特許第6397939号(P6397939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397939
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】アッセイ装置及び標的分析種の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   G01N33/543 531
   G01N33/543 521
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-572287(P2016-572287)
(86)(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公表番号】特表2017-517739(P2017-517739A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】US2015034624
(87)【国際公開番号】WO2015191419
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2017年1月23日
(31)【優先権主張番号】62/009,602
(32)【優先日】2014年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ロスコー,スティーブン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】カン,ミュンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブルティネル,エヴァン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェシー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クライン,レニー ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ミンファ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,シ−チョウ
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−504130(JP,A)
【文献】 特表2013−536431(JP,A)
【文献】 特表2009−513967(JP,A)
【文献】 特表2015−505615(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0227796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料入口を備える受け部と、
前記受け部内に配設され、かつ第1の表面を有するプランジャと、
少なくとも1つの試薬と、
前記プランジャの前記第1の表面に装着された膜と、を備え、
前記膜は、
複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域、
毛管力をもたらすウィック、及び
複数の捕捉化合物が固定された検出領域を有し、前記検出領域は前記標的結合領域と前記ウィックとの間に位置する、アッセイ装置。
【請求項2】
前記プランジャは、前記プランジャに力が加えられると、前記検出領域を、前記ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ前記検出領域を、前記少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くよう構成される、請求項1に記載のアッセイ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの試薬が前記受け部に配設される、請求項1又は2に記載のアッセイ装置。
【請求項4】
前記親和性構成成分のそれぞれが、抗体、リガンド、ペプチドアプタマー、ヌクレオチドアプタマー、又はこれらの組合せを含む結合部分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
【請求項5】
前記捕捉化合物が、アプタマー、ペプチド、抗体、リガンド、又はこれらの組合せを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
【請求項6】
前記プランジャが、前記プランジャが前記受け部内で回転されると、前記検出領域を、前記ウィックと流体連通している状態から切り離すよう構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
【請求項7】
前記プランジャが、前記第1の表面の反対側の第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面と連通している末端部と、を更に備え、前記膜が前記末端部及び前記第2の表面と接触している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
【請求項8】
前記プランジャがばねを備え、前記プランジャが押し下げられると、前記ばねが前記検出領域で前記膜に係合し、かつ前記ばねが伸長し、前記検出領域を、前記ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ前記検出領域を、前記少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置く、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
【請求項9】
表面及び試料入口を有する受け部と、
毛管力をもたらすウィックを有し、前記受け部の前記表面に装着された膜と、
前記受け部に配設された少なくとも1つの試薬と、
前記受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、
複数の捕捉化合物が固定され、前記プランジャの前記表面に装着された前記検出領域と、を備え、前記検出領域が前記試料入口と前記ウィックとの間に位置する、アッセイ装置。
【請求項10】
前記検出領域が、前記プランジャに力が加えられると、前記膜と流体連通している状態から、前記試薬と流体連通している状態に移動される、請求項9に記載のアッセイ装置。
【請求項11】
標的分析種の検出方法であって、
(a)
表面及び試料入口を備える受け部と、
少なくとも1つの試薬と、
前記受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、
毛管力をもたらすウィックを有し、前記プランジャの前記表面か、前記受け部の前記表面か、又は両者に装着された膜と、
複数の捕捉化合物が固定された検出領域と、を備え、前記検出領域が、前記試料入口と前記ウィックとの間に位置する、アッセイ装置を提供することと、
(b)標的分析種の含有が予想される試料を提供することと、
(c)前記試料を、前記試料入口を通して前記膜に添加することと、
(d)前記試料が前記検出領域に到達するまで前記膜に沿って前記試料を移動させることと、
(e)前記標的分析種と前記捕捉化合物との反応によって前記標的分析種を固定することと、
(f)前記固定した標的分析種を前記少なくとも1つの試薬と反応させ、検出可能なシグナルを発生させることと、
(g)前記発生したシグナルを検出することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記反応させることが、前記プランジャに力を加え、前記検出領域を、前記ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ前記検出領域を、前記少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くことを更に含み、前記プランジャに力を加えることが、前記プランジャを回転させること、前記プランジャを押し下げること、又はこれらの組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化学発光、蛍光、比色分析等を利用するものなどの、定量的試験結果を含む、アッセイ装置及び標的分析種の検出方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
側方流動イムノアッセイは、食品及び医療診断業界、並びに迅速な連鎖球菌検査及び妊娠検査等の簡易な臨床現場即時検査において、広く使用されている。側方流動ストリップそのものは、通常、界面活性剤を染み込ませたニトロセルロース膜であり、この膜が装置の測定結果の変動の一因となる。現在のイムノアッセイ法は、典型的には非定量的であり、感度が不足している。
【0003】
したがって、定量的な結果を提供しながらも、迅速な試験結果を提供する、アッセイ装置が依然として求められている。
【発明の概要】
【0004】
アッセイ装置及び標的分析種の検出方法が提供される。第1の態様において、アッセイ装置が提供される。より詳細には、試料入口を含む受け部と、受け部内に配設され、かつ第1の表面を有するプランジャと、少なくとも1つの試薬と、プランジャの第1の表面に装着された膜と、毛管力をもたらすウィックと、検出領域と、を含むアッセイ装置が提供される。膜は、複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域を含む。複数の捕捉化合物が、標的結合領域とウィックとの間に位置する検出領域に固定される。
【0005】
第2の態様において、他のアッセイ装置が提供される。このアッセイ装置は、表面及び試料入口を含む受け部と、受け部の表面に装着された膜と、受け部に配設された少なくとも1つの試薬と、受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、複数の捕捉化合物が固定された検出領域と、を含む。膜は、毛管力をもたらすウィックを有する。検出領域はプランジャの表面に装着され、かつ試料入口とウィックとの間に位置する。
【0006】
第3の態様において、標的分析種の検出方法が提供される。この方法は、(a)表面及び試料入口を含む受け部と、少なくとも1つの試薬と、受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、プランジャの表面、受け部の表面か又は両者に装着された膜と、複数の捕捉化合物が固定された検出領域と、を備える、アッセイ装置を提供することを含む。膜は毛管力をもたらすウィックを有し、かつ検出領域は試料入口とウィックとの間に位置する。この方法は、(b)標的分析種の含有が予想される試料を提供することと、(c)この試料を試料入口を通して膜に添加することと、(d)試料が検出領域に到達するまで膜に沿って試料を移動させることと、(e)標的分析種と捕捉化合物との反応によって標的分析種を固定することと、(f)固定された標的分析種を少なくとも1つの試薬と反応させ、検出可能なシグナルを発生させることと、(g)発生したシグナルを検出することと、を更に含む。
【0007】
このアッセイ装置及び方法を使用することにより、標的分析種の簡便、迅速で、定量的なアッセイが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】アッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図1B】プランジャ押し下げ後の図1Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図2A】アッセイ装置の他の例示的部分断面概略図である。
図2B】プランジャ回転後の図2Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図2C】プランジャ押し下げ後の図2Bのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図3A】アッセイ装置の更なる例示的部分断面概略図である。
図3B】プランジャ回転後の図3Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図3C】プランジャ押し下げ後の図3Bのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図4A】アッセイ装置のまた更なる例示的部分断面概略図である。
図4B】プランジャ回転後の図4Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図4C】プランジャ押し下げ後の図4Bのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図5A】アッセイ装置の更に他の例示的部分断面概略図である。
図5B】プランジャ押し下げ後の図5Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図6A】アッセイ装置の更に他の例示的部分断面概略図である。
図6B】プランジャ押し下げ後の図6Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図7A】アッセイ装置のまた更なる例示的部分断面概略図である。
図7B】最初のプランジャ押し下げ後の図7Aのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
図7C】更なるプランジャ押し下げ後の図7Bのアッセイ装置の例示的部分断面概略図である。
【0009】
上記の図面は正確な縮尺で描画されていない場合もあるが、本開示の各種実施形態を明示している。一方、発明を実施するための形態に記載のとおり、他の実施形態もまた企図される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
アッセイ装置及び標的分析種の検出方法が提供される。
【0011】
端点を用いたいかなる数値範囲の説明も、範囲の端点と、範囲内の全ての数値と、記載された範囲内の任意のより狭い範囲と、を含むことを意味する(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。特に記載のない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値等を表す全ての数値は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものと理解することとする。したがって、逆の記載がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において明示される数値パラメータは、当業者によって本開示の内容を利用して取得が求められる所望の特性に応じ、変動する場合がある。少なくとも、特許請求された実施形態の範囲に対する均等論の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らし、通常の四捨五入の手法を適用して解釈されるべきである。
【0012】
下記の用語定義集については、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が規定されない限り、これらの定義が、本出願の全般に対して適用されるものとする。
【0013】
用語
「発明の詳細な説明」及び「特許請求の範囲」に渡って使用される特定の用語は、ほとんどは周知のものだが、若干の説明を必要とする場合もある。本願では下記のように使用されることを理解するものとする。
【0014】
用語「a」、「an」、及び「the」は「少なくとも1つ(at least one)」と互換的に使用され、記載されている構成要素の1つ又はそれ以上を意味する。
【0015】
用語「及び/又は(and/or)」はいずれか又は両者を意味する。例えば、「A及び/又はB(A and/or B)」という表現は、A、B、又はAとBの組合せを意味する。
【0016】
用語「抗体」は、標的分析種等の特定の抗原と反応する免疫グロブリン分子、及び更に、抗体断片(例えば、ScFv又はFab)を指す。
【0017】
用語「抗原」は、特定の免疫応答を誘導することができ、かつその応答の生成物と反応することができる任意の物質を指す。
【0018】
用語「アプタマー」は、特定の標的分析種の分子又は原子に結合する、DNA又はRNA分子又はタンパク質を指す。
【0019】
用語「リガンド」は、標的分析種の分子又は原子に結合し、その結果複合体を形成する、原子、分子、官能基、又はイオンを指す。
【0020】
用語「親和性構成成分」は、例えば、標的分析種に対する抗体、アプタマー、又はリガンドなどの、標的分析種に結合する物質を指す。親和性構成成分は、結合部分及び検出部分から構成される。結合部分は、抗体、ヌクレオチドアプタマー、ペプチドアプタマー、又はリガンドを含む。検出部分は、酵素、触媒、及び/又は光信号(例えば、比色分析シグナル、蛍光シグナル、又は発光シグナル)を提供する分子を含む。
【0021】
用語「捕捉化合物」は、例えば、標的分析種に対する抗体、アプタマー、又はリガンドなど、標的分析種に結合し、かつ標的分析種を定位置に結合するよう固定されている物質を指す。
【0022】
対象の分析種、例えば、細菌、タンパク質、及び他の原子又は分子は、本質的に化学発光性、蛍光性、有色性等でないことが多く、したがって、特定の検出を実施するためには、分析種の単離及び後続の反応による検出を可能とする、抗体、リガンド又はアプタマー等の親和性構成成分をアッセイ装置に取り込む必要がある。
【0023】
第1の態様において、
試料入口を含む受け部と、
受け部内に配設され、かつ第1の表面を有するプランジャと、
少なくとも1つの試薬と、
プランジャの第1の表面に装着された膜と、を備え、膜は、
複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域、
毛管力をもたらすウィック、及び
複数の捕捉化合物が固定された検出領域を有し、検出領域は標的結合領域とウィックとの間に位置する、アッセイ装置が提供される。
【0024】
図1Aを参照すると、例示的な実施形態において、アッセイ装置100は、試料入口14を有する受け部12と、受け部12内に配設され、かつ第1の表面17を有するプランジャ16と、少なくとも1つの試薬18と、プランジャ16の第1の表面17に装着された膜20と、を備え、膜は、複数の親和性構成成分23が配設された標的結合領域22と、毛管力をもたらすウィック24と、複数の捕捉化合物27が固定された検出領域26と、を有する。検出領域26は、標的結合領域22とウィック24との間に位置する。ある実施形態において、少なくとも1つの試薬18が受け部12に配設され、かつ受け部12は、少なくとも1つの試薬18をプランジャ16から隔離するための障壁28を更に備える。任意に、障壁は、金属ホイル又はポーチ、例えば、内部に少なくとも1つの試薬が配設されたポーチを備える。ある実施形態において、プランジャは、圧縮嵌め、接着剤、又は受け部壁の内部に形成された隆起部を使用して、受け部に固定される。
【0025】
図1Bを参照すると、プランジャ16は、力Fがプランジャ16にかけられると、検出領域26を、ウィック24と流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域26を、少なくとも1つの試薬18と流体連通している状態に置くよう構成される。ある実施形態において、プランジャ16は、障壁28に穴を開けるよう構成された、尖端等の末端部30を含む。プランジャの末端部の形状は、障壁の厚さ及び材料の種類に応じて異なるものとすることができる。図1Bに図示した実施形態において、障壁28はホイルポーチであり、プランジャ16の末端部30は丸みを帯びている。
【0026】
第2の態様において、
表面及び試料入口を備える受け部と、
毛管力をもたらすウィックを有し、受け部の表面に装着された膜と、
受け部に配設された少なくとも1つの試薬と、
受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、
複数の捕捉化合物が固定され、プランジャの表面に装着された検出領域と、を備え、検出領域は試料入口とウィックとの間に位置する、アッセイ装置が提供される。
【0027】
図5A及び5Bを参照すると、アッセイ装置500が図示されている。アッセイ装置500は、表面10及び試料入口14を有する受け部12と、毛管力をもたらすウィック24を有し、受け部12の表面10に装着された膜20と、受け部12に配設された少なくとも1つの試薬18と、受け部12内に配設され、かつ表面17を有するプランジャ16と、複数の捕捉化合物27が固定され、プランジャ16の表面17に装着された検出領域26と、を備え、検出領域26は試料入口14とウィック24との間に位置する。力Fがプランジャ16にかけられると、検出領域26は、膜20と流体連通している状態から、少なくとも1つの試薬18と流体連通している状態に移動される。
【0028】
図1A〜1B及び5A〜5Bにそれぞれ図示したアッセイ装置100及び500の利点は、単一かつ単純な力F(すなわち、プランジャ16の押し下げ)によって、検出領域26を、膜20と流体連通している状態から、少なくとも1つの試薬18と流体連通している状態に移動させることができることである。更に、図5A〜5Bのアッセイ装置500において、少なくとも1つの試薬18がウィック24まで輸送される直接の通路がないため、少なくとも1つの試薬18が過剰な親和性化合物と反応することによるバックグラウンドシグナルが回避される。
【0029】
下記の開示は、上述の第1の態様及び第2の態様に関する。
【0030】
本明細書に開示のアッセイ装置で使用される親和性構成成分は、対象の標的分析種に結合し、かつ検出反応に関与可能なものである限り、特に限定されない。親和性構成成分は、結合部分と検出部分との任意の組合せを含む。上述のとおり、結合部分は、抗体、ヌクレオチドアプタマー、ペプチドアプタマー、又はリガンドを含み、かつ検出部分は、酵素、触媒、及び/又は光信号(例えば、比色分析シグナル、蛍光シグナル、又は発光シグナル)を提供する分子を含む。親和性構成成分の検出部分として好適なもののうちいくつかとしては、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。親和性構成成分と同様に、捕捉化合物も、検出領域の定位置に固定されたまま留まり、かつ対象の標的分析種に結合する限り、限定されない。捕捉化合物は、典型的に、アプタマー、ペプチド、抗体、リガンド、又はこれらの組合せを含む。
【0031】
検出可能なシグナル(例えば、化学発光又は蛍光反応からの光、比色分析からの吸光度等)を発生させるため、任意の捕捉された分析種及びそれらが結合した親和性構成成分を、少なくとも1つの試薬と反応させる。多くの実施形態において、少なくとも1つの試薬は過酸化水素及び/又はルシフェリンを含む。好ましくは、少なくとも1つの試薬は、水溶液を含む。過酸化水素が関与する化学発光反応にはルミノールが使用されることが多いため、本開示のある態様において、障壁はポーチを備え、かつポーチはルミノールを含有する。1つの好適なポーチは、2つのプラスチックリングを有するカップ構造を備え、ホイルの層が各リングに取り付けられ、かつ各リングを覆い、取り囲まれたカップを形成する。ポーチは、捕捉された標的分析種の添加前にルミノール及び過酸化水素が反応するのを防止するが、一旦ポーチに穴が開けられると、ルミノールは過酸化水素に接触できるようになる。ある実施形態において、親和性構成成分は、アプタマーに結合された酵素又は抗体に結合された酵素を含む。当業者であれば、対象の標的分析種に対し特定のアプタマー及び抗体を特定することができる。一般的な酵素としては、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ及びルシフェラーゼが挙げられる。アプタマー又は抗体に結合されたセイヨウワサビペルオキシダーゼ酵素を含む態様では、例えば、ルミノール及び過酸化水素と反応するセイヨウワサビペルオキシダーゼが結合した量をもとに、標的分析種の定量的測定が行われる。受け部において膜を使用する利点は、毛管作用によって溶液中の触媒を少なくとも1つの試薬からウィックの方向に連続的に移動させることで、余剰の反応触媒(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ)を除去することにより、バックグラウンドシグナルを最小化することである。
【0032】
膜は、流動アッセイにおいて典型的に利用される1つ以上の材料を任意に備え、材料は、例えば、流体制御フィルム、毛管により流体を誘導する装置(例えば、流体制御フィルムの積層体)、ニトロセルロース、又はナイロン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、若しくはフッ化ポリビニリデン(PVDF)製の膜等の他の不織膜であるが、これらに限定されるものではない。例えば、好適なニトロセルロース膜及びPVDF膜は当業者には既知であり、Bio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules,CA)等の供給業者から市販されている。膜の検出領域は、試料溶液中の標的分析種と捕捉化合物との間の接触を最大化するための曲がりくねった流路を有する、不織膜又は類似の材料を任意に含む。
【0033】
流体制御フィルムは、少なくとも1つのマイクロ構造を有する支持表面を含むシートを備え、この表面内部にある1つ以上のチャネルにより、流体の制御又は方向性のある流れが可能となり、促進され、又は容易になる。好適な流体制御フィルムは、米国特許第5,514,120号、同第5,728,446号、同第6,080,243号、及び同第6,290,685号に記載されている。流体制御フィルムは、典型的には繊維のかたまりというよりはシート又はフィルムの形態である。流体制御フィルムのチャネルは、繊維から形成される、ウェブ、発泡体、又はトウによって通常もたらされるものより、効果的な流体流を提供する。繊維に形成されるチャネルの壁は、比較的不規則な起伏及び複雑な表面を呈し、チャネルを通過する流体の流れを妨げる。これに対し、かかるチャネルは所定のパターンから正確に再現され、主表面に沿って延在する、一連の個々の開口毛管チャネルを形成する。シート、フィルム、又は管に再現されたこれらのマイクロチャネルは、好ましくは、実質的に各チャネルの長さに沿って、更に好ましくは、チャネル間で均一かつ規則的である。流体は、典型的に、流体制御フィルム中の約2.5インチ(6.35cm)の距離を約15秒以内で吸い上げられる。流体制御フィルムを利用する利点としては、不織膜と比較して流路がより均一であり、したがって、より再現性の高い結果が得られることが挙げられる。
【0034】
流体制御フィルムは、キャスティング、又はエンボス加工に好適な任意の熱可塑性材料、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(塩化ビニル)、ポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテートの加水分解誘導体等、又はこれらの組合せから形成することができる。ポリオレフィンが通常用いられ、特にポリエチレン又はポリプロピレン、これらのブレンド及び/又はコポリマーが配合され、プロピレン及び/又はエチレンのコポリマーは、少ない割合でビニルアセテート、又はメチルアクリレート及びブチルアクリレート等のアクリレート等の他のモノマーを共に配合される。ポリオレフィンは優れた物理的特性を呈し、加工が容易で、典型的には、類似の特徴を有する他の熱可塑性材料よりも安価である。ポリオレフィンは、キャスティング又はエンボスロールの表面を容易に再現する。これらは丈夫で耐久性があり、かつ形状を良く保持するため、キャスティング加工又はエンボス加工後のかかるフィルムの取扱いが容易となる。親水性ポリウレタンもまた、有利な物理的特性と、固有の高い表面エネルギーとを有する。あるいは、流体制御フィルムを、ポリウレタン、アクリレート、エポキシ及びシリコーン等の熱硬化性材料(硬化性樹脂材料)からキャスティングすることができ、熱又はUV若しくは電子ビーム照射、又は湿気への曝露によって硬化させることができる。これらの材料は、表面エネルギー調整剤(界面活性剤及び親水性ポリマー等)、可塑剤、抗酸化剤、顔料、離型剤、帯電防止剤等を含む、各種の添加物を含有する。好適な流体制御フィルムを、また、感圧性接着材料を使用して製造することもできる。いくつかの場合において、チャネルは無機材料(例えば、ガラス、セラミックス、又は金属)を使用して形成され得る。好ましくは、流体制御フィルムは、液体に曝露されると、幾何学及び表面特性を実質的に保持する。
【0035】
多くの実施形態において、アッセイ装置のプランジャは、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面及び第2の表面と連通している末端部と、を更に備え、膜は末端部及び第2の表面と接触している。例えば、図1Aは、プランジャ16の第1の表面17の反対側のプランジャ16の第2の表面29と、第1の表面17及び第2の表面29と連通している末端部30と、を図示し、膜20は末端部30及び第2の表面29と接触している。図1Aに示した実施形態において、膜20はプランジャ16を囲むU字形状を備える。V字形状、角張ったU字形状等の膜の他の形状もまた、企図される。膜の検出領域は、プランジャの末端部に位置することが多い。図1A、2A、3A、5A、及び6Aのそれぞれを参照すると、プランジャ16の末端部30に検出領域26を有することにより、検出領域を、少なくとも1つの試薬の比較的近くに置く。ある態様において、受け部12は、試験管又は試験管に類似の形状を備える。アッセイ装置を3M CLEAN−TRACE NG照度計(3M Company(St.Paul,MN)より入手可能)等の測定器に設置する際は、プランジャ16の末端部30は、照度計の検出領域近くに置かれることになる。
【0036】
ある実施形態において、アッセイ装置は、上記の障壁に穴を開けるのを支援するための構成要素(図示せず)、例えば、公開されている国際特許出願WO97/23596に記載のシャトル、を更に含む。この構成要素は、尖端部、末端部上の少なくとも1つの突出部、及び構成要素の表面の少なくとも1つの開口部の、1つ以上を含む。典型的には、かかる構成要素は、プランジャの末端部が丸みを帯びているか、若しくは角張っている場合、又は検出領域がプランジャの末端部に位置している場合に、有利に使用され得る。かかる構成要素を有するアッセイ装置の例示的な構成は、プランジャの底部と、試薬溶液上部の障壁との間に配設された構成要素を含む。この構成要素は、障壁を破断するため独立して移動可能なものであってもよく、又はプランジャが操作されたとき、プランジャが障壁に到達する前に構成要素が障壁に穴を開けるように、プランジャに装着されていてもよい。ある実施形態において、構成要素は、構成要素が障壁を破断し試薬溶液と接触した際に反応混合物に添加されるべき固体試薬で被覆されているか、又はこの固体試薬を含有する。
【0037】
任意に、膜は、ウィックと検出領域との間に配設された制御ラインを更に備え、制御ラインは一般的な捕捉化合物を含む。図3Aを参照すると、アッセイ装置300は、膜20上の、ウィック24と検出領域26との間に制御ライン32を含むものとして図示されている。一般的な捕捉化合物は、過剰の親和性構成成分が一般的な捕捉化合物と反応する際に変色をもたらす。制御ラインは窓34を通して容易に見ることができ、試料が検出領域を通過したか、及び任意の捕捉された標的分析種が検出可能な状態となっているかを、使用者が視覚的に判定できるようにする。あるいは、ウィック24(全体又は一部)は、わずかに緩衝化したpH指示薬によって処理されてもよい。例えば、ブロモフェノールブルーは、pHが3から5に増加するにつれ、黄色から青色へと変化する。一旦緩衝化されるとpHが5以上になる任意の試料に関しては、この青色の出現は、かかる試料の状態が、捕捉された何らかの標的分析種を検出可能なものとなったことの指標として機能する。
【0038】
図3A〜3C及び2A〜2Cはそれぞれ、ねじ山が設けられた下方部36を含むプランジャ16を収容するアッセイ装置300及びアッセイ装置200を更に図示する。ねじ山が設けられた下方部36は、受け部12の壁13に接続されたアライナ38にマウントされ、プランジャ16がその垂直軸まわりに回転された際、膜20の下方部40は回転せず、かつ発生した引き離し力が、下方部40を膜20の残りの部分から引き離す。アライナ38は、例えば、壁のスロット内に突出部を入れて(図示せず)垂直方向に移動できるように壁13に接続され、プランジャ16のねじ山が設けられた下方部36の回転と共に下方部40が下方に移動できるようにし、膜20に物理的な間隙を生じさせる。プランジャ16が続いて押し下げられると、下方部40は障壁28を破断することが可能となり、少なくとも1つの試薬18と相互作用するが、膜20の破断が、任意の過剰の親和性構成成分23が保持されているウィック24までの反応液の移行を防止する。
【0039】
図4A〜4Bを参照すると、アッセイ装置400が図示されている。この態様において、アッセイ装置400は、プランジャ16と、受け部12内に配設されたプランジャスリーブ19とを収容する受け部12を含む。この装置は、プランジャスリーブ19の外面15に装着された膜20を備える。プランジャスリーブ19は、プランジャスリーブ19の、膜20の検出領域26に隣接する部分に開口部を画定するよう構成される。プランジャスリーブ19は、受け部12の壁13に接続されたアライナ38にマウントされることによって本態様の受け部12に固定される。アライナ38は、垂直に移動できるよう、壁の垂直スロット(図示せず)と連通する等して、壁13に接続される。検出領域26はプランジャ16の表面に装着される。複数の捕捉化合物27が検出領域26上に固定される。図4Bに示したとおり、プランジャ16が回転されると、膜20の検出領域26のみが回転し、その結果発生した引き離し力が、検出領域26を膜20の残りの部分から引き離し、検出領域26をプランジャスリーブ19の内部へと移動させる。図4Cに示したとおり、プランジャ16が引き続き押し下げられると、プランジャの末端部30が障壁28に穴を開け、かつ検出領域26は破断された障壁28を通過して移動し、受け部12内に含有された少なくとも1つの試薬18と流体連通する。
【0040】
追加的に、プランジャ16はまた、ポーチを備える障壁に穴を開けるために使用されてもよく、ひいては、過剰の構成成分を、少なくとも1つの試薬18に同時に添加することが可能となる。膜20は、ウィック24が膜20の底部にあり、かつ試料入口(図示せず)が頂部にある状態で示されている。この状態において、試料流体は下向きに流れる。この態様の変化形において、アッセイ装置400は単純に改変することができ、試料入口が図4A〜4Bで示したウィック24の位置に置かれ、ウィック24は検出領域26の上方の位置に再配置される。かかる装置は、膜の下方末端が試験溶液に浸される慣用法である、ディップスティック膜として機能する。添加された任意の過剰試料は試料入口から逆流するため、潜在的な試料の過剰充填は防止される。
【0041】
図2B、3B、及び4Bのそれぞれを参照すると、アッセイ装置のある種の実施形態において、プランジャ16が受け部12内で回転されるとき、プランジャ16は、検出領域26を、ウィック24と流体連通している状態から切り離すように構成される。
【0042】
図6A及び6Bを参照すると、アッセイ装置600が示されている。プランジャ16はばね44を備え、プランジャ16が押し下げられると、ばね44は検出領域26で膜20に係合し、かつばね44は伸長し、検出領域26(この上に複数の捕捉化合物27が固定されている)を、ウィック24と流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域26を、少なくとも1つの試薬18と流体連通している状態に置く。
【0043】
図7A及び7Bを参照すると、アッセイ装置700が示されている。プランジャ16はばね44を備え、プランジャ16が押し下げられると、ばね44は膜20に係合し、かつばね44は伸長し、部分21において膜20に破断を生じ、検出領域26が引き続きウィック24と流体連通している状態を防止する。図7Cを参照すると、プランジャ16が更に押し下げられると、検出領域26(この上に複数の捕捉化合物27が固定されている)は、少なくとも1つの試薬18と流体連通している状態に置かれる。部分21における膜20の破断は、少なくとも1つの試薬のウィック24方向への流体流を最小化し、それによって検出中のバックグラウンドシグナルを最小化する。
【0044】
アッセイ装置の他の一実施形態(図示せず)において、少なくとも1つの試薬はプランジャ内に配設され、かつプランジャは、少なくとも1つの試薬の一部を放出し、少なくとも1つの試薬の一部を、検出領域と流体連通している状態に置くよう構成される。かかる構成により、少なくとも1つの試薬を膜から隔離するための隔離障壁の使用を回避する。
【0045】
アッセイ装置の更なる実施形態(図示せず)において、受け部の一部は不透明であり、かつ受け部の一部は光に対して透明である。受け部の一部を不透明とすると、受け部の光に対して透明な部分を透過するバックグラウンドシグナルの検出が最小限に抑えられることが利点である。
【0046】
第3の態様において、標的分析種の検出方法が提供され、この方法は、
(a)
表面及び試料入口を備える受け部と、
少なくとも1つの試薬と、
受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、
毛管力をもたらすウィックを有し、プランジャの表面か、受け部の表面か、又は両者に装着された膜と、
複数の捕捉化合物が固定された検出領域と、を備え、検出領域が、試料入口とウィックとの間に位置する、アッセイ装置を提供することと、
(b)標的分析種の含有が予想される試料を提供することと、
(c)この試料を、試料入口を通して膜に添加することと、
(d)試料が検出領域に到達するまで膜に沿って試料を移動させることと、
(e)標的分析種と捕捉化合物との反応によって標的分析種を固定することと、
(f)固定された標的分析種を少なくとも1つの試薬と反応させ、検出可能なシグナルを発生させることと、
(g)発生したシグナルを検出することと、を含む。
【0047】
第1及び第2の態様に関して詳細に上述したアッセイ装置のいずれも、第3の態様の方法における使用に好適である。
【0048】
ある実施形態において、試料を提供することは、複数の親和性構成成分を試料に添加し、任意の標的分析種を結合させることを更に含む。一方、他の実施形態において、膜は、複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域を更に備え、標的結合領域は、試料入口と検出領域との間に位置する。
【0049】
ほとんどの実施形態において、検出領域はプランジャの表面に装着され、かつ/又は受け部の表面に装着される。固定された標的分析種を少なくとも1つの試薬と反応させ、検出可能なシグナルを発生させるため、反応させることは、プランジャに力を加え、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くことを更に含む。例えば、プランジャに力を加えることは、典型的に、プランジャを回転させること、プランジャを押し下げること、又はプランジャを回転させてからプランジャを押し下げることを含む。
【0050】
本方法の利点の1つは、本方法が、各種の定量的検出方法と適合性があることである。例えば、ある一実施形態において、発生されたシグナルは発光を含み、かつ検出することは、照度計を使用して発光を計測することを含む。他の一実施形態において、発生されたシグナルは蛍光を含み、かつ検出することは蛍光光度計を使用することを含み、並びに更なる実施形態では、発生されたシグナルは変色を含み、かつ検出することは比色計を使用することを含む。好ましくは、検出することは、発光、蛍光、又は変色を定量化することを更に含む。
【0051】
アッセイ装置又はアッセイ装置を使用して標的分析種を検出する方法について、各種の項目を説明する。
【0052】
実施形態1は、アッセイ装置であり、試料入口を有する受け部と、受け部内に配設され、かつ第1の表面を有するプランジャと、少なくとも1つの試薬と、プランジャの第1の表面に装着された膜と、を備え、膜は、複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域、毛管力をもたらすウィック、及び複数の捕捉化合物が固定された検出領域を有する。検出領域は、標的結合領域とウィックとの間に位置する。
【0053】
実施形態2は、実施形態1に記載のアッセイ装置であり、プランジャは、プランジャに力が加えられると、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くよう構成される。
【0054】
実施形態3は、実施形態1又は2に記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬が受け部に配設される。
【0055】
実施形態4は、実施形態1〜3のいずれかに記載のアッセイ装置であり、受け部は、少なくとも1つの試薬をプランジャから隔離するための障壁を更に備える。
【0056】
実施形態5は、実施形態4に記載のアッセイ装置であり、障壁は金属ホイル又はポーチを備える。
【0057】
実施形態6は、実施形態4に記載のアッセイ装置であり、プランジャは、障壁に穴を開けるように構成された末端部を更に備える。
【0058】
実施形態7は、実施形態4又は5に記載のアッセイ装置であり、プランジャは尖端を備える。
【0059】
実施形態8は、実施形態1に記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬が受け部内に配設される。
【0060】
実施形態9は、実施形態8に記載のアッセイ装置であり、プランジャは、少なくとも1つの試薬の一部を放出し、少なくとも1つの試薬の一部を検出領域と流体連通している状態に置くよう構成される。
【0061】
実施形態10は、実施形態1〜9のいずれかに記載のアッセイ装置であり、受け部の一部は不透明であり、かつ受け部の一部は光に対して透明である。
【0062】
実施形態11は、実施形態1〜10のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分のそれぞれは、抗体、リガンド、ペプチドアプタマー、ヌクレオチドアプタマー、又はこれらの組合せを含む結合部分を含む。
【0063】
実施形態12は、実施形態1〜11のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分のそれぞれは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、又はこれらの組合せを含む検出部分を含む。
【0064】
実施形態13は、実施形態1〜12のいずれかに記載のアッセイ装置であり、捕捉化合物は、アプタマー、ペプチド、抗体、リガンド、又はこれらの組合せを含む。
【0065】
実施形態14は、実施形態1〜13のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬は過酸化水素を含む。
【0066】
実施形態15は、実施形態1〜14のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬はルシフェリンを含む。
【0067】
実施形態16は、実施形態15に記載のアッセイ装置であり、障壁はポーチを備え、かつポーチはルミノールを含有する。
【0068】
実施形態17は、実施形態1〜16のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分は、ペプチドアプタマー又はヌクレオチドアプタマーに結合された酵素を含む。
【0069】
実施形態18は、実施形態1〜16のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分は、抗体に結合された酵素を含む。
【0070】
実施形態19は、実施形態1〜18のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬は水溶液を含む。
【0071】
実施形態20は、実施形態1〜19のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜は流体制御フィルムである。
【0072】
実施形態21は、実施形態1〜20のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜はニトロセルロースを含む。
【0073】
実施形態22は、実施形態1〜21のいずれかに記載のアッセイ装置であり、検出領域は不織膜を備える。
【0074】
実施形態23は、実施形態1〜7又は10〜22のいずれかに記載のアッセイ装置であり、プランジャは、プランジャが受け部内で回転されると、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離すよう構成される。
【0075】
実施形態24は、実施形態1〜18のいずれかに記載のアッセイ装置であり、プランジャは、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面及び第2の表面と連通している末端部と、を更に備え、膜は末端部及び第2の表面と接触している。
【0076】
実施形態25は、実施形態24に記載のアッセイ装置であり、検出領域はプランジャの末端部に位置する。
【0077】
実施形態26は、実施形態1〜25のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜は、ウィックと検出領域との間に配設された制御ラインを更に備え、制御ラインは一般的な捕捉化合物を含む。
【0078】
実施形態27は、実施形態1〜26のいずれかに記載のアッセイ装置であり、受け部は試験管を備える。
【0079】
実施形態28は、実施形態1〜27のいずれかに記載のアッセイ装置であり、プランジャはばねを備え、プランジャが押し下げられるとばねは検出領域で膜に係合し、かつばねは伸長し、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置く。
【0080】
実施形態29は、実施形態1〜27のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜は毛管による流体誘導体を備える。
【0081】
実施形態30は、実施形態29に記載のアッセイ装置であり、毛管による流体誘導体は積層された流体輸送フィルムを含む。
【0082】
実施形態31は、アッセイ装置であり、表面及び試料入口を有する受け部と、毛管力をもたらすウィックを有し、受け部の表面に装着された膜と、受け部に配設された少なくとも1つの試薬と、受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、複数の捕捉化合物が固定され、プランジャの表面に装着された検出領域と、を備え、検出領域は試料入口とウィックとの間に位置する。
【0083】
実施形態32は、実施形態31に記載のアッセイ装置であり、検出領域は、プランジャに力が加えられると、膜と流体連通している状態から、試薬と流体連通している状態に移動される。
【0084】
実施形態33は、実施形態31又は32に記載のアッセイ装置であり、受け部の一部は不透明であり、かつ受け部の一部は光に対して透明である。
【0085】
実施形態34は、実施形態31〜33のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分のそれぞれは、抗体、リガンド、ペプチドアプタマー、ヌクレオチドアプタマー、又はこれらの組合せを含む結合部分を含む。
【0086】
実施形態35は、実施形態31〜34のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分のそれぞれは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、又はこれらの組合せを含む検出部分を含む。
【0087】
実施形態36は、実施形態31〜35のいずれかに記載のアッセイ装置であり、捕捉化合物は、アプタマー、ペプチド、抗体、リガンド、又はこれらの組合せを含む。
【0088】
実施形態37は、実施形態31〜36のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬は過酸化水素を含む。
【0089】
実施形態38は、実施形態31〜37のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬はルシフェリンを含む。
【0090】
実施形態39は、実施形態31〜38のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分は、ペプチドアプタマー又はヌクレオチドアプタマーに結合された酵素を含む。
【0091】
実施形態40は、実施形態31〜38のいずれかに記載のアッセイ装置であり、親和性構成成分は、抗体に結合された酵素を含む。
【0092】
実施形態41は、実施形態31〜40のいずれかに記載のアッセイ装置であり、少なくとも1つの試薬は水溶液を含む。
【0093】
実施形態42は、実施形態31〜41のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜は流体制御フィルムである。
【0094】
実施形態43は、実施形態31〜42のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜はニトロセルロースを含む。
【0095】
実施形態44は、実施形態31〜43のいずれかに記載のアッセイ装置であり、検出領域は不織膜を備える。
【0096】
実施形態45は、実施形態31〜44のいずれかに記載のアッセイ装置であり、プランジャは、プランジャが受け部内で回転されると、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くよう構成される。
【0097】
実施形態46は、実施形態31〜45のいずれかに記載のアッセイ装置であり、受け部は、少なくとも1つの試薬をプランジャから隔離するための障壁を更に備える。
【0098】
実施形態47は、実施形態46に記載のアッセイ装置であり、障壁は金属ホイル又はポーチを備える。
【0099】
実施形態48は、実施形態47に記載のアッセイ装置であり、プランジャは、障壁に穴を開けるように構成された末端部を更に備える。
【0100】
実施形態49は、実施形態47又は48に記載のアッセイ装置であり、プランジャは尖端を備える。
【0101】
実施形態50は、実施形態38に記載のアッセイ装置であり、障壁はポーチを備え、かつポーチはルミノールを含有する。
【0102】
実施形態51は、実施形態31〜50のいずれかに記載のアッセイ装置であり、膜は、ウィックと検出領域との間に配設された制御ラインを更に備え、制御ラインは一般的な捕捉化合物を含む。
【0103】
実施形態52は、実施形態31〜51のいずれかに記載のアッセイ装置であり、受け部は試験管を備える。
【0104】
実施形態53は、標的分析種の検出方法であり、この方法は、(a)表面及び試料入口を有する受け部と、少なくとも1つの試薬と、受け部内に配設され、かつ表面を有するプランジャと、毛管力をもたらすウィックを有し、プランジャの表面か、受け部の表面か、又は両者に装着された膜と、複数の捕捉化合物が固定された検出領域と、を備え、検出領域は試料入口とウィックとの間に位置する、アッセイ装置を提供することと、(b)標的分析種の含有が予想される試料を提供することと、(c)この試料を、試料入口を通してこの膜に添加することと、(d)試料が検出領域に到達するまで膜に沿って試料を移動させることと、(e)標的分析種と捕捉化合物との反応によって標的分析種を固定することと、(f)固定された標的分析種を少なくとも1つの試薬と反応させ、検出可能なシグナルを発生させることと、(g)発生したシグナルを検出することと、を含む。
【0105】
実施形態54は、実施形態53に記載の方法であり、試料を提供することは、複数の親和性構成成分を試料に添加し、任意の標的分析種を結合させることを更に含む。
【0106】
実施形態55は、実施形態53に記載の方法であり、膜は、複数の親和性構成成分が配設された標的結合領域を更に備え、標的結合領域は、試料入口と検出領域との間に位置する。
【0107】
実施形態56は、実施形態53〜55のいずれかに記載の方法であり、反応させることは、プランジャに力を加え、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くことを更に含む。
【0108】
実施形態57は、実施形態56に記載の方法であり、プランジャに力を加えることは、プランジャを回転させることを含む。
【0109】
実施形態58は、実施形態56に記載の方法であり、プランジャに力を加えることは、プランジャを押し下げることを含む。
【0110】
実施形態59は、実施形態53〜58のいずれかに記載の方法であり、検出領域はプランジャの表面に装着される。
【0111】
実施形態60は、実施形態53〜58のいずれかに記載の方法であり、検出領域は受け部の表面に装着される。
【0112】
実施形態61は、実施形態53〜60のいずれかに記載の方法であり、発生されたシグナルは発光を含み、かつ検出することは、照度計を使用して発光を計測することを含む。
【0113】
実施形態62は、実施形態61に記載の方法であり、検出することは、発光を定量化することを更に含む。
【0114】
実施形態63は、実施形態53〜60のいずれかに記載の方法であり、発生されたシグナルは蛍光を含む。
【0115】
実施形態64は、実施形態63に記載の方法であり、検出することは、蛍光を定量化することを更に含む。
【0116】
実施形態65は、実施形態53〜60のいずれかに記載の方法であり、発生されたシグナルは変色を含む。
【0117】
実施形態66は、実施形態65に記載の方法であり、検出することは、変色を定量化することを更に含む。
【0118】
実施形態67は、実施形態53〜66のいずれかに記載の方法であり、受け部の一部は不透明であり、かつ受け部の一部は光に対して透明である。
【0119】
実施形態68は、実施形態53〜67のいずれかに記載の方法であり、親和性構成成分のそれぞれは、抗体、リガンド、ペプチドアプタマー、ヌクレオチドアプタマー、又はこれらの組合せを含む結合部分を含む。
【0120】
実施形態69は、実施形態53〜68のいずれかに記載の方法であり、親和性構成成分のそれぞれは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、又はこれらの組合せを含む検出部分を含む。
【0121】
実施形態70は、実施形態53〜69のいずれかに記載の方法であり、捕捉化合物は、アプタマー、ペプチド、抗体、リガンド、又はこれらの組合せを含む。
【0122】
実施形態71は、実施形態53〜70のいずれかに記載の方法であり、少なくとも1つの試薬は過酸化水素を含む。
【0123】
実施形態72は、実施形態53〜71のいずれかに記載の方法であり、少なくとも1つの試薬はルシフェリンを含む。
【0124】
実施形態73は、実施形態53〜71のいずれかに記載の方法であり、親和性構成成分は、ペプチドアプタマー又はヌクレオチドアプタマーに結合された酵素を含む。
【0125】
実施形態74は、実施形態53〜71のいずれかに記載の方法であり、親和性構成成分は、抗体に結合された酵素を含む。
【0126】
実施形態75は、実施形態53〜74のいずれかに記載の方法であり、少なくとも1つの試薬は水溶液を含む。
【0127】
実施形態76は、実施形態53〜75のいずれかに記載の方法であり、膜は流体制御フィルムである。
【0128】
実施形態77は、実施形態53〜76のいずれかに記載の方法であり、膜はニトロセルロースを含む。
【0129】
実施形態78は、実施形態53〜77のいずれかに記載の方法であり、検出領域は不織膜を備える。
【0130】
実施形態79は、実施形態53〜78のいずれかに記載の方法であり、プランジャは、プランジャが受け部内で回転されると、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置くよう構成される。
【0131】
実施形態80は、実施形態53に記載の方法であり、少なくとも1つの試薬が受け部に配設される。
【0132】
実施形態81は、実施形態53〜80のいずれかに記載の方法であり、受け部は、少なくとも1つの試薬をプランジャから隔離するための障壁を更に備える。
【0133】
実施形態82は、実施形態81に記載の方法であり、障壁は金属ホイル又はポーチを備える。
【0134】
実施形態83は、実施形態82に記載の方法であり、障壁はポーチを備え、かつポーチはルミノールを含有する。
【0135】
実施形態84は、実施形態82に記載の方法であり、プランジャは、障壁に穴を開けるように構成された末端部を更に備える。
【0136】
実施形態85は、実施形態82又は実施形態83に記載の方法であり、プランジャは尖端を備える。
【0137】
実施形態86は、実施形態53に記載の方法であり、少なくとも1つの試薬がプランジャ内に配設される。
【0138】
実施形態87は、実施形態86に記載の方法であり、プランジャは、少なくとも1つの試薬の一部を放出し、少なくとも1つの試薬の一部を検出領域と流体連通している状態に置くよう構成される。
【0139】
実施形態88は、実施形態53〜87のいずれかに記載の方法であり、プランジャは、第1の表面の反対側の第2の表面と、第1の表面及び第2の表面と連通している末端部と、を更に備え、膜は末端部及び第2の表面と接触している。
【0140】
実施形態89は、実施形態88に記載の方法であり、検出領域はプランジャの末端部に位置する。
【0141】
実施形態90は、実施形態53〜89のいずれかに記載の方法であり、膜は、ウィックと検出領域との間に配設された制御ラインを更に備え、制御ラインは一般的な捕捉化合物を含む。
【0142】
実施形態91は、実施形態53〜90のいずれかに記載の方法であり、受け部は試験管を備える。
【0143】
実施形態92は、実施形態53〜91のいずれかに記載の方法であり、プランジャはばねを備え、プランジャが押し下げられるとばねは検出領域で膜に係合し、かつばねは伸長し、検出領域を、ウィックと流体連通している状態から切り離し、かつ検出領域を、少なくとも1つの試薬と流体連通している状態に置く。
【0144】
実施形態93は、実施形態53〜92のいずれかに記載の方法であり、膜は毛管による流体誘導体を備える。
【0145】
実施形態94は、実施形態93に記載の方法であり、毛管による流体誘導体は積層された流体輸送フィルムを備える。
【0146】
(実施例)
本発明の目的及び利点は、以下の実施例により更に例示されるが、これらの実施例に列挙したその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に限定すると解釈されるべきではない。これらの実施例は説明目的のためのものにすぎず、添付の「特許請求の範囲」の範囲を限定することを意図するものではない。
【0147】
材料
特に断りのない限り、本明細書の実施例及びその他の部分における全ての部、百分率、比等は、重量基準である。特に断りのない限り、全ての化学物質は、Sigma−Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)より入手可能である。
【0148】
実施例1−1:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計(3M Company,St.Paul,MN)等の携帯式照度計によって測定する。
【0149】
実施例1−2:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−二アンモニウム塩)を含有させる。試料溶液のアリコート200μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたABTSを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、無色のABTSを、青色のラジカルカチオンへと酸化する。青色の強度は、カラーチャートとの比較によって視覚的に、又は3M CLEAN−TRACE比色計(3M Company,St.Paul,MN)等の比色計によって、評価できる。
【0150】
実施例1−3:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ADHP(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)を含有させる。試料溶液のアリコート250μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたADHPを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、非蛍光性のADHPを、高蛍光性のレゾルフィンへと酸化する。蛍光の強度は、標準UVランプ照射によって視覚的に、又は好適には、蛍光光度計によって励起波長〜570nm及び蛍光波長〜585nmを用い、評価できる。
【0151】
実施例1−4:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH7の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計(3M Company,St.Paul,MN)等の携帯式照度計によって測定する。
【0152】
実施例1−5:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−二アンモニウム塩)を含有させる。試料溶液のアリコート200μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH7の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたABTSを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、無色のABTSを、青色のラジカルカチオンへと酸化する。青色の強度は、カラーチャートとの比較によって視覚的に、又は3M CLEAN−TRACE比色計(3M Company,St.Paul,MN)等の比色計によって、評価できる。
【0153】
実施例1−6:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーを、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ADHP(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)を含有させる。試料溶液のアリコート250μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH7の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたADHPを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、非蛍光性のADHPを、高蛍光性のレゾルフィンへと酸化する。蛍光の強度は、標準UVランプ照射によって視覚的に、又は好適には、蛍光光度計によって励起波長〜570nm及び蛍光波長〜585nmを用い、評価できる。
【0154】
実施例2−1
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0155】
実施例2−2:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH7の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0156】
実施例2−3:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH5の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0157】
実施例2−4:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。続いて、pH9の緩衝液のアリコート1mLを、試料入口を通して添加し、流体輸送フィルム及び検出領域の過剰のHRP結合抗体を洗い落とす。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0158】
実施例2−5
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−二アンモニウム塩)を含有させる。試料溶液のアリコート400μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたABTSを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、無色のABTSを、青色のラジカルカチオンへと酸化する。青色の強度は、カラーチャートとの比較によって視覚的に、又は3M CLEAN−TRACE比色計等の比色計によって、評価できる。
【0159】
実施例2−6:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ADHP(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)を含有させる。試料溶液のアリコート800μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたADHPを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、非蛍光性のADHPを、高蛍光性のレゾルフィンへと酸化する。蛍光の強度は、標準UVランプ照射によって視覚的に、又は好適には、蛍光光度計によって励起波長〜570nm及び蛍光波長〜585nmを用い、評価できる。
【0160】
実施例3−1:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート250μLをpH7の緩衝液1mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0161】
実施例3−2:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−二アンモニウム塩)を含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート100μLをpH7の緩衝液1mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたABTSを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、無色のABTSを、青色のラジカルカチオンへと酸化する。青色の強度は、カラーチャートとの比較によって視覚的に、又は3M CLEAN−TRACE比色計等の比色計によって、評価できる。
【0162】
実施例3−3:
クロストリジウム・ディフィシルに対する抗体を、米国特許第8,697,374号に記載のとおり、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。クロストリジウム・ディフィシルに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ADHP(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)を含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート250μLをpH7の緩衝液1mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるクロストリジウム・ディフィシルも、HRP結合抗体と反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたADHPを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、非蛍光性のADHPを、高蛍光性のレゾルフィンへと酸化する。蛍光の強度は、標準UVランプ照射によって視覚的に、又は好適には、蛍光光度計によって励起波長〜570nm及び蛍光波長〜585nmを用い、評価できる。
【0163】
実施例4−1:
アフラトシキン結合ペプチドをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。アフラトシキンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。検出領域は、流体輸送を阻害しないが物理的なストレスを受けると破断する2つの弱化された領域(例えば、穿孔)によって、いずれの側にも結合される。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート50μLをpH7の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が下方のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って下方に毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるアフラトシキンも、HRP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを試薬溶液と接触させ、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0164】
実施例4−2:
アフラトシキン結合ペプチドをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。アフラトシキンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。検出領域は、流体輸送を阻害しないが物理的なストレスを受けると破断する2つの弱化された領域(例えば、穿孔)によって、いずれの側にも結合される。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート50μLをpH8の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が下方のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って下方に毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるアフラトシキンも、HRP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを試薬溶液と接触させ、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0165】
実施例4−3:
アフラトシキン結合ペプチドをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。アフラトシキンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。検出領域は、流体輸送を阻害しないが物理的なストレスを受けると破断する2つの弱化された領域(例えば、穿孔)によって、いずれの側にも結合される。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート50μLをpH9の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が下方のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って下方に毛管移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるアフラトシキンも、HRP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを試薬溶液と接触させ、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0166】
実施例5−1:
トロポミオシン結合ペプチドをアルカリホスファターゼ(AP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。トロポミオシンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。CDP Star(ABI,Thermo)等の化学発光AP基質を、界面活性剤及び/又はSapphire II又はEmerald II等の化学発光増強剤を任意に含有する試薬溶液中に含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート500μLをpH7の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が頂部のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って上方に移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるトロポミオシンも、AP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたAPがCDP−Star基質を加水分解し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0167】
実施例5−2:
トロポミオシン結合ペプチドをアルカリホスファターゼ(AP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。トロポミオシンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。CDP Star(ABI,Thermo)等の化学発光AP基質を、界面活性剤及び/又はSapphire II又はEmerald II等の化学発光増強剤を任意に含有する試薬溶液中に含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート500μLをpH7の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が頂部のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って上方に移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるトロポミオシンも、AP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。1分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたAPがCDP−Star基質を加水分解し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0168】
実施例5−3:
トロポミオシン結合ペプチドをアルカリホスファターゼ(AP)と結合させ、プランジャの表面に取り付けられたニトロセルロース膜上に担持させる。トロポミオシンに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。CDP Star(ABI,Thermo)等の化学発光AP基質を、界面活性剤及び/又はSapphire II又はEmerald II等の化学発光増強剤を任意に含有する試薬溶液中に含有させる。ウィックは、少量のブロモフェノールブルーを、黄色の酸性型で含有する。試料溶液のアリコート500μLをpH7の緩衝液0.5mLと混合し、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が頂部のウィックに到達するまで流体輸送フィルムに沿って上方に移動させる。この移動はウィック上の青色の出現(ブロモフェノールブルーに起因する)によって表示され、窓を通して可視化することができる。この間、試料中に存在する如何なるトロポミオシンも、AP結合ペプチドと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。10分後、プランジャを4分の1回転させ、膜の流体通路に破断を生じさせる。続いてプランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、かつ膜の検出領域を試薬溶液中へと下方に移動させる。検出領域に保持されたAPがCDP−Star基質を加水分解し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0169】
実施例6−1:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、受け部の表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ルミノールを含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたルミノールを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、過酸化水素によるルミノールの酸化を促進し、3−アミノフタル酸を生成し、発光する。光は、3M CLEAN−TRACE照度計等の携帯式照度計によって測定する。
【0170】
実施例6−2:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、受け部の表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ABTS(2,2’−アジノビス[3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸]−二アンモニウム塩)を含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたABTSを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、無色のABTSを、青色のラジカルカチオンへと酸化する。青色の強度は、カラーチャートとの比較によって視覚的に、又は3M CLEAN−TRACE比色計等の比色計によって、評価できる。
【0171】
実施例6−3:
ペニシリンGに特に結合するアプタマーをセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合させ、受け部の表面に取り付けられた流体輸送フィルム上に担持させる。ペニシリンGに対する捕捉抗体を、検出領域上に担持させる。プランジャの下方に位置し、過酸化水素及び任意に界面活性剤を含有する試薬溶液からプランジャを隔離するホイルポーチ内に、ADHP(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)を含有させる。試料溶液のアリコート100μLを、受け部の試料入口を通してピペットで注入し、試料が反対側のウィックに到達するまで、典型的には5分間、流体輸送フィルムに沿って毛管移動させる。この間、試料中に存在する如何なるペニシリンGも、HRP結合アプタマーと反応し、フィルムに沿って移動し、続いて捕捉抗体と結合して検出領域に保持されるのに十分な時間を有する。5分後、プランジャを押し下げ、ホイルシールに穴を開け、ポーチ内に含有されたADHPを、試薬溶液と接触させる。検出領域に保持されたHRPは、非蛍光性のADHPを、高蛍光性のレゾルフィンへと酸化する。蛍光の強度は、標準UVランプ照射によって視覚的に、又は好適には、蛍光光度計によって励起波長〜570nm及び蛍光波長〜585nmを用い、評価できる。
【0172】
本明細書においてある程度の例示的な実施形態について詳細に記載したが、当業者であれば、前述の説明を理解することにより、これらの実施形態の改変、変化形、及び同等物を容易に考え出し得ることが理解されよう。更に、本明細書で参照した全ての刊行物及び特許は、それぞれの個々の刊行物又は特許が具体的かつ個々に参照により組み込まれることが示されたのと同じ程度で、そのまま参照により組み込まれるものとする。各種の例示的な実施形態について記載した。これら及び他の実施形態は、以下、特許請求の範囲の範囲内にある。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C