイバーラインが導入され通過している血管カテーテルを使用した静脈内腔の中への経皮的なアクセスが得られるという、もう一つのELAの手法が記載されている。光ファイバーラインは、平坦な放射線射出面を画定する、露出したコーティングされていないチップを有する。当該特許では、静脈壁がファイバーチップの平坦な射出面に接触する位置にくるよう、手または圧迫包帯のようなものによって手動で静脈を圧縮することを教示している。レーザーエネルギーは、露出したファイバーチップに接触した静脈壁の部分の中へ、高いエネルギー噴出において伝達される。レーザーエネルギーの波長は、約532nmから約1064nmであり、それぞれの噴出の存続時間は、約0.2秒から約10秒である。それぞれの噴出は、約5ワットから約20ワットのエネルギーが静脈壁の中へ伝達される。当該特許および他の先行技術のELAの手法は、最終的に結果として、静脈壁の線維形成および大伏在静脈の閉鎖となる、静脈壁の全体の厚さへの損傷を保証するのに充分なエネルギーの伝達を教示している。
【0014】
能力のない伏在静脈の、ELAの治療成功を改良するために、当該特許に一貫して、先行技術は相対的に高いエネルギーレベル(例えば≧80J/cm)の印加を教示している。Timperman et al.は、伏在静脈の静脈内のレーザー治療は、特に80J/cmより大きい量が伝えられた場合、成功するということを教示している。Timperman et al.は、治療された静脈の長さとみなされるデータ、および111の治療した静脈上の全体に伝わったエネルギーのデータを集めた。印加されたレーザーエネルギーの波長は、810nmまたは940nmであった。111の治療した静脈のうち、追求の期間の間に、85が閉鎖されたままだった(77.5%)。成功して治療された静脈のこのグループのうち、伝わった平均エネルギーは、63.4J/cmである。80J/cmまたはそれ以上の量を受けた患者からは治療の失敗は見つけられなかった(非特許文献1参照)。
【0015】
これおよびその他の先行技術のELA治療に関連する一つの欠点は、露出したファイバーチップにおいて、とても小さい平坦な射出面を通ってのみレーザー放射が適応されるということである。結果として、実質的にとても小さく、血液および/または平坦な射出面の前に位置する静脈壁の局在化された部分のみが、射出レーザーエネルギーを任意の一回において受ける。そのような先行技術のELA装置および方法のさらなる一つの欠点は、ファイバーの平坦な射出面の外に前向きの方向においてのみ、レーザー放射線が向かうということである。従って、実質的に放射線はファイバーチップから放射状または側方に射出されておらず、それ故レーザー放射線は相対的に局地的方向において伝達されている。さらなる欠点は、静脈内への相対的に高いレベルの伝達されるエネルギーが著しく上昇した温度を生み出し、それによって周囲の組織に対応するレベルの苦痛を生じ得るということである。相対的に高いレベルの伝達されるエネルギーは、周囲の組織において対応するレベルの熱的損傷もまた生じる可能性もある。熱的損傷がより強烈であると、処置後の痛み、紫斑および感覚異常の可能性への機会がより大きくなる。感覚異常は、異常および/または不快な感覚であり、神経損傷の結果からなる。さらにその他のもう一つの欠点は、レーザー放射線のそのような相対的に高いレベルのエネルギーが、伝達および/または局地化された濃度となると、静脈の穿孔が生じる可能性がある。結果として、そのような先行技術のELAの手法は、より長い時間で膨潤麻酔のような相対的に高いレベルの麻酔を必要とする可能性があり、その他の望ましいものよりも、患者と医師との両方に、よりストレスが生じうる可能性がある。
【0016】
先行技術のELA治療のさらなる欠点は、それらは、相当な量の膨潤麻酔に関連する膨潤技術を用いることである。例えば、典型的な先行技術のELA治療は、治療される静脈の長さに依存する、少なくとも約100mlから約300mlまで、またはそれ以上の膨潤麻酔を用いる。当該膨潤麻酔は、静脈の長さに沿って、組織の中に注射される。ある場合には、膨潤麻酔は、一つまたはそれ以上の静脈を取り囲む帯状のシースによって画定される静脈周囲の腔の中へ注射される。その他の場合には、膨潤麻酔は静脈の周囲を囲んでいる脚部の組織の中に注射される。膨潤麻酔は、典型的に、かつ本質的に、生理食塩水中の希釈した濃度のリドカインおよびエピネフリンから構成されている。そのような膨潤技術の一つの欠点は、麻酔がけいれんのような患者に逆の反応を引き起こしうるということである。さらにもう一つの膨潤技術の欠点は、患者がエピネフリンの使用による不快な血圧の上昇を経験しうるということである。そのうえさらなる膨潤技術の欠点は、静脈の長さに沿って相当な量の液体麻酔の注射が必要であり、全部のELAの手法のための時間に有意な量を加えると、黒色や青色のマークのような逆の治療後の面の効果、およびそのような大量の麻酔剤に関連する他の逆の効果を起こす可能性がある。
【0017】
膨潤麻酔または先行技術のELAの手法の膨潤技術において使用される冷食塩水膨潤注入液は、静脈の周囲にヒートシンクを作り出すが、それは所望するものよりも周囲の組織に対して著しく高いレベルの熱的損傷を与える可能性がある。熱的損傷が激しければ激しい程、処置後の苦痛、紫斑および感覚異常の可能性への機会が大きくなる。例えば、先行技術のELAの手法において典型的に使用される膨潤麻酔の有意な分量は、患者の神経に何らかの熱的興奮を感じることを防ぐだろう。それゆえ、患者に対し、望ましくない熱的損傷を防ぐための処置を中止または調整するよう、医師を警戒させないようにしてしまうだろう。脛骨の神経(TN)およびその共通の腓骨の神経(CPN)分岐は、両方、そのような損傷の可能性にさらされる。CPNは、丁度膝下の側方の脚において非常に表在にある。さらに、この神経に対する熱的損傷は、下垂足をもたらしうる。同様に、TNは膝窩での高くにおける診断の際に、熱的損傷の可能性にさらされる。その広さに依存して、TNに対する熱的損傷は、ふくらはぎおよび足の筋肉の筋肉機能障害に導きうる。腓腹の神経(SUN)および伏在神経(SAN)も同様に、小伏在静脈(SSV)または膝下のGSVのELA実行の際に、熱的損傷の可能性をうける。SUNは、足首の特に遠位に接近したSSVに非常に接近して走っている。SANは、特に膝下GSVに非常に接近して走っており、重ねて足首に遠位に接近している。膨潤麻酔のような麻酔の有意な分量は、気づかずにそのような神経の熱的損傷に導く可能性がある。
【0018】
特許文献4は、イントロデューサシースに相対的なファイバーの位置を決めるための、光ファイバー上でのマーキングの適用に関する。しかし、これおよびその他の関連する発明には、レーザーを射出する間のレーザーファイバーのプルバックスピードの決定についての情報が欠けている。レーザーファイバーまたはカテーテルのゆっくりとした制御されていないプルバックは、過熱および脈管の穿孔を引き起こす可能性があり、最良の外科医でさえも、正確に正しいスピードで、適切な脈管壁加熱温度を維持しながらファイバーを引き戻すのは難しいかもしれない。一方、過度のプルバックスピードは、結果として、適切な脈管閉塞のためには不十分に放射されるエネルギーとなるかもしれない。
【0019】
特許文献5は、本発明の譲受人に譲渡されており、さらに当該言及によってその全体を本開示の一部としてここに組み込む。当該特許では、経皮的放射線治療における、制御可能に放出する放射線についてのシステムおよび方法を公開する。レーザーは、肌の下または導管ルーメンの中の所定の場所へ挿入される光ファイバーと連結される。それから、ファイバーが入口に向かって引っ込められている間、放射線が治療箇所に同時に伝達される。ファイバーは所定の進度で手動で引っ込められ、放射線は一定のパワーまたはエネルギーレベルにおいて管理されている。一定の所望するエネルギー密度を維持するために、引っ込みのスピードは測定され、コントロール機構に送られる。当該コントロール機構では、静脈または組織が一貫したエネルギーの分量を受けることを確実にするよう、射出パワー、パルスの長さまたはパルスの割合を修正する。これは、先行技術を越える相当な改良であるが、放射線はファイバーチップに位置する平坦な射出面を通り、主として縦の方向に射出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、本発明の目的は、一つまたはそれ以上の上述した先行技術の欠点および/または不利益を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、相対的に低いパワー密度において実行されてもさしつかえない、安全および効率的な腔内のレーザー切除(“ELA”)のための、改良された方法および装置を供給する。
【0024】
ある実施の形態では、血管腔内治療装置は、引き延ばされた軸を画定する可撓性導波管、放射能源に光学的に接続可能な近位の末端、および血管内に受容可能な遠位の末端、を備えている。当該遠位の末端は、周囲の脈管壁の角度をもって延在している部分上へ、放射線源から、導波管の引き延ばされた軸について側方に放射能が射出される放射線射出表面を含む。
【0025】
ある実施の形態では、当該装置は、血管の周囲の壁、ならびに、その間に位置している任意の血液、生理食塩水および/またはその他の液体の中へ、放射状かつ実質的周辺にレーザーエネルギーを射出する、一つの(またはそれ以上の)射出表面を含んでいる。ある実施の形態では、当該装置は、360°の放射状射出のために、実質的円錐体形状の射出表面を有する光ファイバーの末端を通り、パルス化された、または連続的なレーザーエネルギーを放射状に射出する。当該装置のある実施の形態では、残っているまたは前向きに伝達されたエネルギーを放射状におよび/または周辺に反射することにより、放射状射出効率を高めるため、円錐体射出表面に対し相対的に軸方向に間隔を空け対面している、実質的円錐体形状の反射表面をさらに含む。
【0026】
ある実施の形態では、部分的にファイバーの外に向かって放射状に射出され、部分的に続く一つ以上の溝に伝達される放射線をもたらすために、複数の溝、窪みまたはその他の手段が、軸方向にファイバーに沿って互いに間隔を空けて配置されている。ある実施の形態では、パワー密度は相対的に低いレベルにおいて維持され、好ましくは約10W/cm
2またはそれ未満である。その他の一般に好まれる実施の形態では、ファイバーの放射部分が、治療される静脈の長さに依存して約1cmから約100cm以内の長さに画定されている。
【0027】
ある実施の形態における、血管腔内治療の方法は次の工程を備える:
(i)血管内に引き延ばされた軸を画定している導波管を導入;
(ii)導波管を通る放射線の伝達;および
(iii)周囲の脈管壁の角度をもって延在している部分上に、導波管の引き延ばされた軸について側方へ放射線を射出。
【0028】
あるそのような実施の形態では、射出工程は、少なくとも約90°の角度にわたって延長している周囲の脈管壁の領域上への側方への放射線射出を含む。ある実施の形態では、射出工程は、約90°から約360°の範囲内の角度にわたって延長している周囲の脈管壁の領域上への放射線射出を含む。ある実施の形態は、周囲の脈管壁上へ、実質的環状パターンにおいて、導波管の引き延ばされた軸について実質的放射状に放射線を射出する工程をさらに備える。ある実施の形態は、周囲の脈管壁上へ、実質的環状パターンにおいて、導波管の引き延ばされた軸について側方に、前向きに射出される放射線を反射する工程をさらに備える。ある実施の形態は、約980nmから約1900nmの範囲内の波長、約10W未満のパワーにおける放射線を伝達する工程をさらに備える。
【0029】
ある実施の形態における、血管腔内治療の方法は次の工程を備える:
(i)引き延ばされた軸を画定するエネルギー印加装置の血管内への導入;
(ii)血管内へのエネルギー印加装置の導入の前後において、おおよそ同じ大きさでの血管の維持;
(iii)エネルギー印加装置のための血管壁の前形成、平坦化、圧縮または移動が実質的にない、血管の周囲の壁の中への、装置の引き延ばされた軸について側方へのエネルギー印加装置からのエネルギーの印加;および
(iv)血管の熱的損傷。
【0030】
ある実施の形態における、血管腔内治療の方法は次の工程を備える:
(i)引き延ばされた軸を画定するエネルギー印加装置の血管内への導入;
(ii)エネルギー印加装置のための血管壁の前形成、平坦化、圧縮または移動が実質的にない、血管の周囲の壁の中へのエネルギー印加装置からのエネルギーの印加;
(iii)血管壁内に印加されたエネルギーの実質的な吸収、および血管が閉鎖されるよう血管内皮への充分な損傷の誘発;および
(iv)組織に熱的損傷を与えるであろうレベルにおける、血管壁の通過および血管を囲む組織の中への印加されたエネルギー伝達の実質的な防止。
【0031】
ある実施の形態では、当該方法は、少なくとも一つの実質的に所定の波長および少なくとも一つの実質的に所定のエネルギー伝達率での、レーザー放射線形成におけるエネルギー印加工程をさらに備える。当該所定のエネルギー伝達率は、血管内皮に充分な損傷を与え血管を閉鎖するよう血管壁内に実質的に吸収され、さらに、組織に熱的損傷を与えるであろうレベルにおける血管壁の通過、および周辺組織内への適用された放射線の伝達を実質的に防止する、適用される放射線をもたらすものである。
【0032】
ある実施の形態における、血管腔内治療の方法は次の工程を備える:
(i)エネルギー印加装置の血管内への導入;
(ii)エネルギー印加装置から血管の治療領域内への、平均で血管が閉鎖できるほど充分に高いが、治療領域に沿った麻酔剤の必要が実質的に避けられるほど充分に低い、血管の長さ毎における所定のエネルギーの伝達;および
(iii)熱的損傷および血管の閉鎖。
【0033】
ある実施の形態における、拡張蛇行静脈の腔内治療の方法は次の工程を備える:
(i)拡張蛇行静脈内へのエネルギー印加装置の導入;
(ii)エネルギー印加装置から静脈の治療領域内への、平均で約30J/cmの静脈の長さ毎における所定のエネルギーの伝達;および
(iii)熱的損傷および静脈の閉鎖。
【0034】
ある実施の形態では、当該装置は、ファイバーの遠位の末端に堅固に固定されたキャップを含む。あるそのような実施の形態では、ファイバーの遠位の末端は平坦な射出面を含み、キャップは射出面を囲む。その他の実施の形態では、ファイバーの遠位の末端は円錐体表面のような放射状射出表面、および反射表面を含み、キャップは射出および反射表面の両方を囲む。ある実施の形態では、芯およびその射出表面を保護、ならびにそこを通り射出および反射された放射線の伝達のために、キャップは石英または溶解、接合もしくはファイバー芯に堅固に固定されるその他の放射線を透き透す材料から作られる。その他の実施の形態では、相対的に長く可撓性のある射出ゾーンとするため、キャップは、重合体のテフロン(登録商標)PFAまたはテフロン(登録商標)AFのような、相対的に可撓性のある透き通る材料から作られる。相対的に低く吸収される波長の場合には、射出されるエネルギーの全てまたは一部が熱に変わるため、不透明な材料でキャップを作ることも可能である。ある実施の形態では、キャップおよび/またはファイバーは、静脈内の温度をコントロールする手段、パワー入力を調整する手段および/またはファイバーのプルバックスピードを調整する手段を含む。
【発明の効果】
【0035】
本題の装置および方法の一つの利点は、上述した従来の治療と比較して、相対的に速く、安全で、効果的および/または確かな治療を提供することが可能ということである。
【0036】
一般に好まれる実施の形態のもう一つの利点は、相対的に低いパワー密度において、実質的に一様で本質的に均等な静脈壁への放射線の適用が可能であり、それにより静脈壁への穿孔の恐れが少なくなり、そのため従来の治療と比較して、処置の間および後での痛みが減少することである。
【0037】
ある一般に好まれる実施の形態のもう一つの利点は、一般または局所膨潤麻酔の投与の必要を避けられる一方、静脈不全を安全で効果的に治療することができるということである。あるそのような実施の形態では、血管の治療する部分に沿った麻酔の必要も実質的に避けられる。その他の実施の形態では、一般または局所麻酔を全く必要とせず、膨潤麻酔はなおさらである。
【0038】
ある実施の形態のさらなる利点は、延長した拡散放射線と同様に、多数の規則正しく間隔を空けた射出箇所で放射線を射出させることによって、血管内治療装置および方法を提供することである。
【0039】
ここに開示する本発明および/またはその一般に好まれる実施の形態の、上述ならびにその他の目的、特徴および利点は、続く詳細な記述をそれに伴う図面を組み合わせて読むことからより容易に明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0041】
一般に好まれる実施の形態を伴う図面に関連して以下に述べられており、当該図面では類似の参照符号は、様々な図面を通して類似の要素を指し示すために使用されている。さらに以下に述べるように、安全および効率的な低いパワー密度での静脈機能不全の腔内治療の一般に好まれる実施の形態は、改良された方法および装置を提供する。ある一般に好まれる実施の形態でも、光ファイバーからのパルス化された、または連続したエネルギーの放射状での射出を提供する。円形の照射のために、円錐体または円錐体に近いファイバーの遠位の末端が、キャップの遠位の末端領域において固定された円錐体形状の反射表面に対向して使用されている。延長した放射状の照射では、適切な複数の、または間隔を空けたファイバーの末端に縦で配置された射出溝が使用されうる。
【0042】
ある一般に好まれる実施の形態のもう一つの特徴は、拡張された射出ゾーンを達成する可能性である。これは、異なる変数の組み合わせを用いて対向する円錐体形状のセットの適切な配置によってなされることが可能である。異なる変数は例えば、円錐表面の切断角度、円錐体間の間隔、キャップ材料の屈折率および空間に残されている気体構成物の組成が挙げられる。さらに、互いに相対的に軸方向に配置されており、複数に等級化されたレンズのように、等級化されたレンズを連結したものが用いられてもよい。さらに、細く切った円錐体チップも、間隔を置いた領域における放射線パターンの形成を適切に可能とするのに用いられうる。間隔の長さを横切るパワー密度の分布と同様に、治療される円形の横断面の幅も変化するため、これらの可変的なものは調整しうる。例えばもし所望するなら、照射される横断面の全体を横切らせ、実質的一様のパワー密度を達成させることも可能である。
【0043】
図面1aおよび1bに示すように、光ファイバーセットの第1の実施の形態は、一般的に、参照符号100によって指し示されている。光ファイバー100は、クラッディング146と、芯140と、石英キャップ106とから構成されている。光ファイバーチップは、好ましくは、360°の放射状射出を達成するための、実質的円錐体形状の射出表面110を画定している。好ましい実質的円錐体形状の反射表面112は、効率促進および放射状射出のゾーン内の設計分布のために、軸方向に相対的に配置されており、射出表面110に対面している。示すように、射出および反射表面部分は、ファイバーの末端を堅固として固定しており、放射状/環状の射出を達成するよう射出表面における空気またはその他の気体の境界線を画定している石英キャップ106内において、密閉して封止されている。従って、射出表面110の角度、ならびに、射出表面110および封止されたキャップ106内に供給される空気またはその他の気体の境界面の屈折率の差異のため、レーザー放射線は、周囲の脈管壁上へ直接的に、ファイバーから放射状に(すなわち、ファイバーの引き延ばされた軸を横断して、またはファイバーの引き延ばされた軸について側方的に)、および環状に射出される。好ましくは、射出表面110は、ファイバーの引き延ばされた軸について側方的な、射出放射線の実質的な全反射のために配置される引き延ばされたファイバーの軸について、鋭角の角度において方向づけられている。ある実施の形態では、放射線は周囲の脈管壁上に側方的かつ環状に射出され、放射線の環状のビームは孤形にわたって拡大しており(すなわち、ビームの普及)、当該円弧はファイバーの開口数によって画定される。ある実施の形態では、環状のビームは約30°から約40°の範囲内の角度によって画定される。さらに、おおよそのビームの中央は、好ましくは、引き延ばされたファイバーの軸について約70°から約90°の範囲内の角度において方向づけられている。
【0044】
このような新規な形状の一つの利点は、実質的に全ての放射線が放射状に射出されることである。それ故、上述した先行技術と比較して、著しく放射状射出を促進する。側方的に、または放射状に射出される環状ビームは、例えば、平坦で露出したチップのファイバーによって射出されるような、軸方向または前方に方向づけられた円錐体形状のビームよりも実質的に小さい体積を画定しうる。それ故、側方的に射出されるビームは、脈管壁の中へ放射線をより直接的および効率的に伝達することができる。さらに射出特性は、そのような環状の部分の長さに沿ったパワー密度の分布と同じく、血管の環状領域の長さ、またはその他の治療される中空の解剖学的な構造を変え、調節することが可能である。例えば、もう一つの実施の形態では、軸方向に配置された溝の線状分布を画定する、多くの溝が彫られた遠位のファイバーの末端は、静脈壁の延長された線状円弧セクターを照射し、そのため効果的で相対的に低いパワー密度での治療の使用に期待される。好ましい実施の形態では、線状に分布した多くの溝が彫られた遠位の末端を有するファイバーは、血管壁への360°の放射状刺激を達成するよう、照射の間に前後に振動または回転する(例えば、約一回転)。あるいは、プルバックまたは回転のいずれかの動きを有する概略的な環状のパターンを提供するよう、溝をファイバーについてオフセットしておくことも可能である。
【0045】
図2a、2bおよび2cを見ると、光ファイバーの別の実施の形態が、全般にわたって参照符号200によって指し示されている。光ファイバー200は、光学的にレーザー源と接続されている近位の末端から、レーザー放射線を射出する遠位の末端204へ、その長さの大部分に沿って延長している標準部分202を含んでいる。射出ゾーンに沿った放射状のレーザー射出を達成するために、射出部分204は、ある規則正しく空間が空いた、好ましくは約1mmから数mm離れて間隔が空いた溝を含んでいる。それぞれの溝208は、放射状かつファイバーの外向きに部分的に射出される、ある放射線218と、その後の溝208に部分的に伝達される残りの放射線216とをもたらす。
【0046】
光ファイバーチップ210は、360°放射状射出を達成するために、実質的に円錐体形状に画定されていてもよい。そして、その反対に、好ましくは円錐体の反射表面212があってもよい。当該円錐体の反射表面212は、前に説明したように、全ての残りの、または設計された前向きに伝達されるエネルギーを、360°の放射状方向において外に反射させることによって、360°の放射状射出の効率および分布を高める。
【0047】
ファイバー200の射出部分204は、保護キャップ206によって被覆されている。一つの好ましい実施の形態では、使用される波長において標的組織214に高く吸収される場合、保護キャップ206は石英、または、その他の放射線が透き通るもしくは実質的に放射線が透き通る材料(すなわち、放射線の伝達を可能とする材料、または、実質的に通過できる部分)から作られている。重合体のテフロン(登録商標)AFまたはテフロン(登録商標)PFAのようなものが挙げられ、これは、相対的に長く、可撓性を有する射出ゾーンをもたらすためである。もう一つの好ましい実施の形態では、使用される波長が標的組織214において吸収されにくい場合、実質的に全てのまたは一部分の放射状の射出放射線を、熱的に静脈壁に損傷を与えるための熱へ変換するために、保護キャップ206は不透明な放射材料(すなわち、射出された放射線を吸収する材料)から作られている。この場合、直接的なレーザー放射線のかわりに熱的手段によって静脈の破壊を達成することができる。
【0048】
図3を見ると、光ファイバーの別の実施の形態が、全般にわたって参照符号320によって指し示されており、静脈314内の所定の位置において配置され、示されている。光ファイバー320の相対的に長い射出ゾーンによって、静脈の広い部分のそれぞれの位置において治療することが可能である(例えば、静脈をセグメント毎に切除してもよい)ということが、この図から認識することができる。ファイバーの射出部分の長さは任意の望む長さにすることが可能であり、約1cmから約100cmの範囲内、約1cmから約75cmの範囲内、または約1cmから約50cmの範囲内の長さを含むがこれらに限られない。射出部分の長さが治療する静脈の部分の全体の長さと一致するという特有の場合には、調整されたプルバックがもはや不要としても差し支えないので、より短くかつより簡易な治療が結果として生じるだろう。一つのそのような実施の形態では、患部の長さの全体を、静脈壁が壊れるようファイバーを引き戻すことで、一度で治療してもよい。その他の実施の形態では、溝に充分な間隔を置かせ(例えば、約1/2cmから約2cmの範囲内離れており、また一つの実施の形態では約1cm離れて)、ファイバーが実質的に正しい位置に維持されそのプルバックがないよう、血管全体を治療するよう溝をファイバーの充分な長さに沿って延長させ、またはその望む部分に沿って延長させる。その他の実施の形態では、連続している延長した血管の部分を治療することによって、血管はセグメント毎に切除される。一つのそのような実施の形態では、ファイバーが血管の第一の部分内の正しい位置に保たれ、レーザーで第一の部分を治療するよう焼成する。それからレーザーが消され、ファイバーが引き戻され、血管の第二の部分に配置される。それからファイバーは、レーザーで第二の部分を治療するために焼成している間、血管の第二の部分の正しい位置に保たれている。そして、これらの工程が必要とされる全てのさらなる血管の部分を治療するよう繰り返される。その他の実施の形態では、ファイバーのプルバック、または一つの静脈のセグメントからもう一つへの移動の間、レーザーは消されない。その他の実施の形態では、血管のある部分においてレーザーを射出している間ファイバーは静止を保っており、血管のその他の部分においてレーザーを射出している間ファイバーは引き戻されている。
【0049】
図4に示すように、ELAシステムのもう一つの実施の形態は、レーザー放射線源424と、光ファイバー420と、温度センサ426と、パワーコントロールモジュール428と、プルバックスピードコントローラ432によって駆動されているプルバックアクチュエータ430とで構成されている。レーザーを射出している間、パワーコントロールモジュール428は、温度センサ426から温度値を受け取っており、好ましくは熱電対であり、標的組織の近くに位置している。一つの実施の形態では、温度センサは、ファイバーまたはその射出/反射表面に最も近いキャップ上に取り付けられている。パワーコントロールモジュール428は温度センサ428から受け取った情報を処理し、レーザーパワー源424とプルバックスピードコントローラ432との両方へ、フィードバックを供給する。一つの実施の形態では、パワーコントロールモジュール428は、理想または所望されるパワー密度およびプルバックスピードを算出し、この情報をレーザーパワーコントローラ428およびプルバックスピードコントローラ432のそれぞれに送る。プルバックスピードコントローラ432は血管を通ってファイバーを引っ込めるためにプルバックアクチュエータ430をコントロールし、レーザー放射線源424はコントロールモジュール428から受け取ったコントロールシグナルに従って、レーザーパワーを位置づける。これらの実施の形態の一つの利点は、パワー密度および/または光ファイバーのプルバックスピードを腔内の治療手法にわたって調整することが可能であることである。当該手法では、例えば、そうでなければ静脈壁の穿孔を生じるかもしれない局在化されたホットスポットを実質的に防ぎ、またはそうでなければ患者に痛みや不快を引き起こしうる静脈および/または周囲の組織の過熱を実質的に防ぐ一方、静脈閉鎖を確実にする。もう一つの実施の形態では、プルバックが手動であり、パワーコントロールモジュール428は医師を示唆し、理想または所望するパワー密度およびプルバックスピードの値をディスプレイにおいて示しながら行うと、より効率的で有効な手動のプルバックを可能にする。温度をモニターする、ならびにプルバックスピードおよびその他のシステムの変数を調整するための当該システムおよび/またはその構成要素は製造してもよく、共通して譲渡されている2007年9月11日に申請された米国特許出願第11/900,248号の標題“Vein Treatment Device And Method”、および、2006年5月30日に申請された米国特許出願第11/443,143号の標題“Power Regulated Medical Underskin Irradiation”の教示に従ってもよい。この言及によりその全体を本開示の一部として、明確にここに組み込む。
【0050】
ある一般に好まれる実施の形態では、静脈のコラーゲン変性、収縮および除去を保証する適度に短い時間内において充分に高い全体のエネルギーが静脈に印加されうる一方、低いパワー密度が適用されており、例えば約10W/cm
2またはそれ未満である。これは、プルバックの間に、射出ゾーンの近位の側により第一に照射された領域が、射出ゾーンの中央および遠位の側からの照射を受け続けるよう、延長された射出ゾーン(または区間)および360°の放射状照射により促進させることが可能である。
【0051】
図5を見ると、光ファイバーのもう一つの実施の形態が、概して参照符号500によって指し示されている。光ファイバー500は、主としてその長さが光学的にレーザー源と接続されている近位の末端からレーザー放射線を射出する遠位の末端204へ延長している、標準部分202を備えている。射出部分504は、射出ゾーンに沿った放射状のレーザー射出を果たすため、各々規則正しくまたは別な方法で間隔を置いた溝を備えている。光ファイバーチップ510は標準の重要な角度の遠位の末端を画定しているが、好ましくは360°の放射状射出を達成するために、図示されている円錐体形状を画定している。さらに、好ましくは、放射状射出の効率および有効性を高めるため、光ファイバーチップ510は、射出表面に対して軸方向に配置され反対に対面している円錐体の反射表面512を含んでいる。これは、任意の設計された、または残りの前向きに伝達されたエネルギーを、放射状の方向において外へ反射させることによる。
【0052】
ガイドワイヤ534は、機械的なガイドワイヤ取付/脱離機構536により、石英キャップ506に取り付けられている。血管514の中に治療セットが挿入されている間、その図示されている形状のため、ガイドワイヤ534は光ファイバーに取り付けられたままである。内部へ押している間は取付機構536が脱離を防ぐが、後方へ引いている間は脱離が可能であり、このようにして治療の前または始めにおけるその引き抜きができるよう、取付場所において、ガイドワイヤ534は538において適切に形作られる。もう一つの実施の形態では、ガイドワイヤは医学的に安全な接着剤、例えばワックスまたはシアノアクリル酸により取り付けられる。ここでの教示に基づく適切な技術において、普遍的な技術をもつ当業者には認識されるだろうから、ガイドワイヤは多くの任意の異なる方法において取り付けられてもよい。これには、現在知られている、または後に知られる、多くの異なる任意の接着剤またはその他の取付機構を含む。当該ガイドワイヤは、接着剤を軟化させ、または接着剤の接合を分解させ脱離されうる。これは、レーザー放射の手段による、血管内の治療セットの適切な位置で行われうる。脱離させるとガイドワイヤ534は取り除かれ、適切な位置においてキャップされた光ファイバー500が残り、レーザーを射出する準備がなされる。レーザーが射出されている間、光ファイバーは挿入箇所に向いた方向に引っ込められ、血管514は縮み、好ましくは脈管を閉鎖する。
【0053】
もう一つの好ましい実施の形態では、
図6に描写されているように、光ファイバーセット600は、光ファイバーと、石英キャップ606と、ガイドワイヤ634とを備えている。放射状のレーザー射出は、光ファイバー芯の遠位の末端の部分に形成された反射表面610を有する複数の表面の溝608を通して成し遂げられる。この場合、ガイドワイヤ634は、好ましくは、キャップ606の遠位の末端へ取り付けられる。これ故、ガイドワイヤ634を移動させる必要なく、光ファイバーセット600を一つの工程において所望する位置へ血管614を通り、容易に導入させ、かつ進めることが可能である。ひとたび適切な位置につけば、挿入箇所に向かって光ファイバーセット600を引っ込めている間、医師がレーザーの射出を始め、それにより血管614が縮み、好ましくは閉鎖される。
【0054】
図7aおよび7bにおいて、光ファイバーのもう一つの実施の形態が、概して参照符号700により指し示されている。光ファイバー700は、光ファイバーチップ700において配置された反射コーン742によって、放射状の射出を達成する。この実施の形態では、反射コーン742は、実質的円錐体形状の表面である凹面によって画定される。従って、ファイバー芯740を通して伝達される放射線は、ファイバーチップに達する際には放射状に360°を越えて射出される。好ましくは、コーン742の実質的円錐体形状の表面である凹面は、ファイバーを引き延ばした軸に関して、約30°から約50°の範囲内の鋭角である。上述した他の実施の形態で記載したように、円錐体形状である一つのこの新規な凹面の一つの利点は、周囲の脈管壁上への効率的な360°放射状射出を達成できるということである。
【0055】
図8aおよび8bにおいて、光ファイバーのもう一つの実施の形態が、概して参照符号800により指し示されている。光ファイバー800は、光ファイバーチップにおいて形成されている円錐体形状の反射ギャップにより、放射状の射出を達成する。見てわかるよう、ファイバー芯840の遠位の末端において形成されている実質的円錐体形状の表面である凸面と、射出放射線に対して実質的に透き通っており、かつそれらの間にギャップ844を形成するよう、射出表面に対して軸方向に間隔を空けている実質的円錐体形状の表面である凹面とによって、ギャップ844が画定されている。この実施の形態では、ギャップ844内の空気またはその他の気体と、ファイバー芯840との間の屈折特性における差異の結果により、ファイバー芯840を通って伝達される放射線は、ファイバーチップに到達した際に放射状に射出される。従って、近隣の周囲の脈管壁上へ、環状または円周方向のパターンにおいて、放射線は放射状に(すなわち、ファイバーの引き延ばした軸に関して側方において)射出される。この異なるチップの形状は、効率的な360°放射状射出に導く。見てわかるよう、相対的に薄い壁がギャップ844の外側の周囲とファイバー800の外面との間に、ファイバーチップ内のギャップを封じるように形成されている。このようにして、環状の放射状レーザー射出のためギャップにおいて必須である芯−気体の境界面を維持している。ここでの他の実施の形態で述べているように、この新規な形状は、周囲の脈壁上への効率的な放射状射出を導く。見てわかるよう、血管を通るチップの移動を促進させるため、ファイバー800の遠位のチップは、拡大した直径、または図中の実施の形態では実質的半球状の形である、丸くふくらんだ部分に画定されている。丸くふくらんだ部分は半球状の形となっているが、普遍的な技術をもつ当業者には認識されるだろうここでの教示に基づく適切な技術の任意の多くの異なる丸くふくらんだ、もしくはそのような形、および/または、現在知られている、もしくは後に知られるようになる形状としてもよい。
【0056】
図9において示すもう一つの実施の形態では、ファイバー900のキャップ906は、放射線反射材料のスリーブ946によって部分的に被覆されている。
図9内の矢印によって示されるように、ファイバーの射出部分の軸の長さをコントロールするために、スリーブ946はキャップ906およびファイバー900に関して軸方向に位置を変えることが可能である。見てわかるよう、スリーブ946は、放射状に射出する溝908の所望数、いくらかの部分または遠位の射出部分の全てを完全に被覆する配置にすることが可能である。従って、
図9の実施の形態の一つの利点は、医師が射出部分またはファイバーの部分の長さの調整ができることである。一つの実施の形態では、セグメント毎にそのような部分を切除し治療されるよう、脈管914またはその部分の長さに従って、射出部分の長さが位置される。もう一つの実施の形態では、実質的に全体に延長された射出部分で、一つまたはそれより多い静脈の治療箇所に進行的にレーザーを射出しながら、延長された射出部分がレーザーを射出している間に静脈を通って引き戻される。静脈部分が射出ファイバーの長さよりも短い場合、スリーブをレーザーを射出している間の静脈の外に位置する射出部分の被覆に使用してもよい。スリーブは、好ましくは、このような機能を果たす、適当な分野における普遍的な技術をもつ当業者に知られるタイプの反射材料によって作られる。完全な反射表面でさえも、反射された光はファイバーを通過し戻って進んでゆき、放射線のいくらかの部分が取り込まれ、いくらか散布し、さらにいくらか吸収されるだろう。従って、スリーブによって被覆された溝における射出されたエネルギーのいくらかの量は熱として失われるだろう。それにもかかわらず必要とされるパワー密度は低いので、そのような熱がどんなに蓄積しても、ELA治療の間において許容できる最小限の値内に維持することが可能である。
【0057】
図10を見ると、光ファイバーのもう一つの実施の形態が概して参照符号1100によって指し示されている。光ファイバー1100は、実質的に上述した
図1aおよび1bに関する光ファイバー100と類似しており、それ故、符号“1”の代わりに符号“11”によって先行されている類似の参照符号は、類似の要素を指し示すために使用されている。光ファイバー100と比較した光ファイバー1100の第一の差異は、光ファイバーチップが、保護キャップ1106内に封止されている実質的平坦な射出面1110に画定されていることである。キャップ1106は、放射線を通過させ脈壁内に進むことを可能にさせるため、射出された放射線を実質的に透き通す材料から作られている。一つの実施の形態ではキャップ1106は石英から作られており、上述したようにファイバー芯に粘着して接着させる。しかし、もし所望するならキャップが、現在知られている、または後に知られる任意の多くの異なる材料から作られ、任意の多くの異なる方法においてファイバーの遠位の末端に堅固として固定されていてもよい。見てわかるよう、保護キャップ1106はファイバーの平坦な射出面1110に対して相対的に遠位に延長しており、さらに、キャップされたファイバーの曲がった血管を通る移動を容易にするため、遠位の末端1107は丸くされている。キャップ1106の遠位の末端1107は、ファイバーの平坦な射出面1110に対して遠位に、好ましくはファイバー芯の直径の約2倍から約6倍の範囲内に、より好ましくはファイバー芯の直径の約3倍から約5倍の範囲内における軸上の距離に及んでいる。図示している実施の形態では、キャップ1106の遠位の末端1107は、ファイバーの平坦な射出面1110に対して遠位にファイバー芯の直径の約4倍における軸上の距離に及んでいる。見てわかるよう、保護キャップ1106は、平坦な射出面1110とキャップの遠位の末端1107との間に広がっている封止スペース1109を画定している。これは伝達された放射線の当該スペースおよびキャップの壁の通過を可能とするが、平坦な射出面と血管壁との間の任意の接触を防ぎ、ファイバーの射出面を保護することが可能である。上述した光ファイバー100と比較して、光ファイバー1100は、実質的円錐体形状の射出表面または実質的円錐体形状の反射表面とを画定していない。このように、光ファイバー1100は実質的円錐体形状のビームを前向きに、またはファイバーの軸上の方向において射出する。
【0058】
図11を見ると、光ファイバーのもう一つの実施の形態が、概して参照符号1200によって指し示されている。光ファイバー1200は、実質的に上述した
図10に関しての光ファイバー1100に類似しており、それ故符号“11”の代わりに符号“12”によって先行されている類似の参照符号は、類似の要素を指し示すために使用されている。光ファイバー1100と比較した光ファイバー1200の第一の差異は、ファイバー1200が、閉鎖された保護キャップよりもむしろ開口保護スリーブ1206を備えているということである。保護スリーブ1206は、放射線を通過させ脈壁内に進むことを可能にさせるため、射出された放射線を実質的に透き通す材料から作られている。一つの実施の形態では、保護スリーブ1206は石英から作られており、上述した保護キャップと実質的に同様の方法において、ファイバー芯に粘着して接着させる。しかし、もし所望するなら保護スリーブが、現在知られている、または後に知られる、任意の多くの異なる材料から作られていても、任意の多くの異なる方法によってファイバーの遠位の末端に堅固として固定されていてもよい。見てわかるよう、保護スリーブ1206は、ファイバーの平坦な射出面1210に対して遠位に延長しており、中央孔1209に向かって内側に丸くされた、または曲げられた遠位の末端1207を画定している。遠位の末端1207は、血管を通るファイバーチップの移動を促進するために、内側に曲げられている。保護スリーブ1207は、ファイバーの平坦な射出面1210に対して遠位に、好ましくはファイバー芯の直径の約2倍から約6倍の範囲内に、より好ましくはファイバー芯の直径の約3倍から約5倍の範囲内における軸上の距離に及んでいる。図示している実施の形態では、保護スリーブ1207は、ファイバーの平坦な射出面1210に対して遠位に、ファイバー芯の直径の約4倍における軸上の距離に及んでいる。上述した光ファイバー100と比較して、光ファイバー1200は、実質的円錐体形状の射出表面または実質的円錐体形状の反射表面を画定していない。このように、光ファイバー1200は実質的円錐体形状のビームを前向きに、またはファイバーの軸上の方向において射出する。
【0059】
ある一般に好まれる実施の形態の手術では、光ファイバーまたはその他の導波管は、まず治療される静脈の中に導入される。もし必要ならば、(好ましくはエピネフリンなしの)0.5%に希釈したリドカインのような、局所浸潤麻酔をアクセス箇所において導入してもよい。一つの実施の形態では、そのような局所麻酔の約1/2mlがアクセス箇所において使用される。導入針はアクセス箇所を通過し静脈の中に挿入され、静脈との接触を得る。その後、ガイドワイヤが導入針を通過して、静脈の中に導入されてもよい。それから、イントロデューサシースが静脈の中のガイドワイヤ上に導入されてもよい。イントロデューサシースは、現在知られている、または後に知られる任意の多くの異なるイントロデューサシースの形状で構わない。これには、アクセス箇所に近接した相対的に短い静脈の部分へのアクセスを供給する、短いイントロデューサシース(例えば、約11cm未満の長さ、もしくは約6cmから約11cmの範囲内に画定されるもの)、または、治療される静脈の長さより上に延長しうる、より長いイントロデューサシースも含まれる。ガイドワイヤは、その後シースを通過して取り除かれる。それから、ファイバーの射出チップが、大伏在静脈−大腿静脈接合部(“SFJ”)より約1から1/2cm、またはその他所望する距離の下流に配置されるまで、光ファイバーはイントロデューサシースを通過し、導入される。肌を通したファイバーチップのスタート位置を視覚的にモニターするために、超音波ガイダンスのもとで、および/または、ファイバーを通した赤もしくはその他の顕著な照準ビームの伝達によって、ファイバーチップはSFJより下流の適切なスタート位置に配置される。
【0060】
一般に好まれる実施の形態の一つの利点は、キャップまたはファイバーチップのその他の遠位の部分が丸く、それ故曲がった静脈を通過する際の挿入をより容易にし、たとえ全ての場合ではないとしても多くの場合において、イントロデューサシースおよびガイドワイヤの必要が除かれることである。一般に好まれる実施の形態では、ファイバーは外側の直径を約1235μmから約1365μmの範囲内としており、キャップは外側の直径を約1800μmから約2000μmの範囲内としており、キャップの丸みを帯びた遠位の部分は半径によって約900μmから約1000μmの範囲内に画定されている。従って、イントロデューサシースおよびガイドワイヤの使用を上述したが、そのような工程は除いてもよい。あるいは、もしイントロデューサシースが使用されても、ファイバーでレーザーが射出されプルバックされる前に、静脈から取り除いてもよい。例えば、もし長いイントロデューサシースが使用された場合、ファイバーでレーザーが射出されプルバックされる前に、イントロデューサシースを引き戻し、静脈の外に出せばよい。同様に、もし剥離イントロデューサシースを使用した場合、ファイバーでレーザーが射出されプルバックされる前に、シースを剥離し、静脈から取り除けばよい。もし相対的に短いイントロデューサシースが使用された場合、シースを静脈から取り除いてもよいし、または、レーザーの射出およびプルバックの間、アクセス箇所において位置を保たせておいてもよい。
【0061】
SFJよりすぐ下流のスタート位置またはその他所望するスタート位置においてファイバーチップを有し、血管の中へレーザーエネルギーが射出されるよう、レーザーが作動する。放射状射出ファイバーではレーザーエネルギーは好ましくは放射状および環状に、血管の周囲の壁上へ向けられる。一方、平坦チップのファイバーでは、実質的円錐体の軸方向に向けられたビームにおいて、レーザーエネルギーが射出している。放射線が射出される際、脈管の閉鎖を達成するのに充分に血管内皮の部分を損傷または殺傷するため使用する波長およびパワーに基づいた、実質的な所定の進度において、ファイバーは引き戻される。好ましくは、血管に伝えられる単位長さ毎のエネルギーが、静脈を閉鎖するために充分に高いが、治療される脈管の長さに沿った麻酔の必要を実質的に避けられるくらい充分に低いものとする。一般に好まれる実施の形態では、血管の治療領域へ伝えられる単位長さ毎のエネルギーは、平均で、80J/cm未満であり、好ましくは約50J/cm未満であり、より好ましくは約40J/cm未満であり、より好ましくは約30J/cm未満であり、より好ましくは約20J/cm未満であり、さらに好ましくは約10J/cm未満である。ある実施の形態では、血管の治療領域へ伝えられる単位長さ毎のエネルギーは、平均で、約3J/cmから約15J/cmの範囲内であり、好ましくは約5J/cmから約10J/cmの範囲内である。これらの実施の形態ではさらに後述するように、放射線の波長が、好ましくは相対的に水に強く吸収され、相対的にヘモグロビンまたはオキシヘモグロビンに吸収されにくい(例えば、≧約1064nm)。そのような所定のエネルギーレベルおよび/または波長の一つの利点は、(i)エネルギーが血管壁内へ実質全体的に吸収されてもよく、(ii)脈管の閉鎖が達成できるよう血管内皮に充分に損傷を与え、さらに(iii)血管を囲んでいる組織の中への任意の有意な放射線の透過が実質的に防がれ、それによって脈管の治療される部分に沿った麻酔の必要を実質的に避けられる。
【0062】
一般に好まれる実施の形態でも、レーザー放射線のようなエネルギーは、連続様式において、またはパルス化様式において供給されてもよい。パルス化様式におけるエネルギーの伝達は、連続様式におけるレーザーエネルギーの伝達と比較して、実質的に治療領域に対する麻酔の適用のない、血管の治療領域に対する長さ毎のエネルギーの、より高い平均レベルでの伝達を可能とするかもしれないということが発見された(すなわち、そうでなければ熱的に周囲の組織に損傷を与えているであろう、脈管壁を通過する任意の有意なエネルギーの透過を実質的に防いでいる一方、パルス化されたエネルギーのより多くの量が、連続様式のエネルギーと比較して、脈管内に吸収されるかもしれない)。さらに、パルス化様式における一般的な手法およびその他の要素が等しい全ての場合、“オン”と対照的にデューティサイクルが“オフ”である割合が大きいほど、実質的にそのような治療領域に沿った麻酔の投与が必要とならない、血管の治療領域への単位長さ毎に射出される平均におけるエネルギーがより高くなるだろう。あるそのような実施の形態では、“オフ”がデューティサイクルの約1/2より大きく、好ましくは“オフ”がデューティサイクルの約1/2から約2/3である。パルスは、連続様式の射出と比較して、脈壁組織内での放射線破壊率を著しく増加させることが可能であり、それ故パルスなし(例えば連続様式)よりも与えられたエネルギー射出率毎の浸透の深度(例えば、血管内エネルギー射出装置によって射出される平均のJ/cm)がより低いという結果となる。従って、パルス様式における射出エネルギーの一つの利点は、より高いエネルギー射出率を可能とし、このため、脈管の治療される部分に沿った麻酔の使用なしに、血管内皮へ、より高いエネルギー量を射出しても問題がないということである。ここでは、デューティサイクルで血管へ射出されたエネルギーを受けるための、現在知られている、または後に知られる任意の多くの異なる方法(すなわち、繰り返し周期、エネルギー射出が活発である断片、およびエネルギー射出が不活発である別の断片)を意味する間隔での“パルス化様式”が使用される。これには、シャッターを用いたような、パルス、エネルギー源のオンおよびオフの繰り返し切替、ならびにエネルギービームの中断を含むがこれらに限らない。
【0063】
ある一般に好まれる実施の形態では、放射線の波長は約1470nm±約30nmである。その他の好まれる実施の形態では、放射線の波長は約1950nm±約30nmである。その他の実施の形態では、約810nm、約940nm、約1064nm、約1320nm、約2100nm、約3000nmおよび約10000nm、それぞれ±約30nmの放射線を使用する。ヘモグロビンまたはオキシヘモグロビン中よりも水中で著しくより高く吸収される波長の一つの利点は、そのような波長は血液中で強く吸収されないが、血管組織中で強く吸収されることである。従って、そのような波長は、ファイバーの射出表面と脈管壁との間に介在する血液を実質的に通り抜ける傾向があり、その後、脈管壁中に強く吸収される。所定のエネルギー射出率に劣って射出されたそのような波長は、血管壁組織内へ実質全体的に吸収され、そして、血管閉鎖を促進させるため、血管内皮の充分な深度を損傷または殺傷する。好ましくは、そのような血管内皮への損傷は、平均でのレベルにおいて少なくとも約1/3の血管内皮の厚さ、または、平均で約1/3から約2/3の血管内皮の厚さである。結果として、そのような波長は、相対的に低い所定のエネルギー射出率において、より容易に吸収されることが可能である(例えば、血管の治療箇所への平均での射出が、約50J/cm未満であり、好ましくは約40J/cm未満であり、より好ましくは約30J/cm未満であり、より好ましくは約20J/cm未満であり、そしてさらに好ましくは約10J/cm未満である)。当該低いエネルギー射出率は、それにもかかわらず、血管閉鎖を促進するために、血管内皮の充分な深度を損傷または殺傷するのに足りるものである。さらに、そのような放射線は血管壁内において実質全体的に吸収されるため、脈壁の近くまたは隣接した組織の任意の加熱を実質的に防ぎ、そのため、実質的に血管の治療する部分の麻酔なしに処置を行うことが可能である(例えば、膨潤ではない局所麻酔を、アクセス箇所のみにおいて、または、医者の思慮分別の範囲内もしくは個々の基準での患者の要望で、一つもしくはいくつかの分散した場所のみにおいて適用してもよい)。そのような波長は好ましくは約1064nm以上であり、約1320nm、約1470nm、約1950nm、約2100nm、約3000nmおよび約10000nm、それぞれ±約50nmを含むがこれらに限らない。
【0064】
ある実施の形態では、放射線の波長は約1470nm±約30nmであり、パワーが約10Wより小さく、好ましくは約8Wより小さく、より好ましくは約5Wより小さく、最も好ましくは約1Wから約3Wの範囲内である。一つの実施の形態では、レーザーは連続様式において放射され(もし所望するならパルス様式を使用してもよいが)、レーザーは、約1sec/cmから約20sec/cmの範囲内の進度、より好ましくは約3sec/cmから約15sec/cmの範囲内の進度、最も好ましくは約5sec/cmから約10sec/cmの範囲内の進度において引き戻される。一つの例示的な実施の形態では、おおよそ1470nmの放射線を約2Wのパワーレベルと約5sec/cmのプルバック進度で実質的に放射状に適用することによって、おおよそ10cmの長さのGSVが閉鎖された。特にこの例では、アクセス箇所のみにおいて局所浸潤麻酔が適用され、残りの処理の間はずっと適用もされず、さもなければ必要とされることもなかった。
【0065】
その他の例示的な実施の形態では、石英キャップ内に封止された平坦チップファイバーを使用して(
図10参照)、多くの異なる静脈(GSV)が閉鎖された。放射線は約1470nmであり、単位長さ毎の血管へ射出されるエネルギーは平均で約10J/cmである(すなわち、約10sec/cmのプルバック進度における約1W)。これらの場合のそれぞれでは、局所膨潤または一般麻酔は使用しなかった。むしろ、局所浸潤麻酔(エピネフリンなしの1/2%リドカイン)が、患者の要望または医師の思慮分別においてのみ適用された。ある場合では、患者は麻酔を使用しなかった。その他の場合では、アクセス箇所において少量が適用された。その他の場合では、アクセス箇所およびSFJの近隣において少量が適用された。SFJの近隣の領域においてそのような局所麻酔を少量適用する一つの理由は、この領域における静脈の直径が典型的に最も大きく、そのため、プルバック進度およびこの領域における単位長さ毎の血管へ射出される平均エネルギーが、遠位に位置する治療領域よりもより高くなるためだろう。
【0066】
その他の例示的な実施の形態では、石英キャップ内に封止された平坦チップファイバーを使用して(
図10参照)、多くの異なる静脈瘤(GSV)が閉鎖された。適用した放射線の波長は約1470nmであった。第一のプロトコルは、約20J/cmから約30J/cmの範囲内の割合における放射線の射出である。しかし、ある患者はより低いエネルギー射出率で受け取り(約10J/cmから約20J/cmの範囲内)、そのため単位長さ毎のエネルギーは平均で約10J/cmから約30J/cmの範囲内であった(平均は約22J/cmであった)。連続様式での第一のプロトコルも、約3Wのパワーレベルにおける放射線の射出である。しかし、ある患者は50%のデューティサイクルにおいてパルス化された約3Wを受け取った(約1/2秒オン、約1/2秒オフ)。静脈の直径は、約3mmから約22mmの範囲内であった(平均静脈直径は約8.2mmであった)。全ての処置は、膨潤麻酔または一般麻酔を何も使用せず、また、何の静脈の前形成もしくはその他の圧縮もなしに行われた。何人かの患者は全く麻酔を受けずに、その他は局所浸潤麻酔(エピネフリンなしの1/2%リドカイン)の相対的少量を受けた。治療した31人の患者において、全体の処置にわたって使用された局所麻酔の平均量は約28mlであり、7人の患者は10mlよりも少量を受けていた。一般的事項として、エネルギー伝達率が小さくなればなるほど、必要またはそうでなければ要望される麻酔量が少なくなると考えられている。さらに、一般的事項として、レーザー放射線のパルス化伝達は、連続様式伝達よりも、より少ない麻酔量に関連していた。全ての場合において、麻酔は医師によって必要と思われる、または患者が要望する際に、局所的に適用された。手術後24時間の結果で、治療した静脈の90%以上が優れた静脈壁厚で閉鎖されたことが証明された。さらに、手術後の斑状出血および報告された痛みはほとんどなかった。患者の約5から10%のみにおいて、主に静脈のアクセス箇所にいくらかの紫斑が報告された。また、報告された手術後の不快は最小であり、患者の少数がOTCの痛み止め(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン等)の使用を報告した。
【0067】
従って、一般に好まれる実施の形態の有意な利点は、局所膨潤麻酔または一般麻酔のいずれも必要としないということである。上述したように、多くの場合において、もし少しでも必要とされるなら、静脈へのアクセス箇所において局所浸潤麻酔の少量のみを適用しても構わない。もし処置の間に、患者が何らかの不快を感じたなら、医師は少量の局所浸潤麻酔(例えば、リドカインの好ましくはエピネフリンを含まないもの)を、不快の局所または領域に適用してもよい。任意の場合、約1バイアル(約50ml)以下の局所浸潤麻酔(例えば、エピネフリンなしの0.5%リドカイン)が処置の間、手元に必要とされる。さらに、治療される静脈の長さ、および/または、知覚または直面される任意の不快に対する患者の感受性により、もしあるのならそのようなバイアルの少量のみを必要としてもよい。
【0068】
本開示のある実施の形態は、治療領域に麻酔をするための、大腿運動のブロックではなく感覚のブロックを果たす、大腿神経の近隣への充分な麻酔の投与を含む。一つのそのような処置には、次の工程が含まれる。超音波ガイダンスによって、SFJと大腿骨の動脈との間の大腿神経の分岐を位置づける。超音波のガイダンスの元で、(血管、または、治療される血管を囲っている任意のシースの外側の)神経に触れることのない近隣の位置の神経より上へ、所定の量の局所麻酔(例えば、約1/2%リドカイン)を注入する。所定の局所麻酔の量は、感覚のブロックを引き起こすために充分だが、運動のブロックを引き起こすために不充分なものである。一般に好まれる実施の形態では、所定の量は、約1/2%リドカインの約10から約30ccの範囲内であり、最も好ましくは約1/2%リドカインの約15から約25ccの範囲内である。麻酔の量は希釈率(例えば、生理食塩水またはその他の溶媒中のリドカインの濃度)によって変えても構わない。概して、リドカインの濃度がより高い場合、注入される量はより低くなり、逆もまた同様である。概して、処置の間の任意のさらなる麻酔の適用は必要ではない。しかし、もし要望されるなら、局所用麻酔または希釈したリドカイン数ccのような、少量の局所麻酔をアクセス箇所において適用してもよい。その後、処置は上述したように行われる。例えば、静脈の中へ針が導入され、短いイントロデューサシースが針を通り静脈の中へ導入され、イントロデューサシースを通りSFJまでキャップされたファイバーが導入され、レーザーが放射、かつ約20J/cmから約30J/cmの進度でファイバーが引き戻され、そうでなければこの中に記載されているような別な方法による。
【0069】
本開示のその他の実施の形態は、治療領域を局所的に麻酔するための、治療される血管の内部への点滴静脈注射の使用を含む。一つのそのような処置には、もし要望されればアクセス箇所における肌を麻酔するため、アクセス箇所において少量のリドカイン(例えば、希釈したリドカイン数cc)を導入する工程が含まれる。アクセス箇所を通り、治療する血管の中に針を導入する。血管の中の針を通り、短いイントロデューサシースを導入する。短いイントロデューサシースを通りシースファイバーを導入し、かつシースファイバーのチップをSFJより下流のスタート位置に配置する。シースファイバーは、シースとファイバーとの間への液体の導入を可能とし、さらに、ファイバーチップに対して近位の血管中への滴下もしくはその他の方法の液体の配合を可能とする(希釈麻酔溶液の場合)、ファイバーチップに対して近位に一つまたはそれ以上の出入口を含む、典型的な“液体を冷やした”ファイバーとしてもよい。血管の中への希釈した麻酔溶液の(例えば、希釈したリドカイン)滴下は、SFJまたはSFJより下流のスタート位置において始まる。リドカインの効果が出た後、レーザーが放射され、かつ所望する進度でファイバーが引き戻される(例えば、約20J/cmから約30J/cmの進度において、またはそうでなければここに開示した方法において)。希釈した麻酔のための出入口はファイバーチップの近位に位置しており、そのため、レーザーが射出される血管の部分がレーザー射出前には麻酔がされているよう、レーザー射出の丁度前に血管の部分に麻酔が適用される。
【0070】
本開示のその他の実施の形態は、血管へのファイバーの導入前の、膨潤でない局所麻酔の適用による、局所的な治療領域の麻酔に関連する。あるそのような実施の形態では、アクセス箇所、血管の中央の地点(例えば“ハンター交差(Hunters Crossing)”もしくは隣接する地点)、および、SFJもしくはその近接する場所において、希釈した少量の麻酔(例えば、約1%に希釈したリドカイン)が注入される。それぞれの場所において注入される局所麻酔の量はわずかに約3から約5mlであり、投与される合計の量は約9から約15ml以下である。
【0071】
その他の実施の形態では、患者をリラックスさせる、ならびに/または、鎮痛、麻酔および/もしくは痛みの刺激に対する減少させた感受性を作り出す、一般的に知られているまたは後に知られる、任意の多くのその他の方法および治療を用いてもよい。そのような方法または治療は、電気刺激、電気麻酔、神経刺激、神経調整、ならびに、鎮痛、麻酔および/もしくは痛みの刺激に対する減少させた感受性を作り出すその他の身体的もしくは言語的方法を含むが、これらに限られない。その他のそのような方法には、例えば、経皮(transcutaneous or percutaneous)神経刺激、深部刺激、後部脊髄刺激および経頭蓋電気刺激に基づく電流による鎮痛を含む。麻酔および鎮痛の先の記述は、開示した腔内治療装置および方法に関連して、何らかの麻酔および鎮痛が必要とされることを意図しているわけではない。むしろ、多くの好まれる実施の形態は麻酔剤または鎮痛剤を全く用いない。または、ほとんどは、アクセス箇所、もしくは患者が知覚、直面した任意に位置する痛みを処理するためのその他の分散した場所において、局所麻酔剤または鎮痛剤を少量用いる。
【0072】
従って、ここに開示された装置および処置の重要な利点は、膨潤性技術に関する上述した欠点が避けられる可能性がある。これには、そのような麻酔に関する潜在的な毒性および/または反対する患者の反応、周囲の組織に対する熱的損傷のより高い発生率、ならびに、手術後の痛みおよび腫脹性技術処置で用いられる相対的に高いエネルギーレベルでできてしまう紫斑が含まれる。先行技術の腫脹性技法処置の元での、一般に好まれる実施の形態の別の利点は、血管の中へのエネルギー印加装置の導入前と後とにおいて血管がほとんど同じサイズに維持され、さらにエネルギー印加装置への助けとなる、前もっての血管壁の形成、平坦化、圧縮および移動が実質的になく、血管の周囲の壁の中へエネルギーが印加されることである。
【0073】
上述したように、キャップまたはファイバーの射出末端におけるその他の構造は、丸く、ファイバーチップに対して相対的に大きい直径の遠位の領域を与え、そのため中への挿入および静脈を通るプルバックの容易さを促進する。先行技術の露出したチップファイバーと比較して、そのように拡大しているファイバーチップ構造のもう一つの利点は、静脈内腔のより大きな量または部分をずらすことである。さらに、ある一般に好まれる実施の形態のもう一つの利点は、静脈壁の周囲の環状の領域の中へファイバーから放射状および環状にレーザー放射線が射出され、このため、先行技術ELAの方法および装置と比較して、静脈壁の中へより直接的および効果的に放射線を伝達させることである。さらに、ある一般に好まれる実施の形態のもう一つの利点は、先行技術の露出したチップまたはその他の平坦な射出末端面のファイバーと比較して、光ファイバーチップは著しくより大きな射出表面領域となり、そしてさらに放射線が側方的に/放射状に射出されることである。その結果、レーザー放射線は周囲の静脈壁組織の著しくより広い領域の中へ直接的に伝達され、そのため先行技術ELA処置と比較して著しく低いパワー密度において伝達でき、それによって静脈壁穿孔、周囲組織の過熱、ならびに、患者に対する関連する痛みおよび/または不快を引き起こすかもしれない、実質的な局所的ホットスポットなく治療を促進することができる。従って、一般に好まれる実施の形態のさらなる利点は、先行技術ELA処理と比較して著しくより低いパワーレベルを使用できるだろうということである。
【0074】
ある一般に好まれる実施の形態のさらなる利点は、使用されるレーザー波長が水において高く吸収され、そのため血管壁組織において高く吸収されるということである。その結果、吸収する内皮を殺傷または損傷し、その後血管閉鎖を達成するよう、血管壁の周囲の環状の部分または血管内皮の充分な深度まで、レーザー放射線は直接的に伝達され、吸収される。血管閉鎖という言葉またはそれに類似した言葉は、ここでは、血管の治療を伴い、血管を通る血液の流れを実質的に防ぐのに重要である、血管の閉鎖または縮小を意味するために使用されている。さらに、ある一般に好まれる実施の形態のもう一つの利点は、レーザー放射線が直接的および効果的に血管壁へ伝達され吸収されるので、周囲の組織による放射線の任意の有意な量の吸収およびその結果の熱的損傷が、実質的に避けられる。その結果として、一般に好まれる実施の形態は、先行技術ELA処理よりも必要とするパワー入力が少ないだけでなく、麻酔剤の必要性もより少なくし、さらに、たとえあるとしても、局所膨潤麻酔ならびにその様々な欠点および不利益の除去を可能とする。
【0075】
もし必要とするなら、レーザー射出およびファイバーのプルバックの前に、冷却した生理食塩水フラッシュのような生理食塩水フラッシュを使用し静脈を冷却および/または凍えさせてもよい。あるそのような実施の形態では、治療前の静脈の凍えを促進させるために、生理食塩水フラッシュを氷冷させる(例えば、約30°Fから約40°F、およびより好ましくは約32°Fから約35°F)。一つの実施の形態では、氷冷した生理食塩水フラッシュは、ファイバーが挿入される前に、イントロデューサシースを通り静脈の中に導入される。もう一つの実施の形態では、氷冷した生理食塩水フラッシュは、レーザーが射出される前の、ファイバーの挿入後および/またはイントロデューサシースが引っ込む間に、イントロデューサシースを通り導入される。もう一つの実施の形態では、氷冷した生理食塩水フラッシュは、レーザーが射出されファイバーがプルバックされている間に、ファイバーを囲んでいるシースを通り導入される。最後の実施の形態では、氷冷した生理食塩水フラッシュは、ファイバーの射出チップの近位に配置された(例えば、石英キャップの基部における)一つまたはそれ以上の出入口を通り、導入される。一つのそのような実施の形態では、通常の液体の冷却されたファイバーシース構造を用いる。
【0076】
ある実施の形態では、静脈を通るスムースなプルバック、および/または、実質的一定もしくはその他所望する進度でのプルバックを促進させるため、ファイバーまたはその他導波管に超音波エネルギーが適用される。一つの実施の形態では、レーザー射出およびプルバックの間に、射出チップまたはファイバーの領域に超音波振動を与えるため、超音波トランスデューサーまたはバイブレーターがファイバーの近位の末端に接続される。もう一つの実施の形態では、静脈を通るレーザー射出およびプルバックの間に、超音波トランスデューサーまたはバイブレーターを、キャップ、またはその他射出チップもしくはファイバーの領域の近隣に付着させ、そこに超音波振動を与えるようにする。
【0077】
本開示のある実施の形態では、ファイバーは、フルオロポリマーでキャップされた医療用ファイバーであり、または、フルオロポリマーの射出表面を有する医療用レーザーもしくは光エネルギー伝達装置に基づくその他のファイバーである。フルオロポリマーの射出表面の一つの利点は、血管壁または脈管内の凝固した任意の血液に対して突き刺しにくく、そのため、他の装置よりも血管を通るプルバックがしやすくなるだろう。
【0078】
もう一つの好まれる実施の形態では、光ファイバーセットは、三つまたはそれ以上の形状記憶伸長アームを加える。治療セットを挿入している間、伸長アームは保護コーティングと完全に接触している。適切な位置に来ると、内部/外部のエネルギー源によって伸長アームは作動し、血管の内側の表面に接触するまでその遠位の末端を伸長する。結果として、光ファイバーセットは標的組織の内部の実質的中央に位置し、実質的均等な内側の表面の加熱、および静脈壁への接触または穿孔のさらなる防止を、それ以上に促進する。実質的均等に表面が加熱されるということは、より一様に緊縮し、効果的に血管を縮小させ所望する場所を閉鎖するはずである。
【0079】
一般に好まれる実施の形態では、波長は、約1470nm±約30nmおよび/または約1950nm±約30nmのような、標的組織において適度に高い吸収を提供するものが選ばれる。これらの波長は単なる例示であり、適当な分野における通常の技術を有する当業者によって認識される、現在知られているまたは後に知られる、任意の多くのその他の波長のものも同様に使用してもよい。これには、約810nm、940nm、980nm、1064nm、1320nm、2100nm、3000nmおよび10000nm、それぞれ±30nmが含まれるがこれらに限らない。1470nmおよび1950nmの波長の一つの利点は、これらは水において高く吸収され、それゆえ血管壁の標的組織において高く吸収されるということである。血管壁の組織における1470nmおよび1950nmの吸収は980nmよりも約1から3桁高く、かつほとんどのその他の商業上利用できる波長よりもその桁は著しく高い。
【0080】
一般に好まれる実施の形態の保護的放射線透過キャップは、ファイバーに対して共通に譲渡されている、2006年11月3日に申請された米国特許出願第11/592,598号の標題“Side Fire Optical Fiber For High Power Applications”の教示に従って製造、および組み合わせてもよい。この言及により、その全体を本開示の一部として明確に組み込む。装置のファイバーおよびその他の要素は、共通に譲渡されている、速達郵便番号EB429577158USの元で2008年2月28日に申請された米国仮特許出願第61/067,537号の標題“Rapid Insertion Device And Method For Improved Vascular Laser Treatment”に開示されている装置、要素またはそれらの多様な面と同様または類似していてもよい。この言及により、その全体を本開示の一部として明確に組み込む。
【0081】
上述したように、ある好まれる実施の形態では、平均で少なくとも約1/3の血管内皮の厚さの熱的損傷もしくは殺傷、または、平均でその厚さの約1/3から約2/3の範囲内の血管内皮の深度の熱的損傷もしくは殺傷により、血管閉鎖は果たされる。さらに上述したように、水において強く吸収され、所定のエネルギー伝達率が適用される波長は、少なくとも約1/3または約1/3から約2/3の範囲内の深度において実質全体的に吸収され、そして当該血管内皮の厚さは周囲の組織内への放射線のいくらかの有意なレベルの伝達を防ぐ。それによって、治療する脈管に沿った麻酔剤の必要を避ける。放射線以外の機構で血管閉鎖を促進させ、血管内皮を損傷させてもよい。例えば、米国特許第6,402,745(“‘745特許”)には静脈切除のための静脈内ウィップ電極が示されており、この言及によりその全体を本開示の一部として明確に組み込む。‘745特許のある実施の形態では血管内皮へ電気エネルギーを伝達しないが、それに反して他の実施の形態では伝達する。本開示の一つの実施の形態によると、静脈内装置は、公開されているように、血管内皮の削剥または減磨のための回転ウィップまたは他の装置を含んでいる。公開されている例として、‘745特許のウィップまたは他の装置での削剥または減磨動作が組み合わされており、血管内皮へ充分なエネルギーを伝達する一体型の血管エネルギー印加装置は、内皮の少なくとも約1/3から約2/3の深さを損傷し血管閉鎖を果たす。あるそのような実施の形態では、エネルギー印加装置は、水に強く吸収される放射線波長(すなわち、約1064nmまたはそれより大きいもの)を伝達する、光導波管である。あるそのような実施の形態では、放射線はパルス化され、血管の治療する(多)区分に沿った何らかの麻酔剤が実質的にない、相対的に高いエネルギー伝達率を可能とする。ウィップまたは類似した装置での削剥または減磨動作は、血管壁に対してより低いエネルギー伝達率でも、充分に脈壁に損傷を与え、脈壁の治療する(多)区分に沿った麻酔剤の使用なしに閉鎖する
【0082】
伴う図面に関し、様々な好まれる実施の形態を述べたが、本発明はこれら通りの実施の形態に限られず、本分野における技術を持った当業者による、添えられた特許請求の範囲において画定された本発明の視野または意図から離れていない多様な変化および変形例もこの中にもたらされると解釈されるべきである。例えば、放射線はパルス化または連続様式において射出されることが可能であり、一つまたはより多くのレーザー波長を含むことも可能である。さらに、LEDsおよびスーパールミネッセントLEDsを含むがこれらに限らない、レーザー以外の手段によって放射線が供給されることも可能である。さらに、光ファイバーは、現在知られているまたは後に知られる、任意の多くの異なる光ファイバーまたは導波管から形成してもよい。すなわち、芯、クラッディング、被覆物、末端キャップ、保護スリーブ、射出表面、反射表面、および/または、グラディエントレンズも現在知られているまたは後に知られる、任意の多くの異なるものでよいことを画定している。例えば、露出されたファイバーの多くがここではキャップされていたが、露出したチップされたファイバーも含むキャップなしのファイバーを用いてもよい。さらに、射出表面は、現在知られているまたは後に知られる、多くの異なる形状または輪郭でもよい。例えば、ある実施の形態では実質的円錐体形状の射出表面を使用したが、その他弓状表面外形となっている射出表面(すなわち、カーブしている表面外形)、または、一つもしくはより多くの平面および/または角度のついた射出表面のような非弓状表面外形も同様に使用しても構わない。さらに、静脈中の治療の方法は、麻酔剤を用いる、または用いない、多くの異なる任意の装置を使用してもよい。これにはシースもしくはカテーテルを用いない、または、シースもしくはカテーテルの任意の多くの異なる型を用いることが含まれるが、これらに限らない。さらにこれには、ガイドワイヤを用いないもしくはガイドワイヤを用いる、短い、長いおよび/または剥離イントロデューサシースを含むがこれらに限らない。さらにこれには、ファイバーまたは導波管へ取付できる、ファイバーまたは導波管から脱離できる、および/または、ファイバーまたは導波管へ全く取付できないガイドワイヤを含むがこれらに限らない。さらに、ここに開示した本発明の様々な面に従い、現在知られている、または後に知られるエネルギーおよびエネルギー印加装置の任意の多くの異なる形態も、血管を治療するために同様に用いてもよい。例えば、エネルギー印加装置は、(i)上述したようなレーザーエネルギーを射出する導波管または光ファイバー、(ii)マイクロウェーブエネルギーを射出するマイクロウェーブカテーテルまたは装置、(iii)RFエネルギーを射出するRFカテーテルまたは装置、(iv)電気エネルギーを射出する電気カテーテルまたは装置、および、(v)超音波エネルギーを射出する超音波カテーテルまたは装置の形態が挙げられる。従って、一般に好まれる実施の形態のこの詳細な記載は、趣旨を制限されることなく例証として取り入れられるべきである。
【0083】
(付記1)
引き延ばされた軸と、放射線源に光学的に接続可能な近位の末端と、血管内に受容可能であり、周囲の脈管壁の角ばって延長している部分上へ、前記放射線源から、導波管の前記引き延ばされた軸について側方に放射線が射出される放射線射出表面を含む遠位の末端と、を画定する可撓性導波管を備える、
ことを特徴とする血管腔内治療装置。
【0084】
(付記2)
前記射出表面は、前記導波管の前記引き延ばされた軸について角度をつけられている、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0085】
(付記3)
前記射出表面は、前記導波管の前記引き延ばされた軸について、鋭角に方向づけられている、
ことを特徴とする付記2に記載の装置。
【0086】
(付記4)
前記射出表面は、弓状表面外形である、
ことを特徴とする付記3に記載の装置。
【0087】
(付記5)
弓状射出表面は、少なくとも約90°の角度にわたって延長している、
ことを特徴とする付記4に記載の装置。
【0088】
(付記6)
弓状射出表面は、約90°から約360°の範囲内の角度にわたって延長している、
ことを特徴とする付記4に記載の装置。
【0089】
(付記7)
前記射出表面は、前記導波管の遠位のチップを画定している、
ことを特徴とする付記4に記載の装置。
【0090】
(付記8)
前記射出表面は、実質的円錐体形状である、
ことを特徴とする付記7に記載の装置。
【0091】
(付記9)
前記射出表面は、実質的凸形状または実質的凹形状のいずれかである、
ことを特徴とする付記8に記載の装置。
【0092】
(付記10)
前向きに向けられる放射線を前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に反射するため、前記射出表面と相対的に遠位に間隔を空け対面している反射表面をさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0093】
(付記11)
前記射出表面は前記導波管の前記引き延ばされた軸について実質的放射状に放射線を射出し、前記反射表面は前記導波管の前記引き延ばされた軸について実質的放射状に放射線を反射する、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
【0094】
(付記12)
前記反射表面は、前記導波管の前記引き延ばされた軸について鋭角に方向づけられている弓状表面外形を画定している、
ことを特徴とする付記10に記載の装置。
【0095】
(付記13)
前記反射表面は、実質的円錐体形状である、
ことを特徴とする付記12に記載の装置。
【0096】
(付記14)
前記反射表面は、実質的凸形状または実質的凹形状のいずれかである、
ことを特徴とする付記13に記載の装置。
【0097】
(付記15)
前記導波管と堅固に固定され封止されており、その中に前記射出表面を囲み、前記周囲の脈管壁上へ前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に射出放射線を屈折させる気体と導波管との境界面を画定している被覆物をさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0098】
(付記16)
前記被覆物は、前記射出放射線について実質的に透き通るキャップである、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
【0099】
(付記17)
前向きに向けられる放射線を前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に反射するため、前記射出表面と相対的に遠位に間隔を空け対面し、前記被覆物内に囲まれている放射線反射表面をさらに備える、
ことを特徴とする付記15に記載の装置。
【0100】
(付記18)
前記導波管の遠位の領域に沿って互いに軸方向に間隔が空いている複数の放射線射出表面によって画定される、側方放射線射出遠位領域をさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0101】
(付記19)
前記導波管の遠位のチップにおいて形成されている第1の放射線射出表面と、前記第1の放射線射出表面について近位に位置し、互いに軸方向に間隔が空いている複数の第2の放射線射出表面とをさらに備える、
ことを特徴とする付記18に記載の装置。
【0102】
(付記20)
前記第1の放射線射出表面は、実質的円錐体形状であり、
それぞれの前記第2の放射線射出表面は、前記導波管の前記引き延ばされた軸について角度がつけられている弓状表面外形を画定しており、
それぞれの前記第2の放射線射出表面は、前記脈管壁の周囲の弓状部分上へ、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に、前記導波管を通って伝達される放射線の一部を側方に射出し、任意の下流の前記第2の放射線射出表面および前記第1の放射線射出表面によって、前記導波管を通過する残りの前記伝達される放射線の側方の射出を可能とする、
ことを特徴とする付記19に記載の装置。
【0103】
(付記21)
前記側方放射線射出遠位領域を囲み、前記導波管の外部について封止している前記複数の放射線射出表面のそれぞれにおける気体境界面を形成し、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に放射線を反らせるよう角度がつけられている弓状表面外形の前記複数の放射線射出表面をもって協同している、軸方向延長被覆物をさらに備える、
ことを特徴とする付記18に記載の装置。
【0104】
(付記22)
前記被覆物は、射出放射線について実質的に透き通り、前記導波管に蛇行した前記血管を通る経路上で屈曲するのを可能にするほど充分に可撓性を有する、
ことを特徴とする付記21に記載の装置。
【0105】
(付記23)
前記導波管上を滑ることができるよう取り付けられるスリーブをさらに備え、
内部への射出放射線の側方への反射、および、前記側方放射線射出遠位領域の軸の長さの調整のための内部放射線反射表面を画定する、
ことを特徴とする付記18に記載の装置。
【0106】
(付記24)
放射線源と、
前記血管内の温度をモニタリングし、そこで示すシグナルを伝達するための、前記導波管の遠位の領域と熱的に連結されている温度センサと、
そこでの前記放射線源のパワー出力を調整するための、前記温度センサと電気的に連結されているコントロールモジュールとをさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0107】
(付記25)
前記導波管のプルバックスピードを調整するための、前記導波管と推進可能に連結されているプルバックアクチュエータをさらに備え、
前記コントロールモジュールは、前記導波管の前記遠位の領域における温度に基づく前記導波管の前記プルバックスピードを調整するために、前記プルバックアクチュエータと電気的に連結されている、
ことを特徴とする付記24に記載の装置。
【0108】
(付記26)
前記導波管に脱離可能に連結されており、前記血管を通って前記導波管を導くため、前記導波管の遠位のチップを越えて遠位に延長している遠位部分を含むガイドワイヤをさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0109】
(付記27)
前記ガイドワイヤは、機械的に前記導波管に接続されており、前記ガイドワイヤ上で遠位に押すことでは前記導波管から脱離不可能であるが、前記ガイドワイヤ上で近位に引くことで前記導波管から脱離可能である、
ことを特徴とする付記26に記載の装置。
【0110】
(付記28)
前記導波管のチップに堅固に固定され、そこから遠位に延長しているガイドワイヤをさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0111】
(付記29)
前記導波管は、前記放射線射出表面を囲む被覆物を含み、
前記被覆物は、前記導波管について封止されており、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に射出放射線を屈折させるよう前記射出表面の角度と協同する気体境界面を画定しており、
前記ガイドワイヤは、前記被覆物に堅固に固定され、それよりも遠位に延長している、
ことを特徴とする付記28に記載の装置。
【0112】
(付記30)
前記放射線射出表面は、遠位のチップから前記導波管の前記引き延ばされた軸に向かって内部へ角度がついている、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0113】
(付記31)
前記放射線射出表面は、実質的円錐形状である実質的凹形状を画定している、
ことを特徴とする付記30に記載の装置。
【0114】
(付記32)
前記導波管の前記遠位のチップは、そこからの近位に延長している前記導波管の部分と比較して拡大している幅を画定している、
ことを特徴とする付記30に記載の装置。
【0115】
(付記33)
前記遠位のチップは、前記血管を通る前記導波管の挿入を促進するよう丸みを帯びている、
ことを特徴とする付記32に記載の装置。
【0116】
(付記34)
前記導波管の遠位の領域は、前記導波管の外部について封止され、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に射出放射線を屈折させるための前記放射線射出表面における気体境界面を形成する、囲まれている空間を画定している、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0117】
(付記35)
前記放射線射出表面は、実質的円錐体形状である、
ことを特徴とする付記34に記載の装置。
【0118】
(付記36)
前記導波管は、光ファイバーである、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0119】
(付記37)
約10W以下のパワーにおいて、約1470nmおよび約1950nm±約30nmの少なくとも一つのレーザー放射線を供給する、少なくとも一つのレーザー源をさらに備え、
前記導波管の前記近位の末端は、前記少なくとも一つのレーザー源と光学的に連結されており、
前記導波管の前記射出表面は、前記周囲の脈管壁上へ、軸方向に延長している環状パターンにおいて、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に放射線を射出する、
ことを特徴とする付記1に記載の腔内レーザー切除装置。
【0120】
(付記38)
前記導波管に推進可能に連結され、平均で約30J/cm未満の前記血管壁へのエネルギー伝達率でレーザー放射線を伝達する間に、前記血管を通って前記導波管を引き戻せるよう構成されている、電気プルバック装置をさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の装置。
【0121】
(付記39)
引き延ばされた軸と、放射線源に光学的に接続可能な近位の末端と、血管内に受容可能であり、周囲の脈管壁の角ばって延長している部分上へ、前記放射線源から、導波管の前記引き延ばされた軸について側方に放射線が射出される手段を含む遠位の末端と、を画定する可撓性導波管を備える、
ことを特徴とする血管腔内治療装置。
【0122】
(付記40)
射出手段は、前記導波管の前記引き延ばされた軸について角度がついている放射線射出表面を含む、
ことを特徴とする付記39に記載の装置。
【0123】
(付記41)
射出表面が実質的凸形状および実質的凹形状のうちの一つである、
ことを特徴とする付記39に記載の装置。
【0124】
(付記42)
前記射出表面は、実質的円錐体形状である、
ことを特徴とする付記41に記載の装置。
【0125】
(付記43)
前向きに向けられる放射線を前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に反射する手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記40に記載の装置。
【0126】
(付記44)
反射手段は、前記射出手段と相対的に遠位に間隔を空け対面している反射表面を含む、
ことを特徴とする付記43に記載の装置。
【0127】
(付記45)
射出手段を囲み、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に射出放射線を反らせるための気体境界面を形成する手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記39に記載の装置。
【0128】
(付記46)
前記導波管の軸方向に延長している領域に沿って、前記導波管の前記引き延ばされた軸について側方に拡散放射線を射出する手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記39に記載の装置。
【0129】
(付記47)
拡散放射線射出手段は、前記射出手段について近位に位置し、互いに軸方向に間隔を空けている複数の放射線射出表面を含む、
ことを特徴とする付記46に記載の装置。
【0130】
(付記48)
拡散放射線射出手段の長さを調整する手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記46に記載の装置。
【0131】
(付記49)
調整手段は、前記導波管上を滑ることができるよう取り付けられるスリーブを含む、
ことを特徴とする付記48に記載の装置。
【0132】
(付記50)
平均で約30J/cm未満の前記血管壁へのエネルギー伝達率で、レーザー放射線が伝達されている間に、前記血管を通って前記導波管を引き戻す手段をさらに備える、
ことを特徴とする付記38に記載の装置。