特許第6397891号(P6397891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397891高い水性相含有率、液体粘稠度を有し、かつ貯蔵時に安定な新規な油中水型エマルション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397891
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】高い水性相含有率、液体粘稠度を有し、かつ貯蔵時に安定な新規な油中水型エマルション
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/14 20060101AFI20180913BHJP
   C08L 33/24 20060101ALI20180913BHJP
   C08L 5/00 20060101ALI20180913BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20180913BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/84 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180913BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180913BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20180913BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20180913BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20180913BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   C08L33/14
   C08L33/24
   C08L5/00
   C08L71/02
   C08K5/05
   A61K8/81
   A61K8/84
   A61K8/92
   A61K8/02
   A61Q19/00
   A61Q5/00
   A61Q5/02
   A61Q19/10
   A61K8/73
   A61K8/34
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-507025(P2016-507025)
(86)(22)【出願日】2014年3月21日
(65)【公表番号】特表2016-518486(P2016-518486A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】FR2014050668
(87)【国際公開番号】WO2014167200
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】1353352
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】エマニエル ムラ
(72)【発明者】
【氏名】セヴェリーヌ シグラニ
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02910899(FR,A1)
【文献】 特表2008−524368(JP,A)
【文献】 特表2008−506805(JP,A)
【文献】 特表2013−504645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/14
C08L 33/24
C08L 5/00
C08L 71/02
C08K 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型エマルションの形態の組成物(E)であって、その質量100%に対して、
60質量%〜98質量%の水性相(A)であって、その質量100%に対して、少なくとも1つの架橋剤の存在下における、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマー、及び式(I):
【化1】
(式中、Rは、8個〜20個の炭素原子を含む線形又は分枝状のアルキルラジカルを表し、nは、1以上かつ20以下の整数を表す)の少なくとも1つのモノマーとの重合により得られる、0.05質量%〜1.65質量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)を含む、水性相(A)と、
2質量%〜40質量%の脂肪相(A)であって、その質量100%に対して、1.25質量%〜50質量%の乳化系(S)と;50質量%〜98.75質量%の少なくとも1つの油、及び任意に少なくとも1つのワックスとを含む、脂肪相(A)と、
を含み、
前記組成物(E)において、前記乳化系(S)が、
式(II):
−O−(G)−H (II)
(式中、xは1.05〜2.5の小数点を含む数を表し、Gはキシロース残基を表し、Rは2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、アルキルポリグリコシド組成物(C)であって、
+a+a+a+aの合計が1に等しく、かつ、
+2a+3a+4a+5aの合計がxに等しいような各モル分率a、a、a、a及びaにおける、式(II)、(II)、(II)、(II)及び(II):
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
により表される化合物の混合物からなる、アルキルポリグリコシド組成物(C)からなるか、又は、
組成物(C)であって、その質量100%に対して、
10質量%〜50質量%の上記で定義した少なくとも1つの組成物(C)と、
式(III):
R’−OH (III)
(式中、R’は2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、90質量%〜50質量%の少なくとも1つの脂肪アルコールと、
を含む組成物(C)からなるか、又は、
組成物(C)であって、その質量100%に対して、
15質量%〜25質量%の上記で定義した少なくとも1つの組成物(C)と、
式(III):
R’−OH (III)
(式中、R’は2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、55質量%〜65質量%の少なくとも1つの脂肪アルコールと、
式(VI):
【化2】
(式中、yは、2以上かつ50以下の整数を表し、Rは、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Zは式(VII):
【化3】
(式中、y’は、0以上かつ10以下の整数を表す)のラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式(VII)のラジカル、又は水素原子を表す)により表される、10質量%〜30質量%の少なくとも1つのポリグリコールポリヒドロキシステアレートと、
を含む組成物(C)からなる、ことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
組成物(E)であって、その質量100%に対して、
60質量%〜98質量%の水性相(A)であって、その質量100%に対して、架橋
剤の存在下における、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマー、及び式(I)のモノマーとの重合により得られる、0.05質量%〜1.65質量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)を含む、水性相(A)と、
2質量%〜40質量%の脂肪相(A)であって、その質量100%に対して、1.25質量%〜50質量%の前記乳化系(S)と;50質量%〜98.75質量%の油、及び任意にワックスとを含む、脂肪相(A)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物(E)であって、前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、その構成モノマー100mol%に対して、
20mol%〜80mol%の、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15mol%〜75mol%の、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位と、
0.5mol%〜5mol%の、式(I)の少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物(E)であって、前記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物(E)であって、式(I)の前記モノマーがテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物(E)であって、前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、アンモニウム塩形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートとの、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されるターポリマーであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物(E)であって、前記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、100mol%に対して、
60mol%〜80mol%の、アンモニウム形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15mol%〜39.5mol%の、N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位と、
0.5mol%〜5mol%の、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物(E)であって、発泡性及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定化剤、成膜化合物、溶媒及び共溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、乳化剤及び乳化助剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、抗酸化剤、フレグランス、精油、保存料、品質改良剤、消臭剤、体毛及び皮膚を脱色する漂白剤、皮膚又は毛髪上の処置作用及び/又は保護作用をもたら
す有効成分、サンスクリーン剤、無機フィラー又は顔料、視覚効果をもたらす又は活性薬剤の封入を対象とする粒子、角質除去粒子、テクスチャ剤、光学的光沢剤及び防虫剤から選ばれる、1つ又は複数の補助的な化合物も含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物(E)であって、Brookfield LVT粘度計を用いて6rpmの速度において20℃の温度で測定されるその動粘度が、500mPa・s以上、かつ40000mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物(E)の使用であって、皮膚、毛髪及び/又は粘膜の化粧処置のための、使用。
【請求項11】
皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜に対する洗浄、保護及び/又はケアのための、請求項10に記載の組成物(E)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型エマルションの形態の新規な組成物、また、化粧品、医薬品、繊維産業及び製紙産業におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、皮膚化粧品、皮膚医薬品及び医薬品の組成物は、水溶液、エマルション又は粉末の形態であってもよい。エマルションは、これらの用途において一般に使用される水溶性物質と脂溶性物質とを両方とも導くことを可能とすることから、特に好ましい形態である。連続相が親油性脂肪相に分散する親水性相、包括的に水性相からなる水中油(O/W)型エマルションと、連続相が親水性相、包括的に水性相に分散する親油性脂肪相からなる油中水(W/O)型エマルションとに区別される。
【0003】
元来、水中油型エマルションが油中水型エマルションよりも安定であるが、油中水型エマルションは多くの利点を有する。具体的には、水滴同士間の分離によって、微生物の増殖の可能性が低減される。さらに、連続相が水性である場合に不可欠な保存料の使用を、連続相が脂肪性であるために避けるか、又は減らすことができる。油中水型エマルションは、水中油型エマルションよりもずっと低い温度に感応性でない。最後に、油性連続相は、油中水型エマルションの塗布後に皮膚を被覆することを可能とし、持続的な油性膜を形成することによって皮膚を脱水及び外部物質から保護する。
【0004】
特許文献1は、ポリシロキサンポリアルキルポリエーテルコポリマーとフタル酸無水物誘導体(モノアミド)との2成分乳化系で安定化される油中水型エマルションを開示している。それらは、油性相への水性相の段階的な添加によって製造され、これらの2つの相は予め71℃〜74℃(160°F〜165°F)にされているものとする。
【0005】
特許文献2は、乳児用含浸性ワイプに使用することが特に意図され、使用される乳化剤が、炭化水素で置換されるカルボン酸タイプのものであるか、又は12−ヒドロキシステアリン酸及びエチレングリコール等のモノマーを伴うABA「ブロック」コポリマー、若しくはアルキルジメチコンコポリオールである油中水型エマルションを開示している。
【0006】
特許文献3は、質量100%に対して、架橋高分子電解質が相中に存在することによってゲル化される60質量%〜98質量%の水性相を含む、油中水型エマルションの製造を開示している。
【0007】
しかしながら、得られるエマルションは十分に流体であるとは言えず、十分に持続する油性膜も皮膚にもたらさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,746,945号
【特許文献2】国際公開第97/40814号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1459801号
【発明の概要】
【0009】
これが、本発明者らが、貯蔵後も最低3ヶ月室温で均一な状態にあり、好適なスピンドルを備えるBrookfield LV(商標)粘度計を用いて6rpmの速度において
測定されるその動粘度が20℃で500mPa・s〜40000mPa・sであり、この動粘度が貯蔵の僅か7日後に同じ条件下で測定される動粘度よりも75%小さくなく、その粘稠度の判定基準が皮膚へのその塗布前に「液体」と評価され、この評価が本明細書の実験セクションのパラグラフII−2.3.1に記載されるプロトコルに従って行われ、及び/又は、本明細書の実験セクションのパラグラフII−2.3.2に記載される実験条件下で測定されるそのフロー閾値が40Paよりも厳密に小さい、上述の欠点を有しない新規なW/O型エマルションを開発しようとしてきた理由である。したがって、第1の態様によれば、本発明の主題は、油中水型エマルションの形態の組成物(E)であって、その質量100%に対して、
60質量%〜98質量%の水性相(A)であって、その質量100%に対して、少なくとも1つの架橋剤の存在下における、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマー、及び式(I):
【化1】
(式中、Rは、8個〜20個の炭素原子を含む線形又は分枝状のアルキルラジカルを表し、nは、1以上かつ20以下の整数を表す)の少なくとも1つのモノマーとの重合により得られる、0.05質量%〜1.65質量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)を含む、水性相(A)と、
2質量%〜40質量%の脂肪相(A)であって、その質量100%に対して、アルキルポリグリコシド組成物、アルキルポリグリコシド及び脂肪アルコール組成物、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリグリコールポリヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリヒドロキシステアレート、アルコキシル化ポリグリセロールポリヒドロキシステアレート、ポリエチレングリコール−アルキルグリコールコポリマーから選択される1つ又は複数の乳化界面活性剤(emulsifying surfactants)を含む、1.25質量%〜50質量%の乳化系(S)と;50質量%〜98.75質量%の少なくとも1つの油、及び任意に少なくとも1つのワックス(蝋)とを含む、脂肪相(A)と、
を含むことを特徴とする、組成物である。
【0010】
「油」という用語は、本発明の主題である組成物(E)の定義において、水に不溶性でありかつ25℃で液体の化合物又は化合物の混合物、より詳細には、
流動パラフィン、液状ワセリン、イソパラフィン又はホワイトミネラルオイル等の鉱油;
スクアレン又はスクワラン等の動物由来の油;
植物スクワラン(phytosqualane)、スイートアーモンド油、コプラ油、ひまし油、ホホバ油、オリーブ油、ナタネ油、落花生油、ヒマワリ油、麦芽油、トウモロコシ胚芽油、ダイズ油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、パンプキンシードオイル(pumpkin oil)、月見草油(evening primrose oil)、キビ油(millet oil)、オオムギ油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイ油、パッションフラワー油、ヘーゼルナッツ油、パーム油、シアバター、杏仁油、ヤラボ油(beauty-leaf oil)、シシンブリウム油(sisymbrium oil)、アボカド油、キンセンカ油、及び花又は植物に由来する油等の植物油;
エトキシル化植物油;
合成油、例えば、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステア
リン酸ブチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸ドデシル、ラウリン酸ヘキシル、又はプロピレングリコールジカプリレート等の脂肪酸エステル、イソプロピルラノレート(lanolate)又はイソセチルラノレート等のラノリン酸をベースとするエステル、グリセロールトリヘプタノエート又はアルキルベンゾエート等の脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、硬化油、ポリ(α−オレフィン)又はポリ(イソブテン)等のポリオレフィン、イソヘキサデカン又はイソドデカン等の合成イソアルカン、並びに過フッ化油(perfluoro oils);
シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミンで修飾されたシリコーン、脂肪酸で修飾されたシリコーン、アルコールで修飾されたシリコーン、アルコール及び脂肪酸で修飾されたシリコーン、ポリエーテル基で修飾されたシリコーン、エポキシ修飾シリコーン、フッ化基で修飾されたシリコーン、環状シリコーン、及びアルキル基で修飾されたシリコーン、
を示すものである。
【0011】
上記に規定される組成物(E)がワックスを含む場合、このワックスは、蜜ワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オウリキュリー(ouricury)ワックス、和ワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、亜炭ワックス、マイクロクリスタリンワックス又はラノリンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物ワックス;室温で固体である脂肪アルコール及び脂肪酸;室温で固体であるグリセリドから特に選ばれる。
【0012】
「架橋アニオン性高分子電解質(P)」という用語は、本発明の主題である組成物(E)の定義において、水に不溶性であるが、水に膨潤性であり、かつ化学ゲルの製造をもたらす、三次元網目構造の形態の非線形架橋アニオン性高分子電解質を示すものである。
【0013】
「特に塩化されたか又は完全に塩化された」という用語は、上記に規定される組成物(E)中に存在する架橋アニオン性高分子電解質(P)の定義において、上記2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸が、特にアルカリ金属塩形態、例えばナトリウム塩又はカリウム塩の形態、又はアンモニウム塩形態で、部分的に又は完全に塩化されることを意味するものである。
【0014】
「アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマー」という用語は、本発明の主題である組成物(E)の定義において、より詳細には、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド又はN,N−ジイソプロピルアクリルアミドを示すものである。
【0015】
本発明の特定の態様によれば、先に規定される組成物(E)は、その質量100%に対して、
60質量%〜98質量%の水性相(A)であって、その質量100%に対して、架橋剤の存在下における、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる中性モノマー、及び式(I):
【化2】
(式中、Rは、8個〜20個の炭素原子を含む線形又は分枝状のアルキルラジカルを表し、nは、1以上かつ20以下の整数を表す)のモノマーとの重合により得られる、0.05質量%〜1.65質量%の架橋アニオン性高分子電解質(P)を含む、水性相(A)と、
2質量%〜40質量%の脂肪相(A)であって、その質量100%に対して、アルキルポリグリコシド組成物、アルキルポリグリコシド及び脂肪アルコール組成物、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリグリコールポリヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリヒドロキシステアレート、アルコキシル化ポリグリセロールポリヒドロキシステアレート、ポリエチレングリコール−アルキルグリコールコポリマーから選択される1つ又は複数の乳化界面活性剤を含む、1.25質量%〜50質量%の乳化系(S)と;50質量%〜98.75質量%の油、及び任意にワックスとを含む、脂肪相(A)と、
を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の特定の態様によれば、上記に規定される組成物(E)において、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、その構成単位100mol%に対して、5mol%〜95mol%、より詳細には10mol%〜90mol%、最も詳細には20mol%〜80mol%の、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位を含む。
【0017】
本発明の別の特定の態様によれば、上記に規定される組成物(E)において、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、その構成モノマー100mol%に対して、4.9mol%〜90mol%、より詳細には9.5mol%〜85mol%、最も詳細には15mol%〜75mol%の、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位を含む。
【0018】
本発明の別の特定の態様によれば、本発明の主題である組成物(E)において、先に規定される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、その構成モノマー100mol%に対して、0.1mol%〜10mol%、より詳細には0.5mol%〜5mol%の、式(I)のモノマーに由来するモノマー単位を含む。
【0019】
本発明の主題はより詳細には、先に規定される組成物(E)であって、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、その構成モノマー100mol%に対して、
20mol%〜80mol%の、部分的に又は完全に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15mol%〜75mol%の、アルキル基がそれぞれ1個〜4個の炭素原子を含むN,N−ジアルキルアクリルアミドから選ばれる少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位と、
0.5mol%〜5mol%の、式(I)の少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、組成物である。
【0020】
本発明の主題である組成物(E)に含まれる上記架橋アニオン性高分子電解質(P)中に存在する式(I)のモノマーにおいて、「8個〜20個の炭素原子を含む線形又は分枝状のアルキルラジカル」という用語はより詳細には、Rについて、
線形第一級アルコールに由来するラジカル、例えば、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル若しくはエイコシルラジカル;
又は、一般式:
CH−(CH−CH[CH−(CHp−2]−CHOH
(式中、pは2〜9の整数を表す)に対応する分枝状1−アルカノールである、ゲルべ(Guerbet)アルコールに由来するラジカル、例えば、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル、2−ブチルオクチル、2−ペンチルノニル、2−ヘキシルデシル若しくは2−オクチルドデシルラジカル;
又は、一般式:
CH−CH(CH)−(CH−CHOH
(式中、mは2〜16の整数である)に対応するイソアルカノールに由来するラジカル、例えば、4−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、15−メチルペンタデシル若しくは16−メチルヘプタデシルラジカル、若しくは2−ヘキシルオクチル、2−オクチルデシル若しくは2−ヘキシルドデシルラジカル;
を示すものである。
【0021】
別の特定の態様によれば、先に規定される組成物(E)は、上記中性モノマーがN,N−ジメチルアクリルアミドであることを特徴とする。
【0022】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、かつ先に規定される式(I)の上記モノマーについて、Rが12個〜18個の炭素原子を含むアルキルラジカルを表すことを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0023】
更に特定の態様によれば、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、かつ先に規定される式(I)の上記モノマーについて、Rが、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルラジカルからなる群の要素から選ばれるアルキルラジカルを表すことを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0024】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、かつ先に規定される式(I)の上記モノマーについて、nが、3以上かつ20以下の整数を表すことを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0025】
更に特定の態様によれば、先に規定される組成物(E)は、式(I)の上記モノマーがテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートであることを特徴とする。
【0026】
別の更に特定の態様によれば、本発明の主題は、先に規定される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)において、式(I)の上記モノマーが、エイコサエトキシエル化ステアリルメタクリレートであることを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0027】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、使用されるモノマーに対して表されるモル分率が0.005mol%〜1mol%、より詳細には0.01mol%〜0.5mol%、最も詳細には0.01mol%〜0.25mol%となるようなジエチレン系又はポリエチレン系化合物で先に規定される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)を架橋することを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。架橋剤はより詳細には、エチ
レングリコールジメタクリレート、テトラアリルオキシエタン、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメチレンビス(アクリルアミド)、又はこれらの化合物の混合物から選ばれる。
【0028】
本発明の主題である組成物(E)に使用される架橋アニオン性高分子電解質(P)はまた、錯化剤、連鎖移動剤(transfer agents)又は連鎖制限剤(chain-limiting agents)等の様々な添加剤を含んでいてもよい。連鎖移動剤又は連鎖制限剤はより詳細には、次亜リン酸ナトリウム、低分子量アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、チオール、例えば2−メルカプトエタノール、硫酸官能基を含む連鎖移動剤、例えばメタリルスルホン酸ナトリウム、又は上記連鎖移動剤の混合物からなる群から選ばれる。連鎖移動剤又は連鎖制限剤はより詳細には、0.001mol%〜1mol%、より詳細には0.001mol%〜0.5mol%、最も詳細には0.001mol%〜0.1mol%の使用されるモノマーのモルの総数に対して表されるモル分率で使用される。
【0029】
特定の態様によれば、本発明の主題は、先に規定される上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、アンモニウム塩形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートとの、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されるターポリマー、又は、アンモニウム塩形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、エイコサエトキシエル化ステアリルメタクリレートとの、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されるターポリマーから選ばれることを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0030】
より特定の態様によれば、本発明の主題は、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、アンモニウム塩形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸と、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートとの、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されるターポリマーであることを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0031】
別のより特定の態様によれば、本発明の主題は、先に規定される組成物(E)であって、上記架橋アニオン性高分子電解質(P)が、100mol%に対して、
60mol%〜80mol%の、アンモニウム形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸に由来するモノマー単位と、
15mol%〜39.5mol%の、N,N−ジメチルアクリルアミドに由来するモノマー単位と、
0.5mol%〜5mol%の、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位と、
を含むことを特徴とする、組成物である。
【0032】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「アルキルポリグリコシド組成物」という用語は、式(II):
−O−(G)−H (II)
(式中、xは、1.05〜5の小数点を含む数(decimal number)を表し、Gは還元糖残基を表し、Rは、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意に置換される、12個〜36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカルを表す)により表される組成物(C)であって、
+a+a+a+aの合計が1に等しく、かつ、
+2a+3a+4a+5aの合計がxに等しいような各モル分率a、a、a、a及びaにおける、式(I)、(I)、(I)、(I)及び(I):
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
により表される化合物の混合物からなる、組成物(C)を示すものである。
【0033】
「1つ又は複数のヒドロキシル基で任意に置換される、12個〜36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカル」という用語は、上記に規定される式(II)中のラジカルRについて、
飽和線形アルキルラジカル、例えば、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル又はn−ドコシルラジカル;
不飽和線形ラジカル、例えば、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、へプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ドコセニル、4−ドデセニル又は5−ドデセニルラジカル;
1つ又は2つのヒドロキシル基で置換される、12個〜36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の脂肪族ラジカル、例えば、ヒドロキシドデシル、ヒドロキシテトラデシル、ヒドロキシヘキサデシル、ヒドロキシオクタデシル、ヒドロキシエイコシル又はヒドロキシドコシルラジカル、例えば12−ヒドロキシオクタデシルラジカル;
式(1):
(CH)(CH)CH−(CH−CH−OH (1)
(式中、rは8〜20の整数を表す)のイソアルカノールに由来するラジカル、例えば、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソペンタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソエイコシル又はイソドコシルラジカル;
式(2):
CH(C2s+1)(C2t+1)−CH−OH (2)
(式中、tは6〜18の整数であり、sは4〜18の整数であり、s+tの合計は、10以上かつ22以下)のゲルベアルコールに由来する分枝状アルキルラジカル、例えば2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル又は2−テトラデシルオクタデシルラジカル;
を示すものである。
【0034】
特定の態様によれば、上記に規定される式(II)の定義において、Rは、12個〜24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカルを表す。
【0035】
「還元糖」という用語は、上記に規定される式(II)の定義において、参考文献:Biochemistry, Daniel Voet/Judith G. Voet, p. 250, John Wyley & Sons, 1990に定義されるように、アノマー炭素と、アセタール基の酸素との間に設けられるグリコシド結合をそれらの構造中に有さない糖誘導体を示すものである。オリゴマー構造(G)は、光学異性、幾何異性又は位置異性からなるかを問わず、あらゆる異性形態とすることができ、それは異性体の混合物を表すものであってもよい。
【0036】
上記に規定される式(II)中、R−O−基は、アセタール官能基を形成するように、糖残基のアノマー炭素を介してGと結合する。
【0037】
特定の態様によれば、上記に規定される式(II)の定義において、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドース、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セロビオース、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストラン及びタロース(tallose)から選ばれる還元糖の残基を表しており、より詳細には、Gは、グルコース、キシロース及びアラビノース残基から選ばれる還元糖残基を表している。
【0038】
更に特定の態様によれば、本発明の主題である組成物(E)に含まれる組成物(C)を表す式(II)の定義において、xは、1.05以上かつ2.5以下、より詳細には、1.05以上かつ2.0以下、更に詳細には、1.25以上かつ2.0以下の小数点を含む数を表す。
【0039】
更に特定の態様によれば、上記に規定される式(II)の定義において、Rは、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、n−ドコシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル及び2−デシルテトラデシルラジカルからなる群の要素の少なくとも1つから選ばれるラジカルを表しており、Gは、グルコース及びキシロース残基から選ばれる還元糖残基を表しており、xは、1.05以上かつ2.5以下の小数点を含む数を表す。
【0040】
更に特定の態様によれば、先に規定される組成物(E)は、上記乳化系(S)が、
式(II):
−O−(G)−H (II)
(式中、xは1.05〜2.5の小数点を含む数を表し、Gはキシロース残基を表し、Rは2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表されるアルキルポリグリコシド組成物(C)であって、
+a+a+a+aの合計が1に等しく、かつ、
+2a+3a+4a+5aの合計がxに等しいような各モル分率a、a、a、a及びaにおける、式(I)、(I)、(I)、(I)及び(I):
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
により表される化合物の混合物からなる、アルキルポリグリコシド組成物(C)からなることを特徴とする。
【0041】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「アルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの組成物」という用語は、組成物(C)であって、その質量100%に対して、
10質量%〜50質量%、より詳細には15質量%〜40質量%、更に詳細には20質量%〜30質量%の、先に規定される式(II)により表される少なくとも1つの組成物(C)と、
90質量%〜50質量%、より詳細には85質量%〜60質量%、更に詳細には80質量%〜70質量%の、式(III):
R’−OH (III)
(式中、R’が、Rと同一であっても異なっていてもよく、1つ又は複数のヒドロキシル基で任意に置換される、12個〜36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカルを表す)の少なくとも1つの脂肪アルコールと、
を含む、組成物(C)を意味するものである。
【0042】
特定の態様によれば、組成物(C)に含まれる組成物(C)を表す式(II)の定義において、Rは、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、n−ドコシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル及び2−デシルテトラデシルラジカルから選ばれるラジカルを表し、Gは、グルコース及びキシロース残基から選ばれる還元糖残基を表し、xは、1.05以上かつ2.5以下の小数点を含む数を表す。
【0043】
より特定の態様によれば、組成物(C)に含まれる組成物(C)を表す式(II)の定義において、Rは2−オクチルドデシルラジカルを表し、Gはキシロース残基を表し、xは、1.05以上かつ2.5以下の小数点を含む数を表す。
【0044】
より特定の態様によれば、上記に規定される式(III)の脂肪アルコールの定義において、R’は、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、n−ドコシル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル及び2−デシルテトラデシルラジカルから選ばれるラジカルを表し、最も詳細にはR’が2−オクチルドデシルラジカルを表す。
【0045】
本発明の更に特定の態様によれば、本発明の主題は、先に規定される組成物(E)であって、上記乳化系(S)が、その質量100%に対して、
式(II):
−O−(G)−H (II)
(式中、xは1.05〜2.5の小数点を含む数を表し、Gはキシロース残基を表し、Rは2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、10質量%〜50質量%の少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C)であって、
+a+a+a+aの合計が1に等しく、かつ、
+2a+3a+4a+5aの合計がxに等しいような各モル分率a、a、a、a及びaにおける、式(I)、(I)、(I)、(I)及び(I):
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
により表される化合物の混合物からなる、組成物(C)と、
式(III):
R’−OH (III)
(式中、R’は2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、90質量%〜50質量%の少なくとも1つの脂肪アルコールと、
を含む組成物(C)からなることを特徴とする、組成物である。
【0046】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「ポリグリセロールエステル」という用語は、式(IV):
【化3】
(式中、Zは、式R−C(=O)−のアシルラジカル(式中、Rは、11個〜35個の炭素原子を含む線形又は分枝状の飽和又は不飽和の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカルを表す)、より詳細には、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル及びイソステアリルラジカルから選ばれるラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式R−C(=O)−のアシルラジカル、又は水素原子を表し、yは、2以上かつ20以下の整数を表す)の化合物を意味するものである。
【0047】
より特定の態様によれば、式(IV)の化合物は、デカグリセリルオレエート、デカグリセリルイソステアレート、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノリノレート及びデカグリセリルモノミリステートからなる群の要素から選ばれる。
【0048】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「アルコキシル化ポリグリセロールエステル」という用語は、式(V):
【化4】
(式中、Zは、式R’−C(=O)−(式中、R’は、11個〜35個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の線形又は分枝状の炭化水素をベースとした脂肪族ラジカルを表す)のアシルラジカル、より詳細には、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル及びイソステアリルラジカルから選ばれるラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式R’−C(=O)−のアシルラジカル、又は水素原子を表し、Rは、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、yは、2以上かつ20以下の整数を表し、v、v及びvは、同一であっても異なっていてもよく、0以上かつ50以下の整数を表し、[(y・v)+(y・v)+v)]の合計が、1以上かつ50以下の整数となる)の化合物を意味するものである。
【0049】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「ポリグリコールポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(VI):
【化5】
(式中、yは、2以上かつ50以下の整数を表し、Rは、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Zは、式(VII):
【化6】
(式中、y’は、0以上かつ10以下、より詳細には、1以上かつ10以下の整数を表す)のラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式(VII)のラジカル、又は水素原子を表す)の化合物を示すものである。
【0050】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(VIII):
【化7】
(式中、Zは、上記に規定される式(VII)のラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式(VII)のラジカル、又は水素原子を表し、yは、2以上かつ20以下の整数を表す)により表される化合物を示すものである。
【0051】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「アルコキシル化ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」という用語は、式(IX):
【化8】
(式中、Zは、上記に規定される式(VII)のラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式(VII)のラジカル、又は水素原子を表し、yは、2以上かつ20以下の整数を表し、v’、v’及びv’は、同一であっても異なっていてもよく、0以上かつ50以下の整数を表し、[(y・v’)+(y・v’)+v’)]の合計が、1以上かつ50以下の整数となる)により表される化合物を示すものである。
【0052】
本発明の主題である組成物(E)の定義において、「ポリエチレングリコール−アルキルグリコールコポリマー」という用語は、式(X):
【化9】
(式中、w及びw’は、同一であっても異なっていてもよく、1以上かつ50以下、より詳細には、1以上かつ25以下の整数を表し、wは、1以上かつ100以下、より詳細には、1以上かつ50以下の整数を表す)により表される化合物を示すものである。
【0053】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、先に規定される組成物(E)であって、上記乳化系(S)が、組成物(C)であって、その質量100%に対して、
式(II):
−O−(G)−H (II)
(式中、xは1.05〜2.5の小数点を含む数を表し、Gはキシロース残基を表し、Rは2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、15質量%〜25質量%の少なくとも1つの組成物(C)であって、
+a+a+a+aの合計が1に等しく、かつ、
+2a+3a+4a+5aの合計がxに等しいような各モル分率a、a、a、a及びaにおける、式(I)、(I)、(I)、(I)及び(I):
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
−O−(G)−H (II
により表される化合物の混合物からなる、組成物(C)と、
式(III):
R’−OH (III)
(式中、R’は2−オクチルドデシルラジカルを表す)により表される、55質量%〜65質量%の少なくとも1つの脂肪アルコールと、
式(VI):
【化10】
(式中、yは、2以上かつ50以下の整数を表し、Rは、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Zは式(VII):
【化11】
(式中、y’は、0以上かつ10以下、より詳細には、1以上かつ10以下の整数を表
す)のラジカルを表し、Z’は、Zと同一であるか又は異なり、上記に規定される式(VII)のラジカル、又は水素原子を表す)により表される、10質量%〜30質量%の少なくとも1つのポリグリコールポリヒドロキシステアレートと、
を含む組成物(C)からなることを特徴とする、組成物である。
【0054】
別の特定の態様によれば、本発明の主題は、Brookfield LVT粘度計を用いて6rpmの速度において20℃の温度で測定される上記組成物(E)の動粘度が、500mPa・s以上かつ40000mPa・s以下であることを特徴とする、先に規定される組成物(E)である。
【0055】
本発明の主題はまた、皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜に対する洗浄、保護及び/又はケアのための、先に規定される組成物(E)の使用である。
【0056】
先に規定される本発明の主題である組成物(E)は、局所使用を対象とするものであり、局所使用を対象とした化粧用、皮膚化粧用、皮膚医薬用又は医薬用製剤のいずれのタイプにも組み込むことができ、又は代替的には、皮膚と接触するように設けられることが意図されるサポートのいずれのタイプ(紙、ワイプ、布、経皮デバイス等)にも組み込むことができる。
【0057】
「局所使用のための」という用語は、化粧用、皮膚化粧用、皮膚医薬用又は医薬用製剤の場合の直接的な塗布であろうと、例えば、例えばワイプ等の布物品、又は例えば衛生用途用の紙等の紙の形態の身体用衛生製品、スキンケア製品又は皮膚用保護製品の場合の間接的な塗布であろうと、組成物(E)が、皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜への塗布によって使用されることを意味するものである。
【0058】
本発明の主題である組成物(E)は、エアロゾル機器内に加圧形態で、又は「ポンプボトル(pump-bottle)」タイプの機器、有孔壁、例えば格子を備える機器、又はボールアプリケータ―を備える機器(「ロールオン」として知られる)内にパッケージングされていてもよい。
【0059】
本発明の主題である組成物(E)は、クレンジングミルク若しくはメイク落とし用ミルクとして、クレンジングローション若しくはメイク落とし用ローションとして、顔用又は身体用のフォームジェルとして、毛髪及び/又は頭皮を洗浄するシャンプーとして、毛髪及び/又は頭皮のトリートメント用のヘアコンディショナーとして、バブルバスとして、顔、手及び身体をケア又は保護するためのクリーム、ミルク若しくはローションとして、例えば、日焼け止めとして、セルフタンニング剤として、老化防止剤として、しわ取り剤として、鎮静薬として、又は保湿剤として使用することができる。
【0060】
本発明の主題である組成物(E)はまた、局所使用のための製剤、特に化粧用、皮膚化粧用、医薬用又は皮膚医薬用製剤の分野において通常使用される賦形剤及び/又は有効成分を含んでいてもよい。
【0061】
したがって、別の特定の形態によれば、本発明の主題は、先に規定される組成物(E)であって、発泡性及び/又は洗浄用界面活性剤、増粘及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定化剤、成膜化合物、溶媒及び助溶媒、ヒドロトロープ剤、可塑剤、乳化剤及び乳化助剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、抗酸化剤、フレグランス、精油、保存料、品質改良剤、消臭剤、体毛及び皮膚を脱色する漂白剤、皮膚又は毛髪上の処置作用及び/又は保護作用をもたらす有効成分、サンスクリーン剤、無機フィラー又は顔料、視覚効果をもたらす又は活性薬剤の封入を対象とする粒子、角質除去粒子、テクスチャ剤、光学的光沢剤及び防虫剤から選ばれる、1つ
又は複数の補助的な化合物も含むことを特徴とする、組成物である。
【0062】
本発明の主題である組成物(E)中に任意に存在する発泡性及び/又は洗浄用界面活性剤(foaming and/or detergent surfactants)の例として、この活用分野において通常使用される、局所的に許容可能なアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の発泡性及び/又は洗浄用界面活性剤について言及してもよい。
【0063】
本発明の主題である組成物(E)と組み合わせることができる発泡性及び/又は洗浄用アニオン性界面活性剤の中でも、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、α−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルサルコシネート、アシルイセチオネート、N−アシルタウレート、アシルラクチレート、N−アシルアミノ酸誘導体、N−アシルペプチド誘導体、N−アシルタンパク質誘導体、又は脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩について言及してもよい。
【0064】
本発明の主題である組成物(E)中に任意に存在する発泡性及び/又は洗浄用両性界面活性剤の中でも、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、サルタイン(sultaines)、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、両性ポリアセテート(amphopolyacetates)及び両性プロピオネートについて言及してもよい。
【0065】
本発明の主題である組成物(E)中に任意に存在する発泡性及び/又は洗浄用カチオン性界面活性剤の中でも、第四級アンモニウム誘導体について特に言及してもよい。
【0066】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄用非イオン性界面活性剤の中でも、より詳細には、線形又は分枝状の飽和又は不飽和脂肪族ラジカルを含みかつ8個〜12個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;ひまし油誘導体、ポリソルベート、コプラアミド(copra amides)及びN−アルキルアミンについて言及してもよい。
【0067】
本発明の主題である組成物(E)中に任意に存在する増粘及び/又はゲル化界面活性剤(thickening and/or gelling surfactants)の例として、
任意にアルコキシル化されたアルキルポリグリコシド脂肪エステル、最も詳細には、エトキシル化メチルポリグルコシドエステル、例えば、Glucamate(商標)LT及びGlumate(商標)DOE120という名称でそれぞれ販売されているトリオレイン酸PEG120メチルグルコース及びジオレイン酸PEG120メチルグルコース;
アルコキシル化脂肪エステル、例えば、Crothix(商標)DS53という名称で販売されているテトラステアリン酸PEG150ペンタエリスリチル、Antil(商標)141という名称で販売されているオレイン酸PEG55プロピレングリコール;
脂肪鎖ポリアルキレングリコールカルバメート、例えば、Elfacos(商標)T211という名称で販売されているPPG14ラウレスイソホリル(isophoryl)ジカルバメート、Elfacos(商標)GT2125という名称で販売されているPPG14パルメス60ヘキシルジカルバメート;
について言及してもよい。
【0068】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る乳化界面活性剤の例として、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤について言及してもよい。
【0069】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る乳化非イオン性界面活性剤の例として、ソルビトールの脂肪酸エステル、例えば、Montane(商標)80及びMontane(商標)85及びMontane(商標)60という名称で販売されている製品;エトキシル化ひまし油及びエトキシル化水素添加ひまし油、例えば、Simulsol(商標)989という名称で販売されている製品;ステアリン酸グリセリルと、5mol〜150molの酸化エチレンを有するポリ(エトキシル化)ステアリン酸とを含む組成物、例えば、Simulsol(商標)165という名称で販売されている、135molの酸化エチレンを有する(エトキシル化)ステアリン酸と、ステアリン酸グリセリルとを含む組成物;エトキシル化ソルビタンエステル、例えば、Montanox(商標)という名称で販売されている製品;マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステルについて言及してもよい。
【0070】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る乳化アニオン性界面活性剤の例として、リン酸デシル、Amphisol(商標)という名称で販売されているリン酸セチル、クエン酸ステアリン酸グリセリル;セテアリル硫酸塩;Sensanov(商標)WRという名称で販売されている、アラキジル/ベヘニルホスフェート組成物及びアラキジル/ベヘニルアルコール組成物;セッケン、例えばステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸トリエタノールアンモニウム、又は、塩化したN−アシルアミノ酸誘導体、例えばステアロイルグルタミン酸塩について言及してもよい。
【0071】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る乳化カチオン性界面活性剤の例として、酸化アミン、Quaternium−82、及び国際公開第96/00719号に記載されている界面活性剤、及び主に中でも脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものについて言及してもよい。
【0072】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る乳白剤及び/又は真珠光沢剤の例として、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート又は12個〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールについて言及してもよい。
【0073】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得るテクスチャ剤の例として、N−アシルアミノ酸誘導体、例えば、Aminohope(商標)LLという名称で販売されているラウロイルリシン、Dryflo(商標)という名称で販売されているコハク酸オクテニルデンプン、Montanov14という名称で販売されているミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイト及びマイカについて言及してもよい。
【0074】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る溶媒及び共溶媒の例として、水、有機溶媒、例えば、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、水溶性アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール又はブタノール、及び水と上記有機溶媒との混合物について言及してもよい。
【0075】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る有効成分の例として、
ビタミン及びそれらの誘導体、例えば、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えばレチニルパルミテート)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えばアスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えばトコフェロールアセテート)、ビタミンB3又はビタミンB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);
皮膚の美白作用又は脱色素作用を有する化合物、例えば、Sepiwhite(商標)
MSH、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン、Vegewhite(商標)、Gatuline(商標)、Synerlight(商標)、Biowhite(商標)、Phytolight(商標)、Dermalight(商標)、Clariskin(商標)、Melaslow(商標)、Dermawhite(商標)、Ethioline、Melarest(商標)、Gigawhite(商標)、Albatine(商標)又はLumiskin(商標);
鎮静作用を有する化合物、例えば、Sepicalm(商標) S、アラントイン及びビサボロール;
抗炎症剤;
保湿作用を有する化合物、例えば、尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロール、ポリグリセロール、グリセロールグルコシド、ジグリセロールグルコシド又はポリグリセリルグルコシド;
痩身又は脂肪分解作用を有する化合物、例えば、カフェイン若しくはその誘導体、Adiposlim(商標)又はAdipoless(商標);
N−アシルタンパク質、N−アシルペプチド、例えば、Matrixil(商標);N−アシルアミノ酸、N−アシルタンパク質の部分加水分解物;アミノ酸;ペプチド;完全タンパク質加水分解物、
タンニン、ポリフェノール及び/又はイソフラボンに富む植物抽出物、例えばブドウ抽出物、マツ抽出物、ワイン抽出物、オリーブ抽出物;大豆抽出物、例えば、Raffermine(商標);小麦抽出物、例えば、Tensine(商標)又はGliadine(商標);テルペンに富む植物抽出物;淡水藻又は海藻の抽出物;サンゴ等の海産抽出物全般;
エッセンシャルワックス;細菌抽出物;セラミド又はリン脂質;
抗菌作用又は清浄作用を有する化合物、例えば、Lipacide(商標)C8G、Lipacide(商標)UG、Sepicontrol(商標)A5、Octopirox(商標)又はSensiva(商標)SC50;
賦活又は刺激特性を有する化合物、例えば、Physiogenyl(商標)、パンテノール及びその誘導体、例えば、Sepicap(商標) MP;
老化防止活性薬剤、例えば、Sepilift(商標) DPHP、Lipacide(商標) PVB、Sepivinol(商標)、Sepivital(商標)、Manoliva(商標)、Phyto−Age(商標)、Timecode(商標)、Survicode(商標);
光老化防止活性薬剤;真皮表皮接合部の完全性を保護する活性薬剤;
細胞外マトリックスの構成成分の合成を増加させる活性薬剤、例えばコラーゲン、エラスチン及びグリコサミノグリカン;
化学的な細胞の情報伝達に有利に作用する活性薬剤、例えば、サイトカイン、又は物理的な細胞の情報伝達に有利に作用する活性薬剤、例えば、インテグリン;
皮膚に「熱」感を生じる活性薬剤、例えば、皮膚微小循環の活性化因子(例えばニコチン酸誘導体等)又は皮膚に「清涼」感を生じる製品(例えばメントール及びその誘導体等);
皮膚微小循環を改善する活性薬剤、例えば、静脈治療剤(venotonic agents);排出活性薬剤;うっ血除去を目的とする活性薬剤、例えば、イチョウ(Ginkgo biloba)、セイヨウキヅタ、セイヨウトチノキ、タケ、ナギイカダ、ブッチャーズブルーム、ツボクサ(
Centella asiatica)、ヒバマタ、ローズマリー又はヤナギの抽出物;
皮膚の日焼け剤又は褐色化剤、例えば、ジヒドロキシアセトン、イサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド又はエリトルロースが挙げられる。
【0076】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、アクリル酸又はアクリル酸誘導体のホモポリマー又はコポリマー、アクリルアミドのホモポリマー又はコポリマー、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルモノマー、又はトリメチルアミノエチルアクリレートクロリドのホモポリマー又はコポリマー、植物又は生合成由来の親水コロイド、例えばキサンタンガム、カラヤガム、カラギーネート又はアルギネート;ガラクトマンナン、例えば、タラガム、グアーガム、フェヌグリークガム、ローカストビーンガム又はカシアガム;シリケート;セルロース及びその誘導体;デンプン及びその親水性誘導体;ポリウレタンについて言及してもよい。
【0077】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る消臭剤の例として、アルカリ金属シリケート、亜鉛塩、例えば硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛又は乳酸亜鉛;第四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチルアンモニウム塩又はセチルピリジニウム塩;グリセロール誘導体、例えばグリセリルカプレート、グリセリルカプリレート及びポリグリセリルカプレート;1,2−デカンジオール、1,3−プロパンジオール;サリチル酸;重炭酸ナトリウム;シクロデキストリン;金属ゼオライト;Triclosan(商標);アルミニウムブロモハイドレート、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、硫酸アルミニウム、ナトリウムアルミニウムラクテート、アルミニウムクロロハイドレートとグリコールとの錯体、例えばアルミニウムクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、又はアルミニウムセスキクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体について言及してもよい。
【0078】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得るサンスクリーン剤の例として、Annex VIIによって修正される欧州化粧品規制(cosmetic directive 76/768/EEC)で特徴づけられるもの全てについて言及してもよい。
【0079】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る有機サンスクリーン剤の中でも、
安息香酸誘導体、例えばパラ−アミノ安息香酸(PABA)、特にPABAのモノグリセリルエステル、N,N−プロポキシPABAのエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N−ジメチルPABAのエチルエステル、N,N−ジメチルPABAのメチルエステル、及びN,N−ジメチルPABAのブチルエステル;
アントラニル酸誘導体、例えばホモメンチル−N−アセチルアントラニレート;
サリチル酸誘導体、例えばアミルサリチレート、ホモメンチルサリチレート、エチルヘキシルサリチレート、フェニルサリチレート、ベンジルサリチレート及びp−イソプロパノールフェニルサリチレート;
桂皮酸誘導体、例えばエチルヘキシルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、p−メトキシプロピルシンナメート、p−メトキシイソプロピルシンナメート、p−メトキシイソアミルシンナメート、p−メトキシオクチルシンナメート(p−メトキシ2−エチルヘキシルシンナメート)、p−メトキシ−2−エトキシエチルシンナメート、p−メトキシシクロヘキシルシンナメ
ート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、又はグリセリルジ−パラ−メトキシ−モノ−2−エチルヘキサノイルシンナメート;
ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニルベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−(ベンジリデン)−d,l−カンファー、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル;スルホン酸誘導体のファミリー、例えば2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸及びその塩;
トリアジン誘導体、例えばヒドロキシフェニルトリアジン、(エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル)(4−メトキシフェニル)トリアジン、2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、4,4−((6−(((1,1−ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイルジイミノ)ビス−(2−エチルヘキシル)ベンゾエート、2−フェニル−5−メチルベンゾオキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;ジベンザジン;ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’’−t−ブチルベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン;
ジフェニルアクリル酸誘導体、例えば2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペノエート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペノエート;
ポリシロキサン、例えばベンジリデンシロキサンマロネートについて言及してもよい。
【0080】
本発明の主題である組成物(E)中に存在し得る「ミネラルサンブロック(mineral sunblocks)」としても知られている無機サンスクリーン剤の中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色、赤色又は黒色の酸化鉄、及び酸化クロムについて言及してもよい。これらのミネラルサンブロックは、超微粉砕されていてもされていなくてもよく、表面処理を経るものであっても経ていなくてもよく、また任意に水性又は油性の事前分散液の形態をとるものであってもよい。
【0081】
本発明の主題はまた、皮膚、毛髪及び/又は粘膜の化粧処置のための、より詳細には、皮膚、毛髪、頭皮又は粘膜に対するクレンジング、保護及び/又はケアのための、先に規定される組成物(E)の使用である。
【0082】
本発明の主題はまた、下記工程を含む、先に規定される組成物(E)を製造する方法である:
所望の分率において脂肪相(A)を構成する要素の全てを混合することによって、脂肪相(A)を調製する段階a)。この混合工程は概して、20℃以上かつ80℃以下、より詳細には、20℃以上かつ60℃以下、更に詳細には、20℃以上かつ40℃以下の温度で実施され、それは、50rpm以上かつ100rpm以下の適度な速さで機械撹拌しながら実施される;
所望の分率における水性相(A)を構成する要素の全ての、水性相(A)を調製する段階b)。この混合工程は概して、20℃以上かつ80℃以下、より詳細には、20℃
以上かつ60℃以下、更に詳細には、20℃以上かつ40℃以下の温度で実施され、それは、500rpm以上かつ3000rpm以下の適度な速さで機械撹拌しながら実施される。特に、段階b)後に得られる水性相(A)は、Brookfield LV粘度計を用いて6rpmの速度において20℃で測定される動粘度が、200mPa・s以上かつ40000mPa・s以下の、より詳細には、1000mPa・s以上かつ40000mPa・s以下の、更に詳細には、2000mPa・s以上かつ40000mPa・s以下の;
20℃以上かつ80℃以下、より詳細には、20℃以上かつ60℃以下、更に詳細には、20℃以上かつ40℃以下の温度で、50rpm以上かつ400rpm以下の適度な速さで機械撹拌しながら、脂肪相(A)を水性相(A)に添加して、組成物(E)を得る、段階c)。
【実施例】
【0083】
I)架橋アニオン性高分子電解質の調製
I−1 2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムと、N,N−ジメチルアクリルアミドと、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートとの、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋されるターポリマー[AMPSNH/DMAM/LMA(4EO) 77.4/19.2/3.4mol]
tert−ブタノール/水(体積比97.5/2.5)の混合物中に15質量%の2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウム(AMPSNH)を含有する592gの水溶液、10.1gのN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAM)、4.2gのテトラエトキシル化ラウリルメタクリレート[LMA(4EO)]、及び0.75gのTMPTAを、撹拌しながら25℃に維持したリアクタに入れる。溶液の良好な均質化が達成されるのに十分な時間の後、70℃まで加熱した窒素を散布することによってそれを脱酸素化させる。次に0.42gの過酸化ジラウロイルを添加し、反応媒体をその後、70℃で約60分間保持した後、80℃で2時間保持する。冷却後、重合中に形成される粉末を濾過により取り除き、乾燥させると、以下「高分子電解質(PA)」と称される所望の生成物が得られる。
【0084】
I−2 2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸アンモニウムと、N,N−ジメチルアクリルアミドとの、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で架橋されるターポリマー[AMPSNH/DMA
80/20mol]
tert−ブタノール/水混合物(体積比97.5/2.5)中に15質量%のAMPSNHを含有する592gの水溶液、10.1gのDMAM、及び0.75gのTMPTAを、撹拌しながら25℃に維持したリアクタに入れる。溶液の良好な均質化が達成されるのに十分な時間の後、70℃まで加熱した窒素を散布することによってそれを脱酸素化させる。次に0.42gの過酸化ジラウロイルを添加し、反応媒体をその後、70℃で約60分間保持した後、80℃で2時間保持する。冷却後、重合中に形成される粉末を濾過により取り除き、乾燥させると、以下「高分子電解質(PA)」と称される所望の生成物が得られる。
【0085】
II)本発明による油中水型エマルション及び比較用油中水型エマルションの調製及び評価
II−1 油中水型エマルションの調製
(F)〜(F)と指定した本発明による4つの油中水型エマルション、及び(F’)〜(F’)と指定した従来技術による6つの油中水型エマルションを調製し、その構成要素の質量分率を以下の表1に挙げ、高分子電解質の質量含有率は、下記プロセスを用いて高分子固形分のパーセンテージとして示す。
【0086】
続けて、脂肪相の構成要素をビーカーに入れ、インペラ型の撹拌ローターを備える機械攪拌機を用いて100rpmの速度において20℃の温度で混合させる。グリセロールと水とを室温、ビーカー内で、機械攪拌機を用いて2000rpmの速度において混合させ、増粘剤をその後徐々に添加する。均一なゲルの形態の水性相が生成するまで撹拌を続ける。脂肪相の一部を水性ゲルに、アンカー型のローターを備える撹拌機を用いて適度な撹拌速度(75rpm〜300rpm)において室温で添加する。その後、この撹拌を10分間維持することで、冷却工程は必要ない。このように調製したエマルション(F’)及び(F’)は、特許文献3の従来技術の教示を代表するものである。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
(1):Lanol(商標)99(INCI名:イソノニルイソノナノエート):化粧品組成物の製造において油性相として使用され、かつSEPPIC社によって流通しているエステル;
(2):Easynov(商標)(INCI名:オクチルドデカノール、オクチルドデシルキシロシド及びPEG−30ジポリヒドロキシステアレート):SEPPIC社によって販売されている乳化組成物であって、その質量100%に対して、55質量%〜65質量%の2−オクチルドデカノールと、15質量%〜25質量%の2−オクチルドデシルポリキシロシドと、10質量%〜30質量%のPEG−30ジポリヒドロキシステアレートとを含む、乳化組成物;
(3):Euxyl(商標)PE9010(INCI名:フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセロール):保存料として使用される組成物;
(4):Simulgel(商標)EG(INCI名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、並びにイソヘキサデカン及びポリソルベート80):逆相ラテックスであって、その質量100%に対して、およそ、約38質量%の、メチレンビスアクリルアミドで架橋される、部分的に塩化されたアクリル酸と、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸のナトリウム塩とのコポリマー;
(5):Pemulen(商標)TR2(INCI名:アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー)は、高分子量高分子乳化剤の、アクリル酸と疎水性コモノマーとの架橋コポリマーである。
【0089】
II−2 本発明による油中水型エマルション(F)〜(F)及び従来技術による油中水型エマルション(F’)〜(F’)の特性の実証
II−2.1 本発明による油中水型エマルション(F)〜(F)及び従来技術による油中水型エマルション(F’)〜(F’)の外観及び粘度の特性決定
先に記載したプロセスに従って得られるエマルション(F)〜(F)及び(F’)〜(F’)をその後、20℃の温度に調節した断熱空調室内で7日間貯蔵した。この7日間の期間の後、調製した各エマルションの外観(APP)を観察し、各エマルションの動粘度(μ)を測定する(mPa・s単位)。次に、エマルションを元に戻し、20℃
の温度に調節した同じ断熱空調室内で3ヶ月まで貯蔵する。1ヶ月の期間の後、各エマルションを、空調室から取り出して、その外観を観察するとともに、その20℃における動粘度を、粘度計(Brookfield LVT、速度6)を用いて20℃で測定する。
【0090】
II−2.2 本発明によるエマルション(F)〜(F)及び従来技術によるエマルション(F’)〜(F’)に関する特性決定
本発明によるエマルション(F)〜(F)及びエマルション(F’)〜(F’)の導電率(σ)を、上記エマルションを20℃の温度に調節した断熱空調室内で1日貯蔵した後、Tetracon(商標)96電極を備えるWTW社によるLF 196(商標)銘柄の導電率計を用いて20℃で測定する。
【0091】
所与のエマルションについて、(σ)が0.5μS・cm−1以下である場合、エマルションは導電性でなく、かつ結果的に外相が水性相でなく、油性相となると考えられるため、(σ)が0.5μS・cm−1以下のかかるエマルションはそれ故、油中水型エマルションとなる。
【0092】
II−2.3 組成物の粘稠度の評価
組成物の「粘稠度(γ)」という用語は、組成物の流動の目視等の経験的観察によって、及び/又はデータ処理用のソフトウェアに接続されるコーン−プレート型のレオメータを用いてフロー閾値を測定することによって特性決定することができる、上記組成物の流動に対する抵抗性を意味するものである。
【0093】
II−2.3.1 目視による組成物の粘稠度の評価
a)方法原理
粘稠度は、評価すべき組成物をフラスコに入れて、該フラスコを180°回転することで、組成物の流動の目視によって評価することができる。
【0094】
b)実験プロトコル
50グラムの試験組成物を、100mL容の透明なガラスフラスコに入れ、これをねじ栓で密閉する。十分に熟練した経験豊かな実験者が、試験組成物の入ったフラスコを3秒間にわたって180°回転させ、実験者による観察報告を記録する。その後、実験者は、試験組成物の入ったフラスコを再度180°回転させる。
【0095】
c)結果の考察(Expressing)
試験組成物の入ったフラスコを180°回転させている3秒の間に、試験組成物が自然に流動する場合、又は試験組成物の入ったフラスコを180°回転させている3秒の間に、試験組成物が自然に流動しないものの、実験者による3度の手操作による刺激をフラスコの底に与えた後に流動する場合には、作業にかけられている組成物を「液体」と称する。
試験組成物の入ったフラスコを180°回転させている3秒の間に、試験組成物が自然に流動せず、また、実験者による3度の手操作による刺激をフラスコの底に与えた後にも流動しない場合には、試験組成物を「圧密体(compact)」と称する。
【0096】
II−2.3.2 フロー閾値を測定することによる組成物の粘稠度の評価
a)方法原理
粘稠度は、フロー閾値(FT)を測定することによって評価することができ、これは、TA Instruments社によって販売されている、温度を制御するためのPeltierプレートと、データ処理用のソフトウェアに接続されるコーンとを備えるAR2000モデルレオメータを用いて実施される。
【0097】
b)実験プロトコル
試験組成物を、その製造の24時間後にプレート上に堆積させる。
【0098】
AR2000モデルレオメータは、大気内ステージ(air stage)を有するコーン−プレートシステムからなり、プレートには、測定温度を制御するためのPeltierシステムが備えられている。アルミニウムから作られているコーンは、直径6センチメートルの寸法をとり、その角度は1°である。プレートとコーンとの隙間に置いた試料を、「振動」モード、より詳細には応力掃引モードで、25℃の温度、1Hzの振動数において剪断する。力覚センサによって、隙間にかけられる応力に対する、生成物の抵抗性位相変位(resistance phase shift)を連続的に測定する。ソフトウェアによってこれらの測定値を利用することにより、試料の粘弾性、すなわち、弾性固体成分のG’値(Pa単位)、及び粘性液体成分のG’’値(Pa単位)を推論することが可能となる。G’’の値がG’の値よりも大きい場合、試料は、液体のように作用し、流動する。0.1Paから100Paへと応力を増大させる掃引の間、試料は、低い応力では固体のように作用した後、フロー閾値として知られる閾値を超えるより高い応力で液体のように作用する。閾値応力の値、又はフロー閾値(Pa単位)は、屈曲点における接線の交わる点として、G’の曲線から外挿される。精度は1Paのオーダーとする。
【0099】
c)結果の考察
上記のように、実験条件下で測定されるフロー閾値が、40Paの値以上の場合には、試験組成物を「圧密体」とみなし;
(FT)が40Pa未満である場合には、試験組成物を「液体」であるとみなす。
【0100】
II−2.4 本発明による油中水型エマルション(F)〜(F)及び従来技術による油中水型エマルション(F’)〜(F’)について得られる結果
パラグラフII−2.1及びII−2.2に記載した評価方法を、本発明による油中水型エマルション(F)〜(F)及び従来技術による油中水型エマルション(F’)〜(F’)に適用する。
【0101】
得られる結果を以下の表2に挙げる。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
さらに、本発明による油中水型製剤(F)、(F)、(F)及び(F)を皮膚に塗布する場合、それらは、散布時間にわたって持続する上記皮膚上の油性膜の形成によって特徴づけられることが観察された。
【0105】
II−2.5 結果の分析
それ故、本発明による油中水型エマルション(F)、(F)、(F)及び(F)は、以下のように特性決定される:
20℃の温度における3ヶ月の貯蔵後のそれらの油中水型形態の安定性によって、この貯蔵期間後に観察される外観は依然として均一である;
本明細書のパラグラフII−2.3.1に記載した目視法に従って、20℃における1日後に「流体」であると判断される粘稠度によって;
本明細書の実験セクションのパラグラフII−2.3.2に記載されるような、厳密には40Paの値より小さい、実験条件下で測定されるフロー閾値によって;
20℃における7日間の貯蔵後に、Brookfield LV粘度計を用いて20℃及び6rpmの速度で測定される、24700mPa・s((F)について)〜34100mPa・s((F)について)の動粘度値によって;
20℃における3ヶ月間の貯蔵後に測定される(Brookfield LV、20℃において6rpm)上記動粘度の値の減少が、同じ条件下で7日間の貯蔵後に測定される動粘度値に対して25%も大きくないことから、20℃における3ヶ月間の貯蔵後の動粘度の限定的な低減によって。このため、20℃における貯蔵の間、貯蔵の7日目と貯蔵の3ヶ月の最後との間の動粘度値の減少は、(F)について15.5%、(F)について22.7%、(F)について8.5%、及び(F)について18.8%である。
【0106】
エマルション(F’)は、架橋アニオン性高分子電解質の「高分子電解質(PA)」の量がエマルションの質量100%に対して2%より大きい、すなわち、水性相の質量100%に対して1.65%より大きく、これによって、20℃における貯蔵の7日目と3ヶ月目の最後との間の上記エマルション(F’)の動粘度の50.5%の低減が予想外にもたらされる点で、本発明によるエマルションと異なる。
【0107】
油中水型エマルションを上記と同じプロトコルに従って調製する場合、本発明による油中水型エマルションとは増粘剤の性質において僅かに異なり、この場合、アニオン性高分子電解質(PA)は、ポリマー骨格における結合性モノマーの非存在によりアニオン性高分子電解質(PA)と異なり、対応するエマルション(F’)は、20℃における貯蔵の7日目と1ヶ月の最後との間に、該エマルション(F’)の動粘度の34%の低減を示す。アニオン性高分子電解質(PA)の量を、アニオン性高分子電解質(PA
)が0.7%であるのとは対照的に2%まで増大させると、得られる油中水型エマルション(F’)は、20℃における3ヶ月間の貯蔵後に相分離を起こす。
【0108】
油中水型エマルションを上記と同じプロセスに従って調製する場合、本発明による油中水型エマルションとは増粘剤の性質において僅かに異なり、この場合、架橋アニオン性高分子電解質は、部分的に塩化されたアクリル酸と、アンモニウム形態で部分的に塩化される2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸とをベースとし、上記油中水型エマルションは、液体粘稠度を有しないか(圧密体と判断される(F’))、さもなければ過剰に高いレベルの粘度(F’)を特徴とする。
【0109】
エマルション(F’)を上記と同じプロセスに従って調製する場合、本発明による油中水型エマルションとは増粘剤の性質において僅かに異なり、この場合、高分子電解質が、アクリル酸と疎水性コモノマーとの架橋コポリマーである、INCI名アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマーを有し、得られるエマルション(F’)は、油中水型エマルションでなく、貯蔵の初日から不安定であるとされる。
【0110】
III)応用例
下記製剤中、パーセンテージは製剤の重量に基づき示す。
【0111】
III−1 日光防止油中水型エマルション
ジイソプロピルアジペート: 12%
エチルヘキシルサリチレート: 5%
エチルヘキシルメトキシシンナメート: 5%
エチルヘキシル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート: 8%
ブチルメトキシジベンゾイルメタン: 2%
PEG30ジポリヒドロキシステアレート: 0.4%
Fluidanov(商標) 20X: 1.2%
高分子電解質(PA): 0.7%
グリセロール: 1.5%
Euxyl(商標) PE9010: 1%
水: 100%まで適量
【0112】
III−2 クッション質感の(Cushion-texture)ボディケア油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 4%
フレグランス: 0.6%
(エチルヘキシル)グリセロール: 0.2%
Easynov(商標): 2.5%
高分子電解質(PA): 0.6%
グリセロール: 3%
染料: 0.07%
95度のエタノール: 15%
水: 100%まで適量
【0113】
III−3 真冬用ボディミルク油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 5.3%
フレグランス: 0.1%
フェノキシエタノール及び(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 2%
高分子電解質(PA): 1.5%
グリセロール: 14%
水: 100%まで適量
【0114】
III−4 保湿ケア用油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 6%
フレグランス: 0.1%
フェノキシエタノール及び(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 1.5%
高分子電解質(PA): 0.5%
Aquaxyl(商標): 3%
水: 100%まで適量
【0115】
III−5 制汗用油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 6%
(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 2.5%
高分子電解質(PA): 0.5%
Aquaxyl(商標): 3%
水: 100%まで適量
アルミニウムクロロハイドレート(50%) 30%
【0116】
III−6 芳香用油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 6%
(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 2.5%
高分子電解質(PA): 0.5%
Aquaxyl(商標): 3%
水: 100%まで適量
エタノール: 40%
フレグランス: 2.0%
【0117】
III−7 美白用油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 6%
フレグランス: 0.1%
フェノキシエタノール及び(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 1.5%
高分子電解質(PA): 0.5%
Sepiwhite(商標)MSH: 2%
水: 100%まで適量
【0118】
III−8 消臭用油中水型エマルション
イソノニルイソノナノエート: 6%
フレグランス: 0.1%
フェノキシエタノール及び(エチルヘキシル)グリセロール: 1%
Easynov(商標): 1.5%
高分子電解質(PA): 0.5%
Lipacide(商標)UG: 1%
水: 100%まで適量
【0119】
Aquaxyl(商標)(INCI名:キシリチルグルコシド及びアンヒドロキシリトール及びキシリトール)は、SEPPIC社により販売されている保湿剤である。
Sepiwhite(商標)MSH(INCI名:ω−ウンデシレノイルフェニルアラニン)は、SEPPIC社により販売されている美白剤(skin-lightening agent)である。
Lipacide(商標)UG(INCI名:ウンデシレノイルグリシン)は、SEPPIC社により販売されている消臭剤及び皮膚用清浄剤である。