特許第6397877号(P6397877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6397877金属/空気電池用カソード及びこのようなカソードを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397877
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】金属/空気電池用カソード及びこのようなカソードを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/86 20060101AFI20180913BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20180913BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01M4/86 M
   H01M4/86 H
   H01M4/88 K
   H01M12/06 F
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-245109(P2016-245109)
(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公開番号】特開2017-117790(P2017-117790A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2016年12月19日
(31)【優先権主張番号】15201689.5
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】オルガ・ライナウアー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュタルダー
(72)【発明者】
【氏名】フレディ・チューリヒ
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−126777(JP,A)
【文献】 特表2010−515223(JP,A)
【文献】 特表2003−514367(JP,A)
【文献】 特開昭57−005272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86
H01M 4/88
H01M 4/96
H01M 12/06
H01M 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属/空気電池用のカソード(1)であって、
活性材料で作られ空気側(A)及び金属側(M)を有する少なくとも1つの活性層(2)と、
集電体(3)と、及び
疎水性材料で作られ前記活性層(2)の前記空気側(A)上に堆積された疎水性膜(4)とを有し、
前記疎水性材料は、多孔質構造を有し、
前記疎水性材料は、前記活性層(2)の前記空気側(A)に入り込み、前記疎水性膜(4)と前記活性層(2)の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーン(Z)を形成しており、
前記疎水性材料の前記多孔質構造は、固体のノードを相互に連結させる小繊維のマトリックス形態であり、
前記ノードと前記小繊維の間の空間が微視的な孔を形成している
ことを特徴とするカソード。
【請求項2】
前記疎水性膜は、0.2g/cm3〜0.5g/cm3の密度を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
前記微視的な孔は、30〜100μmの平均大きさを有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカソード。
【請求項4】
前記疎水性材料は、押し出された後に延伸されたフッ素化ポリマーである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカソード。
【請求項5】
前記相互侵入ゾーン(Z)における疎水性材料の濃度は、空気がカソードに入る方向において100%から0%まで変化し、
前記相互侵入ゾーン(Z)は、前記活性層の合計厚みの10〜25%の厚みにわたって延在している
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカソード。
【請求項6】
前記活性材料は、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの触媒及び導電性粒子を含有している
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカソード。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の金属/空気電池用のカソードを製造する方法であって、
(a)前記活性層(2)の活性材料をペースト状にて用意するステップと、
(b)前記ステップ(a)において得られたペーストを前記集電体(3)上に堆積するステップと、
(c)前記ステップ(b)において得られたペースト上に多孔質構造を有する疎水性材料で作られた疎水性膜(4)を堆積するステップと、
(d)前記ステップ(c)で得られたアセンブリーに圧力を与えて、前記疎水性膜(4)と前記活性層(2)の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーン(Z)を形成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ステップ(d)において与えられる圧力は、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力である
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載の金属/空気電池用のカソードを製造する方法であって、
(a’)前記活性層(2)の活性材料をペースト状にて用意するステップと、
(b’)前記ステップ(a’)で得られたペーストの第1の層を前記集電体(3)上に堆積するステップと、
(c’)前記ステップ(b’)で得られたアセンブリーに圧力を与えるステップと、
(d’)前記ステップ(c’)で得られたアセンブリーにペーストの第2の層を堆積するステップと、
(e’)前記ステップ(d’)で得られたペーストの第2の層の上に多孔質構造を有する疎水性材料で作られる疎水性膜(4)を堆積するステップと、
(f’)前記ステップ(e’)で得られたアセンブリーに圧力を与えて、前記疎水性膜(4)と前記活性層(2)の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーン(Z)を形成するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記ステップ(c’)で与えられる圧力は、250N/mm〜500N/mmの線形負荷に対応する圧力である
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(f’)で与えられる圧力は、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力である
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記カソードを乾燥させるステップを有する
ことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
金属/空気電池であって、前記金属ベースの少なくとも1つのアノードと、
請求項1〜6のいずれかに記載のカソードと、及び
電解質と
を有することを特徴とする金属/空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性材料で作られ空気側及び金属側を有する少なくとも1つの活性層と、集電体と、及び疎水性材料で作られ活性層の空気側上に堆積された疎水性膜とを有する金属/空気電池用のカソードに関する。また、本発明は、このようなカソードを製造する方法、及びこのようなカソードを有する金属/空気電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電池においては、一般的に、金属/空気電池用のカソードが用いられている。このカソードは、ケースに設けられた通気孔の下に位置しているディスク状である。一般的に、ケースとカソードの間に、エアディフューザ紙が配置されている。他のタイプの電池とは対照的に、金属/空気電池におけるカソードは、この電池がすぐに必要な量のみの電気活性材料(典型的には、酸素)を格納しており、その後で必要となる量は、通気孔を介して少しずつ外部から入って置き換わる。このために、カソードを非常に薄い細長材によって作ることができ、これによって、電池の体積の大部分をアノード(例、亜鉛/空気電池の場合には亜鉛)のために利用することができる。
【0003】
金属/空気電池用のカソードは、電池のケースから、触媒、大気及び電解質へと、電子をガイドする少なくとも1つの集電体(例、ニッケル網)と、及び酸素への電子の移動を補助する触媒とによって形成されており、この酸素は、還元されてヒドロキシドを形成して、電流を発生させる。このような触媒は、例えば、マンガンの酸化物である。
【0004】
金属/空気電池のカソードを作る際の困難さは、触媒が同時に集電体(固体)、空気(気体)及び電解質(液体)と接していなければならないということに起因している。可能な限り大きな表面においてこれらの三相を共存させることに成功するためには、特に複雑になってしまう。この問題を克服するために、空気、電解質及び触媒の間の境界を大きくして、電池のパワーを改善するための1つの解決策は、ある程度の疎水性をカソードに与えることを伴う。カソードの組成に疎水性添加剤を添加することによって、カソードの全体が電解質に浸されて、空気がカソード内に良好に入り込むための空間を確保することが可能になる。このために、典型的には、疎水性バインダーが用いられる。例えば、粉末又は水分散液の形態のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。このような疎水性バインダーを最適な濃度(典型的には、15〜20%)まで添加することによって、PTFEの濃度の関数として、カソードのパワーを大きくすることが可能になる。この最適な濃度を超えると電池のパワーが減少する。このようなパワーの減少は、カソード全体においてPTFEが均質に分散することに起因している。このような均質な分散は、導電率を減少させ(炭素粒子によって形成される網を浸透することに対するPTFEによる妨害による)、また、カソードにおける電解質の量を減少させるような影響を与える。
【0005】
空気、電解質及び触媒の間の境界を大きくするための別の手法は、多孔質構造を有するカソードを用いることを伴う。多孔質構造は、電解質と空気がカソード内に良好に入り込むことを可能にする。通常、このような多孔質構造は、導電性炭素(カーボンブラック、黒鉛など)の粒子のような様々な導電性粒子の混合物を用いることによって得られる。
【0006】
このようなカソードは、例えば、米国特許出願US2014/0308594に記載されている。この文献によると、カソードは、多孔質構造を有する活性層を有し、この活性層の孔隙率は、カソードの空気側から金属側に移るにしたがって減少する。均質な多孔質構造ではなく活性層の厚みにおいて孔隙率の勾配がある活性層を得ることを可能にする様々な製造方法が記載されている。この孔隙率の勾配は、カソードの活性層の材料の生来的な孔隙率の変化に起因している。これは、カソードの製造時に制御される。
【0007】
また、フランス特許FR2785093も、カソードについて記載している。このカソードの活性層には孔があり、黒鉛粒子を有し、このカソードの平均大きさは、活性層の孔の平均直径よりも大きい。カソードは、さらに、活性層の空気側に堆積された疎水性膜である拡散層を有する。この疎水性膜は、延伸されたポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られているGore−Tex(登録商標)タイプのものである。カソードは、ペーストの形態で活性層を用意することによって得られ、そして、そのペーストが集電体の一方の面に広げられる。他方の面には、Gore−Tex(登録商標)タイプの膜が堆積される。そして、カソードは、乾燥され圧縮される。このカソードにおいて、疎水性膜は、その構造のために一定の厚みを維持しており、その唯一の役割は、カソードの面の疎水性を高めて、浸漬に対する耐久性を向上させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、金属/空気電池、特に、亜鉛/空気電池は、聴覚装具において用いられている。なぜなら、商用電池の中でエネルギー密度が最も高いからである。この用途においては、金属/空気電池を毎週交換しなければならず、したがって、それらの寿命に対しては最適化されていないが、それらのパワーに対しては最適化されている。しかし、一次電池に対してピーク電流が非常に高くなる接続機能付き腕時計のような用途においては、パワーが大きい電池を利用可能にすることが必要である。金属/空気電池のパワーがそのカソードによって抑制されるので、電池のパワーを大きくし、かつ、時間が経過しても電池のパワーがわずかしか減少しないようなカソードを開発して、時計製造の用途のために有用になるようにすることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、活性材料で作られ空気側及び金属側を有する少なくとも1つの活性層と、集電体と、及び疎水性材料で作られ活性層の空気側上に堆積された疎水性膜とを有する金属/空気電池用のカソードに関する。
【0010】
本発明によると、前記疎水性材料は、多孔質構造を有し、活性層の空気側に入り込み、疎水性膜と活性層の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーンを形成している。
【0011】
また、本発明は、前記のような金属/空気電池用のカソードを製造する様々な方法に関する。
【0012】
また、本発明は、前記金属ベースの少なくとも1つのアノードと、前記カソードと、及び電解質とを有する金属/空気電池に関する。
【0013】
空気がカソードに入る方向において減少する疎水性材料の濃度勾配がある活性材料が疎水性材料に入り込んでいる相互浸透ゾーンによって、疎水性材料の量、したがって、活性層の空気側の疎水性、を局所的に増加させ、活性層の空気側から離れるにしたがって、疎水性材料の量、したがって、疎水性を減少させることができる。活性層の空気側の疎水性の局所的な増加には、電解質と触媒の両方に接触する空気の体積を増加させる効果がある。したがって、固体/液体/気体の三相の間の接触面が大きくなる。そして、活性層の空気側から離れるにしたがって疎水性が減少することによって、空気の量を減少させることができ、このことは、電解質の量を増加させるために有利である。この構成は、カソードに最適である。なぜなら、電池のパワーは、カソードとアノードの間を電解質によって輸送可能なアニオンの量に依存し、このアニオンの量が厚みに応じて増加するからである。
【0014】
本発明の実施形態についての以下の説明を読み、添付図面を参照することで、本発明の他の特徴及び利点が明確になるであろう。なお、これらは単なる例であり、これらには制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る電池の部分的な断面図である。
図2】本発明に係るカソードの断面の実体顕微鏡画像である。
図3】従来技術に係る電池の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び2を参照する。本発明は、金属/空気電池用のカソード1に関し、これは、活性材料で作られ空気側A及び金属側Mを有する少なくとも1つの活性層2を有する。本発明のカソードの活性層2は、まったく標準的なものであり、当業者に知られている。したがって、この活性層の詳細な説明は不必要である。活性層が多孔質構造を有することが好ましいことのみを説明する。さらに、活性層の活性材料は、既知の形態で、少なくとも1つのバインダー、少なくとも1つの触媒及び導電性粒子を有する。これらによって、多孔質構造を得ることが可能になる。バインダーは、好ましくは、疎水性バインダーであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は他の適切な疎水性バインダーである。触媒は、貴金属や金属酸化物から選ぶことができる。好ましくは、触媒は、マンガンの酸化物Mn23又は他の適切な触媒である。導電性粒子は、好ましくは、カーボンブラック又は黒鉛の粒子のような様々な導電性炭素の混合物である。活性層2を複数の層状に堆積することができる。
【0017】
また、カソードは、既知の形態で、集電体3を有する。これは、例えば、グリル、網、ムース又は導電性フェルトであり、例えば、ニッケルのグリルやムースである。
【0018】
また、カソードは、疎水性材料内に作られ活性層の空気側上に堆積された疎水性膜4を有する。
【0019】
本発明によると、疎水性材料は、多孔質構造を有し、活性層2の空気側Aに入り込み、疎水性膜4と、活性層2の空気側Aの間に、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーンZを形成する。この相互侵入ゾーンZにおいては、空気がカソードに入る方向(すなわち、空気側Aから金属側Mへの方向)において減少するような疎水性材料の濃度勾配がある。
【0020】
したがって、相互侵入ゾーンZにおける疎水性材料の濃度が、空気がカソードに入る方向において100%から0%まで変化し、この相互侵入ゾーンZは、活性層の合計厚みの10〜25%の厚みにわたって延在している。
【0021】
好ましいことに、疎水性膜4の疎水性材料の多孔質構造は、固体のノードを相互に連結させる非常に薄い小繊維のマトリックス形態であり、ノードと小繊維の間の空間は、30μm〜100μm、好ましくは、50μm〜80μmの平均大きさの微視的な孔を形成している。
【0022】
好ましくは、疎水性膜4は、0.2g/cm3〜0.5g/cm3の密度を有する。
【0023】
特に好ましい形態において、疎水性材料は、押し出された後に延伸されたフッ素化ポリマーである。特に、疎水性膜4の疎水性材料は、押し出された後に延伸されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作られている。疎水性膜4は、例えば、Zeus Inc.によって販売されているAeos(登録商標)膜である。使用する前の疎水性膜の厚みは、0.2mm〜5mm、好ましくは、0.5〜5mm、さらに好ましくは、0.5mm〜2mmである。
【0024】
また、本発明は、同様に、上記の金属/空気電池用のカソードを製造する方法の第1の変形実施形態に関する。この方法は、以下のステップを有する。
(a)例えば、活性材料の様々な成分を液体内で混合することによって、ペースト状の活性層の活性材料を用意するステップと、
(b)前記ステップ(a)において得られたペーストを集電体上に堆積するステップと、
(c)疎水性材料で作られ前記のように多孔質構造を有する疎水性膜を前記ステップ(b)で得られたペースト上に堆積するステップと、
(d)好ましくは、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力、すなわち、3MPaの圧力、を前記ステップ(c)で得られたアセンブリーに与えて、前記疎水性膜と前記活性層の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーンZを形成するステップとである。
【0025】
本発明は、同様に、上記のような金属/空気電池用のカソードを製造する方法の第2の変形実施形態に関する。これは、以下のステップを有する。
(a’)例えば、活性材料の様々な成分を液体において混合することによって、ペースト状の活性層の活性材料を用意するステップと、
(b’)前記ステップ(a’)で得られたペーストの第1の層を集電体に堆積するステップと、
(c’)好ましくは、250N/mm以上の線形負荷に対応する圧力、すなわち、5MPa以上の圧力、より好ましくは、250N/mm〜500N/mmの線形負荷に対応する圧力、を前記ステップ(b’)で得られたアセンブリーに与えるステップと、
(d’)前記ステップ(c’)で得られたアセンブリーにペーストの第2の層を堆積するステップと、
(e’)前記ステップ(d’)で得られたペーストの第2の層上に、前記のように多孔質構造を有する疎水性材料で作られた疎水性膜を堆積するステップと、
(f’)好ましくは、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力、すなわち、3MPaの圧力、を前記ステップ(e’)で得られたアセンブリーに与えて、疎水性膜と活性層の間に、空気がカソードに入る方向において疎水性材料が減少する濃度勾配がある、活性材料に疎水性材料が入り込んだ相互侵入ゾーンZを形成するステップとである。
【0026】
ペースト状の活性層を用いることによって、乾燥しているときに押されるカソードよりも、前記活性層を圧力の下で容易に変形させることができる。
【0027】
好ましくは、前記ステップ(d)、(c’)及び(f’)における圧力の付与は、圧延プロセスによって行われ、圧延ステップは、好ましいことに、ローラーミルによって行うことができる。
【0028】
好ましくは、本発明に係る方法はそれぞれ、前記ステップ(d)又は(f’)の後に得られたカソードを乾燥するステップを有する。この乾燥は、好ましくは、真空にて行う。乾燥の後に、カソードは、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力、すなわち、3MPaの圧力で、再度圧延される。
【0029】
本発明のカソードにおいて、ペースト状の活性層及び大きな小繊維性の孔を有する特定の形態の疎水性膜を用いることの結果、一方では、この方法を用いることで疎水性膜に圧力を与えることが可能になって、活性層上に前記疎水性膜を構成し、他方では、図1及び2に示すように、疎水性膜4の疎水性材料がカソードの活性層2に入り込み、相互侵入ゾーンZ及び疎水性材料の濃度勾配を発生させる。図3に示すような従来技術の電池のカソード1’において、活性層2’に堆積された疎水性膜4’は、活性層2’の表面上に留まる(また、この電池の他の要素の参照符号は同じままである)。これによって、バインダーとしてのPTFEの分散は均質なままである。
【0030】
疎水性膜4は、カソード1上に圧延されると、大きく圧縮される。これによって、標準として用いられる疎水性膜のように、疎水性膜4は0.1mm以下の厚みしか付加しなくなる。したがって、カソードの厚みを増加させるリスク及び電池に格納することができるエネルギーを減少させるリスクはない。さらに、圧延された疎水性膜の孔隙率は、1/10以下に減少し、これによって、乾燥/浸漬によるエージングは、標準電池のものと同様なままである。
【0031】
本発明は、同様に、前記金属ベースの少なくとも1つのアノード6、上記のようなカソード及び電解質を有する金属/空気電池に関する。
【0032】
アノードは、Li、Na、Mg及びZnのような金属ベースであることができる。好ましくは、アノードは、亜鉛粉末ベースで作られる。
【0033】
電解質は、例えば、KOHの溶液である。
【0034】
また、電池は、カソードとアノードの間に配置されたセパレーター8を有する。例えば、セルロースで作られたセパレーターが用いられる。電解質は、セパレーター、アノード及びカソードを湿らせる、
【0035】
金属/空気電池は、好ましくは、ボタン電池の形態であり、疎水性膜側のカソードをケースの開口に対向するように配置することによって組み立てられる。カソードと電池のカバーとの間に、エアディフューザを配置することができる。また、電池には、シール接合部がある。
【0036】
本発明によって得られる電池には既知の電池と比較して短所がない。これに対して、標準電池と比べて約10%パワーが改善されるという利点がある。実際に、大きな小繊維性の孔を有する特定の形態の疎水性膜を用いて、相互侵入ゾーンZ及び疎水性材料の濃度勾配を発生させることによって、変化する形態の三次元の疎水性マトリックスを作り、したがって、カソードの活性層における気体/液体/固体の接触面を大きくすることが可能になる。
【0037】
以下の例は、本発明について、その範囲を制限せずに示している。
【0038】
カソードの活性材料に対応するペーストは、重量%で、水に分散した25%のMn23、51%の黒鉛、15%のカーボンブラック及び9%のPTFEを混合することによって作られる。15重量%の固体材料による分散を得るためにエタノールが加えられる。これを磁気撹拌器によって混合する。得られた混合物は、5〜20mmの直径のSiO2めのう大理石でできたプラネタリーグラインダーの粉砕容器に入れられる。この混合物は、グラインダーの種類及び粉砕条件に適合する回転速度と粉砕時間で、プラネタリーグラインダーにおいて粉砕される。また、大理石の大きさ及び回転速度を変えることによって、粉砕をいくつかのステップにて行うことができる。粉砕の分散分は、真空下でフィルタリングされ、そして、固体材料が回復する。固体材料は、ペースト状であり、これは、適宜練ることができる。
【0039】
1ステップでの圧延
ペーストがニッケルグリルに配置される。疎水性膜がペースト上に配置される。このアセンブリーは、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力、すなわち、3MPa以下の圧力、を用いてローラーミルで圧延される。
【0040】
2ステップでの圧延
ペーストがニッケルグリル上に配置される。ペーストは、250N/mm以上の線形負荷に対応する圧力、すなわち、少なくとも5MPaの圧力、を用いてローラーミルで圧延される。与えることができる圧力の最大値は、375N/mmの線形負荷に対応する圧力、すなわち、7.5MPaの圧力である。ペーストの第2の層が圧延部分の上に配置される。疎水性膜が上に配置される。このアセンブリーは、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力、すなわち、3MPaの圧力、を用いてローラーミルで圧延される。
【0041】
用意されたカソードは、90℃で16時間真空下で乾燥される。乾燥の後に、150N/mm以下の線形負荷に対応する圧力でカソードを再度圧延することができる。
【0042】
用意されたカソードを用いて、「ボタン」タイプの亜鉛空気電池が組み立てられる。アノードは、亜鉛粉末で作られており、電解質は、9M KOHの溶液であり、セパレーターは、セルロースで作られている。
【0043】
比較例として、粉末を圧縮することで製造された標準カソードを用いる同様な電池が作られた。
【0044】
カソードの直径は、19mmである。
【0045】
結果
本発明に係るペースト及び疎水性膜で作られ本発明の方法に係るステップで圧延されたカソードを備える亜鉛空気電池は、68mWのパワーであり、標準カソード及び疎水性膜を有する電池は、60mWのパワーである。すなわち、13%を超える量のパワーが増大したことになる。
【符号の説明】
【0046】
1 カソード
2 活性層
3 集電体
4 疎水性膜
6 アノード
8 セパレーター
A 空気側
M 金属側
Z 相互侵入ゾーン
図1
図2
図3