(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の手段による処理の前に、断片化した動線内の変化点を検出し、前記変化点から前記断片化した動線の終点までの部分を削除する、第4の手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の動線編集装置。
前記第1のステップによる処理の前に、断片化した動線内の変化点を検出し、前記変化点から前記断片化した動線の終点までの部分を削除する、第4のステップを備えることを特徴とする請求項5に記載の動線編集方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に参照しながら、本発明の実施の形態による動線編集技術について詳細に説明する。尚、本発明の実施の形態は、後述する例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0022】
<システム構成>
図1Aは、本発明の第1の実施形態による動線編集システムの一構成例を示す機能概略図である。本実施の形態による動線編集システムは、構内や施設、イベント会場など、例えば、店舗1201の異なる位置にそれぞれ設置された位置測定装置1203Aから1203Dまでと、動線編集装置100と、を有している。
【0023】
例えば、上記非特許文献1に開示されている公知技術により、店舗内の異なる位置にレーザスキャナを配置し、歩行者(買い物客)のトラッキングを行っている。
【0024】
位置測定装置1203Aから1203Dまでは、店舗内を顧客が時々刻々とどのように移動したかを示す動線の情報を取得し記録する装置である。位置測定装置1203Aから1203Dまでとしては、測域センサ、屋内GPS(Global Positioning System)、Wi-Fi(登録商標)電波強度やBluetoothによる位置測定装置などを利用することができる。
【0025】
例えば、位置測定装置1203Aから1203Dまでが測域センサである場合、ある時刻における測域センサと店舗内の対象物との距離を測定し、対象物が人物の部分を分析してその位置を順次抽出することで、出入口1205から入って出ていくまでの店舗内の顧客の動線1206を得ることができる。なお、
図1Aには位置測定装置1203を4台設けた例を示したが、台数は限定されない。
【0026】
ネットワーク1202は、位置測定装置1203Aから1203Dまでと動線編集装置100とが互いに通信できるようにするためのものであり、例えばイーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
<動線編集装置の構成例>
図1Bは、動線編集装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。
図1Bに示すように、動線編集装置100は、動線編集処理部101と、記憶部107とを有している。
【0028】
動線編集処理部101は、位置測定装置1203Aから1203Dまでから測定情報を取得して断片化した断片動線情報108を作成する断片動線作成部102と、断片化した動線の終端部に発生する可能性がある異常部分を削除する終端処理後の終端処理済動線情報109を作成する動線終端処理部103と、断片化した動線に対して結合できる可能性がある結合候補となる別の断片化した動線を探索し、結合に必要な情報を作成する動線結合情報作成部104と、前記結合に必要な情報に基づき、断片化した動線同士を結合し、結合済の動線情報である結合済動線情報110を作成する結合済動線作成部105と、
図1Aにおけるネットワーク1202接続のためのインタフェイスを形成するネットワーク接続部106と、を有している。
【0029】
記憶部107には、断片動線情報108、終端処理済動線情報109、結合済動線情報110などが保存されている。記憶部107としては、RAM、ROM、HDDなどを用いることができる。
【0030】
本実施の形態においては、動線編集装置100は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)、仮想マシンなどで構成することができる。なお、動線編集装置100は、コンピュータなどに含まれるCPU(Central Processing Unit)、メモリ、入力指示装置(キーボード・マウス)などが必要に応じて搭載されているものとする。
【0031】
また、動線編集装置100が設置されている場所については限定されない。例えば、店舗内に設置されていてもよいし、クラウド上に設けられていてもよい。
図1Bには、動線編集装置100の構成例が示されているが、個々の構成要素は別々の動線編集装置100に設けられていてもよい。
【0032】
<動線情報の構成例>
次に、動線情報のデータ構成例について説明する。
図2Aは、動線編集処理前の動線情報である断片動線情報108のデータ構成例を示す図である。
【0033】
図2Aの断片動線情報108は、例えば非特許文献1に開示されている技術を用いて得ることができる。
図2Aに示す例では、顧客を一意に識別するid201と、測定された時刻202と、その時刻におけるid201で識別される顧客の店舗内における2次元的な位置(x203,y204)と、が例えば時系列で記憶されている。
【0034】
断片動線情報について、
図2Aの上から二行目の項目を例にして具体的に説明する。断片動線作成部102が、位置測定装置1203が測定した情報を解析して店舗内の顧客の位置を検出する。検出した顧客毎に固有の識別子「1」をid201として割り当て、検出した時刻「2014-05-01T10:00:00.000+09:00 」をtime202とし、店舗内の顧客の座標の横成分「100」をx203、縦成分「200」をy204とする。ここで、座標の原点や座標値の単位は任意で良い。以下では、x
1、y
1などの記号で説明する。
【0035】
断片動線作成部102は、定期的若しくは非定期的に店舗内の顧客の位置情報を断片動線情報108として記録する。但し、id201については、例えば非特許文献1に記載されているような方法により以前に検出した顧客と同一人物と推定される場合には、その際に採番したものと同じ識別子(id1など)を用いる。
【0036】
従って、例えば
図2Aに示す断片動線情報108からid201が「1」であるデータのみを取り出すと、id201として「1」が割り当てられた顧客が、どの時刻に店舗内のどの位置に存在したかに関する一連の情報が得られ、これが動線情報となる。
【0037】
<断片化した動線の終端部分の処理例>
測域センサなどを用いて動線を求めた場合には、複数人がすれ違う時(同じタイミングで、測域センサにより同じ位置と判定されてしまう場合)など、測域センサが発するレーザが遮蔽される状況が発生しうる。この状況が発生すると、人物を正確に追跡することができなくなり動線が途切れて断片化してしまう場合がある。特に、混雑している店内などでは頻繁に生じうる。さらに、動線が途切れた場合、動線の終端部分が異常な振る舞いをすることがある。この状況を
図3を参照して説明する。
【0038】
符号301は動線を示しており、符号302が動線の始点を、符号305が動線の終点を示す。つまり、人は始点302(時刻t
1、位置(x
1,y
1))から終点305(時刻t
13、位置(x
13,y
13))まで移動したことになる。ここで、始点302と終点305との間の中間点303(時刻t
4、位置(x
4,y
4))の位置でレーザが遮蔽された場合を考える。実際の人は動線の移動方向に沿って、例えば破線で示した動線306の様に移動していても、装置の仕組みに依存して、正確に人を追跡することができずに、例えば、人がすれ違ったために人の追跡アルゴリズムが上手く機能せずに、本来は人がいない場所に人がいると誤って推定してしまった結果、異常な動線304が生成される場合も多い。
【0039】
このような場合には、後述する動線の結合処理の前に、動線の進行方向や速度などが大きく変化する変化点303を検出して(変化点検出部、図示せず。)、前記変化点303から終点305までを異常な情報とみなして削除する前処理を行うことが好ましい。
【0040】
図4に、
図3の変化点303から終点305までの異常部分を削除した後の動線終端処理後の動線の一例を示す図である。
図3と
図4とを比べると、動線の始点302の位置は同じであるが、終点の位置は、
図4では符号403(
図3の符号303に対応する点)になっている。
【0041】
<終端処理済動線情報の作成方法例>
上記のような動線終端処理部103が行う上記のコンピュータによる処理例を、
図5のフローチャートを用いて説明する。簡単のため、断片動線情報108に含まれるid201は1〜Nの範囲でありN種類とする。また、
図2Bは、異常な終端を持つ動線情報のデータ構成例を示す図である。適宜、
図3、4も参照して説明する。
【0042】
図5に示すように、動線終端処理部103による処理が開始され、変数kを1に初期化する(ステップS501)。
【0043】
次いで、断片動線情報108の中からid201がk(最初は1)の動線を取り出す(ステップS502)。
図2Bに示す顧客id201=1の一連のデータを例えば時系列的に得ることができる。
【0044】
変化点検出部が、id201がk(ここでは“1”)の動線の中から変化点を探索する(ステップS503)。
【0045】
変化点検出部による変化点の探索の方法の例としては、例えば、動線の進行方向や速度が予め定めたしきい値を超えた場合や、自己回帰モデル、多項式回帰モデルなどの時系列モデルを用いる方法等がある。具体的な変化点の探索方式は任意で良く、探索方法を限定するものではない。尚、変化点が複数検出された場合は、例えば、最も時刻の遅いものを変化点とみなすか、しきい値を超える度合いが最大の点など何らかの基準により変化点を一つ選びだすこととする。id201がkの動線の中で、前記変化点(例えば303)から終点(例えば305)までの情報を削除する(ステップS504)。例えば、
図2Bで、時間t
1からt
4までに比べて、時間t
11以降のデータは位置が大きく変化していれば、変化点以降のデータとして削除する。
【0046】
ステップS504で作成した動線情報を終端処理済動線情報109として記憶部107に書き込む(ステップS505)。
【0047】
そして、kがN(識別可能な顧客の数)に等しいか否かを判定し(ステップS506)、等しい場合は処理を終了し、等しくない場合はkに1を加えて(ステップS507)、ステップS502以降の処理を繰り返す。
これにより、すべての顧客の動線の終端処理を行うことができる。
【0048】
<結合スコア>
以下に、上記のような方法により断片化した動線を結合する際に必要となる結合スコアを導入する。結合スコアとは、ある動線に対してどの動線を結合させるのが妥当であるかを定量的に示す指標である。例えば、ある動線に対する結合スコアが最小となる動線が結合候補となる。結合スコアが最小となる動線が複数存在する場合は、事前に定めた基準によりいずれかの動線を選択するようにすればよい。
【0049】
id201がjの動線(以降、動線(j)と呼ぶ。)に対するid201がkの動線(以降、動線(k)と呼ぶ。)の結合スコアをScore(j,k)で表し、以下の計算式(1)で定義する。
【0050】
Score(j, k) = α×時間的距離(j, k) + β×空間的距離(j, k) (1)
【0051】
ここで、αとβは定数である。また、時間的距離(j, k)と空間的距離(j, k)とは以下のように定義する。
時間的距離(j, k) = |動線(j)の終点の時刻 − 動線(k)の始点の時刻|
空間的距離(j, k) = 動線(j)の終点と動線(k)の始点との間の距離
【0052】
但し、上述の時間的距離(j, k)と空間的距離(j, k)の定義は一例であり、必要に応じて別の定義にしてもよい。
【0053】
更に、始点や終点の位置や時刻の値が予め定めた値や範囲から外れたり、時間的距離(j, k)、空間的距離(j, k)が予め定めた閾値を超えた場合は、結合スコアは無限大とする。無限大にする理由は、結合スコアを無限大にしておけば結合候補にならないためである。また、結合スコアに閾値を設け、ある動線に対する結合スコアが前記閾値より小さくなるような動線が全くない場合は、前記動線に結合すべき動線はないとすることもできる。
【0054】
<断片動線の結合方法>
図6Aに、断片化した3つの動線601・604・607を例示的に示す。
図2Cは、断片化した3つの動線L1’(601)、L2’(604)、L3’(607)のデータ構成例を示す。ここでは、顧客idが異なると判定されているid=1、id=2、id=3のそれぞれにおける、時間と位置との関係が示されている。各動線の始点は、602・605・608であり、終点は603・606・609である。それぞれに対応する時間及び位置は
図2C及び
図6Aに示されている。
【0055】
図6Aに示すように終点603で途切れた動線601と、時間的・空間的に距離が短い(最も近い位置で)別の(新たな)動線が存在する場合は、この2つの動線が同一人物によるものだとして結合するのが自然である。つまり
図6Aでは、顧客id=1の動線601の終点603と顧客id=2の動線604の始点605とを結合することができる。
【0056】
図6Bは、動線の結合スコアを求める様子の第1具体例を示す図である。
図6Bでは、動線601の終点603に対して、動線604の始点605と動線607の始点608のうち、位置的距離又は時間的距離が近い方(L21<L22)の動線の始点605を結合候補とする例である。
【0057】
図6Cは、動線の結合スコアを求める様子の第2具体例を示す図である。動線601の延長線L31と、動線604を近似的に表した直線L32との成す角度θ1と、L31と、動線607を近似的に表した直線L33との成す角度θ2とを比較して、角度が小さい方の動線604の結合スコアを小さくすることで、結合した場合に、よりスムーズで自然な動線を結合対象とすることができる。
【0058】
<結合候補情報の作成例>
図7のフローチャートを参照して、動線結合情報作成部104が断片化した動線同士をどのように結合するかの結合候補情報を作成する処理例を示す。簡単のため、終端処理済動線情報109に含まれるid201は1〜Nの範囲でありN種類とする。
【0059】
まず、変数kを1、変数jを1に初期化する(ステップS701)。kとjとが等しい場合はステップS705へ進み、等しくない場合はステップS703へ進む(ステップS702)。
【0060】
終端処理済動線情報109からid201がkの動線と、id201がjの動線を取り出す(ステップS703)。
【0061】
ステップS703で取り出した動線に対する結合スコアScore(k, j)を前述の方法を用いて計算する(ステップS704)。
【0062】
jがNに等しいか否かを判定し(ステップS705)、等しい場合はステップS706へ進み、等しくない場合はjに1を加えて(ステップS707)、ステップS702以降の処理を繰り返す。
【0063】
kがNに等しいか否かを判定し(ステップS706)、等しい場合はステップS709へ進み、等しくない場合はkに1を加えてjを1にして(ステップS708)、ステップS702以降の処理を繰り返す。
【0064】
結合候補Pair(x)をzで定義する。ここでzはxを固定した時、Score(x,y)を最小にするyである。1〜Nのxに対する結合候補Pair(x)を算出する(ステップ709)。
【0065】
ステップS710において、算出された結合候補を記憶部107に格納する。
図2Cでは、動線L1’に対して動線L2’が結合候補となる。
【0066】
<仮結合グラフ>
結合候補Pair(x)を視覚的に表現したグラフを
図8に示す。Pair(1)=2の場合、id201が1の動線L1’がid201が2の動線L2’に結合されることを意味し、符号802で示した様に可視化する。更に、
図8で同じ数字同士を連結させると、
図9に示す様に、複数の動線のid201が結合したグラフ(以降、「仮結合グラフ」と呼ぶ。)を作成することができる。
図9では、符号902と符号903との2つの仮結合グラフが示されている。一般に、結合候補Pair(x)の情報を元にして仮結合グラフを作成すると、M個の仮結合グラフができる。
【0067】
ここで符号901の部分に着目すると、id201が「5」の動線は、id201が「4」と「9」との2つの異なる動線から結合されている状況になっている。このような状況は、測域センサの遮蔽が激しく人物の追跡が十分に行えなかった場合等に発生し、上述の結合スコアを用いた方法でも正しく結合できない場合に相当する。この場合は、id201が「4」と「5」、「9」と「5」は結合させないようにする。
【0068】
尚、1つの動線に対して 異なる2つの動線が対応付け可能な場合には、前記対応付けを行わないようにするために、
図9の段階で上記の結合を解除する処理に代えて、
図8の段階で、あらかじめ、「4」と「5」、「9」と「5」は結合させないようにしても良い。
【0069】
図10に、「4」と「5」、「9」と「5」を結合させなかった場合のグラフ(以降、「結合グラフ」と呼ぶ。)を示す。
図10では、異なる2つのid201から結合されている状態は回避されていることが分かる。なお、
図9の符号903は全てのid201に対して2つ以上のid201から結合される状況が発生していないため、符号902の様に結合を解除する必要はない。
【0070】
<結合済動線の作成例>
図11のフローチャートを参照して、結合済動線作成部105が、仮結合グラフから結合済動線情報110を作成する手順例を示す。
【0071】
終端処理済動線情報109に対して
図7で説明した処理方法を用いて結合候補Pair(x)を算出し、仮結合グラフを生成する(ステップS1101)。ここで、仮結合グラフがM個生成されたとする。また、それぞれの仮結合グラフを、F
j(1≦j≦M)と表記する。更に、F
jにはid201がL
j個含まれていたとする。また、L
j個のid201をid
k(1≦k≦L
j)と表記する。
【0072】
次いで、変数kを1、変数jを1に初期化する(ステップS1102)。
仮結合グラフF
jのid
kが2つ以上のid201から結合されているか否かを判定し、YESの場合はステップS1104へ進み、NOの場合はステップ1105へ進む(ステップS1103)。
【0073】
仮結合グラフF
jのid
kが2つ以上のid201から結合されている場合は、id
kへの結合を解除する(ステップS1104)。
【0074】
kがL
jに等しいか否かを判定し(ステップS1105)、等しい場合は(YES)、ステップS1106へ進み、等しくない場合は(NO)、kに1を加えて(ステップS1108)、ステップS1103以降を繰り返す。
【0075】
ステップS1104で結合を解除した結果、一般に仮結合グラフF
jからN
j個の結合グラフが得られる(ステップS1106)。ここで得られた結合グラフをG
ji(1≦j≦M、1≦i≦N
j)と表記する。
【0076】
jがMに等しいか判定し(ステップS1107)、等しい場合は(YES)、ステップS1110に進み、等しくない場合は(NO)、jに1を加えてkを1にして(ステップS1109)、ステップS1103以降の処理を繰り返す。
変数iを1、変数jを1に初期化する(ステップS1110)。
【0077】
ステップS1106で作成した結合グラフG
jiに含まれる複数id201を取り出し、終端処理済動線情報109内で前記複数id201に該当するid201を、新たに採番したid201で置換し、結合済動線情報110を作成する(ステップS1111)。例えば、
図10では、「1→2→3→4」という結合グラフがあるが、終端処理済動線情報109内に含まれるid201が「1」、「2」、「3」、「4」の部分を、新たに採番した例えば「100」で置換する。これにより、id201が「1」、「2」、「3」、「4」の動線は全てid201が「100」となる連結した動線となる。
【0078】
iがN
jに等しいか判定し、等しい場合はステップS1113に進み、等しくない場合はiに1を加えて(ステップS1114)、ステップS1111以降の処理を繰り返す。
【0079】
jがMに等しいか判定し(ステップS1113)、等しい場合は処理を終了し、等しくない場合はjに1を加え、iを1にして(ステップS1115)、ステップS1111以降の処理を繰り返す。
【0080】
以上により、仮結合グラフから結合済動線情報110を作成することができる。
本実施の形態によれば、測域センサで取得した断片化している動線情報を自動で適切に結合することが可能となる。
【0081】
尚、結合スコアを求める際の重み付け係数について以下のように設定してもよい。
図12は、
図1Aに対応する図であり、得られた動線1206と店舗内のエリアとの関係を示す図である。上記の(1)式の係数α、βは、エリア内の位置、すなわち、例えば店舗であれば、その棚の商品属性等に依存させて変更するようにしてもよい。
図12で、動線1206を得る場合に、エリア1211においては、α=α
1、β=β
1とし、エリア1212においては、α=α
2、β=β
2として異なる値を設定することができる。例えばエリア1211が飲料の配置エリアであり、エリア1212が本の配置エリアであるとする。一般的に、飲料を買う顧客はその位置に長く滞在する確率が低く、本を買う顧客はその位置に長く滞在する確率が高い。そこで、時間的距離の重み付け係数β
1、β
2を、エリアにより異なるようにすると良い。例えば、本の配置エリアであるエリア1212の時間的距離の重み付け係数β
2は、飲料の配置エリアであるエリア1211の時間的距離の重み付け係数β
1よりも、小さくする必要がある。
【0082】
このように、エリアの属性に依存して、重みづけ係数を変更するようにすることで、精度の高い結合スコアを求めることができる。
【0083】
尚、あるエリアにおける重みづけ係数は、動線に関する統計的なデータに基づいて決めるようにしてもよい。
【0084】
(利用例)
以下に、上記の手法により得られた動線情報の利用例を説明する。
例えば、店舗に入店した顧客の動線が店舗内で断片化したとしても、本実施の形態の手法を用いることで動線を結合し、顧客が退店するまでの動線を作成することが可能になる。
【0085】
入店から退店までの動線を用いることで以下のような顧客の特徴を捉えることが可能となる。
(1) 入店したが何も購買することなく退店した非購買客の動きを取得することで、例えば、そのような客であっても興味を示したエリア(商品等)を知ることで、商品の変更などの際の参考にすることができる。
(2) 大量の動線の中から主要な動線をパターン分類することで、大まかな顧客の動向を知ることができる。
(3) 家族連れなど共連れを検知することで、家族の場合の購入傾向などを知ることができる。
(4)リピート顧客を検知することで、例えば商品の売り上げ予測を立てやすいなどの利点がある。
(5) 店舗内でスムーズに進行せずに、うろついている、Uターンする、異常な行動を取る、レジ待ちをしている顧客を発見することで、危険防止等に活用できる。
【0086】
更に、上記の特徴を分析することで以下のようなビジネス価値が生まれる。
(6) スタッフの数の最適化による人員コスト削減、
(7) 発注の最適化による廃棄コスト削減、
(8) 店舗内で顧客が寄り付かない場所へ顧客を誘導することによる売上向上、
(9) 死に筋商品の入替えによる売上向上、
(10) 欠品状態を回避することによる機会損失の減少、
(11) 顧客の店舗内の回遊量を最適化することによる売上向上、
(12) 棚の前の人の寄り付き具合と、棚の商品の売行きとを可視化して比較することによる商品の魅力の定量化や、レイアウト変更等による売上向上。
【0087】
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0088】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【0089】
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。