特許第6397661号(P6397661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6397661改良されたカッタヘッド及びその使用方法
<>
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000002
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000003
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000004
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000005
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000006
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000007
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000008
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000009
  • 特許6397661-改良されたカッタヘッド及びその使用方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397661
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】改良されたカッタヘッド及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 21/22 20060101AFI20180913BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20180913BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B23F21/22
   B23C5/22
   B23Q11/00 A
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-121929(P2014-121929)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-6724(P2015-6724A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】13172666.3
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596043494
【氏名又は名称】クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ブリーデン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ツァークロムスキー
(72)【発明者】
【氏名】ライフ・ヘッケス
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・グゼル
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−523170(JP,A)
【文献】 特開2004−148495(JP,A)
【文献】 特表2013−519533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 21/12,21/16,
23/00−23/06,23/12,
B25C 5/22,5/06−5/10,
B23B 31/02,31/30,
B23D 77/04,
B27G 13/10,13/06,
B26D 7/26,
B23Q 11/00,11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカッタ(10)を装着するためのカッタヘッド(20)であって、
記複数のカッタ(10)の各々を収容するための個別の受入穴部(25.1〜25.n)
記受入穴部(25.1〜25.n)内での前記カッタ(10)の固定のための固定手段(35.1、35.2、55)
少なくとも1つの受入穴部(25.1)に隣り合い、該少なくとも1つの受入穴部(25.1)から薄い壁又は層(41)によって分離され、流体およびそこに印加される圧力で満たされるように構成された、カッタヘッド(20)内の空洞部(40.1)とを備え、
前記薄い壁又は層(41)は、前記空洞部内の流体の流体圧力によって変形可能であり、前記固定手段(35.1、35.2、55)とは独立して、前記カッタ(10)に直接印加される流体的固定を提供するようにした、カッタヘッド(20)。
【請求項2】
前記空洞部(40.1)は、該カッタヘッド(20)の材料内において、前記受入穴部(25.1)の中心軸(LA)と平行に伸び、又は前記中心軸(LA)に対して横方向に伸び、又は前記中心軸(LA)に対して斜め方向に伸びることを特徴とする、請求項1に記載のカッタヘッド(20)。
【請求項3】
該カッタヘッド(20)は端面(31)を有する本体部(30)を備えていて、前記受入穴部(25.1〜25.n)は、前記端面(31)に設けられ、前記本体部(30)の内部へ伸びていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカッタヘッド(20)。
【請求項4】
前記空洞部(40.1)は前記端面(31)からアクセスすることができるように構成されていて、前記空洞部(40.1)は、前記本体部(30)の内部へ、前記端面(31)に対して垂直な方向に伸び、又は前記端面(31)に対して斜めの方向に伸びていることを特徴とする、請求項3に記載のカッタヘッド(20)。
【請求項5】
前記空洞部(40.1)は、周面(33)からアクセスすることができるように構成されていて、前記本体部(30)の内部へ、前記端面(31)に対して平行な方向又は斜めの方向に伸びていることを特徴とする、請求項3に記載のカッタヘッド(20)。
【請求項6】
前記の薄い壁又は層(41)は、前記受入穴部(25.1)の一部分と前記空洞部(40.1)の一部分との間に配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)。
【請求項7】
前記受入穴部(25.1)の各々に1つずつ空洞部(40.1)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)。
【請求項8】
1つの空洞部(40.1)が複数の受入穴部(25.1)に関連づけられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)。
【請求項9】
1つの共通の空洞部(40.1)が設けられていて、該共通の空洞部(40.1)は、1つの薄い壁又は層(41)によって複数の受入穴部(25.1)からそれぞれ分離されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)。
【請求項10】
1つ又は複数の空洞部(40.1)を閉止することができる少なくとも1つの閉止手段(60)を備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)。
【請求項11】
前記閉止手段(60)は、中央通路穴(63)を有するプラグ(61.1)を含む少なくとも1つのシール群又はシールユニット(61)と、圧縮体として用いられるねじ付きのピン(62)とを備え、前記プラグ(61.1)を通して、流体の供給及び流体の除去の少なくとも一方を行うことができるように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のカッタヘッド(20)。
【請求項12】
加工対象物の切削加工のためにカッタヘッド(20)を使用する前に、少なくとも1つの空洞部の内部の流体の圧力を調整することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載のカッタヘッド(20)の使用方法。
【請求項13】
前記の圧力の調整を、道具を用いて手動操作で実施することを特徴とする、請求項12に記載の使用方法。
【請求項14】
前記の圧力の調整を、流体圧力をカッタヘッド外部で予め設定することにより実施することを特徴とする、請求項12に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象物に歯を切削加工するためのカッタヘッド、とくにバーカッタヘッドに関するものである。とくに、本発明は、傘歯車の歯を切削加工するためのカッタヘッド又はバーカッタヘッドに関するものである。本発明はまた、このようなカッタヘッド又はバーカッタヘッドの使用方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
金属製の加工対象物に切削加工を施すために用いられる種々の型式のカッタヘッドが存在する。このようなカッタヘッドは、典型的には、受入穴部を備えた本体部を有する。加工対象物の切削加工を行う際に実際に用いられる工具は、このような受入穴部内に挿入され、固定手段を用いて本体部内に固定される。
【0003】
以下、とくに傘歯車の加工に用いられるカッタヘッドについて説明を行う。しかしながら、本発明はまた、その他の種類のカッタヘッドにも利用することができるものである。
【0004】
傘歯車を生産するために用いられるカッタヘッドの場合、いわゆるバーカッタヘッドと総形カッタヘッドとが区別される。バーカッタヘッドには複数のバーカッタが装着され、各バーカッタは、シャフトとヘッド領域とを有している。バーカッタヘッドは、総形カッタヘッドに比べて生産性が高い。その理由は、同一の円周面により多くのカッタ(ブレード)を装着することができるからであり、これはバーカッタが、円周方向ではなく、バーの中心軸方向に繰り返し押し付けられるので、円周方向の厚さを小さくすることが必要だからである。これとは対照的に、総形カッタヘッドには総形カッタが装着されている。総形カッタは、バーカッタの形状とは異なる形状を有し、切削表面上で繰り返し押し付けられるだけである。既知のサイクロパロイド法は、このような総形カッタを、例えば曲がり歯傘歯車を生産するために用いている。
【0005】
本発明は、バーカッタヘッドに利用することができるだけでなく、総形カッタヘッドにも利用することができる。したがって、以下では、「カッタヘッド」との語を、これらの総称として用いる。
【0006】
これらのカッタヘッドの場合、カッタヘッドに固定されたカッタが精密に設定された位置に移動することができることが重要である。そして、カッタは、加工対象物の切削加工の際に、前記の精密に設定された位置に留まることになる。したがって、カッタを、固定手段によりカッタヘッドの受入穴部に固定するための種々の案が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カッタヘッドの場合、ときには、バーカッタ又は総形カッタの半径方向の位置を修正することを可能にするために、いわゆる下敷プレート又は平行プレートが用いられる。この目的を達するため、これらのプレートは、厚さが異なるものが準備される。かくして、カッタの位置は、典型的には、半径方向外向きに変化させることができる。このようなプレートを用いることにより、カッタの位置の精度、カッタの固定の安定性、カッタヘッド及びカッタからなる組立体全体の剛性が損なわれる。
【0008】
カッタは、カッタヘッドの態様に応じて、受入穴部内にある程度の遊びをもつことができ、したがって負荷が大きい場合には、非常に小さい枠組みで移動することができる。実験によれば、ある種のカッタヘッドにおいては、各カッタは振動する傾向があり、この振動は、例えば加工対象物の歯面に仕上げ加工を実施するときに、表面の質に悪い影響を及ぼす。なお、すべての型式のカッタヘッドが、このような個々のカッタが振動するといった傾向をもつわけではない。振動する傾向は、カッタヘッドの幾何学的な特性だけでなく、カッタヘッドの材料技術上の特性にも依存することは明らかである。
【0009】
それゆえ、本発明は、カッタヘッドのカッタの予め精密に設定された位置の維持を達成することを可能にする手段を提供するといった目的に基づいてなされたものである。
【0010】
とくに、本発明は、加工対象物を加工するときに力学的な負荷がかかった場合でも、カッタヘッドのカッタの位置の精度を確保することを可能にする手段に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本願の請求項1に規定された本発明に係るカッタヘッドによって達成される。本発明の有利な実施態様は、引用形式請求項に係る発明によって実現される。上記目的はまた、請求項12に係る方法発明によっても達成される。
【0012】
本発明に係るカッタヘッド(cutter head)は、複数のカッタ(総形カッタ(form cutter)及び/又はバーカッタ(bar cutter))を装着するように構成されている。カッタヘッドは、複数のカッタのそれぞれを収容するための個別の受入穴部(receptacle opening)を有し、カッタヘッドには、カッタを受入穴部内に固定するための固定手段(clamping means)が設けられている。本発明によれば、受入穴部のうちの少なくとも1つの領域(region)においてバーカッタヘッドに空洞部(cavity)が設けられ、この空洞部は、薄い壁(仕切り壁)又は層(仕切り層)によって、受入穴部とは分離されている。空洞部は、充填物(filler)、好ましくは流体の形態の充填物を満たすことができ、その内部に圧力をかけることができるようになっている。
【0013】
本発明のすべての実施態様においては、流体としてオイルないしは作動油(hydraulic oil)を用いるのが好ましい。
【0014】
圧力をかけることにより、薄い壁(仕切り壁)又は層(仕切り層)はやや膨らみ、隣り合う受入穴部の内部に配置されたカッタの一部分(a part)を押圧する。
【0015】
すべての実施態様において、各受入穴部にはそれぞれ1つずつ個別の空洞部(すなわち、他の空洞部から空間的に分離された1つの空洞部)を設けることができる。これらの個別の空洞部は、それぞれ、その内部に圧力(pressure)がかけられる。
【0016】
すべての実施態様においては、各受入穴部に1つずつ個別の空洞部を設け、これらの空洞部について、すべてのものに対して又は群単位で(in groups)圧力をかけることができる。
【0017】
これらの実施態様は、圧力を、要望に応じて「切り替える(switched in)」ことができるように構成されている。これらの実施態様は、擬似ディジタルで(quasi-digitally)動作する。空洞部は、圧力がかけられるか、又は圧力がかけられないかのいずれかである。
【0018】
これらの実施態様は、圧力を要望に応じて(on-demand)段階的又は連続的に「切り替える」ことができるように構成することができる。かくして、例えば、とくに重要な(critical)加工工程を実施するときには、より重要ではない工程を実施するときに比べて、より高い圧力で操作することができる。これらの実施態様では、任意的に、カッタの振動を解明する(ascertain)ことを可能にする手段を有していてもよい。この場合、空洞部内の圧力は、振動がもはや検出されなくなるまで、コントローラ(controller)又はレギュレータ(regulator)により調整する(adapt)ことができる。かくして、共振挙動(resonance behavior)は最適なものとなる。
【発明の効果】
【0019】
必要なときに空洞部内に圧力をかけることができることは、この課題の解決手段の1つの利点である。かくして、例えば、ある加工工程、例えば粗削り(roughing)を実施するときに空洞部内に圧力をかけずに操作する一方、この後の仕上げ(finishing)工程を実施するときに空洞部内の圧力を予め設定して、歯車の加工された歯面の表面の質を最適なものとすることができる。
【0020】
圧力を必要に応じて異なる強さに予め設定することができることは、この課題の解決手段のもう1つの利点である。それゆえ、例えば、圧力の設定をカッタヘッドの干渉共振(interfering resonance)を管理するために変更することができる。
【0021】
さらに、本発明に係る課題の解決手段はまた、生産に関連する仕様(production-related manner)に帰結し、又は摩耗もしくは損傷に起因するより小さい許容誤差(tolerance)を補償する(compensate)ことも可能にする。
【0022】
本発明は、大型モジュール(large-module)の歯車の仕上げ加工を実施するときに、とくに有利に用いることができる。なぜなら、個々のカッタが振動する傾向は、従来のカッタヘッドの場合は、この場面でとくに顕著にあらわれるからである。有効な改善策は、本発明に係る使用方法により実現することができる。
【0023】
本発明に係るこのようなカッタヘッドの使用に関して、このカッタヘッドは、傘歯車(bevel gear)、とくに曲がり歯傘歯車(spiral-toothed bevel gear)を生産するために用いられる。
【0024】
さらに、本発明に係る好ましいカッタヘッドは、実質的に一体物(monolithic)として形成されている点に特徴がある。
【0025】
後記の参照番号のリストは、本明細書の一部を構成する。
【0026】
添付の図面は、包括的に分かりやすくあらわされている。以下、本発明の典型的な実施形態を、添付の図面を参照しつつさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】典型的なバーカッタヘッドの非常に模式的な断面側面図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その端面にバーカッタを装着するように構成されている。
図2】もう1つの典型的なバーカッタヘッドの側面図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その端面にバーカッタを装着するように構成され、バーカッタはやや傾斜している。
図3】さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッドの斜視図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その端面に、内側カッタと外側カッタの対を複数有する一群のバーカッタが装着されている。
図4】さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッドの非常に模式的な側面図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その端面にバーカッタを装着するように構成され、バーカッタは端面に垂直である。
図5】さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッドの下から斜めに見た斜視図であり、この図では、バーカッタヘッドは、見えている後側が開放されるように構成され、バーカッタはやや傾斜している。
図6】さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッドの非常に模式的な一部断面側面図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その円周面に沿ってバーカッタを装着するように構成されている。
図7A】さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッドの斜視図であり、この図では、バーカッタヘッドは、その端面に、複数のバーカッタを有する一群のバーカッタを装着するように構成されている。
図7B図7Aに示すバーカッタヘッドの一部分の分解図である。
図7C図7Aに示すバーカッタヘッドの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書においては、本願に関連する刊行物及び特許文献でも用いられている語句が用いられる。しかしながら、これらの語句は、単により良い理解に役立てるために用いられているだけであるということに注目すべきである。本発明の技術思想及び特許請求の範囲の権利保護範囲は、これらの特定の選択に係る語句の解釈によって限定されるべきではない。本発明は、その他の語句により表現されたシステム及び/又は技術分野に容易に転用することができるものである。これらの語句は、他の技術分野でも使用されているものである。
【0029】
本発明は、バーカッタ10を装着することができるカッタヘッド20に利用することができるだけでなく、総形カッタを装着することができるカッタヘッド20にも利用することができるものである。本発明はまた、いわゆる「刃先交換式ホルダ(indexable insert holders)」を装着しているカッタヘッドにも利用することができる。この場合、本発明は、カッタヘッドに把持された(chucked)刃先交換式ホルダに利用される。しかしながら、以下で説明する典型的な実施形態は、特許請求の範囲を前記のようにより一般的に解釈することを放棄しているわけではないが、バーカッタ10を装着することができるバーカッタヘッド20に関連するものである。
【0030】
以下、本発明を、典型的な第1の実施形態に基づいて説明する。これに対応する図1は、典型的なバーカッタヘッド20の非常に模式的な断面側面図を示し、この図1では、カッタヘッド20は、その端面にバーカッタ10を装着することができるように構成されている。なお、図1中では、バーカッタ10は図示していない。
【0031】
バーカッタヘッド20は、とくに、複数のバーカッタ10を装着する(accommodate)ことができるように構成され、バーカッタ10の各々に対して個別に設けられた受入穴部を有している。ここで、これらの受入穴部は、nを1より大きい整数(whole)とすれば参照番号25.1〜25.nで示されている。これは、他の典型的な実施形態においても同様である。受入穴部の総数はnである。
【0032】
すべての受入穴部25.1〜25.nがバーカッタ10を装着しなければならないというわけではない。これは、すべての実施形態についても当てはまることである。
【0033】
受入穴部25.1〜25.nは、カッタヘッド20の本体部30(main body)における凹部(recess)としてあらわされている。
【0034】
本発明によれば、これらの受入穴部のうちの少なくとも1つの受入穴部25.1の領域において、カッタヘッド20に空洞部40.1(cavity)が設けられる。図1において、空洞部40.1は、受入穴部25.1に直接的に隣り合うように配置されている。空洞部40.1は、薄い壁又は薄い層41によって受入穴部25.1から分離されている。そして、空洞部40.1は、流体で満たすことができ、その内部に圧力をかけることができるようになっている。図1に示す具体例においては、空洞部40.1は、受入穴部25.1の中心軸LA(longitudinal axis)と平行な方向に伸びている。また、空洞部40.1は、カッタヘッド20の端面31に開口するアクセス用又は充填用の開口部42(access or filling opening)を有するように構成されている。開口部42及び空洞部40.1は、図1中では、非常に模式的な態様で示されている。
【0035】
すべての実施形態において、空洞部40.1〜40.mは、本体部30に、ドリル穿孔(drilling)及び/又はフライス削り(milling)により形成するのが好ましい。しかしながら、本体部30はまた、鋳造により製造してもよい。この場合、受入穴部25.1〜25.n及び/又は空洞部40.1〜40.mは、鋳造時にすでに形成されているのが好ましい。
【0036】
受入穴部25.1〜25.nを形成するために、まず本体部30に掘削孔(boreholes)が好ましく形成され、これによりワイヤ腐食法(wire erosion method)の実施時に、本体部30を通してワイヤを案内する(guide)ことができる。加工機械は、ワイヤを予め設定された経路に沿って案内することにより、掘削穴から出発して材料を所望の形状に正確に切り抜く(cut out)。
【0037】
バーカッタヘッド20は、バーカッタ10を受入穴部25.1〜25.n内に固定する(clamp)ための固定手段(clamping means)を有している。本明細書では、本実施形態で用いられる既知の解決手段は、すべての実施形態で用いることができる。例えば、図1には、本体部30の端面31と基本的には平行に、本体部30の材料内に伸びる2本のねじ穴35.1、35.2が示されている。
【0038】
すべての実施形態において、例えば図3に示すような、(固定用の)ねじ55を用いることができる。本発明に係る流体的固定(hydraulic clamping)は、カッタ10を本体部30内に固定する実施形態のすべての実施形態において独立しているということが重要である。すべての実施形態において、(固定用の)ねじ55は、カッタ10の固定を改善するためにワッシャ及び/又はばねを有していてもよい。すべての実施形態において、(固定用の)ねじ55は、カッタ10の固定を改善するために、1つの部品(part)、2つの部品又はこれより多い複数の部品で形成してもよい。すべての実施形態において、カッタ10は、本体部30に対するカッタ10の(半径方向の)位置を設定し(define)又は修正する(correct)ことができるように、下敷きプレート(underlay plates)及び/又は平行プレート(parallel plates)及び/又はくさび部材(wedges)を設けて、受入穴部25.1〜25.n内に挿入してもよい。
【0039】
例えば図3に示すように、各カッタ10に対して2つの(固定用の)ねじ55が用いられる場合、これらの2つの(固定用の)ねじ55は、それぞれカッタ10の1つの固定側部位(clamping side)を個別に押圧して、カッタ10の固定を実現することができる。
【0040】
これに代えて、(固定用の)ねじ55は、カッタ10の固体側部位を、図示していない共通の固定ブロック(shared clamping block)を用いて押圧するようにしてもよい。この場合、2つの個別の(固定用の)ねじ55を有する実施形態とは対照的に、(固定用の)ねじ55の力は、共通の固定ブロックを介してカッタ10の固定側部位に伝達される。
【0041】
ねじ55をねじ穴35.1、35.2に螺入することにより、受入穴部25.1に対応する位置にカッタ10を固定することができる。
【0042】
すべての実施形態において、本発明に係るバーカッタヘッド20は、すでに図1に関して説明したとおり、複数の受入穴部のうちの少なくとも1つの受入穴部25.1の領域においてバーカッタヘッド20の材料中に空洞部40.1が設けられている点に特徴がある。以下では、この実施形態において、また他の典型的な実施形態においても、空洞部は、mを1より大きい整数とすれば、参照番号40.1〜40.mが付されていることにより識別する。空洞部の総数はmであらわされる。
【0043】
m*nに関して、以下の関係は、すべての実施形態に当てはまる。すべての実施形態において、整数mは整数nと同一であるのが好ましい。すなわち、この好ましい場合においては、受入穴部25.1〜25.nの数と完全に同数の空洞部40.1〜40.nが存在する。
【0044】
空洞部40.1〜40.nは、薄い仕切り壁(partition wall)又は仕切り層41(partition layer)によって、それぞれの隣り合う受入穴部25.1〜25.nから分離されている。さらに、空洞部40.1〜40.mは、充填物(filler)、好ましくは流体の形態の充填物で満たすことができ、かつその内部に圧力をかけることができるように構成されているのが好ましい。
【0045】
図1は、その本体部30が前側ディスク形領域と後側ディスク形領域とを備えているバーカッタヘッド20を示している。すべての実施形態において、本体部30は、工具軸RW(tool axis)に対して実質的に回転対称(rotationally-symmetrical)となるように構成されている。本体部30は、前側ディスク形領域の上で工具軸RWに対して垂直ないわゆる端面31(end surface)を有している。
【0046】
図1に示す実施形態に係る受入穴部25.1〜25.nはこの端面31に設けられ、図1から分かるように、単一の受入穴部25.1に基づく部分(region)の領域内で、本体部30の材料内に伸びている。この実施形態では、例えば、空洞部40.1は、受入穴部25.1の中心軸LAと平行な方向に伸びている。この特別な実施形態は、工具軸RWと中心軸LAとが平行であり、非常に単純な形態で示される。
【0047】
空洞部40.1〜40.mと受入穴部25.1〜25.nとが平行である実施形態においては、空洞部40.1〜40.mは受入穴部25.1〜25.nの全長にわたって伸びていてもよく、また図1に示されているように空洞部40.1〜40.mは受入穴部25.1〜25.nより短くてもよい。この実施形態では、これらの長さは、中心軸LAと平行な方向について測定された(ascertained)ものである。
【0048】
(例えば図1に示されているような)本体部30が後側領域で開かれている(open)カッタヘッド20においては、カッタ10のシャフト(shafts)は、この領域内で少なくとも部分的に露出する(exposed)。それゆえ、空洞部40.1は、受入穴部25.1の領域に沿ってのみ伸び、カッタヘッド20の本体部の材料によって完全に囲まれている(completely enclosed)のが好ましい。
【0049】
各空洞部40.1〜40.mは、それぞれ、薄い仕切り壁又は仕切り層41によって、隣り合う受入穴部25.1〜25.nから分離されている。図1は、受入穴部と空洞部とが平行な形態に構成された結果、均一な厚さ(中心軸LAに垂直)をもつ、断面図であらわされた仕切り層41を示している。
【0050】
図2は、もう1つの典型的なバーカッタヘッド20の側面図を示している。このカッタヘッド20は、その端面にバーカッタ10(図示せず)を装着するように構成され、これらのバーカッタ10は、工具軸RWに対してやや傾斜している(すなわち、LAはRWに対して傾斜している。)。図2においては、受入穴部25.1の輪郭(profile)が破線(dashed line)で示されている。なぜなら、この受入穴部25.1は、本体部30の前側ディスク形領域の内部へ伸びているからである。後側ディスク形領域32において、受入穴部25.1は見えており、カッタ10のシャフト(カッタヘッド20がカッタ10を装着している場合)は部分的に露出する。受入穴部25.1〜25.nのそれぞれに対して、本体部30の前側ディスク形領域の円周側面(circumferential side)、すなわち横面(lateral surface)に2つのねじ穴が設けられている。受入穴部25.1の2つのねじ穴は、参照番号35.1、35.2が付されている。この実施形態では、受入穴部25.1〜25.nが傾斜しているので、これらのねじ穴も、1対ずつ傾斜している。
【0051】
図2に示す典型的な実施形態においては、空洞部40.1は、受入穴部25.1の中心軸LAと平行な方向に伸びている。この場合、空洞部40.1は、本体部30の前側ディスク形領域内において受入穴部25.1の全長にわたって伸びている。この実施形態では、空洞部40.1は、後側ディスク形領域32の内部へは伸びていない。
【0052】
図3は、内側カッタと外側カッタとからなる対(pairs)を複数有する1群のバーカッタ(bar cutter set)を装着している、さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッド20の斜視図を示している。この実施形態でも、バーカッタ20はディスク形の本体部30を有し、この本体部30の端面31の上に、バーカッタ10の挿入及び固定のための受入穴部25.1〜25.n(カッタシャフトとも呼ばれている)が設けられている。図3に示す具体例では、本体部30は、合計で40個の受入穴部25.1〜25.40(すなわち、n=40)を有している。40個の受入穴部25.1〜25.40には、20個の内側カッタと20個の外側カッタとが装着されている。
【0053】
図3に示す典型的な実施形態に係るバーカッタ10は、端面31に対して垂直である。この実施形態でも、受入穴部25.1〜25.40のそれぞれに、1対のねじ穴が設けられている。図3においては、1つの受入穴部25.1の2つのねじ穴35.1、35.2についてのみ参照番号が付されている。
【0054】
カッタヘッド20の左側にはこれと隣り合って2つの(固定用の)ねじ55が示されている。これらのねじ55は、例えばねじ穴35.1、35.2に内に挿入して締め付けることができ、これによりバーカッタ10を受入穴部25.1内に固定することができる。
【0055】
この実施形態でも、本体部30の(後側ディスク形前側領域の)後側は開放され、バーカッタ10の後端は露出している。本発明のすべての実施形態において、後側は開放することができ、又は閉止することができるように構成されている。
【0056】
図3において、一例として示されている空洞部40.1は、破線で模式的に示されているように、受入穴部25.1に対して交差する方向ないしは横方向に(transversely)伸びている。この実施形態では、空洞部40.1は、本体部30の円周面33に開口している。この空洞部40.1は、受入穴部25.1の壁と接する方向に(tangentially)、本体部30の内部へ少なくともある程度の距離だけ伸びている。図3中には表現されていないが、空洞部40.1の一部分(a section)と受入穴部25.1の一部分(a section)の間には、仕切り壁又は仕切り層41が配設されている。
【0057】
図4は、さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッド20の非常に模式的な側面図を示している。この実施形態では、カッタヘッド20は、その端面に複数のカッタ10(図示せず)を装着するように構成され、またバーカッタ10は、本体部30の端面31に対して傾斜している。この実施形態の詳細については、前記の実施形態の説明を参照することができる。図3に示された実施形態と同様に、空洞部40.1〜40.mの軸開口部(axis opening)又は充填開口部42(filling openings)は、横面33の上に存在する。この実施形態でも、受入穴部25.1〜25.40のそれぞれに1つずつ空洞部40.1〜40.nが設けられ、空洞部40.1〜40.nのそれぞれに1つずつアクセス開口部又は充填開口部42が設けられている。
【0058】
この実施形態でも、空洞部40.1は、受入穴部25.1に対して交差する方向ないしは横方向に伸びている。ここでは、本体部30の横表面33に開口しているオリフィス(orifice)のみが空洞部40.1として認識することができる。この空洞部40.1は、本体部30の円周面33に開口している。この空洞部40.1は、受入穴部25.1の壁と接する方向に(tangentially)、本体部30の内部へ少なくともある程度の距離だけ伸びている。また、空洞部40.1の一部分(a section)と受入穴部25.1の一部分(a section)の間には、仕切り壁又は仕切り層41が配設されているが、その位置(location)は、図4内における表示(indication)として認識することができるだけである。
【0059】
図5は、さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッド20を後側からみた斜視図を示している。図5においてバーカッタヘッド20の後側の見えている部分は、開放された構造を有し、またバーカッタ10(図示せず)はやや傾斜している。この実施形態の詳細については、前記の実施形態の記載を参照することができる。
【0060】
図5に係る実施形態においては、1つ又は複数の空洞部40.1〜40.mへのアクセス(access)は、本体部30の後側領域32において行うことができる。これらの空洞部40.1〜40.mは、1つ又は複数の受入穴部25.1〜25.nの1つ又は複数の壁と接する方向に、(好ましくは前側ディスク形領域で)本体部30の内部へ少なくともある程度の距離だけ伸びている。図5中にはあらわれていないが、空洞部40.1の一部分(a section)と受入穴部25.1の一部分(a section)の間には、仕切り壁又は仕切り層41が配設されている。
【0061】
この実施形態では、本体部30の後側領域30は、受入穴部25.1〜25.nの連続部(continuation)として、開放されたカッタシャフト37(open cutter shaft)を有している。図5では、本体部30の後端面34に、カッタシャフト37の貫通開口部(penetration openings)と、中央貫通穴36(central borehole)とが見えている。
【0062】
すべての実施形態において、カッタヘッド20に、既知の仕様で加工装置の加工対象物取付軸(workpiece spindle)に接続することを可能にする中央貫通穴36(central borehole)を設けることができる。しかしながら、すべての実施形態において、中央貫通穴以外の固定手段(fasting means)を設けてもよい。
【0063】
図6は、さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッド20の非常に模式的な一部断面側面図を示し、このカッタヘッド20は、その円周面に沿って複数のカッタ10を装着するように構成されている。カッタヘッド20の隣に、その比率(proportions)を示すために、典型的なカッタ10が非常に模式的な形態で示されている。カッタ10は、シャフト10.1と頭部領域10.2(head region)とを有している。
【0064】
この実施形態では、カッタ10は、本体部30内に、半径方向又はこれに対して傾斜する方向において外側を向くように配置される。ここで、カッタ10の少なくとも動作する(active)領域(以下「頭部領域10.2」という。)は、カッタヘッド20の円周面33から突出している。受入穴部25.1は、図6中に断面で表された領域に示されている。図6に示す実施形態では、ねじ穴35.1、35.2は、前端面側31から、本体部30の内部に位置する受入穴部25.1〜25.nの方向に伸びている。図示されているように、前端面側には、工具軸RWに対して同軸状に伸びる凹部38(depression)が設けられている(この凹部は、工具軸RWと同軸の円錐台形(truncated cone)であるのが好ましい。)。図6中に示されているように、中央貫通穴36(central borehole)は、カッタヘッド20の本体部30の全体を貫通していてもよい。図6中に一例として示されているように、空洞部40.1又はそのオリフィス(充填・アクセス開口部42)は、それぞれ、この凹部38の領域内に配置することができる。この実施形態では、実際の空洞部40.1は、受入穴部25.1の中心軸LAに対して、これと反対方向に平行に伸びている。図6中に示されているように、仕切り壁又は仕切り層41は、空洞部40.1の一部分と受入穴部25.1の一部分の間に位置している。
【0065】
図7Aは、さらにもう1つの典型的なバーカッタヘッド20の斜視図を示し、このカッタヘッド20は、その端面に複数のバーカッタ10を有する1群のバーカッタ(bar cutter set)を装着している。この実施形態においては、n=32であり、32個の受入穴部25.1〜25.32が設けられ、これらの受入穴部25.1〜25.32は、それぞれ1つのバーカッタ10を装着している。
【0066】
この実施形態でも、カッタヘッド20の本体部30は、前側ディスク形領域と後側開放領域とを有している。(例えば、図5と同様に)後側開放領域には、開放されたカッタシャフト37が見えている。この実施形態では、各バーカッタ10に、それぞれ2つずつねじ穴が設けられている。しかしながら、図7Aでは、2つのねじ穴のみに、参照番号35.1、35.2が付されている。これら2つのねじ穴35.1、35.2は、受入穴部25.1に関連づけられている。すなわち、この実施形態では、受入穴部25.1内に配置されたバーカッタ10は、該受入穴部に螺入可能なねじ55を用いて固定される。なお、図7Aには、ねじ55は示されていない。
【0067】
この実施形態では、カッタヘッド20の本体部30内において、各受入穴部25.1〜25.32に、それぞれ1つの空洞部40.1〜40.32が設けられている。図7Aでは、これらの空洞部40.1〜40.32は見えていない。しかしながら、各空洞部40.1〜40.32に対して、本体部30円周面33の上にアクセス開口部又は充填開口部42が配置されていることを認識することは可能である。
【0068】
図7Bは、図7Aに示すバーカッタヘッド20の一部分の分解斜視図を示している。ここでは、複数の受入穴部中の1つの受入穴部に参照番号25.1が付されている。カッタヘッド20の右隣には、本発明に係る典型的な閉止手段60(closure means)が示されている。各アクセス開口部又は充填開口部42内にこのような閉止手段60が1つずつ配置されている。この実施形態に係る閉止手段60は、流体固定(hydro-clamping)とも呼ばれている。
【0069】
すべての実施形態において、閉止手段60は複数の部品(parts)で構成され又は構築されるのが好ましい。図7Bは、閉止手段60が6つの部品を備えた典型的な実施形態を示している。内側から外側に向かって順に考察すれば、閉止手段60は、シール群(sealing group)又はシールユニット(sealing unit)61と、圧縮体(compression body)として用いられるねじ付き部62(threaded body)とを備えているのが好ましい。
【0070】
すべての実施形態において、全体として、閉止手段60は、次のように構成するのが好ましい。すなわち、一方では、シール群又はシールユニット61の移動により、指定された(assigned)空洞部40.mの内部に圧力をかけることを可能となるように構成する。他方では、圧縮体(好ましくは、ねじ付きピン62の形態のもの)を、シール群又はシールユニット61と協働するように用いて、空洞部40.mを外部に対してシールするように構成する。
【0071】
すべての実施形態において、シール群又はシールユニット61は、栓ないしはプラグ61.1(plug)と、支持リング61.2と、Oリング61.3と、もう1つのOリング61.4と、シールプレート61.5とを備えているのが好ましい。Oリング61.3、61.4は、空洞部40.m内又は充填・アクセス開口部42内において、シール群又はシールユニット61の移動時に、流体が空洞部40.mから漏出するのを防止するためのラジアルシール(radial seals)として用いられる。
【0072】
図7Cは、図7Aに示すバーカッタヘッド20の一部分の断面図を示している。この図には、複数の空洞部40.mのうちの1つの空洞部の縦断面(longitudinal section)が示されている。図7Cには、空洞部40.mの一部分(a section)とこれと関連づけられた受入穴部21.nの間に位置する仕切り壁又は仕切り層41は示されていない。この断面図によれば、充填・アクセス開口部42の領域に配設された閉止手段60が、空洞部40.mを外部に対してシールしていることが分かる。閉止手段60は、図7Bに示された複数の部材(elements)を備えている。バーカッタ10のうちの1つのバーカッタの正確な位置を特定する(identify)ために、図7Cにはバーカッタヘッド10.2とシャフト10.1とが示されている。
【0073】
すべての実施形態において、シール群又はシールユニット61は、軸方向のシール(axial sealing)を行うための部材を備えている。
【0074】
すべての実施形態において、シール群又はシールユニット61は、特別な部材(special elements)を備えているのが好ましい。また、すべての実施形態において、シール群又はシールユニット61は、流体を空洞部40.m内に供給することができ、又は開口部(opening)を通して空洞部40.mから流体を排出することができるように構成するのが好ましい。図7Bには、プラグ61.1が中央通路穴63(central passage opening)を有していてもよいということが示されている。図示された実施形態において、ねじ付きピン62がねじ戻されて取り外され、圧縮プレート61.5とOリング61.4とが充填・アクセス開口部42から除去された場合は、中央通路穴63を通して、空洞部40.mに流体を満たすことができる。
【0075】
本発明のすべての実施形態において、流体の充填(filling)及び排出は、例えば圧力をかけることができる分離された別の通路(channel)を空洞部40.mにつなぐ(lead)などして、アクセス開口部42とは独立して行うことができる。
【0076】
すべての実施形態において、ねじ付きピン62は、シールプレート61.5を介してシール群又はシールユニット61を軸方向に押圧する。
【0077】
すべての実施形態において、ねじ付きピン62が図7Bでは図示していない雄ねじ(external thread)を備える一方、充填・アクセス開口部42が、前記外ねじに対応する雌ねじ(internal thread)を有しているのが好ましい。
【0078】
すべての実施形態において、圧力を自動的に監視するとともにこれに影響を及ぼす(influence)ことを可能にするアクチュエータ(図示せず)を用いるのが好ましい。これは、例えばカッタヘッド20に取り付け可能な共通の液圧配管(shared hydraulic line)を設けることにより実施することができる。
【0079】
すべての実施形態において、ねじ付きピン62は、図7Bに示されているような(例えば六角形の開口部を有する)ねじ頭62.1(screw head)を有しているのが好ましい。工具(例えば、六角形の鍵(key)を用いて)を用いることにより、閉止手段60を個別的に所定の深さまでねじ込んで、空洞部40.mの押圧力(pressure)を増加させ、又は閉止手段60をいく分かねじ戻して押圧力を低減することができる。



【符号の説明】
【0080】
10 バーカッタ、10.1 シャフト、10.2 ヘッド領域、20 カッタヘッド、25.1〜25.n 受入穴部、30 本体部、31 端面、32 後側領域、33 円周面、34 後端面、35.1 ねじ穴、35.2 ねじ穴、36 中央貫通穴、37 カッタシャフト、38 凹部、40.1〜40.m 空洞部、41 仕切り層又は仕切り壁、42 充填・アクセス開口部、55 ねじ、60 閉止手段、61 シール群又はシールユニット、61.1 プラグ、61.2 支持リング、61.3 Oリング、61.4 Oリング、61.5 ディスク形シールプレート、62 圧縮体又はねじ付きピン、62.1 ねじ頭部、63 中央通路穴、LA 中心軸、m 整数、n 整数、RW 工具軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C