(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該送電機は、抵抗と、前記通信期間の外側で前記データ抽出回路を通る電流を低減するよう前記データ抽出回路に対して前記抵抗を結合又は分離する制御可能スイッチとを有する、
請求項1に記載の送電機。
誘導電力信号を用いて電力を受電体へ伝える送電機の作動方法であって、当該送電機は、第1インダクタを介して誘導電力信号を前記受電体へ供給する前記第1インダクタと、前記受電体からデータ信号を受信する第2インダクタと、該第2インダクタと直列結合するキャパシタとを有し、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、電力伝送回路及びデータ信号受信回路における別個のインダクタである、作動方法において、
前記データ信号受信回路のデータ抽出回路が、前記第2インダクタによって受信される前記データ信号を取り出すステップと、
ドライバが、通信期間を含む駆動時間インターバルの間に前記第2インダクタ及び前記キャパシタの直列結合のための駆動信号を生成するステップと、
制御ユニットが、受信された前記データ信号に応じて、前記第1インダクタを介して前記受電体へ供給される前記誘導電力信号を制御するステップと、
繰り返し時間フレームの電力伝送期間の間に前記第1インダクタを介して電力を伝送し、繰り返し時間フレームの通信期間の間に前記第2インダクタを介してデータ信号を受信するステップであり、前記誘導電力信号の電力は、前記電力伝送期間に対して前記通信期間について低減される、ステップと、
通信期間の間に前記データ抽出回路の前記第2インダクタへの制御された電気結合と、電力伝送期間の少なくとも一部に前記データ抽出回路の前記第2インダクタからの電気分断とを行うステップとを有し、前記作動方法は
前記データ信号受信回路の放電回路が、少なくとも部分的に先行する前記通信期間における時間フレームの放電時間インターバルの間に前記キャパシタを放電するステップと
をさらに有する作動方法。
【背景技術】
【0002】
多くのシステムは、電力をデバイスへ供給するために、配線及び/又は電気接点を必要とする。それらの配線及び接点を削除することは、改善されたユーザ経験を提供する。従来、これは、デバイスに設置されたバッテリを用いて達成されていたが、このアプローチは、余分の重量、体積、及びバッテリを頻繁に交換又は充電する必要性を含む多数の欠点を伴う。近年、無線誘導電力伝送を使用するアプローチが、ますます関心を持たれるようになっている。
【0003】
この関心の高まりの部分は、多種多様なポータブル及びモバイルデバイスがこの10年間で爆発的に増えていることによる。例えば、携帯電話機、タブレット、メディアプレイヤーなどの使用は普遍的になっている。そのようなデバイスは、一般的に、内蔵バッテリによって給電され、典型的な使用シナリオは、バッテリの再充電、又は外部電源からのデバイスの直接の有線給電をしばしば必要とする。
【0004】
述べられたように、最新のデバイスは、外部電源から給電されるよう配線又は明らかな電気接点を必要とする。しかし、これは、実際的でない傾向があり、ユーザに、物理的にコネクタを挿入すること、又は別なふうに物理的な電気接触を確立することを要求する。それはまた、配線の長さを導入することによってユーザにとって不便である傾向がある。通常は、電力要求も相当に異なり、現在ほとんどのデバイスは、それ自身の専用の電源を供給されており、結果として、典型的なユーザは多数の異なった電力供給を有することとなる。夫々の電力供給は特定のデバイスに専用である。内蔵バッテリは、外部電源への有線接続の必要性を阻止することができるが、このアプローチは、バッテリが再充電する(又は交換する(高価である。))必要があるので、部分的な解決法しか提供しない。バッテリの使用はまた、デバイスの重量並びに場合により費用及びサイズを実質的に増大させうる。
【0005】
有意に改善されたユーザ経験を提供するために、電力が送電デバイスにおける送電コイルから個々のデバイスにおける受電コイルへ誘導的に伝送される無線電力供給を使用することが提案されている。
【0006】
磁気誘導を介した送電は、よく知られた概念であり、一次送電コイルと二次受電コイルとの間の密結合を有する変圧器においてたいていは適用される。2つのデバイスの間で一次送電コイルと二次受電コイルとを分離することによって、デバイス間の無線電力伝送は、疎結合変圧器の原理に基づき可能になる。
【0007】
そのような配置は、如何なる配線又は物理的な電気接触も必要とすることなしに、デバイスへの無線電力伝送を可能にする。実際に、それは、デバイスが、外部から充電又は給電されるために、送電コイルに隣接して又はその上に置かれることを単に可能にしてよい。例えば、送電デバイスは、デバイスが給電されるために単に置かれ得る水平面に並べられてよい。
【0008】
更には、そのような無線電力伝送配置は、有利なことに、送電デバイスが一連の受電デバイスとともに使用され得るように設計されてよい。特に、Qi標準として知られている無線電力伝送標準が定義されており、現在更に開発されている。この標準は、Qi標準を満足する送電デバイスが、やはりQi標準を満足する受電デバイスとともに、それらが同じ製造者によるものであること又は互いに対して専用であることを必要とせずに、使用されることを可能にする。Qi標準は、動作が(特定の電力ドレインに依存する)特定の受電デバイスに適応されることを可能にするいくつかの機能性を更に含んでよい。
【0009】
Qi標準は、Wireless Power Consortiumによって整備され、更なる情報は、例えば、彼らのウェブサイト:http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.htmlにおいて見つけられ得る。そのウェブサイトでは、特に、定義された標準の文書が見つけられ得る。
【0010】
例として、
図1は、テーブルトップに組み込まれた電力伝送システムの一部分を表し、
図2は、給電される様々な器具とともに電力伝送システムを表す。
【0011】
本発明に従うシステムのための誘導電源は、コードレス器具に給電するよう、スタンドアローンであるか、又はキッチンカウンターに組み込まれてよい。
図1は、テーブルトップ1において、電源コード3を設けられた送電機2がテーブルトップにおける穴4に設置されるシステムを表す。送電機の組み込みは、カウンタートップ及び電磁調理台(induction cooktops)に制限されない。それらはまた、キッチン又はダイニングテーブルに組み込まれてよく、このようにして、以前は不可能であった全く新しい機能を可能にする。例は、食べ物又は飲み物を温かく保つこと、パンを焼くこと、コーヒーを煎れること、又はワインを冷やすことである。それはまた、家庭において又はレストランにおいてテーブルトップでのあらゆる調理可能性を可能にする。
図2は、表面1の下に送電機2が位置付けられているシステムを表す。パン焼き器5、鍋及びスチールパンのような様々な器具5が送電機2によって給電されてよい。
【0012】
送電機と受電体との相互作用及び相互接続をサポートするために、それらのデバイスは互いと通信することができることが好ましい。すなわち、それは、送電機と受電体との間の通信がサポートされる場合に、及び望ましくは、通信が双方向においてサポートされる場合に好ましい。受電体と送電機との間の通信を可能にする無線電力伝送システムの例は、米国特許出願公開第2012/314745(A1)号明細書(特許文献1)において与えられる。
【0013】
Qi標準は、受電体から送電機への通信をサポートして、送電機が特定の受電体に適応することを可能にし得る情報を受電体が提供することを可能にする。現在の標準では、受電体から送電機への単方向の通信リンクが定義されており、アプローチは、制御側要素である受電体の理念に基づく。送電機と受電体との間の電力伝送を準備し制御するよう、受電体は、具体的に、情報を送電機へ送る。
【0014】
単方向通信は、負荷変調を実施する送電体によって達成され、このとき、受電体によって二次受電コイルへ加えられる負荷は、電力信号の変調を提供するよう変更される。電気的特性における結果として現れる変化(例えば、電流引き込みの変化)は、送電機によって検出され復号(復調)される。
【0015】
低電力のためのQi無線電力仕様において、受電側は、電力信号の振幅を変調することによって送電側と通信する。この場合に、電力信号は、通信信号のための搬送波信号として使用される。
【0016】
しかし、Qiシステムの制限は、それが送電機から受電体への通信をサポートしないことである。更に、Qiのために開発された負荷変調は、いくつかの器具では次善でありうる。
【0017】
例として、
図3は、典型的な誘導加熱器具のための電力供給経路を表す。電力供給は、入力AC電圧(例えば、本線)を整流するAC/DCコンバータ301を有する。整流された本線信号はDC/ACコンバータ303(インバータ)へ供給される。DC/ACコンバータ303は高周波駆動信号を生成する。生成された高周波駆動信号は、共振タンク305(同調されたL−C回路)へ、そしてこれを介して送電コイル307へ供給される。システムは受電体、この例では加熱パンを含む。加熱パンは、受電コイル309及び負荷R_Sole311(パン単独での渦電流損失に相当する。)によって表され得る。
【0018】
図4は、
図3の電力経路の電圧波形を表す。本線電圧Umainsは、AC/DCコンバータ301によって電圧Udc_absに整流される。整流された本線電圧をバッファリングするために使用される大容量保持キャパシタは、この種の用途においては通常は適用されない。これは、それがこの用途の全体の本線高調波歪みを増大させるからである。結果として、変化するDC電圧がAC/DCコンバータ301によって生成される。
【0019】
整流された電圧Udc_absの特性により、DC/ACコンバータ303の出力電圧Uac_HFは、
図4に示されるように成形される。インバータの通常の動作周波数は、20kHzから100kHz程度である。
【0020】
送電コイル307は、受電コイル309及び抵抗R_Sole311とともに、基本的にはDC/ACコンバータ303の負荷である。しかし、この負荷の性質(誘導性及び抵抗性の両方)により、共振回路305は、負荷の誘導部分をキャンセルするために、DC/ACコンバータ303とこの負荷との間で通常は使用される。更に、共振ネットワーク305は、DC/ACコンバータ303において通常は使用されるインバータのスイッチング損失の低減を通常はもたらす。
【0021】
図2のようなシステムにおける受電側と送電側との間の通信は、多数の課題及び困難に直面している。特に、電力信号の要件及び特性と通信の要望との間には通常はコンフリクトが存在する。通常、システムは、電力伝送機能と通信機能との間の密接な相互作用を必要とする。例えば、システムは、送電側と受電側との間で誘導結合されるただ1つの信号、すなわち、電力信号自体、の概念に基づき設計される。しかし、電力伝送を実施するだけでなく情報も搬送するための電力信号自体は、電力信号振幅の変化する性質により問題をもたらす。例えば、電力信号上に信号を変調するために、又は負荷変調を使用するために、電力信号は十分な振幅を有されなければならない。しかし、これは、
図4で示されるように、電力信号について保証され得ない。
【0022】
具体例として、受電体が(例えば、Qiシステムにおいて)負荷変調によってデータを送る負荷変調アプローチを使用することは、常用負荷が比較的一定であることを必要とする。しかし、これは、多くの用途において保証され得ない。
【0023】
例えば、無線電力伝送がモーター駆動器具(例えば、ブレンダー)に給電するために使用されるべき場合に、
図3のような電力経路が使用され得るが、負荷(加熱パンに対応)は、別個の受電インダクタ313(Rx_coil)、AC/DCコンバータ315及びDCモーター317自体によって置換される。そのような電力経路は
図5に表されている。
【0024】
そのような無線モーター駆動器具の典型的な電圧及び電流波形は、
図6に示されている。図示されるように、モーター電流Idc_motは、極めて不規則且つ不連続である傾向がある。これは、モーターの回転電圧によって引き起こされる。DC/ACコンバータ(インバータ)は、電圧Uac_Rxがモーターで引き起こされる回転電圧Udc_motよりも高い場合のみ、電流をモーターへ供給することができる。
【0025】
モーターの速度(又はトルク)を制御するよう、速度センサ(又は電流センサ)が、速度センサから送電機へのフィードバックループとともに、システムに加えられてよい。インバータの性質(電圧又は電流源でありうる。)により、DC/ACコンバータ(インバータ)は、望ましくは、このフィードバックループに組み込まれる。従って、器具部分(受電体)と送電部分との間には通信が必要とされる。これは、器具側で負荷変調技術を適用することによって達成されてよい。それにより、負荷の変化は、送電機側で検出され復調され得る。この復調されたデータは、その場合に、モーター速度(若しくはトルク)の情報、又は、実際には、例えば、送電機を制御するために使用され得る如何なる他の情報も含むことができる。
【0026】
しかし、モーター駆動器具が電流を引き込む場合に、この電流の振幅は、モーターの負荷と強く関係している。モーター負荷が変化している場合には、モーター電流も変化している。これは、インバータ電流の振幅も負荷とともに変化することをもたらす。この負荷変動は、負荷変調を妨げ、通信の劣化をもたらす。確かに、実際上、負荷の部分としてモーターを含む負荷について負荷変調を検出することは、通常は非常に難しい。従って、そのようなシナリオでは、通信エラーの数は比較的高く、あるいは、通信は、非常に高いデータシンボルエネルギを利用して、可能なデータレートを大いに低下させうる。
【0027】
キッチン器具に関して、この通信方法は、次の特性に悩まされる:
● 数十kHzから約100kHzの範囲に通常はある電力信号は、一定でない。更には、その振幅は、送電機において存在するDC/ACコンバータが整流された正弦波を供給されるので、本線周波数(例えば、50又は60Hz)とともに変化する。
● 整流された正弦波のゼロ交差の間に、インバータ電流はゼロであるから、振幅変調に利用可能な搬送波は存在しない。
● 器具の負荷は変化し、このことは振幅変調を妨げる。
【0028】
1つの可能な解決法は、RFID、NFC、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)のような他の通信手段を使用することである。
【0029】
1つの他の可能な解決法は、送電側又は受電側で別個の搬送波信号を生成することである。インバータが無効にされる、本線電圧のゼロ交差の近くにある期間は、通信目的のために使用される。よって、受電側と送電側との間の通信は、電力信号によって又は負荷変動によって影響を及ぼされない。
米国特許出願公開第2011/0115303(A1)号明細書(特許文献2)には、分離され得る2つの別個のコイルを使用し、1つが電力伝送用であり、もう1つが通信用である無線電力伝送システムが記載されている。
米国特許出願公開第2014/152120(A1)号明細書(特許文献3)には、同様に、別個のコイルが通信のために使用され、このコイルが電力伝送の間はスイッチによって切り離されることが記載されている。
【0030】
全ての可能な解決法に関して、安全性が最大の関心事であると考えられる。安全性の1つの側面は、通信が安全であるべきことである。ブレンダー、コーヒーマシンなどのような様々な装置は、受電体として使用されてよく、キッチンは、1つよりも多い送電機を備えてよい。送電機の上に実際に置かれておらずキッチン内のどこかにある受電体の通信信号に反応する送電機は、深刻な安全性の問題を引き起こす。従って、通信チャネルと電力チャネルとの間の非常に近い関係、望ましくは一対一の関係が好ましい。更には、送電機及び受電体は、望ましくは、コンパクト設計である。更には、通信システムは、望ましくはロバスト且つセンシティブであるべきである。
【0031】
更には、有効な通信を提供するために、通信に関連したオーバーヘッド(例えば、通信したいと望むことによって引き起こされる電力伝送の中断又は劣化)は、可能な限り低減されることが望ましい。
【0032】
従って、改善された電力伝送システムが有利であり、特に、通信サポートの改善、信頼性の向上、フレキシビリティの向上、実施の容易化、負荷変動に対する感度の低減、及び/又は性能の改善を可能にするシステムが有利である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下で、電力チャネル及びデータチャネルが別個の電気回路であるところのいくつかの実施形態が記載される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態に従う、送電機及び受電体を有する電力伝送システムの例は、
図7において示されている。例において、送電機の第1インダクタ307及び第2インダクタ407、すなわち、夫々、送電コイル307及び通信コイル407とも呼ばれる電力伝送インダクタ及び通信インダクタは、別個のインダクタである。これは、送電機2から受電体5へ向かう矢印によって
図7に表されている、送電機から受電体へ電力を供給する送電チャネルと、受電体5から送電機2へ向かう矢印によって表されている、受電体から送電機へデータを供給する通信チャネルとが、実質的に電気的に別個の回路であることを可能にする。送電機は、少なくとも部分301、303、305及び307を有する電力伝送回路701と、少なくとも要素403及び407を有するデータ信号受信回路702とを有する。受電体5における制御回路417は、電力信号の電力が低減される通信期間の間にインダクタ413を介してデータ信号受信回路702へ送られるデータ信号を供給する。実際に、システムにおいて、電力伝送の間に、システムは、少なくとも電力伝送期間(又はインターバル/タイムスロット)及び通信期間(又はインターバル/タイムスロット)を有する繰り返し時間フレームを導入する。誘導電力信号の電力レベルは、電力伝送期間に対して通信期間の間に低減される。ほとんどの実施形態において、誘導電力信号の電力レベルは、電力信号自体が送電機2へ送られるデータ信号に対して無視できるほどの影響しか有さないように、通信期間の間、十分に低い。このアプローチは、2つのチャネル(電力及び通信チャネル)が独立して最適化され得、且つ、2つの回路701及び702がそれらの機能のために実質的に個別に最適化され得るという利点を提供する。例えば、送電コイル及びその共振回路は、最適な電力伝送性能のために設計され得、一方、通信コイル及び実際に共振回路は、通信のために最適化され得る。
【0057】
図7は、搬送波生成及び復調回路403からデータを取り出すよう配置されるTx制御回路401(受電体5から受信されたデータを区別する部分を更に有する。)を備える送電機2を概略的に示す。Tx制御回路401は、電力チャネルを制御するために信号を使用する。例えば、電力の量は、デバイスのタイプ及び/又はデバイスを駆動するのに必要とされる負荷に依存し、これに関するフィードバックは、受電体5から送電機2へ通信チャネルを介して送られるデータによって提供され得る。
図7において、インジケーションkp及びkcは、インダクタ307及び313の間及びインダクタ407及び413の間の結合係数を夫々表す。参照“ZeroX”はゼロ交差を表し、入力信号Umainsがゼロ交差を有する場合を示すよう供給され又は取り出されるタイミング情報を示す。これは、入力電源信号Umainsにおけるゼロ交差の発生に関する情報をTx制御ユニット401が受け取ることを示す。Tx制御ユニット401は、次いで、それらのゼロ交差のタイミングに応答して、電力インバータ(303)及び搬送波発生及び復調回路(403)を然るべく制御することができる。
【0058】
実施形態において、ゼロ交差のタイミングは、通信期間/インターバル/タイムスロット及び電力伝送期間/インターバル/タイムスロットを有する時間フレームを生成するために使用される。通信期間はゼロ交差の周囲に位置付けられ、通信が起こり得る、特に、受電体5が負荷変調によって通信し得る期間である。電力伝送信号の電力レベルの周囲の通信期間のタイミングにより、電力伝送信号の電力レベルは、電力伝送期間の間よりも通信期間の間の方が低い。実際に、いくつかの実施形態において、電力伝送回路701は、電力信号(すなわち、電力伝送コイル307のための駆動信号)をオフするよう構成されてよい。
【0059】
このように、周期的に繰り返す電力伝送時間フレームが導入される。それは、(少なくとも)2つの異なった時間インターバル、すなわち、電力伝送期間及び通信期間を有する。電力レベルは、通信期間において低減される。よって、電力の伝送は、電力伝送期間において主に実施され、一方、通信期間は、データの通信のために使用される。
【0060】
更に詳細には、整流器301は、電源信号Umainsを受け、これを整流する。整流器301は、このように、AC信号を受信して、変化するレベルを有するDC信号を生成するAC/DCコンバータであってよい。
【0061】
具体例において、電源は、50Hz又は60Hzの周波数を有する、本線から得られた正弦波信号を受ける。整流器301は、正弦波信号の全波整流を実施する。このようにして、
図4のUdc_absに対応する電源信号は生成される。
【0062】
電源信号における周期的変化の周波数は、通常は、本線信号の周波数から導出され、よって、通常は、50又は60Hz(あるいは、その一次高調波、すなわち、100Hz又は120Hz)に対応する。なお、他の実施形態では、変動は1kHzまでであってよい。
【0063】
例において、整流器301は、如何なる平滑化キャパシタも含まず、よって、電源信号は、全波整流された正弦波信号に対応する。なお、他の実施形態では、整流器301は、整流された信号を平滑化して、レベル変動がより小さい電源信号を生成するキャパシタを有してよい。なお、ほとんどの実施形態において、キャパシタは比較的小さく、少なくともいくつかの負荷について実質的に変化するレベルを有する電源信号をもたらし得る。例えば、多くのシナリオにおいて、リプルは、全負荷の少なくとも25%又は50%であってよい。
【0064】
このように、DC電源信号は、変化する電圧を有するように生成される。変化する電圧は、ACレベルの変動に起因し、よって、DC電源信号は、本線の周波数の2倍の周期を有する、すなわち、50Hz入力信号について10ミリ秒又は60Hz入力信号について8.3ミリ秒の周期を有する周期信号である。
【0065】
整流器301は、電力信号発生器303へ結合されている。電力信号発生器303は、電源信号を受信し、これから、共振タンク305を介して電力信号発生器303へ結合されている電力伝送コイルのための駆動信号を生成する。
【0066】
振幅変動の周波数は、通常は、電源信号の変動に追随する。一般に、周波数は比較的低く保たれ、1kHzを超えない。しかし、振幅がそのような比較的低い周波数で変化する一方で、駆動信号の周波数自体は相対的に高い。
【0067】
電力信号発生器303は、具体的に、電力信号の周波数よりも高いように駆動信号の周波数を生成するよう構成された周波数コンバータを有してよい。周波数コンバータは、電力信号に対して駆動信号の周波数を増大させ得る。電力伝送コイル307は、電源信号の周波数よりも相当に高い周波数を有する駆動信号によって駆動される。電源信号の周期は、通常は、2.5ミリ秒又は5ミリ秒(夫々400Hz又は200Hzの周波数に対応する。)以上である。しかし、駆動信号は、通常は、少なくとも20kHz乃至200kHzの周波数を有する。電力伝送期間、すなわち、通信期間どうしの間のインターバルの間、駆動信号は、具体的に:
d(t)=p(t)・x(t)
として与えられてよい。p(t)は電源信号であり、x(t)は、p(t)よりも高い周波数を有し、通常は、よりずっと高い(例えば、通常は100倍以上高い)周波数を有する信号である。損失を減らすために、x(t)は、通常はAC信号である。すなわち、それは、ゼロの平均値を有する。
【0068】
x(t)は、例えば、正弦波であってよい。なお、
図4の例では、x(t)は矩形波信号に対応する。周波数変換は、当該例において、乗算によってよりもむしろ、スイッチング動作によって実施される。具体的に、周波数コンバータは、電源信号が電源電圧として供給されるスイッチ回路を有する。スイッチ回路は、電源信号と周波数変換信号x(t)との乗算に対応する効果を提供するスイッチ素子を介して電力伝送コイル307からタンク回路305へ結合する。
【0069】
図7のシステムにおいて、周波数コンバータは、電源電圧として使用される電源信号の変化するDC電圧から交流信号を生成するインバータの形で駆動回路を含む。
図8は、ハーフブリッジインバータの例を示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉じられないように制御される。交互に、S2が開いている間はS1は閉じられ、S1が開いている間はS2は閉じられる。スイッチは、所望の周波数で開閉され、それによって、出力部で交流信号を生成する。
図9は、フルブリッジインバータを示す。スイッチS1及びS2は、それらが決して同時に閉じられないように制御される。交互に、S2及びS3が開いている間はS1及びS4は閉じられ、次いで、S1及びS3が閉じられている間はS2及びS4は閉じられ、それによって、出力部で矩形波信号を生成する。スイッチは、所望の周波数で開閉される。
【0070】
このようにして、
図10に示される駆動信号Uac_HFが生成されて、Iac_Txとして示されるものに対応する、電力伝送コイル307を通る電流をもたらす。
【0071】
図7のシステムにおいて、周波数コンバータによって生成された信号は、電力伝送コイル307へは直接に供給されない。むしろ、信号はリミッタへ供給される。リミッタは、インダクタへ供給される駆動信号の電力を、この電力が繰り返し時間インターバルの間、すなわち、通信インターバルの間は所与の閾値を下回るように、制限するよう構成される。リミッタの出力は、(当該具体例ではタンク回路305を介して)電力伝送コイル307へ供給される。すなわち、結合は共振回路を含む。
【0072】
具体例として、リミッタは、単に、電力伝送回路701の出力部から電力伝送コイル307を切り離すことによって、電力伝送コイル307へ供給されている信号の電力を制限してよい。このように、当該例では、周波数コンバータからの信号は、電力伝送期間の間は電力伝送コイル307へ結合される。電力伝送期間は、駆動信号からの信号が電力伝送コイル307へ結合されない通信期間によって中断される。
【0073】
リミッタはまた、インバータの固有部分であってよい。具体例として、フルブリッジインバータにおけるスイッチは、通常は、S2及びS3が開いている間はスイッチS1及びS4が閉じられ、その逆も同じである時間の少なくとも部分を意味する位相差を用いて通常は切り替えられるが、矩形波の発生は、S2及びS3が開いている間はスイッチS1及びS4が閉じられ、その逆も同じであることを意味する位相差によらないスイッチングによって中断され得る。一般に、電力信号の強さは、フルブリッジにおける位相によって制御され得る。同期するスイッチが多ければ多いほど、電力信号の振幅はますます低く、位相が一致しないスイッチが多ければ多いほど、電力信号の振幅はますます高い。
【0074】
図10は、
図7の送電機2において起こり得る信号の例を表す。図は、最初に、電源へ供給される本線信号である信号Umainsを示す。この信号は、
図4に示されるUdc_absに対応する、信号レベルが変化する電源信号を生成するよう、全波整流される。次いで、周波数コンバータは、これを、
図4及び10のUac_HFに対応する高周波信号に変換する。なお、この信号を電力伝送コイル307/共振回路へ単に供給するのではなく、信号は、
図10に示されるゲート信号On_Off_ZeroX信号に従ってゲーティング(すなわち、接離)される。このゲート信号がハイ値を有する場合に、周波数コンバータによって生成される電力伝送信号は、電力伝送コイル307/共振回路へ結合され、このゲート信号がロー値を有する場合に、電力信号発生器303によって生成される電力伝送信号は、電力伝送コイル307/共振回路へ結合されない。このように、ゲーティング後に結果として現れる信号は、
図10のUac_HFとして示され、この信号は、共振回路による平滑化の後に、
図10の信号Uac_Txになる。このように、電力伝送コイル307へ供給される電力伝送信号は、この具体例では、
図10の信号Uac_Txに対応する。
【0075】
例として、リミッタは、ハーフ又はフルブリッジインバータと一体化されてよい。ゲート信号On_Off_ZeroX信号がロー値を有する場合に、ハーフ又はフルブリッジインバータの全てのスイッチは、非導通状態に切り替えられて、電力信号が送電コイルへ結合されないようにする。
【0076】
このように、ゲーティング信号は、電力伝送駆動信号が電力伝送コイル307へ供給される電力伝送期間を定める。そのような電力伝送期間は、電力伝送信号が電力伝送コイル307へ供給されない通信期間によって中断される。
図7のシステムにおいて、そのような通信時間インターバルは、代わりに、送電機2と受電体5との間の通信のために使用される。
【0077】
このようにして、システムは、具体的な場合において、2つの期間/インターバル、すなわち、電力伝送期間/インターバル及び通信期間/インターバルに分けられる繰り返し時間フレームを導入する。
【0078】
図7のシステムにおいて、通信は、送電機2によって生成されて通信コイル407へ供給される搬送波信号を受電体5が負荷変調することによって、達成される。このように、通信は、通信インターバルの間に生成される通信搬送波に基づく。例えば、
図10においてCarrierと表されている信号に対応する搬送波が生成されてよく、この搬送波は、次いで、データを通信するよう負荷変調され得る。他の実施形態では、送電機2から受電体5への順方向通信は、例えば、直接に変調される搬送波自体によって、達成されてよい。例えば、それは、当業者によって理解されるように、振幅、周波数又は位相変調されてよい。
【0079】
図7の例において、送電機2は、時間フレーム、よって、通信及び電力伝送期間を電源信号に同期させるよう構成される同期装置を有する。同期装置は、電源信号の変動に応じて、時間フレーム及び期間のタイミングを制御するよう構成されてよい。例えば、同期装置は、AC成分を電源信号から絶縁するよう、且つ、通信期間をAC成分における周期的変動と同期させるよう構成されてよい。
【0080】
電源信号に対する時間フレームの同期化は、通信のための専用の時間インターバルを導入することの電力伝送に対する影響が最小限にされることを可能にすることができる。例えば、通信期間のタイミングは、電力信号の電力が最低であるインターバルと一致するよう選択されてよい。それはまた、多くのシナリオにおいて、電源信号に依存し電源信号の変動を然るべく反映する信号成分を電力信号が通常は有するので、送電機と受電体との間の同期化を容易にすることができる。従って、受電体は、電力信号の変動と同期することが可能であり、この同期化は、本質的にも受電体を電源信号の変動と同期させることができる。このように、共通同期化は、専用の同期化情報がやり取りされる必要なしに達成され得、よって、低減されたオーバーヘッドを有して達成され得る。
【0081】
図7のシステムは、動作を電力伝送期間と通信期間とに分けるために、時間フレームを然るべく適用する。電力伝送期間の間、電力伝送信号は、送電機2から受電体5へ誘導結合され、それによって、電力の無線伝送を提供する。いくつかの実施形態において、電力伝送期間の間は通信が起こらない。他の実施形態では、何らかの通信が電力伝送インターバルの間に起こってよい。例えば、電力伝送信号は、Qi標準バージョン1.0及び1.1に従って、受電体5によって負荷変調されてよい。
【0082】
通信期間の間、データは、受電体5と送電機2との間でやり取りされ得るが、電力伝送は実施されない。具体的に、電力伝送信号は電力伝送コイル307へ供給されず、いくつかの実施形態において、電力負荷317は受電コイル313へ結合されない(他の実施形態では、電力負荷は、たとえ電力伝送信号が供給されないとしても、受電コイル313へ依然として結合されてよい。)。このように、電磁界は、電力伝送動作により誘導又は変更されず、従って、よりずっとクリーンな電磁環境が、無線誘導によってデータを通信するために作られる。
【0083】
送電機2及び受電体5は、1つのスロット(通信期間)がデータ通信のためにリザーブされ、第2のスロット(電力伝送期間)が電力伝送のためにリザーブされるところの循環的に繰り返されるタイムスロットフレームをこのようにして提供してよい。これは、特に、データ伝送のための条件及びパラメータ(例えば、周波数、振幅、信号形状)がデータ通信スロットにおいて最適化されることを可能にし、一方、電力伝送のための条件及びパラメータは、データ伝送スロットにおいて最適化され得る。更に、電力伝送動作は、通信を劣化させない。
【0084】
通信期間は、電力伝送のために更なる時間をリザーブするために、電力伝送期間の存続期間と比べて相対的に短い存続期間を通常は有する。通常、通信期間の存続期間は、時間フレーム全体(例えば、電力伝送インターバル及び通信インターバルによって与えられる。)の10%又は5%にさえ満たない。多くの実施形態において、通信期間は、1ミリ秒以上5ミリ秒以下の存続期間を有する。これは、多くの実施形態において、通信要件と電力伝送要件との間の有利なトレードオフを提供することができ、特に、システムの電力伝送能力を過度に低下させることなしに適切な通信バンド幅を提供することができる。
【0085】
システムにおいて、通信期間のタイミングは、ランダムではなく、電源信号のレベル変動に同期される。具体的に、通信インターバルは、レベルが所与の閾値を下回る場合にそれらが起こるように、レベル変動と同期され、特に、通信インターバルは、それらが電源信号の最小値の周囲で起こるように同期される。通信インターバルは、特に、それらが電源信号の最小値に対応する時刻を中心に置くように、選択され得る。
【0086】
図10のような例において、それらの最小値は、電源へ供給されるAC信号のゼロ交差の時点で起こる。よって、当該例において、送電機2は、入力本線(導出)信号のゼロ交差を検出するゼロ交差検出器を含んでよい。それらのゼロ交差は、次いで、通信インターバルのタイミングを調整して、それらがゼロ交差に中心を置くようにするために、使用されてよい。
【0087】
他の実施形態では、システムは、例えば、AC入力信号のゼロ交差と一致しない最小値で起こるよう通信インターバルのタイミングを取ってよい。例えば、整流器301が、平滑化されるが依然として非常に高いリプルを有する電源信号を生じさせる平滑化キャパシタを有する場合に、最小値はもはやゼロ交差と一致しない。この場合に、それらの最小値は、整流されたソース信号において直接に検出され、通信インターバルのタイミングを取るために使用されてよい。
【0088】
多くの実施形態において、同期装置は、電源信号の変化を検出し、繰り返し時間インターバルのタイミングを然るべく調整することによって、電源信号と直接に同期させるよう構成されてよい。
【0089】
例えば、キャパシタは、電源信号DC成分を取り除くために使用されてよい。結果として得られるAC信号は、周期的な低周波変動(通常は、50〜60Hz(又は全波整流ではそれらの倍))が残ることを可能にしながらノイズを削除又は低減するよう、フィルタをかけられる。結果として得られるAC信号は、例えば、バイナリ値を有する矩形波信号を生成するようシュミットトリガへ供給されてよい。この信号は、出力信号を入力矩形波信号と同期させる位相ロックループへ入力されてよい。出力信号は、所望のデューティーサイクル、更には、場合により、入力矩形波信号における遷移に対する所望の時間オフセットを有するように、生成されてよい。位相ロックループからの出力信号は、次いで、リミッタ及びデータ信号受信回路702を制御するために直接に使用されてよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、同期装置は、電源信号自体を評価することによって、繰り返し時間インターバルを電源信号と直接には同期させなくてよく、代わりに、電源信号と同期される信号自体、具体的に、電源信号から導出されるか又は電源信号が導出される信号に同期化を基づかせてよい。
【0091】
受電体5の同期装置は、送電機2によって導入される通信インターバルを同期させるために如何なる適切なアプローチも使用してよいことが認識されるだろう。例えば、送電機2が搬送波を導入しない場合には、送電機2によって引き起こされる信号は、
図10の信号Uac_HFに対応する特性を有してよい。同期装置は、次いで、導入された電力信号がゼロである時間インターバルを検出するよう進んでよく、次いで、それらの検出に同期させることができる。
【0092】
時間フレームタイミングは、通常は、電力伝送信号を制御(例えば、ゲーティング)するために使用されるのと同じ時間ベースとして送電機2において容易に利用可能である。受電体5において、タイミングは、電力レベル変動に基づく、電力時間インターバルと低減電力時間インターバルとの間の遷移の検出によって(例えば、シュミットトリガ回路を使用する。)、電力伝送信号自体から導出され得る。例えば、第1の位相ロックループは、電力時間インターバルから低減電力時間インターバルへの遷移と同期した時間ベース信号を生成するよう、立ち下がり遷移(すなわち、電力時間インターバルから低減電力時間インターバルへ。)に基づいてよい。第2の位相ロックループは、低減電力時間インターバルから電力時間インターバルへの遷移と同期した時間ベース信号を生成するよう、立ち上がり遷移(すなわち、低減電力時間インターバルから電力時間インターバルへ。)に基づいてよい。次いで、2つの生成された信号は、例えば、50%のデューティーサイクルを有してよく、両方の遷移と同期した時間ベース信号は、2つの生成された信号を(例えば、OR又はAND関数を用いて)組み合わせることによって、生成され得る。
【0093】
前述の例では、駆動信号は、電力伝送インターバルの間にのみ、電力伝送コイル307へ結合される。しかし、他の実施形態では、信号は、通信インターバルの間にも電力伝送コイル307へ供給されてよいが、電力伝送コイル307へ供給される信号の電力は、所与の閾値を下回るようにリミッタによって制限される。閾値は、固定の所定値であってよく、あるいは、例えば、可変は閾値であってよい。例えば、通信インターバルの間に電力伝送コイル307へ供給される電力伝送信号の最大電力は、通信が通信インターバルにおいて行われるためのエラーレートに基づき調整されてよい。例えば、エラーレートが所与のレベルを上回って増大する場合には、電力閾値は下げられ、エラーレートが所与のレベルを下回って低減する場合には、電力閾値は上げられる。
【0094】
然るに、
図7のシステムは、そのような短距離通信リンクが、時分割時間フレームを使用するために電力伝送信号を適応させることによって、及び、短距離通信をこの時間フレームと同期させることによって、電力伝送のために送電機2によって生成される強磁気信号と共存することを可能にする。
【0095】
特に、既存のシステムで見られるような連続電力伝送を使用するのではなく、目下のシステムは、時間フレームを誘導電力信号/電力伝送信号に適用する。時間フレームは、少なくとも2つのタイプの期間/インターバル/時間スロット、すなわち、電力伝送に必要とされる電力を有する電力伝送信号が生成される電力伝送期間、及び電力レベルを低減された電力伝送信号しか供給されない低減電力時間インターバルである通信期間を有する。実際に、多くの実施形態において、電力伝送信号は、通信期間の間、完全にオフされてよい。電力伝送動作を適応させ、これを事実上不連続にするアプローチは、短距離通信が電力伝送と共存することを可能にする。アプローチは、短距離通信が電力伝送フェーズの間に実施されることを可能にする。
【0096】
ほとんどの実施形態において、時間フレーム内の電力伝送期間の存続期間(あるいは、1つよりも多い場合には、電力伝送期間の組み合わされた存続期間)は、各時間フレーム内の通信期間(あるいは、1つよりも多い場合には、通信期間の組み合わされた存続期間)よりも長い。多くの実施形態において、それは少なくとも2、3、5又は10倍長い。各時間フレームがただ1つの電力伝送期間及び1つの通信期間しか有さない実施形態では、(低減電力時間インターバルのための)デューティーサイクルは、通常は、20%、10%又は5%にさえ満たない。
【0097】
これは、電力伝送に容認しがたいほど影響を及ぼすことなしに、十分な容量の通信チャネルを確立するための十分な時間を提供することよって、通常は有利であり得る。
【0098】
時間フレームは、通常は、5ミリ秒以上200ミリ秒以下の存続期間を有してよい。更には、時間フレームは、周期的に繰り返す時間フレームである。然るに、繰り返し周波数は、通常は、5Hz以上200Hz以下である。これは、多くのシナリオにおいて、改善された性能を提供することができ、特に、データが通信され得るまでの最大待機期間が電力伝送性能に対して受け入れがたい影響を生じさせない存続期間に削減されることで、短距離通信システムが十分に高速な通信を提供することを可能にすることができる。このように、それは、電力伝送が有効なままであるための十分に高速な応答時間を提供する傾向がある。コンパクト設計のために、且つ、駆動されるもの以外の受電体からの信号が受信され及び/又は正確なデータ信号と干渉する可能性を可能な限り小さくするよう、通信及び電力チャネルは、ほぼ一対一の関係に至る。例えば、通信コイルは、電力コイルと同じ磁気平面を共有すべきである(例えば、送信通信コイル及び送電コイルは同じ磁気平面にあるべきであり、受信通信コイル及び受電コイルは同じ磁気平面にあるべきである。)。
図11は、そのような配置を表し、それは好適な配置である。
図11は、
図1に概略的に示されている、コード3を備えた送電機2に対する視点を示す。視点は、動作中に、例えば、
図1のテーブルトップに面している送電機2の側にあり、送電機2の電力コイル307及び通信コイル407の位置の実施形態を概略的に示す。
【0099】
通信コイル407は、電力コイル307とともに一平面内に配置されている。通信コイル407は、1つの局所的に給電されるデバイスとの通信のみが起こるように緊密に接続されながら電力コイル307の周囲に配置され得る。
【0100】
通信コイル407と電力コイル307との間の密接な物理的対応は、電力伝送と通信との間の密接な一対一の関係を提供することができる。具体的に、これは、通信チャネル上で受信/送信されたデータが、実際には、対応する電力伝送チャネルを介した電力伝送に関係があるデータであることを確かにすることができる。すなわち、電力伝送が実施される送電機と受電体との間に通信が実際にあることが、十分に高い確率を有して確かにされ得る。これは、電力伝送動作が、送電機によって給電されている受電体とは異なる近くの受電体によって制御されるという望ましくないシナリオが起こる危険性を防止又は低減することができる。
【0101】
図11は、例となる配置を単に提供することが認識されるだろう。なお、一般に、如何なるコンパクト設計内でも、送電インダクタ307(通常は、コイルの形をとる。)と送信通信インダクタ407との間の磁気結合は、比較的大きい値を有することができる。
【0102】
0.3乃至0.5の送電インダクタ307と送信通信インダクタ407との間の結合係数が、通常は期待され得る。
【0103】
よって、通信期間と電力伝送期間とに分割される時間フレームによって達成される時分割は、電力信号が通信期間の間に通信信号に対して無視できるほどの(又は少なくとも小さい)影響しか有さないことをもたらし得る(電力信号の振幅は、多くの実施形態において、通信期間の間に非常に小さい又はゼロの値まで低減され得るからである。)が、送信通信コイルにかかる大きい電圧が、通常は、電力伝送期間の間に生成される。通信コイルのインダクタンス値に応じて、それにかかる電圧は、多くの実際の実施において、数百ボルトに達することがある。通信コイルにかかる電圧は、コイルのインダクタンス値を下げることによって低減され得るが、それにかかる電圧は、例えば、1又は2巻を有するコイルを用いてさえ、しばしば依然として100V以上に達し得る。例えば、2巻を有する21.4cmのコイルに対応する3μHのインダクタンス値によれば、電圧は、多くの実際の電力伝送に関して、依然として120V以上に達する。
【0104】
図12は、電力コイル307と通信コイル407との間の結合の効果を表す。
図12は、送信通信コイル(上)及び送電コイル(下)にわたって電力伝送フェーズの間に期待され得る典型的な電圧レベルの例を表す。この例では、電力コイル307及び313(Tx及びRx)のインダクタンスは42μHに設定され、通信コイル407及び413(Tx及びRx)のインダクタンスは20μHに設定され、通信コイルと電力コイルとの間の0.4の結合が考えられている。
【0105】
よって、
図12から明らかなように、電力信号は、電力信号がほぼゼロである通信期間の間に送信され、従って、電力信号自体は、電力信号のゼロ交差の周囲の通信期間の間に通信信号に対して無視できるほどの(又はほんの小さい)影響しかたいがい有さない場合でさえ、通信コイル407にかかる大きい電圧は、誘導電力信号がハイである電力伝送期間の間に依然として生成され得る。通信コイルのインダクタンス値に応じて、それにかかる電圧は、
図12に表されるように、数百ボルトに達し得る。通信コイルにかかる電圧は、コイルのインダクタンス値を下げることによって(しかし、感度を低下させることを犠牲にして)低減され得るが、それにかかる電圧は、1又は2巻を有するコイルを用いてさえ、実際には依然として100V以上に達し得る。例えば、2巻を有する21.4cmのコイルに対応する3μHのインダクタンス値によれば、それにかかる電圧は、依然として120Vに達する。
【0106】
送信通信コイルの両端で生成される大きい電圧(及び電流)レベルは、通信コイル407へ接続又は結合されている回路に潜在的にダメージを与え、恒久的に破壊することさえあり、特に、通信エレクトロニクスに損傷を与えうる。これは、欠陥のある動作を生じさせ、電力伝送の意図的でない動作をもたらしうる。例えば、誘導電力信号の電力が誤った値に設定されることを生じさせうる。簡単な解決法は、そのような大きい電圧に耐える電子部品を実装することである。しかし、このアプローチは、エレクトロニクスのコスト、サイズ、複雑さなどが許容できないレベルまで高まるので、望まれていない。
【0107】
図13は、送電機2の通信回路の例を表す。例において、第2インダクタ、すなわち、通信コイル407は、電源信号がローである期間に、すなわち、通信期間の間に、受電体5から(インダクタ413を介して(
図7を参照))データ信号を受信するよう構成される。通信コイル407は、
図14に表されるように、通信キャパシタ1011と直列に結合されている。例において、通信コイル407及ぶ通信キャパシタ1011は、共振回路を形成する。
【0108】
更に、
図13の例において、通信コイル407を介した通信は、受電体5が送電機の通信回路によって生成された搬送波信号を負荷変調して通信コイル407へ供給することによって達成される、受電体5から送電機2へのデータの通信である。送電機2は、通信コイル407及び通信キャパシタ1011の直列結合によって形成される共振回路のための駆動信号を生成するドライバ1001、1003を有する。典型的なシナリオでは、駆動信号の周波数は、共振回路の共振周波数に(少なくとも近似的に)対応するよう設定される。これは、例えば、ドライバが共振周波数を適応させることによって、又はドライバ及び共振回路が同じ共振回路のために設計されることによって、達成されてよい。
【0109】
駆動信号は、通信コイル407及び通信キャパシタ1011の直列結合へ供給され、それによって、通信コイル407に誘導通信搬送波信号を生成させる。生成された搬送波信号は、受電側通信コイル413へ加えられる負荷を変化させることで負荷を変える受電体5によって、負荷変調され得る。
【0110】
通信コイル407及びよって共振回路の負荷における結果として現れる変動は、送電機の通信回路によって検出される。例えば、通信コイル407を通る電流は測定されてよく、変動は、当業者に知られるように、負荷変調によって導入されたデータを復調するよう評価されてよい。
【0111】
通信期間の間の通信コイル407の駆動は、電力伝送期間の間に電力伝送コイル307を駆動するアプローチと同様であってよい。
【0112】
より詳細には、具体例において、搬送波生成及び復調器403は、電力信号をドライバへ供給する電源1002を有する。よって、電源1002は、電力を通信回路へ供給する。多くの例において、電力信号はDC信号であってよい。しかし、当該例では、通信回路へ供給される電力信号は、電力伝送回路へも供給される電源信号Umainsである。いくつかの実施形態において、変圧器又は同様のものが、電源信号Umainsの振幅を小さくするために使用されてよい。
【0113】
多くの実施形態において、それらのアプローチは、電力伝送が本線電源により駆動される実施を反映し、信号Umainsは、本線信号に直接対応してよい。
【0114】
具体例において、搬送波生成及び復調器403は、DC/ACコンバータ1003(インバータ)へ供給される整流された本線信号を生成するよう入力AC電圧(例えば、本線電源)を整流するAC/DCコンバータ1001を有する。電力伝送コイル307のための駆動信号を生成するために使用されるアプローチと対照的に、AC/DCコンバータ1001は、平滑化キャパシタを、更には、しばしば、一定DC電圧が生成されることをもたらす電圧コントローラを有する。このように、整流器301が、変化するDC電圧を生成する一方で、AC/DCコンバータ1001は、一定電圧を生成する。
【0115】
DC/ACコンバータは、通信キャパシタ1011及び通信コイル407によって形成される共振回路へ供給される高周波駆動信号を生成する。この例において、通信チャネルは本線から給電されることが分かる。本線から給電することは、通信チャネルへ給電する1つの方法である。しかし、通信チャネルは、外部DC電源から給電されてもよい。そのような実施形態では、AC/DCコンバータ(1001)は不要である。
【0116】
望ましくは、搬送波周波数は高く、例えば、500kHzを上回って、例えば、500kHzから2.5MHzの範囲で、例えば、800kHzの周辺で値を設定される。
【0117】
望ましくは、搬送波周波数は更に高く、MHz範囲(通常は2.55〜20、最も一般的には15〜20MHz)をとる。そのような周波数では、通信のより大きいデータレート及びより容易な保護が達成可能である。
【0118】
このように、当該例において、搬送波生成及び復調器403は、通信キャパシタ1011及び通信コイル407の直列結合のための、すなわち、共振回路への、駆動信号を生成するドライバ(具体例において、AC/DCコンバータ1001及びDC/ACコンバータ1003(インバータ)によって形成される。)を有する。駆動信号は、各時間フレームの少なくとも通信期間の間(通常は、ほとんどの実施形態では、更に、電力伝送期間の部分の間も)、共振回路へ印加される。駆動信号は、受電体5によって負荷変調され得る信号を供給し、対応するインダクタ電流変動が検出され得る。
【0119】
例において、駆動信号は、電力供給の振幅変動よりもずっと高く、更には、電力コイル307のための駆動信号の周波数よりも(すなわち、誘導電力信号の周波数よりも)相当に高い周波数を有するように生成される。通常、通信駆動信号の周波数は、誘導電力信号の周波数の少なくとも2倍である。
【0120】
受電体5は、次いで、例えば、受電側通信コイル413の負荷を変えることによって、通信共振回路への通信駆動信号の印加によって生成される誘導通信搬送波を負荷変調してよい。
【0121】
変更された負荷は、送電機2の共振回路の電流及び/又は電圧の変動をもたらす。
図13の例において、送電機は、通信コイル407によって受信されたデータ信号を取り出す復調回路1007と、取り出されたデータ信号に応じて、受電体へ第1インダクタ307を介して供給される電力を制御する制御ユニット401とを有する。例えば、受電体は、電力制御エラーメッセージを送信してよく、第1インダクタ307のための駆動信号の電力レベルは、それらのメッセージに応答して調整され、それによって電力制御ループを形成してよい。
【0122】
復調回路1007は、当該例では、通信コイル407及び通信キャパシタ1011と直列に結合されており、それは、通信コイル407を通るインダクタ電流を測定する。例において、駆動信号はインバータ1003によって生成され、インバータ1003はスイッチング電圧信号を印加し、結果として現れるインダクタ電流は、受電体による負荷に依存する。然るに、負荷の変化は、当業者に知られているように、インダクタ電流の対応する変化を検出することによって検出され得る。
【0123】
例において、誘導通信搬送波を生成する通信出力回路は、通信キャパシタ1011、通信コイル407、復調回路1007及びドライバ1001、1003の直列結合によって然るべく形成される。それらの順序は、種々の実施形態の間で様々であってよいことが認識されるだろう。また、いくつかの実施形態において、他の要素は、出力回路の部分であってよい(例えば、結合キャパシタ、など)。
【0124】
例において、制御ユニット401は、この例では、他のコンポーネントと直列に、具体的には通信コイル407と直列に結合されているスイッチ1009の開閉によって、通信コイルからの復調回路の制御された電気的分断の適用のために構成される。このスイッチは、以降、スイッチS1とも呼ばれる。通信を改善するよう、通信コイル407を流れる電流は、望ましくは、負荷変調が復号されている場合に、すなわち、通信期間の間に、その少なくとも大部分が復調回路を通って流れる。スイッチS1は、図に示されたスイッチのいずれかであり得るように、MOSFETスイッチであることができる。
【0125】
しかし、送信通信コイルにかかる電圧は、電力伝送期間の間に数百ボルトに達し得る。これは、ドライバ又は実際には復調回路1007に潜在的に損傷を与えうる状況を生じさせうる。特に、高い誘導電圧に起因して、復調回路1007及びドライバを流れる電流は、非常に大きい値、通常は数アンペアに達し得る。
図13のシステムにおいて、スイッチS1は、従って、電流を制御するよう送信通信コイル407と直列に実装されている。具体的に、スイッチは、通信回路へ、具体的には復調回路1007又はドライバ1001、1003へのダメージを引き起こすリスクを抱えていると考えられる電流が通信コイルにかかる電圧により発生する場合に、開いており、それによって、復調回路1007及びドライバから通信コイルを分離する。なお、例において、電力伝送期間の大部分の間、スイッチは開いており、それによって、通信コイル407、通信キャパシタ1011、ドライバ1001、1003、及び復調回路1007の直列結合を流れる電流を阻止する。
【0126】
例において、夫々の電力伝送期間の終わりに向かって、電力信号は、電力が落ち、通信コイルにわたって生成される電圧も低下する。
【0127】
実施形態において、この電圧が許容レベル(例えば、通信回路を損傷を与えない電圧)を下回る場合には、スイッチS1は閉じられ、それによって、電流が通信出力回路を流れることを可能にする。スイッチ(S1)は、送信通信コイル407を通る電流経路を接続及び分断し、それによって、第2インダクタ(407)に対してデータ抽出回路(1007)を電気的に結合及び分離する。
【0128】
多くの実施形態において、通信コイル407の分離/結合は、通信コイルと(よって、通信キャパシタ1011、復調回路1007及びドライバ1001、1003と)直列にスイッチを含めることによって達成されてよいことが認識されるだろう。このとき、スイッチは、短絡回路と開回路状態との間で切り替えられ得る。すなわち、スイッチは、直列回路に挿入され、回路を分断又は形成するよう構成される。多くの実施形態において、スイッチは、抵抗(直列結合に挿入される。)が100Ω未満である閉状態と、抵抗(直列結合に挿入される。)が1kΩ以上である開状態との間で切り替わるよう構成されてよい。よって、多くの実施形態において、通信コイル407は、通信コイル407が復調回路1007/ドライバ1001、1003へ電気的に結合される場合に100Ω未満、及び通信コイル407が復調回路1007及びドライバ1001、1003に対して電気的に分離される場合に1kΩ以上の抵抗を有するスイッチ素子と直列に結合されてよい。よって、スイッチ素子は、電力伝送期間の少なくとも部分の間は1kΩ以上の、そして、通信期間の間は100Ω未満の抵抗を導入してよい。
【0129】
スイッチ素子のスイッチングの正確なタイミングは、個々の実施形態に依存してよい。多くの実施形態において、スイッチは、通信期間が終わる場合に(例えば、それが開始されたときから所定存続期間後に)、通信コイル407を分離してよい。他の実施形態では、スイッチは、復調回路1007が全データセットを復号した場合に、すなわち、通信期間において受信することができる全データを検出したと送電機が判断する場合に、通信コイル407を分離してよい。例えば、1ビットしか通信期間ごとに送信されない場合には、復号は、復調回路1007が1ビットを検出すると直ぐに起こってよい。
【0130】
同様に、通信コイル407が復調回路1007及びドライバ1001、1003へ結合されるタイミングは、種々の実施形態において様々であってよい。いくつかの実施形態において、結合(及び実際には分離)は、夫々の時間フレーム内の所定の時点で単に実施されてよい。例えば、スイッチは、最後の結合から8ミリ秒後に、通信コイル407を復調回路1007/ドライバ1001、1003へ結合してよい。スイッチは、次いで、通信コイル407を再び分離する前に、もう2秒待機してよい。このようにして、簡単な10ミリ秒時間フレームが達成される。更には、この時間フレームは、例えば、電力伝送信号の振幅の繰り返し最小値の時間に設定されている通信期間の中間点、すなわち、2ミリ秒の結合の中間点によって、電力伝送信号の振幅変動と同期してよい。
【0131】
いくつかの実施形態において、送電機2は、誘導電力信号についての電力レベルインジケーションに応答して、データ抽出回路1007を第2インダクタ407へ電気的に結合する時間を決定するよう構成されるコントローラを有してよい。
【0132】
例えば、送電機2は、電力伝送コイル307へ供給される駆動信号の電力レベルを直接に又は間接に(例えば、インバータ303のための供給電力を測定することによって)モニタしてよい。このレベルが所定のレベルを下回る場合に、スイッチS1は閉状態へ切り替わり、それによって、通信コイル407を復調回路1007及びドライバ1001、1003へ結合してよい。
【0133】
閾値は、ドライバ1001、1003又は復調回路1007へのダメージを引き起こさないように通信コイル407において生じる電圧について十分に低いと考えられるレベルに設定されてよい。閾値は、例えば、較正によって、又は、例えば、電力伝送コイル307及び通信コイル407の物理特性及び配置の設計及び解析によって、製造中に決定されてよい。
【0134】
図7及び13のシステムにおいて、送電機は、時間フレームの放電時間インターバルの間に通信キャパシタ1011を放電するよう構成される放電回路1010を更に有する。放電時間インターバルは、通信期間に少なくとも部分的に先行する。すなわち、通信キャパシタ1011は、送信電力推定の間の少なくともある時間に放電される。多くの実施形態において、放電インターバルは、通信期間の開始より前に終了される。例えば、放電回路1010は、通信の開始より前に通信キャパシタ1011を放電するのを止める。通信キャパシタ1011は、放電インターバルの間に完全に又は部分的に放電されてよい。
【0135】
例として、電力伝送期間の間、電力伝送回路701は、電力伝送コイル307を駆動する。それに応えて、誘導電力伝送信号は、通信コイル407において信号を引き起こす。しかし、スイッチS1は開いており、それによって、通信コイル407を分離する。電力伝送期間の終わりに向かうある時点で、放電時間インターバルは開始し、放電回路1010はキャパシタを放電し始める。この時点で、通信コイル407において引き起こされる電圧は、通常は低減され、それによって、多くの実施形態では、より適切又は安全な動作環境を提供する。所与の存続期間の後、放電回路1010は、通信キャパシタ1011を放電するのを止めてよい。同時に、スイッチS1は閉じられてよく、それによって、通信コイル407を復調回路1007へ結合し、それによって、通信キャパシタ1011、通信コイル407、復調回路1007及びドライバ1001、1003の直列結合を閉じる。直ぐ後に、ドライバ1001、1003は、駆動信号を生成し始めてよく(すなわち、ドライバのインバータは起動されてよい。)、通信期間は開始されてよい。搬送波は、この時間の間に受電体5によって負荷変調されてよく、データは、復調回路1007によって検出される。所与の存続期間の後、通信期間は終了してよく、インバータはオフされてよいので、通信搬送波は生成されない。同時に、スイッチS1は、開放位置へ切り替えられ、それによって、通信コイル407を分離する。電力伝送期間は、次いで開始されてよい。
【0136】
図7及び13のシステムは、通信期間の開始より前に、通常は、駆動信号/通信搬送波の生成の開始より前に、通信キャパシタ1011に蓄えられている電荷を低減する放電回路1010を然るべく有する。
【0137】
本発明者は、通信期間より前における通信キャパシタ1011に保持されている電荷のこのような低減が、多くのシナリオにおいて、改善された動作を提供することに気付いた。実際に、通信コイル407の結合及び分離のアプローチは、改善された動作を提供することができ、一方、本発明者は、システムの最適な動作を妨げる困難及び課題が実際には存在することがあり、それらが通信期間より前の通信キャパシタ1011の時間に依存したアクティブ放電によって排除又は軽減され得ることに気付いた。
【0138】
具体的に、通信コイル407を分離することによって達成される直列結合の分断、すなわち、スイッチS1 1009の開放は、通信コイル407を含む直列結合を流れる如何なる電流も阻止するよう意図される。すなわち、通信コイル407において生じる信号によって引き起こされる、通信コイル407及び通信キャパシタ1011、復調回路1007及びドライバ1001、1003の直列結合を流れる電流を阻止することが、意図及び期待される。然るに、この回路の状態が、通信期間の大部分の間変更されないことが期待される。しかし、本発明者は、実際にはこれが当てはまらないことがあり、代わりに、若干の電流が流れて、システムの動作に有害になりうる状態の変化を引き起こすことがあると気付いた。
【0139】
例として、
図14は、送電機2の通信部の典型的な出力回路の例を表す。例において、通信コイル407は、スイッチS2 1015及びS3 1027並びにダイオードD2 1029及びD3 1031によって形成されるハーフブリッジによって駆動される。加えて、スイッチS1 1009は、直列結合を分断又は形成するよう含まれている(復調回路1007は、当該例では示されていない。)。通信期間の間、S1は閉じられ、インバータは、通信コイル407及び通信キャパシタ1011によって形成される共振回路を駆動する。しかし、電力伝送期間の少なくとも部分の間、S1は開き、通信コイル407はインバータ(及び復調回路1007)から分離される。然るに、回路の状態は、変化することを期待されない。
【0140】
しかし、本発明者は、スイッチが理想的なコンポーネントでないことにより、実際の用途では、通常は、この時間の間でさえ若干の電流が流れていることに気付いた。本発明者は、更には、これが出力回路の動作に影響を及ぼしうることに気付いた。
【0141】
例えば、実際上、スイッチS1、S2及びS3は、電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor(s))によって実装されてよい。それらのコンポーネントの寄生特性により、スイッチS1が開いている場合でさえ依然としてわずかながら電流が流れ得る。例えば、電力伝送期間の大部分の間、インバータはオフされてよい。これは、通常は、静的にS2を開いたままとし且つS3を閉じたままとすることによって、行われる。しかし、スイッチS1における漏れにより、通信コイル407で生成された如何なる電圧も、回路を流れるいくらかの電流を生じさせる。他の実施形態では、ボディダイオード(具体的に、
図14のD2及びD3)のような寄生コンポーネントは、通信コイル407が分離されているにもかかわらず、電流が回路を流れる可能性をもたらす。これは、回路の状態が変化することに帰結することがあり、これは、いくつかの実施形態では不利な動作をもたらしうる。例えば、それは、スイッチS1が閉じられている場合に、高い初期電流を生じさせうる。他の例として、それは、通信コイル407の有効な駆動を妨げうる。
【0142】
記載されるシステムにおいて、そのような効果は、通信期間より前における通信キャパシタ1011の選択的放電によって緩和される。特に、これは、スイッチS1が閉じられている場合に、高電圧/電荷が通信キャパシタ1011において存在しないようにする。
【0143】
これは、次いで、非常に高いサージ電流が復調回路1007及びインバータに流れないようにすることができ、よって、高サージ電流が回路に潜在的に損傷を与えることを防ぐことができる。実際に、復調回路1007がない場合に、通信キャパシタ1011における電荷は、スイッチS1が閉じられている場合に、実際上、高いキャパシタ電圧(例えば、100Vを超える。)を生じさせ得ることが分かっている。高電圧及び高電荷は、復調回路1007及びインバータ回路に損傷を与えうる高い電流を生じさせる。しかし、これは、選択的な放電を導入するアプローチによって阻止され得る。
【0144】
また、本発明者は、通信キャパシタ1011の高い電圧が、通信コイル407及び通信キャパシタ1011によって形成される共振回路の有効な駆動を妨げうることに気付いた。例えば、インバータが30Vの固定DC電圧を供給される場合には、100Vの通信キャパシタ1011の初期電圧は、ドライバのインバータ出力によって制御され得ない動作点を生じさせる。すなわち、電圧は、スイッチ/FET1025、1027に共振回路を有効に駆動させない。高められた電圧及び電荷は、インバータが共振回路を駆動しようとし始める場合に徐々に低減され得るが、この効果に頼ることは、通信搬送波が生成され得る前に遅延を導入する。しかし、通信キャパシタ1011の先制的な放電は、電圧を、インバータ出力(特に、ハーフ又はフルブリッジインバータのトランジスタ)が最初から有効に信号を駆動することができるレベルに下げることができる。
【0145】
多くの実施形態において、復調回路1007は、放電時間インターバルの間に通信キャパシタ1011の2つの端子間に放電経路を形成するよう構成されてよい。いくつかの実施形態において、放電経路は、単に、端子間に接続されたスイッチによって、あるいは、場合により、スイッチ及び放電電流を制限する直列抵抗によって、実装されてよい。
【0146】
なお、多くの実施形態において、放電回路1010は、通信キャパシタ1011の端子間の電気経路を形成するよう構成されてよく、このとき、電気経路は、ドライバ1001、1003及びデータ抽出回路(1007)、更には、通常は通信コイル407を含む。
【0147】
実際に、いくつかの実施形態において、放電回路1010は、スイッチS1 1009を用いて実装されてよい。スイッチS1 1009は、いくつかの実施形態では、通信キャパシタ1011を復調回路1007及びドライバ1001、1003を介して放電するために、通信期間より前に、通常は、ドライバが通信搬送波を生成する前に、閉じられてよい。例えば、
図13の例において、通信キャパシタ1011は、スイッチS1が閉じられ、それによって、通信コイル407、スイッチS1、復調回路1007(図示せず。)及びインバータのスイッチS2を介して放電経路を形成することによって、放電時間インターバルの間に放電され得る。
【0148】
多くのそのような実施形態において、放電回路1010は、データ抽出回路(1007)及びドライバを通る電流を放電インターバルの少なくとも部分の間制限する電流制限素子を有する。よって、通信キャパシタ1011の放電がインバータ及び復調回路1007のコンポーネントによってのみ制限されるのではなく、放電回路1010は、電流を低減する電流制限素子を含んでよい。
【0149】
多くの実施形態において、電流制限素子は、単に、抵抗であってよい。例えば、放電時間インターバルの間、スイッチS1は閉じられてよいが、直列抵抗が電流を低減する。抵抗は、電流を許容値に低減する値に設定されてよい。例えば、100Vの初期キャパシタ電圧、及び、例えば、2Aの最大許容電流に関して、50Ω抵抗は、スイッチS1が放電時間インターバルの間閉じられる場合に、スイッチS1と直列に結合されてよい。
【0150】
他の実施形態では、電流制限素子は、例えば、電流を所与の最大値に制限する非線形特性を有する電流リミッタであってよい。例えば、電流経路内の小さい抵抗にかかる電圧が検知され、電流経路内のトランジスタの状態を制御するのに使用される簡単な電流リミッタが、使用されてよい。
【0151】
電流制限素子は、最大放電電流を低減してよく、具体的には、初期サージ電流を低減してよい。これは、特に、放電に関与する復調回路1007及びインバータの回路を保護することができる。
【0152】
しかし、多くの実施形態において、そのような電流制限素子は、放電時間インターバルの間は大いに有利であり得るが、場合により通信性能を劣化させうる。然るに、多くの実施形態において、放電回路1010は、通信期間の間に電流制限素子を無効にするよう更に構成されてよい。
【0153】
このように、多くの実施形態において、通信キャパシタ1011、通信コイル407、復調回路1007及びインバータの直列結合を流れる電流は、放電時間インターバルの間は電流制限素子によって制限されてよいが、通信期間の間は制限されない。これは、例えば、通信期間の間は電流制限素子を短絡させる更なるスイッチを含むシステムによって達成されてよい。
【0154】
これは、特に、多くのシナリオにおいて、通信性能を向上させ、復調回路1007による負荷変調変動のより信頼できる検出を可能にする変調度の増大をもたらし得る。
【0155】
電流制限素子が検出される正確な時間は、個々の実施形態の性能及び要件に依存してよい。しかし、多くの実施形態において、電流制限素子を(例えば、それを短絡させるか又は直列結合から除くことによって)無効にする時間は、通信キャパシタ1011にかかる電圧に基づき決定される。
【0156】
このように、多くの実施形態において、復調回路1007は、通信キャパシタ1011にかかる電圧を測定し、例えば、この測定に応じて電流制限素子をオン又はオフ(それを短絡させることによる。)するコントローラを含んでよい。具体例として、コントローラは、通信キャパシタ1011にかかる電圧が所与の閾値を下回る場合に電流制限素子を無効にするよう構成されてよい。これは、電流制限素子が高電流に対する保護を提供しながら、電荷が有害でありそうもない場合(例えば、電圧が、例えば、復調回路1007への如何なるダメージも危険にさらすほど対応する電流が十分に高くないように、十分に低い場合)に動作に影響を及ぼさない用にすることができる。
【0157】
いくつかの実施形態において、コントローラは、代替的に、又は追加的に、誘導電力信号についての電力レベルインジケーションに応答して、電流制限素子を無効にする時間を決定するよう構成されてよい。
【0158】
誘導電力信号の電力レベルは、多くの実施形態において、容易に、且つ、まあまあ高い精度を有して、特定され得る。例えば、電力レベルは、具体例において、インバータ303へ供給される供給電圧、すなわち、
図4の電圧Udc_absに直接関係がある。これは、比較的ゆっくりと変化する信号であって、容易に測定可能であり、誘導電力信号の電力レベルの直接インジケーションを提供する。然るに、電流制限素子を無効にする時間は、この電圧に基づいてよい。
【0159】
通信コイル407において引き起こされる電圧は、誘導電力信号の電力レベルに直接依存する。従って、誘導電力信号の電力レベルに基づき電流制限素子の無効化のタイミングを取ることによって、無効化は、例えば、引き起こされた電圧が所与の閾値を下回るように下げられた場合に起こるよう、タイミングを取られ得る。閾値を適切な値に設定することによって、これは、通信期間がまさに開始しようとしており、然るに、電流制限素子は、最適な通信性能を可能にするために無効にされ得る、との良好なインジケーションを提供することができる。
【0160】
以下で、いくつかの具体例が与えられる。例において、抵抗は、通信キャパシタ1011が復調回路1007及びドライバ1003を介して放電される放電時間インターバルの間、電流を低減するために使用される。
【0161】
図15は、そのような実施形態の詳細を示す。
【0162】
例において、大きい電圧は共振タンク素子において、具体的には、通信コイル407Lcom_Txと直列に実装される通信キャパシタ1011にわたって、電力伝送期間の終わりに存在する。続く通信期間の間の通信コイル407の信頼できる通信及び駆動を提供するために、このキャパシタンスは、例において、通信より前に放電される。
【0163】
多数のステップが行われ得る:
1. スイッチ1009は、通信の開始の数百μ秒前に閉じられる。これは、放電時間インターバルが開始し、通信キャパシタ1011が放電され始めることを可能にする。しかし、スイッチS4 1005は開いており、それによって、抵抗Rdampの形をとる電流制限素子が直列結合に含まれて、大電流が通信回路を流れることを防ぐことを確かにする。スイッチ1009が閉じられる正確な時間は、例では、電力信号レベルに依存する。夫々の電力伝送期間の終わりに向かって、電力信号は低下する。よって、電力信号が通信コイルにわたって生成する電圧も低下する。この電圧が許容レベル(例えば、通信回路に損傷を与えない電圧)を下回る場合には、スイッチ1009は閉じられ得る。これは、モニタリングシステム1013によってモニタされ得る。
2. 通信コイルを流れる大電流は、スイッチ1009が閉じられる場合に依然として起こり得るので、ダンピング抵抗Rdamp1015(通常は、約100オーム)は、望ましくは、電流制限を提供するようS1スイッチ1009と直列に実装される。この抵抗は、通信回路を流れる電流を制限する。
3. このダンピング抵抗1013は、望ましくは、送電機の復調感度の低下を防ぐように、通信期間の間、短絡される(すなわち、データ受信回路から有効に分離される)。S4によって示されている、
図15における更なるスイッチ1015は、通信期間の開始時に又はその直後に、あるいは、望ましくは、その直前に、閉じられる。スイッチ1015の制御は、例えば、Rdampにかかる電圧を測定して、Rdampを流れる電流を計算することによって、実施され得る。この電流が閾値を下回る場合に、スイッチS4は閉じられ、それによって、電流制限素子を無効にする。それはまた、
図15に示されるように、キャパシタンス1011にかかる電圧をコントローラ/モニタリング回路1013によって測定することによっても、実施され得る。
【0164】
図16は、スイッチの開閉、すなわち、回路から又は互いからの要素の電気的な結合及び分離、の様々な期間を具体例において表す。
【0165】
電力伝送期間の開始時に、スイッチS1及びS4は開いている。
【0166】
その場合に、通信コイル407Lcom_Txは復調回路1007から分離される。時間t1での電力期間の終わりの直前に、且つ、通信期間の開始前に、スイッチS1は閉じられる。通信コイルLcom_Txは、その場合に、ダンピング抵抗Rdampを介して復調回路1007へ電気的に結合される。これは、大きすぎる電流が復調回路1007を流れることを防ぐ。時間t2までの電力伝送期間の間、DC/AC段は、搬送波信号を通信コイルLcom_Txへ供給しない。時間t2で、DC/AC段は、再びオンされ、搬送波信号をコイルへ供給する。スイッチS4は、その場合に、t2からt3の間はいつでも閉じられ得る。通信期間の実際の開始は、スイッチS4を閉じて、ダンピング抵抗Rdampを短絡し、ダンピング抵抗を回路から事実上分離する。セットアップはまた、システムの視点から、電力伝送から通信への遷移時間を削減する。ダンピング抵抗Rdampは、t1からt2の間の期間及びt2からt3の間の期間(の部分)においてこのようにして動作可能である。
図16において、これは、時間t1からt3の上にある両矢印によって図解的に示されており、実線矢印は、ダンピング抵抗が常に適用されている期間を示し、破線矢印は、ダンピング抵抗が適用される可能性がある期間を示す。
【0167】
既に述べられたように、ダンピング抵抗は電流制限要素であり、当該例において、電流制限要素は、放電時間インターバルの間、通信回路を通る電流を制限する。その値は、例えば:
Rdamp≧VS1/Imax (1)
であるように選択されてよい。ここで、VS1は、スイッチS1が閉じられる時点においてスイッチS1及びRdampにかかる電圧である。この電圧は、一次コイルにかかる電圧と同程度の大きさである。Imaxは、通信回路を通る最大許容電流である。通常は、VS1が約100Vに等しく、Imaxが通常は2Aに設定される場合には、ダンピング抵抗は、望ましくは、50Ω以上の値を有する。ダンピング抵抗の値は、望ましくは、この閾値よりも大きいが、望ましくは、大きすぎない。言い換えると、ダンピング抵抗は、理想的には、式(1)で記載されている最小許容値に等しいか又はそれに近いべきである。この抵抗が大きすぎる場合には、通信キャパシタ1011Ccom_Txにかかる電圧は、時間t3の前に十分に低い値にならない。放電の部分は、その場合に、通信期間の間に依然として起こり、これは、ダメージを引き起こし得るが、更には、送信されるデータの正確な解釈を妨げうる。
【0168】
通常、50から200の間、一般的には80から120の間の値、例えば、約100オームが、選択される。
【0169】
図17は、
図15のスキームに対する変形を表す。この場合に、スイッチS1及び抵抗Rdampは直列であり、スイッチS4と並列である。スイッチS1は閉じられ、一方、スイッチS4は依然として開いている場合に、通信コイル407Lcom_Txからの電流は、ダンピング抵抗Rdampを通って復調回路1007へ流れる。スイッチS4が閉じられる場合に、ダンピング抵抗Rdampは短絡される。また、モニタリング回路の代わりに、タイミング回路1019が使用される。モニタリング回路とタイミング回路との違いは、モニタリング回路では、スイッチは、測定値(コイル若しくはキャパシタンスのような素子における電圧若しくは電流、又は磁束の強さ)が閾値に達した場合に、開閉される点である。タイミング回路では、スイッチは制御され、すなわち、電力及び通信期間の時間フレーム内の特定の時点で、例えば、電力伝送期間の終わり又は通信期間の開始の一定期間(送信されるデータにおいて供与され得る受電体のタイプ及び/又はモデルに依存してよい。)前で、開閉される。当然、タイミングとモニタリングとの混合も使用されて得る(例えば、1つのスイッチの制御についてはタイミング及び他方についてはモニタリング)。1つ以上の制御回路は、より大きい制御ユニットの部分であるか、又はそれに組み込まれてよい。制御は、給電されているデバイスの種類に応じても及ぼされてよい。
【0170】
図18は、データ抽出回路を通る電流を制限するためのわずかに異なった配置を表す。
【0171】
S1は閉じられ、一方、S4は開いている場合に、電流は、コイルLcom_Txから接地へダンピング抵抗Rdampを介して流れる。これは、コイルLcom_Txでの電圧を放電及び/又は低減するために、
図17において見られるように使用され得るが、電流が、復調回路へではなく、接地へ流れる点で、
図17とは相違する。S1を閉じていくらか後に、放電及び/又は電圧低下は許容レベルへと行われている。S4が閉じられ、S1が開く場合に、電流はコイルLcom_Txから復調回路へ流れ、通信は実施され得る。抵抗Rdampは、電流がRdampを流れることができないので、通信の間、回路から有効に分離される。Rdampは、回路内の別の点へ、例えば、Ccom_TxとLcom_Txとの間に、接続されてよい。全ての事例において、ダンピング抵抗Rdampは、通信の間はダンピング抵抗Rdampを分離しながら、コイルにかかる電圧を安全に低減するために、回路の部分を構成するようスイッチS1、S4を介して制御可能であることができる。
【0172】
いくつかの実施形態において、送電機2は、放電時間インターバルの開始及び/又は終了時間を決定するよう構成されるコントローラを(例えば、放電回路の部分として)実装してよい。開始及び終了時間は、動作パラメータに基づき決定されてよい。
【0173】
例えば、多くの実施形態において、送電機2は、誘導電力信号についての電力レベルインジケーションに応答して、放電時間インターバルの開始時間を決定してよい。
【0174】
例えば、誘導電力信号の瞬時電力レベルが供給電圧Umainsの変動に追随する実施形態において(例えば、
図10の例を参照)、コントローラは、誘導電力信号を(例えば、供給電圧Umainsを測定することによって間接的に)連続して測定してよい。電力レベルが所与の閾値(例えば、最大値の10%)に達する場合に、送電機2は、例えば、
図10において信号Uac_HFによって表されるように、電力伝送コイル307への電力信号を完全にオフすることを進めてよい。しかし、それは、キャパシタの放電を先立って開始することを進めてよく、特に、放電時間インターバルの開始時間を、電力レベルが第2の、より高い閾値を超える時点に設定してよい。例えば、送電機2は、電力レベルが、最大値の例えば15%を下回る場合に、キャパシタを放電し始めてよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、送電機2は、キャパシタの電圧を測定するよう、且つ、測定されたキャパシタ値に応答して放電時間インターバルを開始するよう構成されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、キャパシタは、電力伝送インターバルの間(例えば、誘導電流の整流を生じさせるスイッチのボディダイオードを介して)連続して充電されてよく、このようにして、電圧は、電力伝送期間の間、連続して増大してよい。そのような実施形態では、コントローラは、キャパシタ電圧が所与の閾値を上回る場合に、放電時間インターバルを開始してよい。
【0176】
代替的に、又は追加的に、コントローラは、いくつかの実施形態において、キャパシタ電圧に応答して放電時間インターバルの終了時間を決定するよう構成されてよい。例えば、放電が、通常は、例えば、抵抗の形での電流制限を有して、開始されると、電圧は、放電に起因して、更には、場合により、誘導電力信号の電力レベルの低下に起因して、しばしば連続的に低下する。電圧はモニタされてよく、それが所与の閾値を下回る(例えば、相対的にゼロに近い)場合に、放電は終了されてよく、それによって、放電時間インターバルを終える。
【0177】
いくつかの実施形態において、送電機2は、追加的に、又は代替的に、キャパシタ電圧に応答して駆動時間インターバルの開始時間を決定するよう構成されるコントローラを有する。例えば、キャパシタ電圧が、キャパシタの放電が終了される電圧を下回る場合に、ドライバ1001、1003は、同時に、キャパシタ1005及び通信コイル407を有する共振回路のための駆動信号を生成し始めてよく、それによって、負荷変調のための通信搬送波を生成する。このように、いくつかの実施形態において、キャパシタ放電の状態から、共振回路が通信搬送波を生成するよう駆動される通信状態への通信回路の切り替えは、キャパシタ電圧の測定に応答して制御されてよい。
【0178】
キャパシタ電圧を測定するための如何なる適切なアプローチも使用されてよいことが認識されるだろう。例えば、高インピーダンスの演算増幅器は、端子間に結合されてよく、その出力は、送電機2の動作を制御するマイクロプロセッサへ測定値を供給するアナログ−デジタルコンバータへ結合される。
【0179】
いくつかの実施形態において、データ信号受信回路は、DC/ACコンバータと、DC/ACコンバータの入力ノードでの電圧を電力伝送期間の間制限する保護回路とを有する。
【0180】
DC/AC段の入力ノードは、通常は、数μF(通常は、約10μF)の等価入力キャパシタンス(番号1021によって示される、
図19におけるC1)を有する。DC/AC段は、
図19においてハーフブリッジインバータとして実装されている。ダイオード1023(
図3におけるD1)は、DC/AC段が特定の最小電圧を下回らないことを確かにするために、通常は実装される。上述されたように、送信通信コイルにわたって生成される電圧は、電力伝送期間の間、数百ボルトに達することができる。この電圧は、巻数の小さい(すなわち、1又は2巻の)通信コイルを使用することによって、低減され得る。そのインダクタンス値、よって、それにわたって生成される電圧は、低減される。しかし、この電圧は、50〜150Vの範囲にある電圧に依然として達することが予期される。それでもなお、DC/AC段の出力ノードでの電圧Uac_HFは、通信コイルと直列に接続されたキャパシタCcom_Txが電力信号によって生成される電圧によって変更されるので、大きい電圧にやはり達する。この大きい電圧は、その場合に、番号1025によって
図19に示されているスイッチS2のボディダイオードを介して(すなわち、DC/AC段がハーフブリッジインバータとして実装される場合に)、キャパシタンスC1を充電することができる。番号1029によって示されるダイオードD2及び番号1031によって示されるダイオードD3を有するハーフブリッジのスイッチS2及び番号1027によって示されるスイッチS3は、電力伝送期間の間、開いていることが留意されるべきである。DC/AC段の入力ノードでの電圧は、非常に高い値に達することでき、このことは、信頼できる通信にとっては望ましくない。よって、番号1033によって示されるダイオードD4は、キャパシタンスC1がDC/AC段の出力ノードで見られる大きい電圧によって充電されることを防ぐために、望ましくはDC/AC段の入力ノードにおいて実装され、それによって、DC/ACコンバータの入力ノードでの電圧を電力伝送期間の間制限する保護回路を実装する。DC/ACコンバータの入力ノードでの電圧を電力伝送期間の間制限するためのこの保護回路はまた、分離するための手段とは独立して実装され得るが、望ましくは、両方の保護対策が、
図19に示されるように実装される。
【0181】
保護回路が、分離する手段とは独立して実装される場合に、結果として現れる送電機は、誘導電力信号を受電体へ供給する第1インダクタと、受電体からデータ信号を受信する第2インダクタとを有し、第1及び第2インダクタは、電力伝送回路及びデータ信号受信回路における別個のインダクタであり、送電機は、供給される電力信号を、受信されるデータ信号に応じて制御する制御ユニットを有し、送電機は、電力伝送期間の間に第1インダクタを介して電力を伝送し、且つ、通信期間の間に第2インダクタを介してデータ信号を受信するよう構成され、通信期間は、電力信号がローである期間に対応し、データ信号受信回路は、DC/ACコンバータを有し、且つ、DC/ACコンバータの入力ノードでの電圧を電力伝送期間の間制限する保護回路を有する。
【0182】
ハーフブリッジインバータの入力部での電圧を制限する他の解決法は、電力伝送期間の間にスイッチS3を閉じることである。保護回路は、その場合に、電力伝送期間又は電力伝送期間の少なくとも部分の間スイッチS3を閉じてDC/ACコンバータの入力ノードでの電圧を制限する回路である。この閉成は、モニタされる電圧に応じることができる。
図19に示されるように、DC/AC段の出力ノードでの電圧Uac_HFは、この場合に、接地電圧により短絡されて、ハーフブリッジインバータの入力ノードでの電圧U”dc_absを制限する。キャパシタンスC1にかかる電圧は制限されるが、DC/AC段の入力ノードでの電圧U”dc_absは、依然として、非常に大きい値に達する。よって、この電圧レベルを制限するために、番号1035によって示される、
図20におけるツェナーダイオードD5(通常は、30〜40Vのツェナーダイオード)は、望ましくは、
図20に記載されるように、DC/AC段の入力ノードにおいて実装される。更には、DC/AC段の出力ノードでの電圧レベル及びキャパシタCcom_Txにかかる電圧も制限される。番号1037によって示される、
図20におけるキャパシタンスC2は、DC/AC段の入力ノードで見られる等価キャパシタンスに相当し、通常は1nFの値を有する。
【0183】
本発明はまた、送電機を有する電力伝送システムにも関係がある。それはまた、送電機に加えて、送電機と協働する受電体を有する電力伝送システムにも関係がある。
【0184】
前述の記載は、明りょうさのために、異なる機能回路、ユニット及びプロセスを参照して本発明の実施形態を記載してきたことが認識されるだろう。しかし、異なる機能回路、ユニット又はプロセスの間の機能性の如何なる適切な記述も、本発明から逸脱することなしに使用されてよいことは明らかである。例えば、別個のプロセッサ又はコントローラによって実行されるよう表されている機能性は、同じプロセッサ又はコントローラによって実行されてよい。従って、特定の機能ユニット又は回路への言及は、狭義の論理的又は物理的構造又は機構を示すのではなく、単に、記載される機能を提供する適切な手段への言及として見なされるべきである。
【0185】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらのあらゆる組み合わせを含む如何なる適切な形態でも実装され得る。本発明は、任意に、1つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサで実行されるコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてよい。本発明の実施形態の要素及びコンポーネントは、如何なる適切な方法でも物理的に、機能的に及び論理的に実装されてよい。実際に、機能性は、単一のユニットにおいて、複数のユニットにおいて、又は他の機能ユニットの部分として、実装されてよい。そのようなものとして、本発明は、単一のユニットにおいて実装されてよく、あるいは、異なるユニット、回路及びプロセッサの間で物理的に及び機能的に分配されてよい。
【0186】
本発明は、いくつ間実施形態に関連して記載されてきたが、本願で示される具体的な形態において制限されることは、意図されない。むしろ、本発明の適用範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。加えて、特徴は、特定の実施形態に関連して記載されるように思われ得るが、当業者であれば、記載される実施形態の様々な特徴は本発明に従って組み合わされてよいと認識するだろう。特許請求の範囲において、語「有する(comprising)」は、他の要素又はステップの存在を除外しない。
【0187】
更には、個々に上げられているとしても、複数の手段、要素、回路又は方法ステップは、例えば、単一の回路、ユニット又はプロセッサによって、実装されてよい。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれることがあるが、それらは、場合により、有利に組み合わされてよく、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが容易及び/又は有利でないことを示すものではない。また、1つのカテゴリの請求項において特徴が含まれることは、このカテゴリへの制限を示すものではなく、むしろ、その特徴が必要に応じて他のカテゴリの請求項に同調に適用可能であることを示す。更には、特許請求の範囲における特徴の順序は、特徴が機能すべき如何なる具体的な順序も示すものではなく、特に、方法の請求項における個々のステップの順序は、それらのステップがこの順序で実施されるべきことを示すものではない。むしろ、ステップは、如何なる適切な順序でも実施されてよい。加えて、単数参照は複数個を除外しない。よって、「1つの(an又はa)」、「第1の(first)」及び「第2の(second)」等への言及は、複数個を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、明らかな例として単に付与されており、特許請求の範囲を制限するものとして決して解釈されるべきではない。