(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記不揮発性記憶部は、前記メモリトランジスタと前記増幅トランジスタとの間に、前記メモリトランジスタと直列に接続された第2選択トランジスタをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
前記画素は、電源線と前記フローティングディフュージョンとの間に接続されたリセットトランジスタをさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
前記第1選択トランジスタと前記第2選択トランジスタは、前記信号出力線に画像信号を出力しないときには少なくともいずれか一方がオフになることを特徴とする請求項2または3に記載の固体撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、カメラシステム10は、例えば自動車に搭載されてドライブレコーダとして用いられるものであり、固体撮像装置としてのイメージセンサ11を備えている。このカメラシステム10は、通常モードと、保存モードと、読み出しモードとを有している。通常モードは、これまでのドライブレコーダ等と同様に、イメージセンサ11を用いて動画を撮像し、その動画を記録媒体としてのメモリカード12に記録する動作モードである。このカメラシステム10では、例えば、その電源がオンになると自動的に通常モードになる。
【0016】
保存モードは、通常モード中のトリガ信号に応答して通常モードから移行し、その直後に撮影した1フレーム分の静止画像(被写体画像)をイメージセンサ11内に不揮発的に保存する動作モードである。読み出しモードは、保存モードでイメージセンサ11内に保持された静止画像をイメージセンサ11から外部に読み出す動作モードである。例えば、操作部13の操作で読み出しモードになり、イメージセンサ11に保持された静止画像が読み出されて静止画像がメモリカード12に書き込まれる。
【0017】
制御部14は、各種の操作ボタン等からなる操作部13からの操作信号に基づいて、カメラシステム10の各部を制御する。イメージセンサ11は、撮影レンズ15の背後に配されており、この撮影レンズ15を透過した被写体光がイメージセンサ11の受光面に入射する。イメージセンサ11は、CMOS型のものが用いられている。撮影レンズ15には、図示を省略しているが、ピントを調節するためのフォーカス機構やイメージセンサ11への入射光量を調節するための絞り機構等が設けられている。
【0018】
イメージセンサ11は、その受光面に複数の画素P(
図2参照)が設けられている。このイメージセンサ11は、制御部14の制御下で動作する駆動部16からの各種駆動信号により駆動され、各画素Pで被写体光を光電変換して電気的な画像信号を出力する。したがって、制御部14は、駆動部16を介して、後述する書き込み電圧や読み出し電圧を含む各種信号を各画素Pに与える。イメージセンサ11は、通常モード下では、連続的に駆動されて動画を撮像する。イメージセンサ11からの画像信号は、信号処理部17に送られる。また、イメージセンサ11は、被写体の静止画像を不揮発的に保持する機能を有している。
【0019】
信号処理部17は、イメージセンサ11からの画像信号に対するγ補正、ホワイトバランス補正等の処理や、順次入力される画像信号から動画データを生成する処理等を施す。この信号処理部17で生成された動画データは、メモリカード12に書き込まれる。通常モードでは、メモリカード12への記録は、後述するように所定の閾値以上の加速度が検知されるまで継続される。これにより、衝突等のイベントが発生するまでの動画がメモリカード12に記録される。また、信号処理部17は、読み出しモードでは、イメージセンサ11から読み出した静止画像をメモリカード12に書き込む。
【0020】
メモリカード12は、着脱自在とされており、カメラシステム10から取り外してPC等に装着して、それに記録された動画、静止画を液晶モニタ等に表示することができる。なお、動画と静止画像とを異なるメモリカード12に記録してもよい。また、動画、静止画像をメモリカード以外の記録媒体や装置に出力してもよい。
【0021】
カメラシステム10には、イベント検出部としての加速度センサ18が設けられている。加速度センサ18は、カメラシステム10にかかる加速度を検出して、その加速度に応じた検出信号を出力する。検出信号は、加速度センサ18から制御部14に送られる。制御部14は、通常モード下において検出信号に基づいて所定の閾値以上の大きさの加速度を検出したときに、動作モードを保存モードにする。上記閾値は、例えば自動車が一定の速度以上で壁や他の自動車に衝突したときや、他の自動車に衝突されたときの加速度を基準に設定されている。これにより、制御部14は、カメラシステム10を搭載した自動車が一定の速度以上で壁や他の自動車に衝突したことや、他の自動車に衝突されたことをイベントとして検出し、イベントの検出に応答して、そのイベントの発生時の静止画像をイメージセンサ11に保持する。
【0022】
この例では、閾値以上の大きさの加速度を示す検出信号が、所定のイベントを検出したトリガ信号になる。なお、検出するイベントは上記のものに限定されず、イベント検出部としては、検出するイベントに応じたセンサ等を用いればよい。
【0023】
補正処理部19は、読み出しモードでイメージセンサ11から読み出した静止画像の補正を行う。この補正は、補正データに基づいて、リセットノイズや画素P内の増幅トランジスタ38(
図3参照)の閾値電圧のバラツキに起因したノイズ等を低減する。補正データは、例えば、個々のイメージセンサ11について所定のテスト撮影を複数回行った結果に基づいて作成されており、ROM19aに書き込まれている。補正の際に、補正処理部19は、ROM19aから補正データを読み出す。
【0024】
図2に示すように、イメージセンサ11は、複数の画素Pが行列状に配列された画素アレイ22、垂直走査回路23、読み出し回路24、A/D変換回路25、水平走査回路26を有している。画素アレイ22は、イメージセンサ11の受光面に設けられている。画素Pは、行ごとに垂直走査回路23に接続され、また列ごとに信号出力線としての垂直信号線28に接続されている。各垂直信号線28は、読み出し回路24にそれぞれ接続されており、それぞれ対応する列内の画素Pのうち垂直走査回路23で選択される画素Pからの1画素分の画像信号を読み出し回路24に出力する。
【0025】
イメージセンサ11に接続された駆動部16は、タイミングジェネレータ31と、リードライト回路32とを有しており、制御部14からのクロック(CLK)と動作制御信号(CTRL)とに基づいて動作する。タイミングジェネレータ31は、各種タイミング信号を垂直走査回路23、読み出し回路24、A/D変換回路25、水平走査回路26に送る。リードライト回路32は、各画素Pのそれぞれに、ゲート電圧MGとソース側選択ゲート信号SGとを供給する。ゲート電圧MG、ソース側選択ゲート信号SGについては、後述する。
【0026】
垂直走査回路23は、通常モード及び読み出しモードでは、所定の周期で垂直方向(図中上下方向)に選択する行を順番にずらし、選択した行の各画素Pに動作モードに応じたタイミング信号を送る。また、保存モードでは、垂直走査回路23は、各行の画素Pを同時に選択して、選択した各画素Pを同時に動作させる。
【0027】
読み出し回路24には、定電流源としての負荷トランジスタ33(
図3参照)や、CDS回路34(
図3参照)等が画素Pの列ごとに設けられている。A/D変換回路25は、画素Pの列ごとに設けたA/D変換器で構成されており、読み出し回路24で処理された画像信号をデジタル変換する。水平走査回路26は、例えばシフトレジスタ等で構成されており、1行ごとにA/D変換回路25からの各画像信号をラッチして1行分の画像信号を出力する。画素アレイ22の行数分の画像信号の出力により、1フレーム分の画像信号が出力される。
【0028】
図3に示すように、画素Pは、入射光を光電変換するフォトダイオード35、転送トランジスタ36、リセットトランジスタ37、増幅トランジスタ38、フローティングディフュージョンFD、及び不揮発性記憶部としての記憶素子39を有する。この画素Pの構成は、これまでの選択トランジスタに代えて記憶素子39を用いている他は、いわゆる4トランジスタ方式と称される回路構成と同じである。
【0029】
フォトダイオード35には、撮影レンズ15を通った光が入射する。このフォトダイオード35は、露光期間中に、入射光をその光量に応じた量の電荷を生成して蓄積する。転送トランジスタ36は、そのソースがフォトダイオード35に、ドレインがフローティングディフュージョンFDに接続されている。フォトダイオード35とフローティングディフュージョンFDとの間に接続された転送トランジスタ36は、露光期間に続く読み出し期間において、フォトダイオード35に蓄積された電荷のフローティングディフュージョンFDへの転送を制御する。転送トランジスタ36は、そのゲートに垂直走査回路23からの転送信号TXが入力され、この転送信号TXによりオン、オフが制御される。転送トランジスタ36がオンになると、フォトダイオード35の電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。フローティングディフュージョンFDは、周知のように電荷を、その量に応じた電位に変換する。
【0030】
リセットトランジスタ37は、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットする。リセットトランジスタ37は、そのドレインに電源線VDL(
図6参照)が接続されて電源電圧VDD(例えば、1.2V)が与えられ、ソースがフローティングディフュージョンFDに接続されている。このリセットトランジスタ37は、そのゲートに垂直走査回路23からのリセット信号RSTが入力され、リセット信号RSTによりオン/オフが制御される。リセットトランジスタ37がオンになると、フローティングディフュージョンFDの電荷が電源線VDLに掃き出され、その電位が電源線VDLの電位(=VDD)と等しくされて、フローティングディフュージョンFDの電位がリセットされる。なお、転送トランジスタ36をオンとしつつリセットトランジスタ37をオンとすることにより、画素Pにおける露光時間(電荷蓄積時間)を調節することができる。また、リセットトランジスタ37は、読み出しモード時には、増幅トランジスタ38のゲートを一定の電位にするためにオンにされる。
【0031】
フローティングディフュージョンFDは、増幅トランジスタ38のゲートに接続されている。このフローティングディフュージョンFDによって、フォトダイオード35の電荷の量が電位に変換され、その電位が増幅トランジスタ38のゲートに印加される。増幅トランジスタ38は、そのドレインが電源線VDLに接続されて電源電圧VDDが与えられ、ソースが記憶素子39の一端に接続されている。この増幅トランジスタ38は、記憶素子39、垂直信号線28を介して前述の負荷トランジスタ33と接続されている。この増幅トランジスタ38は、負荷トランジスタ33とともにソースフォロワを構成しており、ソースフォロワの入力トランジスタとなっている。増幅トランジスタ38は、負荷トランジスタ33と協働してフローティングディフュージョンFDの電位をその電位に応じた画像信号の信号電圧に変換して垂直信号線28に出力する。
【0032】
記憶素子39は、詳細な構造は後述するが、ドレイン側選択トランジスタDSTと、メモリトランジスタMTと、ソース側選択トランジスタSSTとを直列に接続した構造を有するものである。この記憶素子39は、一端が増幅トランジスタ38のソースに、他端が垂直信号線28にそれぞれ接続されている。なお、記憶素子39は、この例のようにメモリトランジスタMTと各選択トランジスタDST,SSTとが一体に形成されたものに限定されず、後述するように、不揮発性メモリトランジスタと、この不揮発性メモリトランジスタとは各選択トランジスタとが別に形成され、各選択トランジスタが不揮発性メモリトランジスタのドレイン、ソースにそれぞれに接続された構成であってもよい。
【0033】
ドレイン側選択トランジスタDSTは、垂直走査回路23からの行選択信号RSにより、またソース側選択トランジスタSSTは、リードライト回路32からのソース側選択ゲート信号SGによりオン/オフがそれぞれ制御される。メモリトランジスタMTは、メモリゲート電極41と、電荷蓄積層42とを有しており、メモリゲート電極41に与えられるリードライト回路32からのゲート電圧MGにより、その動作が制御される。
【0034】
通常モードでは、記憶素子39は、導通状態にされることにより、増幅トランジスタ38と垂直信号線28とを接続する。これにより、記憶素子39は、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた画像信号をCDS34に出力する。また、保存モードでは、記憶素子39は、フォトダイオード35の受光量に応じたフローティングディフュージョンFDの電位に対応した電荷を電荷蓄積層42に蓄積する。このようにアナログ量であるフォトダイオード35の受光量を、メモリトランジスタMTの電荷蓄積層42の電荷の量として保持することにより、静止画像をイメージセンサ11に記憶するので、例えば受光量をデジタル変換した複数ビットのデジタルデータとして記憶する構成に比べて、格段に回路構成が小さくまた簡単な回路構成となり、また省スペース化に有利である。さらに、読み出しモードでは、記憶素子39は、電荷蓄積層42に蓄積された電荷の量に応じたレベルの画像信号を垂直信号線28に出力する。垂直信号線28に出力された画像信号は、A/D変換回路25により複数ビットのデジタルデータに変換される。
【0035】
上記のように記憶素子39を増幅トランジスタ38と垂直信号線28とを接続する配線上に設けているので、記憶素子39に記憶する静止画像の信号を供給するための信号線を増設する必要がない。
【0036】
読み出し回路24には、前述の負荷トランジスタ33、CDS回路34とともに、トランジスタ44が列ごとに設けられている。CDS回路34は、垂直信号線28に接続されている。CDS回路34には、タイミングジェネレータ31からのサンプリング信号SHR、SHSが順次に入力される。これにより、CDS回路34は、フローティングディフュージョンFDのリセット後の画像信号の信号電圧と、フォトダイオード35からの電荷の転送後の信号電圧とをサンプリングし、それらの差分を、ノイズを除去した画像信号として出力する。CDS回路34からの画像信号がA/D変換回路25に送られる。
【0037】
トランジスタ44は、読み出しモード時に擬似的な信号電圧を発生させる。トランジスタ44は、そのドレインが電源線VDLに接続され、ソースに垂直信号線28が接続されている。トランジスタ44は、読み出しモードにおいて、サンプリング信号SHRに同期したタイミングで所定のゲート電圧Vrが印加されることで、負荷トランジスタ33と協働して、垂直信号線28に擬似的な信号電圧を出力する。これにより、サンプリング信号SHRに同期したタイミングで、電荷蓄積層42に蓄積された電荷に影響されない信号電圧を得る。なお、トランジスタ44は、他の期間ではオフとされる。
【0038】
次に、記憶素子39の断面構成について説明する。
図4に示すように、記憶素子39は、半導体基板50に形成されたPウェル領域PW上に形成されている。それぞれN型MOSFETであるメモリトランジスタMTと、ドレイン側選択トランジスタDST、ソース側選択トランジスタSSTとがPウェル領域PW上に設けられている。
【0039】
記憶素子39のドレイン51とソース52とは、Pウェル領域PWの表面に、いずれもn型半導体領域として所定の間隔をあけて形成されている。Pウェル領域PW上には、ドレイン51とソース52との間にメモリゲート構造体53が配置され、このメモリゲート構造体53とドレイン51との間にドレイン側選択ゲート構造体54が、メモリゲート構造体53とソース52との間にソース側選択ゲート構造体55がそれぞれ配置されている。メモリゲート構造体53とドレイン側選択ゲート構造体54との間、及びメモリゲート構造体53とソース側選択ゲート構造体55との間には、絶縁材で形成された側壁スペーサ56がそれぞれ配置されている。
【0040】
この例においては、ソース側選択トランジスタSSTが第1選択トランジスタ、ドレイン側選択トランジスタDSTが第2選択トランジスタである。また、ソース側選択ゲート構造体55が第1ゲート構造体であり、ドレイン側選択ゲート構造体54が第2ゲート構造体である。
【0041】
メモリゲート構造体53は、Pウェル領域PW側から順番に、下部メモリゲート絶縁膜53a、電荷蓄積層42、上部メモリゲート絶縁膜53b、及びメモリゲート電極41が積層されており、メモリゲート電極41にゲート電圧MGが与えられる。電荷蓄積層42は、例えば窒化シリコン(Si
3N
4)や、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al
2O
3)等で形成されている。
【0042】
ドレイン側選択ゲート構造体54は、Pウェル領域PW側から順番にドレイン側選択ゲート絶縁膜54aとドレイン側選択ゲート電極54bとが積層されており、ドレイン側選択ゲート電極54bに行選択信号RSが入力される。ソース側選択ゲート構造体55は、Pウェル領域PW側から順番に、ソース側選択ゲート絶縁膜55aとソース側選択ゲート電極55bとが積層されており、ソース側選択ゲート電極55bにソース側選択ゲート信号SGが入力される。Pウェル領域PWは、グランドされており、その電位は0Vである。
【0043】
ドレイン51には、増幅トランジスタ38のソースが接続され、ソース52には、垂直信号線28が接続されている。なお、ドレイン51は、記憶素子39のドレインであると同時にドレイン側選択トランジスタDSTのドレインであり、ソース52は、記憶素子39のソースであると同時にソース側選択トランジスタSSTのソースでもある。また、ドレイン側選択トランジスタDSTとメモリトランジスタMTとの間、ソース側選択トランジスタSSTとメモリトランジスタMTとの間のPウェル領域PWの各部分には、各トランジスタDST、MT、SSTのソースないしドレインとなる領域は形成されていない。
【0044】
次に、
図5、
図6を参照して画素Pの平面レイアウトを説明する。なお、以下に説明する平面レイアウトは一例であり、これに限定するものではない。
図5は、各トランジスタのドレイン、ソース及びチャネル領域が形成される活性領域、ゲート配線、及び活性領域上又はゲート配線上に設けられたコンタクトの配置を示している。また、
図6は、コンタクトとともに、コンタクトの上層の第1メタル層、第1メタル層よりも上層の第2メタル層の各メタル配線と第1メタル層と第2メタル層とを接続するスルーホールの配置を示している。
【0045】
図5に示すように、半導体基板50の表面に、素子分離膜によって活性領域61が画定されている。活性領域61は、幅広な長方形状の幅広部62と、幅広部62との間に所定の間隔が設けられ、幅広部62よりも幅が狭く幅広部62の1辺に沿って延びた幅狭部63と、これら幅広部62と幅狭部63とをそれらの端部で接続した連結部64とを有している。幅狭部63は、幅広部62よりも列方向に長い。幅広部62は、N型領域が形成されており、フォトダイオード35となっている。なお、幅広部62と幅狭部63とが並ぶ方向が行方向であり、幅狭部63が延びる方向(行方向に直交する方向)が列方向である。
【0046】
幅狭部63を行方向に横断するように、転送トランジスタ36、リセットトランジスタ37、増幅トランジスタ38の各ゲート電極となるゲート配線65a〜65cが連結部64側から順番に設けられている。ゲート配線65aとゲート配線65bとの間の幅狭部63の部分がフローティングディフュージョンFDになる。
【0047】
また、メモリゲート線MGL、ドレイン側選択ゲート線DGL、ソース側選択ゲート線SGLは、いずれも行方向に延在しており、幅狭部63の一端側を行方向に横断するように配置されている。これらは連結部64側からドレイン側選択ゲート線DGL、メモリゲート線MGL、ソース側選択ゲート線SGLの順番で配置されている。メモリゲート線MGLにはゲート電圧MGが、ドレイン側選択ゲート線DGLには行選択信号RSが、ソース側選択ゲート線SGLには、ソース側選択ゲート信号SGがそれぞれ供給される。メモリゲート線MGL、ドレイン側選択ゲート線DGL、ソース側選択ゲート線SGLは、幅狭部63上の部分が記憶素子39におけるメモリトランジスタMTのメモリゲート電極41、ドレイン側選択トランジスタDSTのドレイン側選択ゲート電極54b、ソース側選択トランジスタSSTのソース側選択ゲート電極55bとなる。メモリゲート線MGLは、行内の各画素Pに対して共通であるが、さらに各行のメモリゲート線MGLを電気的に接続、すなわち画素アレイ22の各画素Pのメモリゲート電極41を電気的に接続してもよい。
【0048】
この例では、メモリゲート線MGLが第1層ポリシリコン層で形成され、ドレイン側選択ゲート線DGL、ソース側選択ゲート線SGL、及びゲート配線65a〜65cが第2層ポリシリコン層で形成される。メモリゲート線MGL、ドレイン側選択ゲート線DGL、ソース側選択ゲート線SGL、ゲート配線65a〜65cを同層のポリシリコン層やメタル層で形成してもよい。
【0049】
記憶素子39が形成される位置、すなわち上記のように幅狭部63上のソース側選択ゲート線SGL、メモリゲート線MGL、ドレイン側選択ゲート線DGLを設けた位置は、これまでの4トランジスタ方式の画素のレイアウトにおいて、その選択トランジスタが配される位置である。したがって、少ないレイアウトの変更で記憶素子39をイメージセンサ11に組み込んで静止画像を保持させることができる。また、記憶素子39は、これまでの選択トランジスタとして機能するドレイン側選択トランジスタDSTと、フォトダイオード35の受光量に応じた電荷の量、すなわち静止画像のピクセルを記憶するメモリトランジスタMTとが一体構造で形成されているため省スペースである。
【0050】
フローティングディフュージョンFDとなる幅狭部63の部分、ゲート配線65bとゲート配線65cとの間の幅狭部63の部分、幅狭部63の連結部64と反対側の一端、各ゲート配線65a〜65cの端部には、コンタクトC1〜C6がそれぞれ設けられている。
【0051】
図6において、第1メタル層には、メタル配線であるリセット信号線RSTL、転送信号線TXL、メタル配線M11〜M13が設けられている。第2メタル層には、メタル配線である電源線VDL、垂直信号線28が設けられている。リセット信号線RSTLと転送信号線TXLは、行方向に延在しており、電源線VDL、垂直信号線28は、列方向に延在している。転送信号線TXLは、活性領域61の連結部64側の端部の上に配置されており、リセット信号線RSTLは、幅広部62の連結部64と反対の端部側に近接した幅広部62の外側に配置されている。電源線VDLは、幅広部62と幅狭部63との間の上に配置され、垂直信号線28は、行方向に電源線VDLとの間に幅狭部63を挟む位置に配置されている。
【0052】
転送信号線TXLは、コンタクトC4を介してゲート配線65aに接続されており、転送信号線TXLを介して転送トランジスタ36に転送信号TXが与えられる。リセット信号線RSTLは、分岐部RSTLaが一体に設けられている。この分岐部RSTLaは、幅広部62に向って延び、一端が行方向に曲がったL字形状であり、その一端がコンタクトC5に接続されている。これにより、ゲート配線65bがリセット信号線RSTLに接続されて、リセットトランジスタ37にリセット信号RSTが与えられる。
【0053】
メタル配線M11は、行方向に長い長方形であり、その一端側に接続されたコンタクトC2を介して、幅狭部63の増幅トランジスタ38のドレインとなる部分に接続され、他端側に接続されたスルーホールT1を介して電源線VDLに接続されている。メタル配線M12は、幅狭部63に沿って長い長方形状の両端のそれぞれが行方向に折れ曲がった形状をしており、その一端に接続されたコンタクトC1を介してフローティングディフュージョンFDに接続され、他端に接続されたコンタクトC6を介して増幅トランジスタ38のゲートとなるゲート配線65cに接続されている。メタル配線M13は、行方向に長い長方形であり、その一端に接続されたコンタクトC3を介して、記憶素子39のソース52となる幅狭部63に接続され、他端に接続されたスルーホールT2を介して、垂直信号線28に接続されている。
【0054】
次に上記構成の作用について説明する。カメラシステム10は、例えば、その製造時にイレース動作によって、各メモリトランジスタMTの電荷蓄積層42が初期化される。イレース動作では、各画素Pにおいて、ソース側選択ゲート信号SG及び行選択信号RSをそれぞれLレベル(0V)にして、ソース側選択トランジスタSSTとドレイン側選択トランジスタDSTをそれぞれオフにした状態で、ゲート電圧MGとして消去電圧(例えば、−12V)をメモリゲート電極41に与える。これにより、メモリゲート電極41と、0VのPウェル領域PWとの電位差により、量子トンネル効果により、電荷蓄積層42からPウェル領域PWに向けて電荷が引き抜かれ、電荷蓄積層42が初期化される。
【0055】
カメラシステム10は、電源をオンにすると通常モードで作動して撮像を開始する。通常モードでは、リードライト回路32によって、各画素PのメモリトランジスタMTに対するゲート電圧MGとして通常電圧(例えば電源電圧VDD)が印加されるとともに、各画素Pのソース側選択トランジスタSSTに対するソース側選択ゲート信号SGがHレベル(例えば電源電圧VDD)にされる。また、これまでのカメラシステムと同様に、露光期間と読み出し期間が行ごとにずらされ、露光期間中に画素Pではフォトダイオード35に入射する光を電荷に変換して蓄積し、読み出し期間中に蓄積された電荷を画像信号に変換して出力する。
【0056】
任意の行の1つの画素Pでは、当該行が選択される前、すなわち注目する画素Pの行の露光期間中に、垂直走査回路23が転送信号TX及びリセット信号RSTをそれぞれLレベルにすることで、転送トランジスタ36及びリセットトランジスタ37がオフとなり、フォトダイオード35が入射する光を電荷に変換して蓄積する。このときに、露光期間中に転送トランジスタ36及びリセットトランジスタ37をオンからオフに転じるタイミングによって、入射する光を電荷に変換して蓄積する時間が調節される。
【0057】
露光期間に続く読み出し期間になると、
図7に示すように、垂直走査回路23が上記画素Pを含む行に対する行選択信号RSをHレベルにする。ゲート電圧MGが通常電圧、ソース側選択ゲート信号SGと行選択信号RSがそれぞれHレベルになるので、記憶素子39のドレイン側選択トランジスタDST、メモリトランジスタMT、ソース側選択トランジスタSSTがそれぞれオンになり、増幅トランジスタ38のソースと垂直信号線28が接続された状態になる。
【0058】
この後、垂直走査回路23によりリセット信号RSTがHレベルにされる。これにより、リセットトランジスタ37がオンになり、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。リセット信号RSTがLレベルに転じて、リセットトランジスタ37がオフになった後、タイミングジェネレータ31からのサンプリング信号SHRがCDS回路34に入力される。垂直信号線28には、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号電圧が出力されているから、CDS回路34によって、リセットされたフローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号電圧が第1サンプリング電圧としてサンプリングされる。
【0059】
第1サンプリング電圧のサンプリング後、垂直走査回路23が転送信号TXをHレベルにする。これにより、転送トランジスタ36がオンになって、フォトダイオード35に蓄積されている電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。転送信号TXがLレベルに転じて、転送トランジスタ36がオフになった後、タイミングジェネレータ31からのサンプリング信号SHSがCDS回路34に入力される。このときには、フローティングディフュージョンFDの電位は、フォトダイオード35に蓄積されていた電荷の量に応じたものになるから、CDS回路34によって、フォトダイオード35に蓄積されていた電荷の量、すなわち入射光量に応じた信号電圧が第2サンプリング電圧としてサンプリングされる。
【0060】
CDS回路34は、第1サンプリング電圧と第2サンプリング電圧との差を、ノイズを除去した1画素分の画像信号として出力する。各列の画素Pにおいて、同様の動作が行われることによって、読み出し回路24から1行分の画像信号が同時にA/D変換回路25に出力される。各画像信号は、A/D変換回路25によってそれぞれデジタル化され、水平走査回路26に送られ、水平走査回路26から1画素分の画像信号を時系列に並べた1行分の画像信号が出力される。行選択信号RSによって行が順次に選択され、選択された行の1行分の画像信号が順次に出力される。
【0061】
イメージセンサ11から出力される画像信号は、信号処理部17で処理され、動画の画像データとされてメモリカード12に順次記録される。このようにして、メモリカード12に記憶された動画は、メモリカード12をPC等に装着することにより再生することができる。
【0062】
上記通常モードでの動作中には、
図8に示すように、制御部14は、加速度センサ18からの検出信号を参照することにより、カメラシステム10にかかる加速度を監視している。加速度が閾値を超えていない場合には、通常モードでの動作を継続させる。
【0063】
一方、加速度が閾値を超えた場合には、制御部14は、駆動部16に保存モードで動作させるための動作制御信号CTRLを送る。この動作制御信号CTRLの入力により、それまでの通常モードでの撮像、動画の記録が停止され、保存モードに移行する。
【0064】
保存モードに移行すると、垂直走査回路23は、露光期間及び読み出し期間において各画素Pを同時に動作させる。露光期間における画素Pの動作は通常モードの場合と同様であり、各画素Pのフォトダイオード35により入射光量に応じた電荷が蓄積される。なお、リードライト回路32は、各画素PのメモリトランジスタMTに対してゲート電圧MGとして通常電圧を印加し、また各画素Pのソース側選択トランジスタSSTに対するソース側選択ゲート信号SGのHレベルにしている。
【0065】
図9に示すように、読み出し期間になると、垂直走査回路23は、各行に対する行選択信号RSをHレベルにする。これにより、各行の各画素Pのドレイン側選択トランジスタDSTがオンになり、メモリトランジスタMTに増幅トランジスタ38が接続された状態になる。また、この読み出し期間についても、通常モードの場合と同様に、各画素Pでは、リセットトランジスタ37、転送トランジスタ36が順番にオン、オフされる。これによりフローティングディフュージョンFDがリセットされた後に、フォトダイオード35が露光期間中に蓄積した電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。なお、保存モードでは、CDS回路34によるサンプリングした電圧を利用しないので、サンプリング信号SHR、SHSを発生させなくてもよい。
【0066】
フォトダイオード35の電荷がフローティングディフュージョンFDに転送された後に、リードライト回路32は、サンプリング信号SHSと同じタイミングで、ソース側選択ゲート信号SGをLレベルにする。これにより、ソース側選択トランジスタSSTがオフになって、メモリトランジスタMTが垂直信号線28から切り離される。そして、ソース側選択トランジスタSSTがオフとなっている間に、リードライト回路32は、ゲート電圧MGを書き込み電圧にする。書き込み電圧は、通常電圧よりも高い電圧であり、例えば9Vである。
【0067】
メモリゲート電極41に書き込み電圧が印加され、量子トンネル効果で電荷蓄積層42に電荷が蓄積される。ここで、ソース側選択トランジスタSSTがオフであり、ドレイン側選択トランジスタDSTがオンになっているから、メモリゲート電極41に書き込み電圧が印加されることでメモリゲート構造体53の直下のPウェル領域PWの電位は、ドレイン51と等電位になる。ドレイン51の電位は、増幅トランジスタ38のソースの電位(出力電位)と同じであり、増幅トランジスタ38のソースの電位は、フローティングディフュージョンFDの電位によって決まる。そして、フローティングディフュージョンFDの電位は、フォトダイオード35から転送された電荷の量、すなわちフォトダイオード35の受光量で決まる。したがって、ドレイン51の電位は、フォトダイオード35の受光量に対応したものとなる。書き込み電圧が一定であるから、メモリゲート電極41とメモリゲート構造体53の直下のPウェル領域PWとの電位差(以下、プログラム電圧という)は、フォトダイオード35の受光量に対応した大きさになる。電荷蓄積層42に量子トンネル効果で蓄積される電荷の量は、プログラム電圧によって変化するので、電荷蓄積層42には、フォトダイオード35の受光量に対応する量の電荷が蓄積される。この電荷蓄積層42の電荷の蓄積によって、メモリトランジスタMTの閾値電圧(ゲート閾値電圧)が変化し、その変化量は蓄積される電荷量に対応したものとなる。
【0068】
上記のようにして、各画素Pにおいて、フォトダイオード35の電荷をフローティングディフュージョンFDに転送した後に、書き込み電圧をメモリゲート電極41に印加することによって、フォトダイオード35の受光量が電荷蓄積層42に電荷の量として蓄積される。電荷蓄積層42に蓄積された電荷は、カメラシステム10の電源がオフになっても消去されることなく保持される。したがって、例えばカメラシステム10を搭載した自動車が一定の速度以上で壁や他の自動車に衝突した瞬間の画像として静止画像が不揮発的にイメージセンサ11に記憶される。保存モードでは、各画素Pを同時に動作させて、静止画像を記録しているので、イメージセンサ11に記憶されている静止画像の各ピクセルは相互で時間的なずれがない。
【0069】
メモリトランジスタMTは、例えば書き込み電圧を9V、ドレイン側選択トランジスタDSTのゲート電圧(行選択信号RSのHレベル)を1.2V、ドレイン51の電位を0Vとした場合で、書き込み電圧を印加する印加時間が100μsecとしたときに、電荷蓄積層42を初期化した状態を基準にして、1.2Vよりも大きい閾値電圧の変化量(Vthウインドウ)を確保することができる。また、印加時間を1msとすれば、1.7Vよりも大きい閾値電圧の変化量を得ることができる。このように、書き込み電圧の印加時間が短くても、大きな閾値電圧の変化量を得ることができ、静止画像のピクセルの階調の分解能を高くすることができる。また、書き込みは量子トンネル効果を利用しているので、メモリトランジスタMTに書き込み電圧を印加することにより流れる電流は、例えば1画素当たり1pA未満であり、イメージセンサ11の画素数が500万個であっても、書き込み時に流れる書き込み電流は5μA以下であるため、各画素Pに対して同時に書き込み電圧を印加しても特に支障はない。
【0070】
上記のように電荷蓄積層42に蓄積された電荷の量は、外部からの操作で変化させることができないから、イメージセンサ11に記憶されている静止画像を外部からの操作で書き換えたり消去したりすることは困難である。また、一度保存モードに移行した後には、再度保存モードに移行することを禁止したり、所定の解除操作をしない限り再度保存モードに移行しないようにしたりしておけば、イメージセンサ11に記憶されている静止画像が上書きされて消去されることを防止できる。
【0071】
なお、電荷を電荷蓄積層42に蓄積する際に、ソース側選択トランジスタSSTをオフとするのは、メモリトランジスタMTを垂直信号線28から切り離して、垂直信号線28に接続された他の回路の電位に影響されることなく、電荷蓄積層42に電荷を蓄積するためである。また、書き込み電圧の印加によって電荷蓄積層42に電荷を蓄積する前に、イレース動作を行って各記憶素子39の電荷蓄積層42の初期化を行ってもよい。
【0072】
イメージセンサ11に記憶されている静止画像を取り出す場合には、操作部13を操作して読み出しを指示する。この読み出しの指示により、制御部14は、読み出しモードでカメラシステム10の各部を動作させる。
【0073】
読み出しモードになると、垂直走査回路23が各行に対する行選択信号RSを順次にHレベルにすることにより、タイミングをずらして各行が選択される。
図10に示すように、垂直走査回路23が行選択信号RSをHレベルにすると、それに対応する行の各画素Pでは、記憶素子39のドレイン側選択トランジスタDSTがオンになる。ドレイン側選択トランジスタDSTがオンになるが、読み出しモードの初期では、ゲート電圧MGが0V、ソース側ゲート信号がLレベルになっているので、増幅トランジスタ38のソースと垂直信号線28は切り離された状態である。
【0074】
この後、リセット信号RSTがHレベルにされ、リセットトランジスタ37がオンになってフローティングディフュージョンFDがリセットされる。サンプリング信号SHRがCDS回路34に入力されるタイミングで、トランジスタ44のゲートに所定のゲート電圧Vrが与えられる。これにより、ゲート電圧Vrに応じた擬似的な信号電圧が垂直信号線28に出力され、この擬似的な信号電圧がCDS回路34に第1サンプリング電圧としてサンプリングされる。このようにして、電荷蓄積層42に蓄積されている電荷の量にかかわらず、一定な擬似的な信号電圧が第1サンプリング電圧とされる。
【0075】
第1サンプリング電圧のサンプリング後、リードライト回路32によって、ソース側選択ゲート信号SGがHレベルにされる。これにより、先にオンとなっているドレイン側選択トランジスタDSTとともにソース側選択トランジスタSSTがオンの状態になる。またゲート電圧MGが読み出し電圧にされる。ここで、読み出し電圧は、電荷蓄積層42に電荷が蓄積されている状態で想定される閾値電圧の最大値よりも高い電圧とされる。この例では、読み出し電圧を電源電圧VDDとしている。また、メモリトランジスタMTは、その電荷蓄積層42に電荷が蓄積されている電荷の量によって閾値電圧が変わっている。そして、電荷蓄積層42には保存モードで電荷が蓄積されており、その電荷の量はフォトダイオード35の受光量に応じた量であるから、保存モード時のフォトダイオード35の受光量に対応した閾値電圧になっている。また、増幅トランジスタ38のゲートには、リセットされたフローティングディフュージョンFDの一定な電位が与えられている。この結果、電荷蓄積層42に蓄積されている電荷の量に応じた信号電圧が垂直信号線28に出力される。すなわち、信号電圧は、電荷蓄積層42に蓄積されている電荷の量が多くなるほど低くなる。
【0076】
なお、この読み出しモードでは、転送信号TXがHレベルにされないので、フローティングディフュージョンFDは、リセットトランジスタ37のオン、オフでリセットされた電位に保たれる。
【0077】
上記のように、ソース側選択ゲート信号SGがHレベルに、またゲート電圧MGが読み出し電圧にされた後、サンプリング信号SHSがCDS回路34に入力される。これにより、電荷蓄積層42に蓄積されている電荷の量によって決まる信号電圧が第2サンプリング電圧としてCDS回路34によってサンプリングされる。CDS回路34は、第1サンプリング電圧と第2サンプリング電圧との差を1画素分の画像信号として出力する。このようにして、保存モード時のフォトダイオード35の受光量に対応した1画素分の画像信号が出力される。
【0078】
各列の各画素Pにおいて、同様の動作が行われることによって、読み出し回路24から1行分の画像信号が同時にA/D変換回路25に出力され、各画像信号がA/D変換回路25によってそれぞれデジタル化される。そして、水平走査回路26から1画素分の画像信号を時系列に並べた1行分の画像信号が出力される。行選択信号RSによって行が順次に選択され、選択された行の1行分の画像信号が順次に出力される。このようにして、各行の画像信号が出力されて、信号処理部17を経てメモリカード12に1フレームの静止画像として記録される。
【0079】
メモリカード12に静止画像が記録された後、補正処理部19は、メモリカード12に記録されている静止画像の各ピクセルのそれぞれをROM19aから読み出した対応する補正データに基づいて補正する。これにより、静止画像のノイズを低減する。
【0080】
メモリカード12に記録された静止画像は、メモリカード12をPC等に装着することによりモニタに表示することで見ることができる。モニタには、閾値以上の加速度が検出されたときに撮影された静止画像が表示される。
【0081】
上記の例では、ソース側選択トランジスタSSTをオンとする場合、そのゲート電圧として電源電圧VDD(>0V)を印加しているが、ゲート電圧が0Vのときにオンになるように、ソース側選択トランジスタSSTの閾値電圧を0Vよりも小さくしてもよい。また、メモリトランジスタMTについても同様であり、電荷蓄積層42を初期化した状態で閾値電圧を0Vよりも小さくし、通常電圧として0Vを印加するようにしてもよい。また、イメージセンサ11に記録されている静止画像を読み出す際に、メモリトランジスタMTに読み出し電圧を印加しているときの信号電圧そのものを画素Pの画像信号としてもよい。この場合には、トランジスタ44を省略し、CDS回路34は、メモリトランジスタMTに読み出し電圧を印加しているときの信号電圧をA/D変換回路25に出力する。
【0082】
上記実施形態では、メモリトランジスタ、第1選択トランジスタ及び第2選択トランジスタが一体になった記憶素子を用いているが、それぞれ独立した素子としてもよい。例えば、
図11に示す例では、それぞれ独立した素子であるメモリトランジスタ70、第1選択トランジスタ71及び第2選択トランジスタ72により不揮発性記憶部73が構成されている。メモリトランジスタ70は、メモリゲート電極70aと電荷蓄積層70bとを有しており、保存モードでは、メモリゲート電極70aに書き込み電圧が印加されることにより、そのドレインの電位、すなわちフォトダイオード35の受光量に応じた量の電荷を蓄積する。これらのメモリトランジスタ70、第1選択トランジスタ71及び第2選択トランジスタ72の動作は、上記メモリトランジスタMT、ソース側選択トランジスタSST及びドレイン側選択トランジスタDSTとほぼ同じである。
【0083】
選択された行(画素)からの画像信号のみを垂直信号線28に出力する点からは、第1選択トランジスタ71及び第2選択トランジスタ72のいずれか一方があればよい。また、書き込み電圧の印加の際、すなわち電荷蓄積層70bに電荷を蓄積する際に、画素と垂直信号線28とを切り離す点からは第1選択トランジスタ71があればよい。したがって、垂直信号線28に複数の画素Pが接続されている構成では、第2選択トランジスタ72を省略した構成とすることができる。この場合、第1選択トランジスタ71は、通常モードの読み出し期間、及び取り出しモードでオンにするとともに、保存モード下では書き込み電圧の印加の際にオフにすればよい。
【0084】
なお、上記のメモリトランジスタMT、メモリトランジスタ70は、ゲート構造体がシリコン基板側からシリコン酸化膜(トンネル絶縁膜)、シリコン窒化膜等からなる電荷蓄積層、シリコン酸化膜等のブロック絶縁膜、金属のゲート電極を積層した構造のいわゆるMONOS(Metal-Oxide-Nitride- Oxide-Silicon)型であってもよい。このMONOS型は、ゲート電極を高濃度ドープしたポリシリコンで形成したSONOS(Silicon-Oxide-Nitride- Oxide-Silicon)型を含む。このように、電荷蓄積層としては、窒化膜(シリコン窒化膜)を用いることが望ましい。窒化膜は、電荷を離散的に蓄積でき、トンネル絶縁膜に局所的な欠陥があったとしても空間的に均一に電荷を蓄積できるためである。この性質により同じ条件で電荷蓄積層に電荷を蓄積させた際のメモリトランジスタ間の閾値電圧の差が小さく、閾値電圧の再現性も安定しているため、画素情報を正確に記憶できる。また、メモリトランジスタ70、メモリトランジスタMTは、電荷蓄積層として多結晶シリコンなどの導電膜で形成したフローティングゲートを用いたフローティングゲート型であってもよい。上記MONOS型は、メモリトランジスタ間の閾値電圧の差を容易に小さくでき、また上記閾値電圧の再現性を容易に確保できるため好ましい構造である。
【0085】
以上のように、カメラシステム10のイメージセンサ11は、その各画素P内に設けた記憶素子のメモリトランジスタMT、メモリトランジスタ70に対するゲート電圧として書き込み電圧を印加することによって静止画像が記録されて、各画素P内に静止画像のピクセルが保持されるので、メモリカードや光学ディスク等の記録媒体を用いることなく静止画像が記録される。そして、このようにイメージセンサ11に静止画像が記録されるので、外部からの操作で静止画像を書き換えたり消去したりすることは困難である。また、各画素Pを同時に動作させて、静止画像を記録しているので、イメージセンサ11に記憶されている静止画像の各ピクセルは相互で時間的なずれがなく、また非常に短い時間で静止画像が記録される。さらに、静止画像の各ピクセルは、アナログ量であるフォトダイオード35の受光量を、電荷蓄積層42、70bにアナログ量である電荷の量としてイメージセンサ11に記録するので、格段に回路構成が小さく、簡単な回路構成であり、また省スペース化に有利である。
【0086】
上記の各例では、フォトダイオードの受光量に応じた電荷の量、すなわちアナログ量を画素内に設けたメモリトランジスタに保存しており、デジタルデータとして記憶する構成に比べて記憶素子(メモリトランジスタ)の個数が低減される。このような観点からは、メモリトランジスタをフォトダイオードとA/D変換回路との間の任意の位置に設けることができる。
【解決手段】イメージセンサの画素Pには、フォトダイオード35、転送トランジスタ36、リセットトランジスタ37、増幅トランジスタ38とともに、選択トランジスタの機能を有する記憶素子39が設けられている。記憶素子39は、ドレイン側選択トランジスタDST、ソース側選択トランジスタSSTとともにメモリトランジスタMTが一体的な構造で形成されている。メモリトランジスタMTは、書き込み電圧がゲート電圧としてメモリゲート電極41に印加されることにより、フォトダイオード35の受光量に応じた量の電荷を電荷蓄積層42に蓄積する。