特許第6398231号(P6398231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398231
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器の成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/14 20060101AFI20180920BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20180920BHJP
   B65D 1/22 20060101ALI20180920BHJP
   B29C 69/00 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   B29C43/14
   B65D1/00 120
   B65D1/22
   B29C69/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-44024(P2014-44024)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-168462(P2015-168462A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】鷲崎 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】浅野 穣
(72)【発明者】
【氏名】東 利房
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−179795(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/036731(WO,A2)
【文献】 特開2003−159743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
B29C 51/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁、該底壁の周縁から上方に延びる筒状側壁及び該側壁の上端縁から半径方向外方に延出する環状フランジを有する合成樹脂製容器を成形する成形方法にして、
溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊を圧縮成型して薄肉中央部と厚肉中間部と薄肉周縁部とを有する板状前成形体を成形する一次成形工程と、
少なくとも該厚肉中間部は溶融乃至軟化状態である該前成形体の該薄肉中央部を該薄肉周縁部に対して中心軸線方向に相対的に変位せしめて、該厚肉中間部にしごき作用を加えながら該厚肉中間部を筒状に成形する二次成形工程と、
を含むことを特徴とする成形方法。
【請求項2】
該側壁は直立筒状或いは下方に向かって寸法が漸次低減する逆錐台筒状である、請求項1記載の成形方法。
【請求項3】
該二次成形工程においては、上方に開放された筒形状の成形凹部を有する第一の成形型部材、該第一の成形型部材の該成形凹部に対応した柱状体であり、該第一の成形型部材の該成形凹部の上方に位置する上昇位置と該第一の成形型部材の該成形凹部内に進入せしめられた下降位置との間を該第一の成形型部材に対して相対的に移動せしめられる第二の成形型部材、及び該第一の成形型部材の上面における該成形凹部を囲繞する周縁領域に対向して位置する拘束位置に位置せしめられる環状拘束部材を具備する成形装置が使用され、
該第一の成形型部材の上面に該前成形体を載置して該薄肉中央部及び該厚肉中間部を該成形凹部上に位置せしめ、次いで該拘束部材を該拘束位置に位置せしめて、該第一の成形型部材と該拘束部材との間に該前成形体の該薄肉周縁部を拘束し、しかる後に該第二の成形型部材を該上昇位置から該下降位置に移動せしめる、
請求項1又は2記載の成形方法。
【請求項4】
柱形状の下内側部材及び該下内側部材を囲繞する筒形状の下外側部材から構成された下側成形型組立体と、柱形状の上内側部材及び該上内側部材を囲繞する筒形状の上外側部材から構成された上側成形型組立体とを具備する成形装置が使用され、
該一次成形工程においては、該下内側部材の上面に合成樹脂塊が供給され、該下側成形型組立体に対して該上側成形組立体が相対的に下降せしめられ、該下内側部材と該上内側部材との間で該前成形体の該薄肉中央部が圧縮成形され、該下外側部材と該上外側部材との間で該薄肉周縁部が圧縮成形され、該下内側部材の外周縁部と或いは該下内側部材の外周縁部及び該下外側部材の内周縁部と該上内側部材の外周縁部及び該上外側部材の内周縁部との間で該厚肉中間部が圧縮成形され、
該二次成形工程においては、該下内側部材及び該上内側部材が下降せしめられて、該前成形体の該厚肉中間部が筒状に成形される、
請求項1又は2記載の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器、更に詳しくは底壁、この底壁の周縁から上方に延びる筒形側壁及び側壁の上端から半径方向外方に延出する環形状フランジを有する合成樹脂製容器を成形する成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食料用容器として、周知の如く、円形又は多角形の底壁、この底壁の周縁から上方に延びる円筒乃至逆円錐台筒状又は多角筒乃至逆多角錐台筒形状の側壁、及び側壁の上端から半径方向外方に延出する円環状又は多角環状フランジを有する合成樹脂製容器が広く実用に供されている。容器内に内容物が充填された後に環状フランジに密封シールが貼着され、容器の上面に存在する開口が密封される。かような容器を成形する簡易な成形方法としては、溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊を最終形状に直接的に圧縮成形する成形方法を挙げることができる。また、下記特許文献1及び2には、溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊を圧縮成形或いは押出成形によって平坦な或いは浅い皿形状の円形又は多角形板状である前成形体を成形し、次いでかかる前成形体を最終形状に熱成形する成形方法も提案され、実用に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3970867号公報
【特許文献2】特開2003−159743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、合成樹脂塊を直接的に最終形状に圧縮成形する成形方法並びに上記特許文献1及び2に開示されている上記のとおりの従来の成形方法には、成形に必要な荷重即ち必要成形荷重が過大であり、成形装置が大型且つ高価なものになってしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、底壁、この底壁の周縁から上方に延びる筒形側壁及び側壁の上端から半径方向外方に延出する環形状フランジを有する形態の合成樹脂製容器を成形するための、従来技術に比べて必要成形荷重が相当低減される新規且つ改良された成形方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討及び実験の結果、驚くべきことに、最初に溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊を圧縮して薄肉中央部と厚肉中間部と薄肉周縁部とを有する板状前成形体を成形し、次いで少なくとも厚肉中間部は溶融乃至軟化状態である前成形体の薄肉中央部を薄肉周縁部に対して中心軸線方向に相対的に変位せしめて、厚肉中間部にしごき作用を加えながら厚肉中間部を筒状に成形することによって、相当低減せしめられた必要成形荷重によって所要形状の合成樹脂製容器を成形することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する成形方法として、底壁、該底壁の周縁から上方に延びる筒状側壁及び該側壁の上端縁から半径方向外方に延出する環状フランジを有する合成樹脂製容器を成形する成形方法にして、
溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊を圧縮成型して薄肉中央部と厚肉中間部と薄肉周縁部とを有する板状前成形体を成形する一次成形工程と、
少なくとも該厚肉中間部は溶融乃至軟化状態である該前成形体の該薄肉中央部を該薄肉周縁部に対して中心軸線方向に相対的に変位せしめて、該厚肉中間部にしごき作用を加えながら該厚肉中間部を筒状に成形する二次成形工程と、
を含むことを特徴とする成形方法が提供される。
【0008】
該側壁は直立筒状或いは下方に向かって寸法が漸次低減する逆錐台筒状であるのが好都合である。好ましくは、該二次成形工程においては、上方に開放された筒形状の成形凹部を有する第一の成形型部材、該第一の成形型部材の該成形凹部に対応した柱状体であり、該第一の成形型部材の該成形凹部の上方に位置する上昇位置と該第一の成形型部材の該成形凹部内に進入せしめられた下降位置との間を該第一の成形型部材に対して相対的に移動せしめられる第二の成形型部材、及び該第一の成形型部材の上面における該成形凹部を囲繞する周縁領域に対向して位置する拘束位置に位置せしめられる環状拘束部材を具備する成形装置が使用され、該第一の成形型部材の上面に該前成形体を載置して該薄肉中央部及び該厚肉中間部を該成形凹部上に位置せしめ、次いで該拘束部材を該拘束位置に位置せしめて、該第一の成形型部材と該拘束部材との間に該前成形体の該薄肉周縁部を拘束し、しかる後に該第二の成形型部材を該上昇位置から該下降位置に移動せしめる。また、柱形状の下内側部材及び該下内側部材を囲繞する筒形状の下外側部材から構成された下側成形型組立体と、柱形状の内側部材及び該上内側部材を囲繞する筒形状の上外側部材から構成された上側成形型組立体とを具備する成形装置が使用され、該一次成形工程においては、該下内側部材の上面に合成樹脂塊が供給され、該下側成形型組立体に対して該上側成形組立体が相対的に下降せしめられ、該下内側部材と該上内側部材との間で該前成形体の該薄肉中央部が圧縮成形され、該下外側部材と該上外側部材との間で該薄肉周縁部が圧縮成形され、該下内側部材の外周縁部と或いは該下内側部材の外周縁部及び該下外側部材の内周縁部と該上内側部材の外周縁部及び該上外側部材の内周縁部との間で該厚肉中間部が圧縮成形され、該二次成形工程においては、該下内側部材及び該上内側部材が下降せしめられて、該前成形体の該厚肉中間部が筒状に成形される、ことも好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の成形方法によれば、後述する実施例及び比較例から明確に理解されるとおり、所要形状の容器を相当に低減された必要成形荷重によって成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の成形方法の好適実施形態における一次成形工程の初期段階を示す簡略断面図。
図2】本発明の成形方法の好適実施形態における一次成形工程の終期段階を示す簡略断面図。
図3】本発明の成形方法の好適実施形態における二次成形工程の初期段階を示す簡略断面図。
図4】本発明の成形方法の好適実施形態における二次成形工程の終期段階を示す簡略断面図。
図5】本発明の成形方法の他の好適実施形態における一次成形工程の初期段階を示す簡略断面図。
図6】本発明の成形方法の他の好適実施形態における一次成形工程の最終段階(二次成形工程の初期段階)を示す簡略断面図。
図7】本発明の成形方法の他の好適実施形態における二次成形工程の最終段階を示す簡略断面図。
図8】比較例1における成形方法を示す簡略断面図。
図9】比較例2における成形方法を示す簡略断面図。
図10】実施例及び比較例1及び2における測定結果を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の成形方法の好適実施形態について更に詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2を参照して説明すると、本発明の成形方法の好適実施形態においては、全体を番号2で示す成形装置を使用して一次成形工程を遂行する。成形装置2は、第一の成形型部材4とこの第一の成形型部材4の上方に位置し且つ第一の成形型部材4に対して昇降動せしめられる第二の成形型部材6を具備する成形装置が使用される。第一の成形型部材4の上面には全体として円板形状の成形凹部8が形成されており、この成形凹部8の底面には円環状の溝10が形成されている。溝10の横断面形状は全体として略二等辺三角形状であり、最深部即ち最下部は円弧状にせしめられている。第二の成形型部材6は実質上水平に延在する平坦な下面を有する。図1に図示するとおり、第二の成形型部材6が第一の成形型部材4から上方に離隔せしめられている型開状態において、第一の成形型部材4の成形凹部8の中央部に溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊12が供給される。合成樹脂塊12を構成する好適合成樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。次いで、第二の成形型部材6が図2に示す閉位置まで下降せしめられ、合成樹脂塊12が前成形体14に圧縮成形される。この前成形体14は全体として円板形状であり、薄肉中央部16、厚肉中間部18及び薄肉周縁部20を有する。しかる後に、第二の成形型部材6が図1に図示する位置まで上昇せしめられ、成形された前成形体14が第一の成形型部材4から取り出される。所望ならば、第二の成形型部材6を昇降動せしめることに代えて或いはこれに加えて第一の成形型部材4を昇降動せしめることもできる。
【0013】
本発明の成形方法の好適実施形態においては、上記一次成形工程に続いて二次成形工程を遂行する。図3及び図4を参照して説明を続けると、二次成形工程においては全体を番号22で示す成形装置を使用する。この成形装置22は、第一の成形型部材24、第二の成形型部材26及び拘束部材28を具備している。第一の成形型部材24の上面には、上方に開口された全体として円筒形状の成形凹部30が形成されている。成形凹部30の下端外周縁部は断面図において円弧形状にせしめられていて内径が下方に向かって漸次低減せしめられており、成形凹部30の上端外周縁部も断面図において円弧形状にせしめられていて上方に向かって内径が漸次増大せしめられている。第二の成形型部材26は全体として円柱形状であり、第一の成形型部材24から上方に離隔する上昇位置(図3に図示する上昇位置)と第一の成形型部材24の成形凹部30内に進入せしめられた下降位置(図4に図示する下降位置)との間を昇降動せしめられる。第二の成形型部材26の外径は、第一の成形型部材24の成形凹部30の主部内径(下端部及び上端部以外の内径)よりも、例えば0.5乃至2.0mm程度小さい。拘束部材28は円環板形状であり、第一の成形型部材24から上方に離隔した上昇位置(図3に図示する上昇位置)と第一の成形型部材24の上面における成形凹部30を囲繞する周縁領域に対して幾分かの間隙をおいて対向する作用位置(図4に図示する作用位置)に選択的に位置せしめられる。拘束部材28の内径は、第二の成形部材26の外径と実質上同一である。
【0014】
成形装置22を使用して遂行される二次成形工程においては、図3に図示する如く第二の成形型部材26及び拘束部材28が第一の成形部材24から上方に離隔せしめられている型開状態において、第一の成形型部材24上に上記前成形体14が供給される。前成形体14の薄肉中央部16は成形凹部30の中心領域の上方に位置し、厚肉中間部18は成形凹部30の周縁領域の上方に位置し、薄肉周縁部20は第一の成形型部材24の上面上に位置する。前成形体14の少なくとも厚肉中間部18、通常は前成形体1の全体、は溶融乃至軟化状態にせしめられている。次いで、第二の成形型部材26と共に拘束部材28が下降せしめられて、或いは第二の成形型部材26の下降に先立って拘束部材28が下降せしめられて、図4に図示する拘束位置にせしめられる。拘束部材28が図4に図示する拘束位置に位置せしめられると、拘束部材28の下面は前成形体14の薄肉周縁部20の上面に対して若干の間隙をおいて位置し、或いは前成形体14の薄肉周縁部20の上面に当接せしめられる。所望ならば、拘束部材28によって前成形体14の薄肉周縁部20に幾分かの押圧力を加えることもできる。また、拘束部材28を所定拘束位置に保持することに代えて、拘束部材28を上下動自在の状態にせしめて、拘束部材28自体の重量によって拘束部材28が前成形体14の薄肉周縁部20の上面に押圧せしめられるようになすこともできる。
【0015】
拘束部材28と共に或いは拘束部材28とは別個に図4に二点鎖線で示す位置まで下降せしめられた第二の成形型部材26は更に下降され続けて前成形体14の薄肉中央部16及び厚肉中間部18に作用し始める。第二の成形型部材26の下降に応じて、前成形体14の薄肉中央部20は薄肉周縁部16に対して下方に変位され、厚肉中間部18は円筒形状に変形せしめられる。かくして、第二の成形型部材26が図4に図示する下降位置まで下降せしめられると、円形底壁34、この底壁34の周縁から上方に延びる円筒形状側壁36及び側壁の上端から半径方向外方に実質上水平に延出する円環状フランジ38を有する合成樹脂製容器32が成形される。成形された容器32は第二の成形型部材26及び拘束部材28を適宜に上昇せしめて型開状態にせしめて、成形装置22から取り出すことができる。例えば、最初は第二の成形型部材26と拘束部材28との双方を上昇せしめて容器32を第一の成形型部材24の成形凹部30から上昇せしめ、次いで拘束部材28の上昇を停止して第二の成形型部材24のみを上昇せしめて第二の成形型部材26から容器32を離型せしめる。
【0016】
而して、前成形体14の厚肉中間部18には部材を作用せしめることなく、単に前成形体14の薄肉中央部16を薄肉周縁部20に対して変位せしめることによって厚肉中間部18を変形せしめることもできるが、図3及び図4を参照することによって明確に理解される如く、第二の成形型部材26の周縁部を前成形体14の厚肉中間部18に作用せしめて厚肉中間部18に所謂しごき作用を加えながら厚肉中間部18を変形せしめると、充分に安定して厚肉中間部18を所要とおりに良好に変形することができる。他方、前成形体14の薄肉周縁部20を拘束部材28によって拘束することなく第二の成形型部材26を下降せしめて厚肉中間部18を変形せしめんとすると、薄肉周縁部20が第二の成形型部材24の上面から上方に変位した後に成形凹部30内に没入してしまう傾向が発生し、所要とおりの容器32の成形が阻害されてしまう。
【0017】
上述した実施形態においては、円形底壁34、この底壁34の周縁から上方に延びる円筒形状側壁36及び側壁の上端から半径方向外方に実質上水平に延出する円環状フランジ38を有する合成樹脂製容器32が成形されるが、成形される容器はかような形状に限定されるのもではない。例えば、側壁は、円筒形状に代えて、上方に向かって外径が漸次増大する逆円錐台筒形状にせしめることもできる。また、底壁を円形ではなくて多角形状に、側壁を多角筒或いは逆多角錐筒形状に、フランジを多角環状にせしめることもできる。
【0018】
図5乃至図7には、本発明に従って構成された成形方法の他の好適実施形態が図示されている。この他の実施形態においては、成形装置102によって一次成形工程と二次成形工程との双方が遂行される。成形装置102は下側成形型組立体104と上側成形型組立体106とから構成されている。下側成形組立体104は円柱形状の下内側部材108及びこの下内側部材108を囲繞する円筒形状の下外側部材110を具備している。図5に図示する状態において、下内側部材108及び下外側部材110の上面には上方に開放された成形凹部112が規定されている。全体として円板形状である成形凹部112には、環状溝114と中央隆起部116とが形成されている。環状溝114は、断面図において上下方向に真直に延びる外周面と断面図において円弧形状に延びる底面乃至内周面を有する。上側成形型組立体106は円柱形状の上内側部材118及びこの上内側部材118を囲繞する円筒形状の上外側部材120を具備している。上内側部材118の下面中央部には円形陥没部122が形成されている。上外側部材120の下面には浅い環状溝124が形成され、そして上外側部材120の下面内周縁部は半径方向内方に向かって若干だけ上方に傾斜せしめられている。
【0019】
成形装置102を使用した一次成形工程について説明すると、図5に図示する如く、下成形型組立体104に対して上成形型組立体106が上方に離隔した型開状態において、下側成形型組立体104の成形凹部112の中央部に溶融乃至軟化状態の合成樹脂塊126が供給される。次いで、下側成形型組立体104に対して上側成形型組立体106が図6に図示する位置まで相対的に下降せしめられ、かくして前成形体128が圧縮成形される。成形された前成形体128は全体として円板形状であり、薄肉中央部130、厚肉中間部132及び薄肉周縁部134を有する。
【0020】
上記のとおりの一次成形工程に続いて、二次成形工程が遂行される。この二次成形工程においては、両者間に前成形体134の薄肉中央部130を挟み込んだ下内側部材108及び上内側部材118が図7に図示する位置まで、両者間に前成形体128の薄肉周縁部134を挟み込んだ下外側部材110及び上外側部材120に対して相対的に下降せしめられる。これによって前成形体128の薄肉中央部130が前成形体128の薄肉周縁部134に対して変位せしめられると共に、前成形体128の厚肉中間部132が円筒形状乃至逆円錐第筒形状に変形せしめられ、かくして円形底壁138、円筒乃至逆円錐台筒形状の側壁140及び円環形状のフランジ142を有する容器136が成形される。所望ならば、下内側部材108と上内側部材118とを同時に下降せしめることに代えて、下内側部材108を先行して下降せしめ、次いで上内側部材118を下降せしめることもできる。図6及び図7を参照することによって明確に理解される如く、前成形体128の厚肉中間部132の変形の際には、上内側部材118が前成形体128の厚肉中間部132に所謂しごき作用を加える。成形された容器136は、適宜の様式によって成形装置102を型開状態せしめて成形装置102から取り出すことができる。
【0021】
次に、実施例及び比較実施例について説明する。
実施例
株式会社プライムポリマーから商品名「プライムポリプロB251VT」として販売されているポリプロピレンを合成樹脂素材として、押出機から溶融して合成樹脂を押し出し、押出口(直径10mm)から手動によって切断して、略円柱形状の合成樹脂塊(10.3g)を得た。次いで、図1及び図2に図示するとおりの成形装置を使用して合成樹脂塊を圧縮成形して、図2に図示するとおりの形状の前成形体を成形した。成形した前成形の各種寸法は次のとおりであった。

外径D1・・・・・・・・・・・・・・ 80.0mm
厚肉中間部の外周縁径D2・・・・・・ 63.0mm
厚肉中間部の最大厚部径D3・・・・・ 49.0mm
厚肉中間部の内周縁径D4・・・・・・ 28.8mm
薄肉中央部の厚さT1・・・・・・・・ 1.0mm
厚肉中間部の最大厚さT2・・・・・・ 5.1mm
薄肉周縁部の厚さT3・・・・・・・・ 1.7mm

次いで、図3及び図4に図示するとおりの成形装置を使用して上記前成形体を図4に図示するとおりの容器に成形した。前成形体の成形の際の前成形体の厚肉中間部表面の温度は略160℃であった。また、前成形体の成形の際には、第一の成形型部材の上面と拘束部材の下面との間隙を1.8mmに維持した。成形された容器の各種寸法は次のとおりであった。

底壁の中心部厚さt1・・・・・・・ 1.0mm
底壁の周縁部の厚さt2・・・・・・ 2.0mm
フランジの厚さt3・・・・・・・・ 1.7mm
容器の全高さh・・・・・・・・・・ 29.7mm

前成形体を容器に成形する間の、第一の成形型部材の成形凹部の底面と第二の成形型部材の下面との間隔の変動と第二の成形型部材を下降せしめるのに必要な荷重の変動とを測定した。その結果は図10に示すとおりであった。第一の成形型部材の成形凹部の底面と第二の成形型部材の下面との間隔の変動は、レーザ変位計によって第二の成形型部材の下降長さを測定することによって得た。
【0022】
比較例1
図8に図示するとおりの成形装置を使用して、200℃の合成樹脂塊212を容器に直接的に圧縮成形したことを除いて、実施例と実質上同一の条件で容器を成形し、この際の第一の成形型部材224の成形凹部230の底面と第二の成形型部材226の下面との間隙の変動と第二の成形型部材226を下降するのに要する荷重の変動とを測定した。その結果は図10に示すとおりであり、成形凹部230の内周面に沿って合成樹脂を上昇せしめて側壁を成形する際に必要荷重が過大になった。
【0023】
比較例2
略円柱形状の合成樹脂塊212(5.2g)を圧縮成形して外径86mmで厚さ1.0mmの円板形状の前成形体314を成形したこと、この前成形体314を図9に図示するとおりの成形装置を使用して容器を成形したことを除いて、実施例と実質上同一の条件で容器を成形し、この際の第一の成形型部材324の成形凹部330の底面と第二の成形型部材326の下面との間隙の変動と第二の成形型部材326を下降するのに要する荷重の変動とを測定した。その結果は図10に示すとおりであり、前成形体314を変形して側壁を成形するのに過大な成形荷重を要した。
【符号の説明】
【0024】
2:一次成形工程のための成形装置
12:合成樹脂塊
14:前成形体
16:前成形体の薄肉中央部
18:前成形体の厚肉中間部
20:前成形体の薄肉周縁部
22:二次成形工程のための成形装置
24:第一の成形型部材
26:第二の成形型部材
28:拘束部材
30:成形凹部
32:容器
34:容器の底壁
36:容器の側壁
38:容器のフランジ
102:一次成形工程及び二次成形工程のための成形装置
104:下側成形型組立体
106:上側成形型組立体
108:下内側部材
110:下外側部材
112:成形凹部
118:上内側部材
120:上外側部材
126:合成樹脂塊
128:前成形体
130:前成形体の薄肉中央部
132:前成形体の厚肉中間部
134:前成形体の薄肉周縁部
136:容器
138:容器の底壁
140:容器の側壁
142:容器のフランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10