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特許6398368情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398368
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20180920BHJP
【FI】
   G06F13/00 520R
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-129262(P2014-129262)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-9321(P2016-9321A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 泰
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−102334(JP,A)
【文献】 特開2013−196096(JP,A)
【文献】 特開2006−155642(JP,A)
【文献】 特開2002−288077(JP,A)
【文献】 特開2004−062418(JP,A)
【文献】 特開平10−187517(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0113472(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0044746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、
前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を、各々が前記要求手段を備える複数のユーザ装置を利用する各ユーザのそれぞれに対応付けられた複数の宛先に通知する通知手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記登録手段は、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、当該登録のための前記条件が満たされていれば当該文書を前記登録先に登録する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記文書に一意に対応する対応情報を取得する取得手段を備え、
前記登録手段は、前記通知手段による通知の前に登録を要求された前記文書について取得された前記対応情報と、当該通知の後に登録を要求された前記文書について取得された対応情報とが合致している場合に、前記登録を行う
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記文書のハッシュ値、サイズ、更新された時刻または作成された時刻を前記対応情報として取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記登録先、時間帯または時期に応じた宛先に前記通知を行う
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記識別情報の一覧を出力する出力手段を備え、
前記通知手段は、出力された前記一覧に含まれる識別情報のうちユーザにより選択されたものを通知する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知手段は、通知した前記識別情報により識別される文書が前記登録手段により登録されると、当該識別情報を通知した宛先に対して、当該文書が登録された旨を通知する
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記登録手段による登録が決められた回数以上行われなかった文書がある場合には、当該文書の前記識別情報を通知する宛先を変更する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、
前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する別情報を前記要求手段を備えるユーザ装置を利用するユーザに対応付けられた宛先に通知する通知手段とを備え、
前記登録手段は、文書の登録が要求された場合に日時又は登録要求者の少なくともいずれかを含む状況情報に対応付けて当該文書を登録し、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求され且つ当該登録のための前記条件が満たされている場合には、前記通知手段による通知の前に登録を要求されたときにおける前記状況情報を対応付けて当該文書を登録する
情報処理装置。
【請求項10】
文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録し、当該条件が満たされていなければ当該文書を特定する識別情報と当該要求の日時又は登録要求者の少なくともいずれかを含む状況情報とを登録する登録手段と、
前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を前記要求手段を備えるユーザ装置を利用するユーザに対応付けられた宛先に通知する通知手段とを備え、
前記登録手段は、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、当該登録のための前記条件が満たされていれば当該文書を前記状況情報と対応づけて登録する
情報処理装置。
【請求項11】
前記状況情報は、前記文書の登録を要求した者が誰かというものであり、
前記通知手段が通知する宛先には、前記登録を要求した要求元以外の宛先が含まれる
ことを特徴とする請求項9または10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記通知手段から前記識別情報が通知されると、当該識別情報により識別される文書の登録を要求するメッセージを決められたタイミングで前記情報処理装置に送信する送信手段を備えるユーザ装置と
を備える情報処理システム。
【請求項13】
コンピュータを、
文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、
前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を、各々が前記要求手段を備える複数のユーザ装置を利用する各ユーザのそれぞれに対応付けられた複数の宛先に通知する通知手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、デバイスから送信されてきた文書に関する関連情報と、実際にフォルダに格納された文書についての文書情報とを比較して文書の受信が成功したかどうかを判断し、失敗したと判断するとその旨を通知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−85076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、登録を要求された文書の登録が行われなかった場合にその文書の登録をより確実に行わせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を、各々が前記要求手段を備える複数のユーザ装置を利用する各ユーザのそれぞれに対応付けられた複数の宛先に通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載の構成において、前記登録手段は、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、当該登録のための前記条件が満たされていれば当該文書を前記登録先に登録することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、請求項1または2に記載の構成において、前記文書に一意に対応する対応情報を取得する取得手段を備え、前記登録手段は、前記通知手段による通知の前に登録を要求された前記文書について取得された前記対応情報と、当該通知の後に登録を要求された前記文書について取得された対応情報とが合致している場合に、前記登録を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、請求項3に記載の構成においてを、前記取得手段は、前記文書のハッシュ値、サイズ、更新された時刻または作成された時刻を前記対応情報として取得することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る情報処理装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の構成において、前記通知手段は、前記登録先、時間帯または時期に応じた宛先に前記通知を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る情報処理装置は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構成において、前記識別情報の一覧を出力する出力手段を備え、前記通知手段は、出力された前記一覧に含まれる識別情報のうちユーザにより選択されたものを通知することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る情報処理装置は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構成において、前記通知手段は、通知した前記識別情報により識別される文書が前記登録手段により登録されると、当該識別情報を通知した宛先に対して、当該文書が登録された旨を通知することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る情報処理装置は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の構成において、前記通知手段は、前記登録手段による登録が決められた回数以上行われなかった文書がある場合には、当該文書の前記識別情報を通知する宛先を変更することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る情報処理装置は、文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する別情報を前記要求手段を備えるユーザ装置を利用するユーザに対応付けられた宛先に通知する通知手段とを備え、前記登録手段は、文書の登録が要求された場合に日時又は登録要求者の少なくともいずれかを含む状況情報に対応付けて当該文書を登録し、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求され且つ当該登録のための前記条件が満たされている場合には、前記通知手段による通知の前に登録を要求されたときにおける前記状況情報を対応付けて当該文書を登録することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る情報処理装置は、文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録し、当該条件が満たされていなければ当該文書を特定する識別情報と当該要求の日時又は登録要求者の少なくともいずれかを含む状況情報とを登録する登録手段と、前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を前記要求手段を備えるユーザ装置を利用するユーザに対応付けられた宛先に通知する通知手段とを備え、前記登録手段は、前記通知手段が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、当該登録のための前記条件が満たされていれば当該文書を前記状況情報と対応づけて登録することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る情報処理装置は、請求項9または10に記載の構成において、前記状況情報は、前記文書の登録を要求した者が誰かというものであり、前記通知手段が通知する宛先には、前記登録を要求した要求元以外の宛先が含まれることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る情報処理システムは、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置と、前記通知手段から前記識別情報が通知されると、当該識別情報により識別される文書の登録を要求するメッセージを決められたタイミングで前記情報処理装置に送信する送信手段を備えるユーザ装置とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項13に係るプログラムは、コンピュータを、文書の登録を要求する要求手段を備えるユーザ装置から指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、当該登録のための条件が満たされていれば当該登録先に当該文書を登録する登録手段と、前記文書の登録が行われなかった場合に、当該文書を識別する識別情報を、各々が前記要求手段を備える複数のユーザ装置を利用する各ユーザのそれぞれに対応付けられた複数の宛先に通知する通知手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、2、13に係る発明によれば、1つの宛先にしか通知が行われない場合に比べて、登録を要求された文書の登録が行われなかった場合にその文書の登録をより確実に行わせることができる。
請求項3、4に係る発明によれば、登録されなかった文書とは別の文書が登録されることを防止できる。
請求項5に係る発明によれば、通知の宛先を固定している場合に比べて、文書の登録をより確実に行わせることができる。
請求項6に係る発明によれば、一覧が出力されない場合に比べて、登録されていない文書を登録させるための対応を容易にできる。
請求項7に係る発明によれば、登録された旨の通知が行われない場合に比べて、登録が済んだ文書の登録の再要求を抑制できる。
請求項8に係る発明によれば、状況に応じて通知の量を調整することができる。
請求項9、10に係る発明によれば、再要求の際には状況が変化していた場合でも、最初に登録が要求された状況を把握することができる。
請求項11に係る発明によれば、登録の再要求を行った者と最初に登録を要求した者とが異なっていた場合でも、最初に登録を要求した者が文書を登録したものとすることができる。
請求項12に係る発明によれば、登録の再要求を確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】情報処理システムの概要を表す図
図2】ユーザ装置のハードウェア構成を表す図
図3】サーバ装置のハードウェア構成を表す図
図4】情報処理システムの機能構成を表す図
図5】表示手段が表示する情報の一例を表す図
図6】メッセージの一例を表す図
図7】登録状態DBの一例を表す図
図8】登録処理でのシーケンスを表す図
図9】宛先テーブルの一例を表す図
図10】変形例のサーバ装置の機能構成を表す図
図11】出力された一覧の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[1]実施形態
[1−1]構成
図1は情報処理システム1の全体構成を表す。情報処理システム1は、電子的な文書の管理を行ういわゆる文書管理システムとしての機能を有する。情報処理システム1は、サーバ装置10と、複数のユーザ装置20と、通信回線2とを備える。サーバ装置10は、文書を格納するためのデータベースを有し、そのデータベースに文書を格納して管理する。
【0021】
複数のユーザ装置20は、それぞれが、ユーザが文書管理システムを利用するために用いるパーソナルコンピュータやタブレット端末などである。各ユーザ装置20は、文書管理システムにおいて管理される文書を閲覧するための機能や文書を登録するための機能などを有する。各ユーザ装置20は、サーバ装置10と通信回線2を介して接続され、サーバ装置10と文書のやり取りを行う。以下では、各ユーザ装置20の共通する構成について説明する。
【0022】
図2はユーザ装置20のハードウェア構成を表す。ユーザ装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24と、操作部25とを有する情報処理装置である。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリを有する。制御部21は、CPUが不揮発性メモリに記憶されているプログラムを実行することで、各部の動作を制御する。記憶部22は、不揮発性メモリであり、各種プログラムやデータを記憶する。通信部23は、通信回線2を介してデータ通信を行う通信インターフェースとして機能する。表示部24は、各種メッセージを表示するディスプレイ装置を備えている。操作部25は、ユーザ装置20を操作するための操作子等を有する。
【0023】
図3はサーバ装置10のハードウェア構成を表す。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを有する情報処理装置である。これらは、図2に示す同名の各部とそれぞれ共通の構成を有する。
制御部11のCPUが記憶部12に記憶されているプログラムを実行し、制御部21のCPUが記憶部22に記憶されているプログラムを実行することで、図4に示す機能が実現される。
【0024】
図4はサーバ装置10及びユーザ装置20の機能構成を表す。サーバ装置10は、登録手段101と、取得手段102と、通知手段103とを備える。ユーザ装置20は、第1送信手段201と、表示手段202と、第2送信手段203とを備える。
第1送信手段201は、文書の登録を要求するメッセージを送信する手段である。例えば、ユーザがユーザ装置20を操作して文書管理システム上で文書を作成し、登録先を指定して、指定した登録先に文書を登録する操作を行うとする。登録先は、例えば、文書管理システムにおいて文書を分類するために決められたフォルダやパスの名称(例えば「/購買プロセス/案件3/」など)で表される。この操作が行われると、第1送信手段201は、作成された文書と、その文書を指定された登録先に登録することを要求するメッセージとをサーバ装置10に送信する。
【0025】
登録手段101は、送信されてきた文書及びメッセージを受け取った場合、すなわち、指定された登録先への文書の登録が要求された場合に、登録のための条件が満たされていればその登録先にその文書を登録する。登録のための条件とは、例えば、サーバ装置10の記憶部12の記憶領域に文書を記憶させるだけの空きがあることや、契約で定められた容量の記憶領域の使用がユーザ(またはユーザが所属する会社等)に許可されている場合に、その定められた容量の記憶領域に文書を記憶させるだけの空きがあることである。他にも、例えば、文書の登録に必要なモジュールが正常に作動していることや、登録の操作時に発覚しなかった欠陥(例えば想定外のフォーマットのデータが添付されているなど)が文書に含まれていないことなども条件に含まれる。
【0026】
以上で述べたような条件が満たされていない場合には、登録手段101による文書の登録が行われない。登録手段101は、例えば記憶領域の容量に関する条件が満たされていない場合には、文書の登録を試みることもせずに、登録を行わなかったと判断する。一方、モジュールやデータのフォーマットなどに関する条件については、実際に登録を試みないと満たされているか否かが分からないものが多い。そこで、登録手段101は、文書の登録を試みて、例えば決められた時間(5分や10分など)が経過しても文書の登録が完了していない場合に、その登録を行わなかったと判断する。登録手段101は、登録を行わなかったと判断した場合に、例えば、登録を要求された文書そのものを取得手段102及び通知手段103に供給する。
【0027】
取得手段102は、文書に一意に対応する情報(以下「対応情報」という)を取得する。取得手段102は、本実施形態では、文書のハッシュ値を対応情報として取得する。取得手段102は、例えば、登録手段101から文書が供給されると、MD5(Message Digest Algorithm 5)などの周知のハッシュ関数を用いてその文書のハッシュ値を算出する。取得手段102は、こうして算出したハッシュ値を対応情報として取得する。なお、取得手段102は、ハッシュ値の算出を外部装置で行わせて、その結果を取得してもよい。
【0028】
通知手段103は、登録手段101が文書の登録が行われなかった場合に、その文書を識別する識別情報を複数の宛先に通知する。通知手段103は、例えば、文書ごとに数字や記号からなるID(Identification)を識別情報として発行する。このIDは、後述する登録の再要求を行う際に用いられるものであり、以下では「再要求ID」という。通知手段103は、文書管理システムを利用する各ユーザにそれぞれ対応付けられた宛先を記憶しており、文書の登録を要求してきたユーザに対応付けて記憶している宛先に対して通知を行う。また、通知手段103は、文書管理システムの運用や管理を行う担当者用の宛先を記憶しており、その宛先にも通知を行う。
【0029】
これらの宛先は、例えば、電子メールアドレスや文書管理システムで用いられる独自の宛先などである。通知手段103は、本実施形態では、登録されなかった文書と、その文書の登録の再要求の依頼を表す文字列や再要求に必要な情報とを、再要求IDとともに各宛先に通知する。本実施形態では、登録されなかった文書を通知手段103が通知すると、その文書がサーバ装置10の記憶手段(記憶部12やRAMなど)から削除される。このような文書を全て記憶していると、サーバ装置10の記憶容量が圧迫されるからである。
【0030】
表示手段202は、通知手段103から通知された情報を表示する。
図5は表示手段202が表示する情報の一例を表す。この例では、「文書登録の再要求依頼通知」という件名の電子メールによって通知が行われている。この電子メールには、文書そのものである「見積依頼書.pdf」というファイルが添付されている。また、本文には、再要求IDと、登録されなかった文書の文書名と、登録する予定であった登録先と、再要求を受け付けるURL(Uniform Resource Locator)とが含まれている。ユーザがこのURLを選択する操作を行うことで、ブラウザまたは文書管理システムのプログラムが起動して、再要求の動作を行うようになっている。
【0031】
第2送信手段203は、通知手段103により通知された識別情報が識別する文書の登録を再度要求するメッセージをサーバ装置10に送信する。第2送信手段203は、例えばユーザが図5に示すURLを選択する操作を行うことで、添付されている文書とともに、通知された再要求IDを含むメッセージをサーバ装置10に送信する。なお、電子メール上でURLが選択されなくても、例えば文書管理システムのプログラムを起動したときに通知された情報が表示されるようにしておき、そこでURLが選択されたときに第2送信手段203による送信が行われてもよい。
【0032】
第2送信手段203が送信するメッセージは、通知手段103が通知した識別情報により識別される文書の登録を要求するメッセージである。このメッセージは、登録手段101によって受け取られる。ここで、第1送信手段201が送信するメッセージ(以下「第1メッセージ」という)と第2送信手段203が送信するメッセージ(以下「第2メッセージ」という)の違いについて説明する。
図6(a)は第1メッセージの一例を表す。この第1メッセージは、コマンド(要求の内容を表す)が「登録」で、文書が「見積依頼書.pdf」であることを表している。第1メッセージには「再要求ID」が含まれていない。この第1メッセージによる文書の登録の要求を、「初回要求」という。
【0033】
図6(b)は第2メッセージの一例を表す。この第2メッセージは、コマンドが「登録」で、予約IDが「3」で、文書が「見積依頼書.pdf」であることを表している。登録手段101は、第2メッセージを受け取った場合、すなわち、通知手段103が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、この登録のための条件が満たされていればその文書を上述した初回要求時の登録先に登録する。本実施形態では、登録手段101が登録を行う際の条件と、登録手段101が登録を行う際の条件とが共通している。
【0034】
また、登録手段101は、通知手段103による通知の前に登録を要求された文書について取得された対応情報と、その通知の後に登録を要求された文書について取得された対応情報とが合致している場合に、前述した登録を行う(この場合も登録のための条件が満たされていれば登録されるということ)。登録手段101は、登録先や対応情報の合致を判断するために、例えば、文書の登録の状態などを表す登録状態DB(DataBase)を用いる。
【0035】
図7は登録状態DBの一例を表す。登録状態DBには、識別情報(本実施形態では再要求ID)と、登録先と、対応情報(本実施形態ではハッシュ値)と、登録状態とが格納されている。例えば、登録手段101は、文書の登録を行わなかった場合に、その際の「登録先」を登録状態DBに格納する。この時点で、登録状態は自動的に「未登録」となる。通知手段103は、上述した通知を行うとともに、発行した再要求IDを、その再要求IDを発行した文書の登録先に対応付けて格納する。
【0036】
取得手段102は、登録手段101から供給された文書について取得したハッシュ値を、その文書の登録先に対応付けて格納する。サーバ装置10は、このように、登録されなかった文書の登録先、識別情報、対応情報を記憶する。図7の例では、図5に示す情報が通知された「未登録」の文書について、「3」という再要求IDと、「/購買プロセス/案件3/」という登録先と、「5b3a1...」というハッシュ値とがそれぞれ対応付けて格納されている。
【0037】
登録手段101は、図6(b)に示す第2メッセージを受け取った場合には、まず、その第2メッセージとともに送信されてきた「見積依頼書.pdf」という文書を取得手段102に供給する。取得手段102は、供給された文書のハッシュ値を対応情報として取得し、そのハッシュ値を登録手段101に供給する。登録手段101は、供給されたハッシュ値と、第2メッセージに含まれる「3」という再要求IDに登録状態DBで対応付けられているハッシュ値とが合致しているか否かを判断する。
【0038】
登録手段101は、これらが合致していると判断した場合には、この「見積依頼書.pdf」という文書を、「3」という再要求IDに登録状態DBで対応付けられている登録先(この場合「/購買プロセス/案件3/」)とともに登録手段101に供給する。登録手段101は、登録手段101から文書及び登録先が供給されると、上記の場合と同様に、登録のための条件が満たされていればその登録先にその文書を登録する。
【0039】
[1−2]動作
情報処理システム1が備える各装置は、文書を登録する登録処理を行う。
図8は登録処理でのシーケンスを表す。図8では、複数のユーザ装置20のうちの2つを示している。登録処理は、複数のユーザ装置20のうちの1つに対して、登録先の指定と文書の登録の操作をユーザが行うことを契機に開始される。ユーザ装置20はその操作を受け付けると(ステップS11)、図6(a)に示したような第1メッセージをサーバ装置10に送信する(ステップS12)。S12の動作は第1送信手段201が行う。
【0040】
サーバ装置10は、第1メッセージを受け取ると、上述した登録のための条件が満たされていれば文書を登録する(ステップS21)。サーバ装置10が文書を登録すると、登録処理は終了する。何らかの条件が満たされずサーバ装置10が文書を登録しない(「不登録」の)場合、サーバ装置10は、その文書の対応情報(本実施形態ではハッシュ値)を取得し(ステップS22)、その文書の識別情報(本実施形態では再要求ID)を発行する(ステップS23)。S22の動作は取得手段102が行う。サーバ装置10は、図7に示したように、登録先、対応情報、識別情報を記憶しておく(ステップS24)。サーバ装置10は、識別情報及び図5に示した各種の情報を複数の宛先に通知する(ステップS25)。S23及びS25の動作は通知手段103が行う。
【0041】
図8では、文書登録の操作を行ったユーザとは別のユーザが再要求の操作を行っている。後者のユーザのユーザ装置20は、通知された情報を表示し(ステップS31)、そのユーザが行う文書登録の再要求の操作を受け付ける(ステップS32)。ユーザ装置20は、図6(b)に示したような第2メッセージを文書とともにサーバ装置10に送信する(ステップS33)。S31の動作は表示手段202が行い、S32及びS33の動作は第2送信手段203が行う。
【0042】
サーバ装置10は、第2メッセージを受け取ると、ともに受け取った文書の対応情報を取得し(ステップS41)、ステップS22で取得された対応情報と合致するか否かを判断する(ステップS42)。S41の動作は取得手段102が行う。サーバ装置10は、合致していない(NO)と判断した場合には、第2メッセージを受け取る前の状態(ステップS33の前の状態)に戻る。サーバ装置10は、合致している(YES)と判断した場合には、登録のための条件が満たされていれば文書を登録する(ステップS43)。S42及びS43の動作は登録手段101が行う。サーバ装置10がS43で文書を登録すると登録処理が終了する。S43で不登録だった場合、サーバ装置10は、第2メッセージを受け取る前の状態に戻る。
【0043】
本実施形態では、以上のとおり、文書が登録されなかった場合に、複数のユーザに文書登録の再要求のための通知が行われる。これにより、登録を要求された文書の登録が行われなかった場合に、例えばその要求を行ったユーザの宛先(つまり1つの宛先)にしかそのような通知が行われない場合に比べて、他のユーザにも通知が行われることから登録の再要求が行われる可能性が高まり、その文書の登録がより確実に行われることになる。また、対応情報であるハッシュ値が合致する場合に文書の登録が行われるため、登録されなかった文書とは別の文書が登録されることを防止している。
【0044】
[2]変形例
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じてそれぞれ組み合わせて実施してもよい。
【0045】
[2−1]ユーザ装置
ユーザ装置は、上述したものに限らず、例えば、スマートフォンやノートパソコンでもよいし、例えば画像読取装置や画像形成装置のような複数のユーザで共有される装置であってもよい。画像読取装置の場合、例えば紙の書類を読み取って電子化すると、そのまま電子化した文書の登録を要求する、という使い方が考えられる。また、画像形成装置の場合、通知手段103が通知した情報を紙などの媒体に出力してユーザに通知する、という使い方が考えられる。
【0046】
[2−2]対応情報
対応情報はハッシュ値に限らない。例えば、取得手段102が、文書のサイズ、文書が更新された時刻または文書が作成された時刻を対応情報として取得してもよい。文書のサイズも、例えば1バイト単位まで比較すれば、異なる文書同士で合致する可能性は低くなる。また、文書が更新された時刻も、ユーザが文書に対して何らかの編集を行えば必ず変化する。また、一度作成されると編集が不能になる文書であれば、作成された時刻が異なれば、必ず違う文書であることが分かる。従って、これらの情報が対応情報として用いられた場合でも、登録されなかった文書とは別の文書が登録されることが防止される。
【0047】
[2−3]対応情報の比較
登録手段101は、上述した2つの対応情報を比較するときに、違いを全く許容しない場合と、ある程度の違いを許容してもよい場合とがある。例えば、ユーザが、紙の書類を電子化した文書の登録を要求し、その電子化した文書も、サーバ装置から通知された文書も何らかの事情で削除されたとする。この場合に、紙の書類は残っており、且つ、文書のサイズが対応情報として用いられるのであれば、再度電子化した文書を用いて登録の再要求が行われてもよい。すると、文書が共通でも電子化された文書のサイズがわずかに変化するので、登録手段101は、その程度の違い(例えば数バイトから数十バイト程度)があっても、対応情報が合致すると判断してもよい。
【0048】
[2−4]通知の宛先
通知手段103は、実施形態とは異なる方法で宛先を選んでもよい。通知手段103は、例えば、登録先に応じた宛先に通知を行う。通知手段103は、登録先と通知の宛先とを対応付けた宛先テーブルを記憶している。
【0049】
図9は宛先テーブルの一例を表す。この例では、「/設計/」という登録先には「要求者」、「aaa@...」及び「bbb@...」という通知の宛先に対応付けられている。「要求者」とは、文書の登録を要求してきたユーザに対応付けられた宛先を意味している。「/テスト/」という登録先には「aaa@...」及び「bbb@...」という通知の宛先が対応付けられ、「/購買プロセス/」という登録先には「要求者」、「ccc@...」、「ddd@...」及び「eee@...」という通知の宛先が対応付けられている。
【0050】
通知手段103は、例えば図5に示す「/購買プロセス/案件3/」という登録先への登録が行われなかった場合であれば、「/購買プロセス/」に対応付けられた4つの宛先に通知を行う。このように、宛先には要求者を含んでいてもよいし、いなくてもよい。また、登録先によって宛先の数を変えてもよい。ただし、通知手段103は、少なくとも2以上の宛先に通知する。
【0051】
文書管理システムにおいては、登録される文書の種類や性質毎に登録先を分けていることが多い。例えば、「/購買プロセス/」という登録先には、購買の業務に関係する文書が登録される。そのような文書であれば、例えば購買の業務に関連しているユーザに通知した方が、その業務に無関係のユーザに通知する場合に比べて、関心を高めやすく、登録の再要求も行われやすい。従って、文書の登録もより確実に行われるようになる。
【0052】
なお、通知手段103は、他にも、時間帯や時期に応じた宛先に通知を行ってもよい。通知手段103は、例えば、日中の時間帯には日中働いているユーザの宛先に通知し、夜間の時間帯には夜勤のユーザの宛先に通知する。また、例えば繁忙期には、ユーザが通知を見て再要求の操作を行う手間を取りにくくなるから、通知する宛先をそれ以外の時期に比べて増やすことで、再要求の操作が行われる可能性を少しでも高めるようにしてもよい。いずれの場合も、登録の再要求が行われる可能性が少しでも高まるような宛先に通知が行われることが望ましい。これにより、通知の宛先を固定している場合に比べて、文書の登録もより確実に行われるようになる。
【0053】
[2−5]一覧の出力
登録の再要求がすぐに行われない場合に備え、例えばサーバ装置の管理者から再要求を催促してもよい。その場合、未登録の文書を管理者が把握しやすいと便利である。
図10は本変形例のサーバ装置10aの機能構成を表す。サーバ装置10aは図4に示す各手段に加え出力手段104を備える。出力手段104は識別情報の一覧を出力する。この一覧の出力先は、サーバ装置10aに接続された表示手段でもよいし、管理者が業務で利用するパーソナルコンピュータ等でもよい。
【0054】
図11は出力された一覧の一例を表す。図11では、再要求ID3、4及び5という3つの識別情報を含む一覧A1が表されている。一覧A1には、識別情報の他、対応する文書のファイル名及び登録先が含まれている。なお、これに限らず、例えば、登録が要求された日時や登録を要求したユーザ名、対応する通知の宛先、各宛先に対応するユーザ名や部署名などが含まれていてもよい。
【0055】
また、一覧A1には、各識別情報に対応するラジオボタンと、ラジオボタンにより選択された識別情報を通知するための操作子B1とが含まれている。図11の状態で操作子B1がユーザによって操作されると、選択されている再要求ID3及び4が通知手段103に供給される。通知手段103は、供給された再要求ID(すなわち識別情報)に対応する宛先に通知を行う。このように、本変形例の通知手段103は、出力された一覧に含まれる識別情報のうちユーザにより選択されたものを通知する。
【0056】
本変形例によれば、未登録の文書が図11に示すような一覧で把握できるため、一覧が出力されない場合に比べて、未登録の文書を登録させるための対応がしやすい。また、選択された識別情報が通知されることでも、そのような通知が行われない場合に比べて、未登録の文書を登録させるための対応がしやすい。
【0057】
[2−6]登録済みの通知
通知手段103は、登録がされたことを関係者に通知してもよい。具体的には、通知手段103は、通知した識別情報により識別される文書が登録手段101により登録されると、その識別情報を通知した宛先に対して、その文書が登録された旨を通知する。これにより、登録された旨の通知が行われない場合に比べて、登録が済んだ文書の登録の再要求が抑制される。
【0058】
なお、この通知が行われた場合に、ユーザ装置が、この通知がされた文書(すなわち登録が済んだ文書)に関して先に通知された情報(識別情報や文書など)を削除してもよい。これにより、このような削除を行わない場合に比べて、登録が済んだ文書についての登録の再要求がさらに抑制される。
【0059】
[2−7]通知の宛先の変更
識別情報が通知される宛先が変更されてもよい。例えば、或るユーザが、上述した初回要求(第1メッセージによる文書の登録の要求)を同じ文書について何度も行う場合がある。その原因としては、そのユーザが宛先となっている電子メールをあまり見ないことや、そのユーザが通知の対象でないことなどが考えられる。この場合、登録の要求自体は何度も行われ、文書が登録される可能性は向上しているものの、何度も識別情報が通知されることになり、宛先となっているユーザにとっては迷惑であるし、その結果、通知をユーザが見なくなるおそれもある。
【0060】
本変形例では、通知手段103が、登録手段101による登録が決められた回数以上行われなかった文書がある場合には、その文書の識別情報を通知する宛先を変更する。例えば、通知手段103は、通知の宛先を、初回要求を行ったユーザに対応する宛先のみに変更する。これにより、例えば前述したように初回要求が何度も行われた場合の他のユーザへの通知の回数が少なくなる。また、通知手段103は、登録が決められた回数以上行われなかった文書がある場合に、さらに他の宛先にも通知するように変更を行ってもよい。その場合、通知の宛先を増やすことで、文書が登録される可能性を高められる。このように、通知手段103が上記のとおり宛先を変更することで、状況に応じて通知の量が調整される。
【0061】
[2−8]通知の内容
通知手段103が通知する内容は図5で説明したものに限らない。例えば、文書そのものを通知する代わりに、文書を入手するための情報を通知してもよい。文書がファイルサーバ等に記憶されているものであれば、そのパスを表す情報を通知手段103が通知する。また、実施形態では、通知された文書がすぐに削除されたが、サーバ装置が通知後も文書を決められた期間(1日や1週間など)だけ保管しておき、その保管場所を表すURL等の情報を通知手段103が通知してもよい。その場合、サーバ装置は、期間が経過したらその文書を自装置の記憶手段から削除する。
【0062】
なお、文書が保管されている期間中に再要求が行われる場合、上述した第2メッセージ(再要求時のメッセージ)に文書が含まれていなくてもよい。この場合、ユーザ装置は、少なくとも通知された識別情報を含む第2メッセージを送信し、サーバ装置は、その識別情報により識別される保管中の文書を読み出して、条件が満たされていれば登録を行う。この場合、さらに、サーバ装置からの通知にも文書が含まれていなくてもよい。これにより、通知やメッセージに文書を含める場合に比べて、通信の負荷が軽減される。また、文書の複製の拡散が防がれるので、機密性の高い文書についてはこの方法での通知が望ましい。
【0063】
なお、データの保管は、サーバ装置とは別のデータ交換用に設けられた外部装置が行ってもよい。また、文書そのものを通知する場合でも、同じ宛先に同じ文書の識別情報が再度通知されるときには、文書を通知しないようにしてもよい(その文書は既に通知済みであるため)。
また、実施形態では、識別情報(再要求ID)と対応情報(ハッシュ値)とは別々の情報であったが、対応情報が識別情報として用いられてもよい。対応情報は、文書に一意に対応する情報であるから、文書を識別する情報としても利用可能である。
【0064】
[2−9]ユーザ装置の自動要求
ユーザの操作がなくてもユーザ装置が自動的に登録の再要求を行ってもよい。本変形例では、図4に示す第2送信手段203が、通知手段103から識別情報が通知されると、その識別情報により識別される文書の登録を要求するメッセージを決められたタイミングでサーバ装置に送信する。第2送信手段203は本発明の「送信手段」の一例である。決められたタイミングとしては、例えば、決められた時間の間隔(1時間毎など)や、決められた日時(毎日0時など)などである。また、最初の数回は1時間毎に送信し、その後は2時間毎に送信するなど、タイミングを変化させてもよい。また、決められた回数(5回や10回など)送信したら送信を終了してもよい。本変形例では、登録の再要求が確実に行われる。その結果、自動的な再要求が行われない場合に比べて、文書が登録される可能性が高められる。
【0065】
[2−10]文書の登録
実施形態では、文書管理システムにおける文書の登録が行われたが、これに限らない。例えば、掲示板やSNS(Social Networking Service)への投稿も、文書の登録として捉えられる。要するに、文書の登録とは、他のユーザが閲覧することを前提とした文書(投稿も含む。実際に閲覧されるかどうかは問わない)を、それらのユーザが閲覧可能な場所に保管させることをいう。なお、登録した文書を閲覧可能なユーザや時期は制限されていてもよい。また、文書を保管させる場所は、サーバ装置の記憶部に限らず、外部の記憶手段であってもよく、ハードウェアは何でもよい。
【0066】
[2−11]ユーザの権限
実施形態では、ユーザの権限について特に言及しなかったが、文書を登録するために権限が必要な場合がある。その場合、例えば、その権限がないユーザが通知を受け取って登録の再要求をすることも考えられる。登録手段101は、元々権限があるユーザから登録を要求された文書についての登録の要求であるから、再要求の要求元のユーザの権限の有無にかかわらず、文書の登録を行う。これにより、登録の権限を有するユーザが少ない文書であっても、実施形態と同様に、登録される可能性が高められる。
【0067】
[2−12]登録を要求された状況
登録手段101は、通知手段103が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、登録のための条件が満たされていれば、実施形態では単にその文書を登録先に登録したが、通知手段103による通知の前に登録を要求された状況の下でその文書が登録されたものとしてもよい。ここでいう状況とは、例えば登録を要求された日時や登録を要求した者などのことである。これにより、情報処理システム1により実現される文書管理システム上では、再要求により登録された文書でも、最初の要求時に登録された文書として扱われることになる。言い換えると、再要求の際には状況が変化していた場合でも、最初に登録が要求された状況が把握されることになる。なお、本変形例では、通知手段103が通知する宛先は1つであってもよい。その場合でも、最初に登録が要求された状況が把握されるという点は変わらない。
【0068】
より具体的には、登録手段101は、登録のための条件が満たされていなければ文書を特定する識別情報と要求がされた状況(日時や登録要求者など)を示す情報(以下「状況情報」という)とを登録する。このように文書の登録が行われなかった場合、通知手段103は、文書を識別する識別情報を予め定められた宛先(1つでも複数でもよい)に通知する。登録手段101は、通知手段103が通知した識別情報により識別される文書の登録が要求された場合に、登録のための条件が満たされていればその文書を状況情報と対応づけて登録する。このとき、登録手段101は、状況情報を変更することなく、登録したときの内容のまま登録する。このように状況情報を登録することで、状況情報を登録しない場合に比べて、再要求により登録された文書を、通知手段103による通知の前に登録を要求された状況の下で登録されたものとして扱うことが容易になる。
【0069】
例えば、文書の登録を要求した者が誰かという状況が用いられたとする。一方、通知手段103が通知する宛先には、登録を要求した要求元以外の宛先が含まれることがある(要求元以外の宛先のみを宛先としてもよい。その場合、要求元以外のユーザから文書の登録の再要求がなされることになる。本変形例では、そのように登録の再要求を行った者と最初に登録を要求した者とが異なっていた場合でも、最初に登録を要求した者の名前で文書が登録され、その者が文書の登録をしたことになる。これにより、例えばシステムの不具合により登録できなかった場合であっても、最初に登録を要求した者に追加の作業をさせることなく、システムの不具合の解消後に文書の登録が行われることになる。なお、このように再要求を行った者が最初に登録を要求した者と異なっている場合には、アクセス権の要求を行わないこととしてもよい。
【0070】
[2−13]発明のカテゴリ
本発明は、サーバ装置のような情報処理装置や、サーバ装置及びユーザ装置を備える情報処理システム、これらの装置が実施する処理を実現するための情報処理方法として捉えられ。また、本発明は、上記各装置のようなコンピュータを、上述した各手段として機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態や、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロード及びインストールさせて利用可能にするなどの形態で提供される。
【符号の説明】
【0071】
1…情報処理システム、2…通信回線、10…サーバ装置、20…ユーザ装置、11、21…制御部、12、22…記憶部、13、23…通信部、24…表示部、25…操作部、101…登録手段、102…取得手段、103…通知手段、201…第1送信手段、202…表示手段、203…第2送信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11