特許第6398129号(P6398129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許63981292面に渡る二重の90°変形を有する整復鉗子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398129
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】2面に渡る二重の90°変形を有する整復鉗子
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/28 20060101AFI20180920BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   A61B17/28
   A61B17/56
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-183105(P2014-183105)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-73900(P2015-73900A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】13187700.3
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512242697
【氏名又は名称】カール ライビンガー メディツィンテクニック ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Karl Leibinger Medizintechnik GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】クラウス コーラー
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−528603(JP,A)
【文献】 米国特許第04611592(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0006371(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0144351(US,A1)
【文献】 米国特許第06315780(US,B1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(5)を規定する旋回接合部(4)上で互いに旋回可能に支持される第1のロッド(2)および第2のロッド(3)を備え、前記第1のロッド(2)が前記旋回接合部(4)の片側に第1のジョー(8)を備え、前記第2のロッド(3)が前記旋回接合部(4)の同じ側に前記第1のジョー(8)と共働するように設けられた第2のジョー(9)を備え、前記ジョー(8)および前記ジョー(9)には、骨または骨プレートと接触するように準備された接点(13)が画定されている整復鉗子(1)において、
前記接点(13)が、前記旋回接合部を含み前記回転軸(5)が垂直に延びる共通の旋回面において可動であり、
前記ジョー(8;9)のうちの第1のジョーが、前記旋回面から変位して前記旋回面に対し平行に延びる面に延びる部分を有し、前記旋回面に対し平行に延びる面に形成された湾曲部分を含み、前記ジョー(8;9)のうちの第2のジョーが、前記旋回面に形成されるS曲線部分を含むことを特徴とする、整復鉗子(1)。
【請求項2】
前記ジョー(8)および前記ジョー(9)のうちの一方だけが、前記旋回面に対し平行な前記面の方向に向きを付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の整復鉗子(1)。
【請求項3】
前記第1のジョー(8)が下側分岐部として構成され、前記第2のジョー(9)が上側分岐部として構成され、前記旋回面から見たとき前記下側分岐部の自由端が前記上側分岐部の下に配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項4】
前記第2のジョー(9)が完全にまたは概ね前記旋回面に配置されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項5】
前記第2のジョー(9)が、前記旋回面において前記旋回接合部(4)と前記第2のジョー(9)の前記自由端との間に1つ、2つまたは3つ以上の方向変化部分(18)を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項6】
前記方向変化部分(18)において前記第2のジョー(9)が方向の変化、およそ75°からおよそ115°の曲げまたは急な曲げを示すことを特徴とする、請求項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項7】
前記方向変化部分(18)が切粉取り過程により生成されることを特徴とする、請求項6に記載の整復鉗子(1)。
【請求項8】
前記第1のジョー(8)および/または前記第2のジョー(9)が前記旋回接合部(4)からそれぞれの前記自由端まで連続的にまたは段階的に細くなることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項9】
前記第1のジョー(8)が、前記旋回面に対し平行に延びる前記面において前記旋回接合部(4)と前記第1のジョー(8)の前記自由端との間に1つ、2つまたは3つ以上の向き変化部分(20)を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項10】
前記向き変化部分(20)において、前記第1のジョー(8)が方向の変化、およそ75°からおよそ115°の曲げまたは急な曲げを示すことを特徴とする、請求項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項11】
方向変化部分(18)と向き変化部分(20)が、前記ジョー(8)または前記ジョー(9)のそれぞれに同じ向き変化をさせることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【請求項12】
前記第2のジョー(9)を設けられた前記第2のロッド(3)が、前記第2のロッド(3)の長手方向軸線(15)をとり前記旋回面と一致する作業面に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の整復鉗子(1)。
【請求項13】
接続片(21、22)が、前記旋回面に対して交差する方向に向きを付けられていることを特徴とする、請求項12に記載の整復鉗子(1)。
【請求項14】
前記向き変化部分(20)のうちの2つおよび/または少なくともそれらの間に配置された部分が、前記旋回面に対し平行に延びる前記面に完全に配置されていることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載の整復鉗子(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を画定する旋回接合部(swivel joint)上で互いに旋回または回転可能に支持される第1のロッドと、第2のロッドを備える整復鉗子に関し、第1のロッドは旋回接合部の片側に第1の分岐部などの第1のジョーを備え、第2のロッドは旋回接合部の同じ側に第1のジョーと共働する第2の分岐部などの第2のジョーを備え、前記2つのジョーには骨または骨プレートと接触する接点が画定されている。
【背景技術】
【0002】
従来技術のたとえば米国特許出願公開第2004/0006371号明細書、国際公開第2006/049960号パンフレット、米国特許出願公開第2013/0144313号明細書、米国特許第5,059,198号明細書、独国実用新案第87028131号明細書または同第8612466号明細書が、類似の手術用鉗子を既に開示している。独国特許公報第10196657号明細書は、骨折の両端で下顎骨角度と係合する鉗子を開示しており、前記鉗子は、第1の部材と第2の部材からなり、これらの部材は接合部で合体し、各要素の片側にグリップを含み、前記要素の他方の側には接合部の近位に直線部分と、直線部分の前端から延び、先端部を含む曲線部分を含み、特別な特徴としては、第1の要素の曲線部分が接合部の軸線に平行な方向を指す先端部を有し、第2の要素の曲線部分が先端部と伸長部とを有する。
【0003】
欧州特許第1811909号明細書は、女性患者の子宮疾患を患者の子宮動脈の少なくとも1本を閉塞して治療するための膣内デバイスを開示している。このデバイスは、第1のクランプ部材と、第2のクランプ部材とを備え、第1のクランプ部材は、治療中患者の体外に延び術者が操作するように構成されている近位ハンドル部分と、旋回点を有しその旋回点を中心に平面において回転するように構成されている遠位ハンドル部分とを有する細長いハンドルを有し、さらに、加圧表面を有する遠位先端部を有しかつ加圧表面の近位に組織を受ける凹部を有する、遠位ハンドル部分に固着された開パドル形ジョー、遠位先端の近位に配置され、組織を受ける凹部を部分的に画定している一対の長手方向の面を備え、第1の長手方向面は遠位ハンドル部分と同一線上にあり、第2の長手方向面は前記第1の長手方向面から離間されている。
【0004】
中国実用新案第201806774号明細書も、骨に使用される鉗子を開示している。
【0005】
類似の鉗子が中国実用新案第202515727号明細書にも記載されている。
【0006】
整復鉗子は、独国実用新案第8323877号明細書にも記載されており、前記整復鉗子は2つの鉗子分岐部を備え、これらは固定してセンタリングされているか、または合体してセルフセンタリング鉗子を形成するようにされており、道具を使用しなくても解放されるようにされており、両鉗子分岐部のジョーは、サイズと形状が異なっている。
【0007】
骨プレートと接触する整復鉗子とその使用方法は、国際公開第2010/014719号パンフレットにも記載されている。
【0008】
しかし、これまでに知られている整復鉗子は、骨整復過程の間、多くの位置で骨からかなり離れて突出する。このため軟組織が押し退けられることになり前記軟組織の損傷につながり得る。整復鉗子がより大きいスペースをとれば、より多くの軟組織を骨から剥離および/または除去しなければならない。これにより創傷のサイズが大きくなることになる。加えて、これまでに知られている鉗子の適用性は、位置が異なると制限されるか全く使用できない。
【0009】
言い換えると、これまでに知られている整復鉗子の形状はスペースをとりすぎるので、最小剥離過程の間に軟組織に損傷を与えることになるか、または、それを防止するためにより広範囲の組織を骨から剥離しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術に伴う欠点を回避し、耐久性が高く価格も手ごろで、汎用性があり精密に使用できる整復鉗子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、接点が、旋回接合部を含みかつ回転軸が垂直に延びる共通の旋回面において可動であり、少なくとも1つのジョーまたは分岐部が旋回面に対し平行に延びる面、たとえば平行面の方向に部分的に変位することで、達成される。
【0012】
そのような整復鉗子は、骨の曲線に、より良好に適合する。この改良された適合性は、鉗子において角度を変化させても達成される。
【0013】
したがって、2回以上角度をつけた鉗子の下側ジョーが提供される。基本的には、下側ジョーはおよそ90°偏位しており、この90°の偏位が接続片を通じて2面に渡る。
【0014】
好適な実施形態がサブクレーム中に主張され、以下に詳述される。
【0015】
たとえば、2つのジョーのうち1つだけが旋回面に対し平行に延びる面、つまり平行面の方向に向きを付けられていると好適である。その場合は2つのジョーのうちの他方、たとえば第2のジョーを有する第2のロッドは、直線構成にされるか、または少なくとも第2のロッドおよび/または第2のジョーの長手方向軸線をとり、かつ旋回面と一致し得る作業面に配置される。そうすれば、そのような整復鉗子の片方は特に費用対効果よく製造される。
【0016】
当然ながら、両方のジョーが旋回面から離れ、旋回面に戻ってもよい。
【0017】
好ましい直線部分が旋回面に対し平行な面に延びるように配置するのも好適である。その場合、直線部分は、各ジョー、たとえば第1のジョーの構成部である。
【0018】
端部分、つまり2つのジョーの自由端の部分が互いに対し平行に向けられ、互いに上下に揃えられていると、好適であり得る。
【0019】
好適な実施形態はまた、第1のジョーが下側分岐部として、第2のジョーが上側分岐部としてそれぞれ構成され、旋回面では下側分岐部の自由端が上側分岐部の下に配置されていることも特徴とする。そうすれば、より容易に上述したように揃えることができる。
【0020】
第2のジョーが完全にまたは少なくとも主として旋回面に配置されている場合、トルクの発生が大幅に防止される。
【0021】
加えて、第2のジョーが、旋回面において旋回接合部と第2のジョーの自由端との間で1つ、2つまたは3つ以上の方向変化部分を含むと好適である。そうすれば、方向変化部分は特定の面でジョーの向きを変え、治療する骨、たとえばヒトの指骨の効果的な把持および/または後ろ側の係合が可能になる。
【0022】
骨に対し整復鉗子が平行方向である場合に個々のジョー構成要素が骨に沿ってそこから最低限の距離で案内されることができるように、方向変化部分で第2のジョーが方向の変化、およそ75°からおよそ115°、好ましくはおよそ85°、およそ90°またはおよそ95°の曲げまたは急な曲げを示すと好適である。
【0023】
方向変化部分が、切粉取り(chip removing)過程、たとえばミリングにより、または曲げ過程により、作製されるとき、製造が簡易化され得る。ここではミリングの変形が特に好ましい。
【0024】
骨からの組織剥離は、第1のジョーおよび/または第2のジョーを旋回接合部から各自由端まで連続的もしくは非連続的に部分的/段階的に細くすれば、非常に小さい面積に限定することができる。
【0025】
第1のジョーが、旋回面に対し平行に延びる面において旋回接合部と第1のジョーの自由端との間に1つ、2つまたは3つ以上の向き変化部分を含む場合、骨を治療する指は低侵襲手術で済む。剥離を行う部分の面積は小さいままである。
【0026】
第1のジョーの向き変化部分が、方向の変化、およそ75°からおよそ115°、好ましくはおよそ85°、およそ90°またはおよそ95°の曲げまたは急な曲げを示すと好適である。
【0027】
この場合、方向変化部分と向き変化部分が、各ジョーに同じ向き変化/方向変化/偏向をさせると好適である。最終分析では、2つのジョーは少なくともある部分において対称的かまたは同一であるように構成され得る。
【0028】
好適な実施形態はまた、第1のジョーが端の近位の接続片および/または旋回接合部の近位の接続片を含むことも特徴とする。そうすれば2つの接続片は旋回面を平行面に接続する。
【0029】
この点において、接続片が旋回面に対して交差する方向に向きを付けられていること、好ましくは旋回面に対してほぼ直交する方向かまたはおよそ45°の角度が好適である。ここでは、端の近位の接続片がもっとも近くのジョー部分に対し90°の角度を示し、かつ旋回接合部の近位の接続片がそのもっとも近くのジョー部分に対しおよそ45°の角度を示すと好適である。
【0030】
2つの向き変化部分および/または少なくともその間に配置される部分が、旋回面に対し平行な面、つまり平行面に完全に配置される場合、製造が簡易化され得る。
【0031】
加えて、端の近位に配置される接続片の端側に、好ましくは2つのジョーに共通の旋回面に完全に配置される端部が続くと好適である。
【0032】
第1のジョーおよび/または第2のジョーに、各々のジョーから該ジョーに対し直交して突出しかつ各他方のジョーに対し方向づけられ/向きを付けられた少なくとも1つの保持要素が設けられると好適である。
【0033】
上記の概念をさらに発展させて、ジョー、たとえば第1のジョーに、旋回接合部から見たとき旋回面に2つの連続する保持要素が配置されると好適である。
【0034】
保持要素は、ペグ、棘、ピンまたはスタッドとして構成され得、好ましくは少なくともその自由端が円錐形であり得る。
【0035】
整復鉗子に上側に2本、下側に2本の4本のピンが据え付けられている場合、整復鉗子を骨に、より良好に係留することが確実になる。ピンが、特に抵抗を克服する必要なしに骨に貫通させるように構成されている場合、係留はさらに良好なものになる。整復鉗子は骨から滑って外れることがなく、骨の、より安定な位置が確保される。
【0036】
第1のロッドが旋回接合部の部分で第2のロッドと隣り合わせに配置される、つまり2本のロッドが互いに平行な別々の面に配置されるか、または2本のロッドがボックスロックを介して互いに接触していると好適である。ボックスロックは、片方のロッドの両側が他方のロッドのサブエリアで囲まれる、つまり他方のロッドに貫通されるタイプの接続部である。
【0037】
第1のジョーが、1か所または2か所の向き変化/曲げを示すか、または1か所の方向変化を示すか、または互いに直交する少なくとも2つの向き変化軸線/曲げ軸線の周りで曲げられていると好適である。
【0038】
この点において、2つの向き変化軸線/曲げ軸線が延びる面が、治療対象の骨の長手方向に対して交差する方向に測定した該骨の幅の3分の1から3分の2、好ましくは2分の1にほぼ相当する距離だけ離間していると好適である。
【0039】
旋回接合部が、回転軸を画定するピン、ジャーナルまたはねじなどの筒形の支持リング要素を備えると好都合である。
【0040】
たとえば、キャッチ機構やロック機構を有する既知のハンドル部分は、第1のロッドおよび/または第2のロッドが、旋回接合部とジョーの自由端との間に溶接シームを示すと好適である。溶接シームは、ジョーと反対方向の旋回接合部側にも設けられ得る。溶接シームは、MIG、MAGまたはWIG加工により生成されたものでよい。
【0041】
耐久性については、第1のジョーが一体成形の構成要素として構成されていると好適である。
【0042】
この場合、第2のジョーが一体成形の構成要素として構成されているのも好適である。これらの2つのサブ形態は、製造過程を簡略化にもする。
【0043】
回転軸から各ジョー自由端までのジョーの長さと、保持要素(単数または複数)の長さが、4mmから14mmの太さの円筒を把持するようにされていると、骨整復に有効であり得る。
【0044】
骨保持の信頼性は、2つのジョーの端を、骨を4点支持して保持するように構成することで向上し得る。
【0045】
第1のジョーまたは第2のジョーが、3次元的に連続的な曲げを示すことなく一連の異なる直線部分で構成されていることが好適であることに言及しておく。本発明は、本発明による整復鉗子を用いて骨、たとえば指骨および/または骨接続プレートに接触する方法にも関する。この方法は、術前計画に取って代わり得る。前側−後側ならびに側方の光線経路で、たとえば治療対象の手の中間位置の標準的な像を撮影するのに加えて、関節内骨折の場合はさらなる診断のため高解像度のコンピュータトモグラフィーが実施され得る。
【0046】
患者に手術台上で仰臥位をとらせる。手術する方の手を、前腕回内位置で側方の手の手術台に載せる。側方からのアクセスが可能になる。MCP関節のレベルを始点としPIP関節まで側方直線切開により切開する。
【0047】
前述および後述のステップと同じくまさにこの時系列で行われる次のステップでは、骨折の提示が可能になる。皮膚切開後、まずは橈骨神経、尺骨神経および正中神経の場所を確認する。斜めに走る側副靭帯の線維を2本のレトラクタで引く。骨膜は骨折に直接隣接したところだけ剥離するので、傷跡形成、靭帯癒着および骨片の脈管遮断が回避できる。
【0048】
次に行うステップは、骨折の整復である。術者の外科医が手で整復するのに加えて、Linosシステムと組み合わせて小型バックハウス鉗子が使用され得るか、または指骨折専用に開発された整復鉗子が使用され得る。その場合に整復鉗子は多くの利点をすべて示す。
【0049】
続いて、骨接合プレートを選択してから留置を行う。一例として、本発明の適応での治療は、0.8mmのTプレートを用いて実施される。骨接合プレートは常に骨折の経過と患者の解剖学的構造により選択される。必要に応じて、2つのプレート曲げ鉗子を用いて骨接合プレートを解剖学的状況に適合させる。各プレート曲げ鉗子は専用の整復鉗子サブタイプ、すなわち上側ジョー/上側分岐部に保持要素として働く1本のピンがついた鉗子であり、前記ピンはプレートの穴の内側の輪郭に合わせてある。
【0050】
プレートは0.9mmのKワイヤで一時的に固定され得る。そのためにKワイヤ専用の穴が設けられている。代わりにLinosプレート保持鉗子も使用できる。
【0051】
次に実施するステップでは、第1のコア穴が開けられる。骨折の間隙を確実に閉じるため、圧迫穴が使用できるようなねじインプラントの順序を選択することが推奨される。したがって、まずは細長い穴から離れた穴にねじを挿入する。そうするためには最初にドリルガイドと適切なコア穴ドリルによりコア穴を開ける。Linosシステムでは全プレート穴に1.5mm、2mm、2.3mmの直径の標準的な多方向固定の「スマート打込みねじ」が使用可能である。
【0052】
次にねじの長さを決定する。1.5mm、2mm、2.3mmの直径のすべての症例に使用可能なデプスゲージを用いて正しいねじの長さを決定する。ここではねじの直径にカラーコードが適用される。この後第1のねじを取り付ける。プレートはまずは、2.0mmの標準「スマート打込みねじ」で固定される。そうするために、ねじを選び、直径1.5mm、2mm、2.3mm用の対応するカラーコード付きのねじ回しで挿入する。次に、上述の技法により第2のねじを取り付ける。所望により、多方向固定ねじを使用して安定性を強化できる。プレートが正しく留置されたかどうかをX線検査で確認する。引き続いて、圧迫ねじを取り付ける。第1のねじのインプラントが成功したら、次に骨折の間隙をしっかりと閉鎖するために圧迫ねじを細長い穴に導入する。直径1.5mm、2mm、2.3mmの標準的なねじが使用される。そのためには、ドリルガイドの開放作業端に下から圧迫ドリルスリーブをはめる。すると圧迫ドリルスリーブ上の矢印は穴開け時に骨折を指す。第1のねじと同様にコア穴を開け、ねじの長さを決定する。
【0053】
この後、骨折の間隙が閉じられる。「スマート打込みねじ」は、挿入されるときに細長い穴に一体の傾斜面上を骨折の間隙に向けて滑り、間隙を閉じる。
【0054】
次いで、さらにねじを取り付ける。適切な早期機能安定性を得るために、さらにプレート穴にねじを挿入する。この手順は上記のステップに対応する。ねじの数とねじ径およびタイプの選択は、患者固有の解剖学的構造と必要な安定性による。
【0055】
次に、創傷を閉じなければならない。骨膜をきちんと閉じてから、非吸収性縫合材で皮膚の縫合を行う。
【0056】
この後、後処理が必要となる。手術後、治療した指を包帯で固定して該指にかかる横力を中和する。
【0057】
通常、患者はフォローアップ診断のため5日後と10日後に来院する。
【0058】
手術の直後から患者は機能的な運動を開始してよい。
【0059】
軟部組織の炎症が起きたり、関節や指の可動性が損なわれたりするような場合は特に、金属を除去するのが推奨される。
【0060】
ピンや棘などの保持要素は、別の状況では一体であるジョーに、別個の構成要素として、たとえばジョーの穴にプレス嵌めで挿入してもよい。
【0061】
接合部により互いに旋回可能に接続された2本の脚を備え、各脚のジョーでそれぞれの加力点が画定でき、前記加力点には、剛体力学の観点からは特に、物体が整復鉗子により把持されたときに、対象の物体に脚から働くすべての力の効果に対応する効果を有する単一の合力がかかり、2本の脚の2つの合力は同じ大きさである、整復鉗子が提供されることになるが、ここで各加力点は接合部から異なる距離だけ離れて配置されており、前記脚のうち少なくとも1本が、少なくとも部分的に、接合部と加力点により画定される面に対して交差する方向に延びている。
【0062】
以下、第1の実施形態を示す図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】第1の実施形態による整復鉗子の側面図を示す。
図2図1による整復鉗子を下から見た図を示す。
図3図1による整復鉗子を上から見た図を示す。
図4図1による整復鉗子の正面図を示す。
図5図4による閉じた整復鉗子の拡大詳細部V部分の正面図を示す。
図6図1によるVI部分の拡大図を示す。
図7】閉じた整復鉗子を示す図1のVII部分の拡大図を示す。
図8】閉じた位置と交差する開いた位置の、図1から図7による整復鉗子を示す。
図9】第1のジョー(下側分岐部/下側ジョー)の側面図を示す。
図10図9による第1のジョーの上面図を示す。
図11図9および図10による第1のジョーの正面図を示す。
図12図9から図11による第1のジョーの背面図を示す。
図13】第2のジョー(上側ジョー/上側分岐部)の側面図を示す。
図14図13による第2のジョーの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図面は単に概略的なものであり、単に本発明をわかりやすくするだけである。同じ要素には同じ参照番号を付す。不可欠な部品として表されていないものは単なるオプションなので、交換可能である。
【0065】
図1は、第1の実施形態による整復鉗子1を示す。整復鉗子1は、第1のロッド2と、第2のロッド3とを備える。第1のロッド2は旋回接合部4で第2のロッド3と接続される。旋回接合部4は、スイベル、旋回ベアリングまたは旋回ジョイントとも呼ばれ得る。旋回接合部4は、ロッド2とロッド3に対し垂直に貫通して突出し、スタッドにより画定される回転軸5を備える。第1のロッド2は一端に術者の指が入るハンドル6を有し、第2のロッド3も同じ側に術者の別の指が入るハンドル7を有する。
【0066】
第1のロッド2は、その他端、つまりハンドル6と反対側の端に第1のジョー8を有する。第2のロッド3は、回転軸5の同じ側に第2のジョー9を有する。ジョー8とジョー9の旋回接合部側の端には、ここでは示していない溶接シームを受ける切欠10が設けられる。切欠10を図7に特に明白に示す。
【0067】
もう一度図1を参照し、第1のジョー8は下側ジョー、つまり下側分岐部を画定することを説明しなければならない。第2のジョー9は、上側分岐部、つまり上側ジョーを画定する。ハンドル6に突起11が設けられているのが明らかであるが、該突起11は、デテント/ロック/キャッチ機構12と機能的に接触するようにされている。
【0068】
図3は、ジョー8とジョー9の自由端近傍の接点13、つまり保持要素14の先端部により生成される接点13が、回転軸5により画定される旋回点が配置された共通の旋回面において可動であることを明らかに示し、回転軸5はこの画定された旋回面において垂直に延びている。また、第2のロッド3の長手方向軸線も画定している整復鉗子1の長手方向軸線15が、前記旋回面に埋め込まれている。
【0069】
直線部分16が、旋回面に平行に延びる面、つまり平行面に完全に埋め込まれている。これらの2つの面は、互いに6mmから10mm、好ましくは7.5mmの距離だけ離間している。
【0070】
図2および図3には、ロッド2とロッド3を接続するボックスロック17が示されている。整復鉗子1全体の長さは140mmから145mmである。
【0071】
第1のジョー8は、旋回面から平行面に移動して旋回面に戻る。接点13は、ほぼ上下構成にされるか、または少なくとも同じ旋回面に配置される。
【0072】
保持要素14は、棘として構成される。このことは、図5図6でも明らかに示されている。
【0073】
保持要素14は、ジョー8とジョー9それぞれにプレス嵌め、および/または溶接され得る。ジョー8およびジョー9は、焼き入れされ、好ましくは46±2HRCで焼き入れされる。図8は、整復鉗子1で把持されるようにされた、だいたい2.5倍の大きさの円筒の中心が、回転軸5から10%だけ離れて移動するのをはっきりと示す。ロッド3は、鉗子が閉じられるとき位置3’に移動する。第2のジョー9は、下側での測定でおよそ89°、上側での測定でおよそ98°の2つの方向角度の変化を方向変化部分18の箇所で示す。さらに下方のより遠位に配置された第2の方向変化部分18は、およそ90°の角度を示し、内半径がおよそ2mm、外半径がおよそ5mmである。非曲線の直線部19がそれらの間に延びる。
【0074】
第1のジョー8は、2つの向き変化部分20を示す。直線部分16はそれらの間で平行面に配置される。旋回接合部の近位の接続片21が、旋回接合部のより近位である向き変化部分20の旋回接合部側に続く。
【0075】
2つの向き変化部分20のうち、より端の近位の方の向き変化部分20には、端の近位の接続片22が続く。当業者であれば、図9図10を合わせて考え、さらに図11図12も補助として加えると、3次元の像が浮かぶ。
【0076】
端の近位の接続片22には、端部23が続く。図10から、接続部分において、旋回接合部の近位の接続片21とそこに延びている脚部分との間にそれぞれおよそ135°、およそ125°の角度が画定されていることが容易に想像できる。
【0077】
図13図14は、縮小径部分24が設けられている第2のジョー9をより詳細に示している。保持要素14は、図9から図14による図には含まれていない。
【符号の説明】
【0078】
1…整復鉗子、2…第1のロッド、3…第2のロッド、4…旋回接合部、5…回転軸、6…ハンドル、7…ハンドル、8…第1のジョー、9…第2のジョー、10…切欠、11…突起、12…キャッチ機構、13…接点、14…保持要素、15…長手方向軸線、16…直線部分、17…ボックスロック、18…方向変化部分、19…直線部、20…向き変化部分、21…旋回接合部の近位の接続片、22…端の近位の接続片、23…端部、24…縮小径部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14