特許第6397993号(P6397993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397993スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397993
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20180913BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20180913BHJP
   G06F 9/06 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B60R16/02 650J
   B60R16/023 P
   B60R16/02 660U
   G06F9/06
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-510719(P2017-510719)
(86)(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公表番号】特表2017-521321(P2017-521321A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】CN2015070759
(87)【国際公開番号】WO2015169110
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】201410193825.X
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516365909
【氏名又は名称】深▲せん▼市元征科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】フォン シァンジュン
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103499968(CN,A)
【文献】 中国実用新案第203365143(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0304278(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102176158(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0276115(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0228344(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0246135(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101929921(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60R 16/023
G06F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートモバイル端末(1)と、
前記スマートモバイル端末(1)と通信接続する診断コネクタ(2)と、
前記スマートモバイル端末(1)と通信接続するバックエンドサーバー(3)と、を備え、
前記スマートモバイル端末(1)は、無線通信機能と組み込まれたネットワーク機能と表示機能とを備え、クライアントソフトウェア(13)及び自動車診断アプリケーションソフトウェア(15)がインストールされており、無線通信方式を通じて前記診断コネクタ(2)との接続を実現し、前記組み込まれたネットワーク機能を通じて前記バックエンドサーバー(3)と通信接続することで前記クライアントソフトウェア(13)及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェア(15)のアップデート及びアップグレードを実現し、
前記診断コネクタ(2)は、自動車診断用ソケット(5)との接続によって、自動車用電子制御ユニット(7)との車両診断標準プロトコルに従った通信を実現し、
前記バックエンドサーバー(3)は、前記診断コネクタ(2)を登録及び管理し、登録及び管理された前記診断コネクタ(2)と通信接続する前記スマートモバイル端末(1)に対して、前記クライアントソフトウェア(13)及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェア(15)のアップデートまたはアップグレードサービスを提供することを特徴とするスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項2】
前記スマートモバイル端末(1)は、Android(登録商標)又はIOS(登録商標)オペレーティングシステムを使用したスマートフォン又はタブレット型コンピュータであることを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項3】
前記無線通信方式は、ブルートゥース(登録商標)通信であることを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項4】
前記スマートモバイル端末(1)が前記組み込まれたネットワーク機能を通じて前記バックエンドサーバー(3)と通信する方式は、GPRS、3G,4G又はWIFIであることを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項5】
前記診断コネクタ(2)は、MCUモジュール(21)と、前記MCUモジュール(21)に電気的に接続するスイッチモジュール(23)と、前記MCUモジュール(21)に電気的に接続するブルートゥース(登録商標)通信モジュール(25)と、前記MCUモジュール(21)及び前記ブルートゥース(登録商標)通信モジュール(25)に電気的に接続するLED表示モジュール(27)と、前記スイッチモジュール(23)に電気的に接続するコネクタモジュール(28)と、前記MCUモジュール(21)及び前記LED表示モジュール(27)に電気的に接続する電源モジュール(29)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項6】
前記クライアントソフトウェア(13)は、自動車診断機能(131)とアップグレード機能(133)とレポート機能(135)とその他の機能(137)とを含む複数の機能を有することを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項7】
前記自動車診断アプリケーションソフトウェア(15)は、前記自動車用電子制御ユニット全体の診断に適し、そのインタラクティブインターフェースがバージョン情報(151)、故障コード読取(153)、故障コード消去(155)及びデータストリーム読取(157)を含む複数の機能オプションを有することを特徴とする請求項1に記載のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム。
【請求項8】
スマートモバイル端末を提供し、前記スマートモバイル端末の組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバーからクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをダウンロード及びインストールし、或いは需要に応じて前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアをアップデート及びアップグレードするステップ1と、
診断コネクタを提供し、前記診断コネクタを自動車診断用ソケットに接続するステップ2と、
前記スマートモバイル端末及び前記診断コネクタのブルートゥース(登録商標)機能をオンにするステップ3と、
前記自動車診断アプリケーションソフトウェアを実行して診断コマンドを送信するステップ4と、
前記診断コネクタが前記診断コマンドを受信して自動車用電子制御ユニットと通信接続し、診断データを読み取り受信する共に前記診断データを前記スマートモバイル端末に返送するステップ5と、
前記スマートモバイル端末の表示機能を通じて前記診断データを見て車両状態を判断するステップ6と、
を含み、
前記ステップ1で、バックエンドサーバーは、前記診断コネクタを登録及び管理し、登録及び管理された前記診断コネクタと接続する前記スマートモバイル端末に対して前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアのアップグレードサービスを提供することを特徴とするスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年5月8日に中国特許庁に出願された「スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法」という名称の中国特許出願第201410193825.X号の優先権を主張し、その出願内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、自動車診断システム及びその方法に関し、特に、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車は、人々が最も熟知、最もよく見られる交通用具で、人々の生活において十分重要な働きをしている。自動車は、品質が異なり、型式も多様化されてきたにもかかわらず、使用の過程中、様々な故障が現れることを避けられず、それを直ちに解決或いは修理する必要がある。社会の発展及び化学技術の進歩に伴い、自動車の設計及び製造も益々電子技術、自動化技術及びコンピュータ技術を採用している。一方、自動車の自動化程度は益々高くなり、性能がより一層優れ、操作がより一層便利で柔軟となり、もう一方として自動車の整備及び検査に対して更に高く要求されている。
【0004】
自動車の構造は、益々複雑化し、自動車の故障診断も益々複雑になり、自動車診断設備に対する需要が益々大きくなってきている。自動車用電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)は、自動車を監視及び制御する重要部品であり、一般的に故障の自己診断機能を持っている。自動車に故障が発生した時、故障情報を自動車用電子制御ユニットの内部に保存し、自動車に関する他の重要情報も自動車用電子制御ユニットが集中及び制御する。自動車の故障を検査するため、自動車用電子制御ユニットをサソケットするプロトコルで通信して自動車の各種類の情報を読み書き、処理、表示することで、自動車診断の目的を達成する。自動車用電子制御ユニットの種類の多様性及び自動車用電子制御ユニットをサソケットするプロトコルの多様性及び自動車用電子制御ユニットの複雑性により、自動車診断設備は自動車用電子制御ユニットとの複雑な通信及び専門的なデータを処理する必要があるため、専門的なハードウェア及びソフトウェアのサソケットが必要とされてきた。
【0005】
自動車整備工場向けの専門自動車診断設備は、機能が強大であるが体積が大きく、価格も高い。自動車個人利用者向けのパーソナル自動車診断設備は、体積が比較的小さく、価格も比較的低く、操作しやすい等といった利点により、迅速に発展している。同時に、パーソナル自動車診断設備は、通常、専用診断コネクタと当該診断コネクタにセットされる表示器との結合を採用し、診断コネクタのハードウェアを開発するだけではなく、表示処理及び文書処理のハードウェアも開発しなければならない。そのため、コストが高く、持ち運びに不便でかつ応用が単一で、自身に組み込まれたネットワーク機能がないことによりソフトウェアのアップグレードに手間が掛かる等の欠点が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、自動車診断技術をスマートモバイル端末に応用し、診断コネクタにセットされる表示器をスマートモバイル端末で代替して、パーソナル自動車診断システムに容易にソフトウェアのアップグレードを行わせ、持ち運びに便利で、コストを削減することができる、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムをベースにし、操作が簡単で、パーソナル自動車利用者がリアルタイムで車両診断データを見て車両状態を判断するという便宜が図れる、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、スマートモバイル端末と、前記スマートモバイル端末と通信接続する診断コネクタと、前記スマートモバイル端末と通信接続するバックエンドサーバーと、を備えたスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムを提供する。前記スマートモバイル端末は、無線通信機能と組み込まれたネットワーク機能と表示機能とを備え、クライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアがインストールされており、無線通信方式を通じて診断コネクタとの接続を実現し、前記組み込まれたネットワーク機能を通じて前記バックエンドサーバーと通信接続することで前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアのアップデート及びアップグレードを実現する。前記診断コネクタは、自動車診断用ソケットとの接続によって、自動車用電子制御ユニットとの車両診断標準プロトコルに従った通信を実現する。前記バックエンドサーバーは、前記診断コネクタを登録及び管理し、登録及び管理された前記診断コネクタと通信接続する前記スマートモバイル端末に対して、前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアのアップデートまたはアップグレードサービスを提供する。
【0009】
前記スマートモバイル端末は、Android(登録商標)又はIOS(登録商標)オペレーティングシステムを使用したスマートフォン又はタブレット型コンピュータである。
【0010】
前記無線通信方式は、ブルートゥース(登録商標)通信である。
【0011】
前記スマートモバイル端末が前記組み込まれたネットワーク機能を通じて前記バックエンドサーバーと通信する方式は、GPRS、3G、4G又はWIFIである。
【0012】
前記診断コネクタは、MCUモジュールと、MCUモジュールに電気的に接続するスイッチモジュールと、MCUモジュールに電気的に接続するブルートゥース(登録商標)通信モジュールと、MCUモジュール及びブルートゥース(登録商標)通信モジュールに電気的に接続するLED表示モジュールと、スイッチモジュールに電気的に接続するコネクタモジュールと、MCUモジュール及びLED表示モジュールに電気的に接続する電源モジュールと、を含む。
【0013】
前記MCUモジュールは、ローンチ テック カンパニー リミテッドで開発されたDP431デジタルチップであり、前記スイッチモジュールは、ローンチ テック カンパニー リミテッドで開発されたJV700アナログチップである。
【0014】
前記クライアントソフトウェアは、自動車診断機能とアップグレード機能とレポート機能とその他の機能とを含む複数の機能を有する。
【0015】
前記自動車診断アプリケーションソフトウェアは、前記自動車用電子制御ユニット全体の診断に適し、そのインタラクティブインターフェースがバージョン情報、故障コード読取、故障コード消去及びデータストリーム読取を含む複数の機能オプションを有する。
【0016】
更に、本発明は、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断方法を提供する。本発明に係る方法は、スマートモバイル端末を提供し、前記スマートモバイル端末の組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバーからクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをダウンロード及びインストールし、或いは需要に応じて前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアをアップデート及びアップグレードするステップ1と、診断コネクタを提供し、前記診断コネクタを自動車診断用ソケットに接続するステップ2と、前記スマートモバイル端末及び前記診断コネクタのブルートゥース(登録商標)機能をオンにするステップ3と、前記自動車診断アプリケーションソフトウェアを実行して診断コマンドを送信するステップ4と、前記診断コネクタが前記診断コマンドを受信して自動車用電子制御ユニットと通信接続し、診断データを読み取り受信する共に前記診断データを前記スマートモバイル端末に返送するステップ5と、前記スマートモバイル端末の表示機能を通じて前記診断データを見て車両状態を判断するステップ6と、を含み、前記ステップ1で、バックエンドサーバーは、前記診断コネクタを登録及び管理し、登録及び管理された前記診断コネクタと接続する前記スマートモバイル端末に対して前記クライアントソフトウェア及び前記自動車診断アプリケーションソフトウェアのアップグレードサービスを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明が提供するスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法は、スマートモバイル端末上にクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをインストールすることによって、スマートモバイル端末にユーザインタラクション、インターフェース表示及び診断コネクタに対する通信制御機能を持たせ、ブルートゥース(登録商標)で診断コネクタと通信接続して自動車用電子制御ユニット全体に対する診断を実現すると共に、スマートモバイル端末の組み込まれたネットワーク機能を十分利用し、クライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをアップデート及びアップグレーすることに便利で、個人の車両保有者のためにより一層持ち運びにも便利で、コストがより低く、操作が簡単な診断ツールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の特徴及び技術内容の更なる理解のため、以下、本発明に関する詳細な説明及び添付図面を参照する。ただし、添付図面は、参考及び説明のために使用されたものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0019】
以下、添付図面を組み合わせ、本発明の具体的実施形態の詳細な記述を通じて本発明の実施態様及びその他の有益な効果をより明確にさせる。
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムにおける診断コネクタのハードウェア論理構成のブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法におけるクライアントソフトウェア機能を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法における自動車診断アプリケーションソフトウェア機能を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が用いる技術的手段及びその効果を更に説明するため、本発明の好適な実施形態及びその添付図面を組み合わせて詳細な記述を行う。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態では、スマートモバイル端末1と、スマートモバイル端末1と通信接続する診断コネクタ2と、スマートモバイル端末1と通信接続するバックエンドサーバー3と、を含むスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムを提供する。スマートモバイル端末1は、無線通信機能と組み込まれたネットワーク機能と表示機能とを備え、クライアントソフトウェア13及び自動車診断アプリケーションソフトウェア15がインストールされており、無線通信方式を通じて診断コネクタ2との接続を実現し、組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバー3と通信接続することでクライアントソフトウェア13及び自動車診断アプリケーションソフトウェア15のアップデート及びアップグレードを実現する。診断コネクタ2は、自動車診断用ソケット5との接続によって、自動車用電子制御ユニット7との車両診断標準プロトコルに従った通信を実現する。
【0023】
スマートモバイル端末1は、Android(登録商標)又はIOS(登録商標)オペレーティングシステムを使用したスマートフォン又はタブレット型コンピュータであることが好適である。
【0024】
上記無線通信方式は、ブルートゥース(登録商標)通信である。
【0025】
スマートモバイル端末1が組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバー3と通信する方式は、GPRS、3G、4G又はWIFIである。
【0026】
自動車診断用ソケット5は、OBDII(第2世代車載式故障診断装置)診断用ソケットである。
【0027】
スマートモバイル端末1は、ユーザインタラクション、インターフェース表示及び診断コネクタ2に対する通信制御を担当する。診断コネクタ2は、スマートモバイル端末1と自動車用電子制御ユニット7との間の通信コマンドの分析処理を担当する。バックエンドサーバー3は、診断コネクタ2に対する登録及び管理を担当し、クライアントソフトウェア13及び自動車診断アプリケーションソフトウェア15のダウンロード及びアップグレードサービスを提供する。
【0028】
図2を参照すると、診断コネクタ2は、MCU(マスターコントロール)モジュール21と、MCUモジュール21に電気的に接続するスイッチモジュール23と、MCUモジュール21に電気的に接続するブルートゥース(登録商標)通信モジュール25と、MCUモジュール21及びブルートゥース(登録商標)通信モジュール25に電気的に接続するLED表示モジュール27と、スイッチモジュール23に電気的に接続するコネクタモジュール28と、MCUモジュール21及びLED表示モジュール27に電気的に接続する電源モジュール29と、を含む。
【0029】
本実施形態において、MCUモジュールは、ローンチ テック カンパニー リミテッドで開発されたDP431デジタルチップである。スイッチモジュール23は、ローンチ テック カンパニー リミテッドで開発されたJV700アナログチップである。
【0030】
コネクタモジュール28は、自動車診断用ソケット5と接続することで、自動車用電子制御ユニット7との通信を実現する。スイッチモジュール23がMCUモジュール21のコマンドに従ってコネクタモジュール28と自動車診断用ソケット5との接続/非接続を制御し、自動車用電子制御ユニット7との通信データの受信及び送信を実現する。MCUモジュール21は、スイッチモジュール23、ブルートゥース(登録商標)通信モジュール25、LED表示モジュール27及び電源モジュール29に対する制御を実現し、送受信した通信データを処理する。ブルートゥース(登録商標)通信モジュール25は、診断コネクタ2とスマートモバイル端末1との間の通信接続を実現し、データを転送する。LED表示モジュール27は、ブルートゥース(登録商標)接続状態及びデータ転送状態を表示するために用いられる。電源モジュール29は、電力供給に用いられる。
【0031】
MCUモジュール21は、汎用I/Oポート(GPIO)でLED表示モジュール27を制御する。MCUモジュール21とスイッチモジュール23との間で行う通信が従うプロトコルは、SPI、UART、CAN、SCAN、PMW、VPWを包括する。
【0032】
図3を参照すると、クライアントソフトウェア13は、自動車診断機能131とアップグレード機能133とレポート機能135とその他の機能137とを含む複数の機能を有する。
【0033】
スマートモバイル端末1のブルートゥース(登録商標)機能をオンにし、診断コネクタ2のブルートゥース(登録商標)通信モジュール25とペアリング、接続させ、自動車診断機能131を選択する。そして、スマートモバイル端末1がブルートゥース(登録商標)通信方式を通じて診断コネクタ2に診断コマンドを送信し、MCUモジュール21が当該診断コマンドを受信した後、スイッチモジュール23と通信し、スイッチモジュール23がコネクタモジュール28と自動車診断用ソケット5との接続/非接続を制御し、自動車用電子制御ユニット7の診断データを読み取り及び受信する。当該診断データはブルートゥース(登録商標)通信方式を通じてスマートモバイル端末1に転送され、スマートモバイル端末1の表示機能を通じてパーソナル自動車利用者に診断データを表示し、車両に対する診断を実現する。アップグレード機能133は、スマートモバイル端末1の組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバーと接続し、自動車診断アプリケーションソフトウェア15のアップグレード及びファームウェアのアップグレード(コネクタソフトウェアのアップグレード)を実現する。レポート機能135は、診断過程で生成された診断レポート、データストリーム記録、操作記録等を見るために用いられる。その他の機能137は、クライアントソフトウェア13のアップデート及び診断コネクタ2に対する登録、管理等を実現するために用いられる。
【0034】
図4を参照すると、自動車診断機能131は、自動車診断アプリケーションソフトウェア15によって実現される。自動車診断アプリケーションソフトウェア15は、エンジンシステム(PCM)の検査、診断に適するだけではなく、車両サポートその他の複数の電子制御ユニット(例えば、自動変速機制御モジュール(TCM)、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバッグシステム(SRS)、ボディコントロールモジュール(BCM)、点火制御モジュール(ICM)等)の検査、診断にも適する。自動車診断アプリケーションソフトウェア15のインタラクティブインターフェースは、バージョン情報151、故障コード読取153、故障コード消去155、データストリーム読取157といった複数の機能オプションを包括する。バージョン情報151機能は、自動車診断アプリケーションソフトウェア15のバージョンに関する状態を表示するために用いられる。故障コード読取機能153は、スマートモバイル端末1と自動車用電子制御ユニット7との間の通信を通じて車両サポートの電子制御ユニットを検査し、電子制御ユニットの故障コード機能を利用して車両に故障が存在するかどうかを確認するために用いられる。故障コード消去155機能は、臨時故障及び修理済みの故障を消去して自動車用電子制御ユニットを正常に動作させるために用いられる。データストリーム読取157機能は、リアルタイムで車両の各センサーの実際のデータを見るために用いられる。
【0035】
図5に示すように、上記のスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システムを踏まえ、本発明の一実施形態では、スマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断方法を提供する。当該方法は、スマートモバイル端末を提供し、当該スマートモバイル端末の組み込まれたネットワーク機能を通じてバックエンドサーバーからクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをダウンロード及びインストールし、或いは需要に応じてクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをアップデート及びアップグレードするステップ1と、診断コネクタを提供し、当該診断コネクタを自動車診断用ソケットに接続するステップ2と、スマートモバイル端末及び診断コネクタのブルートゥース(登録商標)機能をオンにするステップ3と、自動車診断アプリケーションソフトウェアを実行して診断コマンドを送信するステップ4と、診断コネクタが診断コマンドを受信して自動車用電子制御ユニットと通信接続し、診断データを読み取り受信する共に診断データをスマートモバイル端末に返送するステップ5と、スマートモバイル端末の表示機能を通じて診断データを見て車両状態を判断するステップ6と、を含む。
【0036】
当該方法によれば、操作が簡単で、パーソナル自動車利用者がリアルタイムで車両診断データを見て車両状態を判断する便宜が図られ、走行の安全性を効果的に高めることができる。
【0037】
上述の詳細な説明を取りまとめると、本実施形態に係るスマートモバイル端末に基づくパーソナル自動車診断システム及びその方法は、スマートモバイル端末上にクライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをインストールすることによって、スマートモバイル端末にユーザインタラクション、インターフェース表示及び診断コネクタに対する通信制御機能を持たせ、ブルートゥース(登録商標)で診断コネクタと通信接続して自動車用電子制御ユニット全体に対する診断を実現すると共に、スマートモバイル端末の組み込まれたネットワーク機能を十分利用し、クライアントソフトウェア及び自動車診断アプリケーションソフトウェアをアップデート及びアップグレードすることに便利で、個人の車両保有者のためにより一層持ち運びにも便利で、コストがより低く、操作が簡単な診断ツールを提供する。
【0038】
当該技術を熟知する者なら誰でも以上に述べた本発明の実施形態に技術思想に基づいて様々な変更や変形を加えることができることは勿論である。これら変更や変形は本発明の特許請求の範囲の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5