【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る充放電電源の電圧校正方法は、充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に増加する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の増加を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記
第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻している。
【0008】
充放電電源が定電流制御の下で二次電池の充電を開始すると、二次電池の出力端子間の電圧は徐々に上昇するので、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流を検知して、充放電電源のリモートセンシング用電圧端子の定格電圧範囲内で徐々に上昇する電圧(擬似フィードバック信号)をリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電流制御を確認させる。なお、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は充放電電源の電流指令値の前後で変動するので、第1の設定値を予め設けておき、第1の設定値を超える電流が検出されれば、徐々に上昇する電圧を発生させる。
【0009】
充放電電源が二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池の出力端子間の電圧は充放電電源の電圧指令値に基づいて一定電圧を示すので、定電流制御の下で上昇させた電圧を定電圧制御に移行する直前の電圧値にロックし、ロックした電圧値を擬似フィードバック信号としてリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電圧制御を確認させる。ここで、二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は低下するので、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値以下になった時点で、定電流制御から定電圧制御に移行したと判断する。なお、二次電池の充電を定電流制御から定電圧制御に移行した直後は過渡状態のため二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は減少するが、時間が経過すると平衡状態に到達するので二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は一定の値に収束する。このため、過渡状態下における電流の下限値として第2の設定値を設けている。
【0010】
充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御から定電流制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は電流指令値に向けて上昇を開始する。このため、電流検出抵抗に流れる電流が
第1の設定値を超えていれば定電流制御に移行したと判断して、リモートセンシング用電圧端子に印加する電圧をロックした電圧値から徐々に上昇させ、充放電電源に定電流制御を確認させる。一方、充放電電源が定電圧制御を終了し電流検出抵抗に流れる電流が第2の設定値未満の際は、二次電池の充電が終了したと判断する。
【0011】
第1の発明に係る充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充電動作をしている充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止したことを確実に検知することができる。
【0012】
前記目的に沿う第2の発明に係る充放電電源の電圧校正方法は、充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正方法であって、
前記充放電電源に対して、前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを有する電流検出抵抗を該二次電池と共に直列に接続し、
前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、該充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、初期電圧値から徐々に減少する電圧を前記充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加して定電流制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、電圧の減少を停止して固定し、固定した電圧を前記リモートセンシング用電圧端子に印加して定電圧制御の状態を維持し、
前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了して、前記電流検出抵抗で検出した電流が前記
第1の設定値を超える際は電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻している。
【0013】
充放電電源が定電流制御の下で二次電池の放電を開始すると、二次電池の出力端子間の電圧は徐々に低下するので、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流を検知して、充放電電源のリモートセンシング用電圧端子の定格電圧範囲内で徐々に低下する電圧(擬似フィードバック信号)をリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電流制御を確認させる。なお、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は充放電電源の電流指令値の前後で変動するので、第1の設定値を超える電流が検出されれば、徐々に低下する電圧を発生させる。
【0014】
充放電電源が二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池の出力端子間の電圧は充放電電源の電圧指令値に基づいて一定電圧を示すので、定電流制御の下で低下させた電圧を定電圧制御に移行する直前の電圧値にロックし、ロックした電圧値を擬似フィードバック信号としてリモートセンシング用電圧端子に印加することにより、充放電電源に定電圧制御を確認させる。ここで、二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れている電流は低下するので、電流検出抵抗に流れる電流が第1の設定値以下になった時点で、定電流制御から定電圧制御に移行したと判断する。なお、二次電池の放電を定電流制御から定電圧制御に移行した直後は過渡状態のため二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は減少するが、時間が経過すると平衡状態に到達するので二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は一定の値に収束する。このため、過渡状態下における電流の下限値として第2の設定値を設けている。
【0015】
充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御から定電流制御に移行すると、二次電池(電流検出抵抗)に流れる電流は電流指令値に向けて上昇を開始する。このため、電流検出抵抗に流れる電流が
第1の設定値を超えていれば定電流制御に移行したと判断して、リモートセンシング用電圧端子に印加する電圧をロックした電圧値から徐々に低下させ、充放電電源に定電流制御を確認させる。一方、充放電電源が定電圧制御を終了し電流検出抵抗に流れる電流が第2の設定値未満の際は、二次電池の放電が終了したと判断する。
【0016】
第2の発明に係る充放電電源の電圧校正方法において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定し、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定することが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、放電動作をしている充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止したことを確実に検知することができる。
【0017】
前記目的に沿う第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置は、充放電電源が二次電池の充電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する充電時電圧発生部とを有している。
【0018】
第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記充電時電圧発生部は、前記充放電電源が充電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に増加させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の増加を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記
第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の増加を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備える構成とすることができる。
これによって、電圧校正作業の自動化を容易に達成することができる。
【0019】
第3の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の充電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止した状態であることを確実に検知することができる。
【0020】
前記目的に沿う第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置は、充放電電源が二次電池の放電を定電圧制御の下で行う際に該充放電電源に設定する電圧指令値の電圧校正を行う充放電電源の電圧校正用装置であって、
前記二次電池のインピーダンスの10〜100%の負荷インピーダンスを備え、前記充放電電源に対して前記二次電池と共に直列に接続される電流検出抵抗と、
前記該電流検出抵抗に流れる電流を求める電流計測手段と、
前記電流計測手段で求めた電流に基づいて電圧を発生させて、該電圧を前記充放電電源が定電流制御又は定電圧制御を行う際のフィードバック信号として該充放電電源のリモートセンシング用電圧端子に印加する放電時電圧発生部とを有している。
【0021】
第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記放電時電圧発生部は、前記充放電電源が放電制御を行っていることを検知し、(1)前記充放電電源が定電流制御を開始して前記電流検出抵抗で検出される電流が第1の設定値を超える際は、定電流制御の状態を維持させるために電圧を初期電圧値から徐々に減少させ、(2)前記充放電電源が定電流制御から定電圧制御の状態に移行して前記電流検出抵抗で検出した電流が前記第1の設定値以下第2の設定値以上の際は、定電圧制御の状態を維持させるために電圧の減少を停止して固定し、(3)前記充放電電源が定電圧制御の状態を終了し前記電流検出抵抗で検出した電流が前記
第1の設定値を超える際は、電圧の固定を解除して電圧の減少を再開し、(4)前記電流検出抵抗で検出される電流が前記第2の設定値未満の際は、前記固定した電圧を前記初期電圧値に戻す各機能を備える構成とすることができる。
これによって、電圧校正作業の自動化を容易に達成することができる。
【0022】
第4の発明に係る充放電電源の電圧校正用装置において、前記第1の設定値は、前記充放電電源が前記二次電池の放電を定電流制御の下で行う際に前記電流検出抵抗に流れる最大電流の85〜95%の範囲に設定され、前記第2の設定値は前記最大電流の5〜15%の範囲に設定されることが好ましい。
これによって、電流検出抵抗で検出される電流に変動が生じていても、充放電電源が、(a)定電流制御の状態であること、(b)定電流制御から定電圧制御の状態に移行したこと、(c)定電圧制御から定電流制御の状態に移行したこと、(d)動作を停止した状態であることを確実に検知することができる。