特許第6397774号(P6397774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397774
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】自転車用前部チャイルドシートカバー
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20180913BHJP
   B62J 1/20 20060101ALI20180913BHJP
   B62J 1/28 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B62J1/00 D
   B62J1/20 A
   B62J1/28 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-21691(P2015-21691)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2016-144953(P2016-144953A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2017年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】有限会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 富彦
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−129052(JP,A)
【文献】 特開2014−37236(JP,A)
【文献】 特開2015−9725(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1099619(EP,A2)
【文献】 登録実用新案第3189949(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 − 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部に固定され、上下動自在のヘッドレストを有する前部チャイルドシートの底面部以外の略全体を被覆することができ、その両側面部にはそれぞれハンドルグリップを挿通できる挿通部が設けられたチャイルドシートカバーにおいて、
このチャイルドシートカバーは、カバー本体部と開閉カバー部材とから成り、
このカバー本体部は、チャイルドシートの前面、両側面及び背面を被覆することができる形状を有し、上面及び底面に開口部を有するものから成り、
前記開閉カバー部材は、前記カバー本体部の上面開口部の前方側に接続し、
この開閉カバー部材を、その前面部、天面部、両側面部及び背面部から形成して内部空間を保持できる形状とし、
少なくとも背面部に芯材を配設することにより当該背面部が自立できる構成とし、
この開閉カバー部材の下端周縁部とカバー本体部の上端周縁部とが相互に係合できる係合手段により開閉自在に形成されたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項2】
前記開閉カバー部材の前面部に透明素材からなる窓部を形成し、この窓部はその左右両側辺部と底辺部が開閉カバー部材と分離し、これら分離した3辺がスライドファスナーによって開閉自在に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項3】
前記開閉カバー部材の前面部、天面部及び両側面部の前方側を透明な素材から形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【請求項4】
前記開閉カバー部材の背面部に配設した芯材を可撓性又は弾性を有する合成樹脂製シート材から形成し、前記係合部材としてスライドファスナーを使用したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲された部分に固定された前部チャイルドシートの略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーの改良に関するものである。
このカバーは、幼児がシートに腰掛けているとき、或いはシートの不使用時の何れのときにも装着したままで使用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
現在良く知られているように、この前部チャイルドシートというのは、その座部が自転車のハンドル部中央の略U字形状に湾曲した部分に固定され、座部の前方には開閉自在で使用時に下方に開放される足乗せ部が設けられ、その背面部である背凭れ部には上下に摺動可能なヘッドレスト(又はヘッドサポート)が設けられたデラックスな形態を有するものである。
【0003】
この前部チャイルドシートには、その座部の底面部を除く略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが市販されている。
その基本的なものとしては、底面に開口部を有し、シートの略全体を被覆できる略袋形状のものからなり、その透明の前面部に窓部が形成されたものを挙げることができる。
【0004】
この窓部は、その上辺がカバーに接続し、他の両側辺部と下辺部とが本体部と分離して、スライドファスナーによって開閉自在に形成され、このスライドファスナーを全開して上方に捲り上げるようにして、窓部を全開することができるものである。
この窓部を全開して、内部のシートに幼児を抱きかかえて着席させたり、内部から幼児を抱き上げてシートから降ろすことができるものである。
【0005】
このタイプのチャイルドシートカバーでは、幼児を抱きかかえて内部のシートに着席させるとき、或いは、内部から幼児を抱き上げて外に降ろす作業が極めて大変な労苦となるという問題があったのである。
【0006】
他方、下記特許文献に記載の発明においても、上記カバーと同様に、幼児が着席した使用状態であっても、幼児と共にシート全体を被覆できる前部チャイルドシートカバーである。
その構成は、カバー本体部がシートの底面を除くその略全体を被覆でき、その上面開口部には開閉自在の閉鎖シート部材を設け、更に、前記本体部に開閉カバー部材を着脱自在に連結したものから成る。
【0007】
この開閉カバー部材は透明の前面部を有し、その前方側にある連結部の内側の係着部を本体部の係止具受部に係着することにより相互に連結できるものである。
これにより本体部の閉鎖シート部材を巻回して開放し、この閉鎖シート部材を集束部材によって括り留めた状態で幼児をチャイルドシートに着席させ、開閉カバー部材の背面部をチャイルドシートの上方に移動させたヘッドレストの上縁部に引っ掛けるようにして被覆することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−37236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明においては、従来のチャイルドシートカバーと同様に、これを装着したままの状態で、自転車の不使用時は勿論のこと、雨天、強風又は寒冷時、若しくは晴天時のどのような天候の際にも、幼児を乗せて使用することができるものを提供することをその基本としている。
【0010】
そして、本発明においては、チャイルドシートに幼児を腰掛けさせた際に、その幼児の頭頂部ができる限りカバーの天部に接触しないようにすること、仮に接触しても幼児の頭頂部にカバーの重みがあまり掛らないようにすること、或いは、その内部空間を広く確保でき、幼児の頭頂部にゆとりを有するチャイルドシートカバーを提供することをその課題としている。
このようにすることにより、シートに腰掛けた幼児の頭頂部の圧迫が減少し、カバー内での居住環境が非常に良くなるからである。
【0011】
更に、上記した通り、従来の窓部から幼児を乗降させるものにあっては、その乗降作業が大変であったが、本発明においては、幼児をシートに乗せたり降ろしたりする際に、この乗降時の便利さを考慮して、乗せやすく且つ降ろしやすい構造とすることもその大きな課題となる。
また、カバー自体の外形形状もそれ自身で自立できるものとして、特にチャイルドシートに接合していないその上方部分に関してより自立でき、より保形性の高いものを提供することもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部に固定され、上下動自在のヘッドレストを有する前部チャイルドシートの底面部以外の略全体を被覆することができ、その両側面部にはそれぞれハンドルグリップを挿通できる挿通部が設けられたチャイルドシートカバーにおいて、このチャイルドシートカバーは、カバー本体部と開閉カバー部材とから成り、このカバー本体部は、チャイルドシートの前面、両側面及び背面を被覆することができる形状を有し、上面及び底面に開口部を有するものから成り、前記開閉カバー部材は、前記カバー本体部の上面開口部の前方側に接続し、この開閉カバー部材を、その前面部、天面部、両側面部及び背面部から形成して内部空間を保持できる形状とし、少なくとも背面部に芯材を配設することにより当該背面部が自立できる構成とし、この開閉カバー部材の下端周縁部とカバー本体部の上端周縁部とが相互に係合できる係合手段により開閉自在に形成されたことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0013】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記開閉カバー部材の前面部に透明素材からなる窓部を形成し、この窓部はその左右両側辺部と底辺部が開閉カバー部材と分離し、これら分離した3辺がスライドファスナーによって開閉自在に形成されていることを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0014】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記開閉カバー部材の前面部、天面部及び両側面部の前方側を透明な素材から形成したことを特徴とする自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【0015】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記開閉カバー部材の背面部に配設した芯材を可撓性又は弾性を有する合成樹脂製シート材から形成し、前記係合部材としてスライドファスナーを使用したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の自転車用前部チャイルドシートカバーである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1のものにおいては、チャイルドシートカバー(以下、単に「カバー」という。)の開閉カバー部材がその前面部、天面部、両側面部及び背面部から形成され、内部空間を保持できる形状とされ、少なくとも背面部に芯材を配設することにより当該背面部が自立できる構成としているために、この開閉カバー部材をカバー本体部に係合させることにより、この開閉カバー部材の部分がシートの上方でその形状を保持することができ、所定の内部空間が維持されることとなる。
【0017】
それ故、開閉カバー部材の高さ位置が適宜高さ位置に確保され、内部に着席する幼児の頭頂部が圧迫される恐れが少なくなるのである。
上記開閉カバー部材の下端周縁部とカバー本体部の上端周縁部とは係合手段によって開閉自在に相互に係合できる構成であるが、この係合手段としては、スライドファスナーや面ファスナーを例示することができる。
【0018】
また、本発明においては、開閉カバー部材を前方に捲り上げてその本体部の開口部を大きく取れるため、幼児を抱き上げて前部チャイルドシートに腰掛ける作業、或いは、幼児を降ろす際にも幼児を抱き上げてチャイルドシートから降ろす際にも楽に行うことができこととなる。
【0019】
更に、本発明においては、カバー本体部は、チャイルドシートを被覆するのであるが、その上端縁部は、このチャイルドシートの上縁部とほぼ同じ高さ位置となり、幼児の乗降に際し、従来の窓部を利用して乗降させるカバーと異なり、極めて容易に乗降させることができることとなるのである。
【0020】
従来のカバーにおいては、内部の幼児の居住空間をより広く取るために、カバーが自立するように形成され、しかも、その前面部の窓部から乗降させていた関係上、幼児を高く抱き上げて乗降させていたのであるが、本発明においては、上記した通り、カバー本体部の上縁部はシートの上縁部と略同一となり、その乗降が極めて容易なものとなるのである。
【0021】
また、開閉カバー部材は、前方に大きく開放せられ、内部のチャイルドシートを目視でき、幼児を着席させる際に極めて便利なものとなる。
つまり、カバー本体部をシートに被覆しても、シートの高さ位置はカバーを被覆する前と全く同じであって、内部のチャイルドシートを目視しつつ容易に幼児を着席させることができることとなるのである。
【0022】
本発明の第2のものにおいては、上記開閉カバー部材の前面部に透明素材から成る窓部を形成し、この窓部はその左右両側辺部と底辺部が開閉カバー部材と分離し、これら分離した3辺がスライドファスナーによって開閉自在に形成されているものであるが、この構成により、窓部はスライドファスナーを開放して上方に捲り上げることができ、雨が上った際、或いはカバー内部に外気を流入させたい場合等には、スライドファスナーを開放して簡単に窓を全開とすることができる。
勿論、このスライドファスナーはその一部を開放して、外気導入口とすることも可能である。
【0023】
本発明の第3のものは、内部に着席する幼児の居住性をより向上させるために、上記開閉カバー部材の前面部、天面部及び両側面部の前方側を透明な素材から形成したものである。
これにより、内部に着席した幼児の視界が極めて広く確保され、安心感を与えることができることとなる。
【0024】
本発明の第4のものにおいては、上記各発明において上記開閉カバー部材の背面部に配設した芯材を可撓性又は弾性を有する合成樹脂製のシート材から形成し、上記係合部材としてスライドファスナーを使用したことを特定したものであり、これらの構成部材をより具体化し限定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る前部チャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに被覆した状態の全体説明図である。
図2】上記実施形態に係るカバーの上方に位置する開閉カバー部材を全部開放して、前方側に捲り上げた状態の全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る前部チャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに被覆した状態の全体説明図である。
図2は、このカバーの上方に位置する開閉カバー部材を全部開放して、前方側に捲り上げた状態の全体説明図である。
【0027】
このカバーの本体部10は、底面及び上面が開口した袋状の形態を有し、図1では、チャイルドシートの前方下端部の足乗せ部Fが下方に開放された状態で、幼児が着席して使用できる状態である。
この足乗せ部Fを被覆する前面部11の部分11tは透明素材から形成されている。例えば、この透明素材としてはPVCを挙げることができる。
その他の部位の素材としては、表面に防水加工が施されたポリエステル生地を使用することができる。
【0028】
この前部チャイルドシートは、既に知られている通り、自転車のハンドル部の中央の略U字形状部に固定されているものであって、座面部と両側面部と背面部(背凭れ部)とからなる座席部と、座席の前端部に設けられ、下方に開放できる足乗せ部Fと、座席の前端部に設けられた取手部と、座席の背面部の上縁部で上下方向に往復摺動するヘッドレストHとから成る。
【0029】
本発明に係る前部チャイルドシートカバーの本体部10は、上記チャイルドシートの底面と上面を除くほぼ全体を被覆することができ、前面部11、両側面部12、12及び背面部13とから形成されている。
本体部10の両側面部12、12の適宜位置には自転車のハンドルグリップが挿通する穴部がそれぞれ設けられている。
【0030】
本体部10の底面の開口部の周縁部には、適宜伸縮自在のゴム紐部材が挿通され、このゴム紐部材を収束することによってこの底面開口部を収束させて、カバー本体部10を前部チャイルドシートに装着することができる。
上記ゴム紐部材は、伸縮しない紐部材であってもよく、この紐部材を引き絞り固縛することによって底面開口部を収束させ固着できる構成であってもよい。
【0031】
この前面部11の上方端部分11jに開閉カバー部材20の前端部が接続するのである。
即ち、この実施形態では、カバー本体部10の両側面部12、12と背面部13の上縁部で、前記開閉カバー部材20と分離しており、この開閉カバー部材20を開放して内部に幼児を入れて、シートに腰掛けさせることができるのである。
この開閉カバー部材20とカバー本体部10とは、相互にスライドファスナー15によって開閉自在に係合される。
【0032】
更に詳しくは、開閉カバー部材20は、その前方端で本体部10の前面部11の上方端部分11jと接続し、この上方端部分11jに連続するようにその前面部21を有し、この前面部21に連続するように天面部24が設けられ、前記前面部21と天面部24の両側には両側面部22、22が設けられ、その背面側には背面部23が形成されている。
【0033】
従って、開閉カバー部材20は、これら前面部21、天面部24、両側面部22、22、及び背面部23によって囲繞される空間部をその内部に保持することができる形態を有しているのである。
【0034】
背面部23と両側面部22、22の後方側には、芯材28(図2参照)を配設しているために、開閉カバー部材20の下端開口縁部と本体部10の上端開口縁部にそれぞれ設けたスライドファスナー15、15を相互に係合させると、チャイルドシートの上縁部から上方に開閉カバー部材20がその内部空間を維持して上方に立ち上がるようにその形状を保持することができる(図1参照)のである。
【0035】
換言すると、開閉カバー部材20の上面は、前面部21と天面部24とが連続して形成され、この開閉カバー部材20には、その両側の側面部22、22とその後方の背面部23を有している。
【0036】
従って、この開閉カバー部材20の下端周縁部とカバー本体部10の上端周縁部との閉鎖は、スライドファスナー15によって行う。即ち、このスライドファスナー15が開閉自在の係合部材となる。
この実施形態では、スライドファスナーの部分から雨水等が侵入しないように、雨水侵入防止部材をスライドファスナーの内側又は外側に設けておくこともできる。
【0037】
更に、上記開閉カバー部材20の前面部21には窓部25が形成され、天面部24の側に巻き上げて開放することができる。
即ち、この窓部25は、上辺が前面部21の上部に接続し、上方に捲り上げることができ、その両側辺と下辺は前面部と分離し、これら3方の側辺部で前面部21とスライドファスナー25fによって開閉自在に形成されている。
【0038】
この3方に設けられたスライドファスナー25fから雨水等が侵入しないように、この実施形態では、このスライドファスナー25fの内側に雨水侵入防止部材を設けている。
つまり、このスライドファスナー25fの部分が二重構造となっており、雨水の浸入を防止できるのである。
【0039】
添付の図では、前部チャイルドシートのヘッドレストHは、一番上の位置に引き上げた状態である。
この状態でも、シートに着席した幼児の頭頂部はこのヘッドレストHの上縁部よりも上に10cm乃至15cm程度飛び出してしまう場合がある(図2の状態)。
【0040】
このような場合には、本発明に係るチャイルドシートカバーが有効となるのである。
即ち、本発明に係るカバーにおいては、その開閉カバー部材20の少なくとも背面部23に芯材28を配設している関係で、この背面部23が自立できるのである。
【0041】
つまり、開閉カバー部材20の下端縁部とカバー本体部10の上端縁部とをスライドファスナー等の係合部材によって係合することにより、前記背面部23が自立し、開閉カバー部材20の内部空間が確保されて、内部に着席している幼児の頭頂部を圧迫しないようにすることができるのである。
【0042】
この背面部の高さは適宜必要に応じて設定することができ、芯材28を配設するエリアは、上記背面部23のみでなく、図2にある通り、この背面部23の両端部に連続するそれぞれの側面部22、22に渡り配設することが望ましい。
つまり、この芯材28は、少なくとも背面部23の一部又は全部に設けられていればよい。
この芯材としては、ペフ(登録商標)や可撓性を有する合成樹脂製のベルポーレンを利用することができる。
【0043】
ペフ(登録商標)というのは、ポリオレフィン系発泡体であり、このシート状体のものを使用することができ、このものは、クッション性、緩衝性、断熱性、耐水性、及び科学的性質に優れたものである。
また、ベルポーレンというのは、ポリエチレンの発泡シートのことであり、いわゆるバッグ用の底板に使用されるもので、可撓性及び弾性を有するシート状体のものである。その他各種の可撓性材料を使用することができる。
【0044】
以上の通り、本発明に係る前部チャイルドシートカバーは、前部チャイルドシートに装着して、そのシートの底面を除く略全体を被覆することができ、勿論、シートの前端下方の足乗せ部を閉鎖したときも、或いは下方に引き出したときも、これら何れの場合にもその略全体を被覆することができ、内部に幼児を乗せた際にも、雨天の時には、その窓部25を閉鎖した状態で使用し、晴天のときには、その窓部を開放させて使用することができるのである。
【0045】
このように、本発明に係る前部チャイルドシートカバーにあっては、どのような天侯のときにも、また使用していないときにも、装着させたままにしておくことができ、その都度取り外したり、装着したりする手間が掛らないものなのである。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更をして実施することができる。
カバー本体部の具体的な外形形状、大きさ等は、チャイルドシートの形状に適合させて適宜設計変更することができる。
【0047】
その取り付けに当たり、カバー本体部の底面が開口していればよく、幼児の着席に際しては、上方に位置する開閉カバー部材の開閉により行うことが可能である。
この開閉カバー部材は、その前端部のみがカバー本体部に接続しているために、その全体を前方方向に捲り上げるようにして開放できるために、その開口部が大きく形成され、幼児を着席させるときも、シートから降ろすときも極めて容易に行うことができるのである。
【0048】
上記実施形態では、開閉カバー部材の前面部や天面部、或いは、側面部の前方部分を透明としたが、この透明部を設ける部分についても自由に設計変更することができるが、少なくとも窓部及び前面部は透明とすることが極めて好ましい。内部に着席する幼児の居住性を向上させるためである。
【0049】
窓部の周縁部には開閉自在のスライドファスナーが設けられているが、このスライドファスナーには2個のスライダーを設け、これを適宜間隔に保持して外気の導入口とすることもでき、このスライドファスナーの裏面には雨水等の浸入を防止する侵入防止部材を配設することもできる。
【0050】
窓部は、上記実施形態では、上方に巻き上げるように開放することができるように構成したが、これを左右の何れか一方の横方向に開放できるようにすることも可能である。前面部との接続辺を横にすればよいからである。
勿論、この窓部は本発明の任意の構成要素であり、これを設けずに実施することもできる。
【0051】
窓部の両側の前面部の側縁部に沿って、可撓性を有する合成樹脂製の管体(チューブ)を配設させることもでき、これにより、窓部が設けられた前面部の保形性が保持される。
【0052】
開閉カバー部材の背面部に配設する芯材の素材は、上記ペフ(登録商標)やベルポーレン以外のものであってもよく、可撓性又は弾性を有するものであれば、自由に選択して利用することができるものである。
【0053】
以上、本発明は、自転車の前部チャイルドシートに被覆して使用できるチャイルドシートカバーであって、その本体部と開閉カバー部材とから形成され、この開閉カバー部材には内部空間が保持され、この開閉カバー部材をカバー本体部にスライドファスナー等の係合部材によって係合させることにより、内部に着席する幼児の頭頂部を圧迫しない自転車用前部チャイルドシートカバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0054】
10 本体部
11 前面部
12 側面部
13 背面部
15 スライドファスナー
20 開閉カバー部材
21 前面部
22 側面部
23 背面部
24 天面部
25 窓部
25f スライドファスナー
28 芯材
F 足乗せ部
H ヘッドレスト
図1
図2