特許第6397495号(P6397495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397495
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ローラリフタ
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/14 20060101AFI20180913BHJP
   F02M 59/10 20060101ALI20180913BHJP
   F02M 57/02 20060101ALI20180913BHJP
   F16H 53/06 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   F01L1/14 E
   F02M59/10 A
   F02M57/02 310B
   F16H53/06
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-529175(P2016-529175)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(86)【国際出願番号】JP2015063718
(87)【国際公開番号】WO2015194289
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-126866(P2014-126866)
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】山根 真之
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−217304(JP,A)
【文献】 特表2010−511834(JP,A)
【文献】 特開平5−288015(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0125277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/14
F02M 57/02、59/10
F16H 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムに接触するローラと、そのローラを回転可動に支持する軸部と、その軸部の両端部が挿通される左右方向で対向する一対の対向部と、その一対の対向部に対する相対位置を固定して配置される筒状部とを備え、前記カムが回転することにより、前記筒状部が前記ローラを介して往復駆動させられるローラリフタであって、
少なくとも、前記一対の対向部を含む第1部材と、その第1部材とは別体で、且つ前記第1部材に連結部を介して連結可能とされ、少なくとも、前記筒状部を含む第2部材とからなり、
前記第1部材が前記一対の対向部の上端間に架設される架設部を備え、前記架設部の前後端部にそれぞれ前方垂設部及び後方垂設部が屈曲して連なり、前記前方垂設部及び後方垂設部が前記筒状部の内周面に当接して、前記筒状部内に前記第1部材が正規の姿勢で挿入され、
前記前方垂設部が、前方に突出する突起部を挟んだ両側に対をなして設けられ、前記突起部が、前記架設部に対して段差無く前後に直線状に連なる形態になっており、
前記筒状部の前面部分には、前記筒状部の下端に開口して、前記突起部を嵌合する凹部が設けられていることを特徴とするローラリフタ。
【請求項2】
前記筒状部は、底壁とその底壁の外周から立ち上がる周壁とを有し、前記連結部は、前記架設部と前記底壁のうちの一方に設けられた突部と、他方に設けられた孔部とからなり、前記突部が前記孔部を貫通して前記他方にかしめ固定されていることを特徴とする請求項1記載のローラリフタ。
【請求項3】
前記突部が前記架設部に設けられ、前記孔部が前記底壁に設けられていることを特徴とする請求項2記載のローラリフタ。
【請求項4】
前記一対の対向部には軸受孔が設けられ、前記軸部の両端部が前記軸受孔に摺動可能に挿入されて前記一対の対向部に回転支持され、前記軸部材の両端面の外周には、前記一対の対向部の外側面における前記軸受孔の周辺部に臨むように張り出す掛止部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のローラリフタ。
【請求項5】
前記一対の対向部には軸受孔が設けられ、前記軸部の両端部が前記軸受孔を貫通したあと前記一対の対向部の外側に突出して配置され、前記第1部材と前記第2部材とが連結された状態では、前記軸部の両端面が前記筒状部の内周面に当接可能に配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のローラリフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラリフタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたローラリフタは、カムに接触するローラと、ローラを回転可能に支持する軸部(軸支ピン)と、軸部の両端部が貫通してかしめ固定される一対の対向部(一対の支持部)とを有している。両対向部は、筒状部(リフタ本体)に一体に設けられている。筒状部は、ローラを介してシリンダヘッド内を上下に往復駆動させられる。筒状部の外周は、シリンダヘッドの内周面を摺動する摺動面とされ、シリンダヘッド内をがた付きなく円滑に摺動可能となるように厳格な寸法管理が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−1706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のローラリフタの場合、軸部のかしめ加工時に、一対の対向部の外面が強く加圧されるため、両対向部が互いに近づくように内倒れすることがあった。仮に、両対向部が変形すると、両対向部と一体に連続した筒状部の外周壁も変形させられる可能性が高く、筒状部の外径の寸法精度を適正に保つことができないおそれがあった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、外径の寸法精度を適正に保つことが可能なローラリフタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のローラリフタは、カムに接触するローラと、そのローラを回転可動に支持する軸部と、その軸部の両端部が挿通される左右方向で対向する一対の対向部と、その一対の対向部に対する相対位置を固定して配置される筒状部とを備え、前記カムが回転することにより、前記筒状部が前記ローラを介して往復駆動させられるローラリフタであって、少なくとも、前記一対の対向部を含む第1部材と、その第1部材とは別体で、且つ前記第1部材に連結部を介して連結可能とされ、少なくとも、前記筒状部を含む第2部材とからなり、前記第1部材が前記一対の対向部の上端間に架設される架設部を備え、前記架設部の前後端部にそれぞれ前方垂設部及び後方垂設部が屈曲して連なり、前記前方垂設部及び後方垂設部が前記筒状部の内周面に当接して、前記筒状部内に前記第1部材が正規の姿勢で挿入され、前記前方垂設部が、前方に突出する突起部を挟んだ両側に対をなして設けられ、前記突起部が、前記架設部に対して段差無く前後に直線状に連なる形態になっており、前記筒状部の前面部分には、前記筒状部の下端に開口して、前記突起部を嵌合する凹部が設けられているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
仮に、軸部が一対の対向部にかしめ固定されるとしても、軸部の両端部を挿通させた一対の対向部を含む第1部材が、筒状部を含む第2部材に連結されるものであれば、軸部のかしめ加工時の影響が筒状部に伝わることがなく、筒状部の外径の寸法精度を適正に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係るローラリフタの側面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】ローラリフタの底面図である。
図4図3のB−B線断面図である。
図5】ローラリフタを下方から見た斜視図である。
図6】ローラリフタを上方から見た斜視図である。
図7】第1部材の対向部及び架設部の側面図である。
図8】第2部材を側方から見た断面図である。
図9】ローラリフタを組み込んだ燃料供給装置の概略図である。
図10】本発明の実施例2の図2相当図である。
図11】掛止部が対向部の外側面における軸受孔の周辺部に臨むように張り出す状態をあらわす拡大断面図である。
図12】本発明の実施例3の図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記筒状部は、底壁とその底壁の外周から立ち上がる周壁とを有し、前記連結部は、前記架設部と前記底壁のうちの一方に設けられた突部と、他方に設けられた孔部とからなり、前記突部が前記孔部を貫通して前記他方にかしめ固定されている。突部が架設部と周壁のうちの一方に設けられ、孔部が他方に設けられているため、突部のかしめ加工時の影響が筒状部にダイレクトに伝わることがなく、筒状部の外径の寸法精度をより適正に保つことができる。また、突部が孔部を貫通して他方にかしめ固定されているため、製造容易であるとともに、第1部材と第2部材との一体性が高められる。
【0010】
前記突部が前記架設部に設けられ、前記孔部が前記底壁に設けられている。これとは逆に、仮に、突部が底壁に設けられ、孔部が架設部に設けられるとすると、突部が孔部を貫通することにより、突部の先端がローラと干渉する可能性があるため、これを回避する設定とする必要があり、高背化を招くとともに、設計上の制約が大きい。その点、突部が架設部に設けられ、孔部が底壁に設けられていれば、比較的自由度が高い底壁の内側に突部の先端部を逃がすことができる。
【0011】
前記一対の対向部には軸受孔が設けられ、前記軸部の両端部が前記軸受孔に摺動可能に挿入されて前記一対の対向部に回転支持され、前記軸部材の両端面の外周には、前記一対の対向部の外側面における前記軸受孔の周辺部に臨むように張り出す掛止部が設けられている。これによれば、軸部の端部が対向部にかしめ固定されずに済むため、対向部が変形する可能性は低く、対向部の寸法精度を適正に保つことができる。また、軸部が対向部に回転支持される構成であれば、軸部に作用する負荷圏が周方向に随時変化するため、軸部の寿命を延ばすことができる。
【0012】
前記一対の対向部には軸受孔が設けられ、前記軸部の両端部が前記軸受孔を貫通したあと前記一対の対向部の外側に突出して配置され、前記第1部材と前記第2部材とが連結された状態では、前記軸部の両端面が前記筒状部の内周面に当接可能に配置される。これによれば、軸部の端部が対向部にかしめ固定されずに済むため、対向部が変形する可能性は低く、対向部の寸法精度を適正に保つことができる。また、軸部の両端面に特別な加工を施す必要がないから、製造コストを安価に抑えることができる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。実施例1に係るローラリフタ10は、内燃機関の燃料供給装置80に設けられたポンプリフタに適用される場合を例示するものであって、第1部材20と第2部材60とを備えている。第1部材20と第2部材60とは、互いに別体とされ、後述する突部29と孔部66とからなる連結部を介して互いに連結されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向については、図3を除く各図を基準とし、前後方向については、図4の左側を前方とする。また、図2の左右方向を幅方向とする。
【0014】
第1部材20は、全体として一体に連続した板状をなし、図2に示すように、幅方向で互いに略平行に対向する一対の対向部21と、両対向部21の上端間に架設された架設部22とを備えている。両対向部21には、円形の軸受孔23が幅方向に同軸で貫設されている。両対向部21の軸受孔23には、円柱状の軸部25の両端部が貫通して固定されている。詳細は図示しないが、軸部25の両端部は、両対向部21の外側に臨む端面外周部がプレスにより加圧されることにより、両対向部21の外側面にかしめ付けられている。本実施例の場合、軸部25の両端部の端面外周部のうち、周方向に間隔をあけた複数部位に、プレスにより圧潰されるかしめ加工部が設けられるようになっている。
図4に示すように、軸部25の外周には、転動体24を介してローラ30が回転可能に支持されている。ローラ30は、外周面がカム90と接触している。
【0015】
架設部22は、前後方向に延びる帯板状の形態をなし、後端部に、下方へ屈曲して垂下する断面円弧状の後方垂設部26を有し、前端部に、同じく下方へ屈曲して垂下する断面円弧状の前方垂設部27を有している。図3に示すように、前方垂設部27は、前方に突出する突起部28を挟んだ両側に対をなして設けられている。図7に示すように、突起部28は、前方垂設部27及び後方垂設部26を除く架設部22の本体部分に対して段差無く前後に直線状に連なる形態になっている。前方垂設部27及び後方垂設部26の各外周は、後述する筒状部61の内周とほぼ同一の曲率半径で構成されている。
【0016】
架設部22の上面のうち、両対向部21間に配置されるローラ30の上方位置には、円柱状の突部29が設けられている。突部29の突出量は、第2部材60の後述する底壁62の壁厚よりも僅かに大きい程度に抑えられている。
【0017】
第2部材60は、図8に示すように、全体として一体の筒状部61によって構成され、円板状の底壁62と、底壁62の外周縁から立ち上がる円筒状の周壁63と、底壁62の外周縁から立ち下がる円筒状の下側周壁64とからなる。図5に示すように、筒状部61の外周面は、周壁63から下側周壁64にかけて全高に亘って段差無く連続している。また、図8に示すように、周壁63の壁厚は、底壁62や下側周壁64の壁厚よりも小さくされている。
【0018】
下側周壁64の前面部分には、凹部65が設けられている。凹部65は、底壁62の下面と同じ高さ位置から周壁63の下端にかけて正面視略矩形に開口する形態とされている。そして、底壁62の中央部には、円形の孔部66が開口して設けられている。孔部66の下部には、底壁62の下面に向けて拡径するテーパ部67が設けられている。
【0019】
次に、本実施例のローラリフタ10の製造方法について説明する。
第2部材60に第1部材20を組み付けるに先立ち、第1部材20の両対向部21に軸部25を取り付ける。このとき、軸部25には予めローラ30が支持され、軸部25の両端部が両対向部21の軸受孔23に嵌合された状態で、両対向部21の外面に軸部25の両端部がかしめ付けられる。
【0020】
続いて、筒状部61の下側周壁64内に下方から第1部材20を組み入れる。第1部材20の組み込み過程では、突起部28が凹部65に嵌合状態で挿入されるとともに、前方垂設部27及び後方垂設部26が下側周壁64の内周面を摺動し、これによって第1部材20が第2部材60に対して正規の組み込み姿勢で位置決め挿入される。また、突部29がテーパ部67に案内されて孔部66に嵌入される。
【0021】
第1部材20が下側周壁64内に正規に組み込まれると、架設部22の上面が底壁62の下面にほぼ面接触状態で当接し、突部29が孔部66を貫通して、底壁62の上面上方に突部29の先端部が突出して配置される。続いて、図2及び図4に示すように、突部29の先端部をプレスにより加圧して膨出変形させ、底壁62の上面に、突部29の先端部において全周に亘って膨出形成されたフランジ部31を固着させる。こうして突部29が孔部66に嵌入されてかしめ固定されることにより、フランジ部31と架設部22との間に底壁62が緊密に挟持され、第1部材20が第2部材60に抜け止め状態に連結される。この場合において、突起部28が凹部65に嵌合されることにより、第1部材20が筒状部61に対して周方向に位置決めされ、第1部材20が孔部66を中心として回転するのが防止される。図1に示すように、第1部材20が第2部材60に取り付けられると、筒状部61の下側周壁64の下端からローラ30の略下半部が露出して配置される。
【0022】
ところで、軸部25の両端部が両対向部21にかしめ固定されるときに、両対向部21の外面に過大な圧力が加わることから、両対向部21が互いに近づくように内倒れすることがある。しかるに本実施例の場合、仮に、両対向部21がかしめ加工時に変形したとしても、軸部25が対向部21に固定された後、第1部材20が第2部材60に取り付けられるため、筒状部61に対して両対向部21の変形の影響が及ぶことがない。このため、筒状部61の外周面の寸法精度が適正に維持される。
【0023】
その後、ローラリフタ10は、図9に示す燃料供給装置80に組み込まれる。この場合に、筒状部61の周壁63には上方からプランジャ等の従動部材70が挿入され、シリンダヘッド72の摺動孔73には筒状部61が嵌入されて、ローラ30に対して下方からカムシャフト91に設けられたカム90が接触する。従動部材70の下端は底壁62の上面に臨む突部29の平坦な先端面に突き当てられる。また、従動部材70は、コイルスプリング等の弾性部材75によって下方(カム90の位置する側)に付勢される。
【0024】
上記構成において、カム90が回転すると、筒状部61がカム90のリフト量に応じたストローク量をもって上下に往復駆動させられ、さらに従動部材70も上下に往復駆動させられる。こうして従動部材70が往復駆動させられることによって作動油が圧送される。
【0025】
筒状部61がシリンダヘッド72の摺動孔73を往復駆動する際には、筒状部61の外周面が摺動孔73の内周面を摺動する。このため、筒状部61の外周面に高い加工精度が要求され、本実施例のように、ローラリフタ10を第1部材20と第2部材60との分割構造として、軸部25のかしめ加工時における両対向部21の変形の影響が筒状部61に伝わらないようにすることの意義が大となる。なお、筒状部61がシリンダヘッド72の摺動孔73を往復駆動する際、筒状部61の凹部65から突出する突起部28の先端部が摺動孔73に付設された案内溝77に摺動可能に嵌合されることにより、摺動孔73内で筒状部61が軸周りに回転するのが防止されるようになっている。
【0026】
以上説明したように、本実施例によれば、軸部25が一対の対向部21にかしめ固定された状態で、第1部材20が第2部材60(筒状部61)に連結されるため、軸部25のかしめ加工時の影響が筒状部61に伝わることがなく、筒状部61の外径の寸法精度を適正に保つことができる。
【0027】
また、突部29が第1部材20の架設部22に設けられ、孔部66が筒状部61の底壁62に設けられているため、突部29が孔部66を貫通して底壁62にかしめ固定される際に、そのかしめ加工時の影響が筒状部61にダイレクトに伝わることがなく、筒状部61の外径の寸法精度をより適正に保つことができる。また、突部29が底壁62にかしめ固定されているため、製造容易であるとともに、第1部材20と第2部材60との一体性が高められる。
【0028】
さらに、突部29が架設部22に設けられ、孔部66が底壁62に設けられているため、突部29の先端部が底壁62の上方に逃がされ、突部29がローラ30等の他の部品と干渉するのが回避される結果、設計の自由度が高められる。
【0029】
<実施例2>
図10及び図11は、本発明の実施例2を示す。実施例2は、軸部25Aの両端部が、両対向部21の外側面にかしめ固定されず、両対向部21の軸受孔23に摺動可能に挿入されており、その点で実施例1とは異なる。もっとも、第1部材20及び第2部材60の構造は実施例1と同様である。よって、以下においては、実施例1と共通する構造には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
軸部25Aは、軸受孔23を介して対向部21に回転可能に支持されている。軸部25Aの両端部には、対向部21の外側面における軸受孔23の周辺部18に臨むように張り出し、軸受孔23の周辺部18に掛け止め可能な掛止部19が設けられている。
【0031】
掛止部19は、軸部25Aの端面(軸部25Aの軸方向端面)の外周から軸方向に突出する円環状の突出部分に力を付与する据込み加工によって成形される。具体的には、掛止部19は、図11に示すように、軸部25Aの端面の外周にて軸方向と交差する径方向外側に張り出すように加圧変形させられ、外周側に、断面略三角形の張出部16が形成されている。張出部16は、対向部21の外側面における軸受孔23の周辺部18の開口縁に当接可能に近接して配置される。このため、軸部25Aが軸受孔23から抜け出る方向に変位しようとすると、張出部16が軸受孔23の周辺部18に当接することで、軸部25Aの軸受孔23からの抜け出しが規制される。なお、軸部25Aの端面には、掛止部19の内側に、掛止部19によって周囲を区画された平面視円形の凹所17が形成されることになる。
【0032】
実施例2の場合、ローラ30の回転に伴い、軸部25Aの両端部が両対向部21の軸受孔23の内周面を周方向に摺動することで両対向部21に対して回転変位するため、軸部25Aの負荷圏が一定の範囲に制限されることなく周方向に随時変化する。このため、軸部25A及び両対向部21の長寿命化を図ることができる。また、軸部25Aの両端部が両対向部21の外側面にかしめ固定されないため、両対向部21が架設部22との連結位置を支点として内倒れするような変形が生じるのを未然に防止することができる。その結果、筒状部61に加えて、対向部21の寸法精度も良好なものとなる。
【0033】
<実施例3>
図12は、本発明の実施例3を示す。実施例3も、軸部25Bの両端部が両対向部21の外側面にかしめ固定されていない点で実施例1とは異なるが、第1部材20及び第2部材60の構造は実施例1と同様である。
【0034】
軸部25Bは、軸方向(図示幅方向)の全長に亘ってほぼ真っ直ぐ延びる円柱状又は円筒状をなし、両端部の変形を伴うような加工が施されていない。軸部25Bの軸方向の全長は、筒状部61の下側周壁64の内径寸法よりも少し短くされている。
【0035】
組み付けに際し、単体状態にある第1部材20に対して、上記形態の軸部25Bが両対向部21の軸受孔23に同軸状に挿通される。すると、軸部25Bの両端部が軸受孔23を貫通したあと両対向部21の外側面から外側へほぼ水平に突出して配置される。
【0036】
続いて、第1部材20が筒状部61の下側周壁64内に下方から挿入され、その後、孔部66を貫通した突部29が底壁62にかしめ固定される。かくして、第1部材20が第2部材60に連結固定される。この点は、実施例1と同様である。
【0037】
実施例3の場合、第1部材20が筒状部61の下側周壁64内に挿入されることにより、軸部25Bの両端面(軸部25Bの軸方向の両端面)が下側周壁64の内周面に当接可能に近接して配置される。このため、軸部25Bが軸受孔23から抜け出る方向(図示幅方向)に変位しようとすると、軸部25Bの端面が下側周壁64に内側から当接することで、軸部25Bの軸受孔23からの抜け出しが規制される。したがって、実施例3によれば、軸部25Bに特別な加工を施さなくても、両対向部21の軸受孔23に軸部25Bを抜け止め状態で挿通させることができる。また、実施例2と同様、軸部25Bの両端部が両対向部21の外側面にかしめ固定されないため、対向部21の寸法精度を良好に維持することができる。なお、上記軸部25Bは、実施例2と同様、両対向部21の軸受孔24に摺動可能に挿入され、両対向部21に対して回転可能となっているが、軸受孔23内に圧入されることによって両対向部21に実質的に回転不能となるものであってもよい。
【0038】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)第1部材と第2部材とを互いに連結する連結部は、公知の連結手段を採用することができ、上記実施例に限定されない。例えば、第1部材と第2部材とは単に溶接により連結されて固定されるものであってもよく、また、突片の折り曲げによって第1部材が第2部材に連結されるものであってもよい。さらに、第1部材と第2部材とは、必ずしも強固に固定されていなくてもよく、弾性的な保持手段を介して一体性を維持できる程度のものでもよい。
(2)上記実施例とは逆に、突部が底壁に設けられ、孔部が架設部に設けられるものであってもよい。
(3)第2部材には筒状部以外の部分が含まれる構成であってもよい。また、第1部材には一対の対向部及び架設部以外の部分が含まれる構成であってもよい。
(4)実施例2では、掛止部が軸部の端面に周方向に間隔をあけて複数設けられるようにしてもよい。
(5)実施例3では、軸部の両端面が筒状部の下側周壁の内周面に当接して固定されるようにしてもよい。
(6)本発明は、動弁機構に設けられたバルブリフタに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
10…ローラリフタ
18…(軸受孔の)周辺部
20…第1部材
21…対向部
22…架設部
23…軸受孔
25、25A、25B…軸部
29…突部
30…ローラ
60…第2部材
61…筒状部
62…底壁
63…周壁
66…孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12