(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、異なる図面の間で付された同一の符号は同一の構成を示す。
【0013】
初めに、第1実施形態について説明する。
【0014】
流体圧制御装置としての油圧制御装置100は、油圧ショベル等の油圧作業機器の動作を制御するものであり、本実施形態では、
図1に示す油圧ショベルの負荷としてのアーム1を駆動するシリンダ2の伸縮動作を制御する場合について説明する。
【0015】
まず、
図2を参照して、油圧制御装置100の油圧回路について説明する。
【0016】
シリンダ2は、シリンダ2内を摺動自在に移動するピストンロッド3によって、ロッド側圧力室2aと反ロッド側圧力室2bとに画成される。
【0017】
油圧ショベルにはエンジンが搭載され、そのエンジンの動力によって油圧源であるポンプ4及びパイロットポンプ5が駆動する。
【0018】
ポンプ4から吐出された作動油(作動流体)は、制御弁6を通じてシリンダ2に供給される。
【0019】
制御弁6とシリンダ2のロッド側圧力室2aとはメイン通路としての第1メイン通路7によって接続され、制御弁6とシリンダ2の反ロッド側圧力室2bとは第2メイン通路8によって接続される。
【0020】
制御弁6は、油圧ショベルの乗務員が操作レバー9を手動操作することに伴ってパイロットポンプ5からパイロット弁10を通じてパイロット室6a、6bに供給されるパイロット圧油によって操作される。
【0021】
具体的には、パイロット室6aにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置aに切り換わり、ポンプ4から第1メイン通路7を通じてロッド側圧力室2aに作動油が供給されると共に、反ロッド側圧力室2bの作動油が第2メイン通路8を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は収縮動作し、アーム1は、
図1に示す矢印Aの方向へと上昇する。
【0022】
一方、パイロット室6bにパイロット圧が導かれた場合には、制御弁6は位置bに切り換わり、ポンプ4から第2メイン通路8を通じて反ロッド側圧力室2bに作動油が供給されると共に、ロッド側圧力室2aの作動油が第1メイン通路7を通じてタンクTへと排出される。これにより、シリンダ2は伸長動作し、アーム1は、
図1に示す矢印Bの方向へと下降する。
【0023】
パイロット室6a、6bにパイロット圧が導かれない場合には、制御弁6は位置cに切り換わり、シリンダ2に対する作動油の給排が遮断され、アーム1は停止した状態を保つ。
【0024】
このように、制御弁6は、シリンダ2を収縮動作させる収縮位置a、シリンダ2を伸長動作させる伸長位置b、及びシリンダ2の負荷を保持する中立位置cの3つの切り替え位置を備え、シリンダ2に対する作動油の給排を切り換え、シリンダ2の伸縮動作を制御する。
【0025】
ここで、
図1に示すように、バケット11を持ち上げた状態で、制御弁6を中立位置cに切り換えアーム1の動きを止めた場合には、バケット11とアーム1等の自重によって、シリンダ2には伸長する方向の力が作用する。このように、アーム1を駆動するシリンダ2においては、ロッド側圧力室2aが、制御弁6が中立位置cの場合に負荷圧が作用する負荷側圧力室となる。
【0026】
負荷側であるロッド側圧力室2aに接続された第1メイン通路7には、負荷保持機構20が介装される。負荷保持機構20は、制御弁6が中立位置cの場合に、ロッド側圧力室2aの負荷圧を保持するものであり、
図1に示すように、シリンダ2の表面に固定される。
【0027】
なお、ブーム12を駆動するシリンダ16においては、反ロッド側圧力室16bが負荷側圧力室となるため、ブーム12に負荷保持機構20を設ける場合には、反ロッド側圧力室16bに接続されたメイン通路に負荷保持機構20が介装される(
図1参照)。
【0028】
負荷保持機構20は、第1メイン通路7に介装されたチェック弁21と、パイロット弁10を通じてパイロット室としての第1パイロット室22aに供給されるパイロット圧油によって制御弁6と連動して動作する切換弁22と、を備える。
【0029】
チェック弁21は、制御弁6からロッド側圧力室2aへの作動油の流れを許容する一方、ロッド側圧力室2aから制御弁6への作動油の流れを規制する。すなわち、チェック弁21は、ロッド側圧力室2a内の作動油の漏れを防止して負荷圧を保持し、アーム1の停止状態を保持する。
【0030】
切換弁22は、チェック弁21よりロッド側圧力室2a側の作動油をチェック弁21を迂回して制御弁6側に導くバイパス通路23に介装される。切換弁22は、第1パイロット室22aに供給されるパイロット圧に応じてバイパス通路23の開閉状態を切り換え、シリンダ2を伸長動作させる際の第1メイン通路7の作動油の流れを制御する。
【0031】
第1パイロット室22aには、制御弁6のパイロット室6bにパイロット圧が導かれたときに、同時に同じ圧力のパイロット圧が導かれる。つまり、制御弁6を伸長位置bに切り換えた場合に、切換弁22も開弁する。
【0032】
具体的に説明すると、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれない場合には、スプリング24の付勢力によって、切換弁22は遮断された状態を保ち、バイパス通路23が遮断される。
【0033】
第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれ、切換弁22がパイロット圧によって開弁方向に受ける力がスプリング24の付勢力を上回った場合には、切換弁22が開弁してバイパス通路23が開放される。これにより、ロッド側圧力室2aの作動油はバイパス通路23から切換弁22を通じてチェック弁21より制御弁6側の第1メイン通路7へと導かれる。つまり、ロッド側圧力室2aの作動油はチェック弁21をバイパスして制御弁6へと導かれる。
【0034】
第1メイン通路7におけるチェック弁21より上流側には、リリーフ通路25が分岐して接続される。リリーフ通路25には、ロッド側圧力室2aの圧力が所定圧力に達した場合に開弁して作動油の通過を許容し、ロッド側圧力室2aの作動油を逃がすリリーフ弁26が介装される。リリーフ弁26を通過した作動油は、排出通路27を通じてタンクTへ排出される。排出通路27にはオリフィス28が介装され、オリフィス28の上流側の圧力は第2パイロット室22bに導かれる。すなわち、切換弁22は、リリーフ弁26を通過して第2パイロット室22bに導かれたリリーフ圧油の圧力によっても開弁する。
【0035】
第1メイン通路7のチェック弁21より制御弁6側には第1メインリリーフ弁13が接続され、第2メイン通路8には第2メインリリーフ弁14が接続される。第1メインリリーフ弁13、第2メインリリーフ弁14は、アーム1に大きな外力が作用したときに、シリンダ2のロッド側圧力室2a、反ロッド側圧力室2bに生じる高圧を逃がすためのものである。
【0036】
次に、
図3を参照して、負荷保持機構20の構造について説明する。
【0037】
チェック弁21は、ボディ30に組み込まれる。ボディ30には摺動孔30aが形成され、摺動孔30aにはチェック弁21の弁体31が摺動自在に組み込まれる。摺動孔30aは、ボディ30を貫通するように形成され、上流側端がプラグ32を介して第1メイン通路7のシリンダ2側に接続されるとともに下流側端がプラグ33を介して第1メイン通路7の制御弁6側に接続される。
【0038】
摺動孔30aの内壁には、下流へ行くほど縮径するシート部34が形成される。弁体31は、プラグ32との間に介装されるスプリング35の付勢力によってシート部34に着座する方向に常時押圧される。
【0039】
チェック弁21は、第1メイン通路7を通じてシリンダ2側から流入する作動油に対しては閉弁した状態を保つ。また、第1メイン通路7を通じて制御弁6側から流入する作動油の圧力により弁体31が受ける力がスプリング35の付勢力を超えるとチェック弁21が開弁する。
【0040】
切換弁22は、ボディ30に組み込まれる。ボディ30にはスプール孔30bが形成され、スプール孔30bにはスプール36が摺動自在に組み込まれる。スプール36の一端面36aの側方には、キャップ37によって区画されたスプリング室38が画成される。スプリング室38は、キャップ37の開口部に螺合するプラグ39に形成されたドレンポート39aを通じてドレン通路40(
図2参照)に連通する。ドレン通路40は、オリフィス28(
図2参照)の下流側に連通しタンクTに接続される。
【0041】
スプリング室38には、スプール36を付勢する付勢部材としてのスプリング41が収装される。また、スプリング室38には、端面がスプール36の一端面に当接する環状の第1バネ受部材42と、キャップ37に螺合されるプラグ39の先端面に当接する環状の第2バネ受部材43と、が収装される。スプリング41は、第1バネ受部材42と第2バネ受部材43との間に圧縮状態で介装され、第1バネ受部材42を介してスプール36を閉弁方向に付勢する。
【0042】
スプール36の他端面36bの側方には、スプール孔30bと連通して形成されたピストン孔30cとピストン孔30cを閉塞するキャップ44とによってパイロット室22a、22bが画成される。パイロット室22a、22b内には、背面にパイロット圧を受けてスプール36にスプリング41の付勢力に抗する推力を付与するピストン45が摺動自在に挿入される。
【0043】
パイロット室22a、22bは、ピストン45によって、ピストン45の背面に臨む第1パイロット室22aと、ピストン45の前面及びスプール36の他端面36bに臨む第2パイロット室22bと、に区画される。第1パイロット室22aには、キャップ44に形成されたパイロットポート44aを通じてパイロット弁10からのパイロット圧油が供給される。第2パイロット室22bには、排出通路27を通じてリリーフ弁26を通過したリリーフ圧油が導かれる。
【0044】
ピストン45は、外周面がピストン孔30cの内周面に沿って摺動する摺動部45aと、摺動部45aと比較して小径に形成されスプール36の他端面36bに対峙する先端部45bと、ピストン45の前面に径方向に亘って形成される溝部45cと、摺動部45aに穿設され第1パイロット室22aと第2パイロット室22bとを連通する導通路46と、を備える。
【0045】
導通路46は、摺動部45aのキャップ側端面から先端部45bへ向けて軸方向に摺動部45aの中央付近まで穿設される孔としての軸方向通路46aと、軸方向通路46aの先端から摺動部45aを貫通するように径方向に穿設される孔としての径方向通路46bと、軸方向通路46aの先端であって径方向通路46bとの合流箇所に設けられる孔としてのエア抜き絞り46cと、を備える。
【0046】
パイロットポート44aを通じて第1パイロット室22a内にパイロット圧油が供給されると、摺動部45aの背面にパイロット圧が作用する。これにより、ピストン45は、前進し、先端部45bがスプール36の他端面36bに当接してスプール36を移動させる。このように、スプール36は、ピストン45の背面に作用するパイロット圧に基づいて発生するピストン45の推力を受け、スプリング41の付勢力に抗して開弁方向に移動する。
【0047】
排出通路27を通じて第2パイロット室22b内にリリーフ弁26を通過したリリーフ圧油が導かれると、スプール36の他端面36bにリリーフ圧油の圧力が作用する。これにより、スプール36はスプリング41の付勢力に抗して開弁方向に移動する。この際、リリーフ圧油の圧力はピストン45にも作用するため、ピストン45は後退してキャップ44に当接する。
【0048】
スプール36は、一端面36aに作用するスプリング41の付勢力と他端面36bに作用するピストン45の推力とがバランスした位置で停止し、そのスプール36の停止位置に応じて切換弁22の開度が規定される。スプール36は、ピストン45の推力がスプリング41の付勢力より大きいとき開弁方向に移動し、スプリング41の付勢力がピストン45の推力より大きいとき閉弁方向に移動する。
【0049】
スプール36の外周面は部分的に環状に切り欠かれ、開弁方向先端側から順に、ポペット部47、第1ランド部48、第2ランド部49が形成される。ポペット部47は、第1ランド部48及び第2ランド部49より外径が大きく、開弁方向に向かって外径が大きくなるテーパ状に形成される。
【0050】
スプール孔30bの内周面は部分的に環状に切り欠かれ、その切り欠かれた部分とスプール36の外周面とで、開弁方向先端側から順に、第1圧力室50、第2圧力室51、第3圧力室52が形成される。
【0051】
ボディ30には、第1圧力室50とチェック弁21のシート部34より下流側の第1メイン通路7とを連通する第1連通路53と、第3圧力室52とチェック弁21のシート部34より上流側の第1メイン通路7とを連通する第2連通路54と、が形成される。第1連通路53及び第2連通路54は、スプール孔30bとともにバイパス通路23を構成する。
【0052】
第1圧力室50は、チェック弁21のシート部34より下流側の第1メイン通路7に常時連通している。第2圧力室51は、スプール孔30bの内周面から内径側に環状に突出する環状突部55にポペット部47が着座することで第1圧力室50と遮断される。第3圧力室52は、チェック弁21のシート部34より上流側の第1メイン通路7に常時連通している。
【0053】
スプール36の第1ランド部48の外周には、スプール36が開弁方向に移動することによって、第3圧力室52と第2圧力室51とを連通する複数のノッチ56が形成される。第2パイロット室22bは、スプール36内に軸方向に形成された導通孔57及び絞り通路58を介してスプリング室38に常時連通している。導通孔57は、一端が第2パイロット室22bに開口し、他端がスプリング室38近傍に位置する。
【0054】
ここで、
図3〜
図5並びに
図6A及び
図6Bを参照して、切換弁22の動作について説明する。
【0055】
図3に示すように、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれない場合には、スプリング41の付勢力によってスプール36に形成されたポペット部47が、スプール孔30bの内周に形成された環状突部55に押し付けられ、第2圧力室51と第1圧力室50との連通が遮断される。したがって、第1連通路53と第2連通路54との連通が遮断される。これにより、シリンダ2のロッド側圧力室2aの作動油がバイパス通路23を通じて制御弁6側に流れることはない。
【0056】
図4に示すように、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれ、スプール36に作用するピストン45の推力がスプリング41の付勢力よりも大きくなった場合には、スプール36はスプリング41の付勢力に抗して開弁方向に移動する。これにより、ポペット部47が環状突部55から離れるとともに、第3圧力室52と第2圧力室51とが複数のノッチ56を通じて連通するため、第2連通路54は、第3圧力室52、ノッチ56、第2圧力室51、及び第1圧力室50を通じて第1連通路53と連通する。これにより、ロッド側圧力室2aの作動油が、ノッチ56を介して制御弁6側の第1メイン通路7へと導かれる。
【0057】
さらに、スプール36の移動により絞り通路58の開口部がキャップ37の内周面がより大径に形成される拡径部59に到達する。これにより、第2パイロット室22bは導通孔57及び絞り通路58を介してスプリング室38に連通する。
【0058】
図6Aは、
図4のピストン45を拡大して示す部分拡大図である。第2パイロット室22bの内径は、ピストン45の摺動部45aの外径より僅かに大きく設定される。
図6Aに示す状態では、ピストン45の径方向通路46bの開口部が第2パイロット室22bに到達していないので、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油は第2パイロット室22bに漏出することはなく第1パイロット室22a内に留まる。したがって、この段階では、第1パイロット室22aのパイロット圧油は導通孔57及び絞り通路58を介してスプリング室38には流れない。
【0059】
図5に示すように、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧が大きくなって、スプール36がスプリング41の付勢力に抗して開弁方向にフルストロークすると、ピストン45の前面がピストン孔30cとスプール孔30bとの境界に形成される段部60に当接する。これにより、第3圧力室52と第2圧力室51とが
図4の状態よりさらに大きな開口面積で連通する。よって、ロッド側圧力室2aからバイパス通路23を通じて制御弁6側の第1メイン通路7へと導かれる作動油の流量が増加する。
【0060】
さらに、
図4と同様に、絞り通路58の開口部が拡径部59に対向するので、第2パイロット室22bは導通孔57及び絞り通路58を介してスプリング室38に引き続き連通した状態に維持される。
【0061】
図6Bは、
図5のピストン45を拡大して示す部分拡大図である。
図6Bに示すように、ピストン45がフルストロークすると、ピストン45の径方向通路46bの開口部が第2パイロット室22bに開口する。これにより、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油は軸方向通路46a及び径方向通路46bを介して第2パイロット室22bに導かれる。このとき、パイロット圧油の流れは軸方向通路46aと径方向通路46bとの間に設けられるエア抜き絞り46cによって絞られるので、第1パイロット室22aのパイロット圧は所定のパイロット圧に維持される。
【0062】
第2パイロット室22bに導かれたパイロット圧油は、ピストン45の前面に形成される溝部45cを介してスプール孔30b内の導通孔57に導かれる。さらに、
図5に示すように、パイロット圧油は、導通孔57から絞り通路58を介してスプリング室38に導かれ、ドレンポート39aを介してドレン通路40へと排出される。
【0063】
ここで、
図6A及び
図6Bに示すように、ピストン45の径方向通路46bの開口部が第2パイロット室22bに開口し始めるのは、ピストン45のストローク量が所定のストローク量以上となった場合である。この所定のストローク量は、径方向通路46bを形成する位置によって規定され、ピストン45のフルストロークに相当するストローク量より僅かに小さいストローク量に設定される。
【0064】
次に、
図2〜
図5を参照して、油圧制御装置100の動作について説明する。
【0065】
制御弁6が中立位置cの場合には、ポンプ4が吐出する作動油はシリンダ2に供給されない。このとき、切換弁22の第1パイロット室22aにはパイロット圧が導かれないため、切換弁22は遮断された状態を保ち、バイパス通路23が遮断される。第1メイン通路7はチェック弁21によって遮断された状態に保たれる。これにより、ロッド側圧力室2aの作動油の漏れが防止され、アーム1の停止状態が保持される。
【0066】
操作レバー9が操作され、パイロット弁10から制御弁6のパイロット室6aへとパイロット圧が導かれると、制御弁6は、パイロット圧に応じた量だけ収縮位置aへと切り換わる。制御弁6が収縮位置aへと切り換わると、ポンプ4が吐出する作動油の圧力はチェック弁21を開弁させ、ポンプ4から吐出された作動油はロッド側圧力室2aに供給され、シリンダ2は収縮する。これにより、アーム1は、
図1に示す矢印Aの方向へと上昇する。
【0067】
操作レバー9が操作され、パイロット弁10から制御弁6のパイロット室6bへとパイロット圧が導かれると、制御弁6はパイロット圧に応じた量だけ伸長位置bへと切り換わる。また、これと同時に、第1パイロット室22aへもパイロット圧が導かれるため、切換弁22は、供給されるパイロット圧に応じて開弁する。
【0068】
これにより、バイパス通路23が開放されるので、ロッド側圧力室2aの作動油は、第1メイン通路7からチェック弁21を迂回して制御弁6に導かれ、制御弁6からタンクTへと排出される。また、反ロッド側圧力室2bには、ポンプ4の吐出する作動油が供給されるため、シリンダ2は伸長する。これにより、アーム1は、
図1に示す矢印Bの方向へと下降する。
【0069】
ここで、油圧ショベルの製造時、負荷保持機構20を油圧ショベルに取り付け、負荷保持機構20のパイロットポート44aにパイロット通路15を配管接続した段階では、パイロット圧が供給される第1パイロット室22aにエアが混入している。また、油圧ショベルのメンテナンス後や長期保管後などにも同様にエアが混入する場合がある。
【0070】
この状態で、オペレータのレバー操作によって切換弁22の第1パイロット室22aにパイロット圧油が導かれると、エアの体積変化によって第1パイロット室22aのパイロット圧が変動して、スプール36の移動に応答遅れが生じる可能性がある。これにより、シリンダ2の操作性が悪化する可能性がある。
【0071】
また、第1パイロット室22aを第2パイロット室22bに常時連通させておくことで、第1パイロット室22aのエアを第2パイロット室22bを経由してドレン通路40へと排出させてエア抜きすることも考えられるが、このような構造では、スプール36が所定のストローク量以上ストロークしてエアが排出された後も、第1パイロット室22aのパイロット圧油が常時ドレン通路40にドレンされるため、パイロット圧が不安定となり特にオペレータによるレバー操作量が微小なインチング操作等が行われる場合に、切換弁22の開閉動作に応答遅れや応答性のバラツキが生じる可能性がある。
【0072】
そこで、本実施形態では、第1パイロット室22aと第2パイロット室22bとを連通する導通路46をピストン45に設け、ピストン45のストローク量がフルストローク付近である所定のストローク量以上となった場合に導通路46が開口するように設定した。
【0073】
これにより、第1パイロット室22aのパイロット圧油は、ピストン45のストローク量が小さい切換弁22の微小な動作時には第2パイロット室22bへと導かれないので、インチング操作時などに切換弁22の開閉動作に応答遅れや応答性のバラツキが生じることが防止される。さらに、微操作時ではないピストン45のストローク量が大きい場合には、第1パイロット室22aのパイロット圧油がエアとともに第2パイロット室22bへ導かれるので、第1パイロット室22aに混入したエアが排出される。
【0074】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0075】
第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油の一部をドレン通路40に導く導通路46が、切換弁22のピストン45が開弁方向に所定のストローク量以上ストロークした場合にドレン通路40に連通するので、切換弁22のストローク量が小さい微操作時にはパイロット圧の変動を防止でき、切換弁22が大きくストロークした場合には第1パイロット室22aに混入したエアをドレン通路40へと排出することができる。よって、第1パイロット室22aのエア抜きを可能としながら応答性に与える影響を抑制することができる。
【0076】
さらに、切換弁22は第1パイロット室22aのパイロット圧を受けてスプール36を開弁方向に押圧するピストン45を有し、第1パイロット室22aと第2パイロット室22bとを連通する導通路46がピストン45に形成されるので、スプール36の構造を複雑化することなくエア抜きを行うことができる。
【0077】
さらに、導通路46がピストン45の内部に穿設されるので、ピストン45のストローク量が所定のストローク量に達する前に導通路46からピストン45の外周を通じてパイロット圧油が漏出することを防止することができる。よって、第1パイロット室22aのエア抜きを可能としながら応答性に与える影響をより確実に抑制することができる。
【0079】
本実施形態では、導通路146の構造が第1実施形態と異なる。また、第1実施形態では、第2パイロット室22bとスプリング室38とを連通する導通孔57をスプール36の内部に形成したが、本実施形態では、ボディ30に新たに形成した。この導通孔157の下流端は、ボディ30に螺合されるキャップ37の内外を連通する絞り通路158に接続される。これにより、第2パイロット室22bは導通孔157、絞り通路158及びスプリング室38を介してドレンポート39aに連通する。
【0080】
図7に示すように、導通路146はピストン45の摺動部45aの外周面に形成される。
図9Aは、
図7のピストン45を拡大して示す部分拡大図である。導通路146は、ピストン45の摺動部45aの外周面に螺旋状に形成される溝としての螺旋溝146aと、摺動部45aの外周面であって螺旋溝146aのピストン前面側(
図9Aにおける左側)の終端に接続され摺動部45aの外周面より小径の溝としての小径部146bと、から構成される。
【0081】
螺旋溝146aの断面形状は、
図9Bに示すように、矩形に形成されてもよいし、
図9Cに示すようにV字形に形成されてもよい。螺旋溝146aは、断面積が十分小さく設定され、絞りとしても機能する。
【0082】
図7に示すように、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれない場合には、ピストン45がストロークしないので、小径部146bが第2パイロット室22bに開口しない。よって、第1パイロット室22aのパイロット圧油は第2パイロット室22bには導かれない。
【0083】
図8に示すように、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧が大きくなって、ピストン45がフルストロークすると、ピストン45の小径部146bが第2パイロット室22bに開口する。これにより、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油は螺旋溝146a及び小径部146bを介して第2パイロット室22bに導かれる。このとき、パイロット圧油の流れは螺旋溝146aの絞り作用によって絞られるので、第1パイロット室22aのパイロット圧は所定のパイロット圧に維持される。
【0084】
第2パイロット室22bに導かれたパイロット圧油は、ボディ30に形成される導通孔157及びキャップ37に形成される絞り通路158を介してスプリング室38に導かれ、ドレンポート39aを介してドレン通路40に導かれる。
【0085】
ピストン45の小径部146bが第2パイロット室22bに開口し始めるのは、第1実施形態と同様に、ピストン45のストローク量が所定のストローク量以上となった場合である。この所定のストローク量は、小径部146bを形成する位置によって規定され、ピストン45のフルストロークに相当するストローク量より僅かに小さいストローク量に設定される。
【0086】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0087】
導通路146がピストン45の外周面に形成されるので、エンドミル等によってピストン45の外周面に溝を形成するだけで導通路146を形成することができる。これにより、導通路146の形成をより容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0088】
次に、
図10及び
図11を参照して第3実施形態について説明する。
【0089】
第1実施形態では、スプール36とピストン45とを別体としたが、本実施形態では、ピストン45及びピストン孔30cを省略し、スプール孔230b及びスプール236を軸方向に延長した。つまり、スプール孔230bは第1パイロット室22aに連通し、スプール236の他端面236bが第1パイロット室22aに臨む。
【0090】
また、第1実施形態では、第2パイロット室22bとスプリング室38とを連通する導通孔57をスプール36の内部に形成したが、本実施形態では、ボディ30に新たに形成した。この導通孔257の下流端は、ボディ30に螺合されるキャップ37の内外を連通する絞り通路258に接続される。また、第1実施形態ではリリーフ弁26を通過した作動油が第2パイロット室22bに導かれていたが、本実施形態ではパイロット室22bを廃し、代わりに、スプール孔30bの内周面を環状に切り欠いて形成される大径部61を新たに設けた。大径部61の内径はスプール36の外径より大きく設定されるので、リリーフ弁26を通過した作動油はスプール36の軸方向位置にかかわらず常に導通孔257に導かれ、絞り通路258及びスプリング室38を介してドレンポート39aに導かれる。
【0091】
さらに、大径部61はスプール36の外周に開口するので、スプール36はリリーフ弁26を通過した作動油からは軸方向に力を受けない。従って、油圧回路図は第1実施形態の場合を示す
図2ではなく、
図14が示すようになる。つまり、リリーフ弁26を通過した作動油は切換弁22に作用することなく常にタンクTへと排出される。なお、
図14では、
図2と同様の機能を有する部材には同一の符号を付している。
【0092】
図10に示すように、導通路246はスプール236の内部に穿設される。導通路246は、スプール236の受圧面としての他端面236bから一端面236a側へ向けて軸方向に穿設される孔としての軸方向通路246aと、軸方向通路246aの先端からスプール236を貫通するように径方向に穿設される孔としての径方向通路246bと、軸方向通路246aの先端であって径方向通路246bとの合流箇所に設けられる孔としてのエア抜き絞り246cと、を備える。
【0093】
図10に示すように、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれない場合には、スプール236がストロークしないので、径方向通路246bの開口部が大径部61に開口しない。よって、第1パイロット室22aのパイロット圧油は大径部61には導かれない。
【0094】
図11に示すように、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧が大きくなって、スプール236がフルストロークすると、スプール236の径方向通路246bの開口部が大径部61に開口する。これにより、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油は導通路246を介して大径部61に導かれる。このとき、パイロット圧油の流れはエア抜き絞り246cによって絞られるので、第1パイロット室22aのパイロット圧は所定のパイロット圧に維持される。
【0095】
大径部61に導かれたパイロット圧油は、ボディ30に形成される導通孔257及びキャップ37に形成される絞り通路258を介してスプリング室38に導かれ、ドレンポート39aを介してドレン通路40に導かれる。
【0096】
スプール236の径方向通路246bが大径部61に開口し始めるのは、第1実施形態と同様に、スプール236のストローク量が所定のストローク量以上となった場合である。この所定のストローク量は、径方向通路246bを形成する位置によって規定され、スプール236のフルストロークに相当するストローク量より僅かに小さいストローク量に設定される。
【0097】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0098】
スプール236の他端面236bが第1パイロット室22aからパイロット圧を受けてスプール236が開弁方向にストロークするので、パイロット圧を受けるためのピストンを設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0099】
さらに、導通路246がスプール236の内部に穿設されるので、スプール236のストローク量が所定のストローク量に達する前に導通路246からスプール236の外周を通じてパイロット圧油が漏出することを防止することができる。よって、第1パイロット室22aのエア抜きを可能としながら応答性に与える影響をより確実に抑制することができる。
【0100】
さらに、導通孔257がボディ30に形成されるので、スプール236の構造を簡素化することができ、製造コストを低減することができる。
【0101】
次に、
図12及び
図13を参照して第4実施形態について説明する。
【0102】
本実施形態では、導通路346の構造が第3実施形態と異なり、その他の構成は第3実施形態と同一である。
【0103】
図12に示すように、導通路346はスプール336の外周面に形成される。導通路346は、
図9Aと同様に、スプール336の外周面に螺旋状に形成される溝としての螺旋溝346aと、スプール336の外周面であってスプール336のストローク側(
図12における左側)における螺旋溝346aの終端に接続されスプール336の外周面より小径の溝としての小径部346bと、から構成される。
【0104】
螺旋溝346aの断面形状は、
図9Bと同様に、矩形に形成されてもよいし、
図9Cと同様にV字形に形成されてもよい。螺旋溝346aは、断面積が十分小さく設定され、絞りとしても機能する。
【0105】
図12に示すように、第1パイロット室22aにパイロット圧が導かれない場合には、スプール336がストロークしないので、小径部346bが大径部61に開口しない。よって、第1パイロット室22aのパイロット圧油は大径部61には導かれない。
【0106】
図13に示すように、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧が大きくなって、スプール336がフルストロークすると、スプール336の小径部346bが大径部61に開口する。これにより、第1パイロット室22aに導かれるパイロット圧油は螺旋溝346a及び小径部346bを介して大径部61に導かれる。このとき、パイロット圧油の流れは螺旋溝346aの絞り作用によって絞られるので、第1パイロット室22aのパイロット圧は所定のパイロット圧に維持される。
【0107】
大径部61に導かれたパイロット圧油は、ボディ30に形成される導通孔257に導かれ、キャップ37に形成される絞り通路258、スプリング室38、ドレンポート39aを介してドレン通路40へと排出される。
【0108】
スプール336の小径部346bが大径部61に開口し始めるのは、第3実施形態と同様に、スプール336のストローク量が所定のストローク量以上となった場合である。この所定のストローク量は、小径部346bを形成する位置によって規定され、スプール336のフルストロークに相当するストローク量より僅かに小さいストローク量に設定される。
【0109】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0110】
導通路346がスプール336の外周面に形成されるので、エンドミル等によってスプール336の外周面に溝を形成するだけで導通路346を形成することができる。これにより、導通路346の形成をより容易に行うことができ、製造コストを低減することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0112】
例えば、上記実施形態では、作動流体として作動油を用いた場合について例示したが、作動流体は油以外の液体、例えば水や水溶性代替液等であってもよい。
【0113】
さらに、上記実施形態では、付勢部材としてスプリング41を例示したが、スプールを付勢することができる伸縮可能なその他の部材であってもよい。