特許第6397720号(P6397720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日鉄住金テックスエンジ株式会社の特許一覧

特許6397720充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置
<>
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000002
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000003
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000004
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000005
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000006
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000007
  • 特許6397720-充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397720
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20180913BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H02J7/00 Q
   H01M10/48 P
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-215445(P2014-215445)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-82845(P2016-82845A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄住金テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】中下 一十百
(72)【発明者】
【氏名】野村 克彦
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−148459(JP,A)
【文献】 特開2013−257263(JP,A)
【文献】 特開2013−229201(JP,A)
【文献】 特開2010−122162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
G01R 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に増加する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の増加を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻すことを特徴とする充放電電源の電圧校正方法。
【請求項2】
請求項1記載の充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することを特徴とする充放電電源の電圧校正方法。
【請求項3】
充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に減少する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の減少を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻すことを特徴とする充放電電源の電圧校正方法。
【請求項4】
請求項3記載の充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することを特徴とする充放電電源の電圧校正方法。
【請求項5】
充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する充電時電圧発生部とを有することを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【請求項6】
請求項5記載の充放電電源の電圧校正用装置において、前記充電時電圧発生部は、前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に増加させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の増加を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備えていることを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【請求項7】
請求項6記載の充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【請求項8】
充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記該電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する放電時電圧発生部とを有することを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【請求項9】
請求項8記載の充放電電源の電圧校正用装置において、前記放電時電圧発生部は、前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に減少させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の減少を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備えていることを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【請求項10】
請求項9記載の充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることを特徴とする充放電電源の電圧校正用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電又は放電を定電圧制御の下で行う際に充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の充放電検査では、先ず二次電池を充放電電源に接続して二次電池を所定の定電流で充電して電池電圧を上昇させ、電池電圧が所定の定電圧まで上昇すると、この定電圧を保つように定電圧充電に切り換える。定電圧充電が所定時間経過又は所定の終了条件に達すると充電動作を終了させて、定電流放電に切り換える。定電流放電は所定の定電流で実行されて、二次電池の電圧が過放電とならない所定の電池電圧又は所定の終了条件に達すると定電流放電を終了させている。このとき、充放電電源に設定される電圧指令値と、電圧計測値(二次電池側で検出される電池電圧)とは、回路特性等の影響を受けて一致しないために、電圧指令値を電圧計測値に校正する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
充放電電源80が定電圧充電の動作を行う場合は、図6に示すように抵抗負荷81を充放電電源80のプラス出力端子82とマイナス出力端子83の間に接続して動作させ、電圧指令値及びそのときの電圧計測値をそれぞれ求め、電圧指令値に対する校正値を計算する。ここで、電圧計測値は抵抗負荷81の両端間の電圧であって、充放電電源80に電圧制御時のフィードバックゲインを入力するリモートセンシング用のプラス電圧端子84とマイナス電圧端子85間の電圧となる。なお、電圧計測値は、校正済みの電圧測定基準器による測定値を用いる。
一方、充放電電源80が定電圧放電の動作を行う場合は、図7に示すように、抵抗負荷86を直流安定化電源87と共に充放電電源80のプラス、マイナス出力端子82、83間に直列に接続して動作させ、充放電電源80の電圧指令値及びそのときの電圧計測値をそれぞれ求め、電圧指令値に対する校正値を計算する。ここで、電圧計測値は直列接続された抵抗負荷86と直流安定化電源87の両端間の電圧であって、充放電電源80に電流制御時のフィードバックゲインを入力するリモートセンシング用のプラス電圧端子84とマイナス電圧端子85間の電圧となる。なお、電圧計測値は、校正済みの電圧測定基準器による測定値を用いる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−219565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6図7に示すように、充放電電源の電圧校正を行う場合に使用する回路は充電の場合と放電の場合では異なるので、校正作業を行う場合、充電用と放電用に二つの抵抗負荷81、86を準備する必要がある。
また、充放電電源80に入力されるフィードバックゲインは、抵抗負荷81、86の直流抵抗成分の値に比例するので、直流抵抗成分の値が大きいとフィードバックゲインの変動幅が大きくなって、制御不能になり易い(発振し易い)という問題がある。このため、充放電電源80によっては、充電用と放電用にそれぞれ複数の抵抗負荷を準備する必要がある。
更に、充放電電源80の電圧の制御条件(抵抗負荷81、86の直流抵抗成分の値の制限)が厳しい場合、制御不能になって校正のためのデータが取得できないことが多々発生する。その場合は、発振しないように手動で抵抗負荷81、86の調整を行いながら校正作業を行うことになり、校正作業に長時間を要すると共に、作業者の熟練度にも大きく影響を受けるという問題が生じる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、充放電電源が制御不能となることを回避して、校正用のデータを容易かつ効率的に取得することが可能な充放電電源の電圧校正方法及びその電圧校正用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る充放電電源の電圧校正方法は、充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に増加する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の増加を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻している。
【0008】
充放電電源が定電流制御の下で二次電池の充電を開始すると、二次電池の出力端子間の電圧は徐々に上昇するので、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流を検知して、充放電電源のリモートセンシング用電圧端子の定格電圧範囲内で徐々に上昇する電圧(擬似フィードバック信号)をリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電流制御を確認させる。なお、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は充放電電源の電流指令値の前後で変動するので、第1の設定値を予め設けておき、第1の設定値を超える電流が検出されれば、徐々に上昇する電圧を発生させる。
【0009】
充放電電源が二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池の出力端子間の電圧は充放電電源の電圧指令値に基づいて一定電圧を示すので、定電流制御の下で上昇させた電圧を定電圧制御に移行する直前の電圧値にロックし、ロックした電圧値を擬似フィードバック信号としてリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電圧制御を確認させる。ここで、二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は低下するので、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値以下になった時点で、定電流制御から定電圧制御に移行したと判断する。なお、二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行した直後は過渡状態のため二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は減少するが、時間が経過すると平衡状態に到達するので二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は一定の値に収束する。このため、過渡状態下における電流の下限値として第2の設定値を設けている。
【0010】
充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御から定電流制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は電流指令値に向けて上昇を開始する。このため、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値を超えていれば定電流制御に移行したと判断して、リモートセンシング用電圧端子に印加する電圧をロックした電圧値から徐々に上昇させ、充放電電源に定電流制御を確認させる。一方、充放電電源が定電圧制御を終了し電流検出抵抗に流れる電流が第2の設定値未満の際は、二次電池の充電が終了したと判断する。
【0011】
第1の発明に係る充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充電動作をしている充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止したことを確実に検知することができる。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る充放電電源の電圧校正方法は、充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に減少する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の減少を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻している。
【0013】
充放電電源が定電流制御の下で二次電池の放電を開始すると、二次電池の出力端子間の電圧は徐々に低下するので、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流を検知して、充放電電源のリモートセンシング用電圧端子の定格電圧範囲内で徐々に低下する電圧(擬似フィードバック信号)をリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電流制御を確認させる。なお、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は充放電電源の電流指令値の前後で変動するので、第1の設定値を超える電流が検出されれば、徐々に低下する電圧を発生させる。
【0014】
充放電電源が二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池の出力端子間の電圧は充放電電源の電圧指令値に基づいて一定電圧を示すので、定電流制御の下で低下させた電圧を定電圧制御に移行する直前の電圧値にロックし、ロックした電圧値を擬似フィードバック信号としてリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電圧制御を確認させる。ここで、二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は低下するので、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値以下になった時点で、定電流制御から定電圧制御に移行したと判断する。なお、二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行した直後は過渡状態のため二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は減少するが、時間が経過すると平衡状態に到達するので二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は一定の値に収束する。このため、過渡状態下における電流の下限値として第2の設定値を設けている。
【0015】
充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御から定電流制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は電流指令値に向けて上昇を開始する。このため、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値を超えていれば定電流制御に移行したと判断して、リモートセンシング用電圧端子に印加する電圧をロックした電圧値から徐々に低下させ、充放電電源に定電流制御を確認させる。一方、充放電電源が定電圧制御を終了し電流検出抵抗に流れる電流が第2の設定値未満の際は、二次電池の放電が終了したと判断する。
【0016】
第2の発明に係る充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、放電動作をしている充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止したことを確実に検知することができる。
【0017】
前記目的に沿う第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置は、充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する充電時電圧発生部とを有している。
【0018】
第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記充電時電圧発生部は、前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に増加させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の増加を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備える構成とすることができる。
これによって、電圧校正作業の自動化を容易に達成することができる。
【0019】
第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止した状態であることを確実に検知することができる。
【0020】
前記目的に沿う第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置は、充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記該電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する放電時電圧発生部とを有している。
【0021】
第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記放電時電圧発生部は、前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に減少させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の減少を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備える構成とすることができる。
これによって、電圧校正作業の自動化を容易に達成することができる。
【0022】
第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止した状態であることを確実に検知することができる。
【発明の効果】
【0023】
第1、第2の発明に係る充放電電源の電圧校正方法及び第3、第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置においては、充放電電源の出力端子から見た負荷インピーダンスは二次電池と電流検出抵抗の総和となるが、電流検出抵抗の負荷インピーダンスは二次電池のインピーダンスの10〜100%であるため実質的には二次電池のインピーダンス範囲(即ち、通常の動作時のインピーダンス)となり、電圧校正作業時に制御不能状態になることを回避できる。そして、複数の抵抗負荷を選定する技能制約と接続切替をする作業が必要なくなることから、電圧校正作業の時間短縮ができ、電圧の校正動作を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態に係る充放電電源の電圧校正用装置を充放電電源に接続して校正を行う際の説明図である。
図2】同電圧校正用装置のブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る充放電電源の電圧校正用装置を用いた充放電電源の電圧校正方法のフローチャートである。
図4】同電圧校正方法における二次電池の充電動作時の挙動の説明図である。
図5】同電圧校正方法における二次電池の放電動作時の挙動の説明図である。
図6】従来例に係る充電時の電圧校正方法を示す説明図である。
図7】従来例に係る放電時の電圧校正方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る充放電電源の電圧校正用装置10(以下、単に電圧校正用装置10ともいう)は、二次電池(例えば、鉛蓄電池等)11の充電又は放電を制御する充放電電源12の出力端子13、14間に二次電池11と共に直列に接続されて、充放電電源12が二次電池11の充電又は放電を定電圧制御の下で行う際に、充放電電源12に設定する電圧指令値の電圧校正を行うものである。
【0026】
そして、図2に示すように、電圧校正用装置10は、二次電池11のインピーダンスに対して10〜100%の負荷インピーダンスを備え、充放電電源12に対して二次電池11と共に直列に接続される電流検出抵抗15を備え、電流検出抵抗15に流れる電流を求める電流計測手段16と、電流計測手段16で求めた電流の出力先を、充放電電源12が充電制御であるか放電制御であるかに応じて切替える充電放電選択スイッチ17とを有している。更に、電圧校正用装置10は、充放電電源12が充電制御の場合に、電流計測手段16で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、電圧を充放電電源12が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加する充電時電圧発生部20と、充放電電源12が放電制御の場合に、電流計測手段16で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、電圧を充放電電源12が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加する放電時電圧発生部21とを備えた電圧演算手段22を有している。
【0027】
電流計測手段16は、電流検出抵抗15の両端間の電圧を測定する電圧計測部23と、測定された電圧値と予め求めておいた電流検出抵抗15の負荷インピーダンス(直流抵抗)とを用いて電流を求める電流検出部24と、求めた電流をデジタル値に変換するAD変換部25とを有している。
ここで、充放電電源の出力端子から見た負荷インピーダンスは二次電池と電流検出抵抗の総和となるが、電流検出抵抗15の負荷インピーダンスは二次電池11のインピーダンスに対して10〜100%の値を有するため、実質的には二次電池11のインピーダンス(即ち、通常の充放電動作時のインピーダンス)となる。従って、充放電電源12の制御操作により電流検出抵抗15を流れる電流が変化しても、電流検出抵抗15の両端間の電圧が大きく変化することはない。その結果、電流計測手段16で求めた電流に基づいて発生させる電圧の変動も小さくなって、電圧校正作業時に制御不能状態になることを回避できる。
【0028】
電圧演算手段22の充電時電圧発生部20は、充電放電選択スイッチ17の操作により充放電電源12が充電制御を行っていることを検知した場合、(1)充放電電源12が定電流制御を開始して電流検出抵抗15で検出される電流が第1の設定値(以下、閾値1という)を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に増加させる機能、(2)充放電電源12が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1以下第2の設定値(以下、閾値2という)以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の増加を停止して固定する機能、(3)充放電電源12が定電圧制御の状態を終了し電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1を超える際は電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、電流検出抵抗15で検出される電流が閾値2未満の際は固定した電圧を初期電圧値に戻す機能を備えている。ここで、充電時電圧発生部20は、(1)〜(3)の機能を発現するプログラムをマイクロコンピュータに搭載させることにより構成できる。なお、電圧演算手段22には、充電時電圧発生部20で設定される電圧をリモートセンシング用電圧端子18、19に印加する際にアナログ値に変換するDA変換部26が設けられている。
【0029】
このように、二次電池11を定電流制御又は定電圧制御の下で充電する場合に想定される二次電池11の応答に基づいた擬似応答信号をフィードバック信号として充放電電源12に入力するので、充放電電源12の制御に対応した充電状態を二次電池11に確実に形成することができる。その結果、充放電電源12が充電時に定電圧制御に移行する度に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、充放電電源12の充電時の電圧指令値に対する校正値を求めることができる。
【0030】
電圧演算手段22の放電時電圧発生部21は、充電放電選択スイッチ17の操作により、充放電電源12が放電制御を行っていることを検知した場合、(1´)充放電電源12が定電流制御を開始して電流検出抵抗15で検出される電流が閾値1を超える際は定電流制御の状態を維持させるために、電圧を初期電圧値から徐々に減少させ、(2´)充放電電源12が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1以下閾値2以上の際は定電圧制御の状態を維持させるために、電圧の減少を停止して固定し、(3´)充放電電源12が定電圧制御の状態を終了し電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1を超える際は電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、電流検出抵抗15で検出される電流が閾値2未満の際は固定した電圧を初期電圧値に戻す機能を備えている。ここで、放電時電圧発生部21は、(1´)〜(3´)の機能を発現するプログラムをマイクロコンピュータに搭載させることにより構成できる。なお、放電時電圧発生部21で設定される電圧は、DA変換部26を介してアナログ値に変換されてリモートセンシング用電圧端子18、19に印加される。
【0031】
このように、二次電池11を定電流制御又は定電圧制御の下で放電する場合に想定される二次電池11の応答に基づいた擬似応答信号をフィードバック信号として充放電電源12に入力するので、充放電電源12の制御に対応した放電状態を二次電池11に確実に形成することができる。その結果、充放電電源12が放電時に定電圧制御に移行する度に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、充放電電源12の放電時の電圧指令値に対する校正値を求めることができる。
【0032】
ここで、充電時電圧発生部20及び放電時電圧発生部21においてそれぞれ設定する閾値1は、充放電電源12が二次電池11の充電又は放電を定電流制御の下で行う際に電流検出抵抗15に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、閾値2は最大電流の5〜15%の範囲に設定されている。閾値1、閾値2を設けることにより、電流検出抵抗15で検出される電流に変動が生じていても、充放電電源12が定電流制御の状態であること、充放電電源12が定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、充放電電源12が定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、充放電電源12が動作を停止した状態であることを、それぞれ確実に検知することができる。
【0033】
続いて、本発明の一実施の形態に係る充放電電源の電圧校正用装置10を用いた充放電電源の電圧校正方法について説明する。
電圧校正用装置10を用いた充放電電源12の電圧校正方法(以下、単に電圧校正方法ともいう)は、図2に示すように、二次電池11の充電又は放電を制御する充放電電源12の出力端子13、14間に二次電池11のインピーダンスに対して10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗15を二次電池11と共に直列に接続して、二次電池11の充電又は放電を定電圧制御の下で行う際に、充放電電源12に設定する電圧指令値の電圧校正を行う方法である。以下、充放電電源12の電圧校正方法を、二次電池11を充電する場合と放電する場合に分けてそれぞれ説明する。
【0034】
(充電)
二次電池11を充電する場合における充放電電源12の電圧校正方法では、充放電電源12が充電制御を行っていることを検知し、充放電電源12が定電流制御を開始して電流検出抵抗15で検出される電流が第1の設定値(閾値1)を超える際は、初期電圧値から徐々に増加する電圧を充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加して定電流制御の状態を維持し、充放電電源12が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1以下第2の設定値(閾値2)以上の際は、電圧の増加を停止して固定し、固定した電圧をリモートセンシング用電圧端子18、19に印加して定電圧制御の状態を維持し、充放電電源12が定電圧制御の状態を終了して、電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1を超える際は電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、電流検出抵抗15で検出される電流が閾値2未満の際は固定した電圧を初期電圧値に戻しており、例えば、図3に示すフローAに沿って行われる。
【0035】
例えば、定電圧制御における電圧指令値1、2をそれぞれ設定して二次電池11の充電を行う際の充放電電源12の電圧校正を行う場合、先ず二次電池11の充電を電流指令値1の定電流制御1の状態で所定時間行った後、電圧指令値1の定電圧制御1の状態に移行させて充電を所定時間行い、次いで、電圧指令値1の定電圧制御1から電流指令値2の定電流制御2の状態に戻して充電を所定時間行った後、電圧指令値2の定電圧制御2の状態に移行させて充電を所定時間行って終了するように充放電電源12を運転する。
【0036】
このとき、図3のフローAに示すように、充放電電源12の運転と同期させて電圧校正用装置10の電源を入れると(ステップS1)、電圧校正用装置10は初期状態にセットされる(ステップS2)。そして、充放電電源12から充電運転であることを示す信号が入力されると充電放電選択スイッチ17は充電スイッチオン状態になる(ステップS3)。これにより、充電時電圧発生部20の初期電圧値が0ボルトに設定され(ステップS4)、電流計測手段16を用いて電流検出抵抗15に閾値1以上の電流が流れているか否かを判定する(ステップS5)。電流検出抵抗15に閾値1以上の電流が流れている場合は、充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1の運転状態であると判断して、電圧校正用装置10の校正動作開始を知らせるランプ点灯を行う(ステップS6)。なお、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1未満の場合は、充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1の運転状態に達していないと判断し、充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1の運転状態に達するまで待機する(ステップS2〜S5を繰返す)。
【0037】
電圧校正用装置10の校正動作開始を知らせるランプ点灯が行われると、充電時電圧発生部20の電圧を初期電圧値から予め設定された値(1ユニット、フローAでは1と表示)だけ増加させ(ステップS7)、一定時間待機(ステップS8)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定する(ステップS9)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超える場合は、充電時電圧発生部20の電圧を更に1ユニット増加させ(ステップS7)、一定時間待機(ステップS8)した後、再び電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下と判定されるまでステップS7〜S9が繰返される。
【0038】
これによって、充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超える間)、充電時電圧発生部20は初期電圧値から徐々に増加する電圧を発生させて充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加し、充放電電源12に定電流制御1が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図4に示す。
ここで、充電時電圧発生部20の電圧を増加させた後の待機時間は、例えば、充放電電源12が制御動作を繰返し行う際の時間間隔に一致させることが好ましい。
【0039】
充放電電源12による二次電池11の充電が電流指令値1の定電流制御1から電圧指令値1の定電圧制御1に移行すると、二次電池11に流れる電流は低下するので、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流が閾値1以下の場合、続いて、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定する(ステップS10)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2以上である場合は、一定時間待機(ステップS8)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流が閾値1以下であると電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定し(ステップS10)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満と判定されるまでステップS8〜S10が繰返される。
【0040】
これによって、充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1から電圧指令値1の定電圧制御1に移行して定電圧制御1を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であり閾値2以上の間)、充電時電圧発生部20の電圧は充放電電源12が電流指令値1の定電流制御1から電圧指令値1の定電圧制御1に移行する直前の電圧にロックされ、ロックされた電圧が充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加され、充放電電源12に定電圧制御1が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図4に示す。充放電電源12が定電圧制御1を行っている間に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、電圧指令値1に対する校正値を求めることができる。
【0041】
充放電電源12による二次電池11の充電が電圧指令値1の定電圧制御1から電流指令値2(図4では電流指令値1に等しい)の定電流制御2に移行すると、二次電池11に流れる電流は増加する。このため、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超えると判定されると(ステップS9)、充電時電圧発生部20はロックした電圧を1ユニット増加させ(ステップS7)、一定時間待機(ステップS8)した後、再び電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下と判定されるまでステップS7〜S9が繰返される。これによって、充放電電源12が電流指令値2の定電流制御2を行っている間、充電時電圧発生部20はロックした電圧から徐々に増加する電圧を発生させて充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加し、充放電電源12に定電流制御2が行われていることを認識させる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図4に示す。
【0042】
充放電電源12による二次電池11の充電が電流指令値2の定電流制御2から電圧指令値2の定電圧制御2に移行すると、二次電池11に流れる電流は低下するので、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流が閾値1以下の場合、更に、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定する(ステップS10)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2以上である場合は、一定時間待機(ステップS8)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS9)、電流が閾値1以下であると電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定し(ステップS10)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満と判定されるまでステップS8〜S10が繰返される。
【0043】
これによって、充放電電源12が電流指令値2の定電流制御2から電圧指令値2の定電圧制御2に移行して定電圧制御2を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であり閾値2以上の間)、充電時電圧発生部20の電圧は充放電電源12が電流指令値2の定電流制御2から電圧指令値2の定電圧制御2に移行する直前の電圧にロックされ、ロックされた電圧が充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加され、充放電電源12に定電圧制御2が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図4に示す。充放電電源12が定電圧制御2を行っている間に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、電圧指令値2に対する校正値を求めることができる。
そして、電圧指令値2の定電圧制御2による二次電池11の充電が終了すると、二次電池11に流れる電流は0となる。このため、電流検出抵抗15に流れる電流は閾値1以下であると判定され(ステップS9)、更に、電流検出抵抗15に流れる電流は閾値2未満であると判定され(ステップS10)、電圧校正用装置10は初期状態にセットされる(ステップS2)。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図4に示す。
【0044】
(放電)
二次電池11を放電する場合における充放電電源12の電圧校正方法では、充放電電源12が放電制御を行っていることを検知し、充放電電源12が定電流制御を開始して電流検出抵抗15で検出される電流が第1の設定値(閾値1)を超える際は、初期電圧値から徐々に減少する電圧を充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加して定電流制御の状態を維持し、充放電電源12が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1以下第2の設定値(閾値2)以上の際は、電圧の減少を停止して固定し、固定した電圧をリモートセンシング用電圧端子18、19に印加して定電圧制御の状態を維持し、充放電電源12が定電圧制御の状態を終了して、電流検出抵抗15で検出した電流が閾値1を超える際は電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、電流検出抵抗15で検出される電流が閾値2未満の際は固定した電圧を初期電圧値に戻しており、例えば、図3に示すフローBに沿って行われる。
【0045】
例えば、定電圧制御における電圧指令値3、4をそれぞれ設定して二次電池11の放電を行う際の充放電電源12の電圧校正を行う場合、先ず二次電池11の放電を電流指令値3の定電流制御3の状態で所定時間行った後、電圧指令値3の定電圧制御3の状態に移行させて放電を所定時間行い、次いで、電圧指令値3の定電圧制御3から電流指令値4の定電流制御4の状態に戻して放電を所定時間行った後、電圧指令値4の定電圧制御4の状態に移行させて放電を所定時間行って終了するように充放電電源12を運転する。
【0046】
このとき、図3のフローBに示すように、充放電電源12の運転と同期させて電圧校正用装置10の電源を入れ(ステップS1)、電圧校正用装置10を初期状態にセットして(ステップS2)、充放電電源12から放電運転であることを示す信号が入力されると充電放電選択スイッチ17は充電スイッチは非オン(オフ)状態になる(ステップS3)。これにより、放電時電圧発生部21の初期電圧値を、リモートセンシング用電圧端子18、19の定格電圧の最大値に設定し(ステップS11)、電流計測手段16を用いて電流検出抵抗15に閾値1以上の電流が流れているか否かを判定する(ステップS12)。電流検出抵抗15に閾値1以上の電流が流れている場合は、充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3の運転状態であると判断して、電圧校正用装置10の校正動作開始を知らせるランプ点灯を行う(ステップS13)。なお、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1未満の場合は、充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3の運転状態に達していないと判断し、充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3の運転状態に達するまで待機する(ステップS2、S3、S11、S12を繰返す)。
【0047】
電流検出抵抗15に閾値1以上の電流が流れている場合、放電時電圧発生部21の電圧を初期電圧値から予め設定された値(1ユニット、フローBでは1と表示)だけ減少させ(ステップS14)、一定時間待機(ステップS15)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定する(ステップS16)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超える場合は、放電時電圧発生部21の電圧を更に1ユニット減少させ(ステップS14)、一定時間待機(ステップS15)した後、再び電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下と判定されるまでステップS14〜S16が繰返される。これによって、充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超える間)、放電時電圧発生部21は初期電圧値から徐々に減少する電圧を発生させて充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加し、充放電電源12に定電流制御3が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図5に示す。
【0048】
充放電電源12による二次電池11の放電が電流指令値3の定電流制御3から電圧指令値3の定電圧制御3に移行すると、二次電池11に流れる電流は低下するので、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流が閾値1以下の場合、続いて、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定する(ステップS17)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2以上である場合は、一定時間待機(ステップS15)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流が閾値1以下であると電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定し(ステップS17)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満と判定されるまでステップS15〜S17が繰返される。
【0049】
これによって、充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3から電圧指令値3の定電圧制御3に移行して定電圧制御3を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であり閾値2以上の間)、放電時電圧発生部21の電圧は充放電電源12が電流指令値3の定電流制御3から電圧指令値3の定電圧制御3に移行する直前の電圧にロックされ、ロックされた電圧が充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加され、充放電電源12に定電圧制御3が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図5に示す。充放電電源12が定電圧制御3を行っている間に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、電圧指令値3に対する校正値を求めることができる。
【0050】
充放電電源12による二次電池11の放電が電圧指令値3の定電圧制御3から電流指令値4(図5では電流指令値3に等しい)の定電流制御4に移行すると、二次電池11に流れる電流は減少する。このため、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1を超えると判定されると(ステップS16)、放電時電圧発生部21はロックした電圧を1ユニット減少させ(ステップS14)、一定時間待機(ステップS15)した後、再び電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下と判定されるまでステップS14〜S16が繰返される。これによって、充放電電源12が電流指令値4の定電流制御4を行っている間、放電時電圧発生部21はロックした電圧から徐々に減少する電圧を発生させて充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加し、充放電電源12に定電流制御4が行われていることを認識させる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図5に示す。
【0051】
充放電電源12による二次電池11の放電が電流指令値4の定電流制御4から電圧指令値4の定電圧制御4に移行すると、二次電池11に流れる電流は低下するので、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流が閾値1以下の場合、更に、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定する(ステップS17)。そして、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満でない、即ち電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2以上である場合は、一定時間待機(ステップS15)した後、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であるか否かを判定し(ステップS16)、電流が閾値1以下であると電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満であるか否かを判定し(ステップS17)、電流検出抵抗15に流れる電流が閾値2未満と判定されるまでステップS15〜S17が繰返される。
【0052】
これによって、充放電電源12が電流指令値4の定電流制御4から電圧指令値4の定電圧制御4に移行して定電圧制御4を行っている間(電流検出抵抗15に流れる電流が閾値1以下であり閾値2以上の間)、放電時電圧発生部21の電圧は充放電電源12が電流指令値4の定電流制御4から電圧指令値4の定電圧制御4に移行する直前の電圧にロックされ、ロックされた電圧が充放電電源12のリモートセンシング用電圧端子18、19に印加され、充放電電源12に定電圧制御4が行われていることを確認させることができる。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図5に示す。充放電電源12が定電圧制御4を行っている間に、リモートセンシング用電圧端子18、19間の電圧を校正済みの電圧測定基準器で測定することにより、電圧指令値4に対する校正値を求めることができる。
そして、電圧指令値4の定電圧制御4による二次電池11の放電が終了すると、二次電池11に流れる電流は0となる。このため、電流検出抵抗15に流れる電流は閾値1以下であると判定され(ステップS16)、更に、電流検出抵抗15に流れる電流は閾値2未満であると判定され(ステップS17)、電圧校正用装置10は初期状態にセットされる(ステップS2)。このとき充放電電源12で確認される電流及び電圧を図5に示す。
【0053】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【符号の説明】
【0054】
10:電圧校正用装置、11:二次電池、12:充放電電源、13、14:出力端子、15:電流検出抵抗、16:電流計測手段、17:充電放電選択スイッチ、18、19:リモートセンシング用電圧端子、20:充電時電圧発生部、21:放電時電圧発生部、22:電圧演算手段、23:電圧計測部、24:電流検出部、25:AD変換部、26:DA変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7