【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年9月14日ウェブサイト(https://www.famitsu.com/news/201609/14115699.html)に掲載
【文献】
コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 3,週刊ファミ通 ,株式会社エンターブレイン,2011年11月17日,第26巻 第49号,p. 207
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゲーム音声データとして設定された第1の内部音声データが記憶された記憶部とマイクとコンピュータとを備えるゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記マイクが検出した外部の音声を外部音声データとして取得する外部音声取得手段、
前記外部音声データを周波数解析する外部音声解析手段、
前記外部音声解析手段による解析結果が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段、
前記判定手段が前記所定の条件を満たすと判定した場合に、前記第1の内部音声データと比べて前記外部音声データの周波数帯における音圧レベルが低減された第2の内部音声データに、前記ゲーム音声データを設定するゲーム音声設定手段、
前記ゲーム音声データと前記外部音声データとを合成する合成手段、
前記合成手段により合成された音声データを前記ゲーム音声データとして出力する出力手段、
として機能させる、ゲームプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
[ハードウェア構成]
図1は、ゲームシステム1のハードウェア構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、ゲーム装置2及びサーバ装置3を備えている。ゲーム装置2は、他のゲーム装置2及びサーバ装置3との間で、インターネット又はLANなどの通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ゲーム装置2には、ゲームをプレイするユーザに装着されるHMD40及びヘッドホン47が接続されている。また、ゲーム装置2には、ユーザ以外の人用のマイク51及びディスプレイ52が接続されている。
【0019】
ゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介して、ディスクドライブ12、メモリカードスロット13、記憶部(プログラム記憶部)を成すHDD14及びROM15、並びにRAM16が接続されている。
【0020】
ディスクドライブ12には、DVD−ROM等のディスク型記憶媒体(記憶部)30が装填可能である。該ディスク型記憶媒体30には、本実施の形態に係るゲームプログラム30a及びゲームデータ30bが記憶されている。このゲームデータ30bには、仮想空間の形成に必要なデータ、及び、ゲーム中で再生されるサウンドデータなど、本ゲームの進行に必要な各種のデータが含まれる。また、メモリカードスロット13にはカード型記憶媒体31が装填でき、ゲームの途中経過等のプレイ状況を示すセーブデータを、CPU10からの指示に応じて記憶可能である。
【0021】
HDD14はゲーム装置2が内蔵する大容量記憶媒体であって、ディスク型記憶媒体30から読み込んだゲームプログラム30a及びゲームデータ30b、更にはセーブデータ等を記憶する。ROM15は、マスクROM又はPROMなどの半導体メモリであり、ゲーム装置2を起動する起動プログラムや、ディスク型記憶媒体30が装填されたときの動作を制御するプログラムなどを記憶している。RAM16は、DRAM又はSRAMなどから成り、CPU10が実行すべきゲームプログラム30aや、その実行の際に必要になるゲームデータ30bなどを、ゲームのプレイ状況に応じてディスク型記憶媒体30又はHDD14から読み込んで一時的に記憶する。
【0022】
また、CPU10には更に、バス11を介して、HMD用インタフェース17、光放出装置用インタフェース18、グラフィック処理部19、オーディオ合成部20、オーディオインタフェース21、無線通信制御部22、及びネットワークインタフェース23が接続されている。そして、HMD用インタフェース17、光放出装置用インタフェース18及びオーディオインタフェース21には、それぞれ、HMD40、光放出装置46及びヘッドホン47が夫々接続されている。
【0023】
HMD40は、ユーザの頭部に装着可能である。HMD40は、一対の表示部41(41a,41b)、加速度センサ42、ジャイロセンサ43、複数の受光部44及び制御部45を備える。HMD40がユーザの頭部に装着されることにより、当該ユーザの左目と右目の前方には、左目用の表示部41aと右目用の表示部41bとが夫々配置される。
【0024】
加速度センサ42及びジャイロセンサ43は、ユーザの頭部のモーションを検出するモーション検出システムを構成する。加速度センサ42は、例えば重力方向に対するHMD40の向き、即ちユーザの頭部の傾きを検出する。ジャイロセンサ43は、例えばHMD40の角速度、即ちユーザが頭部を傾けたり回転したりする速さを検出する。加速度センサ42及びジャイロセンサ43から得られたモーション情報は、HMD用インタフェース17を介して、グラフィック処理部19及びオーディオ合成部20に送られる。
【0025】
HMD40の複数の受光部44は、ユーザの周りに配置された光放出装置46と共に、ユーザの頭部の位置を検出する位置検出システムを構成する。なお、本実施形態において、ゲームシステム1は、受光部44及び後述の受光部48aを複数備え、光放出装置46を2つ備えるが、
図1ではそれぞれ1つずつ示す。光放出装置46は、例えば赤外線を放出しており、放出された赤外線をHMD40側の受光部44が検出して、光放出装置46に対するユーザの頭部の位置情報が取得される。当該位置情報は、上述のモーション情報を補正するために用いられてもよい。こうして取得された位置情報は、グラフィック処理部19及びオーディオ合成部20に送られる。
【0026】
なお、ユーザの頭部の位置を検出する位置検出システムは、これに限定されない。例えば、HMD40側に光放出部を設けて、当該光放出部から放たれた光を、光放出装置46の代わりにユーザの周りに配置された光検出装置で検出することにより、ユーザの頭部の位置を検出してもよい。
【0027】
制御部45は、加速度センサ42及びジャイロセンサ43からゲーム装置2へのデータの送信や受光部44への信号の送信など、HMD40が有する各種機器の制御を行う。
【0028】
グラフィック処理部19は、CPU10の指示に従って三次元の仮想ゲーム空間等を含むゲーム画像を描画する。例えば、グラフィック処理部19は、ユーザが三次元の仮想空間を立体視できるよう、互いに視差を有する一対の仮想二次元画像を生成する。即ち、グラフィック処理部19は、仮想三次元空間に配置された一対の仮想カメラの夫々で撮影した互いに視差を有する左目用及び右目用の仮想二次元画像を生成する。そして、この一対の仮想二次元画像は、動画形式に変換されて、HMD用インタフェース17を介してHMD40に送られ、一対の表示部41a,41bに夫々表示される。また、グラフィック処理部19は、ユーザに仮想空間内に入り込んだような臨場感を与えるよう、HMD40及び光放出装置46から送られたユーザに関するモーション情報及び位置情報に合わせて、リアルタイムでHMD40に送る一対の仮想二次元画像を変化させる。
【0029】
また、HMD40を装着していないユーザ以外の人が、ユーザに見えている画像を見ることができるように、グラフィック処理部19は、HMD40を介してユーザが見ている画像と同様の仮想二次元画像を生成する。そして、この二次元画像は、ディスプレイ52に送られ表示される。
【0030】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従って、ゲームデータ30bに含まれるデジタル形式のサウンドデータ(後述する、第1の内部音声データ)やマイク51により検出された音声データ(後述する、外部音声データ)等を合成する。オーディオ合成部20にて合成されたサウンドデータは、アナログ形式にデコードされた後、オーディオインタフェース21を介してヘッドホン47に送られ出力される。その結果、本ゲームをプレイしているユーザは、再生されたサウンドを聴取することができる。ヘッドホン47は、HMD40と一体的に構成されてもよい。また、オーディオ合成部20は、ユーザに仮想空間内に入り込んだような臨場感を与えるよう、HMD40及び光放出装置46から送られたモーション情報及び位置情報に合わせて、リアルタイムでヘッドホン47から出力される音響を変化させてもよい。オーディオインタフェース21には、ヘッドホン47の代わりに、スピーカが接続されてもよい。
【0031】
無線通信制御部22は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲーム装置2に付属するコントローラ48との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。コントローラ48には、HMD40と同様、複数の受光部48aが設けられており、これら受光部48aは、光放出装置46と共に、コントローラ48の位置を検出する位置検出システムを構成する。ユーザは、このコントローラ48に設けられたボタン等の操作部を操作したり、コントローラ48を動かしたりすることにより、ゲーム装置2へ信号を入力することができる。
【0032】
ネットワークインタフェース23は、インターネット又はLANなどの通信ネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するものであり、他のゲーム装置2及びサーバ装置3との間で通信可能である。そして、ゲーム装置2を、通信ネットワークNWを介して他のゲーム装置2と接続し、互いにデータを送受信することにより、同一の仮想空間内で同期してゲームを進行させるマルチプレイが可能になっている。
【0033】
[ゲームの概要]
次に、
図2及び
図3を参照して、
図1に示すゲーム装置2が実行するゲームプログラム30aによって実現されるゲームの概要について説明する。
【0034】
図2は、ゲームプログラム30aによって実現される本ゲームの概要を説明するための模式図である。本ゲームでは、HMD40及びコントローラ48の受光部44,48a(
図1参照)が2つの光放出装置46の一方又は双方から放たれる光を検出できる領域を、ゲーム時にユーザP1が歩行するプレイ領域Rとして設定している。ユーザP1は、HMD40及びヘッドホン47を装着すると共に、手にコントローラ48を持った状態で、このプレイ領域R内でプレイする。一方、マイク51を備えたオペレータP2は状況に応じてプレイ領域Rの外又は内に位置する。なお、ゲーム装置2及びディスプレイ52はプレイ領域Rの外に配置される。
【0035】
HMD40には、ゲーム装置2から送られたゲーム画像が表示される。また、ディスプレイ52には、HMD40に表示される画像と同様のゲーム画像が表示される。ヘッドホン47には、ゲーム装置2からゲーム音声が送られる。ゲーム音声には、プレイするゲームに応じて、例えば、BGM、効果音、ゲームに登場するキャラクタの声、ナレーション、実況中継などが含まれる。オペレータP2は、図示しないヘッドホン又はスピーカ等を介してゲーム音声を聞くことができてもよい。
【0036】
本ゲームでは、ユーザP1は、ヘッドホン47を介して、ゲーム音声だけでなく、オペレータP2の声も聞くことができる。
図3は、ゲームシステム1における音声データの流れを示す模式図である。オペレータP2は、ディスプレイ52を見ながら、適宜例えばゲームの進め方やコントローラ48の操作方法等をマイク51に向かって話す。
図3に示すように、マイク51が検出した、オペレータP2の声を含む外部の音声は、ゲーム装置2に送られ、外部音声データとしてゲーム装置2に取得される。一方、ゲームデータ30bには、予めゲーム音声として設定されたデータ(以下、第1の内部音声データ)が含まれている。この第1の内部音声データと外部音声データとが、後述する合成手段67により合成され、合成された音声データ(信号)が、ヘッドホン47に送られる。
【0037】
こうして、
図2に示すように、ユーザP1は、HMD40に表示されたゲーム画像やヘッドホン47から聞こえてくる音声に応じて、適宜プレイ領域R内を歩いたりコントローラ48を操作したりしながらゲームを進行させる。
【0038】
ここで、予めゲーム音声として設定された第1の内部音声データを、外部音声データにそのまま合成してしまうと、オペレータP2の声が、ゲーム音声と混在したりその中に埋もれたりしてユーザP1に聞き取りにくい場合がある。このような場合に、本実施形態では、
図3に破線矢印で示すように、後述する加工手段65により、第1の内部音声データをオペレータP2の声が聞き取りやすくなるように加工して、第2の内部音声データを生成する。こうして、生成された第2の内部音声データは、合成手段67において、第1の内部音声データの代わりに外部音声データに合成される。以下では、このような音声データ処理を実行するゲーム装置2の機能的構成について説明する。
【0039】
[ゲーム装置の機能的構成]
図4は、ゲームシステム1が備えるゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。ゲーム装置2は、本発明のゲームプログラム30aを実行することで、外部音声取得手段61、外部音声解析手段62、内部音声解析手段63、判定手段64、上述の加工手段65、ゲーム音声設定手段66、上述の合成手段67、及び出力手段68として機能する。なお、このような各機能は、ハード的には
図1に示すCPU10,HDD14,ROM15,RAM16,グラフィック処理部19,オーディオ合成部20、無線通信制御部22等から構成されている。
【0040】
外部音声取得手段61は、マイク51が検出した外部の音声を外部音声データとして取得する。外部音声データには、例えば、マイク51が検出した外部の音声を加工しない生データだけでなく、当該生データからノイズ(例えばオペレータP2の声以外の音声)を除去したデータや、当該生データの音圧レベルを変更させたデータなども含まれる。
【0041】
外部音声解析手段62は、外部音声取得手段61により取得された外部音声データを周波数解析する。具体的には、外部音声解析手段62は、フーリエ変換を用いて、外部音声データの時系列データから、外部音声データの音の大きさの周波数特性を算出する。
図5(A)は、外部音声データの音の大きさの周波数特性の一例を模式的に示すグラフである。
【0042】
内部音声解析手段63は、第1の内部音声データを周波数解析する。具体的には、内部音声解析手段63は、フーリエ変換を用いて、第1の内部音声データの時系列データから、第1の内部音声データの音の大きさの周波数特性を算出する。
図5(B)は、第1の内部音声データの音の大きさの周波数特性の一例を模式的に示すグラフである。
【0043】
なお、外部音声解析手段62及び内部音声解析手段63は、それぞれ外部音声データ及び第1の内部音声データを、時間軸上で複数の区間に分割し、分割した区間単位で周波数解析する。外部音声解析手段62及び内部音声解析手段63は、分割した複数の区間の全てについて周波数解析を行ってもよいし、分割した複数の区間のうち所定区間ごとに周波数解析を行ってもよい。
【0044】
外部音声解析手段62及び内部音声解析手段63は、それぞれ、外部音声取得手段61が取得した音声データの音圧レベルが所定の閾値を超えた場合にのみ、周波数解析を行ってもよい。
【0045】
判定手段64は、第1の内部音声データを外部音声データにそのまま合成した場合に、対象となる音声(本ゲームでは、オペレータP2の声)がユーザP1に聞き取りにくくなるか否かを判断する役割を果たす。本実施形態では、判定手段64は、外部音声解析手段62による解析結果と内部音声解析手段63による解析結果とを比較して、所定の条件を満たすか否かを判定する。
【0046】
例えば、判定手段64は、
図5(A)に示すような外部音声データの周波数特性において、音圧レベルが最大となるピーク周波数fpを抽出する。次に判定手段64は、抽出したピーク周波数fpにおける外部音声データの音圧レベルPaと第1の内部音声データの音圧レベルPb(
図5(B)参照)との差Pa-Pbが、閾値を下回るか否かを判定する。そして、ピーク周波数fpでの音圧レベルの差Pa-Pbが閾値を下回った場合、第1の内部音声データを外部音声データにそのまま合成するとオペレータP2の声がユーザP1に聞き取りにくくなる可能性がある。そこで、この場合は上記所定の条件を満たすと判定する。
【0047】
上述した判定手段64の判定方法は一例であり、判定手段64に判定される条件は、特に限定されない。例えば、上述したようなピーク周波数fpでの音圧レベルの比較ではなく、ピーク周波数fpの前後に広がる所定範囲(例えば後述する周波数帯A)における第1の内部音声データと外部音声データの音圧レベルの積分値同士を比較してもよい。
【0048】
また、判定手段64により判定される所定の条件には、外部音声データの周波数特性におけるピーク周波数fpにおける音圧レベルが所定の閾値以上であることが含まれてもよい。これにより、オペレータP2がある程度の声の大きさで話しているかどうかを判定してもよい。
【0049】
加工手段65は、外部音声解析手段62による解析結果と内部音声解析手段63による解析結果に基づいて、外部音声データの周波数帯Aにおける音圧レベルを低減するよう第1の内部音声データを加工して、第2の内部音声データを生成する。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲において、外部音声データの周波数帯とは、外部音声データの周波数特性において周辺よりも音圧レベルが高い周波数範囲を意味する。本実施形態では、外部音声データの周波数特性から抽出されたピーク周波数fpの前後に広がる所定範囲を、外部音声データの周波数帯Aとし、加工手段65は、第1の内部音声データの当該周波数帯Aの音圧レベルを低減する。例えば、外部音声データの周波数特性において、音圧レベルが所定の閾値を超える周波数範囲を、外部音声データの周波数帯Aとしてもよい。外部音声データの周波数帯は、複数あってもよい。
【0051】
図5(C)は、第1の音声データを加工する際の音圧レベルの低減量と周波数との関係の一例である。本実施形態では、音圧レベルの低減量は、外部音声データの周波数特性から抽出されたピーク周波数fpを最大とし、ピーク周波数fpから遠ざかるにつれて小さくなるようなカーブを描く。
【0052】
具体的には、加工手段65は、外部音声データのピーク周波数fpにおける音圧レベルPaに基づいて、ピーク周波数fpにおける第1の内部音声データの音圧レベルPbの低減量Pcを決定する。そして、加工手段65は、第1の内部音声データの周波数特性において、ピーク周波数fpから遠ざかるにつれて音圧レベルの低減量を小さくする。
【0053】
図5(D)は、
図5(B)に示す第1の内部音声データを
図5(C)に示す低減量だけ低減して生成された、第2の内部音声データの音の大きさの周波数特性を模式的に示すグラフである。このように、加工手段65は、
図5(B)に示す第1の内部音声データと比べて、外部音声データの周波数帯Aにおける音圧レベルが低減された第2の内部音声データを生成する。
【0054】
なお、加工手段65は、周波数帯Aにおける第1の内部音声データの音圧レベルを低減するとともに、低減された周波数帯Aの音声を補填するように、第1の内部音声データの別の周波数帯の音圧レベルを増大させてもよい。
【0055】
ゲーム音声設定手段66は、合成手段67により外部音声データと合成されるゲーム音声データの設定を行う。ゲーム開始時には、ゲーム音声設定手段66は、第1の内部音声データをゲーム音声データとして設定されている。そして、ゲーム音声設定手段66は、外部音声解析手段62による解析結果に基づいて、より詳しくは、判定手段64が外部音声解析手段62による解析結果に基づき判定した結果に応じて、第1の内部音声データから第2の内部音声データに、ゲーム音声データを設定する。
【0056】
具体的には、判定手段64が条件を満たすと判定した場合、加工手段65は、上述したように第1の内部音声データを加工して第2の内部音声データを生成し、ゲーム音声設定手段66は、ゲーム音声データを第2の内部音声データに設定する。そして、判定手段64が条件を満たさないと判定した場合、ゲーム音声設定手段66は、ゲーム音声データを第1の内部音声データに設定する。
【0057】
合成手段67は、ゲーム音声データと外部音声データとを合成する。例えばゲーム音声設定手段66が、第2の内部音声データをゲーム音声データとして設定した場合、逆フーリエ変換を用いて、第2の内部音声データを周波数領域のデータから時間領域のデータに再構築し、再構築した第2の内部音声データと外部音声データとを合成する。出力手段68は、合成手段67により合成された音声データをユーザP1が装着したヘッドホン47へ出力する。
【0058】
次に、本実施形態における音声データ処理の流れについて、
図6を参照しながら説明する。
【0059】
ゲーム開始時には、ゲーム音声設定手段66は、第1の内部音声データをゲーム音声データとして設定している(ステップS1)。外部音声取得手段61は、マイク51が検出した外部の音声を外部音声データとして取得する(ステップS2)。外部音声解析手段62は、外部音声データを周波数解析して、外部音声データの周波数特性を取得する(ステップS3)。更に、内部音声解析手段63が、第1の内部音声データを周波数解析して、第1の内部音声データの周波数特性を取得する(ステップS4)。
【0060】
判定手段64は、外部音声データの周波数特性と第1の内部音声データの周波数特性の関係が所定の条件を満たすか否か判定する(ステップS5)。判定手段64が所定の条件を満たすと判定した場合(ステップS5:Yes)、加工手段65は、第1の内部音声データを加工して、第2の内部音声データを生成し(ステップS6)、ゲーム音声設定手段66は、第2の内部音声データをゲーム音声データとして設定する(ステップS7)。判定手段64が所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップS5:No)、ゲーム音声設定手段66は、ゲーム音声データとして第1の内部音声データが設定された状態を維持する。
【0061】
合成手段67は、ゲーム音声データと外部音声データとを合成する(ステップS8)。即ち、判定手段64が所定の条件を満たすと判定した場合(ステップS5:Yes)、第2の内部音声データと外部音声データとを合成し、また、判定手段64が所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップS5:No)、第1の内部音声データと外部音声データとを合成する。こうして合成された音声データを、出力手段68がヘッドホン47に出力する(ステップS9)。
【0062】
なお、ステップS2において取得した外部音声データの音量が所定値未満の場合(ノイズのみと判断できる場合)は、ステップS3〜S9で行う周波数解析や音声データの合成等を行うことなく、ステップS1で設定された第1の内部音声データをそのままヘッドホン47に出力してもよい。逆に、外部音声データの音量が所定値以上の場合(人の音声が含まれると判断できる場合)に、ステップS3以降の処理を実施すればよい。
【0063】
以上に示したように、本実施形態に係るゲームシステム1では、外部音声データの周波数帯における音圧レベルが低減された第2の内部音声データを外部音声データに合成して、ユーザP1に出力する。このため、ゲーム音声を聞きながらゲームをプレイするユーザP1に、マイク51が検出した音声を聞き取りやすくすることができる。即ち、ユーザP1に、オペレータP2の声を聞き取りやすくすることができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、
図7〜
図10を参照しつつ説明する。
【0065】
図7は、第2実施形態に係るゲームシステムにおける音声データの流れを示す模式図である。本実施形態では、ゲームデータ30bに、ゲーム音声データとなり得る複数の内部音声データが含まれており、そのうちの1つは、予めゲーム音声として設定された第1の内部音声データである。本実施形態では、合成手段67において外部音声データに合成される第2の内部音声データが、加工手段65で生成される代わりに、ゲームデータ30bに含まれる複数の内部音声データの中から選択される。なお、ゲームデータ30bに含まれる第1の内部音声データ以外の内部音声データは、1つでもよい。
【0066】
図8は、第2実施形態におけるゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。
図7に示すゲーム装置は、第1実施形態のものに対し、内部音声解析手段63及び加工手段65の代わりに、選択手段71が追加された構成になっている。なお、これらを実現するハードウェア構成は、
図1に示すものを採用することができる。
【0067】
また、本実施形態でも、判定手段64は、第1実施形態と同様、外部音声データの対象となる音声がユーザP1に聞き取りにくくなるか否かを判断する役割を果たす。但し、本実施形態では、ゲーム装置2が内部音声解析手段63として機能しないため、判定手段64は、外部音声解析手段62による解析結果に基づき、所定の条件を満たすか否かを判定する。
【0068】
本実施形態における判定手段64の判定方法について説明する。
図9(A)は、外部音声データの音の大きさの周波数特性の一例を模式的に示すグラフである。このような周波数特性は、第1実施形態と同様、外部音声解析手段62により解析され取得される。
【0069】
図9(B)は、第1の内部音声データの音の大きさの周波数特性の一例を模式的に示すグラフである。本実施形態では、ゲームデータ30bには、第1の内部音声データの周波数帯B1や、それ以外の内部音声データの周波数帯に関する周波数情報が記憶されている。
【0070】
ここで、内部音声データの周波数帯とは、内部音声データの周波数特性において周辺よりも音圧レベルが高い周波数範囲を意味する。本実施形態では、内部音声データの周波数特性から抽出されたピーク周波数(
図9(B)ではfp1、
図9(C)ではfp2)の前後に広がる所定範囲を、内部音声データの周波数帯(
図9(B)ではB1、
図9(C)ではB2)とする。
【0071】
例えば、判定手段64は、この周波数情報に基づき、外部音声データの周波数特性におけるピーク周波数fpが第1の内部音声データの周波数帯B1にあるか否かを判定する。そして、
図9(B)に示すように、ピーク周波数fpが第1の内部音声データの周波数帯B1にある場合、第1の内部音声データを外部音声データにそのまま合成したときのオペレータP2の声がユーザP1に聞き取りにくくなると判断する。
【0072】
選択手段71は、ゲームデータ30bに含まれる内部音声データの周波数帯と外部音声データの周波数帯Aとを比較して、ゲームデータ30bに含まれる内部音声データの中から、第1の内部音声データと比べて外部音声データの周波数帯Aにおける音圧レベルが低減された第2の内部音声データを選択する。
【0073】
図9(C)は、選択手段71により選択された第2の内部音声データの音の大きさの周波数特性の一例を模式的に示すグラフである。例えば、選択手段71は、
図9(C)に示すように、その周波数帯B2が外部音声データの周波数帯Aと重ならない第2の内部音声データを選択する。
【0074】
次に、本実施形態における音声データ処理の流れについて、
図10を参照しながら説明する。
【0075】
ゲーム開始時には、ゲーム音声設定手段66は、第1の内部音声データをゲーム音声データとして設定している(ステップT1)。外部音声取得手段61は、マイク51が検出した外部の音声を外部音声データとして取得する(ステップT2)。外部音声解析手段62は、外部音声データを周波数解析して、外部音声データの周波数特性を取得する(ステップT3)。
【0076】
判定手段64は、外部音声データの周波数特性が所定の条件を満たすか否か判定する(ステップT4)。判定手段64が所定の条件を満たすと判定した場合(ステップT4:Yes)、選択手段71は、複数の内部音声データの中から第2の内部音声データを選択し(ステップT5)、ゲーム音声設定手段66は、第2の内部音声データをゲーム音声データとして設定する(ステップT6)。判定手段64が所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップT4:No)、ゲーム音声設定手段66は、ゲーム音声データとして第1の内部音声データが設定された状態を維持する。
【0077】
合成手段67は、ゲーム音声データと外部音声データとを合成する(ステップT7)。即ち、判定手段64が所定の条件を満たすと判定した場合(ステップT4:Yes)、第2の内部音声データと外部音声データとを合成し、また、判定手段64が所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップT4:No)、第1の内部音声データと外部音声データとを合成する。こうして合成された音声データを、出力手段68がヘッドホン47にゲーム音声データとして出力する(ステップT8)。
【0078】
なお、本実施形態でも、ステップT2において取得した外部音声データの音量が所定値未満の場合(ノイズのみと判断できる場合)は、ステップT3〜T8で行う周波数解析や音声データの合成等を行うことなく、ステップT1で設定された第1の内部音声データをそのままヘッドホン47に出力してもよい。逆に、外部音声データの音量が所定値以上の場合(人の音声が含まれると判断できる場合)に、ステップT3以降の処理を実施すればよい。
【0079】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態の適用例としては、例えば、第1の内部音声データにゲーム音声として含まれる実況中継の声が男性の声であって、マイク51で検出したオペレータP2の声も男性の声であった場合に、選択手段71が、実況中継の声が女性の声である第2の内部音声データを選択する例が考えられる。
【0080】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、HMD40を備えたゲームシステム1が説明されたが、本発明は、HMD40を備えない構成のゲームシステムにも適用可能である。即ち、本発明に係るゲームシステムは、光放出装置46を備えていなくてもよいし、コントローラ48には受光部48aがなくてもよい。
【0082】
また、上記実施形態は、ヘッドホン47を装着したユーザP1が、ゲーム音声とともにオペレータP2の声を聞きながらプレイするゲームを例に説明されたが、本発明に係るゲームプログラムによって実現されるゲームは、このような態様のゲームに限られない。例えば、本発明は、ゲーム音声とともに、ネットワークNWを通じてマルチプレイする別のユーザの声を聞きながらユーザP1がプレイする、ボイスチャットを利用したゲームにも適用可能である。
【0083】
また、上記したゲームの例では、ゲームプレイ中にマイク51が検出した音声が外部音声データとして取得されたが、外部音声データは、ゲームプレイ中に取得された音声でなくてもよい。例えば、外部音声データは、予めオペレータP2の声(ゲームの説明や解説など)をマイク51で検出して、登録されたものであってもよい。そして、この登録された外部音声データをゲームプレイ時に使用し、使用された外部音声データに応じてゲーム音声データを設定してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第2の内部音声データが第1の内部音声データと比べて音圧レベルが低減される周波数帯Aは、1つであったが、第2の内部音声データが第1の内部音声データと比べて音圧レベルが低減される周波数帯は、複数あってもよい。例えば、加工手段65は、外部音声データの音の大きさの周波数特性の波形が、所定の閾値を超える複数の山部を有する場合、各山部のピークを含む複数の周波数帯に関して、第1の内部音声データの音圧レベルを低減してもよい。