【実施例1】
【0013】
図1は、本発明を状態監視装置1およびATM2から構成される監視システムのシステム構成を示す図である。
図1に示すように本発明の監視システムは、状態監視装置1とATM2が1対1で接続される場合(
図1(a))、ネットワーク3を介して1対Nで接続される場合(
図1(b))、ネットワーク3を介してN対Mで接続される場合(
図1(c))のそれぞれの場合で適用することができる。なお、状態監視装置1とATM2が1:1で接続する場合もネットワークを介して接続してもよいことはいうまでもない。本実施例1では、状態監視装置1とATM2が1:1で接続される場合を例にして、以下説明を行う。
【0014】
図2は、状態監視装置1の外観を示す外観図であり、
図3は、状態監視装置1の主要部の構成を示すブロック図である。状態監視装置1は、タッチパネル付き表示モニタ11、電源スイッチ12、スピーカ13、制御部14、電源15などを備えている。また制御部14内には、CPU21、RAM22、ROM23、通信コントローラ24を備えている。
【0015】
タッチパネル付き表示モニタ11は、ATM2から受信したATM2の情報を表示する。また、係員がタッチパネル操作を行い、画面の切り替えなどを行う事が可能である。ATM2の異常が発生した場合は、タッチパネル付き表示モニタ11に画面表示するだけでなく、スピーカ13から警告音などを鳴らして、係員に対して注意を促す。
【0016】
ROM23は、フラッシュメモリなどの不揮発メモリを搭載しており、状態監視装置1の制御プログラムやログ情報を格納する記憶部である。本実施例ではROM23はフラッシュメモリ23であるとして説明する。
【0017】
RAM22は、揮発メモリであり、フラッシュメモリ23から読みだした制御プログラムを展開し、CPU21により制御プログラムが実行され、状態監視装置1が制御される。また、ATM2から送信されたログ情報を一時的に記憶する一時記憶部でもある。
【0018】
通信コントローラ24はATM2と直接またはネットワーク3を介して接続し、後述するポーリングやATM2から送信されたATM情報の受信等の信号の送受信を行う。電源15は外部から供給された電力を状態監視装置1内に供給するための装置であり、電源のON/OFFを電源スイッチ12で切り替える。
【0019】
ATM2は図示しない通帳取扱部、カード取扱部、タッチパネル付き表示モニタ、通信コントーラ、紙幣取扱部、硬貨取扱部、記憶部と制御部等から構成される。記憶部には、紙幣取扱部や硬貨取扱部で保管されている紙幣・硬貨の情報や、タッチパネル付き表示モニタを操作して顧客や係員(金融機関の係員・保守員等)が実行した取引や操作のログ情報等を記憶している。また、通信コントローラを介して、ログ情報が状態監視装置1に送信される。
【0020】
次に、状態監視装置1のログ情報の記憶動作について説明する。
図4は本実施例のログ記憶動作を示すフローチャートである。
【0021】
状態監視装置1は、電源スイッチ12の操作により電源ONされると(S101)、フラッシュメモリ23の書換えカウンタを初期化する処理を行う。具体的には、書換えカウンタの初期値としてN=0とする(S102)。カウンタを初期化したあとは、イベントの発生まで待機状態となる(S103)。
【0022】
上記するように本実施例では、状態監視装置1はATM2から送信されたATM2の情報(以下、ATM情報とする)の中でログ情報をフラッシュメモリ23に記録する。フラッシュメモリ23の書換え寿命を満足するために、本実施例では1日当たりのフラッシュメモリ23への書換え回数を制限する。本明細書では1日当たりの書換え回数を200回として説明するが、書き換え回数は任意に設定可能であることはいうまでもない。
【0023】
さらにイベントについて説明する。本実施例におけるイベントとは、主に状態監視装置1とATM2との間で送受信される通信のことである。状態監視装置1は発生するイベントの種類を(1)重要イベント、(2)エラー系イベント、(3)正常系イベントとして分類した上で、フラッシュメモリ23への書込みを行う。
【0024】
例えば、(1)重要イベントは、ATM2へ送信したポーリングのレスポンス(応答ともいう)の結果が該当する。(2)エラー系イベントは、状態監視装置1とATM2との通信がタイムアウトした場合などが該当する。(3)正常系イベントは、ログ情報にあるATM2からの指示情報の受信、状態監視装置1に対する係員の操作なども正常系イベントとして記憶される。なお、各イベントの内容は上記する以外にもあることは言うまでもない。また、イベントは特許請求の範囲における通信の内容に相当する。
【0025】
本実施例の状態監視装置1によるATM2に対するポーリングについて説明する。
図5は、状態監視装置1のポーリング処理を説明するフローチャート図である。
【0026】
状態監視装置1は、電源ONされると(S1001)、ATM2との接続を待つ接続待ち状態になる(S1002)。ネットワーク接続が完了すると(S1003:YES)、状態監視装置1は、ATM2の起動監視タイマを起動し(S1004)、ATM2に対してポーリングを行う(S1005)。ポーリングに対するレスポンスが無い場合(S1006)、一定時間経過後、再度、ATM2に対してポーリングを行う(S1005)。
【0027】
なお、複数回ポーリングを実施してレスポンスが無い場合、状態監視装置1は状態監視装置1とATM2との間のネットワークに何らかの障害が発生したと判断する。この場合、ATM2との通信が行えなかったため通信エラーとしてRAM22に記憶され、後述するイベント種別判定の際に、エラー系イベントとして判定される。
【0028】
ポーリングを行った結果、ATM2からのレスポンスが有るかどうかを判断し(S1006)、レスポンスにATM情報を受信したか否かを判断する(S1007)。ATM2からのレスポンスが有り(S1006)、ATM2からATM情報を受信した場合は(S1007)、ATM2からの受信したATM情報をタッチパネル付きモニタ11に表示する(S1008)。また、受信したATM情報はイベントとして一時的にRAM22に記憶され、後述するATM情報の解析処理により正常系イベントとして判定される。
【0029】
ATM情報を受信していない場合(S1007)、起動監視タイマがタイムアウトをしたか否かを判定し(S1009)、タイムアウトをした場合は(S1009:YES)、ATM2のアプリケーション起動異常の情報をタッチパネル付きモニタ11に表示する(S1010)。この場合、ネットワークは正常であるが、ATM2のアプリケーションが起動していない状態であり、ATM2のアプリケーション異常としてRAM22に記憶され、後述するイベント種別判定の際に、重要イベントとして判定される。
【0030】
起動監視タイマがタイムアウトしていない場合は(S1009)、再度ATM2に対してポーリングを実行する(S1005)。なお、ポーリング処理の途中でATM2とのネットワーク接続が切断された場合は、ATM2とのネットワーク接続待ち状態(S1002)となる。
【0031】
図4に戻ってログ記録処理について説明を行う。イベントが発生すると(S104)、その情報をまずRAM22にログ情報として書き込む(S105)。次にこのイベントがエラー系イベントであるか否かを判定する(S106)。エラー系のイベントではないと判断した場合(S106:NO)、重要イベントであるか否かを判断する(S107)。エラー系イベントでもなく、かつ、重要イベントでも無い場合は、ログ情報をRAM22からフラッシュメモリ23には書き込まず、待機状態となる(S103)。
【0032】
エラー系イベント(S106:YES)または重要イベント(S107:YES)である場合は、フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値を判定する(S108)。書き換えカウンタの値がN≦200である場合(S108:YES)、RAM22上に記憶されたログ情報の全てをフラッシュメモリ23に書込み処理を行う(S109)。その後、書換えカウンタをN=N+1として(S110)、待機状態(S103)に戻る。
【0033】
他方、フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値がN>200の場合は、1日のフラッシュメモリ23の書換え制限回数を越えているため、RAM22上のログ情報をフラッシュメモリに書き込まず、待機状態(S103)に戻る。
【0034】
フラッシュメモリ23に書き込まれるログ情報の一例を
図8(a)に示す。
図8(a)は、
図4のフローチャートで説明したログ情報はエラー系イベントを判断することによって書き換えが実施されていることを示す図である。このログ情報は、必要なタイミングで保守員などによりタッチパネル付きディスプレイに表示される、別の端末にデータが移動されて表示される、あるいは、別途接続されるプリンタにより紙で出力されるなどにより保守に利用される。
【0035】
本実施例では、上記するようにエラー系イベント、または重要イベントが発生したときに、フラッシュメモリの書き換えカウンタの値によりRAM22上の全てのログ情報をフラッシュメモリ23に書き込む制御を行う構成とする。この構成により、イベント発生の都度、フラッシュメモリ23にログ情報を記録する方式と比べて、効率的にフラッシュメモリ23への書換えが可能となり、フラッシュメモリ23の書換え寿命の上限による交換までの期間を延ばすことができる。
【実施例2】
【0036】
実施例1では、エラー系イベントまたは、重要イベントの発生をトリガーとして、フラッシュメモリ23の書き換え回数をチェックし、その回数に基づいてRAM22上のログ情報をフラッシュメモリ23に書き込む構成について説明をした。本実施例では、実施例1とは異なった制御によるフラッシュメモリ23の書き換え寿命を考慮したログ情報の書き込みについて、図面を用いて説明する。なお、監視システムを構成する状態監視装置1及びATM2の構成は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
図6は本実施例におけるログ情報の書き込み制御を説明するフローチャートである。状態監視装置1は、電源ONされると(S201)、フラッシュメモリ23の書換えカウンタを初期化する処理を行う。具体的には、書換えカウンタの初期値としてN=0とする(S202)。カウンタを初期化した後は、イベントの発生まで待機状態(S203)となる。次にイベントが発生すると(S204)、その情報をまずRAM22にログ情報として書き込む(S205)。ここで、フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値を判定し(S206)、書き換えカウンタの値がN≦180の場合(S206:YES)、RAM22上のログ情報をフラッシュメモリ23に書込む(S109)。
【0038】
フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値がN>180である場合(S206:NO)、発生したイベントが重要イベントであるか判定する(S208)。重要イベントでない場合は(S208:NO)、状態監視装置1は待機状態(S203)に戻る。
【0039】
発生したイベントが重要イベント場合は(S20:YES)、フラッシュメモリ23の書換え回数の値を再度判定する。書換えカウンタの値がN≦200であれば(S209:YES)、RAM22上のログ情報をフラッシュメモリ23に書き込み(S210)、書換えカウンタをN=N+1として加算し(S211)、待機状態に戻る(S203)。
【0040】
一方、書換えカウンタの値がN>200である場合は、重要イベントと判断された場合であっても、フラッシュメモリ23への書き込みは行わず、状態監視装置1は待機状態に戻る(S203)。
【0041】
フラッシュメモリ23に書き込まれるログ情報の一例を
図8(b)に示す。
図8(b)は、
図6のフローチャートで説明した書換え上限に達した場合であっても、重要イベントに限ってさらにフラッシュメモリ23に書換えが行われていることを示す図である。
【0042】
なお本実施例では、N=180を無条件でフラッシュメモリに書き込む上限回数とし、N=200を重要イベントに限った書き込む上限回数としたが、これは任意の値に設定するとよい。また、S206で判断した書換えカウンタの値を第1の書換え上限回数と呼び、S209で判断した書換えカウンタの値を第2の書換え上限回数と呼んでもよい。また、本実施例では重要イベントに限って書換えカウンタの上限に達した場合であっても第2の閾値に達するまで書込み可能としたが、重要イベントに限定せず、例えばエラー系イベントであっても書込みを行うことができるようにしてもよい。
【0043】
上記する本実施例の構成とすることで、予め定められたフラッシュメモリ23の書換え上限回数に達した場合でも、重要イベントに限って、フラッシュメモリ23にログ情報を書き込むことが可能となる。この構成により、フラッシュメモリ23の書換え寿命の満足と、優先度の高いログ情報の保存を両立させることが可能となり、利便性を高めることができる。
【実施例3】
【0044】
次に、実施例1および実施例2とは異なるフラッシュメモリ23の書換え寿命に対応したログ情報の記録の制御について説明する。なお、監視システムを構成する状態監視装置1及びATM2の構成は上記実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
図7は実施例を示す。状態監視装置1は、電源ON(S301)されると、フラッシュメモリの書換えカウンタを初期化する処理を行う。具体的には、書換えカウンタ初期値としてN=0、書き込み上限回数の初期値としてR=200とする(S302)。次に、書換え上限回数に、前日からの繰り越し回数R1の値を加算する。具体的には、R=R+R1とする(S303)。カウンタを初期化した後は、イベントの発生まで待機状態となる(S304)。イベントが発生すると(S305)、その情報をまずRAM22にログ情報として書き込む(S306)。次に、フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値を判定する(S307)。書換えカウンタの値がN>Rの場合(S307:NO)は、1日のフラッシュメモリ23の書換え制限回数を越えているため、RAM22上のログ情報をフラッシュメモリ23に書き込まずに待機状態に戻る(S304)。
【0046】
他方、フラッシュメモリ23の書換えカウンタの値がN≦Rの場合(S307:YES)、RAM22上のログ情報をフラッシュメモリ23に書込み(S308)、書換えカウンタをN=N+1(S309)とする。その後、翌日への繰り越し可能回数としてR1=R−Nとする(S310)。
【0047】
フラッシュメモリ23に書き込まれるログ情報の一例を
図8(c)に示す。
図8(c)は、
図7のフローチャートで説明した当日の書換え上限に前日からの繰越し回数を加えてログ情報の書換えが行われていることを示す図である。
【0048】
なお本実施例では、書換えカウントの上限回数としてR=200をフラッシュメモリ23に書き込む上限回数としとしたが、これは任意の値に設定してもよいことはいうまでもない。
【0049】
上記する本実施例の構成とすることで、前日の書き込み可能な残り回数を当日のフラッシュメモリ23の書換えカウンタに加算することが可能となる。この構成により1日当たりのフラッシュメモリ23の書換え数の変動があった場合においても、総稼動期間におけるフラッシュメモリ23の書換え寿命を満足することが可能となる。
【0050】
[変形例]
上記する実施例1〜3の変形例について、以下説明をする。
【0051】
[変形例1]
実施例3では、前日の書込み可能な残り回数R1を当日のフラッシュメモリ23の書換えカウンタに加算をする構成で説明を行った。しかし、実施例2で説明したように、書換えカウンタの上限を超えて書換えを行う場合もある。この場合、前日の書込み可能な残り回数R1は負の値となる。
【0052】
従って、本変形例ではR1の値として負の値となっても対応可能な構成とする。この構成によれば、前日に書換え上限を超えた書換えが行われた場合でも、当日分から前日分の超えた書換え数が引かれる。そのため、フラッシュメモリ23の書換え数の変動が有った場合であっても、より、総稼動期間におけるフラッシュメモリ23の書換え寿命を満足することが可能となる。
【0053】
[変形例2]
実施例2、実施例3および変形例1では当日の書換え回数を超えた書換えや、前日の書換え状況により書換え回数が変動する構成について説明を行った。フラッシュメモリ23に書き込まれたログ情報は、必要なタイミングで保守員などがログ情報を取出し、状態監視装置1のタッチパネル付きディスプレイ11や別装置のディスプレイ、別途接続されるプリンタを介して紙などに出力される。
【0054】
そこで通常の書換え回数よりも変動し、記憶するログ情報を出力する際に、変動して記録された情報を通常の書換えられたログ情報と区別可能に出力してもよい。具体的には、
図8(b)(c)のようにフォントを変更する、或いは、太字にして強調する等をしてもよい。
【0055】
この構成とすることで、通常の書換えと区別することが可能となり、ATM2に発生した異常を素早く見分けることが可能となる。
【0056】
[変形例3]
各実施例および変形例では、フラッシュメモリ23への書換え回数の上限については当日に行われる書換えを対象として設定されていた。しかし、当日に書き換えらる上限を設定する以外にも、所定の期間(例えば、1週間)に書き換えられる回数を書換え回数の上限として設定してもよい。所定期間内に書換え回数の上限を設定することで、イベントが極端に多く発生した場合や、逆にあまり発生しなかった場合であっても柔軟に書換えを実施することができる。
【0057】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。