特許第6397611号(P6397611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397611
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】水平ルーバーの支持構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20180913BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   F24F13/08 B
   F24F7/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-190991(P2013-190991)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55463(P2015-55463A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】村松 浩
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−162797(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/08
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓部の開口に対して上下方向に配列された複数の水平ルーバーを支持する構造であって、
前記複数の水平ルーバーの長手方向の両端部は枠体に対して固定され、
前記水平ルーバーの長手方向の中間部には、上下方向に延在して前記複数の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられ、
前記連結材には、前記複数の水平ルーバーをそれぞれ受容する複数の切欠き部が形成され、
前記複数の切欠き部に前記複数の水平ルーバーがそれぞれ嵌められて、前記連結材は前記複数の水平ルーバーを支持し、
前記複数の水平ルーバーの下方には、前記複数の水平ルーバーよりも剛性が高い高剛性ルーバーが、前記水平ルーバーの長手方向に沿って配置され、
前記高剛性ルーバーの長手方向の両端部は、前記枠体に固定され、
前記連結材の下端部は前記高剛性ルーバーに支持されていることを特徴とする水平ルーバーの支持構造。
【請求項2】
記水平ルーバーは板状を成し、横断面における幅方向において傾斜して配置され、
前記切欠き部の上側及び下側の縁は、前記水平ルーバーの傾斜に沿って延在し、
前記連結材は、前記水平ルーバーの傾斜に沿って差し込まれ、
前記切欠き部の上側の縁は、前記水平ルーバーの上面に当接し、
前記切欠き部の下側の縁は、前記水平ルーバーの下面に当接することを特徴とする請求項1に記載の水平ルーバーの支持構造。
【請求項3】
前記連結材は、板状を成し、前記複数の水平ルーバーと同一の素材によって形成され、
前記連結材の厚み方向が、前記水平ルーバーの長手方向に一致するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水平ルーバーの支持構造。
【請求項4】
建物の窓部の開口に対して上下方向に配列された複数の水平ルーバーを支持する構造であって、
前記複数の水平ルーバーの長手方向の両端部は枠体に対して固定され、
前記水平ルーバーの長手方向の中間部には、上下方向に延在して前記複数の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられ、
前記連結材には、前記複数の水平ルーバーをそれぞれ受容する複数の切欠き部が形成され、
前記複数の切欠き部に前記複数の水平ルーバーがそれぞれ嵌められて、前記連結材は前記複数の水平ルーバーを支持し、
前記複数の水平ルーバーは、上部側に配置された複数の第1の水平ルーバーと、前記複数の第1の水平ルーバーの下方に配置され前記第1の水平ルーバーと異なる断面形状の複数の第2の水平ルーバーとを有し、
前記連結材は、前記複数の第1及び第2のルーバーの横断面における幅方向の一端側をそれぞれ支持することを特徴とする水平ルーバーの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向の両端部が支持され上下方向に配列された複数の水平ルーバーを支持する支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、換気を行うために建物の外壁に開口を設け、この開口に薄板状の複数の水平ルーバーを上下方向に配列した建物がある(例えば特許文献1参照)。この建物では、水平ルーバーの長手方向を水平方向に沿って配置し、水平ルーバーの幅方向において、室内側の端部を上方に、室外側の端部を下方に配置して、水平ルーバーを傾斜させている。このように水平ルーバーを幅方向において傾斜させることで、雨水の室内への侵入を抑制すると共に、水平ルーバー間の隙間を通じて空気を室内に流入させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−148069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水平ルーバーを窓部の幅寸法に応じて長くした場合、水平ルーバーが撓むおそれがあった。水平ルーバーの撓みを防止するために、水平ルーバーの長さを短くして長手方向に複数に分割して設置すると、水平ルーバーを支持する枠体を窓部の幅方向に複数設置する必要があった。また、上下方向に延在し上枠から下枠まで達する桟材を設置した場合には、水平ルーバーによる水平方向のラインが幅広の桟材によって分断され、意匠性が低下するおそれがあった。また、窓部の幅方向において幅広の桟材を設置すると、空気が通過する開口領域が減少してしまい、通風性能が損なわれるおそれがある。また、既設の水平ルーバーに対して桟材を後設置することは、施工が煩雑であり困難であった。
【0005】
そこで、水平ルーバーに対して容易に設置することができ、水平ルーバーの撓みを抑制することが可能な水平ルーバーの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水平ルーバーの支持構造は、建物の窓部の開口に対して上下方向に配列された複数の水平ルーバーを支持する構造であって、複数の水平ルーバーの長手方向の両端部は枠体に対して固定され、水平ルーバーの長手方向の中間部には、上下方向に延在して複数の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられ、連結材には、複数の水平ルーバーをそれぞれ受容する複数の切欠き部が形成され、複数の切欠き部に複数の水平ルーバーがそれぞれ嵌められて、前記連結材は前記複数の水平ルーバーを支持し、複数の水平ルーバーの下方には、複数の水平ルーバーよりも剛性が高い高剛性ルーバーが、水平ルーバーの長手方向に沿って配置され、高剛性ルーバーの長手方向の両端部は、枠体に固定され、連結材の下端部は高剛性ルーバーに支持されている。
【0007】
この水平ルーバーの支持構造では、水平ルーバーの長手方向の両端部は枠体に対して固定され、水平ルーバーの長手方向の中間部には、上下方向に延在して複数の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられているので、複数の水平ルーバーの中間部を支持して水平ルーバーの撓みを抑制することができる。また、連結材には、複数の水平ルーバーをそれぞれ受容する複数の切欠き部が形成され、切欠き部に水平ルーバーがそれぞれ嵌められるので、水平ルーバーに対して連結材を容易に差し込むことができる。また、既存の水平ルーバーに対して容易に後設置することができる。
【0008】
ここで水平ルーバーは板状を成し、横断面における幅方向において傾斜して配置され、切欠き部の上側及び下側の縁は、水平ルーバーの傾斜に沿って延在し、連結材は、水平ルーバーの傾斜に沿って差し込まれ、切欠き部の上側の縁は、水平ルーバーの上面に当接し、切欠き部の下側の縁は、水平ルーバーの下面に当接する構成であることが好ましいこの構成では、切欠き部の上側及び下側の縁が水平ルーバーの傾斜に沿って延在しているので、連結材を複数の水平ルーバーに装着する際には、水平ルーバーの傾斜に沿って差し込むだけでよいので、容易に施工することができる。また、切欠き部の上側の縁が水平ルーバーの上面に当接し、切欠き部の下側の縁が水平ルーバーの下面に当接するので、連結材によって板状の水平ルーバーを確実に拘束し、水平ルーバーの中間部における撓みを抑制することができる。
【0009】
また、複数の水平ルーバーの下方には、複数の水平ルーバーよりも剛性が高い高剛性ルーバーが、水平ルーバーの長手方向に沿って配置され、高剛性ルーバーの長手方向の両端部は、枠体に固定され、連結材の下端部は高剛性ルーバーに支持されているこの構成によれば、複数の水平ルーバーの中間部を支持する連結材の下端部を水平ルーバーの下方に配置された高剛性ルーバーによって支持することができる。
【0010】
また、連結材は、板状を成し、複数の水平ルーバーと同一の素材によって形成され、連結材の厚み方向が、水平ルーバーの長手方向に一致するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、複数の水平ルーバーと同一の素材の連結材が水平ルーバーに対して装着されるので、連結材を目立たないようにして水平ルーバーの意匠性が損なわれることが防止される。また、板状の水平ルーバーの厚み方向が、水平ルーバーの長手方向に沿って配置されるので、窓部に対して連結材が占める面積を抑制することができ、空気が通過できる面積の減少を抑えて通風性能の低下を防止することができる。従前のように上下方向に延在する幅広の桟材を設置した場合には、水平ルーバーによる水平ラインが幅広の桟材によって分断され、意匠性が低下していた。また、従前の幅広の桟材を設置した場合には、桟材によって空気が通過可能な面積が減少するので、通風性能の低下を招いていた。
【0011】
また、本発明の水平ルーバーの支持構造は、建物の窓部の開口に対して上下方向に配列された複数の水平ルーバーを支持する構造であって、複数の水平ルーバーの長手方向の両端部は枠体に対して固定され、水平ルーバーの長手方向の中間部には、上下方向に延在して複数の水平ルーバーを連結する連結材が取り付けられ、連結材には、複数の水平ルーバーをそれぞれ受容する複数の切欠き部が形成され、複数の切欠き部に複数の水平ルーバーがそれぞれ嵌められて、連結材は複数の水平ルーバーを支持し、複数の水平ルーバーは、上部側に配置された複数の第1の水平ルーバーと、複数の第1の水平ルーバーの下方に配置され第1の水平ルーバーと異なる断面形状の複数の第2の水平ルーバーとを有し、連結材は、複数の第1及び第2のルーバーの横断面における幅方向の一端側をそれぞれ支持する。この構成によれば、異なる断面形状の第1及び第2水平ルーバーの横断面における幅方向の一端側を支持し、第1及び第2水平ルーバーを上下方向に連結して支持することができ、複数の第1及び第2水平ルーバーの間隔を保ち一体として支持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水平ルーバーに対して連結材を容易に施工することができ、水平ルーバーの長手方向の中間部における撓みを抑制することが可能な水平ルーバーの支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る水平ルーバーの支持構造が適用された建具を室内側から示す正面図である。
図2図1中の建具の上端部及び設置構造を示す断面図である。
図3図1中の建具の下端部及び設置構造を示す断面図である。
図4図1中の建具の水平ルーバー及び連結材を示す概略図である。
図5図4中の連結材の下端部を拡大して示す側面図である。
図6】第1変形例に係る連結材を示す概略図である。
図7】第2変形例に係る連結材を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る水平ルーバーの支持構造が適用された建具の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1に示されるように、建物1の外周壁2には窓部3が設けられ、窓部3の開口を室内側から覆うように建具4が設置されている。建物1は、例えば3階建ての工業化住宅であり、各階の外周壁2の内側に、室内空間が形成されている。外周壁2は、壁の厚さ方向から見て、略矩形状に形成された例えば板状のALC(軽量気泡コンクリート)等の防火性能を有する部材によって構成されている。建物1は鉄骨造の軸組架構を備え、外周壁2は軸組架構に対してALCが固定されることで構成されている。
【0016】
外周壁2には、壁の厚み方向に貫通する矩形の開口部5が設けられ、開口部5に窓部3が設置されている。窓部3は、2枚引き違い形式の窓であり、開口部5の内縁に沿って配置された窓枠に、スライド自在の窓を2枚備えている。一方の窓を移動させて片側に寄せて窓部3を開放して、室内に空気を流入させることができる。図1は、室内側から窓部3を示すものであり、右側の窓が左側に寄せられて右半分に開口が形成され、窓部3は開放された状態となっている。図1に示す状態では、建具4は、窓部3の右半分の開口を覆うように配置されている。
【0017】
建具4は、上下方向に配列された複数の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を有するものであり、目隠し機能及び通風機能を備え、窓部3の室内側に配置されている。目隠し機能とは、外部の人からの視線を遮り、視認性を低下させる機能をいう。建具4を通して物体を見た場合に、物体の輪郭をぼかすことで物体を認識できないようにして視認性を低下させるものでもよい。建具4は、窓部3を開放した際の開口の大きさ以上であり、窓1枚分の大きさを有する。建具4は、上下方向に隣接する上部遮視部8及び下部遮視部9を備え、上部遮視部8には薄板状の第1水平ルーバー6が配置され(図2参照)、下部遮視部9にはへ字状(逆V字状)の第2水平ルーバー7(図3参照)が配置されている。
【0018】
建具4は矩形の建具枠(枠体)10を有し、建具枠10は、上下方向に離間して平行に配置され窓部3の幅方向に延在する上端枠10a及び下端枠10bと、窓部3の幅方向に離間して平行に配置され上下方向に延在する一対の側端枠10c,10cとを有する。上端枠10aの長手方向の両端部は、一対の側端枠10c,10cの上端部に連結され、下端枠10bの長手方向の両端部は、一対の側端枠10c,10cの下端部に連結されている。建具枠10は、建具4の外郭を構成し、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を支持するものである。
【0019】
上部遮視部8は、例えば16本の第1水平ルーバー6によって構成され、第1水平ルーバー6の長手方向は水平方向に配置され、上端枠10a及び下端枠10bと平行に配置されている。図2に示されるように、第1水平ルーバー6は幅方向(第1水平ルーバー6の横断面における幅方向)において傾斜して配置され、室内側の端部6aは上方に配置され、室外側の端部6bは下方に配置されている。第1水平ルーバー6の上面6cは、室外側へ斜め上方に向く面を成している。
【0020】
複数の第1水平ルーバー6は、上下方向に所定の間隔で配置され、長手方向の両端部はそれぞれ一対の側端枠10c,10cに支持されている。上下方向に隣接する第1水平ルーバー6同士の間には例えば25mmの隙間が形成されている。第1水平ルーバー6の室外側の端部6b同士の間隔dは25mmとなっている。上下方向に隣接する第1水平ルーバー6において、上側の第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)は、下側の第1水平ルーバー6の上端部(室内側の端部6a)と上下方向において同じ位置に配置されている。第1水平ルーバー6の水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度程度である。
【0021】
下部遮視部9は、例えば24本の第2水平ルーバー7によって構成され、第2水平ルーバー7の長手方向は水平方向に配置され、上端枠10a及び下端枠10bと平行に配置されている。図3に示されるように、第2水平ルーバー7は、幅方向(第2水平ルーバー7の横断面における幅方向)の中央部を頂点7aとして、頂点7aから幅方向の両側の端部(室内側の端部7b,室外側の端部7c)まで下方に傾斜している。第2水平ルーバー7の幅方向において、室外側の部分7dの上面は、室外側へ斜め上方に向く面を成し、室内側の部分7eの上面は、室内側へ斜め上方に向く面を成している。第2水平ルーバー7の室内側の端部7b及び室外側の端部7cは、同じ高さとなるように配置され、端部7b,7cが下端部となる。
【0022】
複数の第2水平ルーバー7は、上下方向に所定の間隔で配置され、長手方向の両端部はそれぞれ一対の側端枠10c,10cに支持されている。上下方向に隣接する第2水平ルーバー7同士の間には例えば12mmの隙間が形成されている。第2水平ルーバー7の下端部同士(端部7b同士、又は端部7c同士)の間隔dは12mmとなっている。上下方向に隣接する第2水平ルーバー7において、上側の第2水平ルーバー7の下端部7b,7cを結ぶ仮想線は、下側の第2の水平ルーバーの上端部(幅方向における中央部、頂点7a)と上下方向において同じ位置に配置されている。第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度であり、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの水平方向に対する傾斜角θは、例えば45度である。第2水平ルーバー7の頂点7aにおける室外側の部分7dと室内側の部分7eとの交差角θは、例えば90度である。
【0023】
また、上部遮視部8の最下段に配置された第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)は、下部遮視部9の最上段に配置された第2水平ルーバー7の上端部(頂点7a)と、同じ高さに配置されている。長手方向に直交する断面において、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dは、第1水平ルーバー6と平行に傾斜している。
【0024】
また、下部遮視部9は、下端枠10bから上方に張り出す板状の張出バー21を有する。張出バー21の長手方向は水平方向に下端枠10bに沿って配置されている。張出バー21の長手方向の両端部は、一対の側端枠10cにそれぞれ支持されている。張出バー21は、最下段の第2水平ルーバー7と下端枠10bとの間の隙間を埋めるように配置されている。張出バー21の上端21aは、最下段の第2水平ルーバー7の下端部と同じ高さ位置に配置されている。
【0025】
第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は、光を透過させる透光性を有する素材(透明素材)によって形成されている。これにより、屋外の光を室内に取り入れることができる。また、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7が透明素材によって形成されている場合には、第1の水平ルーバー及び第2の水平ルーバーの表面に凹凸加工を施すことで、入射した光を屈折させてもよい。
【0026】
第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は同じ素材から形成され、例えば、つや消し処理が施されたポリカーボネートによって形成されている。第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7は、同じ素材から形成されていてもよく、異なる素材から形成されていてもよい。同様に、張出バー21は、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7と同じ素材から形成されていてもよく、異なる素材から形成されていてもよい。
【0027】
建具4では、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、上下方向における中央よりも下方に配置されている。上部遮視部8は、上下方向において、下部遮視部9よりも広い領域を占めている。上部遮視部8の高さは、例えば425mmであり、下部遮視部の高さは、例えば375mmである。上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、室内床面から例えば1600mmの位置に配置されている。なお、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、室内床面から例えば1500mm〜1700mmの位置に配置されていることが好ましい。また、建具4が建物1の1階の窓部3に設置されている場合には、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lは、窓部3の外側の地面から例えば2000mm〜2200mmの位置に配置されていることが好ましい。下部遮視部9の最も高い位置に配置された第2水平ルーバー7の頂点7aの位置が、上部遮視部8と下部遮視部9との境界Lとなる。
【0028】
また、建具4は、複数の第1水平ルーバー6同士を連結する連結材11を備えている。図1に示されるように、連結材11は、建具4の正面視における幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6を連結している。第1水平ルーバー6は特許請求の範囲に記載の水平ルーバーに相当する。図4は、図1中の建具の第1水平ルーバー、第2水平ルーバー及び連結材を示す概略図である。連結材11は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6の長手方向に一致するように配置されている。連結材11の幅w11は、第1水平ルーバー6の幅wよりも少し広くなっている。連結材11には複数の切欠き部12が形成され、これらの切欠き部12に第1水平ルーバー6がそれぞれ嵌められる。切欠き部12は、連結材11の幅方向(建具4の厚みに沿う方向)において、一方の端部(室内側の端部)11aから切り込まれ、他方の端部(室外側の端部)11bの近傍まで形成されている。連結材11は、建具4に対して室外側から差し込まれて装着される。
【0029】
図5は、連結材の下端部を拡大して示す側面図である。切欠き部12は、第1水平ルーバー6の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部11aから斜め下方に延びている。切欠き部12は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅w12を有し、第1水平ルーバー6の幅方向の長さに対応する長さ(深さ)L12を有する。連結材11を第1水平ルーバー6に装着した状態において、切欠き部12の上側の縁12aは、第1水平ルーバー6の上面に当接し、切欠き部12の下側の縁12bは、第1水平ルーバー6の下面に当接している。連結材11は、第1水平ルーバー6に対して例えば接着剤を用いて接着されている。
【0030】
また、連結材11の下端部11cは、下部遮視部9の最上段の第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの傾斜面に対応するように傾斜している。連結材11を第1水平ルーバー6に装着した状態において、連結材11の下端部11cは下部遮視部9の最上段の第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの傾斜面と当接している。第2水平ルーバー7は、断面がへ字状に形成され、第1水平ルーバー6よりも剛性が高く、連結材11を下方から支持することができる。下部遮視部9の最上段の第2水平ルーバー7は特許請求の範囲に記載の高剛性ルーバーに相当する。連結材11は、水平ルーバー6,7と同じ素材から形成されたものでもよく、異なる素材から形成されたものでもよい。
【0031】
また、連結材11を第1水平ルーバー6に対して装着した状態において、連結材11の上端部11dは、上端枠10aの下面に当接している。
【0032】
次に建具4の設置構造について説明する。
窓部3は、窓(窓ガラス及びサッシ)と建具4との間に2枚引き違い形式の障子(不図示)を備えている。障子は、窓部3の開口部5(図2及び図3参照)に配置されている。
【0033】
図2に示されるように、建具4は、外周壁2の室内側の壁面2aに固定された支持部材13から吊り下げられ、窓部3の正面視における幅方向に移動可能に支持されている。支持部材13は、窓部3の幅寸法に対応する長さを有し開口部5の上端に沿って配置され、L字型の取付金物14を介して壁面2aに固定されている。支持部材13の底面13aには、長手方向に連続する溝部13bが形成され、溝部13b内にガイドレール15が配置されている。
【0034】
ガイドレール15は、支持部材13の長手方向に沿って配置され、窓部3の幅寸法に対応した長さを有する。ガイドレール15は、支持部材13に固定された天板15aと、天板15aの幅方向(ガイドレール15の横断面における幅方向)の両側から下方に屈曲された一対の側板15bと、一対の側板15bの下端から内側に屈曲された一対の底板15cと、一対の底板15cの内側の端部から斜め上方に屈曲された一対の屈曲片15dとを有する。一対の屈曲片15dは、ガイドレール15の幅方向において離間し、屈曲片15d間の隙間は、ガイドレール15の長手方向において連続している。ガイドレール15の天板15aは、支持部材13の溝部13bの底(下方に向く面)にネジ止めされている。
【0035】
建具4の上端には、ガイドレール15に沿って移動する複数のローラー16が設けられている。建具4の上端枠10aには、上端枠10aの長手方向に所定の間隔で配置された複数の固定ピン(支持具)17が設置されている。固定ピン17は、上端枠10aから上方に延在し、固定ピン17の上端部には、ローラー16を回転可能に支持する回転軸18が設けられている。
【0036】
固定ピン17の上端部はガイドレール15内に挿入され、回転軸18はガイドレール15の幅方向の両側に突出し、一対のローラー16を支持している。一対のローラー16は、ガイドレール15の幅方向の両側に配置された屈曲片15d上を回転移動する。
【0037】
図3に示されるように、建具4の下端部は、振れ止め金具19によって拘束され、室内側へ移動しないように構成されている。振れ止め金具19は、開口部5より下方の外周壁2の室内側の壁面2aに固定されている。振れ止め金具19は、窓部3の正面視における幅方向の中央の1箇所に配置されている。
【0038】
振れ止め金具19は、壁面2aに固定される固定片19aと、固定片19aの上端から室内側へ屈曲された連結片19bと、連結片19bの室内側の端部から上方へ屈曲されたガイド片19cとを有する。連結片19bは、壁面2aから室内側へ突出し、建具4の厚み方向の中央まで延びている。ガイド片19cは、連結片19bから上方へ張り出し、建具4の移動方向に所定の長さを有する。
【0039】
建具4の下端枠10bの底面には、ガイド片19cが挿入されるガイド溝20が形成されている。ガイド溝20は、下端枠10bの全長にわたり形成され、ガイド溝20の幅は、ガイド片19cの厚みに対応している。ガイド溝20は、下端枠10bの横断面における幅方向の中央に形成されている。下端枠10bの室内側の部分10dは、下方へ張り出し、振れ止め金具19を室内側から覆っている。下端枠10bの室外側の部分10eは、振れ止め金具19の連結片19bの上方に配置されている。下端枠10bの室内側の部分10dは、室外側の部分10eよりも下方に張り出し、振れ止め金具19の下端と対応する位置まで配置されている。振れ止め金具19のガイド片19cは、ガイド溝20内に挿入されて、建具4の厚み方向の位置を拘束し、建具4の下端部が室内側へ移動することを防止する。例えば、室外から流入する風によって、建具4が室内側に押されても、建具4の下端部が振れ止め金具19によって拘束されているので、建具4が室内側に移動することが防止される。
【0040】
次にこのように構成された連結材11を有する建具4の作用について説明する。
建具4は、窓部3の片方の窓の大きさに対応しているので、窓部3を全開にした場合において、窓部3の開口を覆うことができる。窓部3の建具4が配置されていない部分については、カーテンを広げることによって、室外からの人の視線を遮ることができる。
【0041】
建具4の上部側には上部遮視部8が設けられ、板状の第1水平ルーバー6が一定の間隔dで配置されているので、建物1の外部から窓部3の開口を通過した空気は、第1水平ルーバー6間の隙間を通って建具4を通過し室内に流入する。窓部3の開口を通過した空気は、第1水平ルーバー6に沿って斜め上方に流れて、上部遮視部8を通過して室内に流入する。また、室内の空気を建物1の外部に流出させる場合には、室内の空気は第1水平ルーバー6間の隙間を通って建具4を通過し、窓部3の開口を通り抜けて建物1の外部に流出する。室内の空気は、第1水平ルーバー6に沿って斜め下方に流れて、上部遮視部8を通過して室外に流出する。このようにして、建物1の通風が確保される。
【0042】
建具4の下部側には下部遮視部9が設けられ、へ字状の第2水平ルーバー7が一定の間隔dで配置されている。建物1の外部から窓部3の開口を通過した空気は、上部遮視部8と比較すると流量は少ないものの第2水平ルーバー7の隙間を通り室内に流入する。また、室内の空気は、上部遮視部8と比較して流量は少ないものの第2の水平ルーバー7の隙間を通り、窓部3の開口を通って建物1の外部に流出する。
【0043】
また、建物1の外部の人が建具4の下部側に視線を向けた場合には、へ字状の第2水平ルーバー7によって視線を遮ることができる。建物1の外部から下部遮視部9を見下ろした場合には、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dによって視線を遮ることになる。また、上下に隣接する第2水平ルーバー7において、上に配置された第2水平ルーバー7の下端部7b,7cと下に配置された第2水平ルーバー7の頂点7aとが同じ高さに配置されているので、下部遮視部9は建物1の外部から水平方向に向けられた視線を遮ることができる。
【0044】
さらに、建物1の外部から下部遮視部9を見上げた場合には、斜め上方への視線は第2水平ルーバー7の室外側の部分7d間の隙間を通過するが、この隙間を通過した視線は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eによって遮られる。このようにして、下部遮視部9によって、外部からの視線を全ての角度において遮ることができる。第2水平ルーバー7は、透明な素材で形成されているが、つや消し処理が施され、室内の物体の輪郭がぼやけて見えるので室内の物の形を明確に認識することができないので、室内のプライバシーを保護することができる。
【0045】
また、建物1の外部の人が建具4の上部側に視線を向けた場合には、第1水平ルーバー6によって視線を遮ることができる。建物1の外部から下部遮視部9を見下ろした場合には、第1水平ルーバーによって視線を遮ることになる。また、上下に隣接する第1水平ルーバー6において、上に配置された第1水平ルーバー6の下端部(室外側の端部6b)と下に配置された第1水平ルーバー6の上端部(室内側の端部6a)とが同じ高さに配置されているので、上部遮視部8は建物1の外部から水平方向に向けられた視線を遮ることができる。
【0046】
建物1の外部から上部遮視部8を見上げた場合には、斜め上方への視線は第1水平ルーバー6間の隙間を通過するが、この隙間を通過した視線は、室内の天井に向かうことになる。そのため、室内の床面や、室内に存在する人物の下部側を外部の人が視認することは不可能であるため、室内のプライバシーを保護することができる。
【0047】
また、建具4では、第1水平ルーバー6の長手方向の両端部は建具枠10に対して固定され、第1水平ルーバー6の長手方向の中間部には、上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6を連結する連結材11が取り付けられているので、複数の第1水平ルーバー6の中央部を支持して第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。また、連結材11の上下方向に延在する室内側の端部11aには、複数の第1水平ルーバー6をそれぞれ受容する複数の切欠き部12が形成されているので、既設の第1水平ルーバー6に対して連結材11を差し込むことができ、切欠き部12に第1水平ルーバー6をそれぞれ嵌めることができる。既存の第1水平ルーバー6を加工せずに、連結材11を差し込むだけで複数の第1水平ルーバー6を連結して支持することができる。
【0048】
また、連結材11では切欠き部12の上側の縁12a及び下側の縁12bが第1水平ルーバー6の傾斜に対応して傾斜しているので、連結材11を複数の第1水平ルーバー6に装着する際には、第1水平ルーバー6の傾斜に沿って差し込むだけでよいので、容易に後設置することができる。また、切欠き部12の上側の縁12aが第1水平ルーバー6の上面に当接し、切欠き部12の下側の縁12bが第1水平ルーバー6の下面に当接するので、連結材11によって板状の第1水平ルーバー6を確実に拘束し、第1水平ルーバー6の中間部における撓みを抑制することができる。そのため、第1水平ルーバー6の厚さを薄くしつつ第1水平ルーバー6の長さを長くすると共に、第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。
【0049】
また、複数の第1水平ルーバー6の下方には、複数の第1水平ルーバー6よりも剛性が高い第2水平ルーバー7が配置され、連結材11の下端部11cは第2水平ルーバー7によって下方から支持されている。連結材11の下端部11cを第1水平ルーバー6の下方に配置された第2水平ルーバー7によって支持することができるので、連結材11を支持するための他の部材を設ける必要がない。
【0050】
連結材11は、板状を成し、複数の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7と同一の素材によって形成され、連結材11の厚み方向は、第1水平ルーバー6の長手方向に沿って配置されている。これにより、連結材11を目立たないようにすることができ、建具4の意匠性が損なわれることを防止することができる。また、板状の第1水平ルーバー6の厚み方向が、第1水平ルーバー6の長手方向に沿って配置されているので、建具4の正面側から見た場合に、窓部3に対して連結材11が占める面積を抑制することができ、空気が通過できる面積の減少を抑えて通風性能の低下を防止することができる。
【0051】
建具4によれば、連結材11によって第1水平ルーバー6の撓みを抑制して、上下に隣接する第1水平ルーバー6同士の間隔を適切に維持することで、上部遮視部8における目隠し機能及び通風機能を両立させることができる。
【0052】
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る水平ルーバーの支持構造について説明する。具体的には、第1変形例に係る連結材31を用いて、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を支持する場合について説明する。図6に示される連結材31は、上部遮視部8及び下部遮視部9に装着される点で、上部遮視部8に装着される上記の連結材11と異なっている。第2実施形態では、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7が、特許請求の範囲に記載の水平ルーバーに相当する。
【0053】
連結材31は、建具4の正面視における幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を連結する。連結材31は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向に一致するように配置されている。連結材31の幅w31は、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの幅w7dよりも少し広くなっている。連結材31には複数の切欠き部32,33が形成され、切欠き部32に第1水平ルーバー6が嵌められ、切欠き部33に第2水平ルーバー7が嵌められる。
【0054】
切欠き部32,33は、連結材31の幅方向において、一方の端部(室内側の端部)31aから切り込まれ、他方の端部(室外側の端部)31bの近傍まで形成されている。連結材31は、建具4に対して室外側から差し込まれて装着される。切欠き部32は、第1水平ルーバー6の配置に対応し、連結材31の上部側に配置され、切欠き部33は、第2水平ルーバー7の配置に対応し、連結材31の下部側に配置されている。
【0055】
切欠き部32は、第1水平ルーバー6の室外側の部分の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部31aから斜め下方に延びている。切欠き部32は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅を有し、第1水平ルーバー6の幅方向の長さの半分に対応する長さ(深さ)を有する。
【0056】
切欠き部33は、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部31aから斜め下方に延びている。切欠き部33は、第2水平ルーバー7の厚さに対応する幅を有し、第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの幅方向の長さに対応する長さ(深さ)を有する。
【0057】
連結材31を第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7に装着した状態において、切欠き部32の上側の縁は第1水平ルーバー6の室外側の部分の上面に当接し、切欠き部32の下側の縁は第1水平ルーバー6の室外側の部分の下面に当接し、切欠き部33の上側の縁は第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの上面に当接し、切欠き部33の下側の縁は第2水平ルーバー7の室外側の部分7dの下面に当接している。
【0058】
また、連結材31の下端部31cは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置されて傾斜している。連結材31を第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7に対して装着した状態において、連結材31の上端部31dは、上端枠10aの下面に当接している。
【0059】
このような連結材31を備えた建具によれば、複数の第1水平ルーバー6の荷重を、複数の第2水平ルーバー7によって受けることができ、複数の第1水平ルーバー6の荷重を複数の第2水平ルーバー7に分散させて支持することができる。また、連結材31によれば、最上段の第1水平ルーバー6から最下段の第2水平ルーバー7まで、全ての第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を一体として連結して支持することができる。連結材31によれば、第1水平ルーバー6同士の間隔だけでなく、第2水平ルーバー7同士の間隔を好適に維持することができるので、通風機能及び目隠し機能を好適に維持することができる。
【0060】
次に、図7を参照して、第3実施形態に係る水平ルーバーの支持構造について説明する。具体的には、第2変形例に係る連結材41,51を用いて、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を支持する場合について説明する。図7に示される連結材41,51は、室内側から上部遮視部8又は下部遮視部9に装着される点で、室外側から上部遮視部8に装着される上記の連結材11と異なっている。
【0061】
連結材41は、建具4の幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第1水平ルーバー6を連結し、連結材51は、建具4の幅方向の中央で上下方向に延在して複数の第2水平ルーバー7を連結する。連結材41,51は、板状を成し、厚み方向が第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向に一致するように配置されている。
【0062】
連結材41の幅w41は、第1水平ルーバー6の室内側の部分の幅よりも少し広くなっている。連結材41には複数の切欠き部42が形成され、切欠き部42に第1水平ルーバー6が嵌められる。
【0063】
切欠き部42は、連結材41の幅方向(側面視)において、一方の端部(室外側の端部)41aから切り込まれ、他方の端部(室内側の端部)41bの近傍まで形成されている。連結材41は、建具4に対して室内側から差し込まれて装着される。切欠き部42は、第1水平ルーバー6の配置に対応している。
【0064】
切欠き部42は、第1水平ルーバー6の室内側の部分の外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部41aから斜め上方に延びている。切欠き部42は、第1水平ルーバー6の厚さに対応する幅を有し、第1水平ルーバー6の幅方向(第1水平ルーバー6の横断面における幅方向)の長さの半分に対応する長さ(深さ)を有する。
【0065】
連結材51の幅w51は、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの幅w7eよりも少し広くなっている。連結材51には複数の切欠き部52が形成され、切欠き部52に第2水平ルーバー7が嵌められる。
【0066】
切欠き部52は、連結材51の幅方向(側面視)において、一方の端部(室外側の端部)51aから切り込まれ、他方の端部(室内側の端部)51bの近傍まで形成されている。連結材51は、建具4に対して室内側から差し込まれて装着される。切欠き部52は、第2水平ルーバー7の配置に対応している。
【0067】
切欠き部52は、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの外形に対応し、側方から見た場合に、一方の端部51aから斜め下方に延びている。切欠き部52は、第2水平ルーバー7の厚さに対応する幅を有し、第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの幅方向(第2水平ルーバー7の横断面における幅方向)の長さに対応する長さ(深さ)を有する。
【0068】
連結材41を第1水平ルーバー6に装着した状態において、切欠き部42の上側の縁は第1水平ルーバー6の室内側の部分の上面に当接し、切欠き部42の下側の縁は第1水平ルーバー6の室内側の部分の下面に当接している。連結材51を第2水平ルーバー7に装着した状態において、切欠き部52の上側の縁は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの上面に当接し、切欠き部52の下側の縁は第2水平ルーバー7の室内側の部分7eの下面に当接している。
【0069】
また、連結材41の下端部41cは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置されて傾斜している。連結材41の上端部41dは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置され、最上段の第1水平ルーバー6の下面に対応して傾斜している。連結材41を第1水平ルーバー6に対して装着した状態において、連結材41の上端部41dは、最上段の第1水平ルーバー6の下面に当接している。
【0070】
また、連結材51の下端部51cは、室外側が上方に配置され室内が下方に配置されて傾斜している。連結材51の上端部51dは、室内側が上方に配置され室外側が下方に配置、最下段の第1水平ルーバー6の下面に対応して傾斜している。連結材51を第2水平ルーバー7に対して装着した状態において、連結材51の上端部51dは、最下段の第1水平ルーバー6の下面に当接している。
【0071】
このような連結材41,51を備えた建具によれば、連結材41によって複数の第1水平ルーバー6を連結し、連結材51によって複数の第2水平ルーバー7を連結することができる。連結材51の上端部51dは、最下段の第1水平ルーバー6の下面に当接しているので、最下段の第1水平ルーバー6を下方から支持することができる。連結材41は、複数の第1水平ルーバー6の間隔を維持することができ、連結材41に伝達された荷重は、最下段の第1水平ルーバー6を介して、連結材51及び複数の第2水平ルーバー7に伝達される。これにより、複数の第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。また、連結材41の上端部41dは、最上段の第1水平ルーバー6の下面に当接しているので、最上段の第1水平ルーバー6の撓みを抑制することができる。
【0072】
このように、連結材41,51によれば、最上段の第1水平ルーバー6から最下段の第2水平ルーバー7まで、全ての第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を一体として連結して支持することができる。連結材41,51によれば、第1水平ルーバー6同士の間隔及び第2水平ルーバー7同士の間隔を好適に維持することができるので、通風機能及び目隠し機能を好適に維持することができる。複数に分割された連結材41,51によって、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の撓みを防止することができる。
【0073】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0074】
上記実施形態では、建具4において、異なる断面形状の第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7を備えているが、第1水平ルーバー6のみを備える建具でもよく、第2水平ルーバー7のみを備える建具でもよい。本発明の水平ルーバーの支持構造は、上下方向に延在する連結材によって、複数の水平ルーバーの中間部を支持すればよい。
【0075】
また、第1の水平ルーバーの傾斜角と、第2水平ルーバーの傾斜角とを異なる角度にしてもよい。例えば、同一形状の第1の水平ルーバー及び第2の水平ルーバーを用いて、第1の水平ルーバーの傾斜角を第2の水平ルーバーの傾斜角よりも緩くしてもよい。連結材は、水平ルーバーの幅方向の端部のみを下方から支持するものでもよい。
【0076】
また、薄板状の水平ルーバーは、厚み方向に直交する面が平坦であるものに限定されず、例えば緩やかに湾曲するものでもよい。へ字状の水平ルーバーは、厚み方向に直交する面が平坦であるものに限定されず、例えば緩やかに湾曲するものでもよい。また、第2水平ルーバーは、中央部で屈曲された形状に限定されず、長手方向に直交する断面が例えば円弧状に湾曲するものでもよい。また、第2水平ルーバーは、横断面における幅方向の中央部からずれた位置で、屈曲されているものでもよい。室外側の部分7dと室内側の部分7eの長さが幅方向において異なるものでもよい。例えば、室外側の部分7dは、室内側の部分7eよりも幅方向において長いものでもよい。
【0077】
また、上記の実施形態では、第2水平ルーバー7の頂点7aにおける室外側の部分7dと室内側の部分7eとの交差角θを90度としているが、交差角θはその他の角度でもよく、90度以上でもよく、90度以下でもよい。
【0078】
連結材11は、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向の中央に配置されたものに限定されず、中央からずれた位置に配置されていてもよい。また、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向において、複数の連結材11を備えるものでもよい。また、室内側及び室外側の両方から第1水平ルーバー6又は第2水平ルーバー7を挟んで支持する連結材としてもよい。また、連結材11は、鉛直方向に延在するものに限定されず、鉛直方向に対して傾斜して配置されているものでもよい。
【0079】
また、連結材11は板状のものに限定されず、例えば角柱状(棒状)のものでもよく、その他も形状のものでもよい。連結材が板状であると、連結材の軽量化を図ることができる。
【0080】
また、水平ルーバーの支持構造は、連結材11の下端部11cを支持するものに限定されず、例えば、建具枠10に対して連結材11の上端部11dのみを固定するものでもよい。また、連結材の上下方向における中間部を建具枠10に対して固定してもよい。例えば、水平方向に延在する他の支持部材を用いて、連結材11を建具枠10の側端枠10cに連結してもよい。
【0081】
また、連結材は、既存の水平ルーバーに対して後設置するものでもよく、新品の水平ルーバーに対して連結材を取り付けてもよい。
【0082】
第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向の両端部は、一対の側端枠10cに対して、接着によって固定されているものでもよく、ねじ止めされているものでもよく、その他の方法によって支持されているもでもよい。また、一対の側端枠10cに設けられた凹部に、第1水平ルーバー6及び第2水平ルーバー7の長手方向の端部を嵌めることで支持するものでもよい。
【0083】
上記実施形態では、建物1を工業化住宅として説明しているが、例えば店舗、事務所、工場、倉庫、病院などその他の建物の窓部に建具4を適用することができる。
【0084】
上記実施形態では、住宅の1階の窓部3に対して建具4を適用しているが、2階や3階など、その他の階の窓部に対して建具4を適用してもよい。
【0085】
上記実施形態では、建具4は窓部3に対して室内側に配置されているが、建具4は窓部3に対して室外側に配置されていてもよい。
【0086】
上記実施形態では、建具4は、窓部3の幅方向に対してスライド自在に支持されているが、建具4は、例えば上下方向に移動可能に支持されているものでもよく、建具4の一端側が支持されて揺動するものでもよい。建具4は、例えば外周壁2に固定されて移動しないものでもよい。
【0087】
上記実施形態では、建具4は、建物1の外周壁2に設けられた窓部3に対して配置されているが、建具4は、例えば建物内の壁に設けられた窓部に対して配置されるものでもよい。例えば、建物内の各部屋を区切る間仕切り壁に設けられた窓部に対して建具を適用してもよい。例えばビルなどの建物内において、部屋と通路とを区切る壁に設けられた窓部に対して建具を適用することもできる。
【0088】
窓部3は、2枚引き違い形式の窓に限定されず、その他の種類の窓でもよい。例えば、片引き窓、両袖片引き窓、出窓、上げ下げ窓、外開き窓、内倒し窓、滑り出し窓、折りたたみ窓などその他の窓に、建具を適用することができる。また、建具の形状は、矩形状のものに限定されず、窓の外形に合わせて、例えば円形のものでもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、建具4の下端枠10bにガイド溝20が設けられ、窓部3の下方の室内側の壁面2aから張り出す振れ止め金具19によって、建具4の下端部の位置を拘束しているが、建具4の下端枠10bの壁面2aとは反対側の面にガイド片19cを係合させることで建具4の下端部の位置を拘束してもよい。また、建具4の下端枠10bの底面にローラーを設け、室内床面や建具4の下方に配置されたレールに沿って移動させる構成としてもよい。
【0090】
また、建具4の上端部は、天井に設けられたレールに沿って移動可能に支持されるものでもよい。
【0091】
上記の建具の設置構造では、窓部3は障子を備える構成としているが、窓部3は障子を備えていないものでもよい。また、障子は2枚引き違い形式のものに限定されず、その他の形式の障子でもよい。
【0092】
上記の建具の設置構造では、1枚の建具4を備える構成としているが、窓部3に対して、複数枚の建具を設置してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…建物、2…外周壁、2a…室内側の壁面、3…窓部、4…建具、6…第1水平ルーバー、6a…室内側の端部、6b…室外側の端部、7…第2水平ルーバー、7a…頂点、7b…室内側の端部、7c…室外側の端部、8…上部遮視部、9…下部遮視部、10…建具枠、10a…上端枠(建具の上端部)、10b…下端枠(建具の下端部)、11,31,41,51…連結材、11a,31a…室内側の端部(一方の端部)、11c…下端部、12,32,33…切欠き部、12a…上側の縁、12b…下側の縁、15…ガイドレール、16…ローラー、17…固定ピン(支持具)、19…振れ止め金具、19c…ガイド片、20…ガイド溝、41a,51a…室外側の端部(一方の端部)、L…上部遮視部と下部遮視部との境界。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7