(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2巻線セットと前記コモングランドの間に設けられるキャパシタをさらに備え、前記キャパシタは前記出力ノードにおける前記出力AC電力のキロヘルツのレンジの高周波成分を抑制することを特徴とする請求項1または2に記載の電子正弦波トランス回路。
前記出力電圧はさらに前記第2巻線セットに対する前記第1巻線セットの巻線比に依存し、前記巻線比および前記デューティ比の少なくとも一方を変化させると、前記出力電圧の振幅が変化することを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
入力波形にかかわらず前記入力ノードから前記出力ノードへの電圧伝送の所定の一定比を提供し、前記入力波形は前記所定の一定比で負荷に対して変換されることを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
入力および出力のAC電力、電圧および電流のゼロに近い電力高調波歪みを提供し、デューティ比が固定され、前記スイッチング周波数は前記入力周波数の100倍より大きく、前記キロヘルツのスイッチング周波数より低い領域で高調波が現れないことを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第1双方向ACスイッチと前記コモングランドの間に設けられた第2キャパシタをさらに備え、前記第2キャパシタは前記入力ノードにおける高周波の電流成分を抑制することを特徴とする請求項3に記載の電子正弦波トランス回路。
前記入力および出力のAC電力、電圧および電流は、基本の電力のヘルツの成分の他は制限された高調波成分を含み、前記スイッチング周波数によるキロヘルツの高周波成分は制限されることを特徴とする請求項9に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第1双方向ACスイッチがオン、前記第2双方向ACスイッチがオフである第1期間において、前記第1巻線セットと前記第2巻線セットから負荷に電流が流れ、前記第1双方向ACスイッチが閉である前記第1期間において前記第1巻線セットと前記第2巻線セットが磁気的に充電されることを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第2双方向ACスイッチがオン、前記第1双方向ACスイッチがオフである第2期間において、前記第1巻線セットに電流が流れなくなり、前記負荷のポイントの電流は前記第2巻線セットの磁気的な放電にしたがって維持されることを特徴とする請求項11に記載の電子正弦波トランス回路。
前記磁気ストレージ結合ユニットは前記第1双方向ACスイッチおよび前記第2双方向ACスイッチのスイッチング動作の間、供給された入力電圧に対して前記負荷への一定の出力電圧の比を保つことを特徴とする請求項12に記載の電子正弦波トランス回路。
前記出力電圧は、前記第2巻線セットに対する前記第1巻線セットの巻線比および前記デューティ比の少なくともひとつに対して比例することを特徴とする請求項13に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第1双方向ACスイッチおよび前記第2双方向ACスイッチは、ヘルツの周波数のある区間においてのみ動作し、前記入力電圧の波形の一部のみが負荷に伝送されることを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第1双方向ACスイッチおよび前記第2双方向ACスイッチのスイッチング周波数は、前記入力電圧の正の位相または負の位相の区間にのみ適用され、前記出力ノードにおいて整流器を用いること無く、正または負の制御可能な前記出力電圧を生成することを特徴とする請求項15に記載の電子正弦波トランス回路。
前記入力AC電力はDC電圧を有し、前記第1双方向ACスイッチおよび前記第2双方向ACスイッチのデューティ比は規則的に繰り返すヘルツのレートにて変化するよう変調されており、線形な正弦波電圧または非線形な出力電圧から選択される出力電圧を前記負荷に供給することを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
前記第1双方向ACスイッチおよび前記第2双方向ACスイッチのデューティ比の制御のためにフィードバックが用いられ、入力電圧の変動に対してより安定な出力が提供されることを特徴とする請求項2に記載の電子正弦波トランス回路。
【発明を実施するための形態】
【0012】
便宜のため、図面中、同様の符号は、同様の構成要素を示すものとする。
図1A〜
図1Eには、電子正弦波トランス(ESWT:Electronic Sine Wave Transformer)のいくつかの異なる実施の形態に係る回路構成が示される。ESWTは、複数の巻線および磁気結合されるコアを含む磁気ストレージ結合、ならびに、磁気ストレージ結合を充電するための高周波パルス(少なくともひとつのスイッチにより提供される)を利用して、ソースノードからの電力を、負荷に対して変換し、あるいは伝送する。すなわち、エネルギーの磁気的保存は、互いに結合された複数の巻線セットを備えるひとつのコアにより実現され、複数の巻線セットは、磁気ストレージユニットのコアおよび巻線セットの充電、放電を制御するための高周波パルスを提供するひとつあるいは複数のスイッチと接続される。さらに磁気ストレージ結合ユニットは、中央のストレージコアおよびひとつあるいは複数のスイッチにより制御される結合された複数の巻線セットを用いて、入力AC電力および電圧を、周波数を維持しつつ、出力(すなわち負荷)に伝送する。
【0013】
具体的には、入力AC電源は、Hz(ヘルツ)レンジ(たとえばライン周波数としては、通常、400Hzより低い)のベース周波数を有する入力電圧を、磁気ストレージ結合ユニットに提供する。磁気ストレージ結合ユニットは、以下で説明するように、ひとつもしくは複数の巻線セットおよび共通のコア、ならびに、交互にオン、オフすることにより共通のコア巻線(インダクタンスL
c,L
dを有する)および負荷に高周波の磁気パルスを供給する少なくとも2つの双方向ACスイッチ(たとえば第1双方向スイッチおよび第2双方向スイッチ)で構成される。スイッチの少なくともひとつは、第1の巻線セットと直列に接続され、別のスイッチは、複数の巻線セットとコモングランドの間に接続される。さらに第1スイッチおよび第2スイッチは異なるモード(すなわち第1スイッチがオンのとき第2スイッチがオフ、その逆も同様)でスイッチングし、スイッチング周波数は、入力電源のベース周波数(たとえばHzレンジ)よりも各段に高い周波数(たとえばkHz(キロヘルツ)のレンジ)である。このようにして第1巻線セットおよび第2巻線セット(たとえばそれらの組み合わせ)は、短い充電パルスと、充電パルスの間の短い放電パルスのみを見ることとなる。
【0014】
すなわち、第1スイッチがオン(第2スイッチがオフ)のモードにおいて、第1巻線セットおよび第2巻線セットは集合的に充電され、それらの内部にエネルギーを蓄える。この場合、第1巻線セットおよび第2巻線セットに流れる電流および総エネルギーあるいは蓄えられる磁束は、
E=1/2×LI
2
となる。ここでLは第1巻線セットおよび第2巻線セットの組み合わせのインダクタンスであり、Iはそれらに流れる磁気的な充電電流である。
【0015】
第2スイッチがオン(第1スイッチがオフ)の第2モードにおいて、総電流は第2巻線セットにのみ流れ、その電流は、放電パルスの開始における磁束を維持するために、時間と共に増加し、そして負荷電力を維持するためにエネルギーが使用されるにつれて緩やかに減少する。負荷のオープン回路状態では、充電電流はひとつの極性を有し、放電電流はゼロ電流を通過し、別の方向に流れ、それにより入力に対する出力電圧の一定値が維持される。出力波形は正弦波の入力波形に従うが、電流は第1方向と反対の方向とで切りかえられ、正味ゼロの電流が維持される。
【0016】
さらに、磁気ストレージ結合ユニットは、負荷に供給される出力電圧を、入力供給電圧の波形に直接従わせることができる。すなわち、もし入力供給電圧が特定のベース周波数を有する正弦波であれば、負荷に供給される出力電圧は、同じベース周波数を有し、波形において直接のコピーである正弦波となるが、その振幅は、巻線比および電気スイッチのデューティ比に比例して異なる。負荷に供給される出力電圧の振幅は、電圧定数Kvおよび入力電圧の振幅の関数である。この関係は、入力電力の電力ヘルツの周波数に対して本質的に瞬時的であるkHzの周波数において成り立つものであり、拡大解釈すると、完全な正弦波、もしくは、任意の部分において正弦波を切り取ったりスイッチングを再開したりした場合を含む、正弦波の任意の部分において成り立つ。電圧定数Kvはさらに、巻線比(巻線セットの巻数と、別の巻線セットの巻数の比)およびデューティ比に依存する。すなわち、巻線比が固定されていれば、第1スイッチおよび第2スイッチのスイッチングのデューティ比によって出力電圧を制御することができる。したがって入力と出力の電圧変化が、磁気ストレージユニットにおいて生ずることとなる。その結果として、巻線セットにエネルギーが蓄えられ、通常の保存式である1/2LI
2にしたがって負荷に放電される。これは、充電電流のスロープが、充電電圧およびL
c+L
dによって制御され、放電のスロープが出力電圧およびL
dによって制御されることを意味する。
【0017】
ESWTの最後の機能は、通常の入力巻線と出力巻線を有する磁気電力トランスと同様のものである。
図1A〜
図1Eを参照すると分かるように、ここで示されるESWT回路と従来のトランスの違いのひとつは、巻線を有する既知のトランス回路が本明細書で提案するようなスイッチングを用いておらず、各半サイクルのフル電圧および電流が、トランスによって誘導的にサポートされることを必要とすることであり、これは一般的に励磁インダクタンスと称される。反対に、ESWT回路では、インダクタンス(直列な第1巻線セットと第2巻線セット)は短いパルスの間(高いスイッチング周波数の間)充電され、同様に磁気的に短いパルスの間放電される。さらに大きさの観点で、大きな励磁インダクタンスを得ようとした場合、従来のトランス回路は100ポンド(lbs)程度の重さを有するのに対して、ESWT回路は非常に小さいサイズ(たとえば1ポンド)で足り、フル正弦波入力、正弦波の一部分の入力、あるいはその他のACあるいはDCの電圧源の入力に対して動作することができる。
【0018】
図1A〜
図1Eに関連して、ESWT回路は、磁気ストレージを利用しており、それは本質的に双極的である。エネルギーはいかなる変化をともなわずに両方の極性で蓄えることができる。またそれは負荷に対して半波の形式で伝送することができる。これは従来のトランスではできないことである。
【0019】
図1A〜
図1Eの電子正弦波トランスにより提供されるさらなる利点を説明する。従来のトランスは、入力漏れインダクタンス、相互インダクタンスおよび出力漏れインダクタンスを有し、これらはすべて、従来のトランスに適切な巻線比を適用した場合に現れる。すなわち回路の巻線セットの相互インダクタンスは制御要素である。最大の動作電圧において、コア磁束は飽和点以下(たとえば典型的には15kガウス)である。電圧(たとえば50/60/400Hz)の印加の結果生ずるアンペア回数(アンペアターン)は、ボルト−秒(正弦波の1/2より短い領域)をコアの面積で除して得られる磁束が、コア材料の飽和点より低くなるようになっている。典型的な数KVAトランスは、1H(ヘンリー)、重量50〜100ポンド、可変の誘導電動制御といったものである。好ましくは磁束ストレージ要素は、
図1A〜
図1EのESWT回路により、高周波(キロヘルツ)サイクルをカバーする必要十分な磁束にて、飽和磁化のレベル(典型的に3kGauss)に充放電する。好ましい実施の形態において、その電圧伝達比は、正弦波、非正弦波のいずれに対しても機能する。より好ましくは、
図1A〜
図1Eに示される磁気ストレージユニット100の重さは、わずか1ポンドである。したがって材料を節約でき、コストを削減でき、また柔軟性を高めることができる。
図1A〜
図1Eのトランス回路の瞬時的な、および電気的可変な特性は、機械的な要素をともなわない制御を可能とする。
【0020】
上述したように、磁気ストレージユニットの第1スイッチおよび第2スイッチは、入力電力源の入力周波数よりも大きいオーダーのスイッチング周波数を有する。たとえば好ましくは、スイッチング周波数はkHzレンジであり、典型的にはベース電源周波数のHzレンジの100倍より大きい。したがってスイッチング周波数のkHレンジより下の高調波は発生しない。このようにして負荷に供給される磁気回路の出力における出力電力の電力高調波は最小化され、すべての現実的な用途において、電力高調波は除去される。さらに、磁気回路のインダクタンスサイズならびにHzレンジより高い高周波を抑制するための電子正弦波トランス回路のキャパシタを最小化できる。
【0021】
さらに
図1A〜
図1Eによれば、
図1A〜
図1Eの電子正弦波トランス回路は、AC正弦波電力および電圧を入力源において第1周波数で受け、入力カーブ(すなわち第1周波数)と同じ波形を有するAC正弦波電力および電圧カーブを提供する。AC正弦波電力および電圧カーブの強度あるいは振幅は、固定された巻線セットの巻線比と磁気ストレージユニットのスイッチの可変の電子的タイミングによって制御可能である(たとえば第1巻線セットと第2巻線セットの巻線比が一定として)。これは有利である。なぜなら、
図1A〜
図1EのESWT回路は、可変タップや電動可変トランスを用いずに出力電力/電圧を電気的に制御できるからである。この回路はさらに、出力エネルギーを、整流やその他の複雑さを伴う容量性ストレージではなく、巻線のインダクタンスに蓄える(たとえば磁気的充電として)ことにより、出力エネルギーを制御可能であるという利点を提供する。さらに入力電力はAC信号(たとえば正弦波)であり、出力電力はAC信号(たとえば入力信号と同じ周波数、同じ波形の正弦波)であることから、サイズ、重量および変換損失(たとえば既存のDC容量性ストレージシステムにおけるDC変換、およびACへの再変換に起因する)を顕著に減らすことができる。これは従来の電力トランスに対してのみでなく、容量性ストレージスイッチング電力コントローラに対する、優位性といえる。
【0022】
図1A〜
図1Eを参照すると、異なる実施の形態に対して符号101〜105で参照される電子正弦波トランス回路の例示的な複数の実施の形態が示される。
【0023】
図1Aを参照すると、電子正弦波トランス回路101が示される。電子正弦波トランス回路101は、入力ノード110、出力ノード112、および、入力ノード110と負荷と接続される出力ノード112との間に電気的に結合される磁気ストレージユニット100を備える。入力ノード110は、低いベース周波数(ライン周波数、典型的に400Hzより低い)で動作する入力供給電圧114を有する入力AC(交流)電源を受ける電源側に設けられる。磁気ストレージユニット100は、高周波磁気エネルギーストレージを用いて、電源側から負荷への変圧、あるいは電力伝送を提供する。磁気ストレージユニット100は、共通コア130の内部(ストレージノード113として参照される)に磁気的にエネルギーを蓄えるためのひとつまたは複数の巻線セット(たとえば第1巻線セット106および第2巻線セット107)を有する共通コア130を備える。磁気ストレージユニット100はさらに、二つあるいはそれより多くのスイッチ(たとえば第1スイッチ108および第2スイッチ109)を備える。第1スイッチ108および第2スイッチ109は、通常、符号140で示すような双方向ACスイッチであり、それらは交互に相補的にオンとなり、キロヘルツ(kHz)レンジ(たとえば好ましくは入力電力周波数より数桁大きい)のスイッチング周波数を有する。
【0024】
磁気ストレージユニット100を参照すると、第1巻線セット106および第2巻線セット107は共通コア130によって磁気的に結合されている。好ましくは第2巻線セット107は、同一磁路内において、第1巻線セット106に対して直列相助(series aiding)あるいは直列相反(series opposing)にて接続される。さらに第1スイッチ108は第1巻線セット106と直接接続される(
図1Aあるいは
図1Cの差異として示すように第1巻線セット106のいずれの端子側にも配置することができる)。第2スイッチ109は第1巻線セット106と第2巻線セット107の間と、コモングランドの間に接続される。出力ノード112は第2巻線セット107と接続され、出力ノードには、入力ベース電力周波数の周波数を有する負荷に対する出力AC電力ならびにベース周波数の出力電圧116が発生する。さらに出力電圧116の振幅あるいは強度は、第1巻線セット106と第2巻線セット107の巻線比、第1巻線セット106と第2巻線セット107の極性、および第1スイッチ108、第2スイッチ109のスイッチング周波数でのデューティ比の少なくともひとつに応じている。後述するように、磁気ストレージユニット100は入力電力を受け、それを出力ノード112に伝送し、それにより、第1スイッチ108および第2スイッチ109が交番で相補的にオン、オフがスイッチングしている間に、第1巻線セット106および第2巻線セット107がそれらの内部に連続的な様式のエネルギーの磁気ストレージを提供するように構成される。
【0025】
一例として、
図1Aおよび磁気ストレージユニット100を参照すると、第1スイッチ108、第2スイッチ109は、デューティ比が所定数にセットされ、第1巻線セット106および第2巻線セット107は結合しており、それぞれが所定の巻数を有している。
図1Aを参照すると、N
dは第2巻線セット107のインダクタンスL
dを生じさせる巻数を表し、N
cはインダクタンスL
c(第1巻線セット106と第2巻線セット107の組み合わせとして参照される)を生じさせる追加の巻数を表す。したがってN
c+N
dは、インダクタンスL
c+L
dを発生する。このインダクタンスは、巻数の2乗に比例する。
【0026】
以下では、
図1A〜
図1Eそれぞれの磁気ストレージユニットの通常モードの動作を説明する。動作の第1モードでは、第1スイッチ108がオン(第1スイッチ108がオフ)であるとき、第1巻線セット106、第2巻線セット107(ストレージノード113)を介して出力ノード112の負荷にライン電流が流れる。このようにして出力電流I
oは入力電流Isと等しくなり、すなわち巻線セットに流れる電流I
cおよびI
dと等しくなる。そして第1巻線セット106および第2巻線セット107に流れる電流は、負荷電流I
oおよび磁気的な充電電流をサポートする。すなわち巻線セット106、107(ストレージノード113)の組み合わせは、好ましくは出力電流I
oの所望のピーク電流とピーク充電電流の合計をサポートし、第2巻線セット107に流れる電流は同様に、放電電流のピークリミットをサポートしなければならない。すなわち、ストレージノード113の共通コア130の磁気エネルギー束(BH積として知られる)負荷は、上述のピークアンペア回数の飽和に到達しないことが好ましい。
【0027】
図1A〜
図1Eを参照すると、入力供給電圧114は好ましくはベース周波数(たとえば50,60あるいは400Hz)のAC正弦波であり、出力ノード112の出力電圧116は同様に同じベース周波数(たとえば50,60あるいは400Hz)のAC正弦波である。好ましくは
図1A〜
図1Eを参照すると、磁気ストレージユニット100の内部のスイッチ(たとえば第1スイッチ108および第2スイッチ109)のスイッチング周波数は、ベース周波数より各段に高く、ベース周波数がHzレンジ(たとえば400Hzより下)である場合、kHzレンジ(たとえば20kHz)である。すなわち後述するように、磁気ストレージユニット100は、磁気ストレージユニットを伝達媒体として用いて入力エネルギーを変圧あるいは伝送することにより、電力AC電圧入力を、負荷における電力AC電圧出力に変圧する。
【0028】
動作の第1モードに戻ると、第1スイッチ108がオンであるとき、第1巻線セット106および第2巻線セット107(このモードでは直列である)を介して負荷に電流が流れる。
【0029】
一般的に言えば、出力ノード112の瞬時出力電圧は、V
o=K
vV
Sで定義され、出力ノード112の出力電流は、I
o=V
o/Z
Lとなる。ここでK
vは所定の定数であり、1第1巻線セット106と第2巻線セット107の巻線比(たとえば、第2巻線セット107の巻数N
dに対する、第1巻線セット106の巻数N
c)に依存する。すなわち、K
vは、以下で定義される巻数定数K
iと充電/放電比K
xの関数となる。さらに充電/放電比は、第1スイッチ108のオンから第2スイッチ109のオンまでの時間に相当するΔt
cと、第2スイッチ109がオン(第1スイッチ108がオフ)である放電時間であるΔt
dと、に依存する。
【0031】
【数1】
K
vは、V
sに対するV
oの比に対して一定である。
【0033】
【数3】
K
iは、I
d(avg)に対するI
c(avg)の比に対して一定である。
【0034】
出力電圧116の瞬時値に着目すると、一定のデューティ比は入力電圧114に対して一定の出力電圧116を生じさせ、したがって入力正弦波を出力正弦波に変換する。
【0035】
図2の電流波形はストレージノード113に流れる電流を示す。さらに第1モードにおいて、ストレージノード113に流れる電流は、第1スイッチ108がオン、第2スイッチ109がオフである間、I
clからI
chに増加する。電流の増加は以下に示す通りである。
【0039】
続いて、第2モードにおいて、第1スイッチ108がオフ、第2スイッチ109がオンであり、全電流は第2巻線セット107にのみ流れ、磁界のエネルギー保存則を満たすために、電流は直ちにI
chからI
dhに増加する。すなわち電流の強度は巻線比の違いによって増加する。たとえば、第1巻線セット106のN
cが第2巻線セット107のN
dと等しい場合、第2巻線セット107に流れる電流はI
dhに増加する(すなわち第1スイッチ108がターンオフする直前の電流の2倍)。続いて、それに続く第2スイッチ109が導通する所定の放電時間インターバルの間、ストレージノード113に流れる電流はI
dhからI
dlに受かって緩やかに減少し、この関係は上述した通りである。さらに、第2スイッチ109がターンオフし、第1スイッチ108が再びターンオンする放電時間インターバルの終点において、電流はI
dlからI
clに瞬時に減少する。
【0040】
モード間の遷移の間、第1スイッチ108および第2スイッチ109それぞれがターンオン、ターンオフする間であっても、一定の磁束が維持される。すなわち、磁界およびストレージノード113の内部に蓄えられるエネルギーは、充電/放電/充電のモードの切りかえの間、一定に保たれる。
【0041】
図1A〜
図1Eの磁気ストレージユニット100に関して説明したエネルギーの連続的ストレージは、動作の第1および第2モードおよびそれらの間のスイッチング(たとえば第1スイッチ108がオンから第2スイッチ109がオンへのスイッチング)の間、入力−出力電圧比(114および116)が磁界として維持され、およびE=1/2LI
2にしたがってストレージノード113に蓄えられるエネルギーが一定に保たれることに関連している。すなわち好ましい実施の形態において、電源側から負荷側への一定の電圧伝送比は入力正弦波の波形(たとえば入力供給電圧114)にかかわらず維持され、電圧114の入力正弦波形は固定された伝送比(たとえば上述した定数K
v)にて変換され、出力電圧116として負荷に提供される。負荷電流はしたがって負荷電流を決定する。
【0042】
図1A〜
図1Eにおける電圧および電流の関係は以下のように理解される。
【0043】
スイッチング周波数はライン周波数よりも著しく高いため(典型的にスイッチング20kHzに対してライン60Hz)、充電および放電時間の間、V
sおよびV
oは本質的に変化しない。したがって、巻線セットのひとつの電圧およびインダクタンスは、以下の式で表される。
【数7】
【0054】
K
vは、巻線定数K
iおよびデューティ比K
xの関数である。
【0056】
ストレージノード113の電流リップルの強度はV
s、インダクタンス値およびデューティ比の関数であることに留意されたい。
【0058】
【数17】
K
iは、I
d(avg)に対するI
c(avg)の比に対して一定である。
【0059】
【数18】
K
oは、I
c(avg),I
d(avg)に対するI
o(avg)の比に対して一定である。
【0061】
【数20】
K
vは、V
sに対するV
oの比に対して一定である。
【0062】
【数21】
K
dは、リップルΔI
c,ΔI
dの比に対して一定である。
【0074】
さらに、トランス回路101〜105に流れる電流の値は以下のように計算することができる。
【0079】
ここで、I
c(avg),I
d(avg)は、負荷電流、デューティ比および巻線セットの巻数の関数である。
【0080】
【数36】
Z
Lは負荷インピーダンス
【0081】
図1Aを参照して説明した磁気ストレージユニット100の動作は、
図1B〜
図1Eにも同様に適用される。
【0082】
図1Bおよび
図1Cの実施の形態を参照すると、異なる実施の形態に係る電子正弦波トランス回路102,103が示されており、それらは、入力キャパシタ117が第1スイッチ108および/または第1巻線セット106と、コモングランドとの間に設けられている。入力キャパシタ117は、第1巻線セット106、第2巻線セット107とともに、ESWT回路102、103の入力側のkHzレンジの高周波電流成分を抑制するよう構成される。さらに、第2巻線セット107とコモングランドの間(すなわち負荷の両端間)には出力キャパシタ118が設けられ、出力キャパシタ118は第1巻線セット106、第2巻線セット107とともに、出力ノードにおける出力電力/電圧に含まれるkHzレンジ(たとえば第1スイッチ108、第2スイッチ109の高周波スイッチングにより生成される)の高周波成分を抑制する。
【0083】
さらに別の実施の形態である
図1Dにおいて、入力ノードと第1スイッチ108の間には入力インダクタ119が設けられ、また入力ノードとコモングランドの間にフィルタリングキャパシタ120が設けられる。入力インダクタ119はフィルタリングキャパシタ120とともに、入力信号(たとえば114)から磁気ストレージユニット100に供給される高周波成分を追加的に抑制する。
図1Eは、ライン周波数の態様の適切な周波数をフィルタリングするための各素子の例示的な値を示す。
【0084】
図1A〜
図1Eの好ましい実施の形態において、入力および出力の電力、電圧ならびに電流には、ベース入力周波数(Hz周波数)成分の他には、高調波成分が存在せず、特にkHzの高周波成分は存在しない。
【0085】
図示しない別の実施の形態において、第1スイッチ108および第2スイッチ109は、入力供給電圧114の入力波形のある区間においてのみ動作し、これにより、入力供給電圧114の波形の一部分のみが出力電圧116として負荷に供給される。
【0086】
さらに別の実施の形態において、第1スイッチ108および第2スイッチ109のスイッチング周波数は、入力電圧の正の位相あるいは負の位相の区間のみ適用され、これにより出力においてダイオードや整流器を用いずとも、一般的に半波整流と称されるように、正または負の制御可能な出力電圧が生成される。たとえば
図3Bに示すように、第1スイッチ108および第2スイッチ109は、入力供給電圧114の波形の正の半サイクルのみで動作し、出力ノード112に正の波形302のみを供給できる。
【0087】
さらに
図3Cに示す別の実施の形態において、入力電力源(すなわち114)は、DC電圧であり、第1スイッチ108、第2スイッチ109のデューティ比は規則的に繰り返される変化によって変調され、これにより負荷に対して、線形正弦波あるいは非線形出力電圧から選択される出力電圧116を供給してもよい。
【0088】
さらに
図1A〜
図1EのESWT回路101〜105のある態様において、リップル電流(ΔI
cとして示す)は負荷電流I
oによって影響されないことに留意されたい。すなわち、ゼロ負荷電流を引き起こすように、負荷が取り外された場合に、高周波において、ゼロより上のあるいは下にてリップル電流成分のみが生じうる。出力電圧116は上述したように、入力供給電圧114に対して比で定まる値を維持する。
【0089】
いくつかの実施の形態において、出力電圧116の波形をモニターし、それを第1スイッチ108および第2スイッチ109のデューティ比を変えるために用いるフィードバック回路を用いてもよく、それにより入力電圧に対して、より安定化された出力電圧を生成してもよい。
【0090】
すなわち、電子正弦波トランス回路が負荷に提供される出力電圧の電子的なタイミング切りかえ制御を可能とし、振幅が複数の巻線セットの巻線比ならびに磁気ストレージユニット100に使用されるスイッチのデューティ比に依存する態様にてAC入力電力を出力AC電力として供給することを可能とし、本発明が改善された柔軟性を提供することが当業者によって理解される。したがって材料、コストの節約および柔軟性が提供される。トランス回路101〜105の電子的な可変の性質は、機械的なものによらずに出力電圧、電力および電流の制御を可能とする。
【0091】
さらに、ある具体的な実施の形態を参照して本発明を説明したが、当業者にとっては、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、さまざまな変形例が明らかである。