【実施例1】
【0010】
本発明の実施例1を
図1〜4を用いて説明する。
【0011】
図1に本実施例に係る空気圧縮システムの全体図を示す。台数制御装置1は圧縮装置2A〜2Dの運転台数を制御する装置である。空気タンク12に貯留している空気の圧力P(t)を測定する圧力センサA15を備え、測定した圧力を電圧信号として制御回路(制御部)16に取り込み、制御回路16のアナログ/デジタル変換回路を介し、デジタル信号に変換する。そして、圧力測定値P(t)の変化率を用い、台数制御装置と接続する圧縮装置の運転台数を制御する機能を有する。また、使用者によって設定されたタンク12の下限圧力Pminと上限圧力Pmaxは制御回路16に記録されている。
【0012】
圧縮装置2Aは主に圧縮機本体4Aと、圧縮機本体4Aを駆動するモータ3Aと、圧縮した空気を貯蓄するタンク6Aと、タンク6Aの圧力P(t)を測定する圧力センサ7Aにより構成されている。制御回路5Aは測定した圧力値を記録する機能、圧縮機を駆動するモータ3A〜3Dの運転、停止を制御する機能を有する。
【0013】
その他の圧縮装置2B〜2Dは圧縮装置2Aと同様、それぞれ圧縮機本体4B〜4D,とモータ3B〜3Dと制御回路5B〜5D、空気貯蓄するタンク6B〜6D、空気タンクの圧力を測定する手段である圧力センサ7B〜7Dにより構成されている。圧縮装置2A〜2Dは配線8A〜8D、9A〜9Dを通じて、台数制御装置1と接続されている。
【0014】
また、各圧縮装置2A〜2Dで圧縮された空気を貯留するタンク6A〜6Dは空気を輸送する配管10A〜10Dを介し、空気タンク12に接続され、空気タンク12に圧縮した空気が送り込まれる。そして、タンク12には、取り出し弁13を備えた出力配管14が取り付けられている。空気タンク12は、出力配管14を介して外部の空圧機器(図示せず)に接続されると共に、取り出し弁13を開閉することによって該空圧機器に向けて圧縮空気を供給するものである。また、空気タンク12に接続された配管25には、台数制御装置1に内蔵される圧力センサ15が設けられ、空気タンク12の圧力が検出される。
【0015】
圧縮装置2A〜2Dはそれぞれ独立な圧縮装置であり、単独での運転も可能である。台数制御装置1と接続する配線8A〜8Dを通じて、単独運転するか、台数制御装置1により制御されるかの切替えが可能である。また、信号線9A〜9Dは台数制御装置1から各圧縮装置への運転信号線であり、その運転信号を受け、圧縮装置2A〜2Dが起動、停止を行う。
【0016】
本実施例による圧縮装置1は上述の如き構成を有するもので、次に、
図2〜
図4を用いて、圧力センサ15によって検出された空気タンク12の圧力測定値P (t)を用いて、圧縮装置2A〜2Dの運転台数の制御処理を説明する。
【0017】
まず、
図2と
図3を用いて、台数制御装置1が圧縮装置(2A〜2D)の運転台数を増減する制御について説明する。
【0018】
図2に示す制御処理は、空気タンク12及び配管10A〜10Dの合計容量を計測する方法である。本計測は、取り出し弁13を閉めた上で行う必要がある。
【0019】
ステップ1では、台数制御装置1は圧力センサ15を用いて、一定のサンプリング周期Tsで現在の空気タンク12内の圧力P (t)を計測する。
【0020】
次に、ステップ2では、台数制御装置1は制御回路16を通じ、圧縮装置2A〜2Dを起動させた後、起動時の圧力Pstを制御回路16に記録させる。ステップ3では、空気タンク圧力P(t)が使用者に設定された上限圧力Pmaxまで上昇したか否かを判定する、もし「No」と判定した場合、ステップ7で運転を継続する。もし「Yes」と判定した場合、次のステップ4で圧縮装置2A〜2Dをすべて停止させて、数式1で圧縮装置が起動から停止までの空気タンク12の圧力差ΔPを計算する。
[数式1]:ΔP = Pmax - Pst
そして、空気タンク12が圧縮装置の起動から上限圧力Pmaxまでの充填時間t(秒)を計測する。
【0021】
次のステップ5では数式2を用いて空気タンク12及び空気配管10A〜10Dの合計容量Vを求めて、ステップ5でリターンする。
[数式2]:V = Pa×Q×t/(60×ΔP)
ここで、Q:空気圧縮装置の吐出し空気量の合計値
Pa:大気圧力(約0.1013MPa)
60:秒単位を分単位へ変換用係数
とする。
【0022】
次に、
図3を用いて、空気使用量に応じて、圧縮装置2A〜2Dの運転台数を制御する方法を説明する。
図3に示す運転制御処理は、予め決められたサンプリング周期Ts(例えば200ms)毎に行うものである。
【0023】
ステップ1では、圧力センサ15からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期Tsで現在の空気タンク12内の圧力P(t)を計測する。
【0024】
次に、ステップ2では、空気タンク12内の圧力値P (t)が予め設定された空気タンク12の下限圧力値Pminより小さいか否かを判定する、もし「Yes」と判定した場合、次のステップ3で圧縮装置(2A〜2D)をすべて起動させる。「No」と判定した場合、次のステップ4で現在圧力値P(t)は予め設定された空気タンク12の上限圧力値Pmax以上か否かを判定する。もし「Yes」と判定した場合、次のステップ5で圧縮装置(2A〜2D)を全台停止させる。「No」と判定した場合、ステップ6では現在測定した圧力P(t)と前回測定した圧力値P(t-1)を用い、数式3を用いてタンク圧力変化率Kを計算する。
[数式3]:K = (P (t) - P (t-1))/Ts
ステップ7では上記計算されたKがマイナスの値か否かを判定する。もし「Yes」と判定した場合、圧力が下降中ということで、ステップ8に移る。「No」と判定した場合、圧力が上昇中ということで、ステップ20に移る。ステップ8では数式4を用いて、現在の使用空気量Quを求める。
[数式4]:Qu = Qc×Nd - (60×K×V/Pa)
ここで、Qc:1台の圧縮装置の吐出し空気量
Nd:運転中の圧縮装置(2A〜2D)の台数
60:秒単位を分単位へ変換するための係数
Pa:大気の圧力(約0.1013MPa)
とする。
【0025】
次のステップ9では数式5を用いて、吐出し空気量が使用空気量を上回るのに必要な圧縮装置台数Nを求める。
[数式5]:N = Qu/Qc
ここで、
Qc:1台の圧縮装置(2A〜2D)の吐出し空気量
とする。
【0026】
次のステップ10では数式6を用いて、さらに起動させるのが必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsを求める。
[数式6]:Ns = N Nd
ここで、
Nd:運転中の圧縮装置(2A〜2D)の台数
とする。
【0027】
起動させるのが必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsは使用空気量に応じて変化する。
【0028】
次のステップ11では、数式7を用いて、下限圧力Pminと現在の圧力P(t)との差を圧力変化率Kで割ることによって、使用空気量が変化しなかった場合に現在の状態から下限圧力Pminまで達するまでの時間を計算する。計算した値をTd値とする。
[数式7]:Td =(Pmin-P (t))/K
次のステップ12でTd値が予め決めたTd閾値(例えば2秒)より小さいか否かを判定する。もし「No」と判定した場合、ステップ15に移り、リターンする。もし「Yes」と判定した場合、ステップ13で数式8を用いて、圧縮装置起動台数Nstを求める。ただし、割り算の余りを切り捨てるが、1未満の場合は1とする。
[数式8]:Nst = Ns/Td閾値
圧縮装置起動台数Nstは使用空気量に応じて変化し、使用空気量が多い場合は、少ない場合よりも圧縮装置起動台数Nstが多くなる。
【0029】
次のステップ14ではステップ13で計算されたNst台の圧縮装置を起動させる。その後、ステップ15に移り、リターンする。
【0030】
ステップ7で「No」と判定した場合、ステップ20に移り、圧力変化率Kがプラスか否かを判定する。もし「No」と判定した場合、使用空気量と吐出し空気量が釣合っているということで、ステップ19に移り、リターンする。もし「Yes」と判定した場合、ステップ21に移る。ステップ21では、数式9を用いて上限圧力Pmaxと現在の圧力P (t)との差を圧力変化率Kで割ることによって、使用空気量が変化しなかった場合に現在の状態から上限圧力Pmaxまで達するまでの時間を計算する。計算した値をTu値とする。
[数式9]:Tu=(Pmax-P (t))/K
次のステップ22ではTu値が予め決めたTu閾値(例えば5秒)未満か否かを判定する。もし「No」と判定した場合、ステップ15に移り、リターンする。「Yes」と判定した場合、ステップ23で圧縮装置を1台停止させる。最後、ステップ15に移りリターンする。
【0031】
ここから、
図4と
図7用いて、本実施例の場合と比較技術を使用の場合での圧縮装置(2A〜2D)の運転台数及び起動電流を比較する。
【0032】
まず、空気使用量が大きく、圧縮装置(2A〜2D)4台の増加が必要とされた場合に、空気使用量によらず、1台ずつ起動させる比較技術を利用した時の空気タンク12内の圧力P(t)と圧縮装置(2A〜2D)の運転台数と起動電流の時間変化を
図7に示す。
【0033】
図7に示す制御では、圧縮装置(2A〜2D)のうち1台も運転していない状態で、空気タンク12の圧力P(t)が下降すると、下限圧力Pminに達する2秒前に圧縮装置1台が起動し、起動電流が発生する。1台目の起動電流が緩和される前に、再度下限圧力Pminに達する2秒前に2台目の圧縮装置が起動し、起動電流が発生する。さらに、1台目、2位打目の起動電流が緩和される前に、再度下限圧力Pminに達する2秒前に3台目の圧縮装置が起動し、起動電流が発生する。1台目の起動電流が緩和される前に、2台目と3台目の起動電流が重なってしまう状況が続くと、電源回路に大きいな電流が流れてしまう。そのため、電源配線の発熱や電圧降下が発生し、モータの起動不良及び他の装置の故障が発生する可能性がある。
【0034】
図4に本実施例における運転パターンを示す。
図7と同様に圧縮装置(2A〜2D)4台の増加が必要とされた場合について説明する。
【0035】
図4に示す制御では、圧縮装置(2A〜2D)が1台も運転していない状態で、空気タンク12の圧力P(t)が下降し、下限圧力Pminに達する2秒前に圧縮装置を起動する。ここで、
図7に示す制御では圧縮装置(2A〜2D)が1台ずつ起動される。一方、本実施例では、起動が必要な台数(Nst)は4台でTd閾値は2秒であるから、圧縮装置(2A〜2D)の起動台数が数式8により計算され、圧縮装置(2A〜2D)のうち2台が起動される。
【0036】
その後、再度下限圧力Pminに達する2秒前には、起動が必要な台数(Nst)は2台でTd閾値は2秒となるから数式8の計算により圧縮装置1台起動する。最後、再度下限圧力Pminに達する2秒前に上記と同様に圧縮装置1台起動する。
【0037】
本実施例では、空気使用量に応じて同時に起動する圧縮装置(2A〜2D)の台数を計算して変更することを特徴としている。空気使用量が多く、運転する必要がある圧縮装置(2A〜2D)の台数が多い場合は、複数台の圧縮装置(2A〜2D)を同時に起動するが、空気使用量が少なく、運転する必要がある圧縮装置(2A〜2D)台数が少ない場合は
図7と同様に1台ずつ起動する。
【0038】
図4に本実施例における空気タンク12内の圧力P(t)と圧縮装置(2A〜2D)の運転台数と併せて本実施例における起動電流を示す。
【0039】
本実施例では、圧縮装置起動台数Nstを使用空気量に応じて変更する。圧縮装置(2A〜2D)の起動タイミングが最初に来た時に、圧縮装置(2A〜2D)のうち2台が同時に起動する。そのため、2台分の起動電流が重なるが、3台目が起動する前に、1台目と2台目の起動電流が時間の経過により緩和される。これにより、3台目の起動電流との重なりが無く、起動電流の最大値を抑えられる効果がわかる。本実施例では最初の起動タイミングで2台の圧縮装置を同時に起動することで、3台目の圧縮装置が起動タイミングするを
図7の場合と比べ遅らせたため、圧縮装置3台の起動電流が重ならない。即ち、複数台の圧縮装置を同時に起動させたほうが短い時間間隔で順次起動させるよりも起動電流の最大値を抑えることができる。
【0040】
以上より、本実施例では、空気タンク12の圧力P(t)が下限圧力Pminを下回らないように必要な吐出し空気量を提供しつつ、起動電流の上昇を抑制し、空気圧縮システムの信頼性・寿命を向上することができる。
【実施例2】
【0041】
図5、6を用いて本発明の実施例2を説明する。空気圧縮システムの全体構成図(
図1)、空気タンク12及び空気配管10A〜10Dの合計容量Vの測定方法(
図2)は実施例1と同様なため、説明を省略する。
【0042】
本実施例は、使用空気量に応じて、起動判定に用いるTd閾値を変更することを特徴とする。
【0043】
図5〜
図6を用いて、台数制御装置の圧力測定値P(t)を用いて、圧縮装置の運転台数の制御処理を説明する。
【0044】
まず、
図5を用いて、空気使用量に応じて、圧縮装置2A〜2Dの運転台数を制御する方法を説明する。
図5に示す運転制御処理は、予め決められたサンプリング周期Ts(例えば200ms)毎に行うものである。
【0045】
ステップ1では、圧力センサ15からの圧力信号を用いて、一定のサンプリング周期Tsで現在の空気タンク12内の圧力P(t)を計測する。
【0046】
次に、ステップ2では、空気タンク12内の圧力値P (t)が予め設定された空気タンク12の下限圧力値Pminより小さいか否かを判定する。「Yes」と判定した場合、次のステップ3で圧縮装置(2A〜2D)をすべて起動させる。「No」と判定した場合、次のステップ4で空気タンク12内の圧力値P (t)が予め設定された空気タンク12の上限圧力値Pmax以上か否かを判定する。「Yes」と判定した場合、次のステップ5で圧縮装置(2A〜2D)をすべて停止させる。「No」と判定した場合、ステップ6では現在測定した圧力P (t)と前回測定した圧力値P (t-1)を用い、数式3を用いてタンク圧力変化率Kを計算する。
【0047】
ステップ7ではステップ6で計算されたKがマイナスの値か否かを判定する。「Yes」と判定した場合、圧力が下降中ということで、ステップ8に移る。「No」と判定した場合、圧力が上昇中ということで、ステップ20に移る。ステップ8では数式4を用いて、現在使用空気量Quを求める。
【0048】
次のステップ9では数式5を用いて、吐出し空気量が使用空気量を上回るのに必要な圧縮装置(2A〜2D)の運転台数Nを求める。
【0049】
次のステップ10では数式6を用いて、さらに起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsを求める。
【0050】
ステップ11では、数式10を用いて起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsに比例した値になるように起動判定に用いるTd閾値を求める。本実施例では、Td閾値は、起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsに1秒をかけた値とした。
[数式10]:Td閾値 = Ns×1
そして、ステップ12では、数式7を用いて、下限圧力Pminと現在の圧力P(t)との差を圧力変化率Kで割ることによって、使用空気量が変化しなかった場合に現在の状態から下限圧力Pminまで達するまでの時間を計算する。計算した値をTd値とする
次のステップ13で数式7で計算したTd値が数式10で決められたTd閾値より小さいか否かを判定する。「No」と判定した場合、ステップ15に移り、リターンする。「Yes」と判定した場合、ステップ14で圧縮装置を1台起動した後、ステップ15に移り、リターンする。
【0051】
ステップ7で「No」と判定した場合、ステップ20に移り、圧力変化率Kがプラスか否かを判定する。「No」と判定した場合、使用空気量と吐出し空気量が釣合っているということで、ステップ19に移り、リターンする。「Yes」と判定した場合、ステップ21に移る。ステップ21では、数式9を用いて上限圧力Pmaxと現在の圧力P (t)との差を圧力変化率Kで割ることによって、使用空気量が変化しなかった場合に現在の状態から下限圧力Pminまで達するまでの時間を計算する。計算した値をTu値とする。
【0052】
次のステップ22ではTu値が数式10で算出したTu閾値(例えば5秒)未満か否かを判定する。「No」と判定した場合、ステップ15に移り、リターンする。「Yes」と判定した場合、ステップ23で圧縮装置を1台停止させる。最後にステップ15に移りリターンする。
【0053】
図6と
図7を用いて、比較技術を使用の場合と本実施例の場合の運転台数及び起動電流を比較する。
【0054】
まず、比較技術を利用した場合に、実施例1と同様な空気使用量条件で、圧縮装置4台が必要とされた時の運転パターンを
図7に示す。
【0055】
図7では、起動判定に用いるTd閾値は起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsによらず一定(2秒)である。そのため、
図7では、圧縮装置1台も運転していない状態で、空気タンク12の圧力P(t)が下降し、下限圧力Pminに達する2秒前に圧縮装置1台が起動し、起動時の起動電流が発生する。1台目の起動電流が緩和される前に、再度下限圧力Pminに達す2秒前に2台目の圧縮装置が起動し、起動時の起動電流が発生する。そのような状況が続き、結果、1台目の起動電流が緩和される前に、2台目と3台目の起動電流が重なってしまい、電源回路に大きな電流が流れてしまう。そのため、電源配線の発熱や電圧降下が発生し、モータの起動不良及び他の装置の故障が発生する可能性がある。
【0056】
図6に本実施例における空気タンク12内の圧力P(t)と圧縮装置(2A〜2D)の運転台数と併せて本実施例における起動電流を示す。
図6では
図7と同じ条件で、圧縮装置4台が必要とされ、圧縮装置1台も運転していない状態における運転パターンを示す。空気タンク12の圧力P(t)が下降し、使用空気量が変化しなかった場合に現在の状態から下限圧力Pminに達するまでの予測時間Tdが計算される。例えば、起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsを4台とすると、数式10により、Td閾値は4秒となる。そして、予測時間TdがTd閾値(4秒)より小さくなった場合に圧縮装置を1台起動する。
【0057】
その後、起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsが3台なった場合、Td閾値は3秒となる。予測時間TdがTd閾値(3秒)より小さくなった場合、圧縮装置をさらに1台起動する。そして、上記と同様に起動が必要な圧縮装置(2A〜2D)の台数Nsが2台、1台となった場合、Td閾値はそれぞれ2秒、1秒となる。それぞれ、予測時間Tdが2秒、1秒より小さい時に、圧縮装置1台ずつ起動する。即ち、圧縮装置1台目の起動は下限圧力Pminに達するまでの予測時間Tdが4秒になったときに行い、2台目の起動は予測時間Tdが3秒になったときに行い、3台目の起動は予測時間Tdが2秒になったときに行い、最後の4台目の起動は予測時間Tdが1秒になったときに行うこととなる。
【0058】
比較技術ではTd閾値が固定値(例えば2秒)である。一方、本実施例では、Td閾値を使用空気量に応じて変更することにし、必要な運転増加台数に比例する値とした。即ち、本実施例では、起動タイミングは運転増加必要な台数Nsと連動する。例えば、運転増加必要な台数Nsが多い場合、即ち、使用空気量が多い場合は、Td閾値増加させることで起動タイミングを早める。一方、運転増加必要な台数Nsが少ない場合、即ち、使用空気量が少ない場合は、Td閾値減少させることで起動タイミングを遅らせることとした。
【0059】
本実施例では、運転増加必要な台数Nsが多い時に、起動タイミングを比較技術と比べ、早めることによって、圧縮装置の起動タイミングを分散させることができる。そのため、本実施例では、各モータ起動時の起動電流の重なりが無く、電流の最大値は1台分の起動電流のみとなる。一方、空気使用量が安定し、運転増加必要な台数Nsが少ない時に、比較技術と比べ起動タイミングもほぼ変わらないので、省エネ効果を保つことができる。
【0060】
以上より、本実施例では、空気タンク12の圧力P(t)が下限圧力Pminを下回らないように必要な吐出し空気量を提供しつつ、起動電流の上昇を抑制し、空気圧縮システムの信頼性・寿命を向上することができる。本実施例では、圧縮装置(2A〜2D)を1台ずつ起動し、起動電流の重なりをなくしたため、実施例1と比較して、さらに起動電流の上昇を抑制することができる。
【0061】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。