特許第6397580号(P6397580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6397580
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】経腸栄養飽満デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A61J15/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-539591(P2017-539591)
(86)(22)【出願日】2016年8月17日
(86)【国際出願番号】US2016047286
(87)【国際公開番号】WO2018034658
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2017年7月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクマイケル、ドナルド
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−537832(JP,A)
【文献】 特表2011−512955(JP,A)
【文献】 特開2013−135904(JP,A)
【文献】 特開2011−098225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経腸栄養デバイスであって、
チューブ遠位端、及びチューブ近位端を有するカテーテルチューブと、
前記チューブ近位端で前記カテーテルチューブに固定され、患者の身体の外部に配置するための外部リテーナである第1リテーナと、
前記チューブ遠位端で前記カテーテルチューブに固定され、患者の体内ルーメン内に留置するための留置リテーナである第2リテーナと、
前記チューブ遠位端で前記カテーテルチューブに固定され、栄養物を受け入れて患者に投与するために前記患者の前記体内ルーメン内に留置可能である、拡張式のブラダとを含むことを特徴とする経腸栄養デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記ブラダが透過性の膜であることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、
前記ブラダから栄養物を投与するための流れ制御バルブを更に含むことを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記ブラダが弾性を有する材料で形成されることを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記体内ルーメンが前記患者の胃であることを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記ブラダが拡張し、ボーラス投与1回分の栄養物を受け入れることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記ブラダが拡張し、前記体内ルーメンの容積を占めることを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記栄養物が連続的な速さで投与されることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記第1リテーナが薄型の経腸栄養デバイスの基部であることを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記第2リテーナが膨張式のバルーンであることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
患者に栄養物を連続的に投与するための飽満誘発デバイスであって、
前記患者の体内ルーメン内に留置可能なチューブ遠位端、及びチューブ近位端を有する経腸栄養チューブと、
前記チューブ近位端で前記経腸栄養チューブに固定され、前記患者の身体の外部に配置するための外部リテーナである第1リテーナと、
拡張式のブラダであって、前記チューブ遠位端の付近で前記経腸栄養チューブに固定され、前記患者の体内ルーメン内に留置可能であり、栄養物を受け入れるときに拡張して前記体内ルーメンの容積を占め、栄養物が前記患者に連続的に投与されるときに収縮する、該拡張式のブラダとを含むことを特徴とする飽満誘発デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスであって、
前記ブラダが透過性の膜であることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスであって、
前記ブラダからの栄養物の流量を制御するための流れ制御バルブを更に含むことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記ブラダが弾性を有する材料で形成されることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記体内ルーメンが前記患者の胃であることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記外部リテーナが薄型の経腸栄養デバイスの基部であることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項11〜16のいずれか1項に記載のデバイスであって、
前記外部リテーナが第1リテーナであり、前記デバイスが留置リテーナである第2リテーナを更に含むことを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスであって、
前記第2リテーナが膨張式のバルーンであることを特徴とするデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の経腸栄養のためのデバイスに関する。より詳細には、本発明は、経腸栄養患者の飽満を誘発するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
所望の医療目的を達成するために人体の内部へのカテーテル挿管を必要とする様々な状況が存在する。比較的一般的な状況は、残留流体の排出や、胃や腸へ栄養溶液や薬剤を直接的に供給することである。これらの状況では、経皮的に瘻孔を形成した後に、その瘻孔を通じて留置デバイスを挿入し留置する。例として、この外科的開口部、及び/または、胃壁または腸壁から皮膚の外面に通じる瘻孔を形成する手技は、一般的に「胃瘻(胃瘻造設)」と呼ばれている。このような瘻孔を通じて留置されるカテーテル要素を有するデバイス、例えば栄養チューブを通じて栄養溶液を注入することにより、胃や腸へ栄養物を直接的に供給することができる(経腸栄養法として知られている)経腸栄養のための様々なデバイスが長年にわたって開発されており、それらには、従来型すなわち非薄型の構造を有するデバイスだけではなく、患者の皮膚上に載置される部分が「薄型」の構造を有するデバイスが含まれる。このような経皮送達デバイス(「経皮送達カテーテル」とも呼ばれることもある)は、しばしば、「胃瘻チューブ」、「経皮胃瘻カテーテル」、「PEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)チューブ」、または「経腸栄養チューブ」と呼ばれる。このようなデバイスの一例が、2000年2月1日にPichaらに付与された「薄型バルーン栄養デバイス(Low Profile Balloon Feeding Device)」なる標題の米国特許第6,019,746号明細書(特許文献1)に開示されている。
【0003】
上述したように、カテーテルの使用を必要とする様々な例が存在するが、その1つは、大手術の後によく見られるような、患者の胃の機能が一時期損なわれた場合である。胃の機能が損なわれるかまたは制限された他の例と同様に、手術後に身体に所定レベルの栄養物等を供給または補充する必要があることに加えて、更なる問題は、栄養が供給されない腸が、血流に入り込む細菌の源になり得ることである。この種の問題は、患者の腹壁、胃壁、幽門、十二指腸を通じて、トライツ靱帯の先の空腸内に適切に挿入された経腸栄養デバイスチューブを介して栄養物を導入することにより解決することができる。
【0004】
一般的に、経腸栄養処置を受け、逆流または誤嚥の問題を有する患者には、飽満または「満腹」である感覚は認められない。これは、そのような患者は、空腸を介して食物を与えられている、すなわち栄養物が小腸に直接供給されているか、例えば12時間以上にわたって、持続的に胃に食物が投与されているためである。したがって、このような患者は、一般に、「通常の」または一般的な食事療法で、例えば1日に2回または3回、摂食することは無く、胃が食物の塊を受け入れて膨張するときに一般的に生じる感覚である、十分に食べたという感覚は得られない。
【0005】
したがって、患者のために改善された飽満を提供する経腸栄養デバイスが有用である。より詳細には、連続的に食物を供給すると同時に、飽満の感覚を模倣する、または再現する経腸栄養デバイスが有益である。更に、食物の塊を受け入れ、患者に食物を連続的に供給する、患者の内部に留置するためのバルーンを組み込んだ経腸栄養デバイスが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6019746号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様及び利点は、以下の開示において部分的に記載されるか、開示から明らかになり得る。または、本発明の実施例を通じて理解され得る。
【0008】
一態様では、本発明の主題は経腸栄養デバイスに関する。このデバイスは、チューブ遠位端とチューブ近位端とを有するカテーテルチューブを含む。第1リテーナはチューブ近位端でカテーテルチューブに固定され、第2リテーナはチューブ遠位端でカテーテルチューブに固定される。第1リテーナは患者の体外に配置するための外部リテーナであり、第2リテーナは患者の体内ルーメン内に留置するための留置リテーナである。このデバイスはまた、チューブ遠位端でカテーテルチューブに固定された拡張式のブラダを含む。拡張式のブラダは、栄養物を受け入れ、患者に投与するために、患者の体内ルーメン内に留置可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、ブラダは透過性の膜である。他の実施形態では、デバイスはブラダから栄養物を投与するための流れ調節バルブを含む。ブラダは、例えば、繰り返しの膨張及び収縮に適した弾性を有する材料、または任意の他の材料から形成され得る。
【0010】
様々な実施形態において、体内ルーメンは患者の胃であり、ブラダは患者の胃の内部に留置可能である。ブラダは膨張し、ボーラス投与1回分の栄養物の塊を受け入れることができ、より詳細には、ブラダは膨張し患者の体内ルーメンの容積を占め得る。例示的な実施形態では、栄養物は連続的な速度で投与されるが、他の実施形態では、栄養物は他の適切な速度または間隔で投与されてもよい。
【0011】
更に他の実施形態では、第1リテーナは薄型の経腸栄養デバイスの基部であり、更にまた他の実施形態では、第2リテーナは膨張式のバルーンである。デバイスの他の構成も同様に使用され得る。
【0012】
別の態様では、本発明の主題は、患者に栄養物を断続的に投与するための飽満誘発デバイスに関する。このデバイスは、チューブ遠位端と、チューブ近位端とを有する経腸栄養チューブを含む。チューブ遠位端は、患者の体内ルーメン内に留置可能である。第1リテーナは、チューブ近位端で経腸栄養チューブに固定される。第1リテーナは、患者の体外に配置するための外部リテーナである。デバイスは更に、経腸栄養チューブのチューブ遠位端付近に固定された拡張式のブラダを含み、この拡張式のブラダは患者の体内ルーメン内に留置可能である。拡張式のブラダは、栄養物を受け入れるときに膨張して体内ルーメンの容積を占め、栄養物が患者に連続的に投与されるときに収縮する。
【0013】
飽満誘発デバイスのいくつかの実施形態では、ブラダは透過性の膜でできており、他の実施形態では、デバイスは、ブラダから栄養物が流れる流量を制御するための流れ制御バルブを含む。例示的な実施形態では、ブラダは弾性を有する材料で形成されるが、他の実施形態では、ブラダは、例えば繰り返される膨張及び収縮に適した任意の他の材料から作られてもよい。更に他の実施形態では、体内ルーメンは患者の胃であり、ブラダは患者の胃の内部に留置可能である。
【0014】
加えて、または代わりに、リテーナは薄型の経腸栄養デバイスの基部であり得る。いくつかの実施形態では、リテーナは第1リテーナであり、デバイスは第2の留置リテーナを更に含む。例えば、第2リテーナは膨張式のバルーンであってもよいが、他の種類または構成の留置リテーナも使用され得る。更に、他の構成の飽満誘発デバイスも同様に使用され得る。
【0015】
これらの、及び他の、本発明の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び別記の請求項を参照することでより明確に理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれその一部をなし、本発明の実施形態を図示し、説明とともに本発明の原理を明らかにする。
【0016】
当業者に向けられた本発明の完全かつ実施可能な程度の開示は、その最良の態様を含み、添付の図面を参照し明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の主題の例示的な実施形態による、経腸栄養デバイスまたは飽満誘発デバイスの概略断面図である。
図2A図2Aは、本発明の主題の例示的な実施形態による、患者の体内ルーメン内に留置され、収縮した状態、または非膨張状態の拡張式のブラダを有する、図1の経腸栄養デバイスまたは飽満誘発デバイスの概略図である。
図2B図2Bは、本発明の主題の例示的な実施形態による、膨張した状態、または拡張した状態の拡張式のブラダを有する、図2Aの経腸栄養デバイスまたは飽満誘発デバイスの概略図である。
図2C図2Cは、本発明の主題の別の例示的な実施形態による、膨張した状態、または拡張した状態の拡張式のブラダを有する、図2Aの経腸栄養デバイスまたは飽満誘発デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照し、1以上の実施例を図面に示す。各々の実施例は本発明の説明を目的としており、本発明を限定するものではない。事実、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明に様々な改良及び変更を行うことが可能であることは、当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を他の実施形態で使用し、更に別の実施形態を生み出すことが可能である。したがって、本発明はこのような改良及び変更を、特許請求の範囲及び特許請求の範囲に対する均等物に含まれるものとして対象としている。
【0019】
更に、構成要素の特定の呼称、用語の大文字表記、属性、データ構造、または任意の他のプログラミングまたは構造的側面は、必須でも、また重要でもなく、本発明または本発明の特徴を実施するメカニズムは、異なる名称、フォーマット、またはプロトコルを有することができる。また。本明細書に開示された様々な構成要素間の特定の機能部分は、単なる例示であり、必須ではない。すなわち、単一の構成要素によって実行される機能は、代わりに複数の構成要素によって実行されてもよく、複数の構成要素によって実行される機能は、代わりに単一の構成要素によって実行されてもよい。
【0020】
本発明は、例えば経腸栄養デバイスなどの、カテーテルチューブを有する非血管性のカテーテルデバイスと、外部リテーナ(例えば、人間の身体の外部に配置される基部)と、患者の体内ルーメン内すなわち体腔内(例えば、胃管腔、空腸、腹膜腔などの身体の非血管性のルーメンすなわち体腔)に留置される留置リテーナとに関する。例えば、留置リテーナは、カテーテルデバイスが患者から引き抜かれることを防ぐ、カテーテルデバイスの保持機構であり、留置リテーナは胃を介して体内ルーメンへ挿入され得る。胃を介した挿入は、身体の外部からであってもよく、または内視鏡技術を用いて身体の内部から実行されてもよい。この文脈では、「挿入」という用語は、胃の中の決まった場所にカテーテルチューブを差し込むこと、または導入することとして理解されるべきであり、基部は人間の身体の外側に配置され、留置リテーナは非血管性のルーメン内すなわち体腔内に留置される。一般的に、カテーテルデバイスは、例えば構成可能なPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)デバイス、または「C−PEG(Configurable - PEG)」デバイスなどの経腸栄養デバイスである。
【0021】
図1を参照すると、本発明の主題の例示的な実施形態による、非血管性のカテーテルデバイスの側面概略図が提供される。より詳細には、図1の例示的な実施形態の非血管性カテーテルデバイスは経腸栄養デバイス100(「PEG」デバイスとも呼ばれ得る)であり、該経腸栄養デバイス100は、カテーテルを通すための少なくとも1つの栄養ルーメン104を画定する壁を有する、可撓性を有するカテーテル102(「チューブ」、「栄養チューブ」、または「シャフト」とも呼ばれ得る)を含む。経腸栄養デバイス100は、患者Pの身体の外側に配置した基部106(図2A図2C)と、患者Pの非血管性の体内ルーメン(例えば、患者の胃などの胃管腔)内に留置するための留置リテーナとを更に含む。基部106はまた、経腸栄養デバイス100の第1、すなわち外部リテーナであってよく、留置リテーナは、経腸栄養デバイス100の第2、すなわち内部リテーナであってもよい。
【0022】
一般的に、経腸栄養デバイス100の基部106は、例えばカテーテル102の栄養ルーメン(複数可)104へのアクセスを可能にする1以上の開口部またはポート110を有する。図1に示されるように、可撓性を有するカテーテル102は、チューブ近位端112、チューブ遠位端114、長手軸A、横軸W、及び長さLを有する。更に、図1に示された実施形態では、カテーテル102は基部内の1以上のポート110と連通する基部106を通じて配置される。カテーテル102の壁は、1以上の栄養ルーメン104を画定し、栄養ルーメン104は、基部106内のポート(複数可)110からカテーテル102のチューブ遠位端114まで延在する。栄養ルーメン(複数可)104は第2リテーナ108内の1以上の開口部と連通していてもよい。
【0023】
第2リテーナ108は、従来の成形された可撓性を有するリテーナであってもよく、またはリテーナの直径が、一般的に経腸栄養デバイスのカテーテル部分とほぼ同じである「挿入」状態または「抜去」状態から、リテーナが拡張した形状をとり、リテーナの直径が経腸栄養デバイスのカテーテル部分より実質的に大きい、拡張した「保持」状態または「留置」状態へ変化する、構成可能なリテーナであってもよい。このような構成可能なPEGデバイスは、C−PEGデバイスと呼ばれてもよい。様々な実施形態において、構成可能な第2リテーナ108は膨張式のまたは非膨張式のリテーナであってよく、拡張した形状は、キノコ、ドーム、球形、半球形、ドーナツ、またはその他の適切な形状であってもよい。
【0024】
第2リテーナ108は、経腸栄養デバイス100のカテーテル102のチューブ近位端112から離れて固定される。より詳細には、第2リテーナ108は、カテーテル102のチューブ遠位端114付近のカテーテル102に固定される。上述のように、第2リテーナ108は、患者の胃などの非血管性の体内ルーメン内に留置されるべく形成された留置リテーナである。例示的な実施形態では、第2リテーナ108は、膨張ルーメン116を介して液体を受け入れる膨張式バルーンであり、基部106を通って延在することができる。他の実施形態では、第2リテーナ108は非膨張式のリテーナであってもよく、膨張ルーメン116は不要である。
【0025】
前述のように、患者の身体の外部に配置されるべく形成された第1の外部リテーナであってもよい基部106は、カテーテル102に固定されてもよい。図1に示されるように、第1リテーナであり得る基部106は、第2リテーナ108に近接したカテーテル102に固定されており、より明確には、カテーテル102のチューブ近位端112で、またはその付近で固定されている。図1の例示的な実施形態では、第1リテーナまたは基部106は、薄型のPEGデバイスの基部であり、基部近位面118と、基部遠位面120とを有する。経腸栄養デバイス100が実施のため、すなわち患者Pの体内ルーメンに栄養物を供給するために配置されるとき、基部遠位面120は、患者の皮膚に押し当てられて、または患者の皮膚に隣接して配置される。前述のように、基部106は、1以上のポート110を画定し得る。例えば、基部106は、カテーテル102へのアクセスを提供する1つのポート110と、第2リテーナ108であるバルーンを膨張させるための膨張ルーメン116へのアクセスを提供する第2ポート110とを画定し得る。プラグ122は各ポート110に含まれてもよく、例えば使用されていないときにポートが閉じられてもよい。1以上のプラグ122は、テザー124によって基部106に取り付けられてもよい。当然のことながら、他の実施形態では、各プラグ122は基部106から離れていてもよく、または基部106に取り付けられていなくてもよい。加えて、または代わりに、1以上のポート110は、チェックバルブを組み込むことができ、患者Pに送達するための流体、例えば栄養物の流入を可能にするが、ポート110を通って流体が流出することを防ぐ。
【0026】
同様に図1を参照すると、いくつかの実施形態では、コネクタ126が使用され、カテーテル102、または栄養チューブを、患者Pに提供されたシリンジまたは他の適切なインジェクタなどの栄養溶液の源と接続させてもよい。コネクタ126は、基部106上に配置され、それによってコネクタ126及び栄養物の源がカテーテル102の栄養ルーメン104と流体連通し、栄養物が患者Pに送達されてもよい。コネクタ126は、栄養源を経腸栄養デバイス100と接続するための任意の適切な形状を有することができ、または、適切な実施形態では、コネクタ126は省略され得ることは理解されよう。
【0027】
図1に更に示されるように、経腸栄養デバイス100はカテーテルのチューブ遠位端114で、またはその付近でカテーテル102に固定された拡張式のブラダ130を含む。以下でより詳細に記載するように、ブラダ130は、栄養物、または食物の塊を受け入れて拡張し、それによって患者の胃などの体内ルーメンの容積を占め、患者の飽満感を誘発する。ブラダ130は、連続的な速度で食物または栄養物を投与し、連続的な摂食の臨床的有用性を維持すべく構成されている。したがって、ブラダ130を含む経腸栄養デバイス100も、患者に栄養物を連続的に投与するための飽満誘発デバイスとして開示することができる。
【0028】
第2リテーナ108と同様に、ブラダ130は、経腸栄養デバイス100の配置構成要素である。すなわち、ブラダ130は、図2A図2Cに示されるように、患者の胃Sなどの患者Pの体内ルーメン内に留置可能である。特に図2Aを参照すると、患者Pに使用するための適切な位置にある経腸栄養デバイス100の概略図が示されている。例示的な実施形態に示されるように、カテーテル102または栄養チューブは、胃の壁から患者の皮膚まで形成された瘻孔を通して留置され、カテーテル102は胃Sの内部から患者Pの外部まで広がる。基部106の基部遠位面120は、患者の皮膚に接触して配置され、留置される第2リテーナ108は、患者の胃Sの内部に留置され、経腸栄養デバイスを経腸栄養のための所望の位置に保持する。
【0029】
図2Aに更に示されるように、ブラダ130は、一般に収縮状態または非膨張状態にある。しかし、ブラダ130が栄養物を受け入れ、患者Pに投与すると、ブラダ130は図2B、及び図2Cに示されるように拡張する。図2Bの概略図を特に参照すると、ブラダ130は、1回分の栄養物の塊または食物の塊を受け入れ、拡張して患者の胃Sの容積を占める。このように、栄養物を受け入れるとき、ブラダ130は膨張状態または拡張した状態にある。図2Bの例示的な実施形態では、拡張式のブラダ130は透過性の膜132であり、透過性の膜132によって、栄養物Nは膜を介して患者の胃Sへ徐々に浸透することができる。より詳細には、透過性の膜によって、栄養物Nはブラダ130の内部134からブラダ130の外面136を越えて通過することができる。様々な実施形態において、透過性の膜はゴアテックス(登録商標)または他の適切な透過性を有する材料から作られてもよい。透過性の膜を形成する材料は、栄養物Nが実質的に一定、または連続的な速度で材料に浸透するように、例えば、既知の経腸栄養アセンブリの連続的な栄養投与に近似するように選択されることができる。
【0030】
ここで図2Cの概略図を参照すると、他の例示的な実施形態では、ブラダ130は流れ制御バルブ138を含み、栄養物がブラダ130から患者Pに投与される流量を制御する。いくつかの実施形態では、流れ制御バルブ138は、ブラダ130に載置された、または組み込まれた、圧力補償による流れ制御バルブであってもよい。他の適切なバルブも同様に使用されることができ、いくつかの実施形態では、ブラダ130は1以上の流れ制御バルブ138を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、ブラダ130は透過性の膜であり、流れ制御バルブ138を含み得ることが理解されよう。更に、ブラダ130が透過性の膜132であり、及び/または流れ制御バルブ138を含むか否かに関わらず、ブラダ130は、弾性を有する材料、または他の適切な材料から作られることができ、ブラダ130が繰り返し膨張及び収縮し、栄養物Nを受け入れ、患者Pに投与することが可能である。更に、ブラダ130及び経腸栄養デバイス100、または飽満誘発デバイスも、他の適切な構成を有し得る。
【0032】
ブラダ130が図2B、及び図2Cに示されるように拡張すると、患者の胃は、膨張、または拡張し栄養物の塊を受け入れる。患者の胃の膨張または拡張は、「満腹」すなわち飽満であるという感覚を誘発する。しかし、ブラダ130は透過性を有する材料から作られているか、栄養物を徐々に投与するための流れ制御バルブまたは他の適切な特徴を組み込んでいるため、連続的な栄養投与または空腸栄養投与の臨床的有用性、例えば逆流または誤嚥の減少も、経腸栄養デバイス100によって同様に達成され得る。このように、患者Pは、より通常の摂食療法、例えば、2回または3回の食事を模倣した、1日に2回または3回の栄養物のボーラス投与を受け、連続的な方式で栄養物を受け取り、「摂食」することができる。
【0033】
様々な特許が引用により本明細書に組み込まれるが、組み込まれた材料と記述された明細書の材料との間に矛盾が存在する限り、記述された明細書が制御するものとする。更に、記述された本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために実施例を用い、任意のデバイスまたはシステムを作成し使用すること、及び任意の組み込まれた方法を実施することを含め、任意の当業者が本発明を実行することを可能にもする。本発明の特許取得の対象となる範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が想到する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言とほとんど異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【要約】
経腸栄養処置を受ける患者に飽満を誘発するためのデバイスが提供される。一態様では、カテーテルチューブと、チューブ遠位端に固定された拡張式のブラダとを含む経腸栄養デバイスが提供される。拡張式のブラダは、栄養物を受け取り患者に投与するため、患者の体内ルーメン内に留置可能である。別の態様では、栄養物を患者に連続的に投与するための飽満誘発デバイスが提供される。該飽満誘発デバイスは、経腸栄養チューブと、チューブ遠位端に固定された拡張式のブラダとを含み、該拡張式のブラダはチューブ遠位端の付近に固定され、患者の体内ルーメン内に留置可能である。拡張式のブラダは、栄養物を受け取るときに拡張して体内ルーメンの容積を占め、栄養物が患者に連続的に投与されるときに収縮する。
【選択図】図2A
図1
図2A
図2B
図2C