(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397763
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】自動車両用の制御装置、プログラミング装置およびプログラミングシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20180913BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20180913BHJP
【FI】
B60R16/02 660U
G06F8/65
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-520589(P2014-520589)
(86)(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公表番号】特表2014-520719(P2014-520719A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012062977
(87)【国際公開番号】WO2013010789
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年6月29日
【審判番号】不服2017-9751(P2017-9751/J1)
【審判請求日】2017年7月3日
(31)【優先権主張番号】102011079402.6
(32)【優先日】2011年7月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391009671
【氏名又は名称】バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ピーチュマン インゴルフ
【合議体】
【審判長】
島田 信一
【審判官】
一ノ瀬 覚
【審判官】
氏原 康宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−63939(JP,A)
【文献】
特開2006−347258(JP,A)
【文献】
特開2005−192261(JP,A)
【文献】
特開2002−315066(JP,A)
【文献】
特開2002−268893(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0049765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G06F 11/00
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の制御装置(CU)であって、
一つまたは複数の制御プログラムを実行するように構成された少なくとも一つの演算ユニット(CPU)と、データの送受信用の少なくとも一つの通信インタフェース(IF)と、夫々の制御プログラムのプログラムデータを記憶するための少なくとも一つのプログラムメモリ(M_NV)とを有し、また
プログラムメモリ(M_NV)内に所定の形式で保存される、更新されるべき制御プログラムのプログラムデータを、少なくとも1つの車両外部のユニットとの通信を介して、受信することが可能で、また、受信された前記プログラムデータを用いて、更新されるべき制御プログラムをプログラミングすることが可能な、
制御装置(CU)において、
前記制御装置(CU)が、前記少なくとも1つの車両外部のユニットとの通信のための複数のプロトコルをサポートすること、
前記制御装置(CU)が、前記通信インタフェース(IF)に提供される少なくとも一つの更新されるべき制御プログラムを対象とするプログラムデータ更新リクエストを読み込みまた評価し、その際、前記プログラムデータ更新リクエストが少なくとも一つの第1の指示子を含み、当該第1の指示子が夫々の更新されるべき前記制御プログラムの前記プログラムデータの受信のための通信に利用することが出来る複数の利用可能なプロトコルを表すこと、
前記制御装置(CU)が、前記第1の指示子に従属して第2の指示子を夫々算出し、その際、前記第2の指示子は、前記複数の利用可能なプロトコルの中から選ばれるプロトコルであって、夫々の更新されるべき前記制御プログラムの前記プログラムデータを受信するための前記通信に利用されることになるプロトコルを表すこと、及び、
前記制御装置(CU)が、前記プログラムデータ更新リクエストに応答して、前記第2の指示子を含むプログラムデータリクエストを、前記通信インタフェース(IF)を介して送信すること、
を特徴とする制御装置(CU)。
【請求項2】
自動車両の少なくとも一つの制御装置(CU)用の、車両外部のプログラミング装置(PU)であって、
プログラミング装置(PU)を夫々の制御装置(CU)にリンクできるようにするための、さらなる通信インタフェース(IF_P)を有しており、
プログラミング装置(PU)にリンクされている夫々の制御装置(CU)の少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンを照会する、
プログラミング装置(PU)において、
前記少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンが所定のプロクラムバージョンではない状態で前記制御装置(CU)に保存されていること、を前記プログラミング装置(PU)が認識すると、前記プログラミング装置(PU)が、前記所定のプロクラムバージョンではない状態で保存されている更新されるべき少なくとも一つの制御プログラムを対象とするプログラムデータ更新リクエストを、前記さらなる通信インタフェース(IF_P)を介して、前記夫々の制御装置(CU)に送信し、その際、前記プログラムデータ更新リクエストが少なくとも一つの第1の指示子を含み、当該第1の指示子は、夫々の更新されるべき前記制御プログラムのプログラムデータの受信のための、前記夫々の制御装置(CU)及び少なくとも1つの車両外部のユニットの間の通信に利用することが出来る複数の利用可能なプロトコルを表すこと、
前記プログラミング装置(PU)が、前記プログラムデータ更新リクエストに対する応答として前記さらなる通信インタフェース(IF_P)に提供されるプログラムデータリクエストを、評価し、その際、前記プログラムデータリクエストが第2の指示子を含み、前記第2の指示子は、夫々の制御装置(CU)により前記複数の利用可能なプロトコルの中から選択されたプロトコルであって、前記プログラムデータの受信のための通信に利用されることになるプロトコルを表すこと、及び、
前記プログラミング装置(PU)が、前記評価結果に従属して、選択された夫々のプロトコルに従い最新のプログラムデータを間接的におよび/または直接的に提供し、前記更新されるべき少なくとも一つの制御プログラムが、当該最新のプログラムデータを用いて、更新されること、
を特徴とするプログラム装置(PU)。
【請求項3】
少なくとも一つの、請求項1に記載の制御装置(CU)と、夫々の制御装置(CU)にリンクされている請求項2に記載のプログラミング装置(PU)とを有するプログラミングシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両(モータビークル、広義の自動車)用の制御装置、プログラミング装置、およびプログラミングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車には、プログラム制御方式の制御装置が多数搭載される。これらの制御装置は、大抵の場合一つのプログラムメモリを有しており、そのプログラミングを、制御装置が組み付けられた状態で行えるようになっている。今日の制御装置においては、プログラムメモリが多くはフラッシュメモリとして構成されている。フラッシュメモリは不揮発性メモリチップであって、そこではブランクのセルまたは消去されたセルへの書込みが常時可能となっているが、しかしセルの消去は、セグメント単位でしか行えないようになっている。制御装置は、多くは車両から独立した診断装置および/または試験装置に制御装置をリンクできるようにするために利用される、診断インタフェースを有している。制御装置の新規プログラミングに際しては、いずれの場合にもこの診断装置および/または試験装置を利用して、制御装置ソフトウェアの新バージョン、例えばファームウェアプログラムが、制御装置にロードされるようになっている。
【0003】
制御装置の機能性の向上と、制御装置の種類数の増加に伴い、製造工程において、および/またはメンテナンスの際に、制御装置に伝達されなければならないプログラムコードのデータ量も増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、制御装置のフレキシブルなおよび/または高信頼度のプログラミングを可能とする、自動車用の制御装置、プログラミング装置、およびプログラミングシステムを得ることを課題として成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、夫々の独立請求項の特徴構成により解決される。夫々の従属請求項には、本発明の有利な構成形態が提示されている。
【0006】
本発明は、第1のアスペクトによれば、自動車用の制御装置であって、一つの演算ユニットを有しており、この演算ユニットが一つまたは複数のプログラムを実行するように構成されている、制御装置を特色としている。この制御装置はさらに、データの送受信用の少なくとも一つの通信インタフェースと、夫々の制御プログラムのプログラムデータを記憶するための一つのプログラムメモリとを有している。この制御装置は、プログラムメモリの内部に所定のように保存されるプログラムデータを使用した制御装置のプログラミングのために、所定量のプロトコルをサポートするように構成されている。この制御装置は、通信インタフェースのところに提供される、少なくとも一つの更新されるべき制御プログラムを対象とするプログラムデータ更新リクエストを読み込んで評価するように構成されるが、そこではこのプログラムデータ更新リクエストに、夫々の制御プログラムの更新後のプログラムデータを使用したプログラミングのために利用することができる、実現可能な(あるいは可能性のある)プロトコルを表す、少なくとも一つの第1の指示子が含まれるようになっている。この制御装置はさらに、この第1の指示子に従属して、更新されるべき制御プログラムのプログラムデータを使用したプログラミングのために利用されることになる、所定量のプロトコルの中から選ばれるプロトコルを表す、第2の指示子を算出するように構成されている。この制御装置は、プログラムデータ更新リクエストに応答して、第2の指示子が含まれているプログラムデータリクエストを、通信インタフェースを介して送信するように構成されている。
【0007】
プログラミングとは、ここでは、一つまたは複数の制御プログラムを、制御装置の内部に、その制御装置が夫々の制御プログラムを実行可能であるように格納する、という意味に解釈できるものである。制御装置のプログラ
ミングのために利用することができる、実現可能なプロトコルの一つが、車載診断プロトコルである統一診断サービスプロトコル(UDSプロトコル)である。このUDSプトロコルは、自動車用に開発された通信プロトコルであり、夫々の制御装置と車両外部のユニットとの通信を可能にするものである。そのために夫々の自動車には、このユニットを車両データにリンクできるようにするための診断インタフェースが備えられるとよい。それにより例えば、夫々の制御装置の故障メモリに照会することが可能となる、および/または、一つまたは複数の制御プログラム、特に最新のファームウェアを、プログラムメモリの内部にロードすることが可能となる。例えばマイクロコントローラを内蔵している、および/または組込みシステム(embedded system)として構成されている、よりシンプルな制御装置については、このUDSプロトコルが使用されるとよい。例えば一つまたは複数のプロセッサおよび/またはさらに別のプログラムメモリ構造を内蔵している制御装置については、機能性の向上と一層の複雑化に伴い、高信頼度のプログラミングを可能にするためにも、その制御装置のプログラミングを行うために、それとは別のプロトコルを利用することが要求されるかもしれない。利用されるプロトコルが制御装置により所定のように設定されるようにすることで、プリセットされている制御装置のハードウェアプラットフォームおよびソフトウェアプラットフォームに応じたプロトコルの適切な選択が可能となるために、高信頼度のフレキシブルおよび/または急速な制御装置のプログラミングが可能となる。この場合は制御装置が、通信インタフェースを介して制御装置にリンクされている適切に構成されたプログラミング装置から、プログラムデータを直接受信する、および/または、外部データソースからプログラムデータをダウンロードするか、または制御装置と外部データソース間の接続をセットアップするためのアドレスを使用して要求するように構成されたものであるとよい。
【0008】
本発明は、第2のアスペクトによれば、自動車の少なくとも一つの制御装置用のプログラミング装置を特色としている。このプログラミング装置は、さらなる通信インタフェースを有しており、これを介してプログラミング装置は夫々の制御装置にリンクできるようになっている。このプログラミング装置はさらに、それがリンクされている夫々の制御装置の少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンを照会して、制御装置の内部に保存されているこの少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンが、所定のプログラムバージョンではないことを認識すると、少なくともこの更新されるべき制御プログラムを対象とするプログラムデータ更新リクエストを、このさらなる通信インタフェースを介して夫々の制御装置に送信するように構成されている。そこではこのプログラムデータ更新リクエストに、更新後のプログラムデータを使用した夫々の制御プログラムのプログラミングのために利用することができる、実現可能なプロトコルを表す、少なくとも一つの第1の指示子が含まれるようになっている。このプログラミング装置はさらに、プログラミングデータ更新リクエストに対する応答として、このさらなる通信インタフェースのところに提供されるようになっているプログラムデータリクエストを評価するように構成されているが、そこではこのプログラムデータリクエストに、夫々の制御装置により選択されたプロトコルを表す、第2の指示子が含まれるようになっている。このプログラミング装置はさらに、プログラムデータリクエストの評価結果に従属して、選択された夫々のプロトコルに従った最新のプログラムデータを使用したプログラミングを、間接的に、および/または直接、提供するように構成されている。
【0009】
直接提供の場合は、プログラムデータがプログラミング装置により用意されて制御装置に向け送信されることになる。間接的な提供の場合は、プログラミング装置が制御装置にデータソースのアドレスを連絡し、制御装置はこのデータソースからプログラムデータを要求および/またはダウンロードすることができるようになっている。
【0010】
本発明は、第3のアスペクトによれば、第1のアスペクトに従った少なくとも一つの制御装置と、第2のアスペクトに従った一つのプログラミング装置とを有しており、プログラミング装置が夫々の制御装置にリンクされている、プログラミングシステムを特色としている。
以下では、概略的な図面を参照しながら、本発明の実施形態を解説する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】プログラミングシステムの第1実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されるプログラミングシステム10は、車両側のシステム5と車両外部のプログラミング装置PUとから成っている。車両側のシステム5は、一つまたは複数の制御装置CUと、例えば一つまたは複数の車載データバス、ならびに一つのゲートウェイGWから成っている。このゲートウェイGWは、例えば複数の車載データバスBUSをリンクするものである、および/または、このゲートウェイGWにより、例えばモバイル通信リンクを介しての、車両外部の通信ユニットへの通信を可能としている。あるいはその代わりに、車両側のシステム5に複数のゲートウェイGWを備えることも可能である。
【0013】
制御装置CUはいずれも、通信インタフェースIFを一つずつ有している。この通信インタフェースIFを介して、制御装置CUはデータの送受信を行えるようになっている。通信インタフェースIFは、制御装置CUを例えば自動車の車載データバスBUSにリンクする。この車載データバスは、例えばコントローラエリアネットワークバス(CANバス)として構成されている。しかし基本的には当業者に知られているそれ以外の車載データバスであってもかまわない。
【0014】
プログラミング装置PUは、例えば試験診断装置の内部に配置されたものであるとよい。このプログラミング装置は、例えば車両製造工程および/または車両修理工場において、夫々の自動車の制御装置CUの少なくとも一部のプログラミングを行うために利用できるようになっている。プログラミング装置PUは、例えばプログラミング装置PUを夫々の制御装置CUおよび/または車載データバスBUSにリンクできるようにするために利用される、さらなる通信インタフェースIF_Pを有している。このさらなる通信インタフェースIF_Pを介して、プログラミング装置PUはデータの送受信を行えるようになっている。例えばプログラミング装置PUは、ゲートウェイGWが間をとりもつことにより、夫々の制御装置CUと通信することができる。
【0015】
制御装置CUは一つの演算ユニットCPUを有している。この演算ユニットCPUは、例えば一つのマイクロコントローラおよび/または一つのマイクロプロセッサを有しているとよい。演算ユニットCPUは、例えばエンジン制御、エミッションコントロール、および/またはスタビリティコントロール(ESP、エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)のための、さらに別の車載システムの開ループおよび/または閉ループ制御を実行するように構成されている。
【0016】
制御装置CUはさらに一つのプログラムメモリM_NVを有している。演算ユニットCPUは、このプログラムメモリM_NVにリンクされている。プログラムメモリM_NVの内部には、演算ユニットCPUにより実行される夫々の制御プログラムのプログラムデータが記憶されている。プログラムメモリM_NVは、例えば不揮発性メモリとして、例えばフラッシュメモリとして、構成されている。プログラムメモリM_NVは、例えば、まず最初にプログラムメモリM_NVの内部に以前に保存されていた制御プログラムを少なくとも部分的に消去可能であり、またその際にフリーになった記憶領域に、最新の制御プログラムまたは別の制御プログラムのプログラムデータを新たに書き込むことができるという意味で、新規プログラミングが可能であるように構成されている。例えばフラッシュメモリのこの新規プログラミングにより、エラーの訂正や回復とならび、制御装置CUのための新機能の後付けが可能となる。ほかにもプログラムメモリM_NVには、故障メモリが含まれているとよい。この故障メモリには、例えば制御装置CUにより検出された自動車の障害および/または検出された技術的な不具合が記憶されるとよい。
【0017】
制御装置CUには、例えば一つの揮発性メモリユニットM_Vが備えられるとよいが、これは例えばランダムアクセスメモリ(RAMメモリ)として構成されるようになっている。
【0018】
プログラムメモリM_NVおよび/または揮発性メモリユニットM_Vは、マイクロコントローラないしはマイクロプロセッサの内部に配置されたものであるとよい。プログラムメモリM_NVおよび/または揮発性メモリユニットM_Vは、基本的に制御装置CUの内部の、マイクロコントローラないしはマイクロプロセッサ以外のところに配置されたものであってもかまわない。
【0019】
制御装置CUは、例えば通信インタフェースIFのところに提供される、少なくとも一つの更新されるべき制御プログラムを対象とするプログラムデータ更新リクエストを評価するように構成されている。そこではこのプログラムデータ更新リクエストに、制御装置CUから独立した外部データソースDSのアドレスが少なくとも一つ含まれているが、このデータソースDSから、更新されるべき制御プログラムの夫々最新のプログラムデータを要求できるようになっている。さらにその上に制御装置CUは、通信インタフェースIFおよび/または第2の通信インタフェースIF_2を介して、外部データソースDSに向け、その時々の最新プログラムデータを要求するプログラムデータリクエストを出力するように構成されている。制御装置CUはさらに、このプログラムデータリクエストに対する応答として、通信インタフェースIFおよび/または第2の通信インタフェースIF_2に印加されるようになっている、夫々の制御プログラムのプロクラムデータを読み込んで、ブログラムメモリM_NVの内部に保存するように構成されている。
【0020】
それにより、様々なソースから、夫々の制御装置CUのプログラミングのために必要な制御プログラムの提供を受けられるようにしている。プログラムデータは、例えばプログラミング装置PUから提供されるようにしてもよいし、また制御装置CUが、プログラミング装置PUからプログラムデータを要求するように、構成されるようにしてもよい。アドレスには、例えばソースの位置指定子(ユニフォームリソースロケータ、URL)が含まれているとよい。例えば第2の通信インタフェースIF_2は、無線インタフェースから成るとよいが、それにより制御装置CUは、データソースDSからプログラムデータを直接ダウンロードできるようになる。あるいはその代わりに、またはそれにさらに追加して、制御装置CUは、通信インタフェースとゲートウェイGWとを介して、プログラムデータをダウンロードするように構成されたものであってもかまわない。アドレスには、その代わりに、またはそれにさらに追加して、一つの識別子、例えば一つの識別番号または番号が含まれるようにするとよい。この場合は制御装置CUが通信インタフェースIF、第2の通信インタフェースIF_2を介して、および/またはゲートウェイGWを介して、データソースDSからプログラムデータを要求することができるが、データソースDSはこれを受けるとプログラムデータを制御装置CUに向け伝送するようになっている。データソースDSは、例えばサーバとして構成されたものであるとよい。プログラムデータの伝送には、例えばサーバのテンプレートが利用されるとよい。プログラムデータの伝達には、例えばインターネットプロトコル(IP)に立脚したアプリケーションプロトコルが利用されるとよい。そのようなアプリケーションプロトコルの例は、ハイパーテキスト転送プロトコル(http)、暗号化機能SSLを実装したハイパーテキスト転送プロトコル(https)、ファイル転送プロトコル(ftp)、およびrsyncである。
【0021】
プログラミング装置PUは、例えば、これがリンクされている夫々の制御装置CUの少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンを照会可能であるとともに、この少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンが、制御装置CUの内部に保存されている所定のプログラムバージョンではないことを認識すると、プログラムデータ更新リクエストを、さらなる通信インタフェースIF_Pを介して夫々の制御装置に向け送信するという具合に制御装置CUに対応するよう構成されている。そこではこのプログラムデータ更新リクエストに、制御装置CUから独立した外部データソースDSのアドレスが少なくとも一つ含まれているが、制御装置CUは、このデータソースDSから、更新されるべき制御プログラムの夫々最新のプログラムデータを要求できるようになっている。
【0022】
制御装置CUはさらにメモリ管理ユニットMMUを有しているとよい。このメモリ管理ユニットMMUは、例えば通信インタフェースIFおよび/または第2の通信インタフェースIF_2を介して読み込まれるその時々の制御プログラムのプログラムデータのための記憶領域を算出するように構成されている。メモリ管理ユニットMMUはさらに、例えばこの算出された記憶領域にプログラムデータを保存して、演算ユニットCPUにこのプログラムデータを実行のために提供するように構成されている。
【0023】
それにより、例えば外部データソースDSの所定のメモリプログラムとは無関係な、夫々の制御装置CUのプログラムメモリM_NVのフレキシブルな管理が可能となる。制御装置CUは、例えばフラッシュローダプログラムとは関係なく、プログラムメモリM_NVを管理することができる。外部データソースDSによりメモリ管理方式が所定のように設定される場合は、そのようなフラッシュローダプログラムが例えば外部データソースDSから制御装置CUに向け送信されるとよい。このフラッシュローダプログラムを実行する際には、保存されなければならないプログラムデータが、プログラムメモリM_NVの内部に所定のように記憶されるようにするために、このフラッシュローダプログラムは、ある一定のメモリコマンドシーケンスを有している。この場合は、プログラムデータの記憶方式が、外部データソースDSにより所定のように設定されるとよいが、この外部データソースDSは、プログラミング装置PUであってもかまわない。
【0024】
制御装置CUは、通信インタフェースIFおよび/または第2の通信インタフェースIF_2を介して読み込まれる、所定の圧縮されたプログラムデータを、そのようなものとして認識して、圧縮されたプログラムデータを解凍するように構成されている。データの圧縮のためには、例えばハフマン符号が利用されるとよい。あるいはその代わりに、当業者に知られているその他の圧縮方法を利用することもできる。
【0025】
制御装置CUはさらに、プログラムデータを有する一つまたは複数のファイルから成る、通信インタフェースIFおよび/または第2の通信インタフェースIF_2を介して読み込まれるコンテナファイルを、そのようなものとして認識して、このコンテナファイルから夫々のファイルを抜粋するように構成されている。このコンテナファイルは、例えば圧縮されたアーカイブファイルとして構成されたものであるとよい。このコンテナファイルは、例えばZIPファイルフォーマット、またはGZIPファイルフォーマット、またはTARファイルフォーマットを有しているとよい。
【0026】
圧縮されたプログラムデータおよび/またはコンテナファイルは、例えばプログラミング装置PUにより、および/または外部データソースDSにより、提供されるようにするとよい。
【0027】
制御装置CUは、プログラミングデータを使用した制御装置CUのプログラミングのために、所定量のプロトコルをサポートするように構成されている。さらにその上に制御装置CUは、通信インタフェースIFのところに提供されるようになっている、少なくとも一つの更新されるべき制御プログラムを対象とするさらなるプログラムデータ更新リクエストを読み込んで評価するように構成されているが、そこではこのさらなるプログラムデータ更新リクエストに、更新後のプログラムデータを使用したその時々の制御プログラムのプログラミングのために利用することができる、実現可能なプロトコルを表す、少なくとも一つの第1の指示子が含まれるようになっている。制御装置CUはさらに、この第1の指示子に従属して、更新されるべき制御プログラムのプログラムデータを使用したプログラミングのために利用されることになる、所定量のプロトコルの中から選ばれるプロトコルを表す、第2の指示子を算出するように構成されている。制御装置CUは、このさらなるプログラムデータ更新リクエストに応答して、第2の指示子が含まれているさらなるプログラムデータリクエストを、通信インタフェースを介して送信するように構成されている。
【0028】
これとの関連で
プログラミング装置PUは、制御装置CUの内部に保存されている少なくとも一つの制御プログラムのプログラムバージョンが、所定のプログラムバージョンではないことを認識すると、少なくとも一つの更新されるべき制御プログラムを対象とする、さらなるプログラムデータ更新リクエストを、さらなる通信インタフェースIF_Pを介して夫々の制御装置CUに向け送信するように構成されている。そこではこのさらなるプログラムデータ更新リクエストに、少なくとも、更新後のプログラムデータを使用した夫々の制御プログラムのプログラミングのために利用することができる、実現可能なプロトコルを表す、第1の指示子が含まれるようになっている。プログラミング装置PUはさらに、このさらなるプログラミングデータ更新リクエストに対する応答として、さらなる通信インタフェースIF_Pのところに提供されるようになっている、さらなるプログラムデータリクエストを評価するように構成されているが、そこではこのプログラムデータリクエストに、夫々の制御装置CUにより選択されたプロトコルを表す、第2の指示子が含まれるようになっている。プログラミング装置はさらに、このさらなるプログラムデータリクエストの評価結果に従属して、夫々選択されたプロトコルに従った最新のプログラムデータを使用して、プログラミングを間接的に、および/または直接提供するように構成されている。
【0029】
実現可能なプロトコルは、例えばUDSプロトコルおよびハイパーテキスト転送プロトコル(http)である。
【0030】
そのためにはまず、制御装置CUとプログラミング装置PUとが、準備期の間は当面、第1のプロトコル、例えば統一診断サービスプロトコル(UDSプロトコル)を利用して、通信を行うようにするとよい。例えばこのUDSプロトコルが、制御装置CUとプログラミング装置PU間のデータ交換のための、特に制御装置CUのプログラミングのための、望ましいプロトコルの照会サービス機能をこれに追加することで、拡張されるようにするとよい。例えばそのような照会は、更新されるべき夫々の制御プログラムを対象として、個別に行われるようにするとよい。あるいはその代わりに、そのような照会が、更新対象である複数の制御プログラムを対象として行われるようにしてもよい。第1および第2の指示子はいずれも、実現可能な、ないしは望ましいプロトコルを算出できるようにする、所定のコードを有しているとよい。
【0031】
プログラミング装置PUは、好適にも、制御装置CUのプログラミングのための実現可能なプロトコルをサポートするようになっているが、このサポートとは、制御装置CUが、選択された夫々のプロトコルに従った最新のプログラムデータを使用したプログラミングを、間接的に、および/または直接提供するように構成されている、という意味に解釈できるものである。
【0032】
プログラミング装置PUは、例えばプログラミング装置PUが自ら望ましいプロトコルに従って制御装置CUのプログラミングを実行可能である場合は、選択された夫々のプロトコルに従った最新のプロトコルデータを使用した夫々の制御装置CUのプログラミングを、例えばプログラムデータを制御装置CUに向け直接送信することにより、直接実行するように構成されている。プログラミング装置PUは、望ましいプロトコルを使用したプログラミングを自ら実行することが不可能である場合は、制御装置CUのさらなるプログラムデータリクエストに応答して、少なくとも外部データソースDSの一つのアドレスが含まれているプログラムデータ更新リクエストを制御装置CUに向け送信するように構成されており、制御装置CUは、この外部データソースDSから、望ましいプロトコルに従った夫々最新のプログラムデータを要求できるようになっている。この場合は、選択された夫々のプロトコルに従った最新のプログラムデータを使用したプログラミングが、プログラミング装置PUにより間接的に提供されることになる。あるいはその代わりに、またはさらにそれに追加して、プログラミング装置PUは、これが望ましいプロトコルを使用したプログラミングを実行可能であるか否かに関係なく、制御装置CUのさらなるプログラムデータリクエストに応答して、プログラムデータ更新リクエストを制御装置CUに向け送信するように構成されるようにしてもよい。
【0033】
オプションとして、プログラミング装置PUが、必要時には制御装置CUが選択したプロトコルを無視可能であると同時に、この制御装置CUが同様にサポートしている別の
プロトコルを利用可能であるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
5 車両側システム
10 プログラミングシステム
BUS 車載データバス
CPU 演算ユニット
CU 制御装置
DS 外部データソース
GW ゲートウェイ
IF 通信インタフェース
IF_2 第2通信インタフェース
IF_P さらなる、プログラミング装置の通信インタフェース
M_NV プログラムメモリ
M_V 揮発性メモリユニット
MMU メモリ管理ユニット
PU プログラミング装置