(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398108
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】高耐久性の鎖
(51)【国際特許分類】
F16G 13/12 20060101AFI20180920BHJP
D03D 25/00 20060101ALI20180920BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20180920BHJP
B32B 7/08 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
F16G13/12 G
F16G13/12 D
D03D25/00
B32B5/02 C
B32B7/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-542286(P2015-542286)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公表番号】特表2016-503478(P2016-503478A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013074075
(87)【国際公開番号】WO2014076279
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】12193174.5
(32)【優先日】2012年11月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエンケ, ディートリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マリセン, ロウロフ
【審査官】
岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−517482(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/089798(WO,A1)
【文献】
米国特許第04779411(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/12
B32B 5/02
B32B 7/08
D03D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成高分子糸を含む鎖リンクを含有する高耐久性の鎖であって、
前記鎖を本質的に平面状の表面上に少なくともピンと張った状態に保持したときに、各鎖リンクが前記平面状表面への正投影を有し、前記投影がフットプリント面積(A)を有し、2つの隣接リンクごとにA1およびA2で示されるフットプリント面積が、
0.8×A2≦A1≦A2
の関係にあり、A1が前記2つの面積のうちで最も小さく、前記投影が、フットプリント面積A2対A1の比率が最大になるような方法で行われ、
織布を含有する複数の層が積み重ねられた層状構造を含み、前記構造に沿って孔を開けることによって前記層状構造内にリンクが形成され、前記織布がストラップの形状を有する、鎖。
【請求項2】
織布を含有する前記複数の層が縫製によって互いに付着された層状構造を含む、請求項1に記載の鎖。
【請求項3】
0.9×A2≦A1≦A2である、請求項1又は2に記載の鎖。
【請求項4】
少なくとも100kNの破壊強さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鎖。
【請求項5】
前記高分子糸が少なくとも1GPaの引張強さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鎖。
【請求項6】
前記糸が超高分子量ポリエチレン糸である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鎖。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、合成高分子糸を含む鎖リンクを含有する高耐久性の鎖に関し、前記鎖は、重い物体を引き上げる、固定する、縛る、運搬する、吊り下げる、持ち上げる、締め付ける、まとめる、そして/あるいは多量の機械動力を伝達するのに適している。本発明はさらに、その製造方法と、種々の用途における前記鎖の種々の使用とに関する。
【0002】
合成高分子糸を含む高耐久性の鎖は、当該技術分野において、例えば、国際公開第2008/089798A1号パンフレットに開示されるものとして知られている。そこには超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を含む高耐久性の鎖が提示されており、この鎖は、ボートを係留または停泊させるため、道路、鉄道、水上および航空輸送において貨物を縛るため、あるいは運搬、引き上げ、吊り下げまたは持ち上げ用途のために適している。既知の鎖は、関連技術分野における他の鎖と比較して高い強度および耐久力を示す。
【0003】
合成高分子糸を含む鎖の別の例は米国特許第4779411号明細書から知られており、外側織布で覆われた芳香族ポリアミド(アラミド)マルチフィラメント糸から作られた鎖が開示される。
【0004】
上記の既知の鎖の開示は最先端における改善を示すが、前記鎖をよりさらに改善することが必要とされている。特に、既知の鎖は、例えば貨物ペレット(cargo pellet)上に貨物を支持、安定化および保持するために使用される際、特に不規則な形状を有する貨物の場合には、効果が低いことが観察された。さらに、既知の鎖では、マルチフィラメント糸の一部だけが1つのリンクから別のリンクへの力の伝達に効果的に寄与し、これは、効率の低下した鎖をもたらし得ることが見出された。また、従来技術で記載される織構造は、例えば貨物と負荷を受けて接触する圧迫点を有する場所を示し、従って貨物に対する圧迫損傷が最大化される。さらに、鎖を形成する全てのリンクを個々に作らなければならないので、既知の鎖を製造するための時間はかなり長い。
【0005】
従って、本発明の目的は、より効果的に貨物を支持して、例えば貨物ペレット上にそれを保持し、そして/あるいはより短い製造時間を必要とし、そして好ましくは、少なくとも既知の鎖と同等の効率を有する鎖を提供することであり得る。
【0006】
従って、本発明は、合成高分子糸を含む鎖リンクを含有する高耐久性の鎖を提供し、前記鎖を本質的に平面状の表面上に少なくともピンと張った状態に保持したときに、各鎖リンクは前記平面状表面への正投影を有し、前記投影はフットプリント面積(A)を有し、2つの隣接リンクごとにA
1およびA
2で示されるフットプリント面積は、
80%A
2≦A
1≦100%A
2
の関係にあり、A
1は前記2つの面積のうちで最も小さく、投影は、フットプリント面積A
2対A
1の比率が最大化されるような方法で行われる。
【0007】
本発明の高耐久性の鎖(以下、本発明の鎖と称される)はこれまで製造されたことがなく、重い物体を引き上げる、固定する、縛る、運搬する、吊り下げる、持ち上げる、締め付ける、まとめる、そして/あるいは多量の機械動力を伝達するのに適した鎖の分野における前進を表す。驚くことに、本発明の鎖は、軽量でありながら、高い機械強度および/または良好な構造的完全性を示すように製造され得ることが見出された。
【0008】
最も重要なのは、本発明の鎖が貨物を効果的な方法で支持し、鎖を形成する糸が前記鎖に作用する負荷の分担に効果的に寄与できるようにすることである。また本発明の鎖は特に、構造破損を受けることなく動的負荷の突然の上昇に耐える能力を提示することができ、そして特に、長期間にわたって通常は厳しい様々な動作環境においてその能力を示すことができる。
【0009】
好ましい実施形態では、本発明の鎖は、連続的な3次元(3D)ネットワーク構造を形成する糸を含有し、このような鎖は、以下3D鎖と称される。連続的な3Dネットワーク構造を形成する糸とは、本明細書では、糸が2つの隣接リンクの間を連続的に通過し(すなわち、中断がない)、全てのリンク内で3Dネットワークを形成するように糸が配列されることであると理解される。3Dネットワーク構造は、通常、少なくとも3セットの糸を統合および結合することによって得られ、1セットは多層経糸構造を形成する前記糸であり、その他の2セットは、経糸構造に関して水平および鉛直に配置され、従って緯糸構造を形成する前記糸であり、好ましくは少なくとも3セットの糸は直交する。好ましくは、3Dネットワーク構造は3D織構造であり、より好ましくは3D織マルチシャトルルーム構造である。何故なら、これらを含む鎖リンクは大きい負荷、特に動的負荷を受けて崩壊する程度が低く、効果的な方法でその元の形状を保持するからである。3D織マルチシャトルルーム構造は、本明細書では、好ましくは直交する少なくとも3セットの糸の結合がマルチシャトル織機において実行された構造であると理解される。このような織機は、3D織技術の分野においてよく知られている。3D織の鎖は、特に長期間にわたって、その全体でより効率的かつ高応答性の機械動力の伝達も可能にし得る。また3D構造は、3D編組み、3D編み、3D縫い(stiched)および3Dヌービング織り構造からなる群から選択されてもよい。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、本発明の鎖は、織布を含有する複数の層が積み重ねられた、そして好ましくは、好ましくは縫製によって互いに付着された層状構造を含み、構造に沿って好ましくは周期的な形で孔を開けることによって層状構造内にリンクが形成される。層の量および孔のサイズは鎖の強度に依存し、当業者は日常的な実験によりこれらの因子を決定することができる。好ましくは、前記織布はストラップの形状を有し、すなわちその横断寸法(例えば、幅および厚さ)よりもはるかに大きい長さを有する長尺体である。このようなストラップの例は、有孔コンベヤーベルトなどの有孔ベルトであり得る。このような有孔ストラップ構成(例えば、ベルト)における鎖リンクは、2つの隣接する孔の間、すなわち2つの隣接する横方向の孔の端(それぞれ隣接する1つの孔に対応する)の間の仮想中央分離線によって区切られた部分であると考えられる。このような構成の1つの鎖リンクは1つの孔を有する。鎖がストラップ構成を有する本発明に従う好ましい実施形態は
図1に概略的に示されており、図中において、tは鎖リンクの長さであり、wは鎖リンクの幅である。このようなストラップは、マルチフィラメント糸を当該技術分野において知られている任意の構成(例えば、平織および/または斜文織構成など)に織るまたは編むことによって容易に作製することができる。ストラップは、好ましくは、n層ウェビング構成を有し、ここで、nは好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも3、最も好ましくは少なくとも4である。ストラップの幅は広範囲にわたって変化することができ、その幅は少なくとも1cm、より好ましくは少なくとも2cm、好ましくは最大で30cm、最も好ましくは最大で15cmである。ストラップの厚さは、好ましくは、幅対厚さの比率が少なくとも5:1、より好ましくは少なくとも10:1であるように選択され、幅対厚さの比率は、好ましくは最大で40:1、さらにより好ましくは最大で20:1である。ストラップの幅対厚さ比を限定することによって、鎖のリンクはフックなどの取付手段に対してより容易に利用しやすい。
【0011】
好ましくは、本発明に従う鎖のリンクは1つの平面に固定される、すなわち前記鎖内でどの方向にも動かない。
【0012】
本発明の鎖は、40%A
2≦A
1≦100%A
2、好ましくは50%A
2≦A
1≦100%A
2、より好ましくは60%A
2≦A
1≦100%A
2、さらにより好ましくは70%A
2≦A
1≦100%A
2であることを特徴とし得る。本発明の鎖は、80%A
2≦A
1≦100%A
2、好ましくは90%A
2≦A
1≦100%A
2であることを特徴とする。
【0013】
「高耐久性の鎖」とは、本明細書では、少なくとも100kNの破壊強さを有する鎖を意味する。好ましくは、本発明の鎖の破壊強さは少なくとも500kN、より好ましくは少なくとも1000kN、さらにより好ましくは少なくとも10000kN、またさらにより好ましくは少なくとも100,000kN、最も好ましくは少なくとも10
6kNである。
【0014】
「重い物体」とは、本明細書では、大きな重量を有すると一般に理解される物体、例えば、輸送貨物コンテナ、ボート、船、いかり、車両、トラック、航空機、列車、バス、係船設備などを意味する。
【0015】
本発明との関連では、糸は、複数の繊維を含む長尺体であると理解される。「繊維」とは、本明細書では、長尺体、例えば長さおよび横断寸法を有する本体であり、本体の長さはその横断寸法よりもはるかに大きいと理解される。「繊維」という用語は、本明細書で使用される場合、種々の実施形態、例えばフィラメント、テープ、ストリップ、リボンおよび糸も含み得る。また繊維は、規則的または不規則な横断面を有し得る。また繊維は、連続的および/または不連続的な長さを有し得る。好ましくは、繊維は連続的な長さを有し、このような繊維は当該技術分野ではフィラメントとして知られている。
【0016】
物体、例えば鎖リンクの「正投影」とは、本明細書では、前記物体の平面上の投影であると理解される。
【0017】
好ましくは、合成高分子糸は、少なくとも1GPa、好ましくは少なくとも1.5GPa、より好ましくは少なくとも2GPa、さらにより好ましくは少なくとも3GPa、またさらにより好ましくは少なくとも4GPa、最も好ましくは少なくとも5GPaの引張強さを有する。前記糸のタイターは、好ましくは、少なくとも100デニール、さらにより好ましくは少なくとも1,000デニール、またさらにより好ましくは少なくとも2,000デニール、またさらにより好ましくは少なくとも3,000デニール、またさらにより好ましくは少なくとも5,000デニール、またさらにより好ましくは少なくとも7,000デニール、最も好ましくは少なくとも10,000デニールである。このような糸は市販されている。合成高分子糸の引張強さ(GPa)は、繊維の公称ゲージ長500mm、クロスヘッド速度50%/分、およびFibre Grip D5618C型のInstron2714クランプを用いて、ASTM D 885Mに従う手順によりマルチフィラメント糸において測定される。測定される応力−ひずみ曲線に基づいて、モジュラスは、0.3〜1%の間のひずみの勾配として決定される。引張強さを計算するために、引張力の適切な記録数値がタイターで除される。
【0018】
合成高分子糸は、当該技術分野において既知の任意の技術、好ましくは溶融、溶液またはゲル紡糸に従って製造され得る。前記糸を製造するために使用される高分子材料は、前記糸に加工することができる任意の材料であり得る。適切な例としては、ポリアミドおよびポリアラミド、例えばポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(Kevlar(登録商標)として知られる);ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE);ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)(Zylon(登録商標)として知られる);LCP、例えばVectran(登録商標)(パラヒドロキシ安息香酸およびパラヒドロキシナフタル酸のコポリマー);ポリ{2,6−ジイミダゾ−[4,5b−4’,5’e]ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(M5として知られる);ポリ(ヘキサメチレンアジプアミド)(ナイロン6,6として知られる)、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン6として知られる);ポリエステル、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、およびポリ(1,4シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート);ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられるが、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなども挙げられる。上述した高分子材料から製造される糸の組み合わせも本発明の鎖を製造するために使用することができる。
【0019】
好ましくは、本発明に従って使用される糸はポリオレフィン糸であり、より好ましくは、ポリエチレンまたは高密度ポリエチレン(HDPE)、または高性能ポリエチレン(HPPE)であり、最も好ましくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)糸である。本発明との関連では、UHMWPEは、本明細書では、少なくとも3dl/g、より好ましくは少なくとも4dl/g、最も好ましくは少なくとも5dl/gの固有粘度(IV)を有するポリエチレンであると定義される。好ましくは、前記IVは、最大で40dl/g、より好ましくは最大で25dl/g、より好ましくは最大で15dl/gである。好ましくは、ポリオレフィン糸、特にUHMWPE糸は、少なくとも1.2GPa、より好ましくは少なくとも2GPa、好ましくは少なくとも3GPa、またさらにより好ましくは少なくとも3.5GPa、またさらにより好ましくは少なくとも4GPa、最も好ましくは少なくとも5GPaの引張強さを有する。好ましくは、ポリオレフィン糸、特にUHMWPE糸は、少なくとも40GPa、より好ましくは少なくとも60GPa、最も好ましくは少なくとも80GPaの引張係数を有する。ポリオレフィン糸の引張強さ(GPa)は、繊維の公称ゲージ長500mm、クロスヘッド速度50%/分、およびFibre Grip D5618C型のInstron2714クランプを用いて、ASTM D 885Mに従う手順によりマルチフィラメント糸において測定される。測定される応力−ひずみ曲線に基づいて、モジュラスは、0.3〜1%の間のひずみの勾配として決定される。引張強さを計算するために、引張力の適切な記録数値がタイターで除される。
【0020】
最も好ましくは、本発明に従って使用される糸は、ゲル紡糸UHMWPE糸、すなわちゲル紡糸プロセスによって調製される糸である。適切なゲル紡糸プロセスは、例えば、英国特許第A−2042414号明細書、英国特許第A−2051667号明細書、欧州特許第0205960A号明細書および国際公開第01/73173A1号パンフレット、ならびに「Advanced Fibre Spinning Technology」,T.Nakajima編,Woodhead Publ.Ltd(1994),ISBN1855731827に記載されている。要するに、ゲル紡糸プロセスは、溶媒中の高固有粘度のUHMWPEの溶液を調製し、溶解温度よりも高い温度でこの溶液をフィラメントに紡糸し、フィラメントをゲル化温度よりも低い温度まで冷却し、溶媒を少なくとも部分的に除去する前、最中、および/または後にフィラメントを延伸することを含む。ゲル紡糸マルチフィラメントUHMWPE糸は、高モジュラスおよび高引張強さのような好ましい機械特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ストラップ構成を有する好ましい鎖を概略的に表し、tは鎖リンクの長さであり、wは鎖リンクの幅である。
【
図2】従来技術、例えば国際公開第2008/089798A1号パンフレットにおいて開示される鎖を概略的に表し、鎖は本質的に平面状の表面上に少なくともピンと張った状態に保持されており、各鎖リンクは前記平面状表面への正投影を有し、前記投影はフットプリント面積(A)を有し、A
1およびA
2は、2つの隣接リンクごとのフットプリント面積であり、「a」は2つの隣接鎖リンクの間の重なりである。
【0022】
[測定方法]
・IV:固有粘度は、デカリン中135℃において、方法ASTM D 1601(2004)に従い、16時間の溶解時間、酸化防止剤として2g/l溶液の量のBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)を用いて、異なる濃度で測定された粘度をゼロ濃度まで外挿することによって決定される。
・鎖の破壊強さ、すなわち鎖の乾燥サンプルを完全に断裂させるのに必要とされる力は、温度約21℃、速度100mm/分において、シャックルの厚さとそれに接続されるリンクの厚さの比率が約5であるD−シャックルを用いて、Zwick1484万能試験機において測定される。
【0023】
[実施例1]
いくつかの6つの織ストラップを互いに積み重ね、Amann AG(Aughsburg,DE)により供給されるExtremeTech(登録商標)縫製糸を用いて縫製により結合した。ストラップは、Dyneema(登録商標)SK75として知られる1760dtexのUHMWPE糸から織った。全てのストラップは、47mmの幅、1.1mmの厚さ、ランニングメートル(running meter)当たり50グラムの重量、約80kNの引張強さ、および約4%の破断伸びを有した。レーザービームによりスタックの長さに沿って40mmごとに孔を開けた。2つの隣接リンクの投影間の比率は90%よりも大きく、全ての可能な投影についてA
1はA
2にほぼ等しかった(実施例1の鎖は、
図1に概略的に示した)。本実施例において記載される織構造は、負荷を受けて貨物と接触する圧迫点を有する場所を示さない。これらは平滑であり、従って貨物に対する圧迫損傷が最小化される。貨物をペレット上に安定化するために使用される場合、この鎖は貨物を非常に効果的に支持し、約10.5トンの引張強さと、フックまたはシャックルを孔の中に用いる際の約2.4トンの局所的な破壊強さとを有する。