【文献】
小坂佳弘,他3名,ユビキタスセンサ環境におけるセンシング周期に基づくP2Pネットワークについて,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ Vol.2009 No.1 [CD−ROM],日本,社団法人情報処理学会,2009年 7月 8日,第2009巻,第1号,p.1033-1039
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の遠隔診断システムでは、車両に遠隔装置が取り付けられる一方、別途基地局を設けて、この基地局で車両の診断情報を集めて集中管理している。
このように、基地局やその他の中央集中管理システムへ情報を集約させるシステムの場合には、遠隔装置と基地局その他の管理システムとの間で直接、無線通信できないと、情報を取得できなかった。
【0005】
そのほか、情報収集システムとしては、通信端末同士及び通信端末と情報収集端末との間で通信を行い、通信端末が有する情報を、通信端末及び情報収集端末を含む各端末同士で共有するシステムが考えられる。
しかし、このようにすると、情報収集端末のみならず、各通信端末が全ての通知情報を保存することになるため、通信端末に必要となるメモリ容量が大きくなる。システム内の通信端末の台数に応じて、通信端末の使用メモリ容量が変動するので、多数台に対応すべくメモリを多くした場合において、台数が上限より少ないと通信端末におけるメモリの使用効率が低くなるという問題がある。また、このようにして保存した通知情報を、通信端末同士及びこれらと情報収集端末との間で共有するにあたって、各端末同士の通知情報をやりとりの手法が複雑化するという問題もある。
【0006】
本発明は、かかる知見に鑑みてなされたものであって、通信端末が有する情報を、情報収集端末で収集可能としつつ、各通信端末における使用メモリの省容量化を図ると共に、通信端末同士、及び、通信端末と情報収集端末との間の情報のやりとりを簡素化した情報収集システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その一態様は、ピアツーピアの無線通信を行うn個(nは2以上の自然数)の通信端末、及び、上記通信端末とピアツーピアの無線通信を行う少なくとも1つの情報収集端末、を備え、上記通信端末が有する上記情報収集端末に通知すべき通知情報を、上記通信端末同士、及び、上記通信端末と上記情報収集端末との無線通信により、上記通信端末から直接または他の通信端末を介して、上記情報収集端末に収集する情報収集システムであって、上記通信端末は、それぞれ、各々の通信端末を識別する固有識別子が割り当てられてなり、互いに同期された内部時計と、通信端末に関する上記通知情報及び上記固有識別子を含む端末別データセットを1セット記憶可能な端末記憶部と、上記端末記憶部に記憶している上記端末別データセットを、当該通信端末と無線通信可能で上記端末記憶部に上記端末別データセットを記憶していない他の通信端末、及び、当該通信端末と無線通信可能な上記情報収集端末に向けて、順次送信する端末送信手段と、を有し、上記情報収集端末は、上記固有識別子毎に上記通知情報を記憶する情報記憶部と、上記通信端末から受信した上記端末別データセットに含まれる上記通知情報を、上記固有識別子毎に上記情報記憶部に更新して記憶させる情報記憶手段と、を有し、上記通信端末の上記端末記憶部に記憶した1つの上記端末別データセットを、上記端末送信手段によって、他の通信端末または上記情報収集端末に1回送信するのに要する時間を送信所要時間とし、上記内部時計に従って上記通信端末別に割り当てられ、それぞれが少なくとも上記送信所要時間のn倍以上の所定の長さを有する期間を、端末別割当期間としたとき、上記通信端末は、それぞれ、当該通信端末に割り当てられた上記端末別割当期間である自己割当期間の当初に、当該通信端末に関する上記端末別データセットを上記端末記憶部に記憶させる一方、他の通信端末に割り当てられた上記端末別割当期間である他端末割当期間には、上記他の通信端末から受信した他の1つの通信端末に関する上記端末別データセットを上記端末記憶部に記憶させる端末記憶手段と、各々の上記端末別割当期間の終了後、次の上記端末別割当期間の開始時までに、上記端末記憶部に記憶された上記端末別データセットを消去する端末記憶部消去手段と、を有し、上記端末送信手段は、上記自己割当期間内に、上記端末記憶部に記憶されている当該通信端末に関する上記端末別データセットを送信する一方、上記他端末割当期間内に、上記端末記憶部に記憶されている上記他の1つの通信端末に関する上記端末別データセットを送信する情報収集システムである。
【0008】
この情報収集システムにおいて、通信端末は、それぞれ、通知情報及び固有識別子を含む端末別データセットを1セット記憶可能な端末記憶部を有している。また、端末記憶部に記憶している端末別データセットを、端末送信手段により、無線通信可能で端末記憶部に端末別データセットを記憶していない他の通信端末、及び、無線通信可能な情報収集端末に向けて順次送信する。
【0009】
一方、情報収集端末は、固有識別子毎に通知情報を記憶する情報記憶部を有しており、情報記憶手段により、この情報記憶部に、通信端末から受信した端末別データセットに含まれる通知情報を、固有識別子毎に更新して記憶させる。
これにより、端末別データセットに含まれる各通信端末に関する通知情報を、各通信端末から直接または他の通信端末を介して、情報収集端末に収集することができる。
【0010】
そして、端末記憶手段は、端末別割当期間が自己割当期間である場合には、この自己割当期間の当初に、当該通信端末に関する端末別データセットを端末記憶部に記憶させる。一方、端末別割当期間が他の通信端末に割り当てられた他端末割当期間である場合には、他の通信端末から受信した他の1つの通信端末に関する端末別データセットを端末記憶部に記憶させる。
【0011】
また、端末送信手段は、自己割当期間内に、端末記憶部に記憶されている当該通信端末に関する端末別データセットを送信する一方、他端末割当期間内に、端末記憶部に記憶されている他の1つの通信端末に関する端末別データセットを送信する。
なお、各々の端末別割当期間は、少なくとも、端末別データセットを端末送信手段によって他の通信端末または情報収集端末に1回送信するのに要する送信所要時間のn倍以上の所定の長さを有している。
【0012】
これにより、各通信端末は、当該通信端末に割り当てられた自己割当期間内に、当該通信端末に関する端末別データセットを、直接または他の通信端末を介して、確実に情報収集端末に転送することが可能となる。その一方で、各通信端末は、1セット分の端末別データセットを記憶可能であれば良く、メモリの省容量化が図れる。
【0013】
なお、通信端末としては、例えば、ゴルフ場で使用されるゴルフカートや、病院、遊園地などの施設内、退職者向けの街区内で使用される電動カートなど、所定区域内を移動する移動体に取り付けた通信端末が挙げられる。また、貨物列車の連結された複数のコンテナや、トレーラーに搭載された複数のコンテナのように、互いが所定以上の間隔を保ちながら移動する移動体に取り付けた通信端末が挙げられる。
また、通知情報としては、例えば、通信端末をゴルフカートなどの電動車両に取り付けた場合における、電動車両の電池(バッテリ)の充電状態(SOC)、電池の温度、タイヤの空気圧が挙げられる。また、通信端末を貨物列車やトレーラーのコンテナに取り付けた場合における、コンテナ内の温度や、コンテナ内の貨物の数量などが挙げられる。
また、このシステムで用いるピアツーピアの無線通信としては、例えば、IEEE 802.11無線LAN規格におけるアドホックモードと呼ばれる動作モードや、Wi−Fiアライアンスが策定したWi−Fiダイレクト(商標名)と呼ばれる通信規格に従った無線通信が挙げられる。
また、情報収集端末としては、タブレット端末や、PC端末が挙げられる。
【0014】
さらに、上述の情報収集システムであって、前記情報収集端末は、前記通信端末の前記内部時計に同期した内部時計と、前記端末別データセットを1セット記憶可能な収集記憶部と、上記通信端末から受信した上記端末別データセットを、上記収集記憶部に記憶させる収集記憶手段と、前記端末別割当期間の終了後、次の上記端末別割当期間の開始時までに、上記収集記憶部に記憶した上記端末別データセットを消去する収集記憶部消去手段と、を有し、上記通信端末は、それぞれ、当該通信端末の前記端末記憶部に上記端末別データセットが記憶されている場合に、当該通信端末と無線通信可能で上記端末記憶部に上記端末別データセットを記憶していない他の通信端末、及び、当該通信端末と無線通信可能で上記収集記憶部に上記端末別データセットを記憶していない上記情報収集端末を探索する探索部と、上記端末記憶部に記憶している上記端末別データセットを、上記探索部で探索された上記他の通信端末または上記情報収集端末に向けて、前記端末送信手段により送信させる送信指示部と、を有する情報収集システムとすると良い。
【0015】
この情報収集システムでは、情報収集端末が、端末別データセットを1つ記憶する収集記憶部を有しており、通信端末から受信した端末別データセットを、収集記憶手段により、この収集記憶部に記憶させる。
また、情報収集端末は、収集記憶部消去手段を有しており、各々の端末別割当期間の終了後、次の端末別割当期間の開始時までに、収集記憶部に記憶した端末別データセットを消去する。
【0016】
さらに、通信端末は、自身の端末記憶部に端末別データセットが記憶されている場合に、探索部により、無線通信可能で端末記憶部に端末別データセットを記憶していない他の通信端末、及び、無線通信可能で収集記憶部に端末別データセットを記憶していない情報収集端末を探索する。そして、通信端末は、送信指示部によって、自身の端末記憶部に記憶した端末別データセットを、探索部で探索された他の通信端末または情報収集端末に向けて、端末送信手段により送信させる。
【0017】
これにより、通信端末は、各々の端末別割当期間(自己割当期間及び他端末割当期間)において、端末記憶部に端末別データセットが記憶された後、無線通信可能で端末別データセットが記憶されていない他の通信端末及び情報収集端末を探索して、端末別データセットを送信すれば良いので、簡易に端末別データセットを転送することができる。
【0018】
さらに、上述の情報収集システムであって、前記端末別データセットは、前記内部時計に基づいて計時された、前記通信端末が当該通信端末に関する前記通知情報を取得した取得時刻、上記通信端末が当該通信端末に関する前記端末別データセットを前記端末記憶部に記憶した記憶時刻、及び上記通信端末の前記自己割当期間の開始時刻の少なくともいずれかを含み、前記端末記憶部消去手段は、上記端末記憶部に記憶された上記端末別データセット中の上記取得時刻、上記記憶時刻または上記開始時刻から、1つの前記端末別割当期間の長さ以上の所定時間を経過した後に、上記端末記憶部に記憶した上記端末別データセットを消去する情報収集システムとすると良い。
【0019】
この情報収集システムでは、端末別データセットが、取得時刻、記憶時刻、及び開始時刻の少なくともいずれかを含んでいる。そして、通信端末の端末記憶部消去手段は、端末別データセット中の取得時刻、記憶時刻または開始時刻から、1つの端末別割当期間の長さ以上の所定時間を経過した後に、端末記憶部に記憶した端末別データセットを消去する。
これにより、通信端末は、記憶した端末別データセット中の取得時刻、記憶時刻または開始時刻に基づいて、当該記憶した端末別データセットを消去すれば良く、端末記憶部に記憶した端末別データセットの消去タイミングを簡易に定めることができる。
【0020】
さらに、上述の情報収集システムであって、前記収集記憶部消去手段は、前記収集記憶部に記憶された前記端末別データセット中の前記取得時刻、前記記憶時刻または前記開始時刻から、前記所定時間を経過した後に、上記収集記憶部に記憶した上記端末別データセットを消去する情報収集システムとすると良い。
【0021】
この情報収集システムでは、情報収集端末の収集記憶部消去手段は、通信端末の端末記憶部消去手段と同様に、端末別データセット中の取得時刻、記憶時刻または開始時刻から所定時間を経過した後に、収集記憶部に記憶した端末別データセットを消去する。
これにより、収集記憶部に記憶した端末別データセットについても、消去タイミングを簡易に定めることができる。
【0022】
さらに、上述のいずれかの情報収集システムであって、前記通信端末は、前記探索部による探索で、当該通信端末と無線通信可能で前記端末記憶部に前記端末別データセットを記憶していない他の通信端末及び当該通信端末と無線通信可能で前記収集記憶部に上記端末別データセットを記憶していない前記情報収集端末が発見できない場合には、上記探索部による探索を中止する探索中止手段を有する情報収集システムとすると良い。
【0023】
この情報収集システムでは、通信端末が探索中止手段を有しており、当該通信端末が無線通信可能で端末別データセットを記憶していない他の通信端末及び情報収集端末が発見できない場合に、探索部による探索を中止する。即ち、それ以降は、自身の端末記憶部に記憶した端末別データセットが端末記憶部消去手段により消去されるのを待ち、無線通信可能な他の通信端末及び情報収集端末を探索して、端末別データセットを送信することがない。
【0024】
このため、各通信端末の端末記憶部に記憶した端末別データセットを、端末記憶部消去手段で消去するタイミングに誤差が生じても、この誤差によって、端末記憶部の消去が遅れた通信端末から端末記憶部が先に消去された通信端末に向けて、意図しない端末別データセットの送信が行われるなどの問題が生じることがない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る通信端末である車載診断通信ユニット10、及び、これを搭載した電動車両であるカートEVの概略構成を示す。また、
図2は、本実施形態に係る情報収集端末であるタブレット端末20の概略構成を示す。また、
図3は、複数のカートEV(EVA,EVB,EVC,EVD,EVE,・・・)にそれぞれ搭載された車載診断通信ユニット10(10A,10B,10C,10D,10E,・・・)と、1台のタブレット端末20(20A)とを有する本実施形態に係る情報収集システム1(以下、単にシステム1ともいう)の概略構成を示す。
【0027】
なお、
図3には、5台のカートEV(EVA〜EVE)及びこれに搭載された5台の車載診断ユニット10(10A〜10E)を図示したが、本実施形態のシステム1内には、カートEV及びこれに搭載された車載診断ユニット10が、それぞれ、図示外のものを含めて、計n台(例えばn=20)存在するものとする。
また、以下では、車載診断通信ユニット10を通信端末10と称し、タブレット端末20を情報収集端末20と称する。さらに、通信端末10(車載診断通信ユニット)及び情報収集端末20(タブレット端末)を総称して、端末10,20とも称する。
【0028】
まず、カートEV及びこれに搭載された通信端末10(車載診断通信ユニット)について説明する。
図1及び
図3に示すカートEV(EVA,・・・)は、いずれもゴルフ場で使用される電動車両であり、駆動輪Wを駆動する電動機M、直流電圧を交流電圧に変換するインバータIV、このインバータIVを介して電動機Mへ電力を供給するバッテリBTを備えている。また、このカートEV(EVA,・・・)にそれぞれ搭載された通信端末10は、主回路部11と、SOC測定部12と、無線通信部13とを備えている。このうち、主回路部11は、マイクロプロセッサ16のほか、このマイクロプロセッサ16のバスに接続された内部時計14、メモリ15、及びSOC測定部12と接続するためのインターフェース回路17を備えている。なお、無線通信部13も、マイクロプロセッサ16のバスに接続されている。
【0029】
SOC測定部12は、カートEVのバッテリBTに接続されており、マイクロプロセッサ16の指示により、バッテリBTの充電状態(SOC)(具体的には、SOCに対応するバッテリBTの開放端子間電圧(OCV))を測定する。なお、このSOC測定部12で測定したSOCの測定値(以下、SOC情報という)は、通信端末10が、情報収集端末20に通知すべき通知情報DIであり、各カートEVのSOC情報が各通信端末10に関する通知情報DIとして、情報収集端末20に収集される。
【0030】
また、無線通信部13は、所定の通信規格に従って(本実施形態では、具体的には、Wi−Fiダイレクト(商標名)により)、他の通信端末10または情報収集端末20との間で、ピアツーピアの無線通信を行う無線通信モジュールである。
通信端末10は、無線通信部13を通じて、他の通信端末10または情報収集端末20に向けて、後述する端末別データセットDSを送信し、また、他の通信端末10から送信された端末別データセットDSを、無線通信部13により受信する。
【0031】
また、内部時計14は、システム1内の他の通信端末10の内部時計14、及び、後述する情報収集端末20の内部時計24と、互いに同期された共通の時刻を刻む。
なお、この内部時計14に従って、通信端末10別に互いに重ならない端末別割当期間TCが割り当てられる。従って、本実施形態では、第1の通信端末に割り当てられた端末別割当期間TC1、第2の通信端末に割り当てられた端末別割当期間TC2、…、第nの通信端末に割り当てられた端末別割当期間TCn、最初に戻って、第1の通信端末に割り当てられた端末別割当期間TC1、…、というように、n種(n=20)の端末別割当期間TCが、繰り返し到来するように割り当てられる。
この端末別割当期間TC、例えば、第1の通信端末に割り当てられた端末別割当期間TC1は、第1の通信端末が取得し発信した、第1の通信端末に関する通知情報DI(具体的には、第1の通信端末が搭載された第1のカートEVの電池のSOC情報)を、直接、あるいは他の通信端末を介したデータ(端末別データセット)の転送により、情報収集端末20に届ける期間である。
通知情報DIとしての各カートEVのSOC情報は、後述するように、各端末別割当期間TCのうち、当該通信端末10に割り当てられた端末別割当期間TC(自己割当期間TCs)の当初に取得される。また、SOC情報を取得すると共に、内部時計14に基づいて計時された、通知情報DI(SOC情報)を取得した取得時刻TAをも取得する。
【0032】
また、本実施形態では、通信端末10は、それぞれ、無線通信部13が有する固有のMACアドレスを、各通信端末10を識別する固有識別子IDとして使用する。
さらに、通信端末10は、それぞれ、1つの通信端末10の固有識別子ID、この固有識別子IDで識別される通信端末10に関する通知情報DI(SOC情報)、及び、この通知情報DI(SOC情報)を取得した取得時刻TAを含む、端末別データセットDS(固有識別子ID、通知情報DI(SOC情報)、取得時刻TAのセット)を1セット記憶可能な端末記憶部15Aを、メモリ15に有している。
【0033】
本実施形態において通信端末10は、上述した自己割当期間TCsの当初に、自身が搭載されたカートEVのSOC情報を通知情報DIとして取得すると共に、この取得した通知情報DI(SOC情報)を含む、自己(当該通信端末10)に関する端末別データセットDSを、メモリ15の端末記憶部15Aに記憶する。
また、通信端末10は、他の通信端末10に割り当てられた端末別割当期間TC(他端末割当期間TCo)には、他の通信端末10から受信した他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを、メモリ15の端末記憶部15Aに記憶する。
即ち、通信端末10は、当該通信端末10に関する端末別データセットDS、及び、他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSのいずれかを、メモリ15の端末記憶部15Aに記憶する。
【0034】
また、通信端末10は、端末別割当期間TC(自己割当期間TCs及び他端末割当期間TCo)内に、端末記憶部15Aに記憶している端末別データセットDSを、無線通信部13を通じて、直接に無線通信可能な他の通信端末10または情報収集端末20に向けて送信する。
即ち、通信端末10は、自己割当期間TCs内には、端末記憶部15Aに記憶されている当該通信端末に関する端末別データセットDSを送信する一方、他端末割当期間TCo内には、端末記憶部15Aに記憶されている他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを送信する。
【0035】
なお、各々の端末別割当期間TCは、少なくとも、端末別データセットDSを無線通信部13を通じて、他の通信端末10または情報収集端末20に1回送信するのに要する送信所要時間TSのn倍(=送信所要時間TS×通信端末10の台数n台)以上の所定の長さを有している。
【0036】
また、本実施形態では、端末別割当期間TCの終了から、次の端末別割当期間TCの開始までに、所定の間隔が設けられている。また、通信端末10は、それぞれ、端末別割当期間TC内に端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSを、この端末別割当期間TCが終了するまで保持し、端末別割当期間TCの終了後(具体的には、本実施形態では、端末別割当期間TCの終了と同時)に消去する。
【0037】
これにより、通信端末10は、端末別割当期間TCの開始時には、当該通信端末10に関する端末別データセットDS、あるいは、他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを、端末記憶部15Aに記憶可能な状態となる。
そして、到来した端末別割当期間TCが自己割当期間TCsである場合には、この自己割当期間TCsの当初に1回だけ、当該通信端末10に関する端末別データセットDS(具体的には、当該通信端末10が搭載されたカートEVのSOC情報(通知情報DI)等を含むデータセット)を端末記憶部15Aに記憶する。また、到来した端末別割当期間が他端末割当期間TCoである場合には、この他端末割当期間TCo内に1回だけ、他の通信端末10から送信され、無線通信部13により受信した他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶する。
【0038】
そして、通信端末10は、端末記憶部15Aに端末別データセットDSを記憶した後の端末別割当期間TC(自己割当期間TCs及び他端末割当期間TCo)内に、端末記憶部15Aに記憶している端末別データセットDSを、無線通信部13を通じて、直接無線通信可能で端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10及び情報収集端末20に向けて順次送信する。
【0039】
次いで、情報収集端末20(タブレット端末)について説明する。
図2に示す情報収集端末20は、主回路部21及び無線通信部23のほか、液晶ディスプレイ28を備えている。このうち、主回路部21は、マイクロプロセッサ26のほか、このマイクロプロセッサ26のバスに接続された内部時計24、メモリ25、及び液晶ディスプレイ28と接続するためのインターフェース回路27(表示用LSI等)を備えている。
なお、この情報収集端末20は、市販のタブレット端末に、情報収集システム1を構成するための専用のソフトウェアを組み込んだものである。
【0040】
内部時計24は、前述したように、システム1内の通信端末10の内部時計14と互いに同期された共通の時刻を刻む。
また、無線通信部23は、通信端末10の無線通信部13と同様に、所定の通信規格に従って(本実施形態では、Wi−Fiダイレクト(商標名)により)、通信端末10との間で、ピアツーピアの無線通信を行う。
情報収集端末20は、通信端末10から送信された端末別データセットDSを、無線通信部23により受信する。
【0041】
また、情報収集端末20は、システム1内に計n台存在する、各通信端末10に関する通知情報DI(DI1,DI2,・・・,DIn)を、通信端末10の固有識別子ID(ID1,ID2,・・・,IDn)毎に記憶する情報記憶部25Aを、メモリ25に有している。
情報収集端末20は、通信端末10から受信した端末別データセットDSに含まれる通知情報DI(DI1,DI2,・・・,DIn)を、同じく受信した端末別データセットDSに含まれる固有識別子ID(ID1,ID2,・・・,IDn)毎に、メモリ25の情報記憶部25Aに更新して記憶させる。
【0042】
また、情報収集端末20は、上述の情報記憶部25Aのほか、端末別データセットDSを1セット記憶可能な収集記憶部25Bも、メモリ25に有している。なお、このメモリ25の収集記憶部25Bは、通信端末10が有するメモリ15の端末記憶部15Aと同様の構成である。
情報収集端末20は、通信端末10が他の通信端末10から受信した端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶するのと同様に、通信端末10から受信した端末別データセットDSを、メモリ25の収集記憶部25Bに記憶する。
【0043】
なお、情報収集端末20は、端末別割当期間TC内に収集記憶部25Bに記憶した端末別データセットDSを、この端末別割当期間TCが終了するまで保持し、端末別割当期間TCの終了後(具体的には、端末別割当期間TCの終了と同時)に消去する。これも、通信端末10が端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSの扱いと同様である。
【0044】
これにより、情報収集端末20は、端末別割当期間TCの開始時に、端末別データセットDSを、収集記憶部25Bに記憶可能な状態となり、端末別割当期間TC内に1回だけ、通信端末10から受信した端末別データセットDSを収集記憶部25Bに記憶する。また、情報収集端末20は、これと共に、受信した端末別データセットDSに含まれる通知情報DIを、固有識別子ID毎に情報記憶部25Aに更新して記憶させる。
【0045】
本実施形態のシステム1では、以上の構成を有するn台のカートEVにそれぞれ搭載されたn台の通信端末10と1台の情報収集端末20とを用いて、通信端末10が通知すべき通知情報DIであるカートEVのSOC情報を、各通信端末10から直接または他の通信端末10を介して、情報収集端末20に収集する。
【0046】
次いで、通信端末10の動作の詳細について、
図4及び
図5を参照して説明する。
図4及び
図5は、通信端末10のマイクロプロセッサ16の動作を示すフローチャートである。マイクロプロセッサ16が動作を開始すると、まず、
図4に示すステップS1で、必要な初期設定を行う。
【0047】
次いで、ステップS2では、端末別データセットDSを1セット記憶可能な端末記憶部15Aをクリアする。これにより、通信端末10は、自己(当該通信端末)に関する端末別データセットDS、及び、他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSのいずれかを、端末記憶部15Aに記憶可能な状態となる。
【0048】
次いで、ステップS3では、自己に割り当てられた端末別割当期間TC(自己割当期間TCs)の開始時刻TTが到来したか否かを判断する。自己割当期間TCsの開始時刻TTでない場合(No)には、ステップS4に進み、(他端末割当期間TCoが到来しており)他の通信端末10から無線通信確立の要求信号を受信したか否かを判断する。なお、無線通信確立の要求信号は、各通信端末10が、後述するステップS12で、探索で発見された他の通信端末10または情報収集端末20に向けて送信する信号である。他の通信端末10から要求信号を受信していない場合(No)には、ステップS3に戻り、要求信号を受信した場合(Yes)には、ステップS7に進む。
【0049】
ステップS3とステップS4を繰り返しながら、他の通信端末10から無線通信確立の要求信号を受信するか、自己割当期間TCsの開始時刻TTが到来するのを待つ。そして、自己割当期間TCsの開始時刻TTが到来した場合(Yes)には、ステップS5に進む。
【0050】
ステップS5では、通信端末10が取り付けられたカートEVのバッテリBTの充電状態(SOC)を測定して、情報収集端末20に通知すべき当該通信端末10に関する通知情報DIとして、カートEVのSOC情報を取得する。また、内部時計14に基づいて計時された、通知情報DI(SOC情報)を取得した取得時刻TAをも取得する。
次いで、ステップS6では、自己の固有識別子ID、取得した通知情報DI(SOC情報)及び取得時刻TAを含む、自己に関する端末別データセットDSを、端末記憶部15Aに記憶する。その後、
図5に示すステップS10に進む。
【0051】
なお、ステップS5及びステップS6の処理は、自己割当期間TCsの当初に行われる処理となる。また、これに続くステップS10以降の処理も、自己割当期間TCs内に行われる処理となる。
【0052】
また、ステップS4で、他の通信端末10から要求信号を受信して(Yes)、ステップS7に進んだ場合には、このステップS7で、要求信号を送信した他の通信端末10に向けて、要求信号に対する応答信号を送信する。これにより、要求信号を送信した他の通信端末10に対して、自身の端末記憶部15Aには端末別データセットDSが記憶されておらず、端末別データセットDSを受信可能であることを通知する。
【0053】
次いで、ステップS8では、応答信号を送信した他の通信端末10と無線通信を確立して、この他の通信端末10から送信された他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを受信する。なお、送信された端末別データセットDSは、送信した他の通信端末10に関する端末別データセットDSとは限らない。他の通信端末10から受信した端末別データセットDSを転送した場合も有るからである。
さらに、続くステップS9では、受信した他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶する。その後、
図5に示すステップS10に進む。
【0054】
なお、ステップS7からステップS9の処理、及び、これに続くステップS10以降の処理は、他の通信端末10に割り当てられた端末別割当期間TC(他端末割当期間TCo)で行われる処理である。
一方、ステップS10以降の処理は、現在が、自己割当期間TCs及び他端末割当期間TCoのいずれの場合にも行う、共通の処理である。
【0055】
図5に示すステップS10では、当該通信端末10(自身)と直接に無線通信可能な他の通信端末10及び情報収集端末20を探索する。
次いで、ステップS11では、ステップS10の探索によって、無線通信可能な新たな端末10,20が発見されたか否かを判断する。直接に無線通信可能な新たな端末10,20が発見された場合(Yes)には、ステップS12に進み、直接に無線通信可能な新たな端末10,20が発見できない場合(No)には、ステップS15に進む。
【0056】
ステップS12では、探索で発見された他の通信端末10または情報収集端末20に無線通信確立の要求信号を送信する。そして、続くステップS13では、送信した要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを確認する。
前述したように、通信端末10は、自身の端末記憶部15Aに端末別データセットDSが記憶されておらず、端末別データセットDSを受信可能である場合には、
図4のステップS7で示したように、応答信号を送信してくる(返信する)。また、情報収集端末20も、後述するステップS24に示すように、同様の応答信号を送信してくる(返信する)。そこでステップS13では、この応答信号が受信されたか否かによって、探索で発見された他の通信端末10または情報収集端末20が端末別データセットDSを受信可能であるか否かを判断する。
【0057】
ステップS13で、応答信号を受信した場合(Yes)には、ステップS14に進む。ステップS14では、応答信号を送信(返信)した他の通信端末10または情報収集端末20と無線通信を確立し、この端末に向けて、端末記憶部15Aに記憶している端末別データセットDSを送信する。
なお、自己割当期間TCs内である場合には、このステップS14で、ステップS6において端末記憶部15Aに記憶させた当該通信端末10に関する端末別データセットDSを送信する。一方、他端末割当期間TCo内である場合には、このステップS14で、ステップS9において端末記憶部15Aに記憶させた他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを送信する。
【0058】
その後、ステップS10に戻り、直接に無線通信可能な新たな他の通信端末10及び情報収集端末20を探索する。
また、ステップS13で、応答信号を受信しなかった場合(No)にも、ステップS10に戻り、直接無線通信可能な新たな他の通信端末10及び情報収集端末20を探索する。
これ以降、ステップS10〜S14の処理を、1つの端末別割当期間TC(自己割当期間TCsあるいは他端末割当期間TCo)の間、継続する。
【0059】
即ち、ステップS11で、直接に無線通信可能な新たな他の通信端末10及び情報収集端末20が発見できず(No)、ステップS15に進んだ場合には、無線通信可能な他の通信端末10及び情報収集端末20の探索を中止し、端末記憶部15Aに記憶された端末別データセットDS中の取得時刻TAから、端末記憶部15Aを消去するまでの時間として予め定めた所定時間が経過したか否かを判断する。なお、本実施形態では、この所定時間を、通信端末10別に割り当てた1つの端末別割当期間TCの長さに等しい値に設定してある。即ち、端末別割当期間TCの終了タイミングが、所定時間が経過したタイミングに該当する。
【0060】
従って、ステップS15で、取得時刻TAから所定時間が経過する前(No)は、このステップS15を繰り返して、所定時間が経過するのを待つ。そして、所定時間が経過した場合(Yes)、即ち、端末別割当期間TCが終了したタイミングで、
図4に示すステップS2に戻り、端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSを消去する。その後は、再度ステップS3とステップS4を繰り返しながら、自己割当期間TCsの開始時刻TTが到来するか、他の通信端末10から無線通信確立の要求信号を受信するかにより、端末別割当期間TC(自己割当期間TCs及び他端末割当期間TCo)内の処理が開始されるのを待つ。
【0061】
以上で説明したように、通信端末10は、当該通信端末10の自己割当期間TCsが到来した場合には、この期間TCsの当初に、当該通信端末10に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶させる。また、この自己割当期間TCs内に、端末記憶部15Aに記憶されている当該通信端末10に関する端末別データセットDSを、直接に無線通信可能で端末記憶部15Aに端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10、及び、直接に無線通信可能で収集記憶部25Bに端末別データセットDSを記憶していない情報収集端末20に向けて、順次送信する。
【0062】
また、通信端末10は、他の通信端末10に割り当てられた他端末割当期間TCoが到来している場合には、この期間TCo内に、他の通信端末10から送信された(受信した)他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶させる。また、この他端末割当期間TCo内に、端末記憶部15Aに記憶されている他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを、直接に無線通信可能で端末記憶部15Aに端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10、及び、直接に無線通信可能で収集記憶部25Bに端末別データセットDSを記憶していない情報収集端末20に向けて、順次送信する(即ち、転送する。)。
【0063】
次に、情報収集端末20の動作の詳細について、
図6を参照して説明する。
図6は、情報収集端末20のマイクロプロセッサ26の動作を示すフローチャートである。マイクロプロセッサ26が動作を開始すると、まず、ステップS21で、必要な初期設定を行う。また、通信端末10の固有識別子ID毎に通知情報DI(SOC情報)を記憶する情報記憶部25Aをクリアする。
【0064】
次いで、ステップS22では、端末別データセットDSを1セット記憶可能な収集記憶部25Bをクリアする。これにより、情報収集端末20は、1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを、収集記憶部25Bに記憶可能な状態となる。
【0065】
次いで、ステップS23では、通信端末10から無線通信確立の要求信号を受信したか否かを判断する。前述したように、無線通信確立の要求信号は、各通信端末10が、ステップS12(
図5参照)に示す探索で、発見した他の通信端末10または情報収集端末20に向けて送信する信号である。通信端末10からの要求信号を受信していない場合(No)には、このステップS23を繰り返して、要求信号を受信するのを待つ。そして、要求信号を受信した場合(Yes)には、ステップS24に進む。
【0066】
ステップS24では、要求信号を送信した通信端末10に向けて、要求信号に対する応答信号を送信(返信)する。これにより、要求信号を送信した通信端末10に対して、収集記憶部25Bに端末別データセットDSが記憶されておらず、端末別データセットDSを受信可能であることを通知する。
【0067】
次いで、ステップS25では、要求信号を送信した通信端末10と無線通信を確立して、この通信端末10から送信された1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを受信する。続くステップS26では、受信した1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを収集記憶部25Bに記憶する。
【0068】
次いで、ステップS27では、受信した端末別データセットDSに含まれる通知情報DI(本実施形態では、SOC情報)を、同じくこの端末別データセットDSに含まれる固有識別子IDに基づいて、固有識別子ID毎に情報記憶部25Aに更新して記憶する。
【0069】
次いで、ステップS28に進み、収集記憶部25Bに記憶された端末別データセットDS中の取得時刻TAから、収集記憶部25Bを消去するまでの時間として予め定めた所定時間が経過したか否かを判断する。なお、本実施形態では、この所定時間を、通信端末10において端末記憶部15Aを消去するまで時間として定めた所定時間と同じにしてあり、前述したように、各通信端末10別に割り当てた1つの端末別割当期間TCの長さに等しい値に設定してある。即ち、本実施形態では、端末別割当期間TCの終了タイミングが、所定時間が経過したタイミングに該当する。
【0070】
従って、ステップS28で、取得時刻TAから所定時間が経過する前(No)は、このステップS28を繰り返して、所定時間が経過するのを待つ。そして、所定時間が経過した場合(Yes)、即ち、端末別割当期間TCが経過したタイミングで、ステップS22に戻り、収集記憶部25Bに記憶した端末別データセットDSを消去する。その後、再度ステップS23を繰り返しながら、通信端末10からの無線通信確立の要求信号を受信するのを待つ。
【0071】
以上で説明したように、情報収集端末20は、1つの端末別割当期間TC内に1回だけ、通信端末10から端末別データセットDS(具体的には、端末別割当期間TCが割り当てられた通信端末10に関する端末別データセットDS)を受信する。そして、受信した端末別データセットDSを収集記憶部25Bに記憶すると共に、端末別データセットDSに含まれる通知情報DIを固有識別子ID毎に情報記憶部25Aに更新して記憶する。
【0072】
かくして、本実施形態のシステム1では、各通信端末10が通知すべき通知情報DI(具体的にはカートEVのSOC情報)を、各通信端末10から直接または他の通信端末10を介して、情報収集端末20で収集することができる。また、情報収集端末20は、収集した通知情報DI(各カートEVのSOC情報)を、液晶ディスプレイ28に表示する。
【0073】
本実施形態では、通信端末10のうち、ステップS5,S6及びステップS8,S9を実行しているマイクロプロセッサ16が端末記憶手段に該当する。また、ステップS10〜S14を実行しているマイクロプロセッサ16が端末送信手段に該当し、このうち、ステップS10〜S13を実行しているマイクロプロセッサ16が探索部に該当し、ステップS14を実行しているマイクロプロセッサ16が送信指示部に該当する。
また、ステップS15及びステップS2を実行しているマイクロプロセッサ16が端末記憶部消去手段に該当し、このうち、ステップS15は、探索中止手段にも該当する。
【0074】
また、情報収集端末20のうち、ステップS25,S26を実行しているマイクロプロセッサ26が収集記憶手段に該当し、ステップS25及びステップS27を実行しているマイクロプロセッサ26が情報記憶手段に該当する。さらに、ステップS28及びステップS22を実行しているマイクロプロセッサ26が収集記憶部消去手段に該当する。
【0075】
以上で説明したように、本実施形態のシステム1では、通信端末10は、各通信端末10の固有識別子ID及び通知情報DI(SOC情報)を含む端末別データセットDSを1セット記憶可能な端末記憶部15Aを有している。そして、端末記憶手段(ステップS5,S6及びステップS8,S9)により、この端末記憶部15Aに、自己に関する端末別データセットDS、及び、他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSのいずれかを記憶させる。
また、自身の端末記憶部15Aに記憶している端末別データセットDSを、端末送信手段(ステップS10〜S14)により、直接に無線通信可能で端末記憶部15Aに端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10、及び、直接に無線通信可能で収集記憶部25Bに端末別データセットDSを記憶していない情報収集端末20に向けて順次送信する。
【0076】
一方、情報収集端末20は、通信端末10の固有識別子ID毎に通知情報DI(SOC情報)を記憶する情報記憶部25Aを有しており、情報記憶手段(ステップS25及びステップS27)により、この情報記憶部25Aに、通信端末10から受信した端末別データセットDSに含まれる通知情報DIを、固有識別子ID毎に更新して記憶させる。
これにより、端末別データセットDSに含まれる各通信端末10に関する通知情報DI(SOC情報)を、各通信端末10から直接または他の通信端末10を介して、情報収集端末に収集することができる。
【0077】
そして、端末記憶手段(ステップS5,S6及びステップS8,S9)は、端末別割当期間TCのうち、自己割当期間TCsの当初に、当該通信端末に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶させる一方、他端末割当期間TCoには、他の通信端末10から受信した他の1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを端末記憶部15Aに記憶させる。
【0078】
また、端末送信手段(ステップS10〜S14)は、自己割当期間TCs内に、端末記憶部15Aに記憶されている当該通信端末に関する端末別データセットDSを送信する一方、他端末割当期間TCo内に、端末記憶部15Aに記憶されている他の1つの通信端末に関する端末別データセットDSを送信する。
【0079】
これにより、各通信端末10が、自己割当期間TCs内に、当該通信端末に関する端末別データセットDSに含まれる通知情報DI(SOC情報)を直接または他の通信端末10を介して確実に情報収集端末20に転送することが可能となる。また、各通信端末10は、1つの通信端末10に関する端末別データセットDSを記憶するだけで良く、メモリ15の小容量化が図れる。
【0080】
また、本実施形態のシステム1では、情報収集端末20が、端末別データセットDSを1セット記憶可能な収集記憶部25Bを有しており、通信端末10から受信した端末別データセットDSを、収集記憶手段(ステップS25,S26)により、この収集記憶部25Bに記憶させる。
また、情報収集端末20は、収集記憶部消去手段(ステップS28及びステップS22)を有しており、各々の端末別割当期間TCの終了後に、収集記憶部25Bに記憶した端末別データセットDSを消去する。
【0081】
さらに、通信端末10は、自身の端末記憶部15Aに端末別データセットDSが記憶されている場合に、探索部(ステップS10〜S13)により、直接に無線通信可能で端末記憶部15Aに端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10、及び,直接に無線通信可能で収集記憶部25Bに端末別データセットDSを記憶していない情報収集端末20を探索する。そして、通信端末10は、送信指示部(ステップS14)によって、自身の端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSを、探索部(ステップS10〜S13)で探索された他の通信端末10または情報収集端末20に向けて、端末送信手段(ステップS10〜S14)により送信させる。
【0082】
これにより、通信端末10は、各々の端末別割当期間TC(自己割当期間TCs及び他端末割当期間TCo)において、端末記憶部15Aに端末別データセットDSが記憶された後、無線通信可能で端末別データセットDSが記憶されていない他の通信端末10及び情報収集端末20を探索して、端末別データセットDSを送信すれば良いので、簡易に端末別データセットDSを転送することができる。
【0083】
さらに、本実施形態のシステム1では、端末別データセットDSが、通信端末10が通知情報DI(SOC情報)を取得した取得時刻TAを含んでいる。そして、通信端末10の端末記憶部消去手段(ステップS15及びステップS2)は、端末別データセットDS中の取得時刻TAから1つの端末別割当期間TCの長さに等しい所定時間を経過した後に、端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSを消去する。
これにより、通信端末10は、記憶した端末別データセットDS中の取得時刻TAに基づいて、この記憶した端末別データセットDSを消去すれば良く、端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSの消去タイミングを簡易に定めることができる。
【0084】
さらに、本実施形態のシステム1では、情報収集端末20の収集記憶部消去手段(ステップS28及びステップS22)は、通信端末10の端末記憶部消去手段(ステップS15及びステップS2)と同様に、端末別データセットDS中の取得時刻TAから所定時間を経過した後に、収集記憶部25Bに記憶した端末別データセットDSを消去する。
これにより、収集記憶部25Bに記憶した端末別データセットDSの消去タイミングを簡易に定めることができる。
【0085】
さらに、本実施形態のシステム1では、通信端末10が探索中止手段(ステップS15)を有しており、無線通信可能で端末別データセットDSを記憶していない他の通信端末10及び情報収集端末20が発見できない場合に、探索部(ステップS10〜S13)による探索を中止する。即ち、それ以降は、自身の端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSが端末記憶部消去手段(ステップS15及びステップS2)により消去されるのを待ち、無線通信可能な他の通信端末10及び情報収集端末20を探索して、端末別データセットDSを送信することがない。
【0086】
このため、各通信端末10の端末記憶部15Aに記憶した端末別データセットDSを、端末記憶部消去手段(ステップS15及びステップS2)で消去するタイミングに誤差が生じても、この誤差によって、端末記憶部15Aの消去が遅れた通信端末10から端末記憶部15Aが先に消去された通信端末10に向けて、意図しない端末別データセットDSの送信が行われるなどの問題が生じることがない。
【0087】
以上において、本発明を実施形態の情報収集システム1に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態では、情報収集端末として、1つのタブレット端末20(20A)を示したが、情報収集端末としては、固定のパーソナルコンピュータ端末を含めることもでき、また、情報収集端末を2台以上設けても良い。
【0088】
また、実施形態では、通信端末10(車載診断通信ユニット)をゴルフカートであるカートEVに搭載し、各カートEVに関するバッテリBTのSOC情報を、各通信端末10が情報収集端末20に通知すべき通知情報DIとして取得する例を示した。
しかし、通信端末10は、ゴルフカートなどの電動車両に搭載するものに限られず、例えば、貨物列車やトレーラーに搭載する複数のコンテナにそれぞれ通信端末10を取り付けて、コンテナ内の温度や、コンテナ内の貨物の数量などを、通知情報DIとして取得しても良い。
【0089】
また、実施形態では、通信端末10のマイクロプロセッサ16が、
図4に示すステップS5で、SOC情報を通知情報DIとして取得すると共に、その取得時刻TAを取得し、ステップS6で、取得時刻TAを含む端末別データセットDSを、端末記憶部15Aに記憶した。そして、
図5に示すステップS15で、取得時刻TAから所定時間が経過するのを待った。また、情報収集端末20のマイクロプロセッサ26も、
図6に示すステップS28で、取得時刻TAから所定時間が経過するのを待った。
【0090】
これに対し、
図7に示す第1の変形形態のように、ステップS5で、SOC情報を通知情報DIとして取得する一方、ステップS6で、端末別データセットDSを記憶する記憶時刻TMを取得することにより、取得時刻TAに代えて、記憶時刻TMを含む端末別データセットDSを、端末記憶部15Aに記憶しても良い。この場合、ステップS15及びステップS28では、端末別データセットDSに含まれる記憶時刻TMから所定時間が経過するのを待つことになる。
【0091】
また、
図8に示す第2の変形形態のように、ステップS6で、取得時刻TA及び記憶時刻TMに代えて、自己割当期間TCsの開始時刻TTを含む端末別データセットDSを、端末記憶部15Aに記憶しても良い。この場合、ステップS15及びステップS28では、端末別データセットDSに含まれる開始時刻TTから所定時間が経過するのを待つことになる。
【0092】
また、実施形態では、通信端末10の無線通信部13及び情報収集端末20の無線通信部23が、Wi−Fiダイレクトにより、ピアツーピアの無線通信を行ったが、IEEE 802.11無線LAN規格の動作モードであるアドホックモードなど、ピアツーピアの無線通信が可能なその他の通信規格を用いても良い。