(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記チャンバがその内部と流体連通している進入点を有するチャネルを含み、前記チャネルが、該チャネル内への進入点における前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部の速度を、前記第1ポートを通過する前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部の速度に対して低減するために配置されている、請求項1に記載の遠心機デバイス。
前記チャンバが、内部表面と、載頭円錐形のくさびと、を含み、前記載頭円錐形のくさびが、前記チャンバの内部内に配置されており、かつ、前記チャンバの内部表面から離間して、前記内部表面と前記載頭円錐形のくさびとの間に前記チャネルを画定し、前記載頭円錐形のくさびが、略平坦な頂面を有し、前記急速な減速が、前記載頭円錐形のくさびの頂面上における前記生物学的混合物の残留物の蓄積を防止するための機能を果たす、請求項2に記載の遠心機デバイス。
足場材料をさらに含み、前記第2ポートの開放により、前記生物学的液体混合物の残留物の少なくとも一部が前記足場材料に接触することを可能にし、前記生物学的液体混合物の残留物が前記足場材料内にある、請求項1に記載の遠心機デバイス。
前記周方向チャネルが前記第1ポートに隣接するプレナムをさらに含み、前記プレナムが前記周方向チャネルと協働して、前記チャネルへの進入点における前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部の流れの速度を、前記第1ポートを通じて排出される前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部の速度に対して低減する、請求項5に記載の遠心機。
c)前記第1ポートから排出される前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部の体積と少なくとも部分的に入れ替えるために前記回転チャンバの中心に空気が入ることを可能にするための通気口をさらに含む、請求項5に記載の遠心機。
前記チャンバが前記バレル内に配置された載頭円錐形のくさびをさらに含み、前記載頭円錐形のくさびが、前記バレルの側壁に隣接して配置された側壁を有し、その間に前記周方向チャネルを画定する、請求項5に記載の遠心機。
再利用可能構成要素と、使い捨ての構成要素とをさらに含み、前記使い捨ての構成要素が前記再利用可能構成要素に着脱可能に固定可能であり、前記再利用可能構成要素が前記モータを含み、前記使い捨ての構成要素が前記チャンバを含む、請求項5に記載の遠心機。
前記使い捨ての構成要素が、前記第1ポートから排出される前記少なくとも2つの同心性層状成分層のうちの第1の同心性層状成分層の少なくとも一部を捕捉するために配置された少なくとも1つのレシーバをさらに含む、請求項10に記載の遠心機。
前記第1ポートおよび第2ポートそれぞれを通じた前記チャンバからの前記第1および第2の同心性層状成分層の少なくとも一部の排出が、前記生物学的液体混合物の残留部を前記チャンバ内に残す、請求項5に記載の遠心機。
前記生物学的液体混合物が血液を含み、前記少なくとも2つの同心性層状層のうちの前記第1の同心性層状層が赤血球を含み、前記少なくとも2つの同心性層状層のうちの第2の同心性層状層が乏血小板血漿を含み、前記生物学的液体混合物の残留部がバフィコートを含み、当該遠心機が、前記赤血球の少なくとも一部の受入のために配置された第1レシーバと、前記乏血小板血漿の少なくとも一部の受入のために配置された第2レシーバと、を含む、請求項12に記載の遠心機。
前記周方向チャネルの制限部が、その長さの少なくとも一部に沿って幅が変化し、前記周方向チャネルの制限部の幅が、前記第1ポートからより遠くに配置された領域よりも前記第1ポートに隣接する領域において小さい、請求項16に記載の遠心機。
前記周方向チャネルの制限部が、該周方向チャネルの非制限部と比較した場合、前記周方向チャネルの回転軸線に対する半径方向寸法において低減部を含む、請求項5に記載の遠心機。
分離補助材、鮮鋭化流体、および前記生物学的液体混合物の分離された成分の1つに関する定性的または定量的情報を提供するのに有用な迅速検査キットからなる群より選択される少なくとも1つの付属品をさらに含む、請求項24に記載の検査キット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1aは、本発明に含まれるデバイスの動作の原理を説明するための図を提供する。実質的に載頭円錐形状のチャンバ1は、異なる密度のいくつかの液体の混合物を収容し、長手方向軸線XXを中心に回転する。液体2、液体3および液体4は断面AAに示すように半径方向に識別性のある層に分離する。テーパはいくつかの点で有利である。第1に、テーパは、同じ量が同様の寸法の直円柱の長さ全体に分配された場合に有するであろう半径方向深さと比較すると少量の液体で大きな半径方向深さ(符号11で示されるような)を提供することを可能にする。
図1bの符号14を参照のこと。第2に、テーパは、より大きな円錐直径に配置されたポート9に向かって外側液体成分を流すことを助ける半径方向加速力の成分を提供する。第3に、テーパは、また、実施形態のいくつかにおける半径方向位置7および半径方向位置8の代わりに、軸方向位置5および軸方向位置6としての成分境界の可視化を可能にする。ここで、用語「テーパ」または「テーパ状の」は、その通常の定義的意味、すなわち、一端に向かって継続的に小さくなるまたは漸減する、において使用されることに注目すべきである。したがって、チャンバのテーパは本明細書中に記載される例示的実施形態に示すように線形である必要はなく、本明細書の段落[0082]に記載するように円弧状であっても他の形状であってもよい。いくつかの実施形態においては、
図1の壁12は大きい方の直径に向かって移動し、載頭円錐形の容積は1種または複数種の成分が、例えば、ポート9およびポート10から出されるにつれて減少し、中心成分3をその元の量において残す。他の実施形態においては、壁12は所定の位置に留まり、中心線13に空気が導入され、空気コアが膨張し、排出された成分と入れ替わると、ポート9およびポート10において成分2および成分4が出ることを可能にする。
【0019】
図2は、実質的に円形のデバイスの主に長手方向断面図であり、外部ハウジングは図示されていない。
図2では、液密可変容積であるチャンバ(BSC)が、テーパ状のバレル206と、ピストン210と、ピストンシール211と、エンドキャップ215と、から形成されている。ピストン210およびシール211は、ばね209によってBSCの大きい方の端部の方に付勢されている。バレル206の大きい方の端部は、エンドキャップ215によって閉じられている。エンドキャップ215の内部表面はチャンバの大径端部壁を形成し、バレル206の内部表面はチャンバの先細る側壁を形成する。このデバイスが全血から血漿を濃縮するために使用される場合、エンドキャップ215は、内部に孔が空けられた通路216および通路217を有しており、通路217からの赤血球および通路216からの血漿の通過が可能である。通路217は、テーパ状のバレル206の外壁に沿ってエンドキャップの外側スカートを貫通する。最大ID位置においてエンドキャップ215の内部面を通過する、符号217で示されるものから90°に孔が空けられた通路は、符号217で示されるものに機能的に等しく、かつ、通路216に類似の形状を有する。通路217および通路216は、スリーブ213内のポート228およびポート227それぞれと共同で動作する凹部226内において圧縮されたOリング218によって形成されたバルブと連結している。これらバルブ構成要素は
図3の(b)および(d)において拡大されて示される。動作の適切な点においてポート穴228およびポート穴227が通路216および通路217と連結することを可能にするためにスリーブ213はエンドキャップ215に摺動可能に嵌合している。スリーブ213はこれら構成要素間における回転運動の伝達を可能にするためにエンドキャップ215にキー留めされている(キーは不図示)。挿入物219は回転アセンブリの左側端部を支持する玉軸受220のためのアクスルを提供するためにエンドキャップ215に固定されている。スリーブ213はチャンバとともに回転するため、カラー225およびロッド222を介してスリーブを非回転式ノブ223に連結するために玉軸受221が提供される。ノブおよびスリーブは3つの位置、つまり、第1の位置、ポート228が開き、ポート227が閉じている、第2の位置、両ポート227およびポート228が閉じている、第3の位置、ポート228が閉じ、ポート227が開いている、において配置することができる。バレル206は電気モータ201のシャフト205にねじ207を使用して固定されている。モータ端部に追加の軸受は提供されず、バレルを支持するためにはモータの軸受で十分である。完成したアセンブリはフレーム208によって支持され、インサート軸受220およびモータ201はこの同じフレームに配置されている。回転構成要素は全て軸線XXを中心に回転する。
【0020】
PRPを調製するためにデバイスを使用すべく、抗凝固処置された全血が充填された、針234を備えたシリンジ233がエラストマシール214を通じてデバイス内に挿入され、チャンバに全血229が充填される。チャンバに血液が充填されると、ポート228から空気を排出できるように、ノブ223が第1の位置に配置される。全血229がチャンバに完全に充填され、ピストン210およびシール211を右端まで押し、ばね209を圧縮する。
【0021】
図3の(a)は、
図2のAAにおける断面図であり、ノブ223およびロッド構成要素222の構造を明らかにする。
図3の(b)は、バルブ構成要素の詳細を示す
図2のBBにおける断面図であり、それらは、エンドキャップ215内の凹部226、Oリング218、およびスリーブ213内のポート228(ポート227のバルブの構造は同じ)である。
図3の(c)は、
図2のCCにおける断面を示す。
【0022】
チャンバに全血が充填されると、ノブおよびスリーブは両バルブが閉じた状態で第2の位置に配置され、シリンジ223が取り外され、モータが始動される。モータは、その後、使用される速度に応じて15〜90秒の時間運転される。10,000rpm〜25,000rpmの速度が使用されており、スピンしているチャンバの外側に1000g〜6000gの遠心加速を発生させている。
【0023】
図4は、高速で回転して動作している
図2のデバイスを示す。RBCポート228および血漿ポート227は両方とも閉じている。RBC層と血漿層との間の境界は符号237で示される。ピストン210は尚充填されたままの位置にあり、ばね209は完全に圧縮されている。ばねは2つの機能を有し、それは、赤血球がチャンバからポート228を通じて排出される際にピストンを左に移動させ、ばねが旋回する液体中に顕著な最低圧力を発生させ、これが、スピンする液体のコアが液体の蒸気圧に達することを防止し、いくつかの状況において細胞の損傷を抑制することが可能である。
【0024】
デバイスが尚回転している状態で赤血球と血漿とが分離されると、ノブおよびスリーブは第1の位置に配置され、赤血球はポート228からデバイスを取り囲むケーシング(ケーシングは不図示であるが、
図17および
図18を参照のこと)内に排出される。
図5は、ピストン210が中間位置にある際の赤血球231排出の中間点の状況を示す。赤血球の大部分が排出されると、バルブは第3の位置に配置され、血漿230がポート227から除去される。
図6は、濃縮プロセスの終了時の状況を示し、血漿ポート227は尚開いており、ピストンは左端位置まで閉じており、血漿の比重とRBCの比重との間の比重を有する血小板がRBC血漿境界層237に捕捉されており、血漿ポートが閉じようとしているところであり、モータが停止されている。
【0025】
チャンバの一般的な容量は20〜100mLであり、所望の濃縮の程度によって、工程の終了時に除去される濃縮された血漿の量は元の量の約4分の1〜8分の1である。
RBC血漿境界に集合する全ての血小板および他の要素を保持するために、全ての赤血球が除去される前にポート228を閉じることが必須であり、そうでなければ、これら成分が最後のRBCとともに流れ出るおそれがある。これが発生しないことを確実にするため、RBCポートを閉じねばならないときのチャンバの残留量を判断するために血液サンプルのヘマトクリット値が使用される。この量はピストン軸方向位置として観測可能であり、ピストンがこの所定の位置に到達するとバルブは位置1から位置3に移動する。
【0026】
図2〜6に記載されているデバイスでは、テーパ状の管内において移動するピストンおよびシールを使用するが、血液以外の液体の混合において、および排出される第1の液体の残留量があまり重要でない場合は、直円柱が適切に機能する。テーパ状の管は
図1の説明において言及した利点を有する。ピストンの位置はバレル(不図示)上の目盛りを基準としてオペレータにより視覚的に判定されるか、光学検出器および自動バルブ動作システム(automatic valve operation system)が使用される(不図示)。
【0027】
残留する濃縮された血漿が患者に再び注入されるため、このデバイスに使用される材料は、少なくとも血液に接触する成分においては医療グレードの材料でなければならない。バレル206、エンドキャップ215、スリーブ213、フレーム208、ノブ223およびカラー225にはポリカーボネートまたはPTEが適している。挿入物219は、416または420などの適切なグレードの不動態化ステンレス鋼のものである。玉軸受は高速で動作せねばならないが、非常に短時間で動作するため、グレードABMA1−3のステンレス鋼軸受が適切である。Oリング218およびシール211はシリコーンゴムのものである。モータは血液に接触しないため、工業用モータ(例えば、マブチ(Mabucci)製のもの)が適切である。
【0028】
図7は、初めにバレル306の孔に合致している可撓性袋312を備えた一実施形態を示す。袋は
図10および
図11に示すようにその反転する機能により可変容積チャンバを提供する。この実施形態は捕捉された気泡の影響を低減するために役立つ。
【0029】
図7では、液密可変容積遠心機チャンバ(BSC)が、成形された袋312を含むテーパ状のバレル306とエンドキャップ315とから形成される。袋はバレル突起部338とエンドキャップ315との間の折り返し(return fold)339内に捕捉されている、バレル306の大きい方の端部はエンドキャップ315によって閉じられている。このデバイスが全血から血漿を濃縮するために使用される場合、エンドキャップ315は、内部に孔が空けられた通路316および通路317を有することで、通路317から赤血球および通路316から血漿の通過が可能になる。通路317および通路316は、スリーブ313内のポート328およびポート327それぞれと共同で動作する凹部326内において圧縮されたOリング318によって形成されたバルブと連結している。動作の適切な点においてポート328およびポート327が通路316および通路317と連結することを可能にするために、スリーブ313はエンドキャップ315に摺動可能に嵌合する。ノブ323およびスリーブ313は3つの位置、つまり、第1の位置、ポート328が開いており、ポート327が閉じている、第2の位置、両ポート327、328が閉じている、第3の位置、ポート328が閉じており、ポート327が開いている、において配置される。スリーブ313は、これら構成要素間における回転運動の伝達を可能にするために、エンドキャップ315にキー留めされている(キーは不図示)。挿入物319は、回転アセンブリの左側端部を支持する玉軸受320のためのアクスルを提供するために、エンドキャップ315に固定されている。スリーブ313はチャンバとともに回転するため、カラー325およびロッド322を介してスリーブを非回転式ノブ323に連結するために玉軸受321が提供される。バレル306は電気モータ301のシャフト305にねじ307を使用して固定されている。モータ端部に追加の軸受は提供されず、バレルを支持するためにはモータの軸受で十分である。完成したアセンブリはフレーム308によって支持され、インサート軸受320およびモータ301はこのフレームに配置されている。回転する構成要素は全て軸線XXを中心に回転する。この図では、スリーブは、チャンバに血液が充填されているときに、空気を運ぶためにポート328を開いたままに維持するための第1の位置にあり、血漿ポート327は閉じている。全血329がチャンバに完全に充填されている。エラストマシール314は、回転の開始前に全血をチャンバ内に通過させるための針334の導入および動作の停止時における濃縮された血漿の除去を可能にする。
【0030】
図8は、断面AAにおける
図7に示されるデバイスの横断面図である。バレル306に完全に接触しているBSCおよび袋312に全血329が充填されている。フレーム308が回転アセンブリの下にある。
【0031】
図9は、高速で回転して動作している
図7のデバイスを示す。スリーブ313は位置2にあり、両ポート327、328は閉じている。RBC331と血漿330との間の境界は337で示される。袋はここではスピンする液体混合物によって発生した圧力の影響下において尚バレルに接している。
【0032】
図10は、60秒程度スピンした後の状況を示す。スリーブ313は位置1に配置されており、ポート328は開いており、RBC331はポート328を通じて排出されている。血漿ポート327は閉じている。袋は排出されたRBCの量を補償するために左に移動している。袋がとっている形状は、袋を右に押す液圧によって発生した力と、袋を左に押す大気圧(通気口332を介した)との間の平衡状態である。スピンする液体の中心の圧力は絶対零近辺のため、大気圧は特定半径、故に、袋の再進入(re−entrant)形状になるまで発展した左側の圧力を超えている。血漿330の量は導入された際と同じままである。RBCと血漿との間の境界は符号337で示される。この図では、残留RBC量331が十分に少ないためRBC排出が停止されようとしている。
【0033】
図11は、回転は継続しているが正に停止する前の袋312の最終位置を示す。スリーブ313は位置3にあり、RBCポート328は閉じており、血漿ポート327は尚開いている。血漿がポート327を通じて排出されており、エンドキャップ315上にロールし、かつ通路316を遮断する袋によって遮断されようとしている。これは濃縮された血漿330の最小量を示す。この時点で、スリーブ313は位置2に移動し、両ポートは閉じており、回転は、その後、停止され、残留液体はシリンジを
図7において記載した充填と同様の手法で使用して除去される。
【0034】
図7〜11のデバイスの材料は
図2〜6のデバイスのものと類似する。つまり、例による袋は、シリコーンゴム、ポリウレタンまたはポリ塩化ビニル製とされうる。
前のデバイス200では、ピストン位置がRBCポート328の閉鎖のための信号を提供する。袋の場合、反転された袋がテーパ状のバレルの孔に沿ってロールし、反転縁端(reverse edge)の軸方向位置がポート閉鎖のための量および信号を提供する(
図11において312の符号が付されている)。袋がポート通路316上にロールすると血漿排出の遮断が自動的に行われる。
【0035】
図12〜16に記載されているデバイスでは空気コアを用い、袋またはピストンを使用していない。
図12のデバイスは構造が前の2つの実施形態に非常に類似しており、BSCがバレル406とエンドキャップ415とから形成されている。エンドキャップ415の内部表面はチャンバの大径端部壁を形成し、バレル406の内部表面はチャンバの先細る側壁を形成している。この図では、シリンジ433からの全血429が遠心機チャンバに針434を通じて充填されており、両ポート428、427は閉じている。血液が注入されると血液によって変位した空気が針434と挿入物419の孔との間の間隙を通じて漏出する。
図13は、
図12の円形断面状態(circular section nature)を示す。充填シリンジが取り外されると、モータが始動され、チャンバが10,000〜20,000rpmで約1分間回転する。この時点で、スリーブ413は第2の位置に移動しており、RBCがポート428を通じて、最小限のRBC431が残る
図14に示される点まで排出される。一方、血漿は領域または層430をとり、血漿と空気の半径方向界面に境界440が形成され、空気コア438が挿入物419の孔を通じて入っている(不図示のハウジング内のフィルタを介するが、
図17および
図18を参照のこと)。この際、スリーブは第3の位置に移動しており、ポート428は閉じており、ポート427は開いている。この好適なデバイスによって、目に付く袋またはピストンはないため、オペレータは混合物のRBC431と血漿430との間の軸方向界面436を透明なバレルを通じて観察し、RBCポート428をいつ手動で閉じるか、および血漿ポート427をいつ開くかを判断する。血液では、この混合物界面は見ることは容易であり、光学検出器により自動化することができる。赤血球と血漿との間の電気抵抗率の差もまたインジケータまたは自動バルブを起動するために使用されうる。RBCポートを閉じる点を判断する代替的な方法は時間を使用することである。血液の成分を分離するための運転の1分後、RBCポートが開かれ、タイマが始動される。遠心機内で発生する圧力は液体の比重と運転速度の予測可能な関数であり、かつ、RBCポートは正確に校正されたオリフィスであるため、特定のヘマトクリット値に対して、排出される流速、したがって、時間を算出することができる。
【0036】
モータが尚運転している状態で、残留RBCが層431にあり、残留血漿が層430にある
図15の状況に達するまでポート427を通じて血漿を排出する。スリーブは、その後、両ポートを閉じるために第2の位置に移動する。血漿の場合、空気コア438がその通路の半径方向位置まで成長するとさらなる血漿の流れは発生しないことから、正確な最終量を提供するために通路416は厳密な半径方向位置に配置されている。モータは、その後、停止され、デバイスは
図16に示すように回転軸線が垂直になるようにモータが下方にある状態で直立する。いくらかのRBCを有する残りの濃縮された血漿は示されるようにシリンジおよび針によって除去される。
【0037】
この出願において記載される種々の実施形態に適した筐体が
図17および
図18に記載されているが、これら2つの図は、特に
図12〜16の空気コア実施形態に適用される筐体を示す。フレーム508は筐体の基部としての機能を果たすバッテリパワーパック503に取り付けられている。外部ケーシング500が遠心機を取り囲むとともにバッテリパック503に固定されており、接合部は液密かつ気密である。溝548内のピン547を介して内部ノブ523、故に、カラー525およびバルブスリーブ513を駆動するために、オペレータがセレクタノブ545を回すことができるように、偏心器546およびピン547と一体のバルブセレクタノブ545がケーシング内に取り付けられている。
図17では、チャンバBSCを駆動するモータ501は、ワイヤ550によってバッテリパック503に連結されたスイッチ504によって手動で制御される。筐体500の左側端部に取り付けられたブシュ543は、チャンバに全血を充填する際または濃縮された血漿を抽出する際のシリンジ(
図12の433)針の進入のためのアライメントを提供する。ブシュ543に直に隣接するのは多孔質可撓性貫通可能フィルタ544である。このフィルタは2つの機能を有する。つまり、フィルタは遠心機が運転している際に遠心機のコアに入る空気をろ過し、かつ、それは、遠心機がRBCまたは血漿をケーシング内に排出する際に発生した血液断片(blood fragments)の雰囲気中へのあらゆるエアロゾルの放出を防止する。フィルタ内の小さなスリットはフィルタの効果を損なうことなく充填シリンジ針が入ることを可能にする。ケーシング500の内部壁のほとんどを被覆するのは、空気コア538が拡大し、濃縮プロセスが進むにつれてケーシング内に排出されるRBCおよび血漿を吸収するための高吸収性のライニング542である。ケーシング500の壁に配置されているレンズおよびマスク549により、濃縮のプロセスが進むと、オペレータがRBCと血漿の軸方向界面536を見ることが可能である。マスクおよびレンズは見られる液体分離界面536の画像のコントラストを高めるために選択される。
【0038】
液体分離界面の進行についての電気信号を提供するために光検出器(不図示)をレンズの位置に配置することができ、電磁石アクチュエータがバルブセレクタノブ545を駆動することができる。これら電気素子は手動スイッチとともにモータが始動するとプロセス全体を制御するために使用される。
【0039】
現在までの検証から、いくつかの用途においては、スリーブの動きをスケジュール設定するための簡単なタイマプログラムの使用が実現可能であると思われる。例えば、チャンバに血液が充填されると以下の順序においてタイマをオフに動作することができる。a)モータを始動し、60秒間運転する、b)RBCポートを開き、RBCを30秒間排出する、c)RBCポートを閉じ、血漿ポートを開き、30秒間運転する、d)両ポートを閉じ、モータを停止する。このようなデバイスには、RBCと血漿の比率を変えることを可能にするために患者のヘマトクリット数を手動で挿入する手段の追加を必要とすることがある。
【0040】
表1は、ブタの血液を使用して
図12〜16の空気コアデバイスにおいて得られる典型的なデータを示す。データは初期分離のための1分と、RBCおよび血漿を排出するためのさらに約1分の運転により得たものである。
【0041】
【表1】
記載した全3つの実施形態においては、ピストン、袋および空気コア、ポートおよび通路のサイズおよび位置が非常に重要である。遠心機が回転するにつれて、チャンバ内において発生した圧力は速度の二乗および回転半径の二乗として変化する。成分の排出に対する手動制御を得るため、処理可能な時間にわたり排出が行われる必要がある。RBCポートは、例えば、約30秒の時間にわたりRBCの通過を可能にするような大きさにすることが必要である。RBCが凝集しようとする際に遮断なくRBCポートが機能することを可能にするための条件を選択せねばならず、かつ、血小板が出口渦内に旋回して進むことを阻止するために流れを十分に小さく維持せねばならない。約30mLの全血サンプルを使用する遠心機では、速度が約15,000〜20,000rpmであり、かつ、チャンババレルが最大点において約2.5〜3.18センチメートル(1.0〜1.25インチ)の直径である場合、およそ0.02032センチメートル(0.008インチ)径のRBCポートが良好に機能することが判明している。血小板を失うリスクが低下するため血漿ポートはより大きくすることができ、約0.0254センチメートル(0.010インチ)の値の直径が適切である。中心回転軸線に対する血漿ポートの配置は達成可能な濃縮係数に対し直接的影響を及ぼす。中心に近くなるほど除去される血漿は少なくなり、かつ、達成可能な濃縮は少なくなる。付加的に、記載した本発明の種々の実施形態においては、チャンバの大直径端部に小型環状部241、341、441、541が形成される。この環状部は、RBCのRBC通路217、317、417内への進入前の、RBCのための、半径方向深さは増加するが小型容積の局所領域を形成する。この深さの増加は、血小板および他の所望の要素が、同じポート(不図示)の近傍に局所的に形成された出口渦の影響下においてRBCポート228、328、428を通じて排出されるRBCとともに出る傾向を低下させる。
【0042】
記載した全ての実施形態においては、RBCポート閉鎖点(RBC port closure point)の精度は、赤血球と血小板との間の中間比重を有する流動セパレータゲルなどの分離補助材を用いることによって向上させることができる。セパレータゲルは赤血球層上に広がり、他の層をさらに中心軸線の方に移動させる。セパレータゲルは赤血球の全てが出ると第1ポートに自動的に蓋をする。セパレータゲルの粘度はそれがBSCにおいて用いられる遠心機速度において小さな出口ポートを通過しないように設計されている。第1ポートの自動閉鎖もまた、赤血球が完全に出るとポートに入り、それを閉じるように設計されている、中間比重を有する固体材料の形態の分離補助材により実現される。一例としては、マイクロスフェアなどのプラスチックビーズであり、ポートに向かって流れるにつれて凝集すると、ポートに蓋をするほど十分に大きな所望の中間比重を有する。
【0043】
袋および空気コア実施形態においては、RBC血漿軸方向境界の可視化は、例えば、BSC内部のモータ中心線の近傍に取り付けられたLEDの形態のバックライトを組み込むことによって向上させることができる。モータ内の追加の巻線はランプに動力を供給するのに必要な低電力を提供しうる。
【0044】
ポートのサイズおよび位置ならびに通路寸法の調整により、対象の発明はまた、多様な治療的に有益な細胞および他の生物学的成分を分離および濃縮するための機能を有する。これら生物学的成分の多くは再生医療の潜在性を有し、再生物質(regenerative agent)と特徴付けることができる。これら再生物質は、構造の再生、再建、または修復を補助することも、生物に治療的利益を提供するために器官、組織もしくは生理的単位または系の機能を補助することもできる。再生物質の例には、例えば、幹細胞、脂肪細胞、始原細胞、骨髄、滑液、血液、内皮細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、単能性および多能性始原細胞および前駆細胞、リンパ球等を含む。本発明はまた、治療的再生物質を提供するために、脂肪組織、皮膚、筋等を含むが、それらに限定されない軟質または液体組織もしくは組織成分もしくは組織混合物(tissue mixtures)を処理する可能性を有する。本明細書中に記載される種々の実施形態から結果として生じる分離または濃縮された生成物は、当技術分野において公知のように使用してもよい。薬物療法では、濃縮された生成物を治療部位に直接塗布すること、または治療デバイスに組み込むこと(例えば、吸収性インプラント材料に植え込み前、植え込みと同時、または植え込み後に投与される)、またさらには、例えば、ペーストを形成するために粒子材料と組み合わせることによって(例えば、粉末として作製された細胞外基質と組み合わされる)治療法として別の材料と組み合わせることを必要としてもよい。
【0045】
血液遠心機容器はまた、BSC内に半径方向に延在する開端部を有し、開端部が半径(不図示)の範囲を走査するよう管が弧状に回転することができるように外部周縁部においてヒンジ連結された管などの、調節可能なポートを組み込んでもよい。管の開端部の位置はそれが回転軸線に対して所望の位置に配置されるように動作の前または間に調整することができる。例えば、入口ポートはまず不要な細胞を排出するために遠心機容器の周縁部の方に配置することができ、後に、乏血小板血漿を排出するために容器の中心の方に調整することができる。その代わりに、血漿分画が除去を所望されるものである場合、ポートは実質的に血漿のみが層状混合物から出されるように配置される。
【0046】
装置は、また、所定量の血漿などの1種または複数種の成分が出されると遮断するように、または少なくとも回転を停止するように構成されてもよい。具体的には、ポートは、層化の際、血漿成分がポートの近傍にあるように配置されてもよい。そのポートのバルブが開かれると、血漿はポートを通じて送出される。ポートは、また、血漿の存在または欠乏を検知するセンサを有して構成されてもよい。したがって、装置は、ポートにおいてまたはポート内において血漿が検知される限りはバレルが回転を継続するが、血漿がそれ以上検知されない場合は、センサが停止するための信号をモータに提供する(それによって、バレルの回転を停止する)か、タップを開放する信号を送るように構成される。血漿はバレルからポートを通じて除去され続けると、最終的に、ポートの半径における血漿の供給が枯渇し、それによって、前記センサから信号が送信されることになり、バレルは回転を停止する。当然、これら信号のそれぞれは血漿だけでなく任意の層状層の検知から発生してもよい。
【0047】
濃縮される分画に加えて、液体試料の廃棄される分画の1つまたは複数を回収することが望ましい場合がある。これは、いくつかの方法のうちの1つによって実現される。回収バッグまたはチャンバがスリーブの出口ポートに連結される。このバッグまたはチャンバはバレルとともに回転するため、それが回転軸線を中心として平衡するように備えをしておかねばならない。別の方法は、所望の出口ポートの逆側に、排出される分画を回収し、かつ、重力流によって流体を回収点まで案内する周方向漏斗(circumferential funnel)を有することである。これについては後に
図25を参照してさらに示す。
【0048】
さらなる実施形態を
図19〜26に示す。これらの図は、
図12〜17に記載した空気コア原理を使用するが、PRPを調整する際に得られる濃縮を最大化するよう設計された改良を組み込むデバイスを記載する。
図19は、2つの構成要素、再利用可能駆動ユニット601および使い捨て部分600において使用するために設計された遠心機の2つの主要構成要素を示す。2つの構成要素への遠心機の分離は、使い捨ての構成要素がより経済的となることを可能にする。
【0049】
図20aは、境界文字「defg」によって画定される、旋回するチャンバのハーフミラー部分を示す概略図である。重要な寸法は長さ基準L1〜L8によって示され、半径はD1〜D8として示される。
図20aにおいてわかるように、出るRBC641がRBC通路639に入る、チャネルの端部に任意のプレナムを有するこの実施形態において示すように、D1は回転軸線XXからチャネル640の外側端部までにおいて測定された半径の長さに一致する。同様に、D2およびD3は、軸線XXから最も遠くのチャネル640の端部にあるプレナムの右側および左側それぞれの内径を示す。D4およびD7はくさび609の右側端部に位置する平坦部の外径および内径それぞれを示す。D5は、赤血球641とバフィコート642との間の界面における直径を示す。D6は、バフィコート642と血漿643との間の界面における直径を示す。D8は、血漿通路610の内径を示し、かつ、空気コア646と血漿643との界面に一致する。長さ測定値L1〜L8は血漿通路610の右側に一致する基準線から測定された距離に基づく。L1およびL2は、チャネル640の端部にあるプレナムの左手側および右手側それぞれまでを測定したものである。L3は、基準線から測定された、くさび609(後述する)の右手側の平坦部までの長さを示す。L4およびL5は、左および右マーカ644の位置を示す。L6は、バフィコート/血漿界面D6に一致する直径において測定された回転チャンバの縁端までの長さに一致する。L7は、くさび609の右手縁端に配置された平坦部の内径に一致する直径において測定された、回転チャンバの縁端までの長さに一致する。L8は、血漿通路610への進入口の内径に一致する直径において測定された、回転チャンバの縁端までの長さに一致する。
【0050】
回転軸線XXは境界「dg」を通過する。主要クロスハッチ領域は半角「a」を有する外壁を有するテーパ状のチャンバを示す。チャンバの円錐形の凹部に挿入されているのは、RBCチャネル640を画定する半角「b」の外部載頭円錐形部分と、血漿643の境界を画定する半角「c」を画定する内部反転載頭円錐形の凹部と、を有するくさび609である。半角「b」は半角「a」と必ずしも同じである必要はなく、換言すると、チャネル640は平行ではなくテーパ状であってもよい。
【0051】
流体がRBC出口ポートを出る際、RBC通路639を通過して出る流体に高剪断力がかかり、RBCチャネル640は、RBC通路639進入ポートがチャネル640の端部にあり、かつ、RBCとBCの界面から除去される距離にあることを確実にするための機能を果たし、チャネルは、チャネル640へのRBCの入口において、RBCがRBC通路639を通過して出る際にRBCにかかる高い出口速度に比べて極めて低速の局所流れ速度を可能にするような寸法にされている。
【0052】
例えば、一実施形態においては、スピンしているチャンバの外側縁部において回収され、1つまたは複数のRBC通路639を通じて排出されるRBCは、周方向溝またはプレナムから供給され、さらには、細い周方向チャネル640、またはその代わりに、バフィコート回収領域の近傍から開始する、複数のチャネル640を形成する周方向部分から供給される。周方向チャネル640はチャネルの半径方向深さよりも何倍も大きい周縁を有する。60Ml遠心機を提供し、かつ11.43センチメートル(4.5インチ)の周縁と0.0508センチメートル(0.020インチ)の半径方向深さを有するチャネルを有するデバイスにおいては、RBC通路639のオリフィス直径はおよそ0.0254センチメートル(0.010インチ)のものである。約17000RPMでスピンするこの組み合わせはRBC通路639のオリフィスにおいては2000〜3000cm/秒の速度になり、チャネル640ではわずか1.5cm/秒になる。したがって、チャネル640は分離層の近傍の流れを1000分の1超に減速する。プレナムを有しない別の実施形態(不図示)においては、バフィコート回収領域の近傍から開始し、細い周方向チャネルからRBC通路に直接供給されてもよい。オリフィス出口と比較した場合、分離層における流速の低減の実現において、プレナムを有する実施形態を参照して記載したものと同様の性能が予想される。
【0053】
RBCをスピンしているチャンバの低減した回転速度下で排出すると利点がある可能性があることが認められた。この回転速度の低減は分離された成分の層化を破壊しない手法で実現せねばならず、さらに、低減した回転速度は成分の確立された層化の顕著な崩壊を可能にする点まで低減してはならない。例えば、分離に適した第1の速度におけるデバイスの動作により満足な層化を達成する際、回転速度の漸減は層化を維持し、第2の回転速度に達すると、RBC細胞は、その後、スピンしているチャンバの低減した回転速度により生成されたより低い力の結果、同様に低減された速度でRBC通路639を通じて排出されてもよい。前に記載した例においては、分離のため約17000RPMの回転速度を有する場合、漸次的な低減は、目標とするより低い回転速度において安定するまで決定された時間周期にわたり制御された状態で生じてもよく、この新しい例においては、RBCの排出を可能にする一方で、尚、RBC/BC界面の完全性を保持するために約13000RPMで回転する。また、これらステップのタイミングの軽微な調整は、実際的目的のため、速度が尚低下しているが、目標とする排出速度に接近する間におけるRBCバルビングの開放などの類似の結果を達成してもよい。
【0054】
上に記載した1000:1の代わりに、約500:1または100:1を超える低減などの様々な低減速度を実現するために、RBC通路639において測定した場合、およびチャネル640内へのRBC進入部と比較した場合に、寸法または回転速度の変更を利用して、局所流速の低減を実施できることを確実にしてもよい。
図20aの実施形態においてわかるように、チャネル640は半径方向に浅い角度aにおいて配置されており、チャネルの終端にプレナムを有して示され、プレナムからRBCの排出のためのRBC通路639が提供される。別の実施形態(不図示)においては、デバイスではチャネルの終端にプレナムは提供されなくてもよいが、むしろ、チャネル終端はRBC通路の出口を含んでもよく、チャネルは寸法が低減(テーパ)し、かつ、RBC通路の出口に直接通してもよい。上述のように、本発明のデバイスは、存在するRBCの、バフィコート成分に対する影響を低減することを目的とし、これは、RBC出口とRBC/バフィコート界面との間に空間的分離を提供することによって実現してもよい。血小板および他の所望の要素が、ポートの近傍において局所的に形成される出口渦の影響下で、RBC通路639を通じて排出されるRBCとともに出る傾向を低減するのは、チャネル内のプレナムを有していても有していなくても、この空間的分離である。血漿またはバフィコート成分がチャネル640に入ることを防止するようにデバイスを動作することによって、高剪断力が事実上RBC成分のみに限定され、RBCとBCとの間の界面を破壊することはできない。通常、濃縮された血液製剤を出発物質と比較すると、RBCの約93%は上述のようにおよび
図20aに示されるようにチャンバを使用して除去される。場合によっては、さらに高い比率のRBCを除去することが望ましい場合がある。約98%の値の除去はRBC通路639に向かう、RBC通路639真上の乱流をさらに管理することによって実現される。RBC通路の上および近傍の乱流の管理は、いくつかの実施形態では、RBC通路に向かってチャネルを通過する(回転軸線に主に垂直かつ周囲の方向の)流体の流れを妨げることなく、少なくとも部分的に制限するか、さらには(全般的にくさびの平坦部から、もしあれば、プレナムに向かう流れの方向の)周方向チャネルへの流れを完全に封鎖することによって実現してもよい。この制限は周方向チャネルである円のある部分にわたり形成されてもよい。例えば、一実施形態では、チャネル640の幅は、少なくともRBC通路に最も近い部分において、少なくとも部分的に低減することができ、例えば、一実施形態においては、周方向チャネルの一部にわたり、少なくとも1%〜100%、別の実施形態では、少なくとも10%〜100%、またはさらに別の実施形態では、少なくとも20%〜100%、およびさらに別の実施形態では、50%〜100%の低減であり、例えば、一実施形態では、周縁の約10度〜約350度、または別の実施形態では、約15度〜約270度、またはさらに別の実施形態では、約20〜180度であり、角度中心は、任意選択的に、RBC通路639の位置と実質的に整列されている。
図33は、チャネル640内への流体の流れを制限し、かつ、
図33aに示すように、周縁の角度d(ここでは90度として示される)によって含まれるチャネルの部分内にある制限的特徴部800を示す。この制限的特徴部は、例えば、回転チャンバの機械加工または成形により、回転チャンバの一部として組み込まれても、その代わりに、別個の構成要素として製造され、当業者に公知のある手法において、くさび609表面(
図33に示すように)、またはその代わりに、回転チャンバ(不図示)の内部表面のいずれかに後に取り付けられてもよい。制限部は
図33aに示すように均一な寸法のものであってもよく、その代わりに、一実施形態(不図示)では、チャネルへの入口の最大制限がチャネルの、RBC通路と整列された部分にあり、RBC通路からのチャネルの距離が増加するにつれて制限比率が漸次的にまたは急なテーパで、またはさらには段階的な手法で減少する、チャネル640の変動低減(variable reduction)が提供されてもよい。この実施形態においては、目的は、RBC通路の近傍、したがって、RBC通路に最も近いチャネルの領域における変動から生じるチャネルへの流速の変動性を相殺するため、調整された適切な比率の制限を提供することであり、RBC通路から離れている間はチャネルへの制限の比率は最大化され、チャネルの制限の比率は適切に低減されるため、チャネル内への均一な流速を確実とすることによって、分離された層(例えば、RBC/BC界面)間の界面への妨害は最小化される。本明細書中に記載される遠心機デバイスのこれらおよび任意の他の実施形態においては、チャンバのこの部分の構造に、密度が血液に類似する材料を使用することによって、回転チャンバの不均衡の状態が回避され、またはその代わりに、当業者には公知のように、適切に配置された釣り合い重りを使用して回転チャンバを平衡させてもよいことが理解される。
【0055】
同様に、血漿通路610をバフィコート成分から除去される位置に配置する(および任意選択的に、
図27aに示されるようにプレナム内に配置される)ことにより、およびバフィコートと血漿の界面がD7を超えて内側に延在しない状態で、バフィコートをチャンバ内に収容することができ、浅い角度cによって、血漿通路610の高剪断力はBCと血漿の界面の破壊を引き起こさない。したがって、ポートの近傍において局所的に形成された出口渦の影響下で血小板および他の所望の要素が血漿通路610を通じて排出される血漿とともに出る傾向が低減する。くさび609の基部に配置されているものとして
図20aに示されるが、開口部が、
図20aのL8に一致する位置などの、バフィコートと血漿の界面の半径よりも小さな適切な半径にある限りは、血漿通路は別の場所に配置されてもよい。これらの特徴により、記載された実施形態はチャンバ内のバフィコート成分のほぼ全ての保存を助け、最終生成物の濃化または濃縮効率を高める。
【0056】
さらに、
図27aを参照すると、血漿通路610に通じるオリフィスを収容する周方向溝(または周方向溝の一部)の形態の血漿プレナム655が含まれること以外は
図20aに示されるものと同一の実施形態が示される。この実施形態においては、出る血漿はくさび609の境界および血漿との空気コア界面によって画定されるテーパ状のチャネルに沿って流れる。チャンバが回転され、血漿バルブが開かれる間、血漿は血漿通路に向かって流れ(ここではくさび609の基部に配置されて示される)、くさび基部上に流出し、血漿プレナム655に入る。血漿プレナム内に入ると、血漿は、血漿通路610に通じているオリフィスに接触し、それを通じて出るまでプレナムの長さに沿って(すなわち周方向に)流れる。血漿がプレナム655内を移動する間、それは、くさび609の存在によって除去され、かつ物理的に保護される距離にある血漿/バフィコート界面に剪断力を作用しない。
【0057】
図20bと
図27bとを比較することにより、連続的な勾配(幾何学的形状寸法は
図20bに示される)としてもプレナム655(幾何学的形状寸法は
図27bに示される)を有していても、血漿が血漿出口に接近する際の流体の流れの方向の可視化を可能にする。これらの図は、回転軸線からチャンバの外径に向かって見ているかのように血漿通路610への開口部に向かって見下ろした投影図を示す。
【0058】
図20bを参照すると、右から左に移動する際の血漿が示され、流体がチャンバの左端に接近するにつれて、流体は血漿通路610の出口に向かって引き込まれる。血漿プレナムを有しないこの実施形態においては、剪断力は開口部からの距離が増加するにつれて比例的に低減されるため、血漿がくさびの内部面に沿って(角度cに沿って)移動する際、剪断力は領域の直径全体にわたり必ずしも均一である必要はないが、血漿通路610への開口部の位置のそばにある場合はより高くなる。
図20aの幾何学的形状寸法はバフィコート/血漿界面に影響する剪断力の最小化において効果的であると実験的に判断されているが、デバイスの動作時、くさびの平坦部にかかる剪断力をさらに一層低減することが可能であろう。
【0059】
図27bを参照すると、右から左に移動し、プレナムに沿って開口部610に向かって流れる前に血漿プレナム655内に入る際の血漿が示される。プレナム655に向かう流体の流れを示す均一な矢印(右側)によって見ることができるように、プレナムの存在は、血漿チャンネル内において周方向に測定される場合の(血漿は角度cのくさび面と空気コアとの間に流れる)剪断力の変動を低減することが予想されるが、その理由は、血漿はくさび609の基部に接近し、血漿プレナム655内に流れ、したがって、ダムの胸状部(breast)を越えて流れる水と同様の効果を形成するためである。つまり、ダムの上流であろうと、障害物の頂点に達する前に、またはプレナムに入る前に、流体はゆっくりとかつ滑らかに流れ、その後、障害物を過ぎると、ダムの下流であろうとプレナム内であろうと、流体の流速は比較的かなり高く、より均一でなくなる。流体フローパターンを示す矢印によって見ることができるように、血漿プレナムに向かう血漿の流れは直径全体にわたり均等に分配されることが予想され、その後、血漿がくさびの頂点に達し、プレナム655内に入り、したがって、血漿が血漿通路610への1つまたは複数の開口部から流出すると流体の動きの大きな変動がある。可変方向剪断力(variable direction shear forces)は、主にプレナム内に収容され、くさび面に沿って流れる血漿には影響しないため、この実施形態はバフィコート成分の濃縮係数の向上を可能にすることが予想される。この実施形態の幾何学的形状寸法は、そうでなければバフィコート/血漿界面を破壊する傾向がある、血漿チャンネルに沿って周方向に測定される場合の血漿流速の変動性の低減により、D8とD6との間の深さとして測定される、保持される血漿が最小化されることを可能にする。
【0060】
さらに、
図20aを参照すると、排出された血漿の全てがチャンバを出た後に残った血漿の量は境界直径D8およびD6によって画定されることに注目すべきである。この量はこれら同様の言及した寸法を調整することにより所望の濃縮の値を得るために調整される。
【0061】
また、高程度の濃縮を得るために、バフィコート下の血漿の深さ(
図20aに見られるように)は減少せねばならず(直径寸法(D6〜D8)/2は減少する)、流出する血漿はバフィ/血漿界面をより接近して剪断するため、血小板損失のリスクが増加することを明確にすべきである。しかしながら、血漿の流れを駆動する圧力は、回転速度を二乗し、D8に配置された血漿通路の開口部の半径の二乗とチャンバ内の血漿/空気界面の半径の二乗の差で乗じたものに比例するため、血漿流出を駆動する圧力は血漿が直径D8に近付くにつれて徐々に低下してゼロになる。
【0062】
この、血漿がD8に接近するにつれて着実に減少する流れの効果を利用することにより、血漿深さ(D8〜D6)は最小化することができ、剪断によるバフィコートの損失はほとんどなく、残留血漿量は最小化され、濃縮は最大化される。
【0063】
要約すると、外径チャネルを使用してRBC/バフィコートの剪断を制御するとRBC/バフィコートの剪断は最小化され、血漿/バフィコートの剪断は幾何学的形状寸法および血漿対空気コアの駆動圧(plasma to air core driving pressure)の低減によって制御される。
【0064】
したがって、チャンバが回転している間、および血漿のいずれかの排出の前に、血漿を、血漿出口を通じて血漿通路610内に出すより大きな圧力水頭があり、続いて、チャンバ内の血漿の量が減少すると、血漿出口上方の圧力水頭が、血漿レベルがD8の血漿出口のレベルに到達し、血漿通路610を通過して出る全ての血漿の流れが終了するまで相応量減少する。血漿量が減少するにつれて血漿通路610を通過する流速が減少することから、血漿が流出し、かつ、バフィコートが互いに最も近接している(すなわち、D6とD8との間の距離はその最小である)点において、血漿排出流速はその最低速度となるため、これは、バフィコートに影響する剪断力が最小化される傾向という追加の利点を提供する。
【0065】
動作時、血液がチャンバに充填され、一定の時間の後、赤血球(RBC)と、バフィコートと、血漿とに急速に分離される。分離後、RBC通路639が開かれ、RBCがRBC通路639から排出され、RBCの界面は透明な錐面のL5にて明らかとなる。RBC通路639の閉鎖においてオペレータを案内するために可視マーカがチャンバのL5およびL4に配置されており、RBC界面がL5とL4との間のどこかに到達すると、RBC通路639からのRBCの排出が後述するバルブの操作によって停止される。この時点で、残留RBCは円錐形のチャネル640とRBCチャネル639の左側端部にある周方向凹部とによって画定された既定の容量を占有する。図ではハニカムハッチ(honeycomb hatch)によって画定されるバフィコート(BC)642を回収する際、BCがRBCチャネル640内に移動することを防止することが重要である。これは、BCがそこに移動するとBCを工程の終了時に回収することができないことが理由である。これが発生しないことを確実にするため、RBC界面が現れチャンバの錐面に沿って移動する速度が、界面がL5およびL4に配置されたマーカ間を移動する際、オペレータがプロセスを停止するのに十分に低い速度に制御される(RBC通路639を閉じることによって)。この速度は、回転速度、チャンバの直径、通路639に連結されたRBC排出ポートのサイズ、およびチャンバの半角「a」の関数である。これらの変数は、人間のオペレータによって処理可能であるが、必要とされる急速な分離(不要RBCおよび血漿の分離、排出の全プロセスを2分未満)を妨げないL5またはL4における界面速度を提供するように調整される。種々のパラメータを試すにあたり、約4mm/秒の界面速度がオペレータによる正確な介入を可能にすると実験的に判定されたが、10mm/秒未満の範囲のより高いおよびより低い速度が望ましい場合もある。(RBCとバフィコートの界面が光センサ等によって検出される場合、界面の接近速度は10mm/秒の速度を超えることができる)。RBCポート638が初めに開かれる場合、D6におけるRBCとBCとの間の界面の明瞭さの一部破壊を引き起こすおそれのある突然の圧力降下による一時的な乱流の可能性がある。この乱流の影響はベースユニット601内のソフトウェアにより制御された遠心機速度の自動的減少によって最小にすることができる。遠心分離速度の変化はソフトウェア内のタイマまたはバルブ機構の動きによって発生した信号によって自動的に開始するようにソフトウェア内にプログラムされうる。RBC排出が停止されると、BCが、直径D4およびD7によって画定される、くさび609の右側端部にある平坦部の端部または分離面において捕捉される。
図20aにおいて分離面は回転軸線に対して90度であるものとして示されるが、分離面は回転軸線に対して別の角度であってもよい。分離面は遠心機がその通常の直立配向にある場合にくさび609の「上部」表面を形成する。RBCがL5において停止した場合、BC外径はD5であり、RBCがL4において停止した場合、BC外径はD4である。バフィコート(BC)量は初めに導入された血液量の約0.5%であるため、くさび(D4、D7)の端部の平坦部は最悪の場合(RBCがL5において停止する)、BCは分離面状に留まり、内部半角円錐「c」まで及ばないことを確実とするように画定される。RBC通路639が閉じると、血漿通路610が開き、血漿が流れて排出される。図は、全ての血漿が血漿通路610から流出し、空気コア646が通路入口の直径D8まで膨張したために流れが停止されたときの状況を示す。BCが内部円錐に入ることを防止することは重要であるが、その理由は、血漿表面の軸方向速度はそれが出口通路610に接近するにつれて加速し、BC/血漿界面における速い剪断速度は血漿への血小板の損失を生じるためである。およそ1mm〜2mmのBC対空気コアの半径方向分離(D6〜D8)/2によって、血漿への血小板の損失は許容できるものとなり、8:1またはそれを超える濃縮係数(EF:enrichment factors)が一貫して得られる。濃縮係数は以下の式によって定義される(EF=(単位容積あたりのBCサンプルに捕捉された血小板の数)/(単位容積あたりの元の全血サンプル中の血小板の数))。本質的に、この設計はRBC/BCおよびBC/血漿界面における剪断を最小化するため、RBC排出または血漿排出に対するBCの損失を低減すると考えられている。
【0066】
一実施形態においては、使用時のデバイスの向きは、回転軸線XXが垂直であり、ポートバルブ602がデバイスの上部にある状態である。回転チャンバの幾何学的形状寸法により、回転が停止されると、チャネル640内の任意の流体(例えば、RBC)はそのチャネル内に収容されたままになる傾向があり、動作中くさび609の平坦部608に一致する線より上にあるほぼ全ての他の流体(すなわち
図20aのL3の右側)は、回転の停止時、重力によって流れ、ポートバルブ602の直下に溜まり、ポートバルブを通じて誘導される針および濃縮された材料のプールに引き出すことなどによって回収されるよう利用可能である。本明細書中に記載される種々の実施形態は別の角度(例えば、水平)で動作させてもよく、その後、任意選択的に、回転の停止後、回収のため垂直に回転してもよい。チャンバの回転の停止時RBCをチャネル640内において隔離されたままに維持することによって、チャネル内のそれら材料(例えば、RBC)は濃縮されたバフィコートまたは他の血液成分をさらに希釈するためには利用できないため、バフィコート成分の濃縮を最大化することができる。いくつかの実施形態では、捕捉されたBCの一部が表面張力により平坦部に残ることを防止するために、表面張力改変コーティング(surface tension modifying coating)(例えば、親水性または疎水性コーティング)をくさび609の端部の平坦部608などの回転チャンバの少なくとも一部に添加することが有利である。さらに、略垂直配向にある場合、流体の流れを中心回収領域に向かって案内するためにくさびの平坦部に角度(例えば、1〜45度)を設けることに利点がある。
【0067】
回転チャンバを迅速に、またはその代わりに急激に、または一定でない減少の速度で減速させると、回転チャンバのより漸進的な減速と比較して、回収領域内における血小板の量の増加につながることが認められた。例えば、制動システムをデバイスに組み込むことによって実現してもよい急速な減速はくさびの平坦部上方の成分の混合を生じさせ、くさびの平坦部の表面上に残る残留濃縮済みバフィコート成分の発生を回避すると考えられる。チャンバ内およびチャネル内に残った赤血球は主にチャネル内に収容されたままであり、急速な減速時でさえもバフィコートと混合されないことが考えられる。その代わりに、表面張力により回収領域から離れたままの任意の成分を、それらをここで回収さすることができるように軽くたたくこと、振ること、揺さぶること、またはそうでなければ乱すことなどによって血小板を単に物理的に取り除いてもよい。
【0068】
くさび609を組み込んだデバイスの実施形態の幾何学的形状寸法は、くさび609が、1)空間的分離を形成する、2)チャネルを形成する、および3)液体の見掛け深さ(apparent depth)を増加するための機能を果たすため、デバイスの効率および動作を補助する上での少なくとも3つの利点を提供する。第1に、くさびは血漿の出口とRBCの出口との間に空間的分離を形成するため、出口における剪断力の効果がくさびの平坦部のそばで離れたままのバフィコート成分に影響するのを最小限にすることができる。第2に、くさびの最も外側の表面が角度bにおいてチャネル640の内部境界の一部を提供するため、くさびは部分的にチャネルを形成する。第3に、くさびは、それがくさびの存在によって変位した液体の見掛け深さを向上するため、デバイスの動作の容易性を向上させる。つまり、くさびは、くさび領域(D2とD8との間)内の流体の体積を変位するための機能を果たし、かつ、D4とD5との間の寸法が変位により増加されるにつれてこれら液体の見掛け深さを増加する効果を有し、必然的に、L4およびL5におけるマーカ644間の間隔をそれに応じて大きくすることができ、オペレータのための良好な分解能を提供する。この効果によって、オペレータは、ここで、RBC通路639を通じたRBCの排出をいつ停止するかをより正確に判断することができる。
【0069】
図21は、組み立てられ、RBCポート638が開いており、血漿ポート612が閉じており、RBCがRBC血漿レシーバ647に排出されている運転状態にある
図19のデバイスを示す。血漿643は未だ受入チャンバに排出されていない。空気コア646が完全に完成され、かつ、分離された流体成分が明確な境界を有して完成されている。スピンしている遠心機の血液を含むチャンバは2つの要素、テーパ状のバレル606およびエンドキャップ614から構成されている。このチャンバは2つの軸受619、604においてスピンし、小さい方の軸受604はチャンバの狭い端部を位置決めし、大きい方の軸受619はチャンバの大きい方の端部を間接的に駆動軸617およびバルブキャップ616を介して位置決めする。小さい方の軸受604は透明な中間カバー607内に取り付けられており、大きい方の軸受は従動子618内に取り付けられている。バルブキャップ616はエンドキャップ614のキーまたはピン(不図示)によって駆動されるチャンバ構成要素とともに回転し、さらにカム従動子620およびカム621によって軸方向に動作する従動子618によって軸方向に推進され、回転軸線に沿って軸方向に直線運動することができる。バルブキャップ616の軸方向の動きはRBCポート638および血漿ポート612の位置を制御し、したがって、RBC通路639からのRBCの排出または血漿通路610からの血漿の排出を制御する。カム621(通常、数は3つであるが、3つよりも多くても少なくてもよい)がドラム613と一体化している。従動子618はドラム613内において軸方向に移動することができるが、従動子の雄キー631と下部構造624の雌キーとによって回転が防止される。ドラム613を回転することによって、オペレータは従動子620を軸方向に移動させ、したがって、RBCポート638および血漿ポート612の位置を制御する。RBC血漿レシーバ647は排出されたRBCおよび過剰な血漿を捕捉するために回転要素を取り囲み、かつ、バルブキャップ616とともに軸方向に移動する。
【0070】
シャフト617とバルブキャップ616との間の間隙、およびバルブキャップ616とエンドキャップ614との間の間隙は、エンドキャップ614とバルブキャップ616との間の嵌め合いおよび同心性に影響する。「O」リング648、611は、シールとして機能するおよび/またはこれら2つのキャップ間のサスペンションとして機能する。間隙が非常に小さく維持される場合、「O」リングはシールとしてのみ機能するが、間隙が大幅に増加される場合、「O」リングはシールとしておよびサスペンションとしての2つの機能を兼ねる。このようなサスペンション特性はチャンバアセンブリ(シャフト617、エンドキャップ614およびバレル606)上において振動するバルブキャップ616の固有振動数が動作速度よりも大幅に低くなるか大幅に高くなるように選択される。
【0071】
駆動軸617に取り付けられた遠心機カップリング633は、モータ626からモータカップリング629を介してねじり駆動(torsional drive)を受け取る。モータ626は、ベース筐体625にしっかりと固定された下部構造624に取り付けられている。オペレータにより作動されるラッチ622は、使い捨て部分600がドラム613と一体の環状部に係合することにより、再利用可能部分601に対してしっかりと配置されることを確実にする。
【0072】
使い捨て部分600は無菌ユニットとして届き、実験室環境において無菌領域の近傍において使用される。PRPまたはPPPを調製および適用するための工程の完了時(1人の患者への複数の適用のためにデバイスの複数回の運転を伴う場合がある)、使い捨て部分600はバイオ廃棄物流(bio waste stream)に廃棄される。しかしながら、再利用可能部分601は実験室内に残り、保管のため別の場所に移動されてもよい。全血または血液成分が再利用可能部分601を汚染しないことを確実にするため、これら流体の放出を防止するための種々の要素が用いられてもよい。
図26を参照すると、吸収性ワッシャ632、636は、レシーバ647からの任意の漏れを捕捉することができ、ゲル化促進剤649は、レシーバ647の排出された流体を流れないゲル状質量にゲル化させることができる。その代わりに、シール軸受619(不図示)およびドラム613と従動子618との間の回転するダイヤフラム(不図示)は、全ての液体を捕捉することができる。吸収性材料は、多孔質ポリエチレン(商品名「ポレックス(Porex)」で販売されているような)、高吸収性ポリマー、ポリアクリレート、高分子電解質、ヒドロゲル、チョーク、セルロース繊維またはスポンジ、または織布、または当技術分野において公知の他の適切な材料から作製されうる。ゲル化促進剤は、マルチソーブテクノロジーズインコーポレイテッド(Multisorb Technologies, Inc.)によりドリモップ(Drimop)(登録商標)の名称で販売されているような材料から作製されうる。チャンバに回収されたPRPの残留物はポートバルブ602によって収容される。漏れに対するこれら解決策の組み合わせもまた当業者には明白である。
【0073】
図28〜31は、前に記載したRBC血漿レシーバ647の別実施形態である半径方向インデックスバルブレシーバ700を示す。この半径方向インデックスバルブレシーバは、内容がレシーバから溢れることを防止するために回転するドラム613および従動子618(前に
図21に示したような)と連係して動作する半径方向インデックスバルブを組み込む。半径方向インデックスバルブレシーバ700は、2つの嵌合構成要素、上部バルブ701および下方保管チャンバ702を含む。上部バルブ701は、好ましくは、4つのスロット704を含み、下方保管チャンバ702は、4つのスロット705を含む。スロットの数は変更することができ、通常、各構成要素のスロットの数は同じである。上部バルブ701は、ドラム613が回転すると上部バルブ701が回転するようにドラム613の溝(不図示)と協働するインデックスタブ703を含む。上部バルブ701は、また、360度液体入口窓707を含む。下方保管チャンバ702はその内周に従動子618のタブ(不図示)と協働する溝706を含む。溝706は下方保管チャンバ702を従動子618にキー留めするように機能し、ドラム613が回転する際に下方保管チャンバ702が回転することを防止する。
図30を参照すると、上部バルブ701および下方保管チャンバ702は環状インタロック特徴部709、708を含む。
図31の分解図により詳細に示されるように、インタロック特徴部は、スロット704、705および嵌合面710、711を含む。
図30に見られるように、インタロック特徴部709、708は上部バルブ701と下方保管チャンバ702とをともにスナップ留めすることができ、そこで嵌合面710と711とが水密シールを形成するように締まり嵌めを画定する。使用時、レシーバ700は、上部バルブ701のスロット704は保管チャンバ702のスロット705と重ならない
図28に示すような位置において供給されるべきである。遠心機チャンバ646には、その後、血液が充填され、遠心機が作動される。ドラム613が回転し、RBCバルブポート638(
図21を参照して前に記載したように)が開くと、上部バルブ701がドラムとともに回転するため、スロット704とスロット705とが少なくとも部分的に重なり、それによって、
図29に見られるように、2つのレシーバ構成要素701とレシーバ構成要素702との間に通路を形成する。排出されたRBC641は、360度液体入口窓707を通じて上部バルブ701に入り、スロットの重なった領域を通じて重力により下方保管チャンバ702内に排出される。ドラム613が回転してその定位置に戻り、バルブポート638からのRBC641の流れを停止すると、スロット704およびスロット705は、
図28に示される、重なっていない位置に戻るため、下方保管チャンバ702内のRBCを封止する。同様に、血漿ポート612を開くためにドラム613が反対方向に回転すると、スロット704およびスロット705の両側が重なることになるため、排出された血漿643が重なったスロットを通じて下方保管チャンバ702内に排出されることを可能にする。ドラム613は、その後、プロセスの終了時に回転してその定位置に戻り、スロット704およびスロット705を重なっていない位置に戻すため、廃棄される流体を下方保管チャンバ702内に封止する。これにより、後の処理および使い捨て部分600の処分時の流体のいかなる漏れも防止する。
【0074】
スロット704およびスロット705の一般的な寸法は、上部バルブ701がいずれかの方向に回転した場合に重なりがあるようなものである。好適な一実施形態においては、上部バルブスロット704はそれぞれ30度の周縁を含む一方で、下方保管チャンバスロット705は50度の周縁を含む。この寸法は閉じた姿勢にある場合スロットの縁の間に5度を残す。ドラム613はバルブキャップ616のポートを開くために約35度回転することになる。これはスロット704とスロット705の30度の重なりを生じさせ、または換言すると、上部バルブ701の各全スロット704はスロット705を介して下方保管チャンバ702に対し完全に開かれる。スロットの幾何学的形状寸法および配置の他の組み合わせが可能であるとともに、当業者には明白である。上部バルブ701および保管チャンバ702は、通常、ポリプロピレンおよびポリエチレンを含むが、それらに限定されない弾性熱可塑性樹脂を使用してブロー成形された構成要素である。
【0075】
再利用可能部分601は、交流電源からまたはコードレスドリル等に使用されているもの等の直流電源函からのコードが取り付けられた変圧器(不図示)によって電力を供給される。不図示の追加の物品は、ベース筐体625に取り付けられた、遠心機の電源オンオフ、電源オンからの経過時間を示す簡単なディスプレイである(が、それに限定されず)、かつ、経過時間が特定のレベルに到達した場合にオペレータに警告するためのそのような可聴警報などの物品を含んでもよい。加えて、基部625に取り付けられており、使い捨て部分600に取り付けられている磁石に応答するホール効果スイッチまたはリードスイッチ(不図示)は、ベース筐体625内のドラム613の回転を示すために使用される、および/または、流体成分の最適な分離に必要とされる可能性がある様々なモータ速度を選択するために使用される。
【0076】
ドラム613を手動で回転させるオペレータの代わりに、基部625内のアクチュエータ(例えば、モータとギアボックスの組み合わせまたはねじジャッキ)が、上に記載したスイッチからの信号および−または動作を最適化するために用いられる小型の固体コンピュータからの信号に応じ、ドラムを自動的に回転させることができる。
【0077】
図22は、AAにおける
図21の簡易断面図である。血液はその主要成分である血漿643、赤血球641、642のバフィコート(BC)に分離されている。
図23は、
図21のBBにおける簡易断面図である。この断面図は、通路610と、「O」リング611とを含む血漿バルブの構造を示す。これら出口ポートの構造は
図3の(b)に示されるものに類似する。このバルブが開かれると、ポート612は通路610と整列する位置に移動し、それを通る流体の流れを可能にする。
【0078】
図24は、RBCバルブポート638が閉じ、血漿ポート612が開き、血漿排出が完了した状況において運転している
図21のデバイスを示す。血漿643の量は最終量である。
【0079】
工程に乏血小板血漿(PPP)が必要である場合、PPPレシーバにはわずかに異なる構成が必要とされる。
図25は、
図21に示されるものと同様のほとんどの構成要素を有するが、2つのレシーバがあり、1つはRBC637用、1つはPPP635用である。2つの流体成分はスピンしているチャンバからの排出によって捕捉されることから、血漿ポート612およびRBCポート638が適切な流体成分を排出する際に、血漿ポート612およびRBCポート638の異なる軸方向位置を受け入れるために、レシーバは両方ともドラム613に対して軸方向に固定される必要がある。血漿アクセスポート645はレシーバ635の壁にまたがり、ドラム613のスロットまたは開口部(不図示)を貫通する。このポートはPPPの除去のために皮下針の通過を可能にするニトリルゴムなどのエラストマ材料のものである。
【0080】
使用時、オペレータは無菌使い捨て部分600を再利用可能部分601に配置し、ドラム位置は工場出荷時に血漿ポート612およびRBCポート638の両方が閉じる位置に事前設定される。オペレータは、その後、患者からの全血をシリンジに充填し、この血液をシリンジによりポートバルブ602を通じて遠心機チャンバ内にチャンバが充填されるまで導入する。デバイスは作動され、モータが約1分間運転される。その時間により、血液は、RBC、バフィコートおよび血漿の一次層(primary layer)に分離される。この時点で、ドラムはRBCバルブを開位置に配置するように回転し、そこでRBCがレシーバ637内への排出を開始する。RBCが排出されるにつれてRBCとバフィコートとの間の界面(
図20aのD5)が回転するバレル上のマーキング644に近づく(
図20aのL5およびL4)。界面が644のマークの間にある場合(RBCポート638が開いた約30秒後)、ドラムはRBCポートを閉じ、血漿ポート612を開くために回転される。血漿が、その後、レシーバ内に排出され、空気コアがさらなる排出を制限するまでこれを継続する。この時点において(血漿ポートが開いた約30秒後)、モータは停止され、チャンバ内の濃縮された残留物サンプルは患者への(またはインプラントとして使用される予定の材料への)注入のためポート602を通じてシリンジおよびカニューレによって除去される。PPP製剤の場合、デバイスは
図25に示されるデバイスに合致し、かつ、PPPが
図25の側部エラストマポート645から抽出されること以外は、プロセスはPRPについて記載したものと同じである。
【0081】
遠心分離の様々な速度を利用すること、およびチャンバからの出口が配置される直径を変更することによって、様々な成分を濃縮すること、または回転チャンバ内における流体材料の異なる比重の分画を分離することが可能である。例えば、当業者には公知のように、より遅い速度で回転し、上述のようにRBCの大部分を除去すると、懸濁した血小板を伴う血漿材料が提供される。より低い速度で回転すると、血小板は血漿から比重によって識別されない。回転速度を増加すると、血小板は、したがって、血漿から比重によって識別される傾向があり、オペレータによって要求される血液製剤の所望の組み合わせの実現における柔軟性を可能にする。
【0082】
前に記載した種々の実施形態では円形断面を有する血液分離チャンバについて説明したが、RBC通路に向かう赤血球の適切な流れを促進するための角度が付けられたまたはテーパ状の内径がある限りは、高速回転が可能な任意の形状を利用できる。例えば、卵形の断面を提供する分離チャンバを用いてもよいが、その理由は、それが適切に平衡し、かつ、必要な回転速度に好適であるためである。同様に、様々な形状の断面プロファイル(例えば、八角形、正方形、三角形等)を有する他の分離チャンバを用いることができ、かつ、必要であれば、回転時に適切な平衡を確保するために重さにより平衡する。さらにまた、例えば、2つ以上の円のセクションを提供することによりデバイスにおいて複数のチャンバを利用してもよく、またはその代わりに2つ以上の器を複数のチャンバの回転を可能にするために平衡させ、集合的にロータを形成してもよく、この場合、チャンバのそれぞれは特定の血液成分(例えば、RBCおよび血漿)の排出を提供する一方で、チャンバのそれぞれにおいて濃縮された所望の血液成分の濃縮およびアクセスを可能にする。
【0083】
本明細書中に記載される実施形態は全血からの成分の分離における使用を主に意図したものであるが、それらは他の液体においても使用してよい。血液製剤の場合、血液をその成分に層状化するためにデバイスが動作され、赤血球および血漿が血液分離チャンバから前に記載した赤血球および血漿通路を通じて除去されると、血小板および白血球を含有する濃縮されたバフィコートがチャンバ内に残る。記載した全ての実施形態においては、デバイスのオペレータは、さらに、生じたバフィコートを、1つまたは複数の追加の生体適合性溶液を分離補助材としてデバイス内に添加し、任意選択的に、さらなる遠心分離ステップを実施することによって浄化することを選択してもよい。これら追加の生体適合性溶液は時として鮮鋭化流体(focusing fluids)と呼ばれる。前に記載したように、バフィコートは血小板および白血球細胞(すなわち白血球)を含むいくつかの成分からなり、そのそれぞれは特有の比重を有する。白血球細胞は顆粒球およびリンパ球および単球などのリンパ系細胞を含み、これらのそれぞれは特有の比重を有する。いくつかの適用例においては、これら成分の1つまたはいくつかをバフィコートから分離または除去し、さらに精製された治療的材料を提供することが重要である。例えば、ある研究者は、白血球細胞をバフィコートから除去することによってインビトロ性能が向上することを見出した(S.R.ムロウィエク(S.R.Mrowiec)ら著、「改良されたバフィコート濃縮血小板を調製するための新規技法(A novel technique for preparing improved buffy coat platelet concentrates)」、ブラッドセル、モレキュルズアンドディジージズ(Blood Cells, Molecules and Diseases)、1995年、21巻、3号、2月15日、p25〜23)。例として、バフィコートの種々の成分(例えば、白血球細胞)のさらなる分離を可能にし、それによって、血液の非常に特殊な小成分を鮮鋭化するために具体的に目標とする比重を有する一定量の1種または複数種の液体(例えば、鮮鋭化流体)が血液分離チャンバ内に送達されうる。その代わりに、上に記載した濃縮プロセスを繰り返すことによって、血漿または赤血球のいずれかの残留痕跡(residual trace)を含まない血液成分が実現されるように、赤血球または血漿の全ての除去を可能にするために鮮鋭化流体をバフィコートと、赤血球または血漿成分のいずれかとの間の目標とする比重のものとすることによって使用してもよい。そのような鮮鋭化流体は、目標とする生物学的成分と目標としない生物学的成分との間の境界の識別を補助するための着色剤、マーカまたは他の指示薬を含みうる。フィコールパック(Ficoll−Paque)ジアトリゾ酸ナトリウム溶液(1.077g/mLの密度、GEヘルスケア(GE Healthcare)によって販売されている)、パーコール(Percoll)(1.088g/mLの密度、GEヘルスケア(GE Healthcare)によって販売されている)、およびセルローション(Cellotion)(日本全薬工業株式会社(Zenoaq)によって販売されている)などの流体および当技術分野において公知の他の流体が多様な治療的に有益な細胞および他の生物学的成分を精製、分離および/または濃縮するために使用されうる。
【0084】
別の実施形態においては、生体適合性鮮鋭化流体は、血液製剤に選択的に結合し、その後、遠心分離によって隔離または分離され、より濃縮された所望の血液成分を生じてもよい。結合を達成するための種々の技術は当技術分野において公知であり、例えば、所望の比重の固形ビーズ成分に抗体をコーティングし、鮮鋭化流体層を目標とする血液成分(または逆に、所望の血液成分から分離されるべき血液成分)と選択的に結合するために用いてもよい。その代わりに、例えば、分離化学(例えば、クロマトグラフィまたは吸収)の公知の技術を使用する当業者に公知の種々の技術および試薬を用いてもよい(HPLCおよびFPLC)法において使用されるイオン交換樹脂など)。これら実施形態においては、血液分離チャンバ内の材料を層状化するために回転が用いられる場合、前に濃縮された血液製剤を含む血液分離チャンバに鮮鋭化流体を添加し、結合する機会を与えると、不要な血液製剤から所望の血液製剤が分離されることになる。分離された製剤の除去は上述のように出口の1つまたは両方を通じて進めることができる。この実施形態における鮮鋭化流体の結合は、回収される際、血液成分が鮮鋭化流体から非結合とされてもよく、かつ任意選択的に、いかなる鮮鋭化流体も含まない回収された血液製剤を提供するための別の精製工程に供されるように、当技術分野において公知の技術を使用して反転可能であってもよい。
【0085】
前と同じく、オペレータまたはセンサがチャンバからの流体の排出を制御するバルブ機構の作動を生じさせるのであれば、出口バルブをいつ閉じるかを決定するにあたり検出可能な界面は有利である。この理由のため、鮮鋭化流体は、好ましくは、ある手法において、例えば、色によって識別可能であることにより、界面においてチャンバ内の他の成分と識別可能である。その代わりに、チャンバ内の流体を識別し、かつ、オペレータまたはセンサによって検出可能な界面を形成するために、鮮鋭化流体との遠心分離の前に、生体適合性の、選択的色素またはマーカ材料を添加してもよい。したがって、選択的着色は、所望の成分間の界面と、血液分離チャンバから出口ポートのうちの1つまたは両方を通じて除去されることが求められる成分の検出を容易にする。
【0086】
別の実施形態においては、デバイス750は、血液サンプルの選定された分画をスピンしているチャンバのポート752からの噴射動作により生物学的適合性の足場751に直接塗布するため
図32に示すように構成されている。足場の例には、精製コラーゲンパッドまたは粉末、細胞外基質シートまたは粉末製品、骨充填材、および吸収性または非吸収性合成メッシュを含むが、これらに限定されない。
図32に示される実施形態においては、カム621は4つの位置、1〜4を有し、先の実施形態について前に記載した3つの代わりに、位置#1は最低位置である。バルブキャップ616は追加のBCポート752を有し、エンドキャップ614は追加のBC通路755を有する。前に記載した遠心分離手順に続き、従動子620はカム621上の中立位置#3から位置#4に回転し、赤血球がポート638から出てレシーバ647に入るようにポート638をRBC通路639と整列させる。適切な時に、従動子620はカム621上の#2位置に回転し、血漿がポート612からレシーバ647内に出るようにポート612を通路610と整列させる。最終ステップでは、従動子620はカム621上の位置#1に回転し、BCがBCレシーバ753に出ることを可能にするためにBCポート752を通路755と整列させる。
図32の実施形態においては、BCレシーバ753は足場751を含む。足場751は、BCを、それがBCレシーバ内に排出される際に受け取ることができ、例えば、足場にはBCが直接噴霧されてもよく、またはその代わりに、毛管作用または足場751への吸収によってBCを材料に吸い上げることもできる。所望の量のBCがポート752を出ると、従動子620はカム621上の中立位置#3に戻り、モータがオフに切り替えられる。ここではBCによって処理された足場751は、その後、レシーバ753から無菌的に除去されてもよい。種々のアクセス方法を用いてもよいが、1つの例は、足場へのアクセスを提供するために、連結接合部754において中間カバー607を取り外すことによってアクセスを提供することである。レシーバ、カムおよびポートの設計の類似の変更を使用すると、血液分画のいずれも所望の足場に直接塗布することが可能である。
【0087】
足場へのBCの直接塗布では、塗布は開放された容器における手動ではなくむしろ閉鎖された系において自動的に実施されるため、時間節減になり、製剤の汚染の可能性が低下することになる。また、ヒト病原体を含む可能性のある血液製剤の取り扱いの量を低減することによって医療従事者の感染の可能性が低下する。
【0088】
レシーバ753内の足場751に塗布された血球の早期破壊を防止するため、材料が遠心分離チャンバから排出される力を制御することができる。例として、30mlの容量、0.0254センチメートル(0.01”)の出口穴径を有するデバイスにおいて遠心力(g)が約1000g未満に低減された場合、遠心機ではより高い比率の無傷の血球が提供され、速度が約300gの範囲までさらに低減されると血球生存はさらに向上することが示されている。遠心分離速度の変化はソフトウェア内のタイマまたはバルブ機構の動きによって発生した信号によって自動的に開始するようにソフトウェア内にプログラムされる。
【0089】
本発明に従い組み立てられた遠心機100の別の代替的な例示的実施形態が
図34に示される。その遠心機もまた、生物学的液体混合物(血液などであるがそれに限定されない)の選択成分の分離、濃縮および回収のために配置されており、基本的に、2つの主要アセンブリ、すなわち、着脱可能なディスク形状の回転アセンブリ112およびハウジング113を含む。ハウジングは、回転アセンブリと、駆動モータ126と、対応する電気駆動回路(不図示)と、スイッチ(不図示)と、を含む。着脱可能なディスク形状の回転アセンブリ112は、基本的に、分離チャンバ143と、この例示的ケースにおいては、分離された成分の受入のための2つの回収チャンバ109およびチャンバ110と、を含む。特に、示される例示的実施形態においては、回転アセンブリは、赤血球などのより高い比重の流体の回収のための第1または外部回収チャンバ110と、血漿などのより低い比重の流体の回収のための第2または内部回収チャンバ109と、を含む。これらチャンバのそれぞれは環状の形状であるが、回転アセンブリが不平衡により誘発された振動を防止するために平衡するように構成されている限りは異なる形状のものとすることもできる。遠心機が運転している際、カバー101が回転アセンブリ112を密閉する。この実施形態においては、その種々の内部構成要素を有するハウジング113は生物学的液体混合物に直接接触しない限りは再利用可能であることが想定される。取り外し可能な回転アセンブリ112は、対照的に、使用後に使い捨てされるとみなされてもよい。
【0090】
回転アセンブリ112の3つのチャンバは、延在するハブ127を有する本体108と、カバープレート105と、バルブプレート115とを含むいくつかの構成要素から構成されている。これら3つの構成要素は全ての界面において漏れのないシールを提供するためにともに固定されている。その代わりに、これら構成要素は一体型構造のものとしてもよく、例えば、ステレオリソグラフィまたは鋳造を含む種々の製造技術を使用して単一部品として形成してもよい。固定されたバルブプレート115は延在するハブ127にしっかりと固定されているため、ハブに印加される回転力が回転アセンブリの回転を生じさせる。回転アセンブリはまた、カバープレート105に配置されており、処理のための、分離チャンバ143への生物学的液体混合物の導入のための手段としての機能を果たす、貫通可能な膜144の形態のアクセスポートを特徴とする。アクセスポートは任意の適切な構造のもの、例えば、一方向ダックビルバルブとすることができる。アクセスポートは、また、生物学的混合物の任意の残留する分離された成分、例えば、生物学的混合物が血液である場合はバフィコートの除去のための手段としての機能を果たしてもよい。
【0091】
動作時、分離チャンバ143と、回収チャンバ110および回収チャンバ109との間の流体の流れは、そこを通過する流体の流れを制御するために選択的に開閉するよう独立して作動することができるバルブ138およびバルブ117(後述される)によって制御される。バルブは流体経路141、140、106を介して分離チャンバの内部と流体連通しているため、回転アセンブリの一部として回転する。流体経路140は上部プレート105の下面と本体108との間にチャネルを含み、かつ、分離チャンバ143の内部と流体連通している。経路141は経路140と流体連通している。経路140は環状の形状であり、かつ経路の終端に配置されているバルブ138と流体連通している。ここで、経路140は環状形状のものである必要はないことに注目すべきである。形状が環状ではない場合、回転アセンブリは経路140に対して直径の方向に対向する同様の形状の経路または回転時に振動しないようにアセンブリを平衡させる他の何かのいずれかを含むべきである。流体経路106もまた分離チャンバ143の内部と流体連通しているが、流体経路141よりも小さな半径方向距離においてである。経路106は経路の終端に配置されているバルブ117と流体連通している。経路106は形状が環状ではないがむしろ孔を含む。好ましくは、平衡したアセンブリになるように経路106に対して直径の方向に対向する同様の経路が配置されている。必要に応じて、経路106は環状とされうる。
【0092】
説明されるように、バルブ138およびバルブ117は、回転アセンブリの他の要素に対して静的および動的な要素を特徴とする。静的要素は、回転アセンブリに対して固定されている一方で、動的要素は回転アセンブリに対して移動または枢動するように配置されている。
【0093】
図34ならびに
図35および
図37の拡大詳細図に示すように、バルブ138およびバルブ117のそれぞれは二方向(オン/オフ)バルブである。各バルブは各バルブの静的(固定)部を形成する共通のバルブプレート115を含む。各バルブの可動(摺動可能)部は共通のバルブスライダ116(
図37)の円弧状セクションまたはセグメントの形態である。各バルブはその開位置にある場合、流体がそれを通過してその各々の回収チャンバに流れ込むことを可能にするように配置されている。特に、開いているとき、バルブ138は流体がそれを通過して回収チャンバ110に流れ込むことを可能にする。同様に、開いているとき、バルブ117は流体がそれを通過して回収チャンバ109に流れ込むことを可能にする。したがって、バルブは生物学的液体混合物の分離された成分の、分離チャンバ143から回収チャンバ110、109への制御された移動を可能にする。
【0094】
漏れのない動作を確実にするため、バルブは、互いに対向し、かつ、互いに対して摺動または枢動するバルブの各々の部品間に弾性シール材料を用いている。特に、バルブ138およびバルブ117それぞれの構造を示す
図35に明確に示されるように、各バルブの静的部分、すなわちバルブプレート115は、バルブプレート115の各々の円形凹部に2つのOリング146を収容している。バルブプレート115と一体の2つの柱147、148はそこから下方に突出する。柱は、各柱にしっかりと固定された支持ガイドカバー152と協働し、その間にスロットを画定する。スロットの断面は「abcd」によって示される(
図35を参照)。各バルブのスロットabcdはバルブプレート115の下に、バルブプレートの面に平行して延在し、その中に共通のバルブスライダ116の各々の円弧状セグメントを摺動可能に受容するように配置されている。特に、バルブ138のスロットがバルブスライダ116の円弧状セグメント154(
図37)を摺動可能に受容する一方で、バルブ117のスロットはバルブスライダの円弧状セグメント153を摺動可能に受容する。バルブスライダ116は、後述するようにバルブ138およびバルブ117を動作する(すなわち開くおよび閉じる)ために回転アセンブリ112の中心長手方向軸線(
図34および
図37に示される回転軸線X)を中心に枢動されるように配置されている。
【0095】
図35において最も良く分かるように、各バルブにおいてバルブプレート115は入口ポートまたは穴182および出口ポートまたは穴183を含む。ポート182およびポート183はバルブプレートの対応する部分を貫通し、その下に位置するスロットabcdと流体連通する。各バルブは、その対応する円弧状セグメント153または円弧状セグメント154の下面にしっかりと固定され、かつ、そのバルブのスロットabcd内に配置されているシールプレート150を含む。バルブスライダ116の円弧状セグメント154は、横断スロット151によって繋がれた一対の穿孔または穴149を含む。円弧状セグメント154の2つの穿孔149は、バルブスライダ116が軸線Xを中心として1つの回転方向に枢動されると、バルブ138のポート182およびポート183と整列し、流体連通にされるように配置されている。同様に、円弧状セグメント153の2つの穿孔149は、バルブスライダ116が軸線Xを中心として逆の回転方向に枢動されると、バルブ117のポート182およびポート183と整列し、流体連通にされるように配置されている。したがって、バルブスライダ116が、その穿孔149がバルブ138のポート182およびポート183と整列する位置まで枢動されると、遠心分離によって分離されたより高い比重の流体が分離チャンバ143からチャネル141を通過し、経路140を下り、ポート182に流れることを可能とする。そこから、その流体は横断スロット151を通過して出口ポート183に流れ、そこから、それはチャンバ110内に流れる。バルブスライダ116が、その穿孔149がバルブ117のポート182およびポート183と整列する位置まで枢動されると、遠心分離によって分離されたより低い比重の流体が分離チャンバ143から経路106を通過し、ポート182に流れることを可能とする。そこからその流体は横断スロット151を通過して出口ポート183に流れ、出口ポート183からチャンバ109内に流れる。
【0096】
スロットabcdの寸法は、バルブを開閉するために円弧状スライダセグメント153、154が摺動する際に漏れを防止するため、Oリング146に適切な圧縮を提供するように選定される。
【0097】
バルブ138およびバルブ117は回転アセンブリの一部であるため、デバイスが動作している間にバルブの作動を生じさせるための力変換機構が提供される。この力変換は当業者に公知の種々の技術を使用して実現してもよい。デバイスにおいて使用するのに適した1つの例示的な力伝達機構をここで記載する。
【0098】
バルブスライダがバルブプレート115に対して軸線Xを中心に2つの回転方向に枢動することを可能にするために、螺旋歯を備えた一対の構成要素が提供される。それらの構成要素は、
図36において最も良く分かるように、全てが回転して生物学的液体混合物の分離のための遠心場を形成する一方で、互いに対して軸方向に動作するように配置されている。
図34を参照すると、チャンバ本体108が、延在するハブ127に組み込まれた雄軸方向スプライン121を有するのを見ることができる。トランスレータ122は延在するハブ127の雄スプライン121上において軸方向に摺動する雌スプラインを有する。トランスレータはその外側に螺旋歯120を含む。バルブスライダハブ184はトランスレータの外歯120と噛合する内螺旋歯118を有する。トランスレータ122はスリーブ132の軸方向運動によって玉軸受130を介して軸方向に動作する。そのスリーブはハウジング113の一部にあるスロット137とキー留めされている。スリーブ132は、さらには、コントロールスリーブ136の内部に形成されたカム124によって軸方向に駆動される。コントロールスリーブ136はタブ134によって駆動され、回転するように配置されている。タブはハウジング113内のスロットを通過する。コントロールスリーブ136は3つの位置を有し、中間位置は
図37に示されるバルブプレート位置に一致する。コントロールスリーブ136が回転すると、カム124に載るスリーブ132が軸方向運動を形成し、これをトランスレータ122が回転運動に変換し、これによりさらには、バルブの作動を案内するようにバルブスライダ116の枢動を生じさせる。トランスレータ122がモータ126に対して駆動されるように戻りばね(不図示)はバルブプレート115をねじれた状態に付勢する。
【0099】
取り外し可能な回転アセンブリ112全体をモータ126の駆動軸123に取り付け、蝶ナット103によって所定の位置に保持する。回転アセンブリ112の回転はモータ126によって駆動され、対応するドライブシャフト123はキー104を介して駆動される。ドライブシャフト123は玉軸受145およびモータ駆動部端部125によって配置されている。モータ126は同様に玉軸受145を配置するフレーム128に取り付けられている。
【0100】
デバイス100の動作時、コントロールスリーブ136は、移動止め(不図示)によって制御され、中心位置に配置される。新しい取り外し可能な回転アセンブリ112が駆動軸123上に配置され、戻りばね(不図示)を圧縮するために押下されるため、
図37に示される位置に2つのバルブスロット151を備えたバルブプレート115をその始動位置に配置する。蝶ナット103が、その後、取り外し可能な回転アセンブリ112を所定の位置に保持するためにドライブシャフト123のねじ状部分102上に回される。分離のための流体(生物学的液体混合物、例えば、血液)の充填が膜144を介してチャンバ143内に注入される。モータ126をオンにし、生物学的液体混合物をそのいくつかの成分層に、分離チャンバ143内の同心性の層として分離するのに適切な速度において運転させる。適切な回転速度において、この分離は約90秒以下、より一般には、約1分で行われる。非常に類似する比重を有する混合物においては、この時間は延長してもよい。成分の分離が行われると、タブ134は第2の位置に移動して、第1バルブ138の穴149の1つが入口ポート182と整列し、穴149のもう一方が出口ポート183と整列し、それによって、そのバルブを開くため、生物学的液体混合物の高比重分画が第1バルブ138を通じてチャンバ110に流れるような位置までバルブスライダ116を、軸線Xを中心として1つの回転方向に枢動させる。
【0101】
本発明の好適な一実施形態によれば、生物学的液体混合物を分画に分離することによって形成された界面は、それを上部プレート105の透明部分を通じて観察することができるように視覚的に検出可能である。その代わりに、前に記載したように、界面はセンサを使用して電子的に検出されてもよい。オペレータまたは検出器による界面の検出感度を高めるために、検出器に対向して、または回転アセンブリの上部プレートの透明部分に対向して配置された回転チャンバの少なくとも一部に、対照的な色または鏡張りの表面を提供することに利点がある。
【0102】
より高い比重の成分がチャンバ110に流れると界面の動きが監視される。この界面がチャネル141への入口142に近づき、チャネル141への入口142に対する所定の箇所に界面が達すると、例えば、タブ134に作用して第1バルブ138の閉鎖を誘発することにより第1バルブ138を通過する流体の流れが停止される。より高い比重の流体の排出の時間は回転の速度、流体の粘度および流路の最も制限された部分の直径に基づき変化するが、これは通常約15秒の流れの後であることは予想される。第1バルブをいつ閉じるかを判断するためにオペレータが界面を検出し、監視する場合、前に記載したように、界面の動きの速度は、人が反応し、バルブの閉鎖を引き起こすのに適切な時間を有することができるようなものであることが必要とされる。
【0103】
続いて、タブ134は、その後、第3の位置に移動され、その後、第2バルブ117の穴149の1つが入口ポート182と整列し、穴149のもう一方が出口ポート183と整列し、それによって、第2バルブ117を開いて、生物学的液体混合物のより低い比重の分画が第2バルブ117を通じてチャンバ109に流れ込むような位置まで軸線Xを中心とした逆の回転方向にバルブスライダ116を枢動させる。この流れは、空気が経路106に入り、そこで流れが停止するまで継続する。この際、工程の通常約2〜3分で、タブ134はその元の第1の位置に戻され、両バルブ138およびバルブ117はここで閉じられ、モータは電源が切られる。所定量のより低い比重の成分は、任意の中間比重成分(例えば、生物学的混合物が血液である場合はバフィコート)の残留物とともに、ここで、分離チャンバ143内に捕集され、例えば、膜144を介してシリンジを分離チャンバ内に案内することにより使用のための除去の準備が完了している。取り外し可能な回転アセンブリ112は、その後、ドライブシャフト123から分離されて、3つのチャンバ143、108、109の1つまたは複数の内容は必要に応じて回収される(例えば、膜およびシリンジを介して)。
【0104】
当業者には認識されるように、適切に機能するために、デバイス100は流体の変位を可能にするために1つまたは複数の通気口(不図示)を組み込む。理想的には、通気口の1つは流体がチャンバ109およびチャンバ110に流れ込むとチャンバ143に入る空気を提供し、別の2つの通気口は流体がチャンバ109およびチャンバ110に流れ込むと空気が出ることを可能にする。
【0105】
遠心機100の一実施形態においては、生物学的液体混合物、例えば、血液、約30mLの充填、の分離を提供することが望ましい場合がある。この目的のため、上記の回転アセンブリ112は、約8cmの最大直径および約1cmの長手方向軸線(回転軸線X)に沿って測定された高さを有する大きさにされてもよい。処理のため所望されるサンプルサイズを達成するために寸法を増加または減少することが望ましい場合がある。
【0106】
前に記載したように、
図34〜37に示されるデバイスのチャンバは、環状チャンバであっても、その代わりに、円の2つ以上のセクションを形成する複数の連結されたチャンバであっても、それに代えて、複数のチャンバの回転を可能にするために平衡させてもよい2つ以上の器であってもよく、集合的に、チャンバのそれぞれが特定の血液成分(例えば、赤血球および血漿)の排出を提供する一方で、チャンバのそれぞれにおいて濃縮された所望の血液成分の濃縮およびアクセスを可能にするロータを形成することは理解される。
【0107】
本明細書中に記載されるいずれの実施形態においても、デバイスでは、デバイスが倒れるか、望ましくない角度で動作された場合、回転を停止するか、最低でもチャンバの回転速度を低減する傾斜センサの組み込みが役立つ。デバイスが動作することが予想される回転速度では、角度は流体成分の層化に影響しそうにはないがむしろ、これは回転要素または動作中に振動する傾向があるものを含むデバイスにおいて公知の意図しない動きを防止する。
【0108】
上記の実施形態は、デバイスと、使用のための説明書ならびに保管および無菌性を保つのに適した包装を含むデバイスの動作に必要な付属品とを含むキット形態において利用可能としてもよい。場合によっては、キットは説明書を遠心機デバイスとともに提供してもよく(単一ユニットまたは分離可能な構成要素としてのいずれか)、任意選択的に、鮮鋭化流体を含む分離補助材などの付属品、または濃縮された生成物に関する定性的または定量的情報を提供するのに有用な迅速検査キットを含む。当技術分野においては種々の血液試験法が公知であるが、例えば、濃縮された生成物の濃縮係数または回収効率に関する有用情報を提供する任意の迅速試験キットがキットに組み込まれてもよい。そのようなキットは、濃縮後および任意選択的に濃縮前に迅速検査キットに曝露された血液成分の結果の比較を必要としてもよい。付属品は、包装内の別個の容器内に収容されても、包装中に血液分離チャンバ内に収容されても、遠心機ユニットとは別に利用可能としてもよい。使い捨ての遠心機構成要素に結合されるように配置されたモータを備えた再利用可能駆動構成要素を提供する実施形態においては、キットは、それぞれが再利用可能駆動構成要素とともに使用するのに適した複数の使い捨ての遠心機構成要素を含む。
【0109】
したがって、本明細書中に開示される発明的なプロセスおよび発明はそのステップおよび形態のいくつかが示されたその全般的特性の精神から逸脱することなく追加のステップまたは他の特定の形態によって具現化されてもよいため、本明細書中に記載される実施形態はあらゆる点において例示であり、限定されるものではないとみなされるべきである。発明の範囲は前述の記載よりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等の意味および範囲内の全ての変更形態はその中に含まれることを意図する。