(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397920
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】可聴音を発生させる多数のブリストルの動きを有する電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A61C 17/34 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
A61C17/34 A
A61C17/34 C
A61C17/34 F
A61C17/34 H
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-540489(P2016-540489)
(86)(22)【出願日】2014年12月11日
(65)【公表番号】特表2017-503562(P2017-503562A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】IB2014066781
(87)【国際公開番号】WO2015092626
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】61/918,767
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】セイルズ,トーマス ジャクソン
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−135913(JP,A)
【文献】
特表平07−505069(JP,A)
【文献】
実開平07−024128(JP,U)
【文献】
特開2011−189199(JP,A)
【文献】
特開2003−180717(JP,A)
【文献】
特表2009−526607(JP,A)
【文献】
特開2013−106864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部分と、
遠位端にてブリストルのセットを有するブラシヘッドと、
ユーザの歯に対して効果的な洗浄作用を有する第1のブリストルの動きを発生させるために使用される第1の駆動信号を出力するように構成された第1の駆動信号の供給源と、
ユーザに機敏さを与える若しくはユーザを覚醒させる認知刺激効果又はユーザに落ち着き若しくは安らぎを与える認知弛緩効果のための可聴音と共に第2のブリストルの動きを発生させるために使用される第2の駆動信号を出力するように構成された第2の駆動信号の供給源であって、前記第1の駆動信号及び前記第2の駆動信号が組み合わされて、組み合わされた駆動信号になる、第2の駆動信号の供給源と、
前記ハンドル部分内の前記ブラシヘッドに結合した駆動システムであって、前記組み合わされた駆動信号に応答して、当該駆動システムは、複数の主要及び補助的なブリストルの動きを発生させるように構成され、該複数の主要及び補助的なブリストルの動きは、洗浄効果をもたらす、及び、前記認知刺激効果又は認知弛緩効果のための可聴音を発生させ、前記認知刺激効果に対して、前記ブラシヘッド上の当該駆動システムによって発生させられる可聴音は、ブラッシング事象の開始からその終わりまで強度が増加し、さらに、前記認知弛緩効果に対して、前記可聴音の強度は、前記ブラッシング事象の開始から終わりまでに減少する、駆動システムと、
を含む電動歯ブラシ。
【請求項2】
前記複数の主要及び補助的なブリストルの動きの効果的なブリストルの動きが、40Hz〜500Hzの周波数範囲、0.5〜6mmの振幅範囲、さらに、1.5m/sを超えるブリストル先端速度を含む、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
前記複数の主要及び補助的なブリストルの動きの第1のブリストルの動きは、曲線状の動きを含む臨床的に効果的な第1のブリストルの動きを含み、さらに、前記複数の主要及び補助的なブリストルの動きの第2のブリストルの動きは、前記ブリストルのセットの軸方向の動き又はタッピングの動きを含む、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
前記可聴音は音楽を含む、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
前記可聴音は、ブラッシング事象のそれぞれ連続する部分にリズムの多様性を含む、請求項1に記載の電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電動歯ブラシに関し、特に、多数のブリストルの動きを有する電動歯ブラシであって、動きによって駆動信号が異なる電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電動歯ブラシが、多数のブラッシングモード又はルーチンを含み、典型的には、特に、ソフト若しくは穏やかなブラッシング、又は、口腔内マッサージ、歯ぐきケア/刺激等、一般的なデンタルケアのニーズに焦点を合わせている。これらのルーチンは、オーラルケアの目的に歴史的に限定されてきた。一部の用途において、電動歯ブラシは、曲線状若しくは回転の動き及び軸方向の動きの両方の組み合わせ等、複雑な動きを発生させるように駆動される。
【0003】
しかし、オーラルケアは、晩に最終的に眠りに落ちること及び朝に目を覚ますことを含む朝又は晩のルーチンの一部であるということが認識されたい。従って、それらの時間の間のオーラルケアに取り組むことだけでなく、晩の落ち着きのなさを減らす、及び、朝の機敏さを増やす等、認知的問題に取り組むことにも関心がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,378,153号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所望されるオーラルケアも認知効果も単一の器具で成し遂げることができるということが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、電動歯ブラシが:ハンドル部分;遠位端にてブリストルのセットを有するブラシヘッド;ユーザの歯に対して効果的な洗浄作用を有する第1のブリストルの動きを発生させる第1の駆動信号の供給源;認知刺激効果又は認知弛緩効果をもたらす可聴音と共に第2のブリストルの動きを発生させる第2の駆動信号の供給源であって、組み合わされた駆動信号を発生させるために第1の駆動信号及び第2の駆動信号が組み合わされる、第2の駆動信号の供給源;並びに、組み合わされた駆動信号に応答して、洗浄効果をもたらす、及び、認知効果をもたらす可聴音を発生させる多数のブリストルの動きを発生させるハンドル部分内の駆動システム;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】マルチモーションのブラシヘッドを有する電動歯ブラシの概略図である。
【
図1B】マルチモーションのブラシヘッドを有する電動歯ブラシの概略図である。
【
図2】本発明の電動歯ブラシに組み込まれるブラシヘッド駆動システムの概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、10で概して示された電動歯ブラシの概略図である。電動歯ブラシは、ハンドル又は本体部分12を含み、その中に、駆動システム14、及び、例えば充電可能であってもよい電池であり得る電源16が置かれている。駆動システムは、ハンドル12から延びる歯ブラシのネック部分18を駆動するか又は該ネック部分18にわたる。ネック18の遠位端にて、ブラシヘッド20がある。ブラシヘッドは、ブリストルのセット22を含む。電動歯ブラシ10は、ブラシヘッド及びブリストルの多数の動きを発生させるように駆動される。ブラシヘッドの多数の動きの一例が
図1Aにおいて示されており、
図1Aでは、ブラシヘッド及びブリストルは、曲線状の動き23(左右の動き)、並びに、歯ブラシの軸方向の動き(25)で縦に動いている。
図1Bにおいて示された別の実施形態において、ブラシヘッド26及びブリストルは、曲線状の動き27でも、歯ブラシの縦軸に垂直のタッピングの動き28でも動く。他の多数の動きが可能である。
【0009】
本発明において、ブラシヘッド/ブリストルの第1の主要なブリストルの動きは、効果的な洗浄をもたらす特徴を有する。これは、例えば、参照により全内容を本願に援用する特許文献1において開示されている曲線状の動きであり得る。その特許において、動きの周波数は40Hz〜500Hzの範囲内であり、0.5〜6mmの振幅及び1.5〜2メートル/秒のブリストル先端速度である。1つの特定の実施形態において、周波数は250〜270Hzであり、2.5mmの振幅である。他の構成も、ブリストルの動きが効果的な洗浄効果をもたらす限り利用することができる。
【0010】
第1のブリストルの動きとは異なる、補助的な動きと呼ばれる別のブリストルの動きが別の異なる駆動信号によって発生させられ、歯ブラシの使用中に聞くことができる種々のトーン、リズム、音楽又は他の音を含む。ブラシヘッド/ブリストルに作用する2つの駆動信号を有する駆動システムの作用によって発生させられる可変のトーン又は可聴音が、認知刺激又は認知弛緩をもたらす。認知効果をもたらす補助的なブリストルの動きは、主要なブリストルの動きに依存せず、さらに、主要なブリストルの動きによる歯の洗浄作用に否定的に影響しない。
【0011】
認知に影響を与える補助的なブリストルの動きを発生させる1つ又は複数の駆動信号は、種々のパターンを有し得る。1つのパターンは、ユーザに対して可聴の認知刺激又は覚醒音を発生させるための増加する周波数であり、別のパターンは、認知弛緩効果をもたらすための徐々に減少する周波数であり得る。一般的に、可聴音は、12〜20,000Hzの周波数範囲にあり、好ましい範囲は、110〜3500Hzである。音は、例えば30秒毎等、2分のブラッシング事象における特定の時間にて規則的に変わり得る。音は、ブラッシング期間にわたって複雑であり、認知刺激若しくは覚醒に対する刺激音/音楽を発生させることができるか、又は、認知弛緩若しくは安らぎをもたらすためにより鎮静効果のある音楽若しくは音を発生させることができる。音楽の他に、音は、水及び寄せる波の音等、他の安らぎを与える音、又は、種々の鳥の音若しくは暴風雨の天気の音等、刺激する音でさえあってもよい。
【0012】
駆動システムの作用によって発生させられる補助的なブリストルの動きは、関連した駆動信号に応答してオーディオスピーカーのように作用することになる。主要なブリストルの動きは、所望の効果的な洗浄をもたらす。どちらの動きも、組み合わされた動きが、効果的な洗浄に対して1.5メートル/秒を超えるブリストル先端速度及び0.5〜6mm、好ましくは2〜3mmのブリストル先端振幅を発生させるような振幅で駆動される。
【0013】
多くの場合、2つの駆動信号が主要及び補助的なブリストルの動きを発生させる器具の作用によって発生させられる音は、ブラッシング期間の開始からその終わりまでのブリストル作用の強度の増加であって、刺激効果をもたらすように感じることになる一方で、その音は、ブラッシング期間の開始からその終了までの強度の減少であって、認知/精神的弛緩効果をもたらすように感じることになる。
【0014】
図2は、上記の駆動信号システムの概略図を示している。主要な駆動信号と呼ばれる駆動信号番号1が30で示されており、所望の効果的な周波数にて歯の洗浄効果をもたらす。補助的な駆動信号と呼ばれ且つ32で参照される駆動信号番号2が、可変の音、音楽等の供給源であり、認知刺激効果/認知弛緩効果が生じる。これらの2つの駆動信号が組み合わされて、34で参照されるシステムドライバに対する組み合わされた駆動信号を形成し、この信号が、例えば
図1A及び1Bにおいて示された多数のブリストルの動き、又は、他の動きの組み合わせでブラシヘッド36を駆動する。2つ以上の方向における2つの動きは、組み合わされた動きが、1.5メートル/秒を超えるブリストル先端速度、及び、0.5mmから6mmの振幅を発生させるような振幅で駆動される。この構成によって器具から発生させられる可聴音は、弛緩又は刺激の認知効果をもたらす。
【0015】
従って、多数のブリストルの動きを有する新たな歯ブラシが開示され、1つのブリストルの動きは効果的な歯の洗浄をもたらす一方で、別のブリストルの動きの組み合わされた作用が、認知刺激効果又は認知弛緩効果をもたらす可聴音を発生させる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態が、例示の目的で開示されてきたけれども、種々の変更、修正及び置換が、付随の特許請求の範囲によって定められる本発明の真意から逸脱することなくその実施形態に組み込まれてもよいということが理解されるべきである。