(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の遠隔診断システムでは、車両に遠隔装置が取り付けられる一方、別途基地局を設けて、この基地局で車両の診断情報を集めて集中管理している。
このように、基地局やその他の中央集中管理システムへ情報を集約させるシステムの場合には、車両に取り付けられた遠隔装置と基地局その他の管理システムとの間で直接、無線通信できないと、情報を取得できなかった。
【0005】
そのほか、端末同士で通信を行い、各電動車両の診断情報を共有する情報共有システムが考えられる。
しかしながら、端末同士で無線通信を行うシステムにおいては、既に診断情報を得た端末同士が、時間がさほど経たない時点で再び通信を行って診断情報をやりとりしても、新たな情報は得られない一方、他の端末との通信による新たな診断情報の入手が遅れることとなる。
【0006】
本発明は、かかる知見に鑑みてなされたものであって、端末同士で診断情報の共有を可能にした情報共有システムにおいて、端末同士の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図るシステム、並びに、このシステムに用いる車載診断端末及び表示端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その一態様は、ピアツーピアの無線通信を行う通信部を有する端末である、複数の車載診断端末、及び、1または複数の表示端末、を備え、上記車載診断端末は、上記通信部である第1通信部、及び、自身が搭載された電動車両に関する診断情報を取得する診断情報取得部を有し、上記表示端末は、上記通信部である第2通信部、及び、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を表示する表示器を有し、上記通信部を用いた上記端末同士の無線通信により、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を、上記車載診断端末及び上記表示端末で共有する情報共有システムであって、上記車載診断端末は、上記情報共有システム内で統一された、共通の共通時間を刻む第1計時部と、当該車載診断端末に固有に割り当てられた固有識別子、上記診断情報取得部で取得した上記診断情報、及び、上記診断情報の上記共通時間上での取得時刻を含むデータセットである自車データセットを記憶する自車データ記憶部と、自身の上記第1通信部を通じて取得した、他の電動車両についての上記データセットである他車データセットを記憶する他車データ記憶部と、を有し、上記表示端末は、上記共通時間を刻む第2計時部と、上記第2通信部を通じて取得した、上記電動車両についての上記データセットを記憶するデータ記憶部と、を有し、上記車載診断端末は、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第1通信確立部と、無線通信が確立されている上記端末である第1端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記他車データ記憶部に記憶されていない固有識別子を含むデータセットを、自身の上記他車データ記憶部に新規に記憶させる第1新規記憶部と、上記第1端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記他車データ記憶部に記憶されている他車データセットと同じ固有識別子を含み、かつ、上記取得時刻が新しいデータセットを、自身の上記他車データ記憶部に更新して記憶させる第1更新記憶部と、上記第1端末に記憶されたデータセットを自身の上記他車データ記憶部に記憶させる度に、記憶させたタイミングである上記共通時間上での第1記憶時刻を、上記第1端末別に、更新して記憶する第1時刻記憶部と、を有し、上記表示端末は、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第2通信確立部と、無線通信が確立されている上記端末である第2端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記データ記憶部に記憶されていない固有識別子を含むデータセットを、自身の上記データ記憶部に新規に記憶させる第2新規記憶部と、上記第2端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記データ記憶部に記憶されているデータセットと同じ固有識別子を含み、かつ、上記取得時刻が新しいデータセットを、自身の上記データ記憶部に更新して記憶させる第2更新記憶部と、上記第2端末に記憶されたデータセットを自身の上記データ記憶部に記憶させる度に、記憶させたタイミングである上記共通時間上での第2記憶時刻を、上記第2端末別に、更新して記憶する第2時刻記憶部と、を有し、上記車載診断端末は、上記第1通信確立部により、ピアツーピアの無線通信が確立した場合に、無線通信が確立されている上記第1端末について記憶していた上記第1記憶時刻から第1所定時間を経過しているか否かを判断する第1判断部を有し、上記第1所定時間を経過している場合には、上記第1新規記憶部及び上記第1更新記憶部で、上記他車データ記憶部への記憶を行い、上記第1所定時間を経過していない場合には、上記第1通信確立部で、当該車載診断端末と無線通信可能な上記端末の上記通信部との無線通信を新たに確立し、上記表示端末は、上記第2通信確立部により、ピアツーピアの無線通信が確立した場合に、無線通信が確立されている上記第2端末について記憶していた上記第2記憶時刻から第2所定時間を経過しているか否かを判断する第2判断部を有し、上記第2所定時間を経過している場合には、上記第2新規記憶部及び上記第2更新記憶部で、上記データ記憶部への記憶を行い、上記第2所定時間を経過していない場合には、上記第2通信確立部で、当該表示端末と無線通信可能な上記端末の上記通信部との無線通信を新たに確立する情報共有システムである。
【0008】
この情報共有システムは、通信部を用いた端末同士の無線通信により、電動車両に関する診断情報を、車載診断端末及び表示端末で共有するシステムである。
車載診断端末では、自身の他車データ記憶部に記憶されている他車データセットを、無線通信により、他の端末(当該車載診断端末以外の端末)に記憶されている新しいデータセットによって順次更新する。また、表示端末でも、データ記憶部に記憶されているデータセットを、他の端末(当該表示端末以外の端末)に記憶されている新しいデータセットによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末が有する診断情報を含むデータセットを、他の端末を介して取得し共有することができるなど、各端末は、各車載診断端末が取得した診断情報を含むデータセットを、直接または間接に取得し共有することができる。かくして、電動車両に関する診断情報を各端末で共有する情報共有システムを構成できる。しかも、表示端末では、取得した診断情報を表示器に表示することができる。
【0009】
加えて、この情報共有システムでは、車載診断端末及び表示端末は、同一の端末から、所定時間(第1所定時間及び第2所定時間)内にデータセットを繰り返し取得することなく、通信可能な端末との無線通信を新たに確立する。これにより、端末同士の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図る情報共有システムとすることができる。
【0010】
なお、電動車両としては、例えば、ゴルフ場で使用されるゴルフカートや、病院、遊園地などの施設内、退職者向けの街区内で使用される電動カートが挙げられる。
また、診断情報としては、例えば、電動車両の電池(バッテリ)の充電状態(SOC)や電池の温度のほか、タイヤの空気圧が挙げられる。
また、このシステムで用いる通信部によるピアツーピアの無線通信としては、例えば、IEEE 802.11無線LAN規格におけるアドホックモードと呼ばれる動作モードや、Wi−Fiアライアンスが策定したWi−Fiダイレクト(商標名)と呼ばれる通信規格に従った無線通信が挙げられる。
また、表示端末としては、タブレット端末や、PC端末が挙げられる。
【0011】
さらに、上述の情報共有システムであって、前記車載診断端末の前記第1通信確立部は、自身と無線通信可能な前記端末の前記通信部を探索する第1探索部を含み、探索で発見した上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立し、前記表示端末の前記第2通信確立部は、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部を探索する第2探索部を含み、探索で発見した上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立し、上記車載診断端末は、前記第1判断部において、前記第1所定時間を経過していないと判断された場合に、上記第1探索部で、自身と無線通信可能な上記端末を新たに探索し、上記表示端末は、前記第2判断部において、前記第2所定時間を経過していないと判断された場合に、上記第2探索部で、自身と無線通信可能な上記端末を新たに探索する情報共有システムとすると良い。
【0012】
この情報共有システムでは、車載診断端末は、無線通信を確立している端末が、第1所定時間を経過していない端末であった場合、第1探索部で、再び新たに端末を探索し、発見した端末と無線通信を確立する。また、表示端末は、無線通信を確立している端末が、第2所定時間を経過していない端末であった場合、第2探索部で、再び新たに端末を探索し、発見した端末と無線通信を確立する。これにより、異なる端末との通信の機会が増えるので、データセットの共有を進めることができる。
【0013】
また、前述の情報共有システムであって、前記車載診断端末の前記第1通信確立部は、自身と無線通信可能な前記端末の前記通信部を探索し、第1通信可能端末リストを作成する第1リスト作成部と、上記第1通信可能端末リストに挙げられた第1通信可能端末のうち、上記第1通信可能端末リストの作成後に未だ無線通信の確立を行っていない第1未確立端末から1つの第1選択端末を選択する第1選択部と、選択した上記第1選択端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第1確立部とを含み、前記表示端末の前記第2通信確立部は、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部を探索し、第2通信可能端末リストを作成する第2リスト作成部と、上記第2通信可能端末リストに挙げられた第2通信可能端末のうち、上記第2通信可能端末リストの作成後に未だ無線通信の確立を行っていない第2未確立端末から1つの第2選択端末を選択する第2選択部と、選択した上記第2選択端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第2確立部とを含み、上記車載診断端末は、前記第1判断部において、前記第1所定時間を経過していないと判断された場合に、上記第1選択部で、上記第1未確立端末から新たな1つの上記第1選択端末を選択し、上記表示端末は、前記第2判断部において、前記第2所定時間を経過していないと判断された場合に、上記第2選択部で、上記第2未確立端末から新たな1つの上記第2選択端末を選択する情報共有システムとすると良い。
【0014】
この情報共有システムでは、車載診断端末は、無線通信を確立している端末が、第1所定時間を経過していない端末であった場合、既に作成されている第1通信可能端末リスト中の第1未確立端末から新たな1つの第1選択端末を選択して無線通信を新たに確立する。また、表示端末は、無線通信を確立している端末が、第2所定時間を経過していない端末であった場合、既に作成されている第2通信可能端末リスト中の第2未確立端末から新たな1つの第2選択端末を選択して無線通信を新たに確立する。このため、新たな無線通信の相手方の端末として、同一の端末を繰り返し選択して無線通信を確立することがないので、無駄な通信を削減できる上、異なる端末との通信が早期に行われるので、データセットの情報を早期に拡散させ、共有を図ることができる。
【0015】
さらに、上述の情報共有システムであって、前記車載診断端末は、前記第1判断部において、前記第1所定時間を経過していると判断された場合にも、前記他車データ記憶部への記憶を行った後に、前記第1選択部で、前記第1未確立端末から新たな1つの前記第1選択端末を選択し、前記表示端末は、前記第2判断部において、前記第2所定時間を経過していると判断された場合にも、前記データ記憶部への記憶を行った後に、上記第2選択部で、上記第2未確立端末から新たな1つの前記第2選択端末を選択する情報共有システムとすると良い。
【0016】
この情報共有システムでは、車載診断端末は、無線通信を確立している端末が、第1所定時間を経過している端末であった場合にも、他車データ記憶部への記憶を行った後に、既に作成されている第1通信可能端末リスト中の第1未確立端末から新たな1つの第1選択端末を選択して無線通信を新たに確立する。また、表示端末は、無線通信を確立している端末が第2所定時間を経過している端末であった場合にも、データ記憶部への記憶を行った後に、既に作成されている第2通信可能端末リスト中の第2未確立端末から新たな1つの第2選択端末を選択して無線通信を新たに確立する。このため、他車データ記憶部及びデータ記憶部への記憶を行った後においても、新たな無線通信の相手方の端末として、同一の端末を繰り返し選択して無線通信を確立することがない。これにより、さらに無駄な通信を削減できる。
【0017】
さらに、上述のいずれかの情報共有システムであって、前記表示端末を複数備え、上記表示端末の前記第2通信確立部は、前記車載診断端末の前記第1通信部及び他の上記表示端末の前記第2通信部のいずれかと無線通信を確立する情報共有システムとすると良い。
【0018】
この情報共有システムでは、表示端末を複数備えており、表示端末の第2探索部は、自身と無線通信可能な端末の通信部として、車載診断端末の第1通信部のほか、他の表示端末の第2通信部とも無線通信を確立することができる。これにより、表示端末は、他の表示端末が記憶しているデータセットも取得することができるので、データセットの情報を、表示端末を含む各端末から他の端末にさらに容易に拡散させ、共有を進めることができる。
【0019】
さらに、上述のいずれかの情報共有システムであって、前記車載診断端末の前記診断情報取得部は、前記自身が搭載された電動車両に搭載された電池の充電状態の情報を取得するSOC情報取得部を含む情報共有システムとすると良い。
【0020】
この情報共有システムでは、車載診断端末の診断情報取得部が、電動車両に搭載された電池(バッテリ)の充電状態(State of charge:SOC)を取得するSOC情報取得部を含んでいる。すなわち、診断情報取得部は、診断情報として、電動車両に搭載された電池の充電状態(SOC)を診断する。これにより、電動車両の管理者が、電動車両が走行不能になる前に電池の充電を行ったり、電動車両の交換を行うなど、各電動車両の充電状態(SOC)を適切に管理することができる。
【0021】
さらに、上述のいずれかの情報共有システムであって、前記第1計時部及び前記第2計時部は、いずれも、前記共通時間として、上記情報共有システム内でのみ用いられるローカル時間を刻む情報共有システムとすると良い。
【0022】
この情報共有システムでは、第1計時部及び第2計時部が、システム内で統一された共通時間として、システム内でのみ用いられるローカル時間を刻むので、共通時間の設定に関し、GPS衛星などの衛星の有する時計やインターネット接続によって取得する時刻に依存しないシステムとすることができる。また、これにより、屋外や屋内を問わず、使用可能なシステムとすることができる。
【0023】
さらに、上述の情報共有システムであって、前記第1計時部及び前記第2計時部は、それぞれ、上記情報共有システム内で統一された所定時間間隔でカウントするカウンタを含み、前記ローカル時間として、上記情報共有システムで統一された所定タイミングからカウントをスタートした上記カウンタのカウント値を用いる情報共有システムとすると良い。
【0024】
この情報共有システムの車載診断端末及び表示端末では、カウンタのカウント値をローカル時間として用いるので、ローカル時間を刻む第1計時部及び第2計時部を簡易に構成することができる。
【0025】
また、他の態様は、ピアツーピアの無線通信を行う通信部を有する端末である、複数の車載診断端末、及び、1または複数の表示端末、を備え、上記車載診断端末は、上記通信部である第1通信部、及び、自身が搭載された電動車両に関する診断情報を取得する診断情報取得部を有し、上記表示端末は、上記通信部である第2通信部、及び、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を表示する表示器を有し、上記通信部を用いた上記端末同士の無線通信により、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を、上記車載診断端末及び上記表示端末で共有する情報共有システムで用いる上記車載診断端末であって、上記情報共有システム内で統一された、共通の共通時間を刻む第1計時部と、当該車載診断端末に固有に割り当てられた固有識別子、上記診断情報取得部で取得した上記診断情報、及び、上記診断情報の上記共通時間上での取得時刻を含むデータセットである自車データセットを記憶する自車データ記憶部と、自身の上記第1通信部を通じて取得した、他の電動車両についての上記データセットである他車データセットを記憶する他車データ記憶部と、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第1通信確立部と、無線通信が確立されている上記端末である第1端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記他車データ記憶部に記憶されていない固有識別子を含むデータセットを、自身の上記他車データ記憶部に新規に記憶させる第1新規記憶部と、上記第1端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記他車データ記憶部に記憶されている他車データセットと同じ固有識別子を含み、かつ、上記取得時刻が新しいデータセットを、自身の上記他車データ記憶部に更新して記憶させる第1更新記憶部と、上記第1端末に記憶されたデータセットを自身の上記他車データ記憶部に記憶させる度に、記憶させたタイミングである上記共通時間上での第1記憶時刻を、上記第1端末別に、更新して記憶する第1時刻記憶部と、上記第1通信確立部により、ピアツーピアの無線通信が確立した場合に、無線通信が確立されている上記第1端末について記憶していた上記第1記憶時刻から第1所定時間を経過しているか否かを判断する第1判断部と、を有し、上記第1所定時間を経過している場合には、上記第1新規記憶部及び上記第1更新記憶部で、上記他車データ記憶部への記憶を行い、上記第1所定時間を経過していない場合には、上記第1通信確立部で、当該車載診断端末と無線通信可能な上記端末の上記通信部との無線通信を新たに確立する車載診断端末である。
【0026】
この車載診断端末では、自身の他車データ記憶部に記憶されている他車データセットを、無線通信により、他の端末(当該車載診断端末以外の端末)に記憶されている新しいデータセットによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末が有する診断情報を含むデータセットを、他の端末を介して取得し共有することができるなど、車載診断端末は、各車載診断端末が取得した診断情報を含むデータセットを、直接または間接に取得し共有することができる。
加えて、この車載診断端末は、同一の端末から、第1所定時間内にデータセットを繰り返し取得することなく、通信可能な端末との無線通信を新たに確立する。これにより、情報共有システムにおいて、この車載診断端末と他の端末との間の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図ることができる。
【0027】
また、他の態様は、ピアツーピアの無線通信を行う通信部を有する端末である、複数の車載診断端末、及び、1または複数の表示端末、を備え、上記車載診断端末は、上記通信部である第1通信部と、自身が搭載された電動車両に関する診断情報を取得する診断情報取得部と、上記情報共有システム内で統一された、共通の共通時間を刻む第1計時部と、当該車載診断端末に固有に割り当てられた固有識別子、上記診断情報取得部で取得した上記診断情報、及び、上記診断情報の上記共通時間上での取得時刻を含むデータセットである自車データセットを記憶する自車データ記憶部と、自身の上記第1通信部を通じて取得した、他の電動車両についての上記データセットである他車データセットを記憶する他車データ記憶部と、を有し、上記表示端末は、上記通信部である第2通信部、及び、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を表示する表示器を有し、上記通信部を用いた上記端末同士の無線通信により、上記車載診断端末が搭載された上記電動車両に関する上記診断情報を、上記車載診断端末及び上記表示端末で共有する情報共有システムで用いる上記表示端末であって、上記共通時間を刻む第2計時部と、上記第2通信部を通じて取得した、上記電動車両についての上記データセットを記憶するデータ記憶部と、自身と無線通信可能な上記端末の上記通信部とピアツーピアの無線通信を確立する第2通信確立部と、無線通信が確立されている上記端末である第2端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記データ記憶部に記憶されていない固有識別子を含むデータセットを、自身の上記データ記憶部に新規に記憶させる第2新規記憶部と、上記第2端末に記憶されたデータセットのうち、自身の上記データ記憶部に記憶されているデータセットと同じ固有識別子を含み、かつ、上記取得時刻が新しいデータセットを、自身の上記データ記憶部に更新して記憶させる第2更新記憶部と、上記第2端末に記憶されたデータセットを自身の上記データ記憶部に記憶させる度に、記憶させたタイミングである上記共通時間上での第2記憶時刻を、上記第2端末別に、更新して記憶する第2時刻記憶部と、上記第2通信確立部により、ピアツーピアの無線通信が確立した場合に、無線通信が確立されている上記第2端末について記憶していた上記第2記憶時刻から第2所定時間を経過しているか否かを判断する第2判断部と、を有し、上記第2所定時間を経過している場合には、上記第2新規記憶部及び上記第2更新記憶部で、上記データ記憶部への記憶を行い、上記第2所定時間を経過していない場合には、上記第2通信確立部で、当該表示端末と無線通信可能な上記端末の上記通信部との無線通信を新たに確立する表示端末である。
【0028】
この表示端末では、自身のデータ記憶部に記憶されているデータセットを、無線通信により、他の端末(当該表示端末以外の端末)に記憶されている新しいデータセットによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末が有する診断情報を含むデータセットを、他の端末を介して取得し共有することができるなど、表示端末は、各車載診断端末が取得した診断情報を含むデータセットを、直接または間接に取得し共有することができる。
加えて、この表示端末は、同一の端末から、第2所定時間内にデータセットを繰り返し取得することなく、通信可能な端末との無線通信を新たに確立する。これにより、情報共有システムにおいて、この表示端末と他の端末との間の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る車載診断端末である車載診断ユニット10、及び、これを搭載した電動車両であるカートEVの概略構成を示す。また、
図2は、本実施形態に係る表示端末であるタブレット端末20の概略構成を示し、
図3は、複数のカートEV(EVA,EVB,EVC,EVD,EVE)にそれぞれ搭載された車載診断ユニット10(10A,10B,10C,10D,10E)と、複数のタブレット端末20(20A,20B)とを有する本実施形態に係る情報共有システム1の概略構成を示す。なお、以下では、車載診断ユニット10とタブレット端末20を総称して、端末10,20とも称する。
【0031】
図1及び
図3に示すカートEV(EVA,・・・)は、いずれもゴルフ場で使用される電動車両であり、駆動輪Wを駆動する電動機M、直流電圧を交流電圧に変換するインバータIV、このインバータIVを介して電動機Mへ電力を供給するバッテリBT(電池)を備えている。
また、このカートEV(EVA,・・・)にそれぞれ搭載された車載診断ユニット10は、主回路部11と、SOC測定部12と、無線通信部13とを備えている。このうち、主回路部11は、マイクロプロセッサ16のほか、このマイクロプロセッサ16のバスに接続されたローカル時計14、メモリ15、及びSOC測定部12と接続するためのインターフェース回路17を備えている。なお、無線通信部13も、マイクロプロセッサ16のバスに接続されている。
【0032】
SOC測定部12は、カートEVのバッテリBTに接続されており、マイクロプロセッサ16の指示により、車載診断ユニット10が搭載されたカートEVに関する診断情報として、バッテリBTの充電状態(SOC)を、具体的には、SOCに対応するバッテリBTの開放端子間電圧(OCV)を一定周期で(具体的には、3分毎に)測定する。
また、無線通信部13は、所定の通信規格に従って(本実施形態では、具体的には、Wi−Fiダイレクト(商標名)により)、当該車載診断ユニット10以外の端末10,20(他の車載診断ユニット10またはタブレット端末20)との間で、ピアツーピアの無線通信を行う無線通信モジュールである。
また、ローカル時計14は、情報共有システム1内で統一された所定時間間隔(1秒間隔)でカウントアップするカウンタ14Cを含み、このカウンタ14Cは、情報共有システム1内(すべての車載診断ユニット10及びタブレット端末20)で統一された所定タイミングからカウントをスタートしたカウント値を有している。これにより、ローカル時計14は、情報共有システム1内で統一され、かつ、この情報共有システム1内でのみで用いられるローカル時間として、カウンタ14Cのカウント値が刻まれる。
【0033】
また、車載診断ユニット10は、無線通信部13が有する固有のMACアドレスを、車載診断ユニット10に固有に割り当てられた固有識別子IDとして使用する。そして、SOC測定部12で一定周期で測定した診断情報であるSOCの測定値、この測定値を取得した時点のローカル時間における取得時刻CA(具体的には、ローカル時間を刻むローカル時計14のカウンタ14Cのカウント値)、及び、MACアドレスである固有識別子IDを含むデータセットDS(固有識別子ID、診断情報(SOCの測定値)、取得時刻CAのセット)を、自車データセットDSIとして、メモリ15の自車データ記憶部15Aに保存する(後述する
図4のステップS5を参照)。
【0034】
また、車載診断ユニット10は、無線通信部13による他の車載診断ユニット10またはタブレット端末20との無線通信を通じて、他の車載診断ユニット10が搭載されたカートEVについてのデータセットDSである他車データセットDSOを取得し、メモリ15の他車データ記憶部15Bに保存する。
なお、自車データセットDSI及び他車データセットDSOは、メモリ15の自車データ記憶部15A及び他車データ記憶部15Bにデータファイル形式で保存される。
【0035】
また、
図2に示すタブレット端末20は、主回路部21及び無線通信部23のほか、液晶ディスプレイ28を備えている。このうち、主回路部21は、マイクロプロセッサ26のほか、このマイクロプロセッサ26のバスに接続されたローカル時計24(カウント値がローカル時間を刻むカウンタ24Cを含む)、メモリ25、及び液晶ディスプレイ28と接続するためのインターフェース回路27(表示用LSI等)を備えている。
なお、このタブレット端末20は、市販のタブレット端末に、情報共有システム1を構成するための専用のソフトウェアを組み込んだものであり、無線通信部23は、車載診断ユニット10の無線通信部13と同様に、所定の通信規格に従って(本実施形態では、Wi−Fiダイレクト(商標名)により)、当該タブレット端末20以外の端末10,20(車載診断ユニット10または他のタブレット端末20)との間で、ピアツーピアの無線通信を行う。
【0036】
また、タブレット端末20は、無線通信部23による無線通信を通じて、他の端末10,20から取得した、カートEVについてのデータセットDSをメモリ25のデータ記憶部25Aにデータファイル形式で保存する。
これにより、
図3に示す情報共有システム1内において、カートEV(EVA,EVB,・・・)にそれぞれ搭載された車載診断ユニット10(10A,10B,・・・)、及びタブレット端末20(20A,20B)は、それぞれの無線通信部13,23を通じて、ピアツーピアの無線通信可能な近隣の端末10,20から、自身のメモリ15,25(自車データ記憶部15A,他車データ記憶部15B,データ記憶部25A)に、カートEV(EVA,・・・)に関する診断情報を含むカートEVについてのデータセットDSを取得する。そして、このようなデータセットDSの取得をシステム1内全体の端末10,20が相互に繰り返すことにより、例えば、タブレット端末20Bにおいて、直接無線通信できないカートEVA,EVBのユニット(10A,10B)の診断情報を含むデータセットも、タブレット端末20Bで取得し、共有することができる。このように、システム1内の端末10,20が、それぞれ自身及び他の端末10,20のデータセットを更新しつつ共有することができる。
【0037】
次いで、情報共有システム1を構成する端末10,20のうち、車載診断ユニット10の動作の詳細について、
図4〜
図6を参照して説明する。
図4は、車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。
マイクロプロセッサ16が動作を開始すると、まず、ステップS1で、無線通信部13及びSOC測定部12の初期設定を行う。なお、予め情報共有システム1内で統一されたローカル時間を刻むローカル時計14のカウンタ14Cは、図示しないバックアップ電池により、常時カウントアップを行っている。
次いで、ステップS2では、自車データセットDSI及び他車データセットDSOを記憶するための初期データファイルを生成して、メモリ15(自車データ記憶部15A及び他車データ記憶部15B)に保存する。
次いで、ステップS3では、SOC測定のための所定の待ち時間TW1(本実施形態では、3分)が経過したか否かを判断する。待ち時間TW1が経過している場合(Yes)には、ステップS4に進み、待ち時間TW1が経過していない場合(No)には、ステップS6に進む。
【0038】
ステップS4では、SOC測定部12を用いて、車載診断ユニット10が搭載されたカートEVのバッテリBTの充電状態(SOC)を測定する。具体的には、バッテリBTの開放端子間電圧(OCV)を測定し、OCVから対応するSOCを推定する。
次いで、ステップS5では、取得したSOCの測定値(診断情報)、この測定値を取得した時点のローカル時間における取得時刻CA(ローカル時計14のカウンタ14Cのカウント値)、及び、無線通信部13のMACアドレスである固有識別子IDを含むデータセットDSを、メモリ15の自車データ記憶部15Aに記憶する。そして、ステップS5を終了すると、ステップS3に戻る。これにより、一定周期(=3分)でバッテリBTのSOC測定が行われる。
【0039】
一方、ステップS3でNoとなって、ステップS6に進むと、自身の無線通信部13と無線通信可能な他の端末10,20(他の車載診断ユニット10またはタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を探索する。そして、探索により発見した端末10,20の無線通信部13,23とピアツーピアの無線通信を確立する。
【0040】
次いで、ステップS7では、無線通信を確立した相手方の端末10,20(第1端末に相当)について記憶していた第1記憶時刻C1を確認する。この第1記憶時刻C1は、自身の無線通信部13と無線通信が確立されている相手方の端末10,20(第1端末)に記憶されたデータセットDSを自身の他車データ記憶部15Bに記憶させる度に、この記憶させたタイミングのローカル時間を第1記憶時刻C1として、相手方の端末10,20別に、更新して記憶したものである(後述する
図5のステップS107を参照)。
【0041】
そして、続くステップS8では、現在の時刻が、第1記憶時刻C1から、ローカル時間における第1所定時間T1(本実施形態では、T1=5分)以上経過しているか否かを判断する。第1所定時間T1(=5分)以上経過している場合(Yes)には、ステップS9に進み、無線通信が確立されている相手方の端末10,20に対して、データセットDSの送信要求及び受信を行う。
【0042】
なお、このとき無線通信の相手方端末10,20では、
図6に示すデータセット送信処理ルーチンを実行しており、ステップS20において、無線通信が確立している本車載診断ユニット10からのデータセットDSの送信要求が、無線通信で届くのを待っている。そして、データセットDSの送信要求を受け取ると、ステップS20でYesとなって、ステップS21に進み、無線通信により、無線通信が確立している本車載診断ユニット10に向けて、メモリ15,25(自車データ記憶部15A,他車データ記憶部15B,データ記憶部25A)に記憶されているデータセットDSの送信を開始する。そして、データセットDSの送信終了をステップS22で待ち(No)、送信が終了すると(Yes)、ステップS20に戻って、再び、データセットDSの送信要求を待つ。
【0043】
このようにして、ステップS9で、無線通信の相手方の端末10,20から取得したデータセットDSには、車載診断ユニット10(例えば10A,10B,・・・)が搭載された複数のカートEV(例えばEVA,EVB,・・・)に関するデータセットDS(例えばDS1,DS2,・・・)が含まれている。
【0044】
続いてステップS10に進み、
図5に示す他車データセット記憶処理ルーチンを実行する。そして、この他車データセット記憶処理ルーチンを実行した後は、ステップS11に進む。
ステップS11では、確立している無線通信を解除し、その後、ステップS3に戻り、再び、ステップS3以下の動作を繰り返す。
【0045】
一方、ステップS8で、第1所定時間T1が経過していない場合(No)は、ステップS9でのデータセットDSの受信及びステップS10での他車データセット記憶処理ルーチンの実行を行うことなく、ステップS11に進む。そして、ステップS11で、確立している無線通信を解除した後、ステップS3に戻り、再び、ステップS3以下の動作を繰り返す。
【0046】
このように、ステップS8においてNoの場合には、ステップS8,S9をスキップさせている。このようにするのは、以下の理由による。
すなわち、ステップS3に戻った後、ステップS6に進むと、再び、自身の無線通信部13と無線通信可能な他の端末10,20(他の車載診断ユニット10またはタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を新たに探索し、発見した端末10,20の無線通信部13,23との無線通信を新たに確立する。但し、この無線通信を確立した端末10,20が、第1所定時間T1(=5分)以内にデータセットDSを取得した相手方の端末10,20であった場合には、前回のデータセットDSの取得から時間の経過が少なく、データセットDSに新たな診断情報(SOCの測定値)が含まれている可能性は低い。そこで、既にデータセットDSを取得した端末10,20については、第1所定時間T1が経過するまで、一旦ステップS6で無線通信を確立しても、データセットDSを取得せずに、確立している無線通信を解除する(ステップS11)。
これにより、同一の端末10,20から、第1所定時間T1内にデータセットDSを繰り返し取得することがないので、無駄な通信を削減することができる。また、新たな診断情報の入手を図るべく、早期に再度ステップS6に戻り、無線通信可能な端末10,20の無線通信部13,23を探索して、無線通信を新たに確立することができる。
【0047】
次いで、ステップS10の他車データセット記憶処理ルーチンについて、
図5を用いて説明する。
まず、ステップS101では、
図4のステップS9で、他の端末10,20から取得したデータセットDS(DS1,DS2,・・・)のうち、1つのデータセットDSx中の固有識別子IDxを確認する。
そして、続くステップS102では、固有識別子IDxが自身の他車データ記憶部15Bに記憶されているデータセットDSに含まれているか否か、すなわち、固有識別子IDxが他車データ記憶部15Bに記憶されているか否かを判断する。
【0048】
固有識別子IDxが他車データ記憶部15Bに記憶されていない場合(No)には、ステップS103に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSxを他車データセットDSOとして、他車データ記憶部15Bに新規に記憶させる。そして、ステップS107に進む。
【0049】
一方、固有識別子IDxが他車データ記憶部15Bに記憶されてる場合(Yes)には、ステップS104に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSx中の取得時刻CAxを確認する。さらに続くステップS105で、取得時刻CAxが、自身の他車データ記憶部15Bに記憶しているデータセットDS中の取得時刻CAよりも新しいか否かを判断する。すなわち、取得したデータセットDSxが、自身が記憶しているデータセットDSよりも新しいか否かを判断する。具体的には、取得時刻CAxと取得時刻CAのカウント値の大小を比べる。
【0050】
取得時刻CAxが新しい場合(CAx>CA:Yes)には、ステップS106に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSxを他車データセットDSOとして、他車データ記憶部15Bに更新して記憶させる。そして、ステップS107に進む。
【0051】
ステップS107では、他車データ記憶部15Bに他車データセットDSOを記憶させたタイミングである現在のローカル時間を、通信の相手方端末10,20(第1端末)についての第1記憶時刻C1として、端末10,20別に、更新して記憶する。そして、ステップS108に進む。
また、ステップS105で、取得時刻CAxが新しくない場合(CAx≦CA:No)には、ステップS106の他車データセットDSOの更新及びステップS107の第1記憶時刻C1の更新を行わず、ステップS108に進む。
【0052】
ステップS108では、取得した全てのデータセットDSxの処理が終了したか否かを判断する。処理が終了していない場合(No)には、ステップS101に戻り、全てのデータセットDSxの処理が終了するまで、ステップS101からステップS108の処理を繰り返す。そして、全てのデータセットDSxの処理が終了すると(Yes)、この他車データセット記憶処理ルーチンを終了して、
図4のステップS11に進む。
そして、このような処理が各車載診断ユニット10(10A,10B,・・・)で行われることにより、情報共有システム1において、各車載診断ユニット10(10A,10B,・・・)についてのSOCの測定値(診断情報)の共有が行われる。
【0053】
次に、情報共有システム1を構成する端末10,20のうち、タブレット端末20の動作の詳細について、
図7,
図8を参照して説明する。
図7は、タブレット端末20のマイクロプロセッサ26におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。
マイクロプロセッサ26が動作を開始すると、まず、ステップS31で、無線通信部23の初期設定を行う。なお、予め情報共有システム1内で統一されたローカル時間を刻むローカル時計24のカウンタ24Cは、図示しないバックアップ電池により、常時カウントアップを行っている。
次いで、ステップS32では、データセットDSを記憶するための初期データファイルを生成して、メモリ25(データ記憶部25A)に保存する。
【0054】
次いで、ステップS33に進み、自身の無線通信部23と無線通信可能な他の端末10,20(車載診断ユニット10または他のタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を探索する。そして、探索により発見した端末10,20の無線通信部13,23とピアツーピアの無線通信を確立する。
【0055】
次いで、ステップS34では、無線通信を確立した相手方の端末10,20(第2端末に相当)について記憶していた第2記憶時刻C2を確認する。この第2記憶時刻C2は、車載診断ユニット10の第1記憶時刻C1と同様に、自身の無線通信部23と無線通信が確立されている相手方の端末10,20(第2端末)に記憶されたデータセットDSを自身のデータ記憶部25Aに記憶させる度に、この記憶させたタイミングのローカル時間を第2記憶時刻C2として、相手方の端末10,20別に、更新して記憶したものである(後述する
図8のステップS377を参照)。
【0056】
そして、続くステップS35では、現在の時刻が、第2記憶時刻C2から、ローカル時間における第2所定時間T2(本実施形態では、T2=5分)以上経過しているか否かを判断する。第2所定時間T2(=5分)以上経過している場合(Yes)には、ステップS36に進み、無線通信が確立されている相手方の端末10,20に対して、データセットDSの送信要求及び受信を行う。
なお、このとき無線通信の相手方の端末10,20は、前述したように、
図6に示すデータセット送信処理ルーチンを実行している。
【0057】
そして、ステップS36で、無線通信の相手方の端末10,20から取得したデータセットDSには、車載診断ユニット10(例えば10A,10B,・・・)が搭載された複数のカートEV(EVA,EVB,・・・)に関するデータセットDS(例えばDS1,DS2,・・・)が含まれている。
続いてステップS37に進み、
図8に示すデータセット記憶処理ルーチンを実行する。そして、このデータセット記憶処理ルーチンを実行した後は、ステップS38に進む。
ステップS38では、確立している無線通信を解除し、その後、ステップS33に戻り、再び、ステップS33以下の動作を繰り返す。
【0058】
一方、ステップS35で、第2所定時間T2が経過していない場合(No)は、ステップS36でのデータセットDSの受信及びステップS37でのデータセット記憶処理ルーチンの実行を行うことなく、ステップS38に進む。そして、ステップS38で、確立している無線通信を解除した後、ステップS33に戻り、再び、ステップS33以下の動作を繰り返す。
【0059】
このように、ステップS35においてNoの場合には、ステップS36,S37をスキップさせている。このようにするのは、以下の理由による。
すなわち、ステップS33に戻ると、再び、自身の無線通信部23と無線通信可能な他の端末10,20(車載診断ユニット10または他のタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を新たに探索し、発見した端末10,20の無線通信部13,23との無線通信を新たに確立する。但し、この無線通信を確立した端末10,20が、第2所定時間T2(=5分)以内にデータセットDSを取得した相手方の端末10,20であった場合には、前回のデータセットDSの取得から時間の経過が少なく、データセットDSに新たな診断情報(SOCの測定値)が含まれている可能性は低い。そこで、既にデータセットDSを取得した端末10,20については、第2所定時間T2が経過するまで、一旦ステップS33で無線通信を確立しても、データセットDSを取得せずに、確立している無線通信を解除する(ステップS38)。
これにより、同一の端末10,20から、第2所定時間T2内にデータセットDSを繰り返し取得することがないので、無駄な通信を削減することができる。また、新たな診断情報の入手を図るべく、早期に再度ステップS33に戻り、無線通信可能な端末10,20の無線通信部13,23を探索して、無線通信を新たに確立することができる。
【0060】
次いで、ステップS37のデータセット記憶処理ルーチンについて、
図8を用いて説明する。なお、このデータセット記憶処理ルーチンは、
図5の車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16が実行する他車データセット記憶処理ルーチンとほぼ同じである。
まず、ステップS371では、
図7のステップS36で、他の端末10,20から取得したデータセットDS(DS1,DS2,・・・)のうち、1つのデータセットDSx中の固有識別子IDxを確認する。
そして、続くステップS372では、固有識別子IDxが自身のデータ記憶部25Aに記憶されているデータセットDSに含まれているか否か、すなわち、固有識別子IDxがデータ記憶部25Aに記憶されているか否かを判断する。
【0061】
固有識別子IDxがデータ記憶部25Aに記憶されていない場合(No)には、ステップS373に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSxを、データ記憶部25Aに新規に記憶させる。そして、ステップS377に進む。
【0062】
一方、固有識別子IDxがデータ記憶部25Aに記憶されてる場合(Yes)には、ステップS374に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSx中の取得時刻CAxを確認する。さらに続くステップS375で、取得時刻CAxが、自身のデータ記憶部25Aに記憶しているデータセットDS中の取得時刻CAよりも新しいか否かを判断する。すなわち、取得したデータセットDSxが、自身が記憶しているデータセットDSよりも新しいか否かを判断する。具体的には、取得時刻CAxと取得時刻CAのカウント値の大小を比べる。
【0063】
取得時刻CAxが新しい場合(CAx>CA:Yes)には、ステップS376に進み、この固有識別子IDxを含むデータセットDSxを、データ記憶部25Aに更新して記憶させる。そして、ステップS377に進む。
【0064】
ステップS377では、データ記憶部25AにデータセットDSxを記憶させたタイミングである現在のローカル時間を、通信の相手方端末10,20(第2端末)についての第2記憶時刻C2として、端末10,20別に、更新して記憶する。そして、ステップS378に進む。
また、ステップS375で、取得時刻CAxが新しくない場合(CAx≦CA:No)には、ステップS376のデータセットDSxの更新及びステップS377の第2記憶時刻C2の更新を行わず、ステップS378に進む。
【0065】
ステップS378では、取得した全てのデータセットDSxの処理が終了したか否かを判断する。処理が終了していない場合(No)には、ステップS371に戻り、全てのデータセットDSxの処理が終了するまで、ステップS371からステップS378の処理を繰り返す。そして、全てのデータセットDSxの処理が終了すると(Yes)、このデータセット記憶処理ルーチンを終了して、
図7のステップS38に進む。
そして、このような処理が各タブレット端末20(20A,20B)で行われることにより、このタブレット端末20によっても、各車載診断ユニット10のSOCの測定値(診断情報)の共有が行われる。さらに、各タブレット端末20は、取得した各カートEVに関する診断情報を、自身の液晶ディスプレイ28に表示する。これにより、タブレット端末20を用いて、各カートEVのバッテリBTについて、SOCを確認し、カートEVの管理に用いることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、車載診断ユニット10が車載診断端末に相当する。このうち、SOC測定部12が、本発明の診断情報取得部及びSOC情報取得部に相当し、無線通信部13が通信部及び第1通信部に相当する。さらに、カウンタ14Cを含むローカル時計14が本発明の第1計時部に相当する。
また、タブレット端末20が表示端末に相当する。このうち、液晶ディスプレイ28が表示器に相当し、無線通信部23が通信部及び第2通信部に相当する。さらに、カウンタ24Cを含むローカル時計24が第2計時部に相当する。
【0067】
また、車載診断ユニット10のうち、ステップS6を実行しているマイクロプロセッサ16が第1探索部を含む第1通信確立部に相当する。さらに、ステップS103を実行しているマイクロプロセッサ16が第1新規記憶部に、ステップS106を実行しているマイクロプロセッサ16が第1更新記憶部に、ステップS107を実行しているマイクロプロセッサ16が第1時刻記憶部に、それぞれ相当する。さらに、ステップS7,S8を実行しているマイクロプロセッサ16が第1判断部に相当する。
また、タブレット端末20のうち、ステップS33を実行しているマイクロプロセッサ26が第2探索部を含む第2通信確立部に相当する。さらに、ステップS373を実行しているマイクロプロセッサ26が第2新規記憶部に、ステップS376を実行しているマイクロプロセッサ26が第2更新記憶部に、ステップS377を実行しているマイクロプロセッサ26が第2時刻記憶部に、それぞれ相当する。さらに、ステップS34,S35を実行しているマイクロプロセッサ26が第2判断部に相当する。
【0068】
以上で説明したように、本実施形態の情報共有システム1は、無線通信部13,23を用いた端末10,20同士の無線通信により、複数のカートEV(EVA,EV2,・・・)に関する診断情報(SOCの測定値)を、各車載診断ユニット10(10A,10B,・・・)及び各タブレット端末20(20A,20B)で共有するシステムである。
車載診断ユニット10では、自身の他車データ記憶部15Bに記憶されている他車データセットDSOを、無線通信により、他の端末(当該車載診断ユニット10以外の端末)10,20に記憶されている新しいデータセットDSによって順次更新する。また、タブレット端末20でも、データ記憶部25Aに記憶されているデータセットDSを、他の端末(当該タブレット端末20以外の端末)10,20に記憶されている新しいデータセットDSによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末10,20が有する診断情報を含むデータセットDSを、他の端末10,20を介して取得し共有することができるなど、各端末10,20は、各車載診断ユニット10が取得した診断情報を含むデータセットDSを、直接または間接に取得し共有することができる。これにより、端末10,20同士の通信によってカートEVに関する診断情報を共有する情報共有システム1が構成される。
また、タブレット端末20では、車載診断ユニット10の診断情報を液晶ディスプレイ28(表示器)に表示することができる。
【0069】
加えて、この情報共有システム1では、車載診断ユニット10及びタブレット端末20は、同一の端末10,20から、所定時間(第1所定時間T1及び第2所定時間T2)内にデータセットDSを繰り返し取得することなく、通信可能な端末10,20との無線通信を新たに確立する。
これにより、端末10,20同士の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図る情報共有システムとすることができる。
【0070】
また、本実施形態の情報共有システム1では、車載診断ユニット10は、無線通信を確立している端末10,20が、第1所定時間T1を経過していない端末10,20であった場合、再び新たに無線通信可能な端末10,20を探索し、発見した端末10,20と無線通信を確立する。また、タブレット端末20は、無線通信を確立している端末10,20が、第2所定時間T2を経過していない端末10,20であった場合、再び新たに無線通信可能な端末10,20を探索し、発見した端末10,20と無線通信を確立する。これにより、異なる端末10,20との通信の機会が増えるので、データセットDSの共有をより進めることができる。
【0071】
さらに、本実施形態の情報共有システム1では、タブレット端末20を複数備えており、タブレット端末20の第2通信確立部(ステップS33)は、自身の無線通信部23と無線通信可能な端末10,20の通信部として、車載診断ユニット10の無線通信部13(第1通信部)のほか、他のタブレット端末20の無線通信部23(第2通信部)とも無線通信を確立することができる。
これにより、タブレット端末20は、他のタブレット端末20が記憶しているデータセットDSも取得することができるので、データセットDSの情報を、タブレット端末20を含む各端末10,20から他の端末10,20にさらに容易に拡散させ、共有を進めることができる。
【0072】
さらに、本実施形態の情報共有システム1では、車載診断ユニット10のSOC測定部12(SOC情報取得部)は、診断情報として、カートEVに搭載されたバッテリBTの充電状態(SOC)を診断する。これにより、カートEVの管理者が、カートEVが走行不能になる前にバッテリBTの充電を行ったり、カートEVの交換を行うなど、各カートEVの充電状態(SOC)を適切に管理することができる。
【0073】
さらに、本実施形態の情報共有システム1では、ローカル時計14(第1計時部)及びローカル時計24(第2計時部)が、システム1内で統一された共通時間として、システム1内でのみ用いられるローカル時間を刻むので、共通時間の設定に関し、GPS衛星などの衛星の有する時計やインターネット接続によって取得する時刻に依存しないシステム1とすることができる。また、これにより、屋外や屋内を問わず、使用可能なシステム1とすることができる。
【0074】
さらに、本実施形態の情報共有システム1の車載診断ユニット10及びタブレット端末20では、カウンタ14C,24Cのカウント値をローカル時間として用いるので、ローカル時間を刻むローカル時計14(第1計時部)及びローカル時計24(第2計時部)を簡易に構成することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る車載診断ユニット10では、自身の他車データ記憶部15Bに記憶されている他車データセットDSOを、無線通信により、他の端末(当該車載診断ユニット10以外の端末)10,20に記憶されている新しいデータセットDSによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末10,20が有する診断情報を含むデータセットDSを、他の端末10,20を介して取得し共有することができるなど、車載診断ユニット10は、各車載診断ユニット10が取得した診断情報を含むデータセットDSを、直接または間接に取得し共有することができる。
加えて、この車載診断ユニット10は、同一の端末10,20から、第1所定時間T1内にデータセットDSを繰り返し取得することなく、通信可能な端末10,20との無線通信を新たに確立する。これにより、情報共有システム1において、この車載診断ユニット10と他の端末10,20との間の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図ることができる。
【0076】
また、本実施形態に係るタブレット端末20でも、自身のデータ記憶部25Aに記憶されているデータセットDSを、無線通信により、他の端末(当該タブレット端末20以外の端末)10,20に記憶されている新しいデータセットDSによって順次更新する。このため、直接は無線通信できない端末10,20が有する診断情報を含むデータセットDSを、他の端末10,20を介して取得し共有することができるなど、タブレット端末20は、各車載診断ユニット10が取得した診断情報を含むデータセットDSを、直接または間接に取得し共有することができる。
加えて、このタブレット端末20も、同一の端末10,20から、第2所定時間T2内にデータセットDSを繰り返し取得することなく、通信可能な端末10,20との無線通信を新たに確立する。これにより、情報共有システム1において、このタブレット端末20と他の端末10,20との間の無駄な通信を削減し、新たな診断情報の入手を図ることができる。
【0077】
(変形形態1)
次に、上述の実施形態の第1の変形形態について、
図9〜
図12のフローチャートを参照して説明する。本変形形態1は、情報共有システム1の全体構成等については、
図1〜
図3に示した実施形態と同じであるが、車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16及びタブレット端末20のマイクロプロセッサ26の処理動作の一部が、実施形態と異なる。そこで、以下では、実施形態と同様の部分については、説明を省略あるいは簡略化し、本変形形態1に係る情報共有システム1を構成する車載診断ユニット10及びタブレット端末20の動作の詳細について、実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0078】
まず、本変形形態1に係る車載診断ユニット10の動作の詳細について説明する。
図9,
図10は、本変形形態1に係る車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおいて、実施形態と同様の処理を行うステップについては、
図4のフローチャートと同じステップ番号を付してある。
【0079】
マイクロプロセッサ16が動作を開始すると、まず、ステップS1で、無線通信部13及びSOC測定部12の初期設定を行う。なお、実施形態と同様、情報共有システム1内で統一されたローカル時間を刻むローカル時計14のカウンタ14Cは、常時カウントアップを行っている。
ステップS2でも、実施形態と同様、初期データファイルを生成して、メモリ15(自車データ記憶部15A及び他車データ記憶部15B)に保存する。
次いで、ステップS3では、SOC測定のための所定の待ち時間TW1(本変形形態1では、3分)が経過したか否かを判断する。待ち時間TW1が経過している場合(Yes)には、実施形態と同様、ステップS4に進んで、バッテリBTのSOCを測定し、ステップS5で、取得したSOCの測定値(診断情報)を含むデータセットDSを、メモリ15の自車データ記憶部15Aに記憶する。そして、ステップS5を終了すると、ステップS3に戻り、一定周期(本例では3分)でバッテリBTのSOC測定を繰り返す。
【0080】
一方、ステップS3で、待ち時間TW1が経過していない場合(No)には、ステップS61に進み、まず、自身の無線通信部13と無線通信可能な他の端末10,20(他の車載診断ユニット10またはタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を探索する。
次いで、ステップS62で、探索により発見した無線通信可能な端末10,20の無線通信部13,23について、そのサービスセット識別子(以下、SSIDともいう)の一覧であるSSIDリストを作成する。
【0081】
続くステップS63では、SSIDリストに挙げられた端末10,20(第1通信可能端末)のうち、SSIDリストの作成後に未だ無線通信の確立を行っていない未確立端末10,20(第1未確立端末)の有無を判断する。SSIDリスト中に未確立端末10,20が無い場合(No)には、ステップS3に戻り、ステップS61で、再度、無線通信可能な端末10,20を探索する。一方、SSIDリスト中に未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS64に進む。
【0082】
ステップS64では、SSIDリスト中の未確立端末10,20のうち、1つの端末10,20(第1選択端末)を選択する。続くステップS65で、選択した端末10,20(第1選択端末)との間で、ピアツーピアの無線通信の確立を図る。続くステップS66では、この選択した端末10,20(第1選択端末)との間で、実際に無線通信を確立できたか否かを確認する。このうち、無線通信が確立できなかった場合(No)には、ステップS63に戻り、無線通信が確立できた場合(Yes)には、ステップS7に進む。
【0083】
なお、ステップS7からステップS11までの処理は、
図4に示した実施形態の処理と同じである。すなわち、ステップS7では、無線通信を確立した相手方の端末10,20(第1端末に相当)について記憶していた第1記憶時刻C1を確認する。
そして、続くステップS8では、現在の時刻が、第1記憶時刻C1から第1所定時間T1(本変形形態1では、T1=5分)以上経過しているか否かを判断する。第1所定時間T1以上経過している場合(Yes)には、ステップS9に進む。一方、第1所定時間T1が経過していない場合(No)には、ステップS9,S10をスキップして、ステップS11に進む。
【0084】
ステップS9では、相手方の端末10,20に対して、データセットDSの送信要求及び受信を行う。このとき相手方の端末10,20は、
図6のデータセット送信処理ルーチンを実行している。
そして、ステップS10に進み、
図5の他車データセット記憶処理ルーチンを実行した後、ステップS11に進む。
【0085】
ステップS11では、確立している無線通信を解除する。本変形形態1では、その後、ステップS63に戻る。
ステップS63では、SSIDリスト中の未確立端末10,20(第1未確立端末)の有無を再度判断する。SSIDリスト中に未確立端末10,20が無い場合(No)には、ステップS3に戻り、ステップS61で、再度、無線通信可能な端末10,20を探索し、ステップS62でSSIDリストを新たに作成する。一方、ステップS63で未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS64に進み、未確立端末10,20(第1未確立端末)のうちの1つの端末10,20(第1選択端末)を新たに選択し、ステップS65以降の処理を再度実行する。
【0086】
すなわち、本変形形態1の車載診断ユニット10では、実施形態と同様に、ステップS8においてNoの場合(第1記憶時刻C1から第1所定時間T1が経過していない場合)に、ステップS9,S10をスキップして、ステップS11を実行する。このため、同一の端末10,20から、第1所定時間T1内にデータセットDSを繰り返し取得することがない。
【0087】
さらに、この車載診断ユニット10では、ステップS8においてNoである場合に、無線通信を新たに確立するにあたって、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第1未確立端末)が存在する場合(残っている場合)には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第1選択端末)を選択している。このため、無線通信の相手方の端末10,20として、同一の端末10,20を繰り返し選択し無線通信を確立することがない。
【0088】
次いで、本変形形態1に係るタブレット端末20の動作の詳細について説明する。
図11,
図12は、本変形形態1に係るタブレット端末20のマイクロプロセッサ26におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおいて、実施形態と同様の処理を行うステップについては、
図7のフローチャートと同じステップ番号を付してある。
【0089】
マイクロプロセッサ26が動作を開始すると、まず、ステップS31で、無線通信部23の初期設定を行う。なお、実施形態と同様、ローカル時計24のカウンタ24Cは、常時カウントアップを行っている。
次いで、ステップS32では、データセットDSを記憶するための初期データファイルを生成して、メモリ25(データ記憶部25A)に保存する。
【0090】
次いで、ステップS331に進み、自身の無線通信部23と無線通信可能な他の端末10,20(車載診断ユニット10または他のタブレット端末20)の無線通信部13,23の有無を探索する。
次いで、ステップS332で、探索により発見した無線通信可能な端末10,20の無線通信部13,23について、そのSSIDの一覧であるSSIDリストを作成する。
【0091】
さらに、続くステップS333では、SSIDリストに挙げられた端末10,20(第2通信可能端末)のうち、SSIDリストの作成後に未だ無線通信の確立を行っていない未確立端末10,20(第2未確立端末)の有無を判断する。SSIDリスト中に未確立端末10,20が無い場合(No)には、ステップS331に戻り、再度、無線通信可能な端末10,20を探索する。一方、SSIDリスト中に未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS334に進む。
【0092】
ステップS334では、SSIDリスト中の未確立端末10,20のうち、1つの端末10,20(第2選択端末)を選択する。続くステップS335で、選択した端末10,20(第2選択端末)との間で、ピアツーピアの無線通信の確立を図る。続くステップS336では、この選択した端末10,20(第2選択端末)との間で、実際に無線通信を確立できたか否かを確認する。このうち、無線通信が確立できなかった場合(No)には、ステップS333に戻り、無線通信が確立できた場合(Yes)には、ステップS34に進む。
【0093】
なお、ステップS34からステップS38までの処理は、
図7に示した実施形態の処理と同じである。すなわち、ステップS34では、無線通信を確立した相手方の端末10,20(第2端末に相当)について記憶していた第2記憶時刻C2を確認する。
そして、続くステップS35では、現在の時刻が、第2記憶時刻C2から第2所定時間T2(本変形形態1では、T2=5分)以上経過しているか否かを判断する。第2所定時間T2以上経過している場合(Yes)には、ステップS36に進む。一方、第2所定時間T2が経過していない場合(No)には、ステップS36,S37をスキップして、ステップS38に進む。
【0094】
ステップS36では、相手方の端末10,20に対して、データセットDSの送信要求及び受信を行う。このとき相手方の端末10,20は、
図6のデータセット送信処理ルーチンを実行している。
そして、ステップS37に進み、
図8のデータセット記憶処理ルーチンを実行した後、ステップS38に進む。
【0095】
ステップS38では、確立している無線通信を解除する。本変形形態1では、その後、ステップS333に戻る。
ステップS333では、SSIDリスト中の未確立端末10,20(第2未確立端末)の有無を再度判断する。SSIDリスト中に未確立端末10,20が無い場合(No)には、ステップS331に戻り、再度、無線通信可能な端末10,20を探索し、ステップS332で新たにSSIDリストを作成する。一方、未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS334に進み、既存のSSIDリスト中の未確立端末10,20(第2未確立端末)のうちの1つの端末10,20(第2選択端末)を新たに選択し、ステップS335以降の処理を再度実行する。
【0096】
すなわち、本変形形態1のタブレット端末20では、実施形態と同様に、ステップS35においてNoの場合(第2記憶時刻C2から第2所定時間T2が経過していない場合)に、ステップS36,S37をスキップして、ステップS38を実行する。このため、同一の端末10,20から、第2所定時間T2内にデータセットDSを繰り返し取得することがない。
【0097】
さらに、このタブレット端末20では、ステップS35においてNoである場合に、新たな端末10,20との間で無線通信の確立を行うにあたって、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第2未確立端末)が存在する場合(残っている場合)には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第2選択端末)を選択している。このため、無線通信の相手方の端末10,20として、同一の端末10,20を繰り返し選択し無線通信を確立することがない。
【0098】
本変形形態1では、車載診断ユニット10のうち、ステップS61,S62を実行しているマイクロプロセッサ16が第1リスト作成部に相当し、ステップS62で作成するSSIDリストが第1通信可能端末リストに相当する。さらに、ステップS63,S64を実行しているマイクロプロセッサ16が第1選択部に相当し、ステップS65を実行しているマイクロプロセッサ16が第1確立部に相当する。
また、タブレット端末20のうち、ステップS331,S332を実行しているマイクロプロセッサ26が第2リスト作成部に相当し、ステップS332で作成するSSIDリストが第2通信可能端末リストに相当する。さらに、ステップS333,S334を実行しているマイクロプロセッサ26が第2選択部に相当し、ステップS335を実行しているマイクロプロセッサ26が、第2確立部に相当する。
【0099】
以上で説明したように、本変形形態1の情報共有システム1は、車載診断ユニット10及びタブレット端末20が、実施形態と同様に、同一の端末10,20から、所定時間(第1所定時間T1及び第2所定時間T2)内にデータセットDSを繰り返し取得することがないので、端末10,20同士の無駄な通信を削減することができる。
さらに、この情報共有システム1では、車載診断ユニット10は、無線通信を確立している端末10,20が、第1所定時間T1が経過していない端末10,20であった場合、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第1未確立端末)が存在する場合には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第1選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。また、タブレット端末20は、無線通信を確立している端末10,20が、第2所定時間T2を経過していない端末10,20であった場合、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第2未確立端末)が存在する場合には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第2選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。このため、新たな無線通信の相手方の端末10,20として、同一の端末10,20に繰り返し無線通信を確立することがないので、無駄な通信を削減できる上、異なる端末10,20との通信が早期に行われるので、データセットDSの情報を早期に拡散させ、共有を図ることができる。
【0100】
なお、本変形形態1の情報共有システム1では、車載診断ユニット10は、無線通信を確立している端末10,20が、第1所定時間T1を経過している端末10,20であった場合にも、他車データ記憶部15Bへの記憶を行った後に、既に作成されているSSIDリスト中の未確立端末10,20(第1未確立端末)の中から新たな1つの端末10,20(第1選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。また、タブレット端末20は、無線通信を確立している端末10,20が、第2所定時間T2を経過している端末10,20であった場合にも、データ記憶部25Aへの記憶を行った後に、既に作成されているSSIDリスト中の未確立端末10,20(第2未確立端末)の中から新たな1つの端末10,20(第2選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。このため、他車データ記憶部15B及びデータ記憶部25Aへの記憶を行った後においても、新たな無線通信の相手方の端末10,20として、同一の端末10,20に繰り返し無線通信を確立することがない。これにより、さらに無駄な通信を削減できる。
【0101】
(変形形態2)
さらに、実施形態の第2の変形形態について、
図9,
図11,
図13,
図14のフローチャートを参照して説明する。本変形形態2は、車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16及びタブレット端末20のマイクロプロセッサ26の処理動作の流れを、変形形態1と一部異ならせたものであるが、各ステップにおける処理動作は、変形形態1と同様である。
【0102】
図9,
図13は、本変形形態2に係る車載診断ユニット10のマイクロプロセッサ16におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。なお、フローチャートの前半部分を示す
図9は、変形形態1のフローチャートと同じである。また、
図9,
図13において、変形形態1と同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付してあり、ステップS1〜S11,S61〜S66の各ステップの内容は、変形形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0103】
本変形形態2の車載診断ユニット10では、ステップS8でNoとなった場合、ステップS12に進んで、変形形態1と同様、確立している無線通信を解除する。さらに、このステップS12の後、ステップS63に戻る。
一方、ステップS8でYesの場合には、ステップS9でデータセットDSの送信要求及び受信を行い、ステップS10で、他車データセット記憶処理ルーチンを実行した後、ステップS11で、確立している無線通信を解除する。そして、ステップS11の後、変形形態1と異なり、ステップS3に戻る(
図9参照)。
【0104】
すなわち、本変形形態2では、ステップS8でNoとなった場合には、ステップS63に戻り、SSIDリスト中の未確立端末10,20の有無を判断し、未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS64で、未確立端末10,20のうちの1つの端末10,20を選択する。一方、ステップS8でYesとなって、データセットDSの受信及び記憶を行った場合には、ステップS3に戻り、ステップS61で、再度、改めて無線通信可能な端末10,20を探索し、ステップS62でSSIDリストを新たに作成する。
【0105】
また、
図11,
図14は、本変形形態2に係るタブレット端末20のマイクロプロセッサ26におけるデータセット取得に関する動作を示すフローチャートである。このタブレット端末20についても、車載診断ユニット10の場合と同様に、フローチャートの前半部分を示す
図11は、変形形態1のフローチャートと同じである。また、
図11,
図14において、変形形態1と同様の処理を行うステップについては、同じステップ番号を付してあり、ステップS31〜S38,S331〜S336の各ステップの内容は、変形形態1と同じであるので、説明を省略する。
【0106】
本変形形態2のタブレット端末20でも、車載診断ユニット10と同様、ステップS35でNoとなった場合、ステップS39に進んで、変形形態1と同様、確立している無線通信を解除する。さらに、このステップS39の後、ステップS333に戻る。このステップS333では、SSIDリスト中の未確立端末10,20の有無を判断し、未確立端末10,20が有る場合(Yes)には、ステップS334で、未確立端末10,20のうちの1つの端末10,20を選択する。
一方、ステップS35でYesの場合には、車載診断ユニット10と同様、ステップS36からS38まで進んだ後、変形形態1と異なり、ステップS331に戻る(
図11参照)。このステップS331では、再度、改めて無線通信可能な端末10,20を探索し、ステップS332でSSIDリストを新たに作成する。
【0107】
したがって、本変形形態2についても、変形形態1と同様、車載診断ユニット10は、無線通信を確立している端末10,20が、第1所定時間T1が経過していない端末10,20であった場合、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第1未確立端末)が存在する場合には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第1選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。また、タブレット端末20も、無線通信を確立している端末10,20が、第2所定時間T2が経過していない端末10,20であった場合、既に作成されているSSIDリスト中に未確立端末10,20(第2未確立端末)が存在する場合には、この未確立端末10,20の中から新たな1つの端末10,20(第2選択端末)を選択して無線通信を新たに確立する。これにより、本変形形態2の情報共有システム1では、第1所定時間T1及び第2所定時間T2が経過していないと判断された場合において、変形形態1と同様の作用効果を奏する。
【0108】
但し、本変形形態2の情報共有システム1では、車載診断ユニット10は、無線通信を確立している端末10,20が、第1所定時間T1を経過した端末10,20であり、他車データ記憶部15Bへの記憶を行った後には、再度、ステップS61に戻り、無線通信可能な端末10,20を探索し、SSIDリストを新たに作成する。また、タブレット端末20は、無線通信を確立している端末10,20が、第2所定時間T2を経過した端末10,20であり、データ記憶部25Aへの記憶を行った後には、再度、ステップS331に戻り、無線通信可能な端末10,20を探索し、SSIDリストを新たに作成する。このため、本変形形態2では、他車データ記憶部15B及びデータ記憶部25Aへの記憶を行った後は、新たにSSIDリストを作成して、より新しいリストに基づいて診断情報の取得を図るものとなっている。
【0109】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態1,2の情報共有システム1、並びに、この情報共有システム1に用いる車載診断端末である車載診断ユニット10、及び、表示端末であるタブレット端末20に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態等では、表示端末として、複数のタブレット端末20(20A,20B)を示したが、表示端末として、固定のパーソナルコンピュータ端末を含めることもできる。
【0110】
また、実施形態等では、情報共有システム1内に、タブレット端末20(20A,20B)を複数有し、かつ、車載診断ユニット10は、他の車載診断ユニット10及びタブレット端末20からデータセットDSを取得可能であり、タブレット端末20は、車載診断ユニット10及び他のタブレット端末20からデータセットDSを取得可能なシステムを示した。
これに対し、システム内に、タブレット端末20,PC端末などの表示端末を1台のみ有する、従って、表示端末(タブレット端末20)同士の通信が存在しないシステムとしても良い。
【0111】
また、実施形態等では、端末10,20が、タブレット端末20からもデータセットDSを取得できるシステムを示したが、車載診断ユニット10は、表示端末20からデータセットDSを取得できず、他の車載診断ユニット10のみからデータセットDSを取得でき、表示端末20も、他の表示端末20からデータセットDSを取得できず、車載診断ユニット10のみからデータセットDSを取得可能としたシステムとしても良い。この場合には、車載診断ユニット10,表示端末20のいずれにおいても、データセットDS取得のために無線通信を確立する相手は、対車載診断ユニット10のみとなる。
【0112】
また、実施形態等では、カートEVに関する診断情報として、バッテリBTの充電状態(SOC)を示した。しかし、このほか、バッテリBTの温度や、タイヤの空気圧(パンクの有無)などの診断情報を取得しても良い。また、車載診断ユニット10を搭載する電動車両としては、実施形態のゴルフカートのほか、病院、遊園地などの施設内、退職者向けの街区内で使用される電動カートなどでも良い。
また、実施形態等では、共通時間の設定にあたり、情報共有システム1において独自に設定し、端末10,20に設けたローカル時計14,24を用いた。しかし、共通時間の設定にあたっては、GPS衛星などの衛星の有する時計やインターネット上の時刻サイトから取得する時刻を用いて設定しても良い。
また、実施形態等では、端末10,20の無線通信部13,23が、Wi−Fiダイレクトにより、ピアツーピアの無線通信を行ったが、IEEE 802.11無線LAN規格の動作モードであるアドホックモードなど、ピアツーピアの無線通信が可能なその他の通信規格を用いても良い。