(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397746
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20180913BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20180913BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-250299(P2014-250299)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-107021(P2016-107021A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】成田 忠広
(72)【発明者】
【氏名】坂 航
【審査官】
藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−237535(JP,A)
【文献】
特開2000−5351(JP,A)
【文献】
特開昭60−153886(JP,A)
【文献】
特開平2−277474(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0059810(US,A1)
【文献】
米国特許第1587758(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に設けられ、シャフトが挿入されるホゼル部と、
前記ホゼル部から、前記ゴルフクラブヘッドのバック側へ延びる延設部と、を備え、
前記延設部は、フェース部側の先端部と、バック側の後端部とを含み、
前記先端部は、前記ホゼル部のヒール側の部位とトウ側の部位のうち、ヒール側の部位に接続され、
前記後端部は、前記先端部に対してトウ側に位置していることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記ホゼル部は、そのトウ側の周面に凹部が形成されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記延設部は、前記ホゼル部の周面と連続したヒール側の側面を有する、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記延設部は、板状である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記ホゼル部の断面形状が円形であり、
前記延設部の最大厚さは、前記ホゼル部の半径以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項4に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記延設部は、トウ側の側面と、ヒール側の側面とを有し、
前記ヒール側の側面は前記ホゼル部の周面と連続し、
前記トウ側の側面と前記ホゼル部の周面との間に、楔型の空間が形成されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドは、ウッド型のゴルフクラブヘッドであり、
前記延設部は、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側のサイド部に接続されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記延設部は、前記ホゼル部の周面及び前記サイド部の周面と連続したヒール側の側面を有する、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記ゴルフクラブヘッドは、ウッド型のゴルフクラブヘッドであり、
前記延設部は、前記ゴルフクラブヘッドのクラウン部に接続されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドは、シャフトが挿入されるホゼル部を備えている。このホゼル部の構成はゴルフクラブヘッドの性能に影響を与える場合がある。例えば、ホゼル部の重量はゴルフクラブヘッドの重心に影響を与える場合がある。特許文献1にはホゼル部を軽くする一方で、その強度低下を防止するために補強板を設けたゴルフクラブヘッドが開示されている。
【0003】
また、例えば、ホゼル部の形状はゴルフクラブヘッドの空気抵抗に影響を与える場合がある。ドライバのようにヘッドスピードが比較的速いクラブにおいてはホゼル部の空気抵抗がヘッドスピードに影響する場合がある。特許文献2〜10にはホゼル部の形状により空気抵抗を低減させるゴルフクラブヘッドが開示されている。これとは逆に、特許文献11には、ホゼル部の形状によって空気抵抗を増大させ、フェースローテーションを促進させるゴルフクラブヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−5351号公報
【特許文献2】特開2009−279373号公報
【特許文献3】特開2005−237535号公報
【特許文献4】特開平2−277474号公報
【特許文献5】実開昭60−128663号公報
【特許文献6】米国特許第8758157号明細書
【特許文献7】米国特許第8568247号明細書
【特許文献8】米国特許第5674136号明細書
【特許文献9】米国特許第5575725号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/032584号明細書
【特許文献11】米国特許第5827132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホゼル部の空気抵抗を低減させる場合、特許文献2〜10のようにホゼル部の形状により空気抵抗を低減させることが有効である。しかし、ホゼル部が肥大してゴルフクラブヘッドのヒール側の重量が増加する場合がある。これはゴルフクラブヘッドの重心がヒール側に寄り易くなるため、重心設計上不利である。
【0006】
本発明の目的は、ホゼル部の空気抵抗を低減しつつ、ゴルフクラブヘッドのヒール側の重量増加を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ゴルフクラブヘッドであって、前記ゴルフクラブヘッドのヒール側に設けられ、シャフトが挿入されるホゼル部と、前記ホゼル部から、前記ゴルフクラブヘッドのバック側へ延びる延設部と、を備え、前記延設部は、フェース部側の先端部と、バック側の後端部とを含み、前記先端部は、前記ホゼル部のヒール側の部位とトウ側の部位のうち、ヒール側の部位に接続され、前記後端部は、前記先端部に対してトウ側に位置している、ことを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホゼル部の空気抵抗を低減しつつ、ゴルフクラブヘッドのヒール側の重量増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドを上から見た図。
【
図3】(A)は
図1のゴルフクラブヘッドのホゼル部周辺の斜視図、(B)は
図3(A)のI-I線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態のゴルフクラブヘッド10を上から見た図である。
図2はゴルフクラブヘッド10を横から見た図であり、ゴルフクラブヘッド10をヒール側から見た図である。
図1及び
図2は、それぞれ、ゴルフクラブヘッド10を規定ライ角及び規定ロフト角通りに接地した場合に上から見た図及び横から見た図である。
【0011】
ゴルフクラブヘッド10は中空体をなしており、その周壁が、フェース面(打撃面)を形成するフェース部11と、ゴルフクラブヘッド10の上部を形成するクラウン部12と、ゴルフクラブヘッド10の底部を形成するソール部13と、クラウン部12とソール部13との間のサイド部14と、を構成している。また、ゴルフクラブヘッド10はシャフトが挿入されて固定されるホゼル部15と延設部16とを備える。
【0012】
各図において、矢印d1はフェース−バック方向を、矢印d2はトウ−ヒール方向を、矢印d3は上下方向をそれぞれ示している。フェース−バック方向は、通常は、飛球線方向(打球の目標方向)である。トウ−ヒール方向は、例えば、ソール部13のトウ側端とヒール側端とを結ぶ方向或いはフェース−バック方向に直交する方向と規定することができる。
【0013】
ゴルフクラブヘッド10はドライバ用のゴルフクラブヘッドである。しかし、本発明はドライバ以外のフェアウエイウッド等も含むウッド型のゴルフクラブヘッド、ユーティリティ型(ハイブリッド型)のゴルフクラブヘッド、その他の中空のゴルフクラブヘッド、アンアン型ヘッド等、ホゼル部を備える各種ゴルフクラブヘッドに適用可能である。
【0014】
ゴルフクラブヘッド10は、金属材料から作成することができ、そのような金属材料としては、チタン系金属(例えば、6Al−4V−Tiのチタン合金等)、ステンレス、ベリリウムカッパー等の銅合金が挙げられる。
【0015】
ゴルフクラブヘッド10は、複数のパーツを接合して組み立てることができる。例えば、本体部材とフェース部材とから構成できる。本体部材は、クラウン部12、ソール部13、サイド部14、ホゼル部15、延設部16及びフェース部11の周縁部分を構成し、フェース部11に相当する部分の一部に開口部が形成される。フェース部材は本体部材の開口部に接合される。
【0016】
図1及び
図2に加えて
図3(A)及び(B)を参照してホゼル部15及び延設部16について説明する。
図3(A)はホゼル部15周辺の斜視図である。
図3(B)は
図3(A)のI-I線断面図であり、ホゼル部15の軸線ALに直交する平面で切断した断面図である。
【0017】
本実施形態の場合、ホゼル部15は円筒形状をなしている。しかし、楕円筒形状等、他の筒形状であってもよい。ホゼル部15のトウ側の周面には凹部15aが形成されている。本実施形態の場合、凹部15aは円形状(球形状)をなしているが多角形状であってもよい。凹部15aを設けたことにより、凹部15aが無い場合よりも打撃時の気流の剥離位置をバック側に変えることができ、ホゼル部15の存在に起因する空気抵抗を低減できる。凹部15aの深さは例えば0.1mm〜1mmであり、直径は例えば1mm〜10mmである。凹部15aの位置は、ホゼル部15の周面のうち、気流が剥離し易いトウ側の端を中心として、フェース−バック方向に、ホゼル直径の範囲内に設けることができ、本実施形態のようにトウ側の端の位置が好適である。本実施形態では、凹部15aを一つのみとしているが、複数設けてもよい。複数設ける場合、ホゼル部15の軸方向と平行な方向に複数設けてもよいし、フェース−バック方向に複数設けてもよいし、これら双方の方向に複数設けてもよい。
【0018】
延設部16はホゼル部15からフェース−バック方向でバック側に延びている。本実施形態の場合、延設部16はホゼル部15及びサイド部14に一体的に形成されている。しかし、延設部16がゴルフクラブヘッド10から分離可能に固定される構成であってもよい。この場合、延設部16を交換可能とし、仕様が異なる複数種類の延設部16の中から、ユーザが好みの延設部16を選択できるようにしてもよい。
【0019】
本実施形態の場合、延設部16は厚みTを有する板状の部材である。厚みTは全体に渡って均一であってもよいし、不均一であってもよく、また、板状以外の構造であってもよい。延設部16は、軽量化の点で、風圧に耐久できる範囲で薄いことが好ましく、例えば、その最大厚みは0.5mm〜15mmであり、ホゼル部15の半径以下であることが好ましい。延設部16のその外形は三角形状であるが、円形、多角形、円弧状部分を含む形状等でもよい。しかし、延設部16の構成はこれに限られるわけではない。
【0020】
延設部16はフェース部11側の先端部16aと、バック側の後端部16bとを有している。先端部16aはホゼル部15の軸方向と平行な方向に高さhを有している。この高さhは例えば5mm〜50mmである。延設部16は先端部16aから後端部16bにかけて高さが徐々に小さくなっており、後端部16bにおいてはサイド部14の表面からの高さが0となっている。延設部16の底部は本実施形態の場合、サイド部14とクラウン部12との境界部分に接続されているが、サイド部14のみ又はクラウン部12のみに接続されていてもよい。延設部16をサイド部14やクラウン部12と接続することで、気流が延設部16からサイド部14或いはクラウン部12へ円滑に流れやすくなる。
【0021】
延設部16のフェース−バック方向の最大長さL(先端部16aと後端部16bとの間の長さ)は、例えば、5mm〜50mmの範囲とすることで、不必要に大型化することなく、空気抵抗を低減できる。
【0022】
図3(B)において線L1はホゼル部15の軸線ALを通り、トウ−ヒール方向と直交する仮想線である。ホゼル部15の周面を線L1でヒール側の部位とトウ側の部位とに区分けすると、先端部16aはヒール側の部位に接続され、トウ側の部位には接続されていない。
【0023】
図3(B)において線L2は先端部16aを通り、トウ−ヒール方向と直交する仮想線である。後端部16bは先端部16aに対してトウ側に位置している。延設部16は、全体として、サイド部の形状に沿って先端部16a側から後端部16bへ向かってバック側でトウ側に指向し、ヒール側に僅かに凸となる曲線形状をなしており、気流をヘッドに沿わせて、気流の剥離位置をバック側へずらすことができる。
【0024】
本実施形態の場合、延設部16のヒール側の側面16cはホゼル部15の周面と段差なく連続している。これは段差がある場合よりも気流の乱れを抑制できる。また、側面16cはサイド部14の周面と段差なく連続している。これも段差がある場合よりも気流の乱れを抑制できる。
【0025】
本実施形態の場合、延設部16のトウ側の側面16dとホゼル部15の周面との間に、楔型の空間17が形成されている。この空間17を埋めた構成も採用可能である。
図5にその一例を示す。同図の例では、側面16dは、ホゼル部15の周面のうち、バック端を起点としてなだらかに湾曲しつつバック側に延びている。
図3(B)の構成例では空間17を形成することでより軽量化し易いという利点があり、
図5の構成例では生産性がよいという利点がある。
【0026】
次に、延設部16によるホゼル部15の空気抵抗の低減効果について
図4(A)及び
図4(B)を参照して説明する。
図4(A)及び
図4(B)は打撃直前においてゴルフクラブヘッド10に作用する気流を模式的に示した図である。
図4(A)は比較例として延設部16が無い場合を示し、
図4(B)は本実施形態の場合を示す。
【0027】
図4(A)に示すように、打撃直前においては、ゴルフクラブヘッド10に対する気流はフェース−バック方向に流れる。ホゼル部15の周辺の気流は、ホゼル部15のヒール側を流れる気流F1と、トウ側を流れる気流F2とに分かれる。気流F1はホゼル部15を通過後に直ぐにトウ側に巻き込みながらクラウン12上に流れ込む。気流F1がクラウン12上に流れ込むとゴルフクラブヘッド10に対する空気抵抗が大きくなる。気流F2はホゼル部15の周面から早期に剥離することでゴルフクラブヘッド10に対する空気抵抗が大きくなる。
【0028】
図4(B)に示す本実施形態の場合、延設部16の存在により、気流F1はホゼル部15を通過後に、しばらくバック側に流れる。したがって、
図4(A)に示す延設部16が無い構成に対し、クラウン12上に流れる気流の向き変え、サイド部における気流の剥離位置がバック側にずれ、ゴルフクラブヘッド10に対する空気抵抗を小さくすることができる。また、凹部15aを設けたことで、気流F2がホゼル部15の周面から剥離する位置を、よりバック側に変化させることができる。この結果、ゴルフクラブヘッド10に対する空気抵抗をより小さくすることができる。
【0029】
このように、本実施形態は、気流F1がトウ側に巻き込みながらクラウン12上に流れることが、ゴルフクラブヘッド10に対する空気抵抗の増加の影響が高いという発想に基づいている。本実施形態では、延設部16を全体としてホゼル部15のヒール側に偏った配置とし、ホゼル部15のヒール側の気流の案内を積極的に行う一方、ホゼル部15のトウ側の気流については積極的な案内は行わず、軽量化を重視した構成としている。これにより、ホゼル部15の空気抵抗を低減しつつ、延設部16の存在によるゴルフクラブヘッド10のヒール側の重量増加を抑制することができる。
【0030】
また、ホゼル部15のトウ側の気流による空気抵抗については、ホゼル部15の周面の凹部15aにより低減することができ、これも重量増加を伴わずにホゼル部15の空気抵抗の低減に寄与する。
【符号の説明】
【0031】
10 ゴルフクラブヘッド、11 フェース部、15 ホゼル部、16 延設部