【実施例】
【0013】
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例による自動保守診断機能付き発電装置を機能実現手段で現したブロック図である。
本実施例による自動保守診断機能付き発電装置は、商用電源Aからの電力供給が停止している停電状態にあるときに電力供給を行う非常用発電手段10と、非常用発電手段10の保守点検を行う自動保守診断手段20とを備えている。
図1では、1つの非常用発電手段10に対応して1つの自動保守診断手段20を示しているが、複数の非常用発電手段10に対して1つの自動保守診断手段20とすることで、非常用発電手段10の設置台数が増えることによる、保守点検にかかる時間とコストの低減を図ることができる。
また、
図1では、特に通信制御についての機能を示していないが、非常用発電手段10と自動保守診断手段20とは通信手段を備えて、非常用発電手段10の設置場所から離れた場所に自動保守診断手段20を設置できる。
【0014】
非常用発電手段10は、発電機器30と、停電状態を検出する停電検出手段11と、停電検出手段11が停電状態を検出しているとき、発電機器30を動作させる内燃機関制御手段12と、商用電源Aからの電力供給と発電機器30から電力供給とを切り替える電源切替手段13とを備えている。
発電機器30は、発電用電動機31と、発電用電動機31を駆動する内燃機関32とから構成されている。
非常用発電手段10は、発電用電動機31からの電圧を検出する電圧検出手段14と、発電用電動機31からの周波数を検出する周波数検出手段15と、発電用電動機31及び内燃機関32の振動を検出する振動検出手段16とを有している。
【0015】
電圧検出手段14で検出される電圧、周波数検出手段15で検出される周波数、及び振動検出手段16で検出される振動は、監視手段17にて監視される。
監視手段17は、停電検出手段11で停電を検出した後、所定電圧、所定周波数に到達したことを判断すると電源切替手段13の切替動作を行う。このように、電源切替手段13では、電圧検出手段14で検出される電圧が所定電圧を越えた後に、発電用電動機31からの電力供給に切り替えることが好ましい。また、電源切替手段13での切り替えは、電圧検出手段14で検出される電圧に代えて周波数検出手段15で検出される周波数が所定周波数を超えた後に行ってもよい。また、電源切替手段13での切り替えは、電圧検出手段14で検出される電圧が所定電圧を越え、周波数検出手段15で検出される周波数が所定周波数を超えた後に行ってもよい。
また、監視手段17は、電圧又は周波数が異常であることを判断すると、内燃機関制御手段12によって内燃機関32を停止させる。
【0016】
自動保守診断手段20は、非常用発電手段10の点検動作を指示する点検動作指示手段21と、点検動作指示手段21での指示によって内燃機関制御手段12を起動させる発電機始動手段22とを備えている。
点検動作指示手段21は、キーボードなどの入力手段であり、この入力手段による操作によって動作指示を行うものでもよいが、あらかじめ保守点検日時を記憶手段に記憶させ、記憶手段に記憶された保守点検日時に動作指示を出力する制御手段で実現することもできる。
【0017】
本実施例では、非常用発電手段10の運転状態の良否を診断する診断手段40として、電圧診断手段41と、周波数診断手段42と、振動診断手段43とを備えている。
電圧診断手段41は、電圧検出手段14で検出される電圧を、あらかじめ閾値記憶手段23に記憶した閾値と比較して非常用発電手段10の運転状態の良否を診断する。電圧閾値として、第1の電圧閾値と、第1の電圧閾値よりも高い値の第2の電圧閾値とをあらかじめ閾値記憶手段23に記憶させ、検出される電圧が第1の電圧閾値以下であれば良好であると診断し、検出される電圧が第1の電圧閾値より高く第2の電圧閾値より低ければ注意が必要であると診断し、検出される電圧が第2の電圧閾値以上であれば危険であると診断する。
周波数診断手段42は、周波数検出手段15で検出される周波数をあらかじめ閾値記憶手段23に記憶した閾値と比較して非常用発電手段10の運転状態の良否を診断する。周波数閾値として、第1の周波数閾値と、第1の周波数閾値よりも高い値の第2の周波数閾値とをあらかじめ閾値記憶手段23に記憶させ、検出される周波数が第1の周波数閾値以下であれば良好であると診断し、検出される周波数が第1の周波数閾値より高く第2の周波数閾値より低ければ注意が必要であると診断し、検出される周波数が第2の周波数閾値以上であれば危険であると診断する。
振動診断手段43は、振動検出手段16で検出される振動をあらかじめ閾値記憶手段23に記憶した閾値と比較して非常用発電手段10の運転状態の良否を診断する。振動閾値として、第1の振動閾値と、第1の振動閾値よりも高い値の第2の振動閾値とをあらかじめ閾値記憶手段23に記憶させ、検出される振動が第1の振動閾値以下であれば良好であると診断し、検出される振動が第1の振動閾値より高く第2の振動閾値より低ければ注意が必要であると診断し、検出される振動が第2の振動閾値以上であれば危険であると診断する。
閾値記憶手段23に記憶されるそれぞれの閾値は、閾値設定手段25によってあらかじめ設定されている。
【0018】
診断手段40での診断は、内燃機関32の動作開始から所定時間が経過した後、内燃機関32の回転数が所定回転数に到達した後、発電用電動機31からの電圧が所定電圧に到達した後、又は発電用電動機31からの周波数が所定周波数に到達した後に行う。
状態表示手段24は、電圧検出手段14で検出される電圧、周波数検出手段15で検出される周波数、及び振動検出手段16で検出される振動の値とともに、診断手段40での診断結果を表示する。
状態表示手段24での診断結果の表示は、内燃機関32の動作開始から所定時間が経過した後、内燃機関32の回転数が所定回転数に到達した後、発電用電動機31からの電圧が所定電圧に到達した後、又は発電用電動機31からの周波数が所定周波数に到達した後に行う。
【0019】
以上のように、診断手段40での診断又は状態表示手段24での表示を、内燃機関32の動作開始から所定時間が経過した後、内燃機関32の回転数が所定回転数に到達した後、発電用電動機31からの電圧が所定電圧に到達した後、又は発電用電動機31からの周波数が所定周波数に到達した後に行うことで、点検動作指示手段21での指示によって保守点検のために内燃機関32を起動し、保守点検時に、内燃機関32が定常運転に入るまでに生じえる電圧、周波数、又は振動による誤診断を防止して、内燃機関32の定常運転時における異常状態を正しく診断できる。
また、診断手段40での診断又は状態表示手段24での表示は、電源切替手段13によって発電用電動機31からの電力供給に切り替えた後に行うことで、電源切替動作を含めた実状運転時における異常状態を正しく検出して状態を監視することができる。
【0020】
図2は本発明の一実施例による発電装置の保守診断方法を示す図である。
図2において、横軸は時間経過を示し、縦軸に発電用電動機31又は内燃機関32の回転数と、発電用電動機31の電圧とを示している。
【0021】
時間T1は、発電機始動手段22からの信号によって内燃機関制御手段12を動作させる時間であり、内燃機関32は時間T2に動作を開始する。時間T2は時間T1と同じタイミングでもよいが、例えば内燃機関32としてディーゼルエンジンを用いる場合には、時間T1の後、時間T2までの間予熱を行う。
時間T1又は時間T2のタイミングで、内燃機関32を動作させる始動ステップが行われる。
【0022】
時間T1又は時間T2の後、始動確認ステップが行われる。
始動確認ステップでは、内燃機関32の回転数が所定回転数N1に到達したことを検出することで内燃機関32の始動を確認する。
時間T1又は時間T2の後、電圧確認ステップが行われる。
電圧確認ステップでは、発電用電動機31からの電圧が所定電圧V1に到達したことを検出することで確認する。
図2では、時間T3のタイミングで電圧確認ステップが行われていることを示している。
【0023】
電圧確認ステップの後、時間T4のタイミングで電源切替ステップが行われる。
電源切替ステップでは、商用電源Aからの電力供給から非常用発電手段10からの電力供給に切り替える。
電源切替ステップを行う時間T4は、時間T3からあらかじめ設定した所定時間経過後に行ってもよいが、発電用電動機31からの電圧が所定電圧V2に到達したことを検出し、内燃機関32の回転数が所定回転数N2に到達したことを検出することで行ってもよい。
【0024】
自動保守診断機能、すなわち診断手段40での診断又は状態表示手段24での診断結果の表示は、電源切替ステップを行う時間T4の後である時間T5のタイミングで行う。
時間T5から時間T6までの間、定格電圧、定格回転数の元で、保守点検のために非常用発電手段10の動作を継続する。
時間T6は、電源切替手段13によって発電用電動機31による電力供給から、商用電源Aによる電力供給への切り換えのタイミングを示している。
時間T6の後、時間T7までは、無負荷状態での運転を継続する。
時間T7は、内燃機関制御手段12から内燃機関32への停止指示のタイミングである。
時間T7の後に、時間T8に電圧がゼロとなり、時間T9に回転数がゼロとなって内燃機関32は停止する。
【0025】
自動保守診断機能、すなわち診断手段40での診断又は状態表示手段24での診断結果の表示は、発電用電動機31による電力供給から、商用電源Aによる電力供給への切り換えの時間T6まででもよいが、時間T6から時間T9までの期間継続しても構わない。
【0026】
次に、
図2を用いて商用電源Aからの電力供給が停止する停電状態における動作について説明する。
図2において、停電検出手段11が停電を検出したタイミングを時間Tx、停電検出手段11が復電を検出したタイミングを時間Tyとして示している。
時間Txで停電を検出すると、時間T1までの所定時間、停電であるか否かの確認を行う。時間Txから時間T1まで、所定時間のタイムラグを設けることで、例えば一時的な電圧降下などの停電ではない状態によって非常用発電手段10が動作を開始することを防止している。
また、時間Tyで停電を検出すると、時間T6までの所定時間、継続的な復電であるか否かの確認を行う。時間Tyから時間T6まで、所定時間のタイムラグを設けることで、例えば一時的な復電によって電源切替手段13が動作することを防止している。
【0027】
図3は本発明の一実施例による自動保守診断機能付き発電装置の要部構成図である。
発電用電動機31の回転軸と内燃機関32の駆動軸とはフライホイール33とともに連結されて発電機器30を構成している。
発電機器30は、4つの取付部材52によって基台51に取り付けている。それぞれの取付部材52は、台座53を介して基台51に取り付けており、台座53又は基台51と取付部材52との間には防振材54を設けている。発電機器30の荷重は、防振材54で受けている。
発電機器30は、防振材54によって振動が低減される。
【0028】
台座53又は基台51と取付部材52との間には、発電機器30が基台51から外れないように抜け防止部材55を設けている。抜け防止部材55は、ボルト55aの上部と下部にそれぞれ止めナット55b、55cを配置している。取付部材52には、ボルト55aよりも大きな径で2つの止めナット55b、55cよりも小さな径の孔を有している。
従って、発電機器30の通常運転時の振動は防振材54によって低減され、発電機器30に大地震などによって大きな上下動を生じた場合には、抜け防止部材55によって基台51から発電機器30が脱落することを防止できる。
振動検出手段16は、取付部材56を介して基台51に固定している。
以上のように、発電機器30を、基台51に取り付ける取付部材52を設け、取付部材52と基台51との間には防振材54を設け、振動検出手段16を、基台51に固定しているので、発電機器30の防振を行いつつ、保守点検時に、内燃機関32の異常状態を正しく検出することができる。
【0029】
振動検出手段16には、赤外線センサを用い、発電機器30の振動を赤外線によって検出している。
なお、防振材54は、抜け防止部材55よりも発電機器30の外方に配置し、振動検出手段16は、4つの取付部材52、特に4つの取付部材52の防振材54で囲まれる空間内であり、フライホイール33、発電用電動機31のフライホイール33側、又は内燃機関32のフライホイール33側に配置することが好ましい。