車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続した複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに識別子を設定する識別子設定方法であって、
上記車載センサは、
上記通信バスの通信データが流れる通信線に接続される1又は複数の通信外部端子を含むほか、
当該車載センサの外部で、
いずれの電位にも接続されない開放状態と所定電位に接続した1つの電位接続状態とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、
上記開放状態と互いに異なる所定電位に接続した複数の上記電位接続状態とからなる3以上の接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、又は、
互いに異なる所定電位に接続した2以上の上記電位接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる
1又は複数の設定用外部端子を含み、
上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタと、
上記識別子を記憶する不揮発性の記憶部と、
上記記憶部に記憶された上記識別子を用いて、上記通信バスでの通信を行う通信手段と、を備え、
上記車載センサシステムは、
複数の上記車載センサのそれぞれについて、当該車載センサの上記バス接続コネクタに嵌合するセンサ接続コネクタを含み、当該車載センサを上記通信バスへ接続する複数の接続路を備え、
複数の上記接続路は、それぞれ、
上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する通信接続路を有するほか、
1又は複数の上記設定用外部端子のそれぞれについて上記接続状態を定める設定路を有し、
複数の上記接続路同士の間で、上記設定路が定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組み合わせが互いに異ならせてあり、
複数の上記車載センサのそれぞれについて、
上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、上記車載センサの電源が投入されたときに、1又は複数の上記設定用外部端子の上記接続状態を判別する判別ステップと、
上記判別ステップで判別した1又は複数の上記設定用外部端子の上記接続状態に基づき、上記車載センサの上記識別子を生成する識別子生成ステップと、
上記識別子生成ステップで最初に生成した当初識別子を上記識別子として上記記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記識別子生成ステップで新たに生成した新生成識別子が、前記当初識別子と同一であるか否かを判別する同一判別ステップと、
上記新生成識別子が上記当初識別子と同一でない場合に、前記通信手段に、上記新生成識別子の生成異常を示す通信データとして、予め定めた異常識別子を含む通信データを発信させる異常発信ステップと、を備える
車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、各車載センサは、あらかじめ通信バスでの通信で用いる識別子を割り当てた状態で、車両の決められた場所に設置する必要があるが、このような車載センサの中には、1つの車両の中で同じものを複数個使用する場合がある。例えば、特許文献1の
図6に示すように、燃料電池車では、車載センサとして、同じ水素センサを複数個搭載している。なお、水素センサの詳細については、特許文献2に、自動車の燃料電池ユニットの配管に設置される水素センサ(水素ガス漏れ検出器)が開示されている。このため、同一品種でありながら、設置箇所に対応して識別子のみを異ならせた車載センサを用意する必要がある。また、車両に複数の車載センサを設置するにあたって、車載センサ相互の混用によって識別子の異なるセンサが接続される誤配置を防ぐべく、これらを管理する手間が大きかった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、あらかじめ識別子を割り当てておくことを不要とした車載センサ、複数のこのような車載センサを通信バスに接続した車載センサシステム、及び、車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その一態様は、車両に複数搭載され、上記車両に構築された通信バスにそれぞれが接続される車載センサであって、上記通信バスの通信データが流れる通信線に接続される1又は複数の通信外部端子を含むほか、当該車載センサの外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態と所定電位に接続した1つの電位接続状態とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、上記開放状態と互いに異なる所定電位に接続した複数の上記電位接続状態とからなる3以上の接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、又は、互いに異なる所定電位に接続した2以上の上記電位接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる1又は複数の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタと、上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、当該車載センサの電源が投入されたときに、1又は複数の上記設定用外部端子のそれぞれについての上記接続状態を判別する判別手段と、上記判別手段で判別した1又は複数の上記設定用外部端子の上記接続状態に基づき、当該車載センサの識別子を生成する識別子生成手段と、上記識別子を記憶する不揮発性の記憶部と、上記記憶部に記憶された上記識別子を用いて、上記通信バスでの通信を行う通信手段と、上記識別子生成手段で最初に生成した当初識別子を上記識別子として上記記憶部に記憶させる記憶手段と、
前記識別子生成手段で新たに生成した新生成識別子が、前記当初識別子と同一であるか否かを判別する同一判別手段と、上記新生成識別子が上記当初識別子と同一でない場合に、前記通信手段に、上記新生成識別子の生成異常を示す通信データを発信させる異常発信手段と、を備え、前記異常発信手段は、前記通信手段に、前記生成異常を示す通信データとして、予め定めた異常識別子を含む通信データを発信させる識別子代替手段を有する車載センサである。
【0007】
この車載センサでは、バス接続コネクタに、1又は複数の設定用外部端子が設けられている。この設定用外部端子はそれぞれ、車載センサの外部で、(1)いずれの電位にも接続されない開放状態と所定電位に接続した1つの電位接続状態とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、(2)開放状態と互いに異なる所定電位に接続した複数の電位接続状態とからなる3以上の接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、又は、(3)互いに異なる所定電位に接続した2以上の電位接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる。すなわち、設定用外部端子の接続状態は、上記(1)〜(3)の3種の選択パターンがあり、各設定用外部端子は、これらのうち1つの選択パターンにおける複数の接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる。なお、所定電位としては、接地電位、電源電位、接地電位と電源電位の中央の電位などの中間電位などが挙げられる。
そして、この車載センサは、バス接続コネクタが通信バスに接続された状態において、電源が投入されたときに、設定用外部端子のそれぞれについての接続状態を判別手段で判別し、この接続状態に基づき、当該車載センサの識別子を生成する
。さらに、このうち最初に生成した識別子である当初識別子を不揮発性の記憶部に記憶させる。そしてそれ以降、記憶部に記憶された識別子(当初識別子)を用いて、通信バスでの通信を行う。
このため、車両に同一品種の車載センサを複数個使用する場合でも、車載センサにあらかじめ識別子を割り当てておく必要がなく、車両に設置するにあたり、バス接続コネクタの設定用外部端子を設置箇所に固有の接続状態の組み合わせにしておくことで、用いる識別子(当初識別子)を互いに異ならせることができる。
【0008】
【0009】
しかも、この車載センサでは、同一判別手段と異常発信手段とを備え、識別子生成手段で新たに生成した新生成識別子が記憶部に記憶されている当初識別子と同一でない場合に、異常発信手段で、通信手段に、新生成識別子の生成異常を示す通信データを発信させる。これにより、設定用外部端子の接続状態を判別する際に一時的なノイズの影響を受けた場合のほか、設定用外部端子の接続が断線した場合や、メンテナンス等で車載センサが一旦取り外された後、取り外し前の接続先と異なる場所のコネクタに接続された場合などにより、新生成識別子の生成異常が発生していることを、ECUなど他の機器に通知することができる。
さらに、この車載センサでは、新生成識別子が当初識別子と同一でない場合に、予め定めた異常識別子を含む通信データを発信させる。これにより、新生成識別子の生成異常が発生した車載センサが存在することを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
【0010】
あるいは、前記異常発信手段は、前記通信手段に、前記生成異常を示す通信データとして、上記当初識別子及び上記生成異常を示す異常通知データを含む通信データを発信させる異常通知データ発信手段を有する車載センサと
してもよい。
【0011】
この車載センサでは、新生成識別子が当初識別子と同一でない場合に、当初識別子及び異常通知データを含む通信データを発信させる。これにより、どの車載センサについて、新生成識別子の生成異常が発生したかを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
【0012】
【0013】
【0014】
さらに、上述
の車載センサであって、当該車載センサの電源が投入され、前記判別手段で前記設定用外部端子についての前記接続状態を判別した後、所定タイミング毎に、上記接続状態を判別する第2の判別手段と、上記第2の判別手段で判別した上記接続状態に基づき、当該車載センサの上記所定タイミング毎の第2の識別子を新たに生成する第2の識別子生成手段と、上記第2の識別子生成手段で生成した上記第2の識別子が、前記当初識別子と同一であるか否かを判別する第2の同一判別手段と、上記第2の識別子が上記当初識別子と同一でない場合に、前記通信手段に、上記第2の識別子の生成異常を示す通信データを発信させる第2の異常発信手段と、を備える車載センサとすると良い。
【0015】
この車載センサでは、電源が投入された後の所定タイミング毎に、設定用外部端子の接続状態を判別して、所定タイミング毎の第2の識別子を新たに生成し、この生成した第2の識別子が当初識別子と同一であるか否かを判別する。そして、第2の識別子が当初識別子と同一でない場合には、通信手段に、第2の識別子の生成異常を示す通信データを発信させる。
このように、電源投入後に定期的に異常診断を行うことで、第2の識別子の異常が発生した場合には、異常発生を、ECUなどの他の機器にすぐに通知することができる。
【0016】
なお、この所定タイミング毎の第2の識別子を用いた診断は、前述した電源投入のときに行う新生成識別子を用いた診断に加えて行っても良く、また、新生成識別子を用いた診断を行わず、所定タイミング毎の第2の識別子を用いた診断のみを行っても良い。
また、所定タイミングとしては、例えば、10分間隔毎など、定期的に到来するタイミングのほか、車両が10回停車する毎など、不定期に到来するタイミングであっても良い。
【0017】
また、他の態様は、前記車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続した上述のいずれかの複数の車載センサとを有する車載センサシステムであって、複数の上記車載センサのそれぞれについて、当該車載センサの前記バス接続コネクタに嵌合するセンサ接続コネクタを含み、当該車載センサを上記通信バスへ接続する複数の接続路を備え、複数の上記接続路は、それぞれ、前記通信外部端子を上記通信バスの前記通信線に接続する通信接続路を有するほか、1又は複数の前記設定用外部端子のそれぞれについて前記接続状態を定める設定路を有し、複数の上記接続路同士の間で、上記設定路が定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組み合わせが互いに異なることにより、すべての上記車載センサについて、前記記憶部に記憶された前記識別子を互いに異ならせてなる車載センサシステムである。
【0018】
この車載センサシステムでは、複数の車載センサのそれぞれについて、この車載センサのバス接続コネクタに嵌合するセンサ接続コネクタを含む接続路を備えている。また、複数の接続路は、それぞれ、設定用外部端子のそれぞれについて接続状態を定める設定路を有している。そして、複数の接続路同士の間で、設定路が定める設定用外部端子の接続状態の組み合わせが、接続路間で互いに異なる。これにより、あらかじめ識別子を割り当てることを不要とし、各車載センサの記憶された識別子を互いに異なる値にして、同一品種の車載センサを複数個使用することができる車載センサシステムが得られる。
なお、本件における設定用外部端子の接続状態の組み合わせとしては、バス接続コネクタに設けられた設定用外部端子が複数存在するため、これら複数の設定用外部端子の接続状態の組み合わせを指す場合のほか、設定用外部端子が1つであるため、この1つの設定用外部端子の接続状態を指す場合を含む。
【0019】
また、他の態様は、車両に構築された通信バスと、上記車両に搭載され、上記通信バスに接続した複数の車載センサとを有する車載センサシステムにおいて、複数の上記車載センサのそれぞれに識別子を設定する識別子設定方法であって、上記車載センサは、上記通信バスの通信データが流れる通信線に接続される1又は複数の通信外部端子を含むほか、当該車載センサの外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態と所定電位に接続した1つの電位接続状態とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、上記開放状態と互いに異なる所定電位に接続した複数の上記電位接続状態とからなる3以上の接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるか、又は、互いに異なる所定電位に接続した2以上の上記電位接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる1又は複数の設定用外部端子を含み、上記通信バスへの接続に用いるバス接続コネクタと、上記識別子を記憶する不揮発性の記憶部と、上記記憶部に記憶された上記識別子を用いて、上記通信バスでの通信を行う通信手段と、を備え、上記車載センサシステムは、複数の上記車載センサのそれぞれについて、当該車載センサの上記バス接続コネクタに嵌合するセンサ接続コネクタを含み、当該車載センサを上記通信バスへ接続する複数の接続路を備え、複数の上記接続路は、それぞれ、上記通信外部端子を上記通信バスの上記通信線に接続する通信接続路を有するほか、1又は複数の上記設定用外部端子のそれぞれについて上記接続状態を定める設定路を有し、複数の上記接続路同士の間で、上記設定路が定める上記設定用外部端子の上記接続状態の組み合わせが互いに異ならせてあり、複数の上記車載センサのそれぞれについて、上記バス接続コネクタが上記通信バスに接続された状態において、上記車載センサの電源が投入されたときに、1又は複数の上記設定用外部端子の上記接続状態を判別する判別ステップと、上記判別ステップで判別した1又は複数の上記設定用外部端子の上記接続状態に基づき、上記車載センサの上記識別子を生成する識別子生成ステップと、上記識別子生成ステップで最初に生成した当初識別子を上記識別子として上記記憶部に記憶させる記憶ステップと、
前記識別子生成ステップで新たに生成した新生成識別子が、前記当初識別子と同一であるか否かを判別する同一判別ステップと、上記新生成識別子が上記当初識別子と同一でない場合に、前記通信手段に、上記新生成識別子の生成異常を示す通信データとして、予め定めた異常識別子を含む通信データを発信させる異常発信ステップと、を備える車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法である。
【0020】
この車載センサシステムにおける複数の車載センサの識別子設定方法では、バス接続コネクタが通信バスに接続された状態において、車載センサの電源が投入されたときに、判別ステップで設定用外部端子の接続状態を判別し、次いで、この接続状態に基づき、識別子生成ステップで車載センサの最初に生成した当初識別子を生成する。そして、記憶ステップで、この当初識別子を識別子として不揮発性の記憶部に記憶させる。
これにより、すべての車載センサについて、用いる識別子(当初識別子)を互いに異ならせて設定することができる。
【0021】
【0022】
しかも、この識別子設定方法では、同一判別ステップで、識別子生成ステップで新たに生成した新生成識別子が記憶部に記憶されている当初識別子と同一であるか否かを判別する。そして、新生成識別子が当初識別子と同一でない場合に、異常発信ステップで、通信手段に、新生成識別子の生成異常を示す通信データを発信させる。これにより、新生成識別子の生成異常が発生していることを、ECUなど他の機器に通知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(
参考形態1)
以下、本発明
に関連する参考の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、車両VEに搭載された、本
参考形態1に係る車載センサ1の概略構成を示す図である。また、
図2は、複数の車載センサ1を、車両VEに構築された通信バスを介してECUに接続した車載センサシステム2の概略図である。この車載センサシステム2では、通信バスとして、CANバスを用いている。なお、車載センサ1は、具体的には、特許文献1に開示された水素センサに、本発明を適用したものである。但し、本
参考形態1では、車載センサ1のセンサ部分についての説明は省略し、通信バスであるCANバスとの接続及びECUとの通信に関わる部分についてのみ説明する。
【0025】
複数(本
参考形態1では4つ)の車載センサ1,1は、いずれも
図1に示すように、主として、CANコントローラ機能を内蔵するマイクロプロセッサ10、CANトランシーバ50、サージ保護回路20、安定化電源回路30、及び、6つの端子T1〜T6を有するバス接続コネクタ40を備える。これらの車載センサ1は、それぞれバス接続コネクタ40に嵌合するセンサ接続コネクタ110,210,310,410を含む接続路100,200,300,400によって、CANバス及び電源ラインに接続されている(
図2も参照)。
CANバスは、通信データが流れる2本の通信線CANH,CANLを有する。なお、CANバスにおける通信は、2本の通信線CANHとCANLとの間の電位差で信号を伝送する差動式のシリアル通信である。また、電源ラインは、車両VEのバッテリBT(12V仕様)の+端子から供給される電源電位VBに接続されるVSUP線、及び、バッテリBTの−端子に繋がる接地電位GNDに接続されるCOM線を有する。
【0026】
まず、接続路100,200,300,400について説明する。
接続路100〜400は、センサ接続コネクタ110,210,310,410のほか、このセンサ接続コネクタ110〜410に嵌合するバス接続コネクタ40の端子T1,T2をそれぞれ電源ラインのVSUP線,COM線に接続する線路121,122からなる電源線路120、及び、バス接続コネクタ40の端子T3,T4をそれぞれCANバスの通信線CANH,CANLに接続する線路131,132からなる通信接続路130を有する。
さらに、接続路100〜400は、それぞれ、車載センサ1の外部でバス接続コネクタ40の端子T5,T6の接続状態を定める設定路140(線路141,142),240,340,440を有する。
なお、
図1では、設定路140のうち、実線で示す線路141は、電源ラインのCOM線に接続している。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T5は、車載センサ1の外部で接地電位GNDに接続されている。また、破線で示す線路142は、実際には存在しておらず、COM線には未接続である。これにより、接続路100に接続するバス接続コネクタ40の端子T6は、車載センサ1の外部でいずれの電位にも接続されない開放状態とされている。即ち、接続路100の設定路140(線路141,142)は、端子T5が接地電位GNDに接続され、端子T6が開放状態とされる組み合わせとなるように定めてある。
【0027】
また、接続路200,300,400は、接続路100の設定路140に代えて、それぞれ設定路240,340,440を有する。図示しないが、設定路240は、端子T5,T6がいずれも接地電位GNDに接続される組み合わせとなるように定めてある。また、設定路340は、端子T5が開放状態とされ、端子T6が接地電位GNDに接続される組み合わせとなるように定めてある。また、設定路440は、端子T5,T6がいずれも開放状態とされる組み合わせとなるように定めてある。
このように、設定路140,240,340,440は、各々が定める端子T5,T6の接続状態の組み合わせが、互いに異ならせてある。なお、接続路100〜400のうち、センサ接続コネクタ110〜410は、それぞれ異なる設定路140〜440が繋がっている点を除き、コネクタの仕様は共通である。また、設定路140〜440及びセンサ接続コネクタ110〜410以外の電源線路120及び通信接続路130については、接続路100〜400ですべて共通である。
【0028】
次いで、車載センサ1の内部の構成について説明する。
バス接続コネクタ40の端子T1は、上述したように、接続路100〜400のうち電源線路120の線路121を通じて、電源ラインのVSUP線に接続されている。即ち、端子T1は、電源電位VBに接続される電源端子である。また、端子T2は、上述したように、接続路100〜400のうち電源線路120の線路122を通じて、電源ラインのCOM線に接続されている。即ち、端子T2は、接地電位GNDに接続される接地端子である。
また、端子T1に供給される電源電位VBは、この電源電位VBに重畳したサージ電圧を吸収するバリスタ等で構成されたサージ保護回路20に接続されており、このサージ保護回路20の出力電位VB1から、車載センサ1の内部で使用する安定化した制御用電源電圧Vcc1(=+5V),Vcc2(=+3.3V)が安定化電源回路30により生成されている。なお、マイクロプロセッサ10のVcc端子は、制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)に接続されており、マイクロプロセッサ10は、この制御用電源電圧Vcc2で駆動されている。また、CANトランシーバ50は、Vcc端子に接続される制御用電源電圧Vcc1(=+5V)と、Vio端子に接続される制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)の2つの電源で駆動されている。
【0029】
バス接続コネクタ40の端子T3,T4は、車載センサ1の外部で、接続路100〜400のうち通信接続路130(線路131,132)を通じて、CANバスの通信線CANH,CANLに接続される通信外部端子であり、車載センサ1の内部では、CANトランシーバ50に接続されている。また、CANトランシーバ50は、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10のシリアル通信ポートTxD,RxDに接続されている。車載センサ1は、バス接続コネクタ40の端子T3,T4に接続される通信接続路130及び通信線CANH,CANLを通じて、ECUとの間で通信データをやりとりする。なお、ECUは、CANバスに接続された機器を識別子(以下、識別IDという)によって指定し、各機器との通信を行う。このため、各車載センサ1に、CANバス上で重複しない識別IDを割り当てることが必要となる。
【0030】
バス接続コネクタ40の端子T5,T6はそれぞれ、接続路100〜400の設定路140〜440により、車載センサ1の外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1の接続状態)と接地電位GND(所定電位)に接続した接地電位接続状態(第2の接続状態(電位接続状態))とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる設定用外部端子である。なお、前述したように、
図1では、接続路100の設定路140(実線で示す線路141、及び、破線で示す存在しない線路142)により、端子T5が接地電位GNDに接続されており(接地電位接続状態)、端子T6が開放状態とされている。
これら2つの端子T5,T6は、それぞれサージノイズ等に対する保護用のダイオードD1,D2のカソード側に接続されており、これらダイオードD1,D2のアノード側は、それぞれ抵抗器R1,R2を介して制御用電源Vcc2(=+3.3V)に接続されている。すなわち、端子T5,T6は、それぞれ保護用のダイオードD1,D2及び抵抗器R1,R2を介して制御用電源Vcc2に接続されている。そして、この抵抗器R1,R2を介して制御用電源Vcc2に接続するダイオードD1,D2のアノード側は、それぞれマイクロプロセッサ10のデジタルの入力信号ポート(I/O入力ポート)である入力ポート10I1,10I2に接続されている。
これにより、端子T5,T6が開放状態の場合には、入力ポート10I1,10I2の入力レベルは、常に制御用電源電圧Vcc2(=+3.3V)に等しく、マイクロプロセッサ10は、これをハイレベルと認識する。一方、端子T5,T6が接地電位GNDに接続された場合(接地電位接続状態)には、入力ポート10I1,10I2の入力レベルは、常に接地電位GNDに対してダイオードD1,D2の順方向電圧分だけ高い約0.7Vであり、マイクロプロセッサ10は、これをローレベルと認識する。
【0031】
そこで、この車載センサ1のマイクロプロセッサ10は、バス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態において、車載センサ1の電源が投入されたときに、端子T5,T6のそれぞれについて、開放状態とされているか、接地電位GNDに接続されているかの接続状態を、入力ポート10I1,10I2の入力レベルにより判別する。具体的には、例えば、入力ポート10I1の入力レベルがハイレベルである場合に、この入力ポート10I1が接続している端子T5が開放状態であると判断し、入力ポート10I1の入力レベルがローレベルである場合に、この入力ポート10I1が接続している端子T5が接地電位GNDに接続されている(接地電位接続状態)と判断する(判別手段)。入力ポート10I2に繋がっている端子T6についても同様である。
【0032】
図1では、マイクロプロセッサ10は、入力ポート10I1の入力レベルがローレベルとなるので、端子T5が接地電位GNDに接続されている(接地電位接続状態)と判断される。また、入力ポート10I2の入力レベルがハイレベルとなるので、端子T6が開放状態であると判断される。
そして、これら端子T5,T6の接続状態に基づき、車載センサ1の識別IDを生成する(識別子生成手段)。本
参考形態1では、設定用外部端子として2つの端子T5,T6を有しており、それぞれが開放状態と接地電位接続状態とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされるので、2つの端子T5,T6の接続状態により、22=4通りの組み合わせが存在し、4通りの識別IDを生成することができる。
なお、マイクロプロセッサ10は、不揮発性メモリ11を内蔵しており、車載センサ1の最初の電源投入時に、端子T5,T6の接続状態に基づき、最初に生成した当初識別子IDSを、識別ID(識別子)として不揮発性メモリ11に記憶する(記憶手段)。
そして、マイクロプロセッサ10は、それ以降、不揮発性メモリ11に記憶された識別ID(当初識別子IDS)を用いて、CANバスでの通信を行う。具体的には、この記憶した識別IDを含む通信データを発信して、ECUとの間で通信を行う。
【0033】
さらに、本
参考形態1の車載センサ1では、最初の電源投入時に生成した当初識別子IDSを、識別ID(識別子)として不揮発性メモリ11に記憶する一方、2回目以降の電源投入時には、新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。そして、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合に、生成異常の通信データを発信する。具体的には、当初識別子IDSを通信データに含めると共に、新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含めた通信データを発信する。
【0034】
次いで、本
参考形態1に係る車載センサ1に関し、マイクロプロセッサ10の最初の電源投入時の動作を、
図3のフローチャートを参照して説明する。
マイクロプロセッサ10の電源が投入されると、まず、最初の電源投入時であるか否かを判断するため、ステップS0で、不揮発性メモリ11が未書き込みであるか否かが判断される。不揮発性メモリ11が未書き込みの場合には、ステップS0でYesとなって、ステップS1に進み、この
図3に示す最初の電源投入時の動作(ステップS1〜S9)を実行する。一方、不揮発性メモリ11が書き込み済みの場合には、ステップS0でNoとなって、
図4に示すステップS11に進み、2回目以降の電源投入時の動作(ステップS11〜S20)を実行する。
そして、ステップS0でYesとなってステップS1に進んだ場合、すなわち、最初の電源投入時の場合には、まず、ステップS1で、マイクロプロセッサ10の2つの入力ポート10I1,10I2の入力レベルを読み取る。
【0035】
次いで、ステップS2では、ステップS1で読み取った入力ポート10I1の入力レベルがハイレベルであるか否かを判断する。入力ポート10I1の入力レベルがハイレベルの場合には、ステップS2でYesとなって、ステップS3に進み、入力ポート10I1に繋がっている端子T5が、開放状態であると判断して、ステップS5に進む。一方、入力ポート10I1の入力レベルがローレベルの場合には、ステップS2でNoとなって、ステップS4に進み、入力ポート10I1に繋がっている端子T5が、接地電位GNDに接続されている(接地電位接続状態)と判断して、ステップS5に進む。
【0036】
ステップS5では、ステップS1で読み取った入力ポート10I2の入力レベルがハイレベルであるか否かを判断する。入力ポート10I2の入力レベルがハイレベルの場合には、ステップS5でYesとなって、ステップS6に進み、入力ポート10I2に繋がっている端子T6が、開放状態であると判断して、ステップS8に進む。一方、入力ポート10I2の入力レベルがローレベルの場合には、ステップS5でNoとなって、ステップS7に進み、入力ポート10I2に繋がっている端子T6が、接地電位GNDに接続されている(接地電位接続状態)と判断して、ステップS8に進む。
【0037】
ステップS8では、2つの端子T5,T6の接続状態(本例では、端子T5が接地電位接続状態、端子T6が開放状態)に基づき、車載センサ1の識別ID(当初識別子IDS)を生成する。そして、続くステップS9で、この最初に生成した当初識別子IDSをマイクロプロセッサ10の不揮発性メモリ11に、識別IDとして記憶させて、マイクロプロセッサ10の最初の電源投入時における一連の識別IDの生成・記憶動作を終了し、その後の処理へ移行する。
マイクロプロセッサ10は、これ以降、不揮発性メモリ11に記憶された識別ID(当初識別子IDS)を用いて、CANバスでの通信を行う。
【0038】
次いで、本
参考形態1に係る車載センサ1に関し、マイクロプロセッサ10の2回目以降の電源投入時の動作を、
図4のフローチャートを参照して説明する。
マイクロプロセッサ10の電源が投入され、
図3のステップS0でNoとなって、
図4のステップS11に進んだ場合、すなわち、2回目以降の電源投入時の場合には、まず、ステップS11で、マイクロプロセッサ10の2つの入力ポート10I1,10I2の入力レベルを読み取る。なお、このステップS11を含む
図4のうちのステップS11〜S17の処理動作は、
図3のステップS1〜S7の処理動作と同じである。
このため、マイクロプロセッサ10は、ステップS11〜S17を、ステップS1〜S7と同様の手順で実行して、端子T5,T6の接続状態を判別した後、ステップS18に進む。
【0039】
ステップS18では、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、新たに識別ID(新生成識別子IDN)を生成する。そして、続くステップS19で、この新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合には、ステップS19でNoとなって、ステップS20に進み、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10に、当初識別子IDS及び新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含む通信データをCANバス上に向けて(例えば、ECUに向けて)発信させる。一方、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合には、ステップS19でYesとなって、ステップS20をスキップする。そして、マイクロプロセッサ10の2回目以降の電源投入時における一連の動作を終了し、その後の処理へ移行する。
マイクロプロセッサ10は、その後、不揮発性メモリ11に記憶された識別ID(当初識別子IDS)を用いて、CANバスでの通信を行うが、新生成識別子IDNの生成異常が発生した場合には、上述の通り、ステップS20で、生成異常の通信データとして、異常通知データを含む通信データがCANバス上に発信される。具体的には、当初識別子IDS及び新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含めた通信データが発信される。このため、発信された通信データに異常通知データが含まれているか否かによって、新生成識別子IDNの生成異常が発生したことを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
【0040】
さらに、本
参考形態1に係る車載センサ1に関し、マイクロプロセッサ10に電源投入した後、所定タイミング毎の動作を、
図5のフローチャートを参照して説明する。
マイクロプロセッサ10は、
図3に示す最初の電源投入時の動作を終了した後、及び、
図4に示す2回目以降の電源投入時の動作を終了した後に行う、その後の処理(以下、通常動作)を行っている最中の所定タイミング毎(本
参考形態1では、10分間隔毎)に、タイマ割り込みを発生させて、
図5に示す処理を実行する。
【0041】
なお、この
図5に示す所定タイミング毎のステップS31〜S40の処理動作は、
図4に示す2回目以降の電源投入時のステップS11〜S20における、新生成識別子IDNの判別の処理動作と同様である。さらに、このうち、ステップS31〜S37の処理動作は、
図4に示すステップS11〜S17の処理動作と同じであると共に、
図3に示す最初の電源投入時のステップS1〜S7の処理動作とも同じである。
【0042】
即ち、マイクロプロセッサ10の電源が投入され、
図3または
図4に示す電源投入時の処理が終了した後、通常動作中の所定タイミング毎(10分間隔毎)に、マイクロプロセッサ10にタイマ割り込みが発生すると、まず、ステップS31で、マイクロプロセッサ10の入力ポート10I1,10I2の入力レベルを読み取る。そして、マイクロプロセッサ10は、このステップS31を含むステップS31〜S37を、ステップS1〜S7及びステップS11〜S17と同様の手順で実行して、端子T5,T6の接続状態を判別した後、ステップS38に進む。
【0043】
ステップS38では、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、新たに所定タイミング毎の第2の識別子ID2を生成する。そして、続くステップS39で、この新たに生成した第2の識別子ID2が不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。第2の識別子ID2が当初識別子IDSと同一でない場合には、ステップS39でNoとなって、ステップS40に進む。このステップS40では、
図4に示すステップS20と同様に、当初識別子IDS及び第2の識別子ID2の生成異常を示す異常通知データを含む通信データをCANバス上に向けて(ECUに向けて)発信させる。一方、第2の識別子ID2が当初識別子IDSと同一である場合には、ステップS39でYesとなって、ステップS40をスキップする。そして、マイクロプロセッサ10は、この所定タイミング毎のタイマ割り込みの処理を終了して、通常動作に戻る(リターン)。
これにより、本
参考形態1の車載センサ1では、新生成識別子IDNに代えて、電源投入後の通常動作中にも定期的に第2の識別子ID2の生成異常を判別している。
【0044】
なお、本
参考形態1では、ステップS1〜S7,S11〜S17を実行しているマイクロプロセッサ10が、判別手段に相当し、ステップS31〜S37を実行しているマイクロプロセッサ10が、第2の判別手段に相当する。また、ステップS8,S18を実行しているマイクロプロセッサ10が、識別子生成手段に相当し、ステップS38を実行しているマイクロプロセッサ10が、第2の識別子生成手段に相当する。また、不揮発性メモリ11が記憶部に相当し、ステップS9を実行しているマイクロプロセッサ10が、記憶手段に相当する。また、ステップS19を実行しているマイクロプロセッサ10が、同一判別手段に相当し、ステップS39を実行しているマイクロプロセッサ10が、第2の同一判別手段に相当する。また、ステップS20を実行しているマイクロプロセッサ10が、異常発信手段及び異常通知データ発信手段に相当し、ステップS40を実行しているマイクロプロセッサ10が、第2の異常発信手段に相当する。また、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10及びCANトランシーバ50が、通信手段に相当する。
【0045】
次いで、
図2に示す車載センサシステム2について説明する。この車載センサシステム2では、4つの接続路100,200,300,400を用いて、本
参考形態1に係る同一仕様の車載センサ1をCANバスに4個接続している。なお、4つの接続路100,200,300,400は、前述したように、センサ接続コネクタ110〜410のコネクタ仕様は共通であり、電源線路120及び通信接続路130についてもすべて共通である一方、各車載センサ1の端子T5,T6の接続状態を定める設定路140,240,340,440の接続状態の組み合わせが、互いに異ならせてある。これにより、この車載センサシステム2では、各車載センサ1の端子T5,T6の接続状態を互いに異なる状態にして、4通りの識別ID(当初識別子IDS)を設定している。
【0046】
以上で説明したように、本
参考形態1の車載センサ1では、バス接続コネクタ40に、識別ID(識別子)を設定するための端子T5,T6(設定用外部端子)が設けられており、この端子T5,T6はそれぞれ、車載センサ1の外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1の接続状態)と、接地電位GND(所定電位)に接続した接地電位接続状態(第2の接続状態(電位接続状態))とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされる。
そして、この車載センサ1は、バス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態において、最初に電源が投入されたときに、端子T5,T6のそれぞれについての接続状態を、マイクロプロセッサ10の入力ポート10I1,10I2の入力レベルにより判別し(判別手段:ステップS1〜S7)、この接続状態に基づき、当該車載センサ1の識別ID(最初に生成した当初識別子IDS)を生成し(識別子生成手段:ステップS8)、さらに、この当初識別子IDSを不揮発性メモリ11に記憶させる(記憶手段:ステップS9)。そしてそれ以降、不揮発性メモリ11に記憶された当初識別子IDSを用いて、CANバスでの通信を行う。
このため、車両VEに同一品種の車載センサ1を複数個使用する場合でも、車載センサ1にあらかじめ識別IDを割り当てておく必要がなく、車両VEに設置するにあたり、バス接続コネクタ40の端子T5,T6を設置箇所に固有の接続状態の組み合わせにすることで、用いる識別ID(当初識別子IDS)を互いに異ならせることができる。
【0047】
さらに、本
参考形態1の車載センサ1では、同一判別手段(ステップS19)と異常発信手段(ステップS20)とを備え、識別子生成手段(ステップS18)で新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一でない場合(ステップS19でNo)に、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10(通信手段)に、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データを発信させる。これにより、端子T5,T6の接続状態を判別する際に一時的なノイズの影響を受けた場合のほか、端子T5,T6の接続が断線した場合や、メンテナンス等で車載センサ1が一旦取り外された後、取り外し前の接続先と異なる場所のコネクタに接続された場合などにより、新生成識別子IDNの生成異常が発生していることを、ECUなど他の機器に通知することができる。
【0048】
さらに、本
参考形態1の車載センサ1では、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合(ステップS19でNo)に、当初識別子IDS及び異常通知データを含む通信データを発信させる。これにより、どの車載センサ1について、新生成識別子IDNの生成異常が発生したかを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
【0049】
また、本
参考形態1に係る車載センサ1を複数(4個)接続した車載センサシステム2では、車載センサ1のバス接続コネクタ40に嵌合するセンサ接続コネクタ110を含む接続路100,200,300,400を備えている。そして、この接続路100等のうち、バス接続コネクタ40の端子T5,T6のそれぞれについて接続状態を定める設定路140,240,340,440は、自身が定める端子T5,T6の接続状態の組み合わせが、接続路100〜400間で互いに異なる。これにより、4つの車載センサ1のバス接続コネクタ40をそれぞれ接続路100〜400のセンサ接続コネクタ110〜410に接続するだけで、4つの車載センサ1について、異なる識別IDを設定できる。このように、あらかじめ識別IDを割り当てることを不要とし、各車載センサ1の識別ID(当初識別子IDS)を互いに異なる設定にして、同一品種・同一仕様の車載センサ1を複数個使用することができる車載センサシステム2が得られる。
【0050】
(実施形態
1)
次に、本発明の第
1の実施の形態について、
図1〜
図3及び
図6を参照して説明する。本実施形態
1に係る車載センサ1Aは、
図1及び
図2に示すように、
参考形態1に係る車載センサ1と同様の構成を有する。また、マイクロプロセッサ10Aが実行するプログラムのうち、最初の電源投入時の動作は、
図3に示した
参考形態1の場合と同様である。すなわち、本実施形態
1の車載センサ1Aは、マイクロプロセッサ10Aの電源が投入されると、最初の電源投入時には、
図3に示すステップS0でYesとなってステップS1に進み、
参考形態1の車載センサ1と同様に、この
図3に示す最初の電源投入時の動作(ステップS1〜S9)を実行する。
【0051】
一方、
図6に示す2回目以降の電源投入時の動作も、
図4に示した
参考形態1の場合とほぼ同じであるが、本実施形態
1は、
参考形態1に対し、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データを発信させる異常発信手段の処理が異なる。なお、
図6では、
図4と同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付しており、両者は、
図4のステップS20と
図6のステップS21とが異なるのみである。
このため、以下、
図6のフローチャートを参照して、本実施形態
1に係る車載センサ1Aに関し、マイクロプロセッサ10Aの2回目以降の電源投入時の動作を、
参考形態1と異なる部分を中心に説明し、
参考形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0052】
マイクロプロセッサ10Aの2回目以降の電源投入時に、
図6のステップS11に進むと、
図4の
参考形態1の場合と同様に、ステップS11〜S17を実行して、端子T5,T6の接続状態を判別した後、ステップS18に進む。
ステップS18では、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、新たに識別ID(新生成識別子IDN)を生成する。そして、続くステップS19で、この新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合には、ステップS19でNoとなって、ステップS21に進み、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10Aに、生成異常を示す通信データとして、予め定めた異常識別子IDAを含む通信データをCANバス上に向けて発信させる。一方、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合には、ステップS19でYesとなって、ステップS21をスキップする。そして、マイクロプロセッサ10Aの2回目以降の電源投入時における一連の動作を終了し、その後の処理へ移行する。
これにより、マイクロプロセッサ10Aは、その後、新生成識別子IDNが正常であれば当初識別子IDSを含む通信データを発信して、異常であれば異常識別子IDAを含む通信データを発信して、CANバスでの通信を行う。このため、発信された通信データの識別IDが、異常識別子IDAであるか否かによって、新生成識別子IDNの生成異常が発生したことを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
【0053】
なお、
参考形態1では、
図5に示すように、電源投入後の通常動作中の所定タイミング毎(10分間隔毎)にタイマ割り込みを発生させて、ステップS31〜S40の処理を実行して、電源投入後の通常動作中にも、新生成識別子IDNの判別と同様の手法により、定期的に第2の識別子ID2の生成異常の判別を行った。また、このステップS31〜S40の処理動作は、
図4に示す2回目以降の電源投入時のステップS11〜S20の処理動作と同様とした。
【0054】
フローチャートは示さないが、本実施形態
1でも、
参考形態1と同様に、電源投入後の通常動作中の所定タイミング毎(例えば10分間隔毎)にタイマ割り込みを発生させて、
図6に示す2回目以降の電源投入時のステップS11〜S19,S21と同様の処理を行って、新生成識別子IDNに代えて、電源投入後の通常動作中に定期的に第2の識別子ID2の生成異常の判別を行うことができる。
【0055】
本実施形態
1では、ステップS1〜S7,S11〜S17を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、判別手段に相当する。また、ステップS8,S18を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、識別子生成手段に相当する。また、不揮発性メモリ11が記憶部に相当し、ステップS9を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、記憶手段に相当する。また、ステップS19を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、同一判別手段に相当し、ステップS21を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、異常発信手段及び識別子代替手段に相当する。また、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10A及びCANトランシーバ50が、通信手段に相当する。すなわち、本実施形態
1では、ステップS21の異常発信手段及び識別子代替手段のみが、
参考形態1と異なる。
【0056】
なお、本実施形態
1に係る車載センサ1Aも、
参考形態1と同様に、車載センサシステム2において、接続路100,200,300,400を用いて、同一仕様の車載センサ1AをCANバスに4個接続することにより、各車載センサ1Aの端子T5,T6の接続状態を互いに異なる状態にして、4通りの識別ID(当初識別子IDS)を設定することができる(
図2参照)。
【0057】
以上で説明したように、本実施形態
1の車載センサ1Aでは、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合(ステップS19でNo)に、予め定めた異常識別子IDAを含む通信データを発信させる。これにより、新生成識別子IDNの生成異常が発生した車載センサ1Aが存在することを、ECUなど他の機器に適切に通知することができる。
また、本実施形態
1の車載センサ1Aは、その他については
参考形態1の車載センサ1と同じであり、
参考形態1と同様の作用効果を奏する。
【0058】
(変形形態)
次に、上述の
参考形態1及び実施形態1の変形形態について、
図7を参照して説明する。
参考形態1及び実施形態1では、マイクロプロセッサ10,10Aの電源が投入されると、まず、最初の電源投入時であるか否かを判断するため、
図3のステップS0で、不揮発性メモリ11が未書き込みであるか否かを判断していた。そして、不揮発性メモリ11が未書き込みの場合には、ステップS0でYesとなって、ステップS1に進み、最初の電源投入時の動作を実行していた。また、不揮発性メモリ11が書き込み済みの場合には、ステップS0でNoとなって、
図4のステップS11(
参考形態1)または
図6のステップS11(実施形態
1)に進み、2回目以降の電源投入時の動作を実行していた。
【0059】
一方、
図7にフローチャートを示す本変形形態は、
図3及び
図4に示した
参考形態1と同様の実行結果を得るものであるが、
参考形態1とはステップの実行手順が異なる。本変形形態では、マイクロプロセッサ10の電源が投入されると、最初の電源投入時であるか、2回目以降の電源投入時であるかによらず、同じステップS1〜S7を実行する。そして、端子T5,T6の接続状態を判別した後、ステップS8に進む。なお、
図7では、
図3及び
図4と同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付してある。
そして、ステップS8では、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、識別IDを生成し、その後、
参考形態1では電源投入直後に実行していたステップS0に進み、不揮発性メモリ11が未書き込みであるか否かによって、最初の電源投入時であるか否かを判断する。
【0060】
最初の電源投入時で、不揮発性メモリ11が未書き込みの場合には、ステップS0でYesとなって、ステップS9に進む。
ステップS9では、ステップS8で生成した識別IDが、最初に生成した当初識別子IDSであるので、この当初識別子IDSを、不揮発性メモリ11に識別IDとして記憶させる。そして、マイクロプロセッサ10の最初の電源投入時における一連の識別IDの生成・記憶動作を終了し、その後の処理へ移行する。
一方、2回目以降の電源投入時で、不揮発性メモリ11が書き込み済みの場合には、ステップS0でNoとなって、ステップS19に進む。
ステップS19では、ステップS8で生成した識別IDが、新たに生成した新生成識別子IDNであるので、この新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合には、ステップS19でNoとなって、ステップS20に進み、
参考形態1と同様に、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10(通信手段)に、当初識別子IDS及び新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含む通信データをCANバス上に向けて発信させる。一方、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合には、ステップS19でYesとなって、ステップS20をスキップする。そして、マイクロプロセッサ10の2回目以降の電源投入時における一連の動作を終了し、その後の処理へ移行する。
このように、本変形形態は、ステップの実行手順は
参考形態1と異なるが、実行結果は
参考形態1と同様であり、
参考形態1と同様の作用効果を奏する。
【0061】
本変形形態では、ステップS1〜S7を実行しているマイクロプロセッサ10が、判別手段に相当する。また、ステップS8を実行しているマイクロプロセッサ10が、識別子生成手段に相当する。また、不揮発性メモリ11が記憶部に相当し、ステップS9を実行しているマイクロプロセッサ10が、記憶手段に相当する。また、ステップS19を実行しているマイクロプロセッサ10が、同一判別手段に相当し、ステップS20を実行しているマイクロプロセッサ10が、異常発信手段及び異常通知データ発信手段に相当する。
なお、本変形形態のステップS20を、実施形態
1のステップS21に置き替えて、実施形態
1に本変形形態を適用しても良い。この場合も、実行結果は実施形態
1と同様であり、実施形態
1と同様の作用効果を奏する。
【0062】
なお、上述の
参考形態1及び実施形態1及び変形形態は、本発明のうち、車載センサシステム2において、複数の車載センサ1,1Aのそれぞれに識別ID(識別子)を設定する識別子設定方法に関する発明の実施の形態をも示す。
これら
参考形態1及び実施形態1及び変形形態では、ステップS1〜S7,S11〜S17を実行しているマイクロプロセッサ10,10Aが、本発明の識別子設定方法のうち、判別ステップに相当する。また、ステップS8,S18を実行しているマイクロプロセッサ10,10Aが、識別子生成ステップに相当する。また、ステップS9を実行しているマイクロプロセッサ10,10Aが、記憶ステップに相当する。また、ステップS19を実行しているマイクロプロセッサ10,10Aが、同一判別ステップに相当し、ステップS20を実行しているマイクロプロセッサ10及びステップS21を実行しているマイクロプロセッサ10Aが、異常発信ステップに相当する。すなわち、前述した各手段に対応するステップを実行しているマイクロプロセッサ10,10Aが、識別子設定方法における各ステップにも相当する。
【0063】
この識別子設定方法では、バス接続コネクタ40がCANバス(通信バス)に接続された状態において、車載センサの電源が投入されたときに、判別ステップ(ステップS1〜S7)で端子T5,T6の接続状態を判別し、次いで、この接続状態に基づき、識別子生成ステップ(ステップS8)で車載センサの識別ID(当初識別子IDS)を生成する。
そして、記憶ステップ(ステップS9)で、生成した当初識別子IDSを識別IDとして不揮発性メモリ11に記憶させる。
これにより、すべての車載センサについて、用いる識別ID(当初識別子IDS)を互いに異ならせて設定することができる。
【0064】
また、この識別子設定方法では、同一判別ステップ(ステップS19)で、識別子生成ステップ(ステップS18)で新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。そして、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合に、異常発信ステップ(ステップS20及びステップS21)で、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データを発信させる。これにより、新生成識別子IDNの生成異常が発生していることを、ECUなど他の機器に通知することができる。
【0065】
(実施形態
2)
次に、本発明の第
2の実施の形態について、
図1,
図2及び
図8を参照して説明する。本実施形態
2に係る車載センサ1Bは、
図1及び
図2に示すように、
参考形態1及び実施形態1に係る車載センサ1,1Aと同様の構成を有する。また、マイクロプロセッサ10Bが実行するプログラムのうち、最初の電源投入時の動作は、
図3のステップS1〜S9に示した
参考形態1及び実施形態1の場合と同様であり、ここでは詳細については説明を省略する。
参考形態1及び実施形態1では、車載センサ1,1Aは、最初の電源投入時に、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、最初に生成した当初識別子IDSを不揮発性メモリ11に記憶していた。そして、不揮発性メモリ11に記憶された当初識別子IDSを用いて、CANバスでの通信を行っていた。本実施形態
2も、これと同様である。
また、
参考形態1及び実施形態1では、2回目以降の電源投入時に、新たに生成した新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一であるか否かを判別し、同一でない場合には、異常発信手段(ステップS20及びステップS21)により、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10,10A(通信手段)に、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データをCANバス上に向けて発信させていた(
図4,
図6参照)。なお、
参考形態1及び実施形態1では、この2回目以降の電源投入時において、不揮発性メモリ11に記憶されている識別IDは更新されず、最初の電源投入時に記憶した当初識別子IDSのままであった。
【0066】
本実施形態
2に係る車載センサ1Bは、2回目以降の電源投入時に、新たに生成した新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一であるか否かを判別し、同一でない場合には、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10B(通信手段)に、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データをCANバス上に向けて発信させる点では、
参考形態1及び実施形態1と同じである。その一方、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合に、新生成識別子IDNを新たな識別IDとして、不揮発性メモリ11に記憶させる点で、
参考形態1及び実施形態1と異なる。
【0067】
本実施形態
2に係る車載センサ1Bに関し、マイクロプロセッサ10Bの2回目以降の電源投入時の動作を、
図8のフローチャートに示す。なお、この
図8では、
図4の
参考形態1と同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付しており、両者は、
図8にステップS22が追加されている点のみが異なる。以下、
図8に示すマイクロプロセッサ10Bの動作を、
参考形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0068】
マイクロプロセッサ10Bの2回目以降の電源投入時に、
図8のステップS11に進むと、
図4の
参考形態1の場合と同様に、ステップS11〜S17を実行して、端子T5,T6の接続状態を判別した後、ステップS18に進む。
ステップS18では、判別した端子T5,T6の接続状態に基づき、新たに識別ID(新生成識別子IDN)を生成する。なお、最初の電源投入時の動作については、説明を省略したが、不揮発性メモリ11には、
図3の
参考形態1の場合と同様の手順により、当初識別子IDSが記憶されている(
図3のステップS9参照)。
次いで、ステップS19では、新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一であるか否かを判別する。新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合には、ステップS19でYesとなって、ステップS22に進み、新生成識別子IDNを不揮発性メモリ11に記憶させる。一方、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合には、ステップS19でNoとなって、新生成識別子IDNを記憶させることなく、ステップS20に進み、
図4の
参考形態1の場合と同様に、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10B(通信手段)に、新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含む通信データをCANバス上に向けて発信させる。そして、マイクロプロセッサ10Bの2回目以降の電源投入時における一連の動作を終了し、その後の処理へ移行する。
【0069】
マイクロプロセッサ10Bは、その後、不揮発性メモリ11に記憶した識別ID(当初識別子IDS)を用いて、CANバスでの通信を行い、新生成識別子IDNの生成異常が発生した場合には、
参考形態1の場合と同様に、当初識別子IDSを通信データに含めると共に、新生成識別子IDNの生成異常を示す異常通知データを含めた通信データがCANバス上に発信される。これにより、発信された通信データに異常通信データが含まれているか否かによって、新生成識別子IDNに生成異常が生じた場合に、これをECUなど他の機器に適切に通知することができる。
なお、本実施形態
2では、
参考形態1と異なり、2回目以降の電源投入時にも、ステップS22で、新生成識別子IDNを新たな識別IDとして不揮発性メモリ11に記憶しているが、このステップS22は、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合に実行されるため、実質上、最初に生成した当初識別子IDSを維持し続ける。
また、フローチャートは示さないが、本実施形態
2でも、
参考形態1と同様に、電源投入後の通常動作中に所定タイミング毎(例えば10分間隔毎)に第2の識別子ID2の生成異常の判別を行うことができる。
【0070】
本実施形態
2では、ステップS9を実行しているマイクロプロセッサ10Bのほか、ステップS22を実行しているマイクロプロセッサ10Bが、記憶手段に相当し、その他は、
参考形態1に係る車載センサ1のマイクロプロセッサ10と同様である。
また、本実施形態
2に係る車載センサ1Bも、
参考形態1及び実施形態1と同様に、車載センサシステム2において、接続路100,200,300,400を用いて、同一仕様の車載センサ1BをCANバスに4個接続することにより、各車載センサ1Bの端子T5,T6の接続状態を互いに異なる状態にして、4通りの識別ID(当初識別子IDS)を設定することができる(
図2参照)。
また、本実施形態
2も、
参考形態1及び実施形態1と同様に、車載センサシステム2における車載センサ1Bの識別子設定方法に関する発明の実施の形態をも示し、上記記憶手段(ステップS9,S22)のほか、各手段に対応するステップを実行しているマイクロプロセッサ10Bが、識別子設定方法における各ステップにも相当する。
【0071】
なお、本実施形態
2では、上述したように、異常発信手段を、
図4の
参考形態1の場合のステップS20(異常通知データ発信手段)と同様としたが、これに代えて、
図6の実施形態
1の場合のステップS21(識別子代替手段)と同様に、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一でない場合に、予め定めた異常識別子IDAを含む通信データを発信させる異常発信手段を用いても良い。
また、本実施形態
2に、
図7の変形形態を適用し、実行手順を変更しても良い。この場合は、この
図7のステップS19でYesとなった場合に、本実施形態
2のステップS22に進み、新生成識別子IDNを新たな識別IDとして不揮発性メモリ11に記憶させるようにすれば良い。
【0072】
このように、本実施形態
2の車載センサ1Bでは、電源投入により新たに生成した新生成識別子IDNが不揮発性メモリ11に記憶されている当初識別子IDSと同一でない場合に、CANコントローラであるマイクロプロセッサ10B(通信手段)に、新生成識別子IDNの生成異常を示す通信データを発信させる。また、ステップS22(記憶手段)では、新生成識別子IDNが当初識別子IDSと同一である場合に、新生成識別子IDNを新たな識別IDとして記憶させる。これにより、新生成識別子IDNに生成異常が発生している場合に、これをECUなど他の機器に適切に通知することができる。また、このとき、識別IDが更新されることがなく、最初に生成した当初識別子IDSを維持し続ける。
これにより、
参考形態1及び実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0073】
以上において、本発明を実施形態1
,2及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態及び変形形態では、設定用外部端子として2つの端子T5,T6を有していた。そして、これらの端子T5,T6はそれぞれ、車載センサの外部で、いずれの電位にも接続されない開放状態(第1の接続状態)と接地電位GND(所定電位)に接続した接地電位接続状態(第2の接続状態(電位接続状態))とからなる2つの接続状態のうち、いずれか1つの接続状態にされていた。これにより、22=4通りの識別ID(当初識別子IDS)の設定を可能としていた。
【0074】
しかし、設定用外部端子の数と、その接続状態の組み合わせは、上記実施形態及び変形形態の場合に限られない。ここで、設定用外部端子の接続状態としては、実施形態及び変形形態のように、(1)いずれの電位にも接続されない開放状態と接地電位GNDなどの所定電位に接続した1つの電位接続状態とからなる2つの接続状態のうちから、いずれか1つの接続状態を選択するようにすると良い。なお、所定電位として、実施形態1
,2及び変形形態では、接地電位GNDを例示したが、電源電位VBや、接地電位GNDと電源電位VBの中央の電位などの中間電位が挙げられる。また、(2)開放状態と互いに異なる所定電位に接続した複数の電位接続状態とからなる3以上の接続状態のうちから、いずれか1つの接続状態を選択するようにしても良い。また、(3)互いに異なる所定電位に接続した2以上の電位接続状態のうちから、いずれか1つの接続状態を選択するようにしても良い。
また、設定用外部端子の数も、通信バスに接続する車載センサの数に応じて適宜変更することができる。
【0075】
また、実施形態及び変形形態では、車載センサがCANバスに接続されるセンサであったが、例えば、LINバスなど、CANバス以外の通信バスに接続される車載センサに本発明を適用しても良い。
また、実施形態及び変形形態で用いた端子T5,T6とマイクロプロセッサの入力ポートとを接続する回路構成は、回路構成の一例を示したものであり、設定用外部端子の接続状態の組み合わせ等を考慮して、回路構成を適宜変更すると良い。
例えば、図示しないが、所定電位に接続した電位接続状態として、接地電位GNDに代えて、接地電位GNDと電源電位VBの間の中間電位に接続した接続状態を取り得るようにした場合には、マイクロプロセッサの入力ポートとして、実施形態及び変形形態のデジタルの入力信号ポート(I/O入力ポート)を用いた回路に代えて、アナログの入力信号ポート(A/D入力ポート)を用いた回路を採用すると良い。
【0076】
また、
参考形態1では、
図4に示す2回目以降の電源投入時の新生成識別子IDNの診断に加えて、
図5に示す電源投入後の所定タイミング毎(10分間隔毎)の第2の識別子ID2を用いた診断も行った。これに対し、2回目以降の電源投入時の診断を行わず、所定タイミング毎(例えば10分間隔毎)の第2の識別子ID2を用いた診断のみを行っても良い。
また、この場合の所定タイミングとしては、
参考形態1のように、10分間隔毎など、定期的に到来するタイミングであっても良く、また、車両が10回停車する毎など、不定期に到来するタイミングであっても良い。