(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透析器に透析液を供給する透析液供給通路と、透析器から透析液を回収する透析液回収通路と、上記透析液供給通路に直列に設けられるとともに、透析液を中空糸膜の一次側から二次側へと流通させて浄化する気体不透過性の第1浄化フィルタおよびその下流側に設けた第2浄化フィルタと、上記第1浄化フィルタの一次側と上記透析液回収通路とを連通させる第1分岐通路と、上記第2浄化フィルタの一次側と上記透析液回収通路とを連通させる第2分岐通路と、上記透析液供給通路に接続されて他端が大気開放可能に設けられた大気開放通路とを備えた血液透析装置において、
上記大気開放通路を、上記透析液供給通路における上記第2浄化フィルタの下流側に設け、さらに一端が第1浄化フィルタと第2浄化フィルタとの間に接続され、他端が第2浄化フィルタの下流側の透析液供給通路に接続されたバイパス通路を設けるとともに、上記透析液回収通路内の圧力を検出する圧力検出手段と、上記各通路における流体の流通状態を制御する制御手段とを備え、
上記透析液供給通路と透析液回収通路とを上記透析器を介さずに直接的に接続した透析治療の準備状態において、
上記制御手段は、上記透析液供給通路から上記第2浄化フィルタの一次側への液体の供給を停止するとともに上記大気開放通路を大気開放した状態で、上記第2分岐通路を介して、もしくは上流側の透析液供給通路から上記第1浄化フィルタおよび第1分岐通路を介して、上記第2浄化フィルタの一次側から透析液回収通路に液体を回収させて、その際の透析液回収通路内の圧力を検出して第2浄化フィルタのリークチェックを行い、
続いて、上記大気開放通路を大気開放するとともに上記バイパス通路を開放した状態で、上記第1分岐通路を介して第1浄化フィルタの一次側から透析液回収通路に液体を回収させて、その際の透析液回収通路内の圧力を検出して第1浄化フィルタのリークチェックを行い、
次に、上記透析液供給通路から第1浄化フィルタの一次側に液体を供給するとともに、上記第1分岐通路を介して第1浄化フィルタの一次側から透析液回収通路に液体を回収させて第1浄化フィルタのフラッシングを行い、
その後、上記第1分岐通路を閉鎖して、第1浄化フィルタの一次側から二次側に液体を流通させて第1浄化フィルタの空気抜きを行うとともに、上記透析液供給通路から第2浄化フィルタの一次側に液体を供給して、上記第2分岐通路を介して第2浄化フィルタの一次側から透析液回収通路に液体を回収させて第2浄化フィルタのフラッシングを行い、
続いて、上記第2分岐通路を閉鎖して、第2浄化フィルタの一次側から二次側に液体を流通させて第2浄化フィルタの空気抜きを行う準備動作を実行させることを特徴とする血液透析装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、
図1は血液透析を行うための血液透析装置1の回路図を示している。
本実施例の血液透析装置1は、血液透析を行う透析器2と、当該透析器2に接続された血液回路3と、上記透析器2に接続された透析液回路4とを備え、図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
なお
図1は透析治療を行う前の準備状態を示し、上記透析液回路4は透析器2に接続されておらず、その端部同士が相互に接続されて閉回路を形成している。
上記血液回路3は、透析器2に接続された動脈側通路11と静脈側通路12とから構成され、動脈側通路11には血液を送液する血液ポンプ13が設けられている。
【0010】
上記透析液回路4は、透析液を給排する同形の第1透析液チャンバ21および第2透析液チャンバ22と、上記第1、第2透析液チャンバ21、22に新鮮な透析液を給液する給液通路23と、第1、第2透析液チャンバ21、22から新鮮な透析液を透析器2に供給する透析液供給通路24と、透析器2を通過した使用済み透析液を第1、第2透析液チャンバ21、22に回収する透析液回収通路25と、第1、第2透析液チャンバ21、22から使用済みの透析液を排液する排液通路26とを備えている。
上記給液通路23の下流端は第1、第2透析液チャンバ21、22に向けて分岐するとともに、その分岐部分にはそれぞれ制御手段によって開閉される給液弁V1、V2が設けられている。
上記透析液供給通路24の上流端は第1、第2透析液チャンバ21、22に向けて分岐するとともに、分岐部分にはそれぞれ制御手段によって開閉される供給弁V3,V4が設けられている。
上記透析液回収通路25の下流端は第1、第2透析液チャンバ21、22に向けて分岐するとともに、分岐部分にはそれぞれ制御手段によって開閉される回収弁V5、V6が設けられている。
上記排液通路26の上流端は第1、第2透析液チャンバ21、22に向けて分岐するとともに、分岐部分にはそれぞれ制御手段によって開閉される排液弁V7、V8が設けられている。
また上記透析液供給通路24の下流端および透析液回収通路25の上流端にはそれぞれ上記透析器2に接続可能なカプラ24aおよびカプラ25aが設けられている。
ただし、
図1に示す血液透析の準備状態においては、これらカプラ24a、25aは上記透析器2より取り外されるとともに相互に連結されており、これにより上記透析液供給通路24と透析液回収通路25とが閉回路を形成している。
【0011】
第1透析液チャンバ21および第2透析液チャンバ22の内部は2枚のダイアフラムによって区画され、新鮮な透析液が収容される供給室21a,22aと、使用済み透析液が収容される回収室21b、22bと、これらの間に形成された中間室21c、22cとが形成されている。
上記供給室21a,22aには、それぞれ途中で分岐した上記給液通路23および上記透析液供給通路24が接続され、また上記回収室21b、22bには、それぞれ途中で分岐した上記透析液回収通路25および上記排液通路26が接続されている。
上記中間室21c、22cの内部にはシリコーンオイルが充満しており、第1、第2透析液チャンバ21、22には各中間室21c、22cにシリコーンオイルを供給して容積を増減させる、上記制御手段によって制御されるシリコーンオイルポンプ27,28が接続されている。
【0012】
上記給液通路23には、図示しない透析液供給装置から供給された新鮮な透析液を送液する給液ポンプ29が設けられ、当該給液ポンプ29の上流側には制御手段によって開閉される第1開閉弁V11が設けられている。
上記透析液供給通路24には、その上流側から順に、透析液中の細菌やエンドトキシンを捕捉して透析液を浄化する第1浄化フィルタ31および第2浄化フィルタ32と、制御手段によって開閉される第2開閉弁V12とが設けられている。
上記第1、第2浄化フィルタ31、32は同形の物を使用することができ、それぞれ多数の中空糸膜Fと、これら中空糸膜Fを収容するハウジングとから構成され、上記中空糸膜Fは液体を透過させるものの空気は透過させない、気体不透過性を有している。
第1浄化フィルタ31について説明すると、その内部には、上記中空糸膜Fの外側とハウジングとによって形成されて透析液供給通路24の上流側に連通する一次側31aと、中空糸膜Fの内側に形成されて透析液供給通路24の下流側に連通する二次側31bとが形成されている。
透析治療中、上記透析液供給通路24を流通した透析液が第1、第2浄化フィルタ31、32の一次側31a、32aに流入すると、当該透析液は上記中空糸膜Fを一次側31a、32aから二次側31b、32bへと通過し、その際透析液に含まれる細菌やエンドトキシンが中空糸膜Fに捕捉されるようになっている。
以下の説明において、
図2(a)に示す一次側31aから二次側31bへの透析液の流れが順濾過方向となり、(b)に示す二次側31bから一次側31aへの透析液の流れを逆濾過方向となる。なお、中空糸膜Fの内側を一次側、外側を二次側として使用することも可能である。
【0013】
上記透析液回収通路25には、上記カプラ25aの下流側に、制御手段によって開閉される第3開閉弁V13と、透析液回収通路25の内部の圧力を測定する圧力検出手段としての圧力計33と、透析器2から使用済み透析液を送液する回収ポンプ34と、除気槽35とが設けられている。
そして上記排液通路26には、上記分岐部分よりも下流側に第4開閉弁V14が設けられている。
【0014】
さらに本実施例の透析液回路4には、以下の第1〜第4分岐通路41〜44が設けられている。
第1分岐通路41は、上記第1浄化フィルタ31の一次側31aから液体を流出させる一次側流出通路として設けられたものであり、透析液供給通路24に設けた上記第1浄化フィルタ31の一次側31aと、上記透析液回収通路25における上記圧力計33よりも上流側の部分とを連通させるように設けられ、途中には制御手段によって開閉される第5開閉弁V15が設けられている。
第2分岐通路42は、上記第2浄化フィルタ32の一次側32aから液体を流出させる一次側流出通路として設けられたものであり、透析液供給通路24に設けた上記第2浄化フィルタ32の一次側32aと、上記透析液回収通路25における上記第1分岐通路41の接続部分よりも上流側の部分とを連通させるように設けられ、途中には制御手段によって開閉される第6開閉弁V16が設けられている。
第3分岐通路43は大気開放通路として設けられ、透析液供給通路24に設けた上記第1浄化フィルタ31と第2浄化フィルタ32との間に接続されており、他端が大気開放されている。
そしてこの第3分岐通路43には、大気開放側から順に、空気を清浄化する空気フィルタ45と、大気開放側への液体や空気の逆流を防止する逆止弁46と、制御手段によって開閉される第7開閉弁V17とが設けられている。
第4分岐通路44は、透析液回収通路25に設けた除気槽35と、上記排液通路26における第4開閉弁V14よりも上流側の部分とを連通させる排出通路として設けられ、途中には制御手段によって開閉される第8開閉弁V18が設けられている。
上記制御手段は、これら分岐通路を含む各通路を流通する流体の流通状態を制御している。
【0015】
以下
図1および
図3〜
図5を用いて、上記構成を有する血液透析装置1の操作方法、具体的には透析治療を行う前の準備動作のうち、上記第1、第2浄化フィルタ31、32のリークチェック、フラッシング、空気抜きについての手順を説明する。
これらの動作は、血液透析装置1の起動テストの際に一連の動作として連続的に行われ、その際上記透析液供給通路24および透析液回収通路25は透析器2を介さず、上記カプラ24a、25aによって直接的に接続されており、かつ透析液回路4は液体としての透析液で満たされている。
また各図において、各開閉弁に付した丸の色は当該開閉弁の開閉状態を示しており、白色のものは開放状態を、黒色のものは閉鎖状態をそれぞれ示すものとする。
【0016】
図1は上記第1浄化フィルタ31のリークチェック工程を説明する図となっており、本工程では、上記透析液供給通路24より第1浄化フィルタ31の一次側31aへの透析液の供給を停止するとともに上記第3分岐通路43を大気開放した状態から、上記第1分岐通路41を介して第1の浄化フィルタの一次側31aから透析液を透析液回収通路24に回収し、一次側31aを陰圧とし、その際の透析液回収通路24内の圧力から中空糸膜Fの漏れを判定するようになっている。
具体的には、制御手段は給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を閉鎖し、また給液通路23の給液ポンプ29および透析液回収通路25の回収ポンプ34を停止させている。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を閉鎖するとともに、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を開放し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を閉鎖し、第3分岐通路43の第7開閉弁V17を開放し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を閉鎖する。
【0017】
この状態から上記制御手段は、第1透析液チャンバ21について、透析液回収通路25の回収弁V5を閉鎖するとともに、排液通路26の排液弁V7を開放し、さらに上記シリコーンオイルポンプ27によって中間室21cの容積を増大させる。
これにより、第1透析液チャンバ21の供給室21aは給液弁V1および供給弁V3が閉鎖されていることから、中間室21cの容積が増大した分だけ、回収室21bの透析液が排液通路26より排出されることとなる。
一方制御手段は、第2透析液チャンバ22について、透析液回収通路25の回収弁V6を開放するとともに、排液通路26の排液弁V8を閉鎖し、さらに上記シリコーンオイルポンプ28によって中間室22cの容積を減少させる。
これにより、第2透析液チャンバ22の供給室22aは給液弁V2および供給弁V4が閉鎖されているため、中間室22cの容積が減少した分だけ、透析液回収通路25の透析液が回収室22bに吸引されることとなる。
その後、制御手段は透析液回収通路25の回収弁V5、V6と排液通路26の排液弁V7、V8とを交互に開閉し、またシリコーンオイルポンプ27,28により中間室21c、22cの容積を交互に増減させる。
これにより、透析液回収通路25の透析液が第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bへと交互に吸引され、その後当該透析液が排液通路26より排出されることとなる。
つまり、上記第1、第2透析液チャンバ21、22と、中間室21c、22cの容積を増減させる上記シリコーンオイルポンプ27,28とによって、透析液を吸引する吸引手段が構成されている。
【0018】
上記第3分岐通路43の第7開閉弁V17が開放されて大気開放されていることから、第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bに透析液が吸引されると、当該第1分岐通路41を介して連通する第1浄化フィルタ31の一次側31aの透析液が回収される。
当該第1浄化フィルタ31の内部では、陰圧となった一次側31aに二次側31bの透析液が流入するとともに、二次側31bには空気が流入し、逆濾過が発生する。
その後、二次側31bの透析液が一次側31aに通過してしまうと、上記中空糸膜Fは空気を通さないことから、さらに吸引されることで中空糸膜Fの一次側31aが陰圧となる。
制御手段は、上記圧力計33によって透析液回収通路25内の圧力を所定時間測定し、上記一次側31aが所定の陰圧で当該所定時間維持されるか否かを測定し、所定陰圧が所定時間持続された場合には、制御手段は上記第1浄化フィルタ31にリークがないと判断し、所定陰圧に対し圧力が高くなる場合には、制御手段は中空糸膜Fより空気が流入したものとして第1浄化フィルタ31に漏れがあるものと判断する。
【0019】
図3は、第1浄化フィルタ31のフラッシング工程を説明する図であり、透析治療の際に第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fに捕捉された細菌やエンドトキシンを除去するものとなっている。
上記細菌やエンドトキシンの捕捉について説明すると、
図2(a)に示すように、透析治療中において透析液は第1浄化フィルタ31の一次側31aに流入すると中空糸膜Fを通過して二次側31bに流通し、この順濾過により透析液内の細菌やエンドトキシンがこの中空糸膜Fによって捕捉される。
これに対し、上記第1浄化フィルタ31のリークチェック工程では、
図2(b)に示すように、透析液が上記第1浄化フィルタ31の二次側31bから一次側31aに流入して逆濾過方向に流通するため、中空糸膜Fにおける一次側31aの表面に付着していた細菌やエンドトキシンを離脱させることができる。
しかしながら、
図2(b)の状態から、そのまま透析液を順濾過方向に流通させてしまうと、(a)に示すように離脱させた細菌やエンドトキシンが再び中空糸膜Fに捕捉されてしまい、第1浄化フィルタ31が細菌やエンドトキシンによって目詰まりして濾過効率が低下するという問題があった。
【0020】
そこで本工程では、上記逆濾過が生じるリークチェック工程の次に、上記透析液供給通路24より第1浄化フィルタ31の一次側31aに透析液を供給するとともに、上記第1分岐通路41により一次側31aから透析液を透析液回収通路25へと回収させることで、第1浄化フィルタ31を洗い流して洗浄する第1浄化フィルタ31のフラッシング工程を行うようになっている。
具体的には、上記制御手段が給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を開放し、回収室21b、22bに接続された透析液回収通路25の2つの回収弁V5、V6および、排液通路26の2つの排液弁V7、V8を閉鎖する。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11を開放し、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を閉鎖し、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を開放し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16および第3分岐通路43の第7開閉弁V17を閉鎖し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を開放する。
【0021】
この状態から、制御手段は上記給液通路23に設けた給液ポンプ29を作動させて、上記給液通路23を介して第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aに透析液を供給する。
ここで、第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bは、上記回収弁V5、V6および排液弁V7、V8が閉鎖されて容積の変動ができないため、供給室21a,22aに供給された透析液はそのまま開放されている供給弁V3,V4を介して透析液供給通路24へと排出される。
そのため、第1浄化フィルタ31の一次側31aに流入した透析液は、回収ポンプ34の作動により上記第1分岐通路41を介して透析液回収通路25へと回収され、さらに上記除気槽35に流入した後、上記第4分岐通路44を介して排液通路26から排出されることとなる。
そして、その際、排液通路26から排出される透析液と共に、上記第1浄化フィルタ31のリークチェック工程において第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fより離脱した細菌やエンドトキシンを排液通路26から排出することができる。
【0022】
図4は上記第2浄化フィルタ32のリークチェック工程を説明する図となっており、上記透析液供給通路24から第2浄化フィルタ32の一次側32aへの透析液の供給を停止するとともに上記第3分岐通路43を大気開放した状態で、上記透析液回収通路25に接続させた第2浄化フィルタ32より下流側の透析液供給通路24を介して二次側32bから透析液を透析液回収通路25に回収させて、二次側32bを陰圧とし、その際の圧力を検出して中空糸膜Fの漏れを判定するようになっている。
具体的には、制御手段は給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を閉鎖し、また給液通路23の給液ポンプ29を停止させる。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11を閉鎖し、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を閉鎖し、第3分岐通路43の第7開閉弁V17を開放し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を閉鎖する。
【0023】
この状態から、制御手段は
図1における第1浄化フィルタ31のリークチェック工程と同様、上記回収弁V5、V6および排液弁V7、V8を交互に開放し、上記シリコーンオイルポンプ27,28によって中間室21c、22cの容積を増減させて、透析液回収通路25の透析液を連続的に回収室21b、22bへと吸引し、これを排液通路26より排出する。
これにより、第2浄化フィルタ32の二次側32bからは上記カプラ24a、25aを介して透析液供給通路24から透析液回収通路25へと透析液が回収されるが、上記第1、第2透析液チャンバ21、22の供給弁V3,V4が閉鎖されているため、これ以上一次側32aへの透析液の供給は行われない。
一方、一次側32aの上流側に位置する上記第3分岐通路43が大気開放されていることから、第2浄化フィルタ32の一次側32aに空気が流入し、その後空気は中空糸膜Fを通過することができないことから、大気解放されている一次側32aに対して二次側32bが陰圧となる。
この状態において、制御手段は上記圧力計33によって透析液回収通路25の圧力を所定時間測定し、上記一次側32aの所定陰圧が当該所定時間維持されるか否かを測定して、第2浄化フィルタ32からの空気の漏れの有無を判断する。
【0024】
図5は、第1浄化フィルタ31の空気抜き工程と、第2浄化フィルタ32のフラッシング工程とを示している。
まず第1浄化フィルタ31の空気抜き工程は、上記透析液供給通路24から第1浄化フィルタ31の一次側31aに透析液を供給するとともに、上記第1分岐通路41を閉鎖して、一次側31aから二次側31bに透析液を流通させるようになっている。
また第2浄化フィルタ32のフラッシング工程は、上記透析液供給通路24から第2浄化フィルタ32の一次側32aに透析液を供給するとともに、上記第2分岐通路42を開放して、一次側32aに透析液を流通させるようになっている。
具体的には、制御手段は給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を開放し、回収室21b、22bに接続された透析液回収通路25の2つの回収弁V5、V6および、排液通路26の2つの排液弁V7、V8を閉鎖する。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11を開放し、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を閉鎖し、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を閉鎖し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を開放し、第3分岐通路43の第7開閉弁V17を閉鎖し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を開放する。
【0025】
この状態において、制御手段は上記給液通路23に設けた給液ポンプ29を作動させて、透析液を第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aを介して透析液供給通路24に供給する。
このとき、第1分岐通路41の第5開閉弁V15が閉鎖されているため、透析液は第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fを透過して二次側31bへと流通し、これにより当該中空糸膜Fに付着していた空気を除去し、また第1浄化フィルタ31と第2浄化フィルタ32との間における上記第3分岐通路43が接続された部分の空気も除去する。
このようにして、第1浄化フィルタ31を通過した透析液は、その後上記第2浄化フィルタ32の一次側32aに流入して、回収ポンプ34の作動により上記第2分岐通路42より排出され、その際第2浄化フィルタ32内の空気が排除されて、透析液回収通路25および第4分岐通路44を通過して排液通路26から排出される。
これに続いて、
図4で示したように再び第6開閉弁V16を閉鎖するとともに、第2、第3開閉弁V12、V13を開放することで、一次側32aから二次側32bへと透析液を流通させて、第2浄化フィルタ32の空気抜き工程を行う。
【0026】
このように、上記実施例によれば、上記第1浄化フィルタ31のリークチェック工程において第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fに対して逆濾過方向に透析液を流通させて当該中空糸膜Fに付着した細菌やエンドトキシンを離脱させたのち、上記第1浄化フィルタ31のフラッシング工程を行うことで、この細菌やエンドトキシンを第1浄化フィルタ31から効率的に除去することができるとともに、効率的に透析治療前の準備動作を行うことができる。
【0027】
図6〜
図10は第2実施例にかかる血液透析装置1を示し、また当該血液透析装置1における透析治療前における第1、第2浄化フィルタ31、32のリークチェックやフラッシングの各工程を説明する図となっている。なお、以下の説明において、上記第1実施例と同様の構成を有する部分については説明を省略する。
本実施例における大気解放通路としての第3分岐通路43は、上記透析液供給通路24における第2浄化フィルタ32の下流側に位置し、第2浄化フィルタ32と第2開閉弁V12との間に接続されている。
また本実施例には、一端が上記透析液供給通路24における第1浄化フィルタ31と第2浄化フィルタ32との間に接続され、他端が第2浄化フィルタ32と第3分岐通路43との接続部分との間に接続された、第5分岐通路47が配設されており、この第5分岐通路47には制御手段によって開閉される第9開閉弁V19が設けられている。
上記第5分岐通路47は、上記第2浄化フィルタ32を迂回するバイパス通路として設けられている。
【0028】
図6は第2浄化フィルタ32のリークチェック工程を示しており、上記透析液供給通路24から第2浄化フィルタ32の一次側32aへの透析液の供給を停止するとともに上記第3分岐通路43を大気開放した状態で、上記第2分岐通路42を介して透析液を透析液回収通路25に回収し、一次側32aを陰圧とし、その際の圧力を検出して中空糸膜Fの漏れを判定するようになっている。
具体的には、制御手段は給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を閉鎖し、また給液通路23の給液ポンプ29を停止させている。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を閉鎖するとともに、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を閉鎖し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を開放し、第3分岐通路43の第7開閉弁V17を開放し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18、第5分岐通路47の第9開閉弁V19を閉鎖する。
【0029】
この状態において、制御手段は透析液回収通路25の回収弁V5、V6を交互に開閉し、また排液通路26の排液弁V7、V8を交互に開閉し、さらに上記シリコーンオイルポンプ27,28によって中間室21c、22cの容積を増減させて、透析液回収通路25の透析液を回収室21b、22bに吸引する。
これにより、上記第2浄化フィルタ32の一次側32aに接続された第2分岐通路42を介して、一次側32aの透析液が透析液回収通路25に回収される。
その際、上記第3分岐通路43の第7開閉弁V17が開放されて大気開放されていることから、第2浄化フィルタ32の二次側32bに第3分岐通路43を介して空気が流入するが、上記中空糸膜Fは空気を通さないことから、一次側32aは陰圧となり、制御手段は上記圧力計33によって透析液回収通路25の圧力を所定時間測定し、第2浄化フィルタ32の漏れの有無を判断する。
なお、第2分岐通路42を介してではなく、第6開閉弁V16を閉鎖するとともに、第5開閉弁V15を開放して、第1分岐通路41、第1浄化フィルタ31、透析液供給通路24を介して第2浄化フィルタ32の一次側32aから透析液回収通路25に透析液を回収することも可能である。
【0030】
図7は第1浄化フィルタ31のリークチェック工程を説明する図となっており、上記透析液供給通路24より第1浄化フィルタ31の一次側31aへの透析液の供給を停止し、かつ上記第3分岐通路43を大気開放するとともに上記第5分岐通路47を開放した状態で、上記第1分岐通路41を介して一次側31aから透析液を透析液回収通路25へと回収し、一次側31aを陰圧とし、その際の圧力を検出して中空糸膜Fの漏れを判定するようになっている。
具体的には、制御手段は
図6の第2浄化フィルタ32のリークチェック工程に引き続き、第1、第2透析液チャンバ21、22の回収室21b、22bへの透析液の吸引を継続する。
一方制御手段は
図6の状態から、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を開放し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を閉鎖し、かつ第5分岐通路47の第9開閉弁V19を開放した状態とする。
【0031】
これにより、上記第1分岐通路41を介して第1浄化フィルタ31の一次側31aの透析液が回収され、一方で上記第3分岐通路43が大気開放されていることから、空気は上記第5分岐通路47を介して第1浄化フィルタ31の二次側31bに流入する。
上述したように、第1浄化フィルタ31の上記中空糸膜Fは空気を通さないことから、一次側31aが陰圧となり、制御手段は圧力計33によって透析液回収通路25の圧力を所定時間測定し、第1浄化フィルタ31の空気漏れの有無を判断する。
【0032】
図8は、第1浄化フィルタ31のフラッシング工程を示し、上記透析液供給通路24から第1浄化フィルタ31の一次側31aに透析液を供給するとともに、当該一次側31aから上記第1分岐通路41を介して透析液を透析液回収通路25に回収させるようになっている。
具体的には、制御手段は給液通路23の2つの給液弁V1、V2および、透析液供給通路24の2つの供給弁V3,V4を開放し、回収室21b、22bに接続された透析液回収通路25の2つの回収弁V5、V6および、排液通路26の2つの排液弁V7、V8を閉鎖する。
また制御手段は、給液通路23の第1開閉弁V11を開放し、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を閉鎖し、排液通路26の第4開閉弁V14を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を開放し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16および第3分岐通路43の第7開閉弁V17を閉鎖し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を開放し、第5分岐通路47の第9開閉弁V19を閉鎖する。
【0033】
この状態において、制御手段は上記給液通路23に設けた給液ポンプ29を作動させ、透析液を第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aを介して透析液供給通路24へと流通させ、上記第1浄化フィルタ31の一次側31aに流入させる。
その際、第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fにおける一次側31aから離脱した細菌やエンドトキシンは、回収ポンプ34の作動による透析液の流れによって上記第1分岐通路41から透析液回収通路25に回収され、第4分岐通路44を介して排液通路26より排出されることとなる。
【0034】
図9は、第1浄化フィルタ31の空気抜き工程と、第2浄化フィルタ32のフラッシング工程とを説明する図となっている。
まず第1浄化フィルタ31の空気抜き工程では、上記透析液供給通路24から第1浄化フィルタ31の一次側31aに透析液を供給するとともに、上記第1分岐通路41を閉鎖して、一次側31aから二次側31bに透析液を流通させるようになっている。
一方第2浄化フィルタ32のフラッシング工程では、上記透析液供給通路24から第2浄化フィルタ32の一次側32aに透析液を供給するとともに、当該一次側32aから上記第2分岐通路42を介して透析液を透析液回収通路25に回収させるようになっている。
具体的には、制御手段は
図8に示す第1浄化フィルタ31のフラッシング工程に引き続き、上記給液通路23に設けた給液ポンプ29により透析液を第1、第2透析液チャンバ21、22の給液室を介して透析液供給通路24に流通させる。
一方制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15を閉鎖し、第2分岐通路42の第6開閉弁V16を開放し、また透析液回収通路25の回収ポンプ34を作動させる。
【0035】
これにより、透析液は上記第1浄化フィルタ31の一次側31aに流入するが、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15が閉鎖されているため、上記透析液は中空糸膜Fを透過して二次側31bへと流入し、これにより当該第1浄化フィルタ31の中空糸膜Fに付着した空気の除去が行われる。
続いて、第1浄化フィルタ31の二次側31bから透析液供給通路24の下流側に排出された透析液は、第2浄化フィルタ32の一次側32aに流入し、一次側32aを流通して第2分岐通路42を介して透析液回収通路25に回収される。
その際、第2浄化フィルタ32の中空糸膜Fから離脱した細菌やエンドトキシンは、この透析液の流れによって上記第2分岐通路42、透析液回収通路25、第4分岐通路44を介して排液通路26より排出される。
【0036】
図10は第2浄化フィルタ32についての空気抜き工程を説明する図であり、上記透析液供給通路24から第2浄化フィルタ32の一次側32aに透析液を供給するとともに、上記第2分岐通路42、第5分岐通路47を閉鎖して、一次側32aから二次側32bに透析液を流通させるようになっている。
具体的には、制御手段は
図9に示す第2浄化フィルタ32のフラッシング工程の状態から引き続き、上記給液通路23に設けた給液ポンプ29により透析液を第1、第2透析液チャンバ21、22の給液室21a、22aを介して透析液供給通路24に流通させている。
一方制御手段は、透析液供給通路24の第2開閉弁V12、透析液回収通路25の第3開閉弁V13を開放する。
さらに制御手段は、上記第1分岐通路41の第5開閉弁V15、第2分岐通路42の第6開閉弁V16、第3分岐通路43の第7開閉弁V17を閉鎖し、第4分岐通路44の第8開閉弁V18を開放し、第5分岐通路47の第9開閉弁V19を閉鎖した状態で回収ポンプ34を作動させる。
【0037】
これにより、第1、第2透析液チャンバ21、22の供給室21a、22aから透析液が透析液供給通路24から上記第2浄化フィルタ32の一次側32aに流入し、透析液は第2浄化フィルタ32の中空糸膜Fを通過して二次側32bへと流入する。
その際、第2浄化フィルタ32の中空糸膜Fに付着していた空気が除去され、上記透析液と空気とは上記透析液回収通路25および第4分岐通路44を介して排液通路26より排出される。
【0038】
このように、第2実施例の血液透析装置1によれば、上記第1実施例の血液透析装置1に対して、第1、第2浄化フィルタ31、32の双方に対して、リークチェックに伴なう逆濾過ならびにフラッシングを行うことが可能となっており、これら第1、第2浄化フィルタ31、32の目詰まりを効率的に除去して長時間の使用を可能とするものである。
なお、上記各工程で流通させる液体は、透析液に限らず洗浄液や洗浄液を洗い流す浄水であっても良い。