(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397606
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】磁性材料、磁性磁器組成物、フェライト磁石および磁性磁器組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/10 20060101AFI20180913BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20180913BHJP
H01F 17/00 20060101ALN20180913BHJP
【FI】
H01F1/10
H01F41/02 G
!H01F17/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-83097(P2013-83097)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2014-207282(P2014-207282A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年3月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充次
(72)【発明者】
【氏名】山内 清久
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】淺枝 勉
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正幸
【審査官】
久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−175927(JP,A)
【文献】
特開平06−061029(JP,A)
【文献】
特開平11−186017(JP,A)
【文献】
特開2002−170715(JP,A)
【文献】
特開2002−175917(JP,A)
【文献】
特開2002−252109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/00−1/117、17/00−19/08
H01F 41/00−41/04
C01G 49/00−49/08
C04B 35/26−35/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性材料であって、
化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料にBi2O3とSiO2が添加されてなり、
前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下であり、
前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下である、
ことを特徴とする磁性材料。
【請求項2】
請求項1に記載の磁性材料を焼結させてなる磁性磁器組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の磁性磁器組成物を着磁してなるフェライト磁石。
【請求項4】
積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性磁器組成物の製造方法であって、
n<6として化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料を仮焼成するステップと、
前記仮焼成によって得た粉体を粒径が1μm以下の粉体に粉砕するステップと、
前記粒径が1μm以下の粉体にBi2O3とSiO2を添加する焼結助剤添加ステップと、
前記Bi2O3とSiO2が添加された前記粉体にバインダーを加えて造粒物を得るステップと、
前記造粒物を所定の形状の成形体に成形するステップと、
前記成形体を銀の融点以下の温度で焼成して焼結体を得るステップと、
を含み、
前記焼結助剤添加ステップでは、前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下となるように当該Bi2O3を添加するとともに、前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下となるように当該SiO2を添加する、
ことを特徴とする磁性磁器組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材料に関する。具体的には、積層インダクタなどの積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性材料と、その磁性材料を焼結してなる磁性磁器組成物、さらにはその磁性磁器組成物を着磁してなるフェライト磁石、および磁性磁器組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層インダクタなどの積層チップ部品では、電気絶縁性の絶縁体層と導体パターンが形成される電極層とが交互に積層されるとともに、必要に応じて各層の導体パターンが層間で接続されることで、磁性体中に回路配線が形成されている。積層チップ部品がインダクタであれば、絶縁性の磁性体材料からなる磁性層を絶縁体層として、導体パターンが積層方向に重畳しながら螺旋状に周回するように接続されてコイルに相当する回路配線が形成されている。周知のごとく、積層チップ部品は、厚膜技術によって絶縁体層となるペースト状のシートを、電極パターンを形成する電極層を介して積層して積層体を形成するとともに、その積層体を焼成することで得た焼結体の表面に外部電極を形成することで製造される。
【0003】
そして、積層チップ部品には、永久磁石が組み込まれたものがある。例えば、積層インダクタは、コイルの周囲が磁性体で囲まれているため、外部への磁気漏洩が少なく、比較的少ない巻数で必要なインダクタンスが得られる特徴があり、小型化、薄型化に適している一方で、小さなコイル電流(励磁電流)でも磁性体の磁気飽和が生じるため、直流重畳電流が低電流領域にあってもインダクタンスが大きく変動するという問題がある。つまり、直流重畳特性が悪いという問題があり、この積層型インダクタにおける直流重畳特性の劣化を抑制するために、磁性層の内部にコイルによって励起された磁束を打ち消す方向に磁束を発生する永久磁石を配置することで直流重畳特性の劣化を防止している。
【0004】
ところで、上述した積層チップ部品を構成する材料については、電極層に融点962℃の銀を導電体として用いるのが一般的である。積層チップ部品における導電体以外の構成材料は、900℃以下での焼成で十分な密度が得られる低温焼成特性を有していることが必要となる。積層インダクタにおける磁性層であれば、Ni−Cu−Zn系フェライトやNi−Zn系フェライトが用いられる。永久磁石も基本的にはフェライトを主体とした磁性材料から構成されているが、低温焼成特性とともに高い保磁力を有することも重要な条件となる。そこで、以下の特許文献1、2などには、積層インダクタ内部に配置される永久磁石用の磁性材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−175926号公報
【特許文献2】特開平11−186017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、積層インダクタなどに用いられる永久磁石の起源となる磁性材料は、900℃以下の焼成温度でも十分な密度が確保されていること、および着磁して永久磁石にした状態では高い保磁力を有していることが必要となる。そして、上記特許文献1に記載の磁性材料は、CuOを10mol%以下含有するとともに、Baフェライト(BaO・nFe
2O
3)の原料(BaO、Fe
2O
3)にBi
2O
3、B
3O
3、V
2O
5、Na
2B
3O
7、H
3BO
3、およびSiO
2のうちの少なくとも1種を1重量%以下添加されているものである。そして、CuOを含有させることで焼結温度を低下させることに成功しているものの、この磁性材料を焼結して着磁することで得られる永久磁石(フェライト磁石)は、低温焼成特性を向上させるためのCuOが保磁力の低下要因となり、十分な保磁力を確保することができない、という問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の磁性材料では(Sr
(1−x―y) Ba
x Pb
y )O・nFe
2 O
3 で表現される磁性フェライトの原料に卑金属酸化物であるBi
2O
3を添加している。あるいは前記磁性フェライトの原料にLiO
1/2 およびRO(RはBaO、SrO、CaOのうち少なくとも一種)などの卑金属酸化物を含有する硼珪酸ガラスを添加している。しかし磁性材料が焼結する際、その磁性材料中に卑金属酸化物やそれを含んだ硼珪酸ガラスに起因する粒成長が発生して、磁性材料の正常な結晶化が阻害され、結果として保磁力が低下するという問題がある。このように、積層インダクタなどの内部に永久磁石として配置される磁性材料には、保磁力特性と低温焼成特性を両立することが難しかった。
【0008】
もちろん、積層インダクタに限らず、マイクロ波の周波数帯域で使用されるアイソレータやサーキュレータなどの非可逆回路素子は、内部に配線が形成された磁器組成物かならなるチップ部品であり、これらのチップ部品に埋め込む永久磁石についても、配線がAgで形成される場合には低温焼成が可能でかつ高い保磁力を有する磁性材料を用いることが必要となる。
そこで本発明は、高い保磁力を有して低温焼成が可能なフェライト磁石用の磁性材料を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性材料であって、
化学式BaO・nFe
2O
3で表わされるM型六方晶の磁性フェラ
イトの原料にBi
2O
3とSiO
2が添加されてなり、
前記Bi
2O
3の含有量が5
.0wt%以上
26.0wt%以下であり、
前記SiO
2の含有量が0.1wt%以上
2.2wt%以下である、
ことを特徴とする磁性材料としている。 また、この磁性材料を焼結させてなる磁性磁器組成物、および当該磁性磁器組成物を着磁してなるフェライト磁石も本発明の範囲とした。
【0010】
さらに本発明は、積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性磁器組成物の製造方法にも及んでおり、当該製造方法に係る発明は、n<6として化学式BaO・nFe
2O
3で表わされるM型六方晶の磁性フェ
ライトの原料を仮焼成するステップと、
前記仮焼成によって得た粉体を粒径が1μm以下の粉体に粉砕するステップと、
前記粒径が1μm以下の粉体にBi
2O
3とSiO
2を添加する焼結助剤添加ステップと、
前記Bi
2O
3とSiO
2が添加された前記粉体にバインダーを加えて造粒物を得るステップと、
前記造粒物を所定の形状の成形体に成形するステップと、
前記成形体を銀の融点以下の温度で焼成して焼結体を得るステップと、
を含み、
前記焼結助剤添加ステップでは、前記Bi
2O
3の含有量が5
.0wt%以上
26.0wt%以下となるように
当該Bi
2O
3を添加するとともに、前記SiO
2の含有量が0.1wt%以上
2.2wt%以下となるように当該SiO
2を添加する、ことを特徴とする磁性磁器組成物の製造方法としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の磁性材料によれば、900℃以下での低温焼成を可能としつつ、高い保磁力を備え、例えば、当該磁性材料を永久磁石として積層インダクタに適用すれば、優れた直流重畳特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係るフェライト磁石の製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
===本発明の実施例===
本発明の実施例に係る磁性材料は、磁性フェライトの原料に焼結性を確保するための焼結助剤が添加されたものであり、磁性フェライトとその焼結助剤の種類、および焼結助剤の添加量が最適化されている。それによって、Agの融点以下である900℃での低温焼成でも十分な密度が確保された焼結体(磁性磁器組成物)が得られるとともに、その磁器組成物を着磁することで得られるフェライト磁石は十分に高い保磁力を有し、例えば、積層インダクタなどの内部に配置される永久磁石に適用すれば、優れた直流重畳特性を得ることができるものとなっている。
【0014】
===磁性材料の組成の最適化===
本発明の実施例に係る磁性材料の組成を規定するために、組成が異なる各種磁性材料からなるフェライト磁石をサンプルとして作製し、各種サンプルについて種々の特性を評価した。概略的には、M型六方晶であるBaフェライトまたはSrフェライトからなる磁性フェライトの原料に各種添加物が添加されている磁性材料を焼結させるとともに、その焼結によって得た磁器組成物を着磁して得たフェライト磁石をサンプルとした。
【0015】
<磁性フェライトについて>
M型六方晶のBaフェライトは一般式BaO・nFe
2O
3で表され、同じくM型六方晶のSrフェライトは一般式SrO・nFe
2O
3で表される。そして一般式中のnは、化学量論組成ではn=6である。しかし、実際のnの値は磁性材料を焼結する際に大きく変動し、概ね5.4≦n≦6.2の範囲のいずれかの値となる。
【0016】
なお、本発明に想到する過程で、n=6としたBaO・6Fe
2O
3やSrO・6Fe
2O
3では焼結反応性に乏しく、高密度化を図ることが難しいということが知見されたことから、本実施例に係る磁性材料では、n<6となる組成、すなわち磁性フェライトを構成するBaOやSrOが過剰となるような組成にして焼結性を改善することとした。ここで製造したフェライト磁石では、Baフェライトについてはn=5.5、Srフェライトについてはn=5.8となるようにそれぞれの原料を秤量した。
【0017】
<サンプルの製造方法>
図1にサンプルの製造手順を示した。まず、磁性フェライトの原料を秤量する(s1)。具体的には、BaフェライトについてはBaOとFe
2O
3のモル比が1:5.5となるように原料を秤量し、SrフェライトについてはSrOとFe
2O
3のモル比が1:5.8となるように原料を秤量する。そして、秤量した磁性フェライトの原料を混合する(s2)。次いで、磁性フェライト原料の混合物を1100℃で仮焼し(s3)、その後ボールミルで48h粉砕を行い、最終的に1μm以下の粉体にする(s4)。
【0018】
次に、粉砕された磁性フェライトの原料に添加剤として焼結助剤である酸化ビスマス(Bi
2O
3)をその添加量に応じて秤量する。また、サンプルに応じて酸化ケイ素(SiO
2)も秤量する(s5)。焼結助剤の添加量は、Bi
2O
3については0.1〜50wt%とし、酸化ケイ素(SiO
2)については0〜10wt%としている。そして、焼結助剤と仮焼成を経て粉砕された磁性フェライトの原料とを乳鉢で混合する(s6)。このようにして、まず、磁性材料の組成が決まる。ところで、焼結助剤の添加時期を仮焼成後にしたのは、焼結助剤であるBi
2O
3やSiO
2を添加して磁性フェライトの原料を仮焼成すると、その原料が仮焼成時の温度で焼結してしまうためである。そのため、ここに示したサンプルの製造手順では焼結助剤を仮焼成工程(s3)の後に添加している。
【0019】
上述した手順(s1〜s6)で作製した磁性材料にバインダーとしてPVA溶液を1wt%添加して造粒を行った(s7)。造粒によって得られた粉体を金型を用いて所定の形状に成形し(s8)、この成形物を890℃の焼成温度で5h焼成することで磁性磁器組成物である焼結体を得た(s9)。さらに、この焼結体を電磁石を用いて着磁してサンプルであるフェライト磁石とした(s10)。ここでは20kOeの磁界強度で着磁した。
【0020】
<サンプルの特性>
上記手順に従って作製した各サンプルについて、焼結密度D(g/cm
3)、残留磁束密度Br(kG)、および保磁力Hc(kOe)の各特性を評価した。以下の表1に、各サンプルにおける各種特性を示した。
【0022】
表1に示したように、サンプルは、BaフェライトあるいはSrフェライトのいずれかの磁性フェライトと、Bi
2O
3とSiO
2のいずれか、あるいは両方とを含んでいる。ここでは組成が異なる28種類のサンプル(サンプル1〜28)を作製した。そして、各サンプルの特性について、焼結密度Dについては
4.6以上、残留磁束密度Brについては
1.5kG以上、保磁力Hcについては4.2kOe以上を合格とし、全ての特性が合格となったサンプルの組成に基づいて本発明の実施例に係る磁性材料を特定した。
【0023】
表1より、まず、焼結助剤としてSiO
2を含まないサンプル1〜4ではいずれも十分な保磁力が得られなかった。したがって、Bi
2O
3とSiO
2がともに添加されていることが必須の条件となる。また、Bi
2O
3の添加量が同じでSiO
2の添加量が異なるサンプル4〜13、23、24から、SiO
2の添加量には適正範囲があり、添加量が多すぎると残留磁束密度Brが低下する傾向があることがわかる。そしてサンプル23と24から添加量の上限は5wt%であると判断できる。添加量の下限値についてはサンプル4と5より0.1wt%であると判断できる。以上よりSiO
2の適正添加量を0.1wt%以上5wt%以下と規定することができる。
【0024】
一方、SiO
2の添加量が同じでBi
2O
3の添加量が異なるサンプル10、14〜19、25、26からBi
2O
3の最適添加量を規定することができる。Bi
2O
3は少なすぎると密度Dが低下し、多すぎると残留磁束密度Brが低下する傾向があることがわかる。そして、サンプル10、14〜19、25、26の特性からBi
2O
3の適正添加量は5wt%以上50wt%以下であると判断できる。
【0025】
なお、サンプル1〜26に含まれる磁性フェライトは全てBaフェライトであるが、BaとSrとは特性が近似しており、磁性フェライトをSrフェライトにしたサンプル27と28は、Bi
2O
3の添加量とSiO
2の添加量が同じサンプル21と16に対して各特性に大きな差が無かったことから、磁性フェライトをSrフェライトにしても、Bi
2O
3の添加量とSiO
2の添加量の適正範囲は、磁性フェライトがBaフェライトであるときと同様であると推測できる。また、BaフェライトとSrフェライトの原料がともに含まれている磁性材料についても、低温焼成が可能で高い保磁力を有していると推測することは容易である。
【0026】
<実施例に係る磁性材料>
以上より、本発明の実施例は、磁性フェライトとしてBaフェ
ライトを含むとともに、その磁性フェライトにBi
2O
3とSiO
2が添加されている磁性材料であって、Bi
2O
3およびSiO
2がそれぞれ5
.0wt%以上
26.0wt%以下および0.1wt%以上
2.2wt%以下含まれているものとなる。そして、900℃よりも低い温度で焼成しても十分に緻密化して高密度の磁性磁器組成物が得られる。そしてその磁性磁器組成物を着磁することで得られるフェライト磁石は高い保磁力を有している。これは、Baフェ
ライトの材料に焼結助剤であるBi
2O
3とSiO
2が適量添加されていることで、焼成時に焼結助剤が選択的に反応し、ビスマスシリケイトガラス相を形成したものと考えることができる。そして、この焼成に際し、六方晶フェライト粒子であるBaフェ
ライトの粒成長が抑制されるため、緻密化による高い密度とともに高い保磁力も得られたものと思われる。また、Bi
2O
3の添加量およびSiO
2の添加量の増大にともない、個々の粒子を覆うように粒界ガラス相が増大するので、磁化反転の伝播が抑制されることにより、保磁力はさらに増大する。事実、上記各サンプルの特性をみると、Bi
2O
3の添加量が5
.0wt%より少ないと焼結性が不十分で密度4.5g/cm
3未満となり、
26.0wt%より多いと粒子径が増大することに起因する保磁力の低下が確認できた。SiO
2の添加量に関しては0.1wt%未満では粒子径が増大して保磁力が低下してしまう。また、
2.2wt%より多いと残留
磁束密度が
1.5kG未満に低下してしまう。
【0027】
なお、本実施例の磁性材料を用いたフェライト磁石を積層インダクタなどの積層チップ部品内に永久磁石として配置するためには、本実施例の磁性材料をペースト状にするとともに、印刷技術を用いて積層インダクタの磁性層に対応するペースト状のシートの内方にそのペースト状の磁性材料が選択的に配置されるように形成すればよい。そして、その磁性層に対応するシートを電極層介して積層した積層体を焼成して焼結体にするとともに、その焼結体ごと着磁すればよい。それによって、磁性層内部で磁性磁器組成物として配置されていた磁性材料が永久磁石となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、積層インダクタなどの積層チップ部品に利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
s1 磁性フェライトの原料秤量工程、s3 仮焼成工程、s4 粉砕工程、
s5 焼結助剤秤量工程、s6 焼結助剤混合工程、s7 造粒工程、s8 成形工程、s9 焼成工程、s10 着磁工程