【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
(1) 本発明は、電池容器(例えば、
図2の電池ケース110に相当)の外面に付着している電解質塩を除去する電解質塩除去装置(例えば、
図1の電池製造装置AAに相当)であって、前記電池容器の外面に付着している電解質塩に、水分を含有する気体を接触させる液状化手段(例えば、
図3の液状化部31に相当)と、前記液状化手段により水分を含有する気体と接触した電解質塩を除去する除去手段(例えば、
図3の除去部32に相当)と、を備えることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0011】
この発明によれば、液状化手段により、電池容器の外面に付着している電解質塩に、水分を含有する気体を接触させるとともに、除去手段により、この気体と接触した電解質塩を除去することとした。このため、電池容器の外面に付着している電解液が結晶化して電解質塩になっていても、除去手段により除去する際に、この電解質塩を溶解させることにより液状化させておくことができる。したがって、電解質塩を除去することができる。
【0012】
なお、液状化手段による上述の処理や、除去手段による上述の処理は、注液口の封止前に行うものであってもよいし、注液口の封止後に行うものであってもよい。ただし、注液口の封止前に行う場合には、電池容器内への水分の侵入を抑えるために、液状化手段による上述の処理や、除去手段による上述の処理を、短時間に行うことが好ましい。電池容器内への水分の侵入を抑えるという観点からすると、注液口の封止後に行うことがより好ましい。
【0013】
(2) 本発明は、(1)の電解質塩除去装置について、前記液状化手段により電解質塩に接触させる気体は、露点が第1の閾値(例えば、後述の露点−20度に相当)以上の気体であり、前記除去手段は、露点が前記第1の閾値以上の気体で満たされた大気環境に設けられ、前記液状化手段は、露点が前記第1の閾値以下である第2の閾値(例えば、後述の露点−40度に相当)以下の気体で満たされたドライ環境から前記大気環境に、前記電池容器を移送する移送手段を備えることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、(1)の電解質塩除去装置において、除去手段を大気環境に設け、ドライ環境から大気環境に電池容器を移送する移送手段を液状化手段に設けることとした。このため、移送手段によりドライ環境から大気環境に電池容器を移送すれば、電池容器の外面に付着している電解質塩を溶解させることができる。
【0015】
(3) 本発明は、(1)または(2)の電解質塩除去装置について、前記液状化手段は、水分を含有する気体を前記電池容器に向って送風する送風手段(例えば、
図3の送風部312に相当)を備えることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、(1)または(2)の電解質塩除去装置において、液状化手段に、水分を含有する気体を電池容器に向かって送風する送風手段を設けることとした。このため、電解質塩の液状化を促進させることができ、電解質塩の除去をより的確に行うことができる。
【0017】
(4) 本発明は、(1)から(3)のいずれか1つの電解質塩除去装置について、電解液は、前記電池容器に形成された注液口(例えば、
図2の注液口120に相当)から当該電池容器内に注液され、前記液状化手段は、前記注液口の周囲に付着している電解質塩に、水分を含有する気体を接触させることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0018】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれか1つの電解質塩除去装置において、液状化手段により、注液口の周囲に付着している電解質塩に、水分を含有する気体を接触させることとした。このため、電池容器のうち注液口の周囲に付着している電解質塩を、効率的に液状化させることができる。
【0019】
(5) 本発明は、(1)から(4)のいずれか1つの電解質塩除去装置について、前記除去手段は、液状化した電解質塩を吸収可能な第1の吸収体(例えば、
図3の吸収体321に相当)を備えることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0020】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれか1つの電解質塩除去装置において、除去手段に、液状化した電解質塩を吸収可能な第1の吸収体を設けることとした。このため、液状化している電解質塩に第1の吸収体を接触させることで、この電解質塩を容易に除去することができる。
【0021】
(6) 本発明は、(5)の電解質塩除去装置について、前記第1の吸収体は、揮発性を有する極性溶媒(例えば、後述の水やアルコールやカーボネートに相当)を含んでいることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0022】
この発明によれば、(5)の電解質塩除去装置において、第1の吸収体に極性溶媒を含ませることとした。このため、電解質塩に第1の吸収体を接触させることで、電解質塩の液状化をさらに促進させることができ、電解質塩の除去をより的確に行うことができる。
【0023】
また、この発明によれば、(5)の電解質塩除去装置において、第1の吸収体に含ませる極性溶媒を、揮発性を有する極性溶媒とした。このため、第1の吸収体に含ませた極性溶媒は、電池容器の外面に付着しても蒸発するので、第1の吸収体から電池容器の外面に付着した極性溶媒を除去する工程を行うことなく、上述のように電解質塩の液状化をさらに促進させることができる。
【0024】
(7) 本発明は、(1)から(6)のいずれか1つの電解質塩除去装置について、前記液状化手段により水分を含有する気体を接触させるよりも前に、前記電池容器の外面に付着している電解質塩を除去する事前除去手段(例えば、
図7の事前除去部33に相当)を備えることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)から(6)のいずれか1つの電解質塩除去装置において、事前除去手段により、電池容器の外面に付着している電解液を、液状化手段により水分を含有する気体を接触させるよりも前に除去することとした。このため、電池容器の外面に付着している電解液を、結晶化が進行していない段階で除去しておくことができるので、電解質塩を少なくすることができる。
【0026】
(8) 本発明は、(7)の電解質塩除去装置について、前記液状化手段により電解質塩に接触させる気体は、露点が第1の閾値(例えば、後述の露点−20度に相当)以上の気体であり、前記事前除去手段は、露点が前記第1の以下である第2の閾値(例えば、後述の露点−40度に相当)以下の気体で満たされたドライ環境に設けられることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、(7)の電解質塩除去装置において、事前除去手段をドライ環境に設けることとした。このため、電池容器がドライ環境にある段階で、この電池容器の外面に付着している電解液を除去することができる。
【0028】
(9) 本発明は、(7)または(8)の電解質塩除去装置について、前記事前除去手段は、液状化した電解質塩を吸収可能な第2の吸収体(例えば、
図7の吸収体331に相当)を備え、前記第2の吸収体は、電解液の溶媒を含んでいることを特徴とする電解質塩除去装置を提案している。
【0029】
この発明によれば、(7)または(8)の電解質塩除去装置において、事前除去手段に、液状化した電解質塩を吸収可能な第2の吸収体を設け、第2の吸収体に電解液の溶媒を含ませることとした。このため、電解液に第2の吸収体を接触させることで、電解液の除去をより的確に行うことができる。
【0030】
(10) 本発明は、電池容器(例えば、
図2の電池ケース110に相当)の外面に付着している電解質塩を除去する電解質塩除去方法であって、前記電池容器の外面に付着している電解質塩に、水分を含有する気体を接触させる第1のステップと、前記第1のステップにより水分を含有する気体と接触した電解質塩を除去する第2のステップと、を備えることを特徴とする電解質塩除去方法を提案している。
【0031】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0032】
(11) 本発明は、(10)の電解質塩除去方法において、前記第1のステップにより電解質塩に接触させる気体は、露点が第1の閾値(例えば、後述の露点−20度に相当)以上の気体であり、前記第2のステップは、露点が前記第1の閾値以上の気体で満たされた大気環境で行われ、前記第1のステップでは、露点が前記第1の閾値以下である第2の閾値(例えば、後述の露点−40度に相当)以下の気体で満たされたドライ環境から前記大気環境に、前記電池容器を移送させることを特徴とする電解質塩除去方法を提案している。
【0033】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0034】
(12) 本発明は、(10)または(11)の電解質塩除去方法において、前記第1のステップでは、水分を含有する気体を前記電池容器に向って送風することを特徴とする電解質塩除去方法を提案している。
【0035】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
(13) 本発明は、(10)から(12)のいずれか1つの電解質塩除去方法において、前記第1のステップにより電解質塩に接触させる気体は、露点が第1の閾値(例えば、後述の露点−20度に相当)以上の気体であり、前記第1のステップを行うよりも前に、露点が前記第1の閾値以下である第2の閾値(例えば、後述の露点−40度に相当)以下の気体で満たされたドライ環境において、前記電池容器の外面に付着している電解液を除去する第3のステップを備えることを特徴とする電解質塩除去方法を提案している。
【0037】
この発明によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。