特許第6398312号(P6398312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398312
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/00 20060101AFI20180920BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20180920BHJP
【FI】
   F23N5/00 F
   F23N5/24 106D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-102619(P2014-102619)
(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公開番号】特開2015-218950(P2015-218950A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】新藤 貴志
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−242066(JP,A)
【文献】 特開2008−057960(JP,A)
【文献】 特開平10−026346(JP,A)
【文献】 特開2002−162033(JP,A)
【文献】 特開2002−071615(JP,A)
【文献】 特開2012−017965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が燃焼する燃焼室と、
上記燃焼室に空気を供給する送風機と、
上記燃焼室で生成された排ガスを外部へ案内するダクトと、
上記ダクト内の排ガスの酸素濃度を検出するOセンサと、
上記燃料の燃焼が停止したか否かを判定する燃焼停止判定手段と、
上記燃焼停止判定手段によって上記燃料の燃焼が停止したと判定されたとき、パージのための空気が上記送風機から上記燃焼室に供給されているか否かを判定する空気供給判定手段と、
上記空気供給判定手段によって上記送風機から上記燃焼室にパージのための空気が供給されていると判定されたとき、上記Oセンサを校正するOセンサ校正手段と
上記Oセンサの下流側に配置されたエコノマイザと
を備え
上記ダクトは、上記燃焼室からの排ガスを下方から上方へ案内する第1流路と、上記第1流路の下流側の端部に接続され、燃焼室からの排ガスを上方から下方へ案内する第2流路とを有し、
上記第1流路には上記Oセンサが設置され、かつ、上記第2流路には上記エコノマイザが設置されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
上記Oセンサ校正手段は、上記パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、上記パージのための空気の供給終了前に、上記Oセンサを校正することを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば蒸気ボイラ等の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼装置としては、特開2013−36691号公報(特許文献1)に開示された蒸気ボイラがある。この蒸気ボイラは、燃焼室が設けられた蒸気ボイラ本体と、燃焼室に空気を供給する送風機と、燃焼室で生じた排ガスを外部へ案内するダクトと、ダクト内の排ガスの酸素濃度を検出するOセンサとを備えている。また、上記送風機から燃焼室に供給される空気の量は、Oセンサによって検出される酸素濃度に基づいて、空気量調整ダンパで調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−36691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記Oセンサの使用を重ねると、Oセンサによって検出される酸素濃度が、実際の酸素濃度からずれるようになる。
【0005】
したがって、上記従来の蒸気ボイラでは、Oセンサの信頼性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
当然、ユーザがOセンサの検出精度を定期的にチェックすれば、Oセンサの信頼性を高く維持することができるが、メンテナンスの負荷が増大してしまう。
【0007】
そこで、この発明の課題は、Oセンサの信頼性を高く維持することができると共に、メンテナンスの負荷を低減できる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の燃焼装置は、
燃料が燃焼する燃焼室と、
上記燃焼室に空気を供給する送風機と、
上記燃焼室で生成された排ガスを外部へ案内するダクトと、
上記ダクト内の排ガスの酸素濃度を検出するOセンサと、
上記燃料の燃焼が停止したか否かを判定する燃焼停止判定手段と、
上記燃焼停止判定手段によって上記燃料の燃焼が停止したと判定されたとき、パージのための空気が上記送風機から上記燃焼室に供給されているか否かを判定する空気供給判定手段と、
上記空気供給判定手段によって上記送風機から上記燃焼室にパージのための空気が供給されていると判定されたとき、上記Oセンサを校正するOセンサ校正手段と
上記Oセンサの下流側に配置されたエコノマイザと
を備え
上記ダクトは、上記燃焼室からの排ガスを下方から上方へ案内する第1流路と、上記第1流路の下流側の端部に接続され、燃焼室からの排ガスを上方から下方へ案内する第2流路とを有し、
上記第1流路には上記Oセンサが設置され、かつ、上記第2流路には上記エコノマイザが設置されていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、上記燃焼停止判定手段によって燃料の燃焼が停止したと判定されたとき、空気供給判定手段が、パージのための空気が送風機から燃焼室に供給されているか否かを判定する。そして、上記空気供給判定手段によって送風機から燃焼室に空気が供給されていると判定されたとき、Oセンサ校正手段がOセンサを校正する。その結果、上記燃焼装置はOセンサの信頼性を高く維持することができる。
【0010】
また、上記Oセンサ校正手段がOセンサを校正するので、ユーザはOセンサの検出精度を定期的にチェックしなくて済む。したがって、上記燃焼装置はメンテナンスの負荷を低減できる。
【0011】
また、上記Oセンサ校正手段がOセンサを校正するとき、送風機から燃焼室にパージするための空気が供給されているので、その空気を用いてOセンサを正確に校正することができる。
また、上記排ガスはエコノマイザとの熱交換によって温度が下がるため、エコノマイザの下流側では結露が生じやすい。一方、上記エコノマイザの上流側では、排ガスの温度が高いので、結露は生じ難い。したがって、上記Oセンサはエコノマイザの上流側に配置されているので、水による故障が起き難い。
【0012】
一実施形態の燃焼装置では、
上記Oセンサ校正手段は、上記パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、上記パージのための空気の供給終了前に、上記Oセンサを校正する。
【0013】
上記実施形態によれば、上記パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、上記パージのための空気の供給終了前であると、ダクト内に清浄な空気を確実に流すことができる。したがって、上記パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、パージのための空気の供給終了前に、Oセンサ校正手段がOセンサを校正することにより、Oセンサ校正手段によるOセンサの校正の信頼性を確実に高めることができる。
【0014】
【0015】
【発明の効果】
【0016】
この発明の燃焼装置は、空気供給判定手段によって送風機から燃焼室にパージのための空気が供給されていると判定されたとき、Oセンサを校正するOセンサ校正手段を備えるので、Oセンサの信頼性を高く維持することができる。
【0017】
また、上記Oセンサ校正手段がOセンサを校正することによって、メンテナンスの負荷を低減できる。
【0018】
また、上記Oセンサ校正手段がOセンサを校正するとき、送風機から燃焼室にパージするための空気が供給されているので、その空気を用いてOセンサを正確に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1はこの発明の一実施の形態の蒸気ボイラの模式図である。
図2図2はOセンサの校正に関するフローチャートである。
図3図3は上記蒸気ボイラの変形例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の燃焼装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明の一実施形態の蒸気ボイラの構成を示す模式図である。なお、図1では、構成の理解を容易にするため、ダクトおよびその内部のみ断面で示している。また、以下の説明において、「ライン」とは、流路、経路、管路などの総称である。
【0022】
上記蒸気ボイラ1は、燃焼室2aが内部に設けられた蒸気ボイラ本体2と、燃焼室2aに空気を供給する送風機3と、燃焼室2aで生成された排ガスを外部へ案内するダクト4と、ダクト4内の排ガスの酸素濃度を検出するOセンサ5とを備えている。
【0023】
上記蒸気ボイラ本体2は、給水ラインL1を介して給水タンク(図示せず)に接続されている。この給水ラインL1には、上記給水タンク側から順に、給水ポンプ6と逆止弁7が設けられている。給水ポンプ6が駆動することにより、上記給水タンク内の水が、給水ラインL1を介して蒸気ボイラ本体2に供給される。
【0024】
また、上記蒸気ボイラ本体2の上部にはバーナ8が取り付けられている。このバーナ8が噴射したガスが燃焼室2aで燃焼する。また、バーナ8は、燃料供給ラインL2を介して、ガスタンク(図示せず)に接続されている。このガスタンクは燃料の一例としてのガス(例えば天然ガスなど)を貯留する。また、燃料供給ラインL2には、上記ガスタンク側から順に、第1遮断弁9、第2遮断弁10および流量調整弁11が設けられている。
【0025】
上記送風機3は、給気ラインL3を介して、蒸気ボイラ本体2に接続されている。これにより、送風機3が吹き出した空気は、給気ラインL3を流れて、燃焼室2aに流入できるようになっている。
【0026】
上記ダクト4は、一端が蒸気ボイラ本体2に取り付けられ、内部の空間が燃焼室2aと連通している。また、ダクト4は、蒸気ボイラ本体2側から略水平方向に延びた後、屈曲して上方に延びている。このダクト4において上方に延びている部分内には、触媒12が配置されている。この触媒12の触媒活性物質としては例えば白金がある。
【0027】
上記Oセンサ5は、触媒12よりも上流側に位置するように、ダクト4の内壁に取り付けられている。また、Oセンサ5は、ダクト4内の空間の死水域を避けて配置されている。すなわち、Oセンサ5は、燃焼室2aからの排ガスが多く流れる場所に配置されている。
【0028】
また、上記蒸気ボイラ1は、マイクロコンピュータとインバータ回路と入出力回路などからなる制御装置13を備えている。この制御装置13は、Oセンサ5が検出した酸素濃度に基づいて、送風機3の回転数を制御する。また、制御装置13は、送風機3や給水ポンプ6などの駆動停止制御を行うと共に、第1遮断弁9、第2遮断弁10および流量調整弁11などの開閉制御も行う。
【0029】
以下、図2のフローチャートを用いて、制御装置13によるOセンサ5の校正について説明する。
【0030】
まず、ステップS101で、燃焼室2aにおいて燃料の燃焼が停止したか否かが判定される。このとき、上記燃焼の停止は、第1,第2遮断弁9,10の開閉状態に基づいて判定される。例えば、第1,第2遮断弁9,10の両方とも閉鎖されていれば、燃焼は停止していると判定される。また、第1,第2遮断弁9,10の一方でも開放されていれば、燃焼は停止していないと判定される。このようなステップS101で、燃焼室2aにおいて燃料の燃焼が停止したと判定されると、次のステップS102に進む。一方、ステップS101で、燃焼室2aにおいて燃料の燃焼が停止していないと判定されると、再び、ステップS101が行われる。
【0031】
次に、ステップS102で、燃焼室2aのパージが実行されているか否かが判定される。すなわち、ステップS102で、パージのための空気が送風機3から燃焼室2aに供給されているか否かが判定される。このとき、上記空気の供給は、送風機3の駆動停止状態に基づいて判定される。例えば、送風機3が駆動していれば、パージのための空気が燃焼室2aに供給されていると判定される。また、送風機3が駆動していなければ、パージのための空気が燃焼室2aに供給されていないと判定される。このようなステップS102で、パージのための空気が送風機3から燃焼室2aに供給されていると判定されると、次のステップS103に進む。一方、ステップS102で、パージのための空気が送風機3から燃焼室2aに供給されていないと判定されると、再び、ステップS102が行われる。
【0032】
次に、ステップS103で、パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過したか否かが判定される。このステップS103で、パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過したと判定されると、次のステップS104に進む。一方、ステップS103で、パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過していないと判定されると、再び、ステップS103が行われる。なお、上記予め設定された時間は、パージのための空気の供給開始から供給終了までの時間よりも短く設定されている。別の言い方をすれば、上記予め設定された時間は、パージを行うために予め設定された時間よりも短く設定されている。
【0033】
最後に、ステップS104で、Oセンサを校正する。このとき、送風機3からの清浄な空気がダクト4内を流れている。
【0034】
この実施形態では、ステップS101が燃焼停止判定手段の一例、ステップS102が空気供給判定手段の一例、ステップS103,S104がOセンサ校正手段の一例となっている。
【0035】
このように、上記Oセンサが校正されるので、Oセンサの信頼性を高く維持することができる。
【0036】
また、上記制御装置13によるOセンサ5の校正が行われることによって、ユーザはOセンサの検出精度を定期的にチェックしなくて済むので、メンテナンスの負荷を低減できる。
【0037】
また、上記Oセンサ5の校正が行われるとき、送風機3からの清浄な空気がガイド4内を流れているので、その空気を用いてOセンサ5を正確に校正することができる。
【0038】
また、上記パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、パージのための空気の供給終了前に、Oセンサ校正手段がOセンサが校正される。これにより、Oセンサの校正の信頼性を確実に高めることができる。
【0039】
上記実施形態では、パージのための空気の供給開始から、予め設定された時間が経過した後、かつ、パージのための空気の供給終了前に、Oセンサ5が校正されていたが、パージのための空気の供給開始と同時に、Oセンサ5が校正されるようにしてもよい。
【0040】
上記実施形態では、例えば天然ガスなどのガスを燃料の一例として用いていたが、灯油、A重油などの油を燃料の一例としても用いてもよい。
【0041】
上記実施形態において、Oセンサ5の校正は、パージを実行する毎に行ってもよい。あるいは、Oセンサ5の校正は、パージの実行回数が予め設定された回数に達する毎に行ってもよい。あるいは、Oセンサ5の校正は、予め設定された日数が経過する毎に行ってもよい。
【0042】
上記実施形態では、蒸気ボイラ1は、エコノマイザを備えていなかったが、エコノマイザを備えるようにしてもよい。例えば図3に示すように、蛇行する流路が設けられたダクト204の一端を蒸気ボイラ本体2に取り付けて、燃焼室2aで生成された排ガスをダクト204で外部へ案内するようにしてもよい。
【0043】
上記ダクト204内には、蒸気ボイラ本体2への給水を予熱するためのエコノマイザ250が配置されている。このエコノマイザ250の上流側にはOセンサ5が配置されている。これにより、エコノマイザ250で結露が生じても、結露水がOセンサ5に付着するのを防ぐことができる。したがって、結露水によるOセンサ5の故障が起き難くなっている。
【0044】
なお、図3において、図1の構成部と同一構成部には、図1の構成部の参照番号と同一参照番号を付している。
【0045】
この発明の具体的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 蒸気ボイラ
2 蒸気ボイラ本体
2a 燃焼室
3 送風機
4,204 ダクト
5 Oセンサ
250 エコノマイザ
図1
図2
図3