(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図に示す実施例に基づいて、この発明を説明する。
なお、これによって、この発明が限定されるものではない。
【0023】
<自走式電子機器の構成>
この発明の自走式電子機器は、目標対象物である制御対象機器の位置を自動的に設定記憶する機能を有し、目標対象物に向かって自動走行する電子機器である。
以下に、この発明の自走式電子機器の一実施例として、充電池および掃除機能を備えた「自走式掃除機」の構成について説明する。また、自走式掃除機が自動走行する所定の空間内の基準となる位置に、充電台を配置し、充電池の残量が所定値以下に減少した場合、自走式掃除機は充電台まで自動的に帰還するものとする。
【0024】
ただし、この発明の自走式掃除機は、少なくとも充電池を備え、自動走行制御を行って、自動走行によって制御対象機器の近傍領域にまで移動する機能を有する電子機器であればよく、自走式掃除機に限定するものではない。
たとえば、自走式電子機器には、空気吸引を行い清浄化した空気を排気する自走式空気清浄機、イオンを発生させる自走式イオン発生機、ユーザに対して必要な情報を提示する機能やユーザが要求した機能を実行する自走式ロボット等も含まれる。
【0025】
制御対象機器は、ユーザが遠隔制御しようとする目標対象物に相当する。また、自走式電子機器から出力される制御信号を受信して、その受信した制御信号に対応した特定の機能を実行する電気機器であり、たとえば、テレビ、エアコン、空気清浄機、照明機器などである。
【0026】
図1に、この発明の自走式掃除機の一実施例の構成ブロック図を示す。
図1において、この発明の自走式掃除機(以下、掃除機またはクリーナとも呼ぶ)は、主として、制御部11、充電池12、障害検知部13、角度検出部14、信号通信部15、距離測定部16、位置決定部17、赤外線受信部18、走行制御部21、車輪22、エンコーダ23、吸気口31、排気口32、集塵部33、入力部34、記憶部41、コマンド受信部51、制御信号送信部52を備える。
【0027】
また、掃除を行う部屋などの所定の位置に、図示しない充電台を固定設置する。充電台と自走式掃除機1を接続することにより、自走式掃除機1は充電台と接触した状態で充電台からの電力の供給を受け、自走式掃除機1の充電池12を充電する。
また、自走式掃除機1は、充電台から離れ自動走行しながら掃除機能を実行し、さらに、要求があった場合に、制御信号を送信して、制御対象機器を遠隔制御する。
【0028】
この発明の自走式掃除機1は、設置された場所の床面を自走しながら、床面上の塵埃を含む空気を吸い込み、塵埃を除去した空気を排気することにより床面上を掃除する掃除ロボットである。この発明の自走式掃除機1は、掃除が終了すると、自律的に充電台に帰還する機能を有する。
図2に、この発明の自走式掃除機の一実施例の概略斜視図を示す。
図3に、自走式掃除機の一実施例の背面図を示す。
【0029】
図2において、本発明の自走式掃除機1は、円盤形の筐体2を備え、この筐体2の内部および外部に、回転ブラシ、サイドブラシ10、集塵部33、電動送風機、複数の駆動輪からなる車輪22、信号通信部15、赤外線受信部18、
図1に示したその他の構成要素が設けられている。
図2において、赤外線受信部18が配置されている部分を前方部、従動輪である後輪が配置されている部分を後方部、筐体内部に信号通信部15や集塵部33が配置されている部分を中間部と呼ぶ。
【0030】
筐体2は、吸気口31を有する平面視円形の底板と、筐体2に収容する集塵部33を出し入れする際に開閉する蓋部3を中央部分に有している天板2bと、底板および天板2bの外周部に沿って設けられた平面視円環形の側板2cとを備えている。また、底板には一対の駆動輪および後輪の下部を筐体2内から外部へ突出させる複数の孔部が形成され、天板2bにおける前方部と中間部との境界付近には排気口32が形成されている。なお、側板2cは、前後に二分割されており、側板前部はバンパーとして機能する。
【0031】
自走式掃除機1は、一対の駆動輪が同一方向に正回転して前進し、同一方向に逆回転して後退し、互いに逆方向に回転することにより静止した状態で旋回する。例えば、掃除機1は、掃除領域の周縁に到達した場合および進路上の障害物に衝突した場合、駆動輪が停止し、一対の駆動輪を互いに逆方向に回転して向きを変える。これにより、掃除機1は、設置場所全体あるいは所望範囲全体に障害物を避けながら自走する。
【0032】
また、自走式掃除機1は、図示しない充電台の信号通信部から出射される無線信号を受信して、たとえば掃除が終了した場合、充電池12の充電残量が少なくなった場合、あるいは設定された掃除タイマーの設定時間が経過した場合に、自動的に充電台に近づく方向に向かって、直線的な走行と回転動作、あるいは壁ぎわ走行などを繰り返して進行し、充電台まで帰還する。
ただし、障害物があれば、それを避けながら、充電台の方向へ移動する。
また、赤外線受信部18によって充電台から出力される赤外線信号を受信することにより、充電台への帰還処理と、充電台との接続処理とを行う。
【0033】
以下、
図1に示す各構成要素を説明する。
図1の制御部11は、掃除機1の各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の掃除機能、走行機能、制御機器地図生成機能などを実行する。
【0034】
制御機器地図生成機能とは、後述するように、位置決定部17によって決定された目標対象物の相対位置と、所定の基準点の位置とを用いて、所定の空間内に配置された目標対象物の存在する位置を示した制御機器地図を生成する機能である。
自走式掃除機の場合は、上記基準点は、自走式掃除機が充電池を充電するために帰還する充電台の配置位置とする。
【0035】
充電池12は、掃除機1の各機能要素に対して電力を供給する部分であり、主として、掃除機能および走行制御を行うための電力を供給する部分である。たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、Ni−Cd電池、などの充電池が用いられる。
充電池12の充電は、掃除機1と充電台とを接続した状態で行われる。
掃除機1と充電台との接続は、互いの接続部である露出した充電端子どうしを接触させることにより行う。
なお、図示しない電池残量検出部を備え、充電池の残りの容量(電池残量)を検出し、検出された電池残量(%)に基づいて、充電台の方へ帰還するべきか否かを判断し、帰還してもよい。
【0036】
走行制御部21は、自走式掃除機1の自律走行の制御をする部分であり、主として上記した車輪22の回転を制御して、主として直線走行および回転動作をさせることによって、自動的に移動させる部分である。左輪と右輪は、それぞれ異なる駆動用モータによって駆動される。
車輪22のうち2つの駆動輪(左輪、右輪)を駆動させることにより、掃除機1の前進、後退、回転、静止などの動作を行わせる。
【0037】
エンコーダ23は、左輪と右輪にそれぞれ設けられ、車輪の回転数や回転方向、回転位置、回転速度によって、所定の基準点からの自走式掃除機の移動距離を計測するものであり、上記した移動距離計測部に相当する。
角度検出部14は、いわゆるジャイロセンサであり、自走式掃除機1の進行方向の角度を検出するものである。ジャイロセンサ14から出力される信号に基づいて、基準となる方向からの角度が計算される。これにより、移動する方向が検出される。
たとえば、90度の左旋回をする場合は、ジャイロセンサの状態をチェックしながら、最初の角度位置から90度左方向に回転するように駆動用モータを制御して、静止した状態で、右輪と左輪とを互いに逆方向に回転させる。
また、ジャイロセンサ14は、この他に、移動制御の誤差の補正や姿勢の微調整にも用いられる。
【0038】
障害検知部13は、掃除機1が走行中に、室内の机やいすなどの障害物に接触又は近づいたことを検知する部分であり、たとえば、マイクロスイッチ、超音波センサ、赤外線測距センサなどからなる接触センサ又は障害物センサが用いられ、筐体2の側板2Cの前部に配置される。
CPUは、障害検知部13から出力された信号に基づいて、障害物の存在する位置を認識する。認識された障害物の位置情報に基づいて、その障害物を避けて次に走行すべき方向を決定する。
赤外線受信部18は、充電台から出力された赤外線信号を受信する部分である。
【0039】
集塵部33は、室内のゴミやちりを集める掃除機能を実行する部分であり、主として、図示しない集塵容器と、フィルタ部と、集塵容器およびフィルタ部を覆うカバー部とを備える。
また、吸気口31と連通する流入路と、排気口32と連通する排出路とを有し、吸気口31から吸い込まれた空気を流入路を介して集塵容器内に導き、集塵後の空気を排出路を介して排気口32から外部へ放出する。
吸気口31および排気口32は、それぞれ掃除のための空気の吸気および排気を行う部分であり、前記したような位置に形成される。
【0040】
入力部34は、ユーザが、掃除機1の動作を指示入力する部分であり、掃除機1の筐体表面に、操作パネル、あるいは操作ボタンとして設けられる。
あるいは、入力部34としては、掃除機本体とは別に、リモコンユニットを設け、ユーザがこのリモコンユニットに設けられた操作ボタンを押すことにより、赤外線や無線電波信号を送出し、無線通信により動作の指示入力をしてもよい。
入力部34として、電源スイッチ、起動スイッチ、主電源スイッチ、充電要求スイッチ、その他のスイッチ(運転モードスイッチ,タイマースイッチ)などが設けられる。
たとえば、自動走行中に、充電要求スイッチが押し下げられた場合に、充電台に帰還する必要があると判断し、帰還処理を実行する。
【0041】
図1の信号通信部15は、後述する測距デバイス100の信号通信部102や目標対象物である制御対象機器から送信された無線信号を受信(検出)する部分である。信号通信部15の素子としては、送信される無線信号を受信できる一般的な通信デバイスが利用できる。
以下の実施例では、測距デバイス100から送信される無線信号としては、たとえば、ブルートゥース ローエナジー(BLE:Bluetooth(登録商標) Low Energy)の規格で定められた信号を用いるものとする。以下、この無線信号を、BLE信号と呼ぶ。
測距デバイス100からBLE信号が送信される場合は、信号通信部15も、BLEによる通信が可能な受信デバイスが用いられる。この発明では、信号通信部15が受信したBLE信号の受信強度に基づいて、測距デバイス100までの距離(自走式掃除機1の現在位置と測距デバイスとの距離)を測定する。
【0042】
BLEは、今日、近距離無線通信の一つの通信方式として用いられるブルートゥースの新しい規格であり、2.4GHz帯の電波を利用した無線通信を行うものである。
BLEは、最大通信速度が1Mbpsであり、送信電力やアンテナ性能にもよるが数m〜数十mの通信が可能であり、省電力性を特徴とする。
この発明では、後述する測距デバイス100の信号通信部102から出力されるBLE信号を、信号通信部15によって受信することにより、信号通信部102と信号通信部15との距離Lを測定する。BLE信号を出力する信号通信部102は、測距デバイスの他に、充電台や、各制御対象機器110に設けてもよい。
【0043】
距離測定部16は、信号通信部15によって受信された無線信号に基づいて、測距デバイス100あるいは目標対象物である制御対象機器までの距離Lを測定する部分である。具体的には、電波の受信強度は距離の2乗に反比例することから、信号通信部15によって受信されたBLE信号を用い、BLE信号の受信強度を検出し、自走式掃除機1と測距デバイス100との距離Lを計算する。
たとえば、信号通信部102から出力されるBLE信号の予め定められた送信強度と、信号通信部14によって受信されたBLE信号の受信強度とから、信号の減衰率を求め、あらかじめ用意した減衰率と距離との関係を示すテーブルを参照するなどすることにより、減衰率に対応した上記距離Lを計算すればよい。
【0044】
また、BLE信号は、アンテナ形状等を工夫することにより、信号通信部102から、360度のあらゆる方向に送信される。
BLE信号は、回折現象で回り込むため、赤外線を遮るような障害物が、あったとしても、BLE信号を受信することができ、両者(1,100)間の距離を測定することができる。
【0045】
位置決定部17は、目標対象物である制御対象機器の相対位置を決定する部分である。この相対位置を決定するために、基準点である充電台に対する自走式電子機器の相対位置と、自走式電子機器から目標対象物までの測定距離を利用する。
まず、距離測定部16によって、所定の測定ポイントから目標対象物である制御対象機器までの測定距離を算出する。
次に、所定の基準点から距離測定部16によって距離の測定を行った測定ポイント(自走式電子機器の位置)までの移動距離と、ジャイロセンサ14によって検出された移動方向とを用いて、基準点からの自走式電子機器の相対位置を算出する。
上記のような測定距離と相対位置の算出を、複数の任意の測定ポイントで行う。
【0046】
その後、各測定ポイントの相対位置を円の中心とし、測定された距離(測定ポイントと目標対象物までの距離)を円の半径とする複数の円の円周が交差する交点の相対位置を、目標対象物である制御対象機器が存在する位置に決定する。
ここで、後述するように、測定ポイントは自動走行する移動ルート上の異なる3つ以上の位置とする。
また、この3つ以上の測定ポイントの相対位置を中心とする3つ以上の円の円周が交差する1つの交点の相対位置を、制御対象機器が存在する位置に決定する。
【0047】
図4に、この発明の距離測定と移動ルートの概略説明図を示す。
図4(a)において、長方形状の部屋150内に、充電台140と、自走式掃除機1と、制御対象機器110とが図に示すように配置されていたとする。
また、測距デバイス100は、持ち運びが容易な小型の機器であり、制御対象機器110の存在する位置に設置して使用する。あるいは、制御対象機器110の中に、内蔵させてもよい。
【0048】
部屋の左下に設置された充電台140の位置(x0,y0)をXY座標の原点(0,0)とし、この位置を基準点として、自走式掃除機1の現在位置(x1,y1)と、測距デバイス100の設置位置(x2,y2)の相対位置とを求める。
ここで、上記したエンコーダ23とジャイロセンサ14から得られた信号に基づいて、それぞれ移動距離と移動方向とが検出されるので、自走式掃除機1の現在位置(x1,y1)は、充電台140から現在位置まで走行してきた移動ルートの情報(移動距離、移動方向)を利用して、算出することができる。
【0049】
また、上記したように、測距デバイス100から出力されるBLE信号を、信号通信部15によって受信することにより、自走式掃除機1の信号通信部15から測距デバイス100の信号通信部102までの測定距離Lが算出される。
自走式掃除機1の現在位置の1ヶ所だけでは、測距デバイス100は、自走式掃除機1の現在位置を中心とし半径が測定距離Lの円の円周上のどこかに存在することしか分からないので、測距デバイス100が設置された制御対象機器110の位置を一意に特定することができない。
そこで、後述するように、自走式掃除機1が自走中に、複数の異なる測定ポイントで、上記のような測定距離Lの測定を行い、位置決定部17が、測定距離Lを半径とする複数の円の円周が交差する1つの交点の位置座標(x2,y2)を算出する。
この設置位置(x2,y2)を、測距デバイス100の設置位置、すなわち、制御対象機器110の配置位置に決定する。
【0050】
図1のコマンド受信部51は、自走式掃除機1の動作を制御する機器(たとえば、赤外線リモコン、スマートホン等の携帯端末)から出力された制御コマンドを受信する部分である。制御コマンドとしては、たとえば、自走式掃除機1の起動コマンド、停止コマンド、移動コマンド、制御対象機器に対する遠隔制御コマンドなどがある。
コマンド受信部51によって受信された制御コマンドの内容を解析することによって、自走式掃除機のその後の動作が決定される。
【0051】
制御信号送信部52は、制御対象機器110の動作を遠隔制御するための制御信号を送信する部分である。制御信号としては、たとえば、赤外線信号が用いられ、制御対象機器110の起動(電源ON)、停止(電源OFF)、運転開始、運転終了、動作モード変更などを意味する信号が出力される。
赤外線信号が用いられる場合、赤外線には指向性があり届く範囲が限定されているので、自走式掃除機1が、制御対象機器110の近傍まで自走した後に、後述する制御対象機器110の制御信号受信部112のある方向に向けて、制御信号が出力される。
【0052】
図4(b)に自走式掃除機1の移動ルートと、制御対象機器110の制御の一実施例についての説明図を示す。
図4(b)において、破線は、自走式掃除機1の移動ルートを示している。ここでは、充電台140から走行を初めて、制御対象機器110の近傍まで移動するルートの一例を示している。
ここで、自走式掃除機1は、制御信号送信部52から送信される赤外線信号が、制御対象機器110の制御信号受信部112に受信されるような位置まで移動するものとする。
自走式掃除機1が、制御対象機器110の近傍まで移動してきた場合、その位置で静止して、上記のような制御信号を、制御信号受信部112に向けて出力する。
これによって、制御対象機器110は、制御信号を受信すると、受信した制御信号に対応した機能を実行する。
【0053】
記憶部41は、自走式掃除機1の各種機能を実現するために必要な情報や、プログラムを記憶する部分であり、RAMやROM等の半導体記憶素子、ハードディスク、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部41には、主として、現在測定位置42、機器測定距離43、機器識別情報44、機器位置情報45、制御機器地
図46、移動ルート47などが記憶される。
【0054】
図5に、この発明の記憶部41に記憶される情報の一実施例の説明図を示す。
図5(a)に、自走式掃除機1で測定される測定情報の一実施例を示す。ここでは、現在測定位置42と、機器測定距離43の一実施例を示している。
図7に、この発明の自走式掃除機1の走行ルートと測定位置の一実施例の説明図を示す。
図7では、1つの部屋内に設置された充電台と、制御対象機器であるテレビ(TV)と、測距デバイスとの位置を示し、矢印付の実線は、自走式掃除機の移動ルートを示し、星印は、測距デバイスまでの距離を測定する測定ポイントを示している。
【0055】
図5(a)の現在測定位置42の4つの測定ポイント(P1〜P4)は、
図7に示した星印の4つの位置に対応している。
図7では、充電台のある位置を基準位置(0,0)として、4つの星印の位置の相対位置座標を示している。
【0056】
たとえば、
図7の第1の測定ポイントP1の位置座標(120,900)は、充電台(0,0)を基準とした場合、XY座標の横軸であるX軸方向に+120cm、縦軸であるY軸方向に+900cmの位置であることを意味する。
第2の測定ポイントP2(420,810)は、X軸方向に+420cm、Y軸方向に+810cmの位置であることを示している。
このような測定ポイントの位置座標は、上記したエンコー
ダ23とジャイロセンサ14から取得された信号を解析し、自走式掃除機1が移動した距離と移動方向とから算出することができる。
【0057】
また、
図5(a)の機器測定距離43は、各測定ポイントにおける自走式掃除機1の現在位置から測距デバイス100までの直線距離を示している。
たとえば、測定ポイントP1では、自走式掃除機1の現在位置から測距デバイス100までの直線距離が、600cmであることを意味する。
この直線距離は、上記した距離測定部16によって計算された機器測定距離43に相当する。
【0058】
図5(a)では、4つの測定ポイント(P1〜P4)におけるその相対位置座標(現在測定位置42)と、測距デバイス100までの機器測定距離43を示しているが、この4つの限るものではなく、移動ルートにおける任意の測定ポイントで測定すればよい。
また、測定ポイントの数は、測距デバイスの位置を特定する精度を上げるためには、できるだけ多い方がよい。測定ポイントは、少なくとも3つ以上が必要であり、
図5(a)に示すように、3つあるいは4つの測定ポイントで測定すれば十分である。
【0059】
図5(b)は、機器識別情報44の一実施例を示している。
機器識別情報44は、測距デバイス識別情報と、機器情報とからなり、複数の制御対象機器110を区別するための情報(属性)を示したものである。
図5(b)では、たとえば、2つの測距デバイスがある場合を示しており、各測距デバイスが設置されている位置にある制御対象機器の名称が、予め設定記憶されている。
たとえば、測距デバイスを区別する識別情報がID01であり、その測距デバイスが設置されている制御対象機器の名称がテレビであることを意味する。
このような機器識別情報44を利用することにより、部屋に設置された複数の制御対象機器の位置を明確に区別して、所望の制御対象機器の制御が可能となる。
機器情報としては、機器名称の他に、商品コードや識別IDを用いてもよい。
【0060】
図5(c)は、機器位置情報45の一実施例を示している。
機器位置情報45は、機器識別情報44と、位置決定部17によって決定された複数の目標対象物の相対位置とを対応づけた情報であり、各目標対象物の相対位置が決定された後に、記憶部41に記憶される。
また、既存の目標対象物についての機器位置情報45が記憶部41に記憶されている状態において、位置決定部17によって、新たに設置された目標対象物の相対位置が決定された場合、その決定された目標対象物の相対位置が、機器位置情報45に追加記憶される。
後述する制御機器地
図46は、たとえば、
図4や
図11に示すような制御対象機器の配置マップであるが、この機器位置情報45に基づいて生成される。
【0061】
図5(c)では、機器位置情報45として、測距デバイスの識別情報と、基準点(充電台)から求めた制御対象機器110の相対位置(X,Y)と、各制御対象機器110の機器情報(機器名称)とからなるものを示している。
ここでは、3つの測距デバイス(ID01,ID02,ID03)を利用し、各測距デバイスを、それぞれ3つの異なる制御対象機器に設置して、距離測定をした場合を示している。
図5(c)には、3つの制御対象機器の位置情報45を示している。
たとえば、測距デバイスID01を設置した位置に配置されている制御対象機器の相対位置は(X,Y)=(+500,+960)であり、その制御対象機器の名称はテレビであることを示している。
この相対位置は、
図5(a)に示した測定情報(42,43)を用いて、複数の円の円周の交差点の座標を算出することにより、後述するような方法で、求められる。
【0062】
ただし、1つの部屋に、1つしか制御対象機器が存在しない場合は、上記のような機器識別情報44を設定しておく必要はない。
また、1つの部屋に、複数の制御対象機器が存在する場合、各制御対象機器の相対位置が決定された後に、
図5(c)のように、その相対位置の情報と制御対象機器の属性(たとえば、機器名称)とを対応付けて記憶すればよく、必ずしも、測距デバイスの識別情報と、機器名称とを予め対応づけなくてもよい。
【0063】
すなわち、たとえば、測距デバイス100が1つしかない場合、まず複数の制御対象機器のうちいずれかの制御対象機器のところに測距デバイスを設置しておき、自走式掃除機1を移動させて、
図5(a)の測定情報を測定して、その制御対象機器の相対位置を決定した後、その決定した相対位置座標と、制御対象機器の名称とを対応づけて記憶させる。
次に、同じ測距デバイスを別の制御対象機器の位置のところに設置し直して、同様の測定情報を測定して、その制御対象機器の相対位置を決定した後、その位置座標と、制御対象機器の名称とを対応づけて記憶させればよい。
【0064】
したがって、複数の制御対象機器の相対位置を算出するためには、複数の測距デバイスを、各制御対象機器の位置にそれぞれ設置して、同時にすべての制御対象機器の位置を決定してもよいが、1つの測距デバイスのみを用いて、その測距デバイスを設置する位置を、各制御対象機器の位置に置き直して順番に1つずつ制御対象機器の位置を決定してもよい。
【0065】
制御機器地
図46は、所定の空間内に配置された目標対象物の存在する位置を示したものである。
図6に、制御機器地図(マップ)46の座標の概略説明図を示す。
ここで、XY座標のとり方と、充電台140のある位置を基準(0,0)とすることは、
図4に示したものと同一である。
ただし、
図4に示した部屋150の空間は、便宜上
図6の右上領域(X>0,Y>0)として示したが、
自走式掃除機1が移動する空間としては、基準点(0,0)から見て、
図6のXY座標の左上、左下、右下の領域(部屋)が存在する場合がある。
したがって、制御機器地図(マップ)46としては、
図4に示したような座標空間のみならず、4つの座標空間を対象として生成することが好ましい。
充電台を中心として、4つの座標空間に配置された制御対象機器の位置を示したマップを生成することにより、そのマップの中に含まれるすべての機器を制御対象とすることができる。
【0066】
図1の移動ルート47は、自走式掃除機1が実際に移動したルートを記憶したものである。
この移動ルート47は、エンコーダ23とジャイロセンサ14とから取得された情報から生成できる。
また、制御対象機器の基準点からの相対位置が決定された後、その制御対象機器へ移動する指示入力があった場合に、前記相対位置と、移動ルートから算出された自走式掃除機の基準点からの相対位置との情報を用いて、制御対象機器の近傍へ行く移動ルートを自動生成した後、その移動ルートも一時記憶してもよい。
【0067】
また、自走式掃除機1には、図示しない充電台接続部が設けられる。
充電台接続部は、充電池12を充電させるための電力を入力するための端子である。
この充電台接続部と、充電台140に設けられた掃除機接続部とを物理的に接触させることにより、充電台140の電力供給部から与えられる電力を、充電池12に供給し充電する。充電台接続部は、掃除機1本体の側面に露出した状態で形成される。
【0068】
さらに、自走式掃除機1は、以上のような構成に加えて、他にも必要な構成や機能を備えてもよい。
たとえば、超音波センサを設けてもよい。超音波センサは、部屋の壁や机などの対象物までの距離を検出するものであり、超音波を発信する送波器と、対象物からの反射波を受信する受波器とから構成される。超音波センサは、主として、壁などの障害物までの距離の測定に用いられる。
また、掃除中あるいは静止状態において、イオンを発生する構成(イオン発生器)を備えて、除菌や消臭(または脱臭)を行うようにしてもよい。
また、掃除処理を実行する時間を設定するタイマースイッチを設け、タイマースイッチの入(ON)操作がされた場合には、予め設定された時間(たとえば60分間)のカウントを開始し、その設定時間が経過するまで掃除処理を実行するようにしてもよい。
この設定時間が経過した後は、掃除処理を中止し、自動的に充電台に帰還するようにしてもよい。
【0069】
<測距デバイスの構成>
図1において、測距デバイス100は、主として、制御部101,信号通信部102,記憶部103とを備える。
測距デバイス100は、上記したように、自走式掃除機1との距離を測定したい制御対象機器110の配置位置の近傍に設置され、その距離を測定するためにBLE信号を送信するものである。あるいは、制御対象機器や充電台に内蔵してもよい。
測距デバイス100は、制御対象機器の近傍に設置されるため、上記した目標対象物に相当するとみなしてもよい。
【0070】
したがって、位置決定部17が測距デバイス100の相対位置を決定した後、その測距デバイスの相対位置を、対応する制御対象機器の配置位置とみなすものとする。
決定された測距デバイスの相対位置を利用して、制御対象機器の存在する位置を示した制御機器地
図46が生成される。
自走式掃除機の場合、自動走行を行って掃除機能を実行中に、自動走行した移動ルートの複数の測定ポイントにおいて測定された測距デバイス100までの距離と、基準点である充電台からの測定ポイントの相対位置とを用いて、測距デバイスの相対位置が決定される。
【0071】
制御部101は、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等からなるマイクロコンピュータにより実現でき、ROM等に記憶されたプログラムによって、BLE信号の送信機能などの所定の機能を実行する部分である。
信号通信部102は、無線信号を送信する部分であり、特に、BLE信号を送信するためのBLE送信デバイスとアンテナ等からなる。
【0072】
記憶部103は、BLE信号の送信などに必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM,RAMあるいはフラッシュメモリなどの半導体記憶素子や、HDDなどの記憶装置が用いられる。
記憶部103には、たとえば、測距デバイス100を区別するための識別情報が記憶される。
測距デバイス100を、同時に複数台使用する場合は、測距デバイスごとに異なる識別情報を予め設定記憶させておき、信号通信部102から出力されるBLE信号にそれぞれ固有の識別情報を含めることによって、信号通信部15によって受信したBLE信号が、どの測距デバイス100から送られてきたものかを区別することができる。
ただし、この識別情報は、抵抗素子やDIPスイッチ等のハードウェアを用いて、任意に設定できるようにしてもよい。
【0073】
<制御対象機器の構成>
図1において、制御対象機器110は、主として、制御部111,制御信号受信部112,機能実行部113,記憶部114とを備える。
また、測距デバイスの信号通信部102と同様に、BLE信号を送信する構成を備えてもよい。
制御対象機器110は、上記したように、自走式掃除機1から送信される制御信号に基づいて、その動作が遠隔制御される目標対象物であり、たとえば、テレビ、エアコンなどの電気機器である。
制御信号受信部112によって受信された制御信号に対応した指示を、制御部111が機能実行部113に与えることにより、制御対象機器110の動作が制御される。
制御部111は、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等からなるマイクロコンピュータにより実現できる。
制御信号受信部112は、自走式掃除機1の制御信号送信部52から出力された制御信号を受信する部分であり、たとえば、制御信号が赤外線の場合、赤外線受光素子が用いられる。
【0074】
機能実行部113は、制御対象機器110が有する機能を実行させる部分であり、制御部111からの指示により所定のプログラムを起動させて、その指示に基づく機能を実行させる。
たとえば、制御対象機器がテレビの場合、電源の投入(ON)、電源の切断(OFF)、チャンネルの切り替えなどの機能を実行する。
記憶部114は、機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM,RAM,フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDDなどの記憶装置が用いられる。
記憶部114には、たとえば、制御対象機器を特定するための識別情報(名称、製造番号など)が記憶される。
【0075】
また、制御対象機器110に、上記した測距デバイス100と同等の構成を内蔵してもよい。すなわち、BLE信号を送信するための構成およびプログラム等を、予め制御対象機器110に備えてもよい。
この場合、制御対象機器の配置位置を求めるために、専用の測距デバイス100を、その制御対象機器110のところに設置する必要はない。
制御対象機器110が停止状態でも、常に測距用の信号を発信可能な状態としておくことによって、制御対象機器110の配置位置が変更された場合などにおいて、定期的な清掃処理をするために自走式掃除機1を自走させることによって、変更後の位置を設定するためだけの特別な操作や処理をすることなく、制御対象機器110の変更後の位置を決定することができる。
【0076】
<制御対象機器の位置決定処理>
図7から
図10を用いて、制御対象機器の位置を決定し、制御機器地図を生成する処理の一実施例について、説明する。
ここでは、
図7に示すように、自走式掃除機1を、任意の移動ルートで自走させ、少なくとも3つ以上の測定ポイントで、位置を決定したい制御対象機器110のところに設置された測距デバイス100までの距離を測定して、3つ以上の測定距離と測定ポイントの相対座標とを用いて、測距デバイスの設置位置を算出する。
また算出された測距デバイス100の相対位置を、設置された制御対象機器の相対位置とみなすものとする。
自走式掃除機1の測定ポイントの位置(基準点(0,0)からの相対位置)を求める必要があるが、自走式掃除機1は、基準点である充電台から移動を開始する必要はなく、移動ルートも予め設定されたルートを常に走行する必要はない。
自走式掃除機1の現在位置の基準点に対する相対座標が算出できればよく、任意の現在位置から走行を開始し、任意の移動ルートを走行すればよい。
【0077】
(1)測距デバイスの設置
まず、新たに配置した制御対象機器、あるいは配置を変更した制御対象機器など、その位置を決定して自走式掃除機1に記憶させたい制御対象機器110の近傍に、測距デバイス100を置く。
(2)測距デバイスの識別情報の記憶
次に、その測距デバイス100の識別情報を、自走式掃除機1に記憶させる。
測距デバイス100の識別情報は、予め記憶部41に記憶しておいてもよいが、測距デバイス100から、自走式掃除機1に測距デバイスの識別情報を送信して自動的に設定してもよい。
このとき、識別情報そのものに予め意味を持たせて、専用識別子として利用してもよい。
たとえば、識別情報がゼロの場合はテレビを意味し、1の場合はエアコンを意味するものと予め定めておけばよい。
あるいは、識別情報そのものは、汎用識別子とし、測距デバイスを区別する番号としてのみ利用してもよい。この場合は、ユーザが、入力部を利用して、識別情報と、その測距デバイスに対応する制御機器の名称(あるいは種別)とを関係付ける設定を、DIPスイッチ等を用いて手動ですればよい。
【0078】
(3)自走式掃除機の自動走行
自走式掃除機1を自動走行による清掃モードにして、部屋を移動しながら清掃作業を開始させる。
移動ルートや移動スピードは任意でよい。
(4)自動走行中に距離測定
自走式掃除機1の移動中に、任意のタイミングで、少なくとも3つ以上の測定ポイントで、測距デバイス100から出力されたBLE信号を受信して、各測定ポイントから測距デバイス100までの距離測定を行う。
また、上記したように、エンコーダ23、ジャイロセンサ14から取得した情報を利用して、各測定ポイントについて、基準点である充電台からの相対位置を算出する。
【0079】
3つ以上の測定ポイントは、異なる位置であればよく、いつも同じ位置である必要はなく、ランダムな位置でよい。
ただし、移動するスピードに対応して、一定時間ごとに、測定ポイントを設定してもよい。また、一定距離を移動するごとに、測定ポイントを設定してもよい。
たとえば、自走式掃除機が、
図7に示したような移動ルートを走行する場合、4つの測定ポイントで、距離測定を行う。また、測定ポイントの相対位置も算出する。
この4つの測定ポイントで測定した結果の一実施例が、
図5(a)に示した測定情報である。
【0080】
図8に、第1の測定ポイント(120,900)における自走式掃除機1と測距デバイス100との位置関係を示す。
測定された距離600cmは、測定ポイントと測距デバイス100との直線距離を示している。しかし、この1つの測定距離だけでは、測距デバイス100の位置を一意に決定することができない。
図8に示すように、測定ポイントを中心とする半径が測定距離(600cm)の円の円周上のどこかに、測距デバイスが存在することがわかるだけである。
この円は、後述するように、測距デバイス100の位置の決定に用いる。
【0081】
(5)測距デバイスの位置決定
図9と
図10に、各測定ポイントにおける測定距離の説明図を示す。
図9(a)は、
図8と同様に、第1の測定ポイントP1と、測距デバイス100との間の測定距離L1を示している。測定ポイントP1を中心とし、測定距離L1を半径とする円をR1とする。
図5(a)の測定情報により、円R1は、半径L1=600cmの円である。
図9(b)は、
図9(a)に加えて、第2の測定ポイントP2と測距デバイス100との間の測定距離L2を示している。
ここで、測定ポイントP2を中心とし、測定距離L2を半径とする円をR2とする。
円R2の半径は、
図5(a)より、360cmであったとする。
この2つの円(R1,R2)は、2つの交点で交差しているが、測距デバイス100は、2つの円の円周上に存在することがわかるだけで、どちらの交点に存在するかは、まだ不明である。
【0082】
図10(a)は、
図9(b)に加えて、さらに、第3の測定ポイントP3と、測距デバイス100との間の測定距離L3を示している。
ここで、測定ポイントP3を中心とし、測定距離L3を半径とする円をR3とする。
円R3の半径は、
図5(a)より、510cmであったとする。
図10(a)に示すように、3つの円(R1,R2,R3)は、それぞれ互いに複数の交点で交差するが、3つの円が1つの交点で交差する場合があれば、その交点が、測距デバイス100が存在する位置として決定することができる。
図10(a)では、3つの円が交差する点の位置が、測距デバイス100の設置位置を示している。
この交差点の位置座標は、基準点を原点(0,0)とするXY座標において、3つの円を示す数式を利用して、算数演算によって求めることができる。
【0083】
図10(b)は、
図10(a)に加えて、さらに、第4の測定ポイントP4と、測距デバイス100との間の測定距離L4を示している。
ここで、測定ポイントP4を中心とし、測定距離L4を半径とする円をR4とする。
円R4の半径は、
図5(a)より、70cmであったとする。
図10(b)に示すように、4つの円(R1〜R4)が1つの交点で交差する点が、測距デバイス100が存在する位置となる。
すでに、
図10(a)のように3つの円を利用して測距デバイス100の位置を決定することができるが、
図10(b)のように、3つ以上の円を用いて交点を求めることにより、測距デバイス100の位置の精度を向上させることができる。
すなわち、測定ポイントの数を増やして、さらに5つ以上の測定ポイントを設けることにより、より高精度で測距デバイス100の設置位置を特定することができる。
【0084】
上記のように、
図10(a)あるいは
図10(b)に示した3つあるいは4つの円の交点を求めることにより、測距デバイス100の設置位置の相対座標(X,Y)が求められる。
たとえば、
図5(c)の機器位置情報45に示すように、測距デバイス100の識別情報をID01とすると、その相対位置の座標は、(500,960)として算出され、記憶される。この測距デバイス100が、制御対象機器であるテレビの近傍に設置されていたとすると、テレビの配置位置の相対座標は、測距デバイス100の相対座標(500,960)に決定される。すなわち、測距デバイス100の相対位置は、制御対象機器110の配置位置として記憶される。
【0085】
図5(b)のように、機器識別情報44が予め設定されていれば、機器位置情報45に、ID01に対応づけて、機器情報としてテレビが記憶される。
ただし、制御対象機器が1つしかない場合は、機器識別情報44を予め設定する必要はないので、機器位置情報45に機器情報を記憶しなくてもよい。
このようにして求められた機器位置情報45に基づいて、自動的に制御機器地図(マップ)46が生成される。すなわち、決定された制御対象機器110の相対位置と、基準点の位置とを用いて、所定の空間(部屋)の中に制御対象機器110を配置した地図が生成される。
【0086】
また、複数の測距デバイス100を用いて、同時に複数の制御対象機器の位置決定をしてもよい。たとえば、
図5(c)に示すように、各測距デバイスの相対位置と対応させて、複数の制御対象機器の相対位置を決定することができる。
複数の測距デバイス100を用いる場合は、自走式掃除機1が、移動して部屋の中を1回だけ清掃作業をする間に、自動的に、測距デバイスの数と同数の制御対象機器の位置測定ができ、容易に、比較的短時間で、複数の制御対象機器を含む地
図46を生成できる。
したがって、制御対象機器の位置決定や、制御機器地
図46の生成をするために、ユーザが自ら複雑な設定入力操作をする必要はない。
【0087】
(6)制御対象機器に対する制御処理
上記のように、部屋内の制御対象機器の配置位置が記憶された後、ユーザは、制御対象機器の存在する部屋の中に入らなくても、自己が所持する携帯端末などを用いて、自走式掃除機1に対して、所望の制御対象機器に対する制御コマンドを送信するための入力操作をすることによって、その制御対象機器を制御できる。
【0088】
たとえば、ユーザが、携帯端末で、エアコンの電源を投入するための入力操作をしたとする。この入力操作は、エアコンが設置されている室内で行う必要はなく、自走式掃除機1に制御コマンドが届く範囲内で行えばよい。
これにより、エアコンの電源を投入することを意味する制御コマンド(電源投入コマンド)を含む無線信号が、携帯端末から自走式掃除機1に送信される。
自走式掃除機1のコマンド受信部51が、この制御コマンドを受信すると、記憶部41に記憶されている機器位置情報45あるいは制御機器地
図46を用いて、受信した制御コマンドから、制御すべき機器(エアコン)を特定し、その特定した機器の相対位置を調べる。
【0089】
その後、制御対象機器(エアコン)の相対位置の情報を利用して、制御機器地
図46上において、自走式掃除機1の現在位置から、制御対象機器(エアコン)の近傍までの自走式掃除機1の移動ルートを設定する。
自走式掃除機1は、この設定された移動ルートに基づいて、移動を開始する。
制御対象機器(エアコン)の近傍までくると、自走式掃除機1の制御信号送信部52は、受信した制御コマンドに対応した制御信号(電源投入)を、制御対象機器(エアコン)の方向に向けて送信する。
制御対象機器(エアコン)の制御信号受信部112が、制御信号を受信することによって、機能実行部113が、その制御信号に対応した機能(電源投入)を実行する。
【0090】
<実施形態のまとめとその他の実施形態>
(a)まず、上記したように、1台の測距デバイス100を用いて、1つの部屋に配置された複数台の制御対象機器の位置を決定する実施形態がある。(実施の形態1)
この場合は、測距デバイスを1つだけ用意すればよいが、ユーザが、測距デバイスを位置測定を行いたい制御対象機器のところにその都度設置し直す必要があり、複数の制御対象機器の位置の決定を順番に行い、自走式掃除機1の自動走行も、制御対象機器の数だけ行う必要がある。ただし、ユーザが制御対象機器の位置決定や地図作成のために複雑な入力作業をする必要はない。
【0091】
(b)また、上記したように、複数台の測距デバイス100を用いて、測距デバイスの識別情報と測距デバイスを設置する制御対象機器の機器情報とを予め対応づけて記憶しておくことによって、ほぼ同時に、1つの部屋に配置された複数台の制御対象機器の位置を決定する実施形態がある。(実施の形態2)
この場合は、各測距デバイスをそれぞれ対応する制御対象機器のところに設置しておく必要があるが、自走式掃除機1を1回だけ自動走行させるだけで、測距デバイスの数に相当する数の制御対象機器の位置を決定することができる。
【0092】
(c)測距デバイスの構成を、各制御対象機器の中に内蔵する実施形態もある。(実施の形態3)
この場合、自走式掃除機1が、基準点である充電台の位置にいる場合、すなわち、自走式掃除機1が充電中の場合、各制御対象機器が、現在記憶されている位置と同じ位置に存在するか否かを確認することができる。
【0093】
図11(a)に、充電台からの距離を測定する実施例の説明図を示す。
自走式掃除機1の信号通信部15が、各制御対象機器に内蔵された測距デバイスの信号通信部102から出力されるBLE信号を受信し、距離測定部16によって、各制御対象機器の信号通信部までの距離を測定する。
図11(a)のように、各制御対象機器までの測定距離(L10,L20,L30)が測定されると、それらの距離は、自走式掃除機がいる充電台からの直線距離にほぼ等しいと考えられるので、この測定距離と、すでに記憶部41に記憶されている現在の機器位置情報45の相対位置から求められる基準点からの直線距離と比較する。
この比較により、両者の距離が一致すれば、制御対象機器の位置の変更はないが、大きくずれている場合は、制御対象機器の位置が異なっていると判断できる。
したがって、制御対象機器の存在する現在位置が、すでに記憶されている位置と異なると判断された場合は、上記したような位置決定処理を再度実施することによって、現在位置を再設定すればよい。
【0094】
(d)基準点となる充電台の位置が変更された場合、再度、変更後の充電台からの各制御対象機器の相対位置を求め、制御機器地図を作成し直す必要がある。(実施の形態4)
図11(b)に、充電台からの距離を測定し直す場合の実施例の説明図を示す。
図11(b)のように充電台の設置位置が変更された場合、変更後の充電台の位置は基準点(0,0)とは異なるため、各制御対象機器の充電台を基準とした相対位置関係が変化する。
そこで、基準点(0,0)を基準とした変更後の充電台自身の相対位置を求める必要がある。
充電台の相対位置を求めるためには、3つ以上の制御対象機器の配置位置がすでに記憶されていることが好ましい。
【0095】
たとえば、自走式掃除機1が充電台に接続された状態で、
図11(a)と同様の方法で、自走式掃除機1と、各制御対象機器に内蔵された測距デバイス100との間の距離(L11,L21,L31)を測定する。
図11(b)において、各制御対象機器の配置位置が変更されていないとすると、各制御対象機器の測距デバイス100の相対位置を中心とし、各測定距離(L11,L21,L31)を半径とする円の交差点の相対位置を算出する。
図11(b)では、半径L11の円と、半径L21の円と、半径L31の円とがすべて交差する点の位置座標が、自走式掃除機1の存在する位置と決定される。
自走式掃除機1は、充電台に接続されているので、自走式掃除機1の相対位置を、変更後の充電台の相対位置とみなすことができる。
【0096】
(e)自走式掃除機1を自動走行させることによって、既存の制御対象機器についての機器位置情報45がすでに記憶部41に記憶されている場合において、制御対象機器の位置が変化していないかどうかを調べるために、一定期間をあけて、自動走行を行わせることによって、再度、既存の制御対象機器の相対位置の決定を行ってもよい。(実施の形態5)
このとき、記憶部に記憶されていた前回の機器位置情報45と、再度行った位置決定による同一の制御対象機器の相対位置を含む機器位置情報とが異なる場合、その制御対象機器の相対位置を変更すればよい。
あるいは、既存の複数の制御対象機器の相対位置がすべてずれているような場合は、充電台の位置が変化している可能性もあるので、基準点となる充電台の位置を変更する処理をしてもよい。
【0097】
(f)自走式掃除機1が移動中において、任意の3つ以上の測定ポイントにおいて、各制御対象機器の測距デバイスとの距離の測定を行うようにして、新たに測定された測定距離が、すでに記憶されている制御対象機器の相対位置を示すものではなくなっている場合は、ユーザに、制御対象機器の配置位置が変更されている旨や、制御対象機器に対する正常な遠隔制御ができなくなっている旨の通知を、音声や表示などの方法で行ってもよい。(実施の形態6)
この場合は、相対位置が正常でない制御対象機器について、記憶部41に記憶されている機器位置情報45を削除して、再度距離測定をやり直して、その制御対象機器の配置位置を決定してもよい。
たとえば、1つの制御対象機器の位置が変化したことを検出した場合は、その制御対象機器の情報を削除し、更新すればよい。
また、複数の制御対象機器の位置が変化したことを検出した場合は、すべての情報を消去して、更新してもよい。
あるいは、ユーザが入力部を用いて情報の消去指示を入力した場合も、全情報を消去すればよい。