(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結体は、前記射出筒部の前端部に形成された第一装着部に装着される第二装着部と、前記ノズルの後端部に形成された第三装着部が装着される第四装着部と、を備え、
前記ノズルの第三装着部は、前記射出筒部の第一装着部に装着可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
図1に示すように、トリガー式液体噴出器10は、上下方向に延在する吸上げ筒部13と、吸上げ筒部13の上部前面から前方に向けて延設される射出筒部14と、を有して側面視で概略L字形状をなす噴出器本体11を備える。また、トリガー式液体噴出器10は、射出筒部14の前端にノズル12を備える。本実施形態のトリガー式液体噴出器10の各構成は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成型品とされる。
【0013】
吸上げ筒部13は、有頂筒状の外筒18と、外筒18内に嵌入される内筒19と、を有する。外筒18及び内筒19はそれぞれ、下方から上方に向けて大径部18a、19aと小径部18b、19bとを形成する。
外筒18及び内筒19の両小径部18b、19bの各中心軸線は、共通軸上に位置する。この共通軸を軸線Oとし、該軸線Oに沿う方向を上下方向とする。また、上下方向に沿って、トリガー式液体噴出器10に図示しない容器体が装着される側を下側とし、その反対側を上側とする。
【0014】
各大径部18a、19aには、前記容器体の口部に装着される装着キャップ20が取り付けられる。内筒19の小径部19bには、装着キャップ20を前記容器体に取り付けたときに、前記容器体内の底部に下端開口を配置するパイプ21の上部が嵌入される。外筒18は、大径部18aの上端と小径部18bの下端とを連結するフランジ部18cを備え、内筒19は、大径部19aの上端と小径部19bの下端とを連結するフランジ部19cを備える。
【0015】
射出筒部14は、その後端を吸上げ筒部13の内筒19の上部前面に接続する。内筒19の上部前面には、その内部空間と射出筒部14の内部空間とを連通させる吐出孔22が形成される。
射出筒部14の前部には、噴出器本体11における前端閉塞部材25の後方延出筒部25cが外嵌される。前端閉塞部材25は、射出筒部14の前端開口14aに対向する対向板部25bと、対向板部25bの後面から後方に延出する後方延出筒部25cと、対向板部25bの前面から前方に延出する第一嵌合筒25aと、第一嵌合筒25aの内周側で対向板部25bの前面から前方に延出する中央突部25dと、を有する。第一嵌合筒25a及び中央突部25dは、射出筒部14に対して下方に偏倚して設けられる。対向板部25bにおける中央突部25dの上方で第一嵌合筒25aの内側に位置する部位には、射出筒部14の前端開口14aに連通する射出孔25eが形成される。
【0016】
第一嵌合筒25aには、後に詳述する連結体60の後側の第二嵌合筒60aが外嵌される。第一嵌合筒25aの内側には、中央に中央突部25dを配置した筒状の内部空間25fが形成される。
連結体60の前側には、ノズル12の内側の第三嵌合筒12aを外嵌させる第四嵌合筒60bが形成される。第四嵌合筒60bの内側には、中央に中心軸60d及び中心筒12dを配置した筒状の通過空間61が形成される。通過空間61は、下部後側が第一連通孔62を介して第一嵌合筒25aの内部空間25fと連通するとともに、中心軸60d及び中心筒12dの各凹溝68a,68bを介してノズル12の噴出孔12c後方の旋回路12eと連通する。これにより、吸上げ筒部13から射出筒部14に導入された液体は、射出孔25e、第一嵌合筒25aの内部空間25f、第一連通孔62、通過空間61、中心軸60d及び中心筒12dの各凹溝68a,68b、並びに旋回路12eを経て、噴出孔12cからノズル12前方に噴射される。
【0017】
射出筒部14の図示しない中心軸線は、前記軸線Oに直交する直交面に沿って延在する。この射出筒部14の中心軸線に沿う方向を前後方向とする。また、前後方向に沿って、前記軸線Oに対して射出筒部14が位置する側を前側とし、その反対側を後側とする。さらに、上下方向及び前後方向の両方向に直交する方向を左右方向とする。
【0018】
吸上げ筒部13の内筒19の上端部内には、上下方向に弾性変形可能に形成された吐出弁23が配置される。吐出弁23は、内筒19の上端開口から外筒18の上壁の下面に当接するベース部23aと、ベース部23aの下方に配置されて内筒19内に段差状に形成された弁座19dに上方から当接する弁体23bと、ベース部23a及び弁体23b間を連結する中空バネ部23cと、を有する。弁体23bは、中空バネ部23cに上方から押圧されて弁座19dに液密に当接し、内筒19内における弁座19dよりも上方の空間と下方の空間との連通を遮断する。また、弁体23bは、中空バネ部23cの付勢力に抗して上昇して弁座19dから離間することで、弁座19dよりも上方の空間と下方の空間とを連通させる。
【0019】
内筒19の内周面において、弁座19dよりも下方かつパイプ21の上端よりも上方に位置する部分には、下側ほど縮径するテーパ筒部19eが突設される。テーパ筒部19eの内側には、球状の吸い込み弁24が配置される。吸い込み弁24は、テーパ筒部19eの内周面に離反可能に着座する。吸い込み弁24は、内筒19内において、吐出弁23及び吸い込み弁24間の空間と吸い込み弁24下方の空間とを連通及び遮断する。
【0020】
吸上げ筒部13の外筒18において、射出筒部14よりも下方に位置する部分には、前方に向けて開口するように突出するシリンダ収納筒部27が一体形成される。シリンダ収納筒部27の下壁は、その後部が外筒18のフランジ部18cを形成する。外筒18のフランジ部18cと内筒19のフランジ部19cとの間には隙間が形成される。
【0021】
噴出器本体11は、射出筒部14から下方に延在して前後方向に揺動可能とされるトリガー部15と、トリガー部15の前後揺動に連動して前後動するピストン16と、ピストン16の前後動に伴い内部が加圧及び減圧させられるシリンダ17と、トリガー部15を前方に揺動する側に付勢する弾性板部26と、吸上げ筒部13及び射出筒部14並びに連結体60の収容シリンダ60eを覆うカバー体30と、をさらに備える。カバー体30は、吸上げ筒部13及び射出筒部14並びに収容シリンダ60eを上側、後側及び左右方向の両側から覆う。
【0022】
シリンダ17は、後端閉塞の筒状であり、前方に向けて開口する外筒部31と、外筒部31の内側で後壁17aの中央から前方に延設されるピストンガイド部32と、を備える。ピストンガイド部32の後端開口には、シリンダ収納筒部27の後端面に突設された嵌合突部29が嵌入される。
外筒部31は、シリンダ収納筒部27内に嵌入される。シリンダ収納筒部27の内周面と外筒部31の外周面とは、前後方向の両端部が気密に当接するとともに、前後の当接部間には隙間が設けられ、この隙間が筒状空間を形成する。外筒部31には、その内部空間と前記筒状空間とを連通する第一通気孔31aが形成される。
【0023】
シリンダ収納筒部27の下壁で外筒18のフランジ部18cには、前記筒状空間を内外筒18,19の両フランジ部18c,19c間の隙間に開口させる第二通気孔27aが形成される。内筒19のフランジ部19cには、前記隙間を内筒19の大径部19a及び装着キャップ20の内側の空間に開口させる第三通気孔19fが形成される。
シリンダ17の後壁17aにおいて、ピストンガイド部32の上方に位置する部位には、外筒18を貫通してシリンダ17の内部空間を外筒18内に開口させる貫通筒33aが形成される。貫通筒33aは、吸上げ筒部13に形成された貫通孔33bを介して、内筒19内における吐出弁23及び吸い込み弁24間の空間に開口する。
【0024】
ピストン16は、前端閉塞の筒状であり、前部16aに比して後部16bが大径とされる。ピストン16は、後方に向けて開口しかつ内部にピストンガイド部32が挿入されるピストン本体部35と、ピストン本体部35の後端部に設けられて外筒部31の内周面に摺接する摺動筒部36と、を備える。
シリンダ17の外筒部31及びピストンガイド部32、並びにピストン16のピストン本体部35及び摺動筒部36は、前後方向に沿って延びる図示しない共通軸上に配置される。
【0025】
摺動筒部36は、内径がピストン本体部35の内径と同等で、かつ外径がピストン本体部35の外径よりも大きく形成されるとともに、ピストン本体部35の後端面に連結される。
ピストン本体部35及び摺動筒部36の内径は、ピストンガイド部32の外径よりも大きく、ピストン本体部35及び摺動筒部36の内周面とピストンガイド部32の外周面とは互いに離間する。
【0026】
ピストン16の外周において、ピストン本体部35はシリンダ17の外筒部31の内周面に摺接せず、摺動筒部36のみが液密に摺接する。摺動筒部36の前後端部の外周には、それぞれ末端側ほど拡径するテーパ状の前後リップ36a,36bが設けられる。前後リップ36a,36bは、それぞれ外筒部31の内周面に液密に圧接される。
ピストン16は、トリガー部15とともに弾性板部26の付勢力によって前方に付勢される。ピストン16の前部16aはトリガー部15に連結され、トリガー部15を後方に引くとピストン16が後方に移動してシリンダ17内に押し込まれる(
図2参照)。ピストン16は、トリガー部15が最前方揺動位置にあるときに最前進位置となり、このとき、摺動筒部36が第一通気孔31aを閉塞する。ピストン16は、トリガー部15の後方揺動により所定量だけ後方移動すると、摺動筒部36が第一通気孔31aをシリンダ17外部に開口させる。
【0027】
トリガー部15は、側面視凹状の前面を形成する主板部材41と、主板部材41の左右側縁から後方に向けて起立する一対の側板部材42と、を有する。両側板部材42の上端部は、射出筒部14の外側方に至るまで上方に延出し、射出筒部14を左右から挟み込む一対の連結部43を形成する。両連結部43には、左右方向の外側に向けて軸部44が突設される。両軸部44は、射出筒部14の上方を覆う上板部材50の左右両側に設けた軸受け部51に回動可能に支持される。これにより、トリガー部15が両軸部44を中心に前後に揺動可能となる。
【0028】
トリガー部15の上部には、主板部材41を前後に貫通する開口部45が形成される。開口部45の後方には、該開口部45の周縁部を後方に延長するように筒状部46が連設される。筒状部46の後部内周面の左右両側には、左右方向の内側に向けて一対の軸部48が突設される。両軸部48は、ピストン16の前部16a両側に回動可能かつ上下方向で所定量だけ移動可能に連結される。これにより、トリガー部15の前後揺動に伴いピストン16が軸方向で前後に移動可能となる。
【0029】
射出筒部14の上面には、噴出器本体11における水平板状の上板部材50が取り付けられる。上板部材50の左右両側には、それぞれ弾性板部26が一体形成される。弾性板部26は、側面視で前方に凸の円弧状をなし、射出筒部14の両側を通過して射出筒部14の下方まで延びる。弾性板部26は、側面視で互いに同心の円弧状をなして前後に並ぶ一対の板バネを有する。以下、弾性板部26の前側に位置する板バネを主板バネ26a、後側に位置する板バネを副板バネ26bとする。両板バネ26a,26bの下端部は、円弧状の折り返し部26cを介して一体に連なる。折り返し部26cからは係止片26dが垂下し、この係止片26dがトリガー部15の側面に形成されたポケット部49に上方から差し込まれて係合する。弾性板部26は、係止片26d及びポケット部49を介して、トリガー部15を前方に向けて付勢する。
【0030】
トリガー部15は、弾性板部26に付勢されて主板部材41の上端を前端閉塞部材25の下端に当接させることで、前方に揺動しきった最前方揺動位置となる。この位置からトリガー部15が後方に引かれると、弾性板部26が係止片26dを介して折り返し部26cを後方に移動させるように弾性変形する。このとき、弾性板部26は、湾曲外周側の主板バネ26aに対して湾曲内周側の副板バネ26bを大きく屈伸させるように弾性変形する。係止片26dは、トリガー部15が最前方揺動位置にあるときは、トリガー部15のポケット部49に全体的に挿入されて係合した状態となり、トリガー部15が後方に引かれると、ポケット部49から上方に抜け出しつつもトリガー部15が最後方揺動位置に至るまでポケット部49への係合状態を維持する。
【0031】
トリガー部15及びピストン16の付勢手段を、噴出器本体11に一体形成した合成樹脂製の弾性板部26で構成することで、付勢手段として金属バネを用いる場合と比べて、トリガー式液体噴出器10を廃棄した際のリサイクル性能に優れる。弾性板部26の上端部後方には、後方に開放する側面視C字形状の軸受け部51が一体形成される。
【0032】
ノズル12は、連結体60の前側に突設された第四嵌合筒60bに取り付けられる。ノズル12の内側には、第四嵌合筒60bに外嵌する第三嵌合筒12aと、第三嵌合筒12aの前端を閉塞するとともに中央に噴出孔12cが穿設された前壁12bと、を有する。第三嵌合筒12aの内周面には外係止爪12fが突設され、第四嵌合筒60bの外周面には内係止爪60fが突設される。これら内外係止爪12f,60f同士の係合により、第三嵌合筒12aひいてはノズル12は、第四嵌合筒60bひいては連結体60から離脱することが制限される。この状態で、第三嵌合筒12aひいてはノズル12は、第四嵌合筒60bひいては連結体60に対して、第三及び第四嵌合筒12a,60bに共通の中心軸回りに回動可能とされる。
【0033】
ノズル12における第三嵌合筒12aの内側には、連結体60前側の中心軸60dの外周に液密かつ回動可能に外嵌する中心筒12dが突設される。中心筒12dの内面には、前後方向に延びる凹溝68aが形成される。凹溝68aは、中心軸60dの外面に形成された凹溝68bに対し、ノズル12の所定回動位置では連通状態となり、それ以外の回動位置では非連通状態となる。中心筒12d及び中心軸60dは、第三及び第四嵌合筒12a,60bと同軸に配置される。ノズル12は、中心軸60d回りに回動することで、液体噴出の可否を切り替える。
【0034】
ノズル12の前側には、液体の噴出形態を霧状及び泡状等に切り替えるためのノズル板52が、左右方向に沿う軸52a回りに開閉可能に設けられる。ノズル12の前壁12bの後面において、中心筒12dの内側には旋回路12eが凹設され、中心筒12d及び第三嵌合筒12aの間には第四嵌合筒60bの前部内周に接するシール筒部12gが突設される。
【0035】
連結体60は、射出筒部14の前方で前端閉塞部材25の第一嵌合筒25aに外嵌する第二嵌合筒60aと、第二嵌合筒60aの前端を閉塞するとともに第二嵌合筒60aの上方に延びる前壁60cと、前壁60cの上部から後方に延びる収容シリンダ60eと、前壁60cの上下中央部から前方に突出する第四嵌合筒60bと、第四嵌合筒60bの内側で前壁60cから前方に突出する中心軸60dと、を有する。
中心軸60d及びこれに外嵌するノズル12の中心筒12dと第二嵌合筒60aとの間には、筒状の通過空間61が形成される。通過空間61は、中心軸60d及び中心筒12dの各凹溝68a,68bが互いに連通したとき、各凹溝68a,68b並びに旋回路12eを介して噴出孔12cに連通する。
【0036】
前壁60cにおける中心軸60dの下方に位置する部位には、通過空間61と前端閉塞部材25の第一嵌合筒25aの内部空間25fとを連通する第一連通孔62が形成される。第一嵌合筒25aの内部空間25fには、前端閉塞部材25の射出孔25eを通じて、射出筒部14の前端開口14aが臨む。前壁60cの下部後面において、第二嵌合筒60aの内側には第一嵌合筒25aの前部内周に接するシール筒部60gが突設される。第一導入孔は、中心軸60d及び中心筒12dの各凹溝68a,68bからなる第一導入路68よりも流路面積が大きい。
前壁60cにおける中心軸60dの上方に位置する部位には、通過空間61と収容シリンダ60eの内部空間とを連通する第二連通孔63が形成される。
【0037】
ここで、前端閉塞部材25の前側に設けられる第一嵌合筒25a及び中央突部25dは、連結体60の前側に設けられる第四嵌合筒60b及び中心軸60dと同一形態とされる。また、連結体60の下部後側に設けられる第二嵌合筒60a及びシール筒部60gは、ノズル12の内側に設けられる第三嵌合筒12a及びシール筒部12gと同一形態とされる。すなわち、連結体60を無くした場合、前端閉塞部材25の前側にノズル12を装着することが可能である。
【0038】
収容シリンダ60eは、射出筒部14の上方で射出筒部14と平行に前後に延びる。収容シリンダ60eは、その内部に、金属製のコイルスプリング65によって前方付勢状態でかつ後方移動自在に配設された補助ピストン64を収容する。収容シリンダ60eの後端部は、吸上げ筒部13よりも後方まで延びる。収容シリンダ60eの後端部には、コイルスプリング65の後端部を支持する後端キャップ66が嵌入される。補助ピストン64は、収容シリンダ60e内に液密に嵌入される。収容シリンダ60e及び補助ピストン64は、第二連通孔63を介して通過空間61に対して液体を吸排可能なサブタンク67を構成する。
【0039】
補助ピストン64は、コイルスプリング65の前部を支持してバネ力を受けるピストン本体64aと、ピストン本体64aの前端部に嵌着されるパッキン64dと、を有する。
ピストン本体64aは、前端閉塞で後方に延びる筒状をなし、その前部外周には収容シリンダ60eの内面に近接する拡径ガイド部64bを形成するとともに、前端にはパッキン64dに嵌合する前端突部64cを形成する。ピストン本体64aの後部は、コイルスプリング65内に挿入される。コイルスプリング65の前端は、拡径ガイド部64bの後面に当接する。コイルスプリング65は、拡径ガイド部64bと後端キャップ66との間で縮接され、ピストン本体64aを前方に付勢する。
【0040】
パッキン64dは、前端閉塞の筒状をなし、ピストン本体64aの前端部形状に整合するように外嵌される。パッキン64dの前後端部の外周には、それぞれ末端側ほど拡径するテーパ状の前後リップ64e,64fが設けられる。前後リップ64e,64fは、それぞれ収容シリンダ60eの内周面に液密に圧接される。
【0041】
後端キャップ66は、前端閉塞の筒状をなし、収容シリンダ60eの後端部内に嵌入され、後端フランジ66aの前面を収容シリンダ60eの後端に当接させる。後端キャップ66の前壁66bには、コイルスプリング65の後端が当接する。後端キャップ66の前壁66bの中央には、補助ピストン64の移動時に収容シリンダ60e内の空気を出入りさせる空気孔66cが形成される。
【0042】
補助ピストン64は、パッキン64dの前面を連結体60の前壁60cの後面に当接させた状態を最前進位置とする。補助ピストン64が最前進位置にあるときは、サブタンク67内から液体が出きった状態となる。補助ピストン64は、最前進位置にあるときに、後端キャップ66から離間し、後方移動可能となる。補助ピストン64は、ピストン本体64aの後端が後端キャップ66の前面に当接した状態を最後退位置とする。補助ピストン64が最後退位置にあるときは、サブタンク67内に液体が入りきった状態となる。
【0043】
以下、上記構成の作用について説明する。
まず、噴出対象の液体を収容した容器体の口部にトリガー式液体噴出器10を取り付け、トリガー部15を複数回操作してトリガー式液体噴出器10の各部内に液体を充填し、吸上げ筒部13から液体を吸い上げ可能な状態にする。その後、トリガー部15を弾性板部26の付勢力に抗して後方に引くと、ピストン16が後退してシリンダ17内の液体を吸上げ筒部13内に導入し、この液体が吸い込み弁24を押し下げて閉じるとともに吐出弁23を押し上げて開いて、射出筒部14内に導入される(
図2参照)。その後、射出筒部14内に導入された液体は、前端開口14a、射出孔25e、第一嵌合筒25aの内部空間25f、第一連通孔62を経て、通過空間61に導入される。通過空間61に導入された液体は、中心軸60d及び中心筒12dの各凹溝68a,68bからなる第一導入路68並びに旋回路12eを通じて、噴出孔12cよりノズル12前方へ噴出される。
【0044】
このとき、第一導入路68の流路面積が第一連通孔62の流路面積よりも小さいことから、第一連通孔62から通過空間61に導入される液体の圧力が上昇する。通過空間61は、第二連通孔63を介して収容シリンダ60e内に連通しているので、通過空間61の液体の圧力が上昇すると、該液体の一部が収容シリンダ60e内に導入される。本実施形態では、一例として、通過空間61内に導入される液体の約半分がノズル12から直接噴出され、残りの約半分が収容シリンダ60e内に導入されるように設計される。収容シリンダ60e内に液体が導入されると、補助ピストン64がコイルスプリング65の付勢力に抗して後退する。
【0045】
次に、トリガー部15を解放すると、弾性板部26の弾性復元力によりピストン16が前進し、シリンダ17内に負圧が生じる。この負圧により、パイプ21から容器体内の液体を吸い上げ、この液体が吸い込み弁24を押し上げて開いてシリンダ17内に導入される。このとき、吐出弁23は閉じている。
【0046】
他方、ノズル12側では、射出筒部14から通過空間61への液体導入は停止するものの、収容シリンダ60e内に導入された液体は、コイルスプリング65の弾性復元力により補助ピストン64が前進することで、第二連通孔63を経て通過空間61に導入され、第一導入路68及び旋回路12eを通じて噴出孔12cからノズル12前方へ噴出される。すなわち、トリガー部15を後方に引く操作だけでなく、トリガー部15が前方に戻る動作でも、ノズル12から液体が噴出することとなり、液体の連続噴射が可能となる。
【0047】
補助ピストン64の前進時、再びトリガー部15を引かなければ、補助ピストン64は最前進位置まで前進するが、その前にトリガー部15を引く操作を繰り返すことができる。この場合、補助ピストン64が略一定の幅で後退と前進とを繰り返し、全体としては徐々に後方へ移動する。これにより、収容シリンダ60e内に徐々に液体が溜まっていく。そして、補助ピストン64を最後退位置まで移動させることで、補助ピストン64が最後退位置から最前進位置に移動するまでの長時間、液体を連続噴射することが可能となる。
【0048】
補助ピストン64が最後退位置まで後退し、収容シリンダ60e内に液体を充填しきった状態では、トリガー部15の作動により通過空間61に導入された液体の全てが、ノズル12から直接噴出されるが、補助ピストン64が後退しきったときに開通する戻し通路を設けて通過空間61内の液体の一部を容器体内に戻す構成としてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器10では、噴出器本体11とノズル12とを連通する連結体60に、射出筒部14の前端開口14aに向けて開口する第一連通孔62と、第一連通孔62からの液体をノズル12の噴出孔12cに導き、かつ第一連通孔62より流路断面積の小さい第一導入路68と、第一連通孔62と第一導入路68とを連通する通過空間61と、が形成され、前方付勢状態の補助ピストン64を収容する収容シリンダ60eの前端部に、収容シリンダ60e内と通過空間61とを連通する第二連通孔63が形成される。
【0050】
これにより、トリガー部15を引いてノズル12前方に液体を噴射する際、通過空間61に導入される液体の一部を第二連通孔63を介して収容シリンダ60e内に導入し、その後、トリガー部15を解放したときに、収容シリンダ60e内に導入された液体を第二連通孔63及び通過空間61を通じてノズル12から噴射する。すなわち、トリガー部15を後方に引くだけでなくトリガー部15が前方に戻るときにも、ノズル12から液体が噴出することとなり、液体の連続噴射が可能となる。
【0051】
また、連結体60がサブタンク67のアタッチメントとなり、この連結体60を介して噴出器本体11にノズル12を連結するので、噴出器本体11及びノズル12に特段の変更及び加工をすることなく、連続噴射を可能にしたトリガー式液体噴出器10を容易に構成することができる。
【0052】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、
図3を参照して説明する。
第二実施形態のトリガー式液体噴出器110は、前記第一実施形態に対して、連結体60の前側にさらにノズルアダプタ70を装着し、このノズルアダプタ70の前側に蓄圧作動式のノズル112を装着する点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0053】
連結体60前側の第四嵌合筒60bには、ノズルアダプタ70の内側の第五嵌合筒70aが外嵌される。第四嵌合筒60bの内側には、中央に中心軸60dを配置した筒状の通過空間71が形成される。通過空間71は、下部後側が第一連通孔62を介して第一嵌合筒25aの内部空間25fと連通するとともに、上部前側が第二導入路72を介してノズル112内側の蓄圧室112dと連通する。第二導入路72の流路面積は第一連通孔62の流路面積よりも小さい。
【0054】
ノズルアダプタ70は、連結体60の前壁60cの前方に離間して前壁60cと対向する第二前壁70cと、第二前壁70cの外周から前壁60cの外周まで延びる周壁70dと、第二前壁70cから後方に突設されて第四嵌合筒60bに外嵌する第五嵌合筒70aと、第五嵌合筒70aの内側で後方に起立して第四嵌合筒60bの前部内周に接するシール筒部70eと、を有する。第五嵌合筒70a及びシール筒部70eは、連結体60の第二嵌合筒60a及びシール筒部60gと同一形態とされる。
【0055】
ノズル112の内側には、ノズルアダプタ70の上部前側に突設された第六嵌合筒70bに外嵌する第七嵌合筒112aと、第七嵌合筒112aの前端を閉塞するとともに中央に噴出孔112cが形成された前壁112bと、を有する。ノズル112は、第六及び第七嵌合筒70b,112aの嵌合により、ノズルアダプタ70からの離脱が制限されるとともに、第六及び第七嵌合筒70b,112aに共通の中心軸回りに回動可能とされる。
【0056】
ノズル112内には、蓄圧弁73を収容する蓄圧室112dが形成される。蓄圧弁73は、金属製のコイルスプリング74により前方に付勢されて、噴出孔112cを閉塞する。蓄圧弁73の後半部は小径ピストン部73aを形成し、蓄圧弁73の前半部は大径ピストン部73bを形成する。蓄圧弁73は、通過空間71から導入される液体の圧力を両ピストン部に作用させる。この圧力が一定以上となると、両シリンダ部の径差により蓄圧弁73が後退し、噴出孔112cを開放する。
【0057】
以上説明した第二実施形態のトリガー式液体噴出器110では、噴出器本体11とノズル112とを連通する連結体60及びノズルアダプタ70の内、連結体60に、射出筒部14の前端開口14aに向けて開口する第一連通孔62が形成され、ノズルアダプタ70に、第一連通孔62からの液体をノズル112の噴出孔112cに導き、かつ第一連通孔62より流路断面積の小さい第二導入路72と、第一連通孔62と第二導入路72とを連通する通過空間71と、が形成され、前方付勢状態の補助ピストン64を収容する収容シリンダ60eの前端部に、収容シリンダ60e内と通過空間71とを連通する第二連通孔63が形成される。
【0058】
これにより、第一実施形態と同様、トリガー部15を後方に引く操作だけでなく、トリガー部15が前方に戻る動作でも、ノズル112から液体が噴出することとなり、液体の連続噴射が可能となる。また、蓄圧作動式のノズル112を装着することで、所定圧での安定した液体噴射が可能になるとともに、噴射圧が所定未満になると蓄圧弁73が閉じてノズル112からの液体の漏れが抑えられる。
【0059】
また、連結体60がサブタンク67のアタッチメントとなり、この連結体60及びノズルアダプタ70を介して噴出器本体11にノズル112を連結するので、噴出器本体11及びノズル112に相互に連結可能な小変更を行う又は小型のノズルアダプタを用いることにより、連続噴射を可能にしたトリガー式液体噴出器110を容易に構成することができる。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記各実施形態では、既存のノズル12,112及び噴出器本体11を変えずにサブタンク67のアタッチメントを取り付けることとしたが、ノズル及び噴出器本体を種々機能を追加する等した新規のものとしてもよい。その他、上記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。