【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、空気調和機の床置式室内ユニットを対象とし、ケーシング(40)と、該ケーシング(40)の内部に配置される仕切部(44)と、上記ケーシング(40)の仕切部(44)の下側の下部空間(45)に収容されるファン(33)と、上記ケーシング(40)の仕切部(44)の上側の上部空間(46)に収容され、可燃性の冷媒が流通する熱交換器(31)を有する室内配管(32)と、上記下部空間(45)に配置され、上記室内配管(32)の端部と、室外から配設される連絡配管(12,13)とを連結する少なくとも1つの継手部材(51,52)と、上記継手部材(51,52)から漏洩した冷媒を上記上部空間(46)へ導くための冷媒搬送機構(60)とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第1の発明では、熱交換器(31)を有する室内配管(32)が、継手部材(51,52)を介して連絡配管(12,13)と接続される。これにより、空気調和機の冷媒回路が構成される。床置式室内ユニットでは、ファン(33)が送風する空気と可燃性の冷媒とが熱交換器(31)で熱交換する。この結果、空気が冷却又は加熱され、室内の冷房や暖房が行われる。
【0011】
本発明のケーシング(40)では、仕切部(44)の上側に上部空間(46)が形成され、仕切部(44)の下側に下部空間(45)が形成される。つまり、ファン(33)で搬送される空気は、下部空間(45)及び上部空間(46)を流れる。上述した継手部材(51,52)は、下部空間(45)に配置される。このため、継手部材(51,52)を上部空間(46)に配置する場合と比較して、配管の連結作業が容易となり、且つ継手部材(51,52)の収容スペースも十分に確保できる。
【0012】
本発明では、継手部材(51,52)から冷媒が漏洩すると、冷媒搬送機構(60)がこの冷媒を上部空間(46)へ導く。このため、下部空間(45)の継手部材(51,52)から漏洩した冷媒が、ケーシング(40)の底部へ直接的に流れ落ちることを回避できる。上部空間(46)へ導かれた冷媒は、上部空間(46)で拡散し、その濃度が低下する。また、上部空間(46)の冷媒が下部空間(45)へ流出したとしても、この際に冷媒が拡散され、その濃度が低下する。この結果、ケーシング(40)の底部に比較的濃度の高い冷媒が溜まり込むことを防止できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒搬送機構(60)は、上記継手部材(51,52)が収容される収容空間(72,92,97)を形成するカバー部材(62,82,95)と、上記カバー部材(72,92,97)の収容空間(72,92,97)と上記上部空間(46)とを連通させる冷媒案内管(71,91,96)とを有していることを特徴とする。
【0014】
第2の発明の冷媒搬送機構(60)は、カバー部材(62,82,95)と冷媒案内管(71,91,96)とを有している。カバー部材(62,82,95)は、継手部材(51,52)を収容する収容空間(72,92,97)を形成する。このため、継手部材(51,52)から漏洩した冷媒は、収容空間(72,92,97)に一時的に貯留される。冷媒案内管(71,91,96)は、収容空間(72,92,97)と上部空間(46)とを連通させる。このため、継手部材(51,52)での冷媒の漏洩に起因して収容空間(72,92,97)の内圧が上昇すると、収容空間(72,92,97)に溜まった冷媒が上部空間(46)へ圧送される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記仕切部(44)は、上記熱交換器(31)の下側に設置されるドレンパン(44)で構成され、上記冷媒案内管(71,91,96)は、該冷媒案内管(71,91,96)の流出端(71a,91a,96a)がドレンパン(44)の上側に位置していることを特徴とする。
【0016】
第3の発明では、収容空間(72,92,97)の冷媒が冷媒案内管(71,91,96)を通じて上部空間(46)へ送られると、この冷媒がドレンパン(44)の上側に流出する。この結果、冷媒をドレンパン(44)に貯めることができる。更に、ドレンパン(44)に溜まった冷媒を凝縮水とともにケーシング(40)の外部へ排出できる。
【0017】
第4の発明は、第3の発明において、上記ドレンパン(44)には、排水口(44b)が形成され、上記冷媒案内管(71,91,96)の流出端(71a,91a,96a)は、上記排水口(44b)の近傍に配置されることを特徴とする。
【0018】
第4の発明では、収容空間(72,92,97)の冷媒が冷媒案内管(71,91,96)を通じて上部空間(46)へ送られると、この冷媒がドレンパン(44)の排水口(44b)の近傍に流出する。この結果、冷媒を排水口(44b)へ速やかに導くことができ、この冷媒をケーシング(40)の外部へ確実に排出できる。
【0019】
第5の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、上記冷媒案内管(71,91,96)は、該冷媒案内管(71,91,96)の流入端(71a,91a,96a)が収容空間(72,92,97)の内部に位置していることを特徴とする。
【0020】
第5の発明では、冷媒案内管(71,91,96)の流入端(71a,91a,96a)が、収容空間(72,92,97)の内部に位置するため、収容空間(72,92,97)に溜まった冷媒を冷媒案内管(71,91,96)へ速やかに導入できる。
【0021】
第6の発明は、第5の発明において、上記室内配管(32)の端部と上記冷媒案内管(71,91,96)とは、同種の金属材料からなり、ろう付けによって互いに固定されるように構成されることを特徴とする。
【0022】
第6の発明では、室内配管(32)の端部と冷媒案内管(71,91,96)とがロウ付によって一体化される。つまり、室内配管(32)のうち継手部材(51,52)に接続される部位と冷媒案内管(71,91,96)とは、一体的なユニットを構成する。このユニットをカバー部材(62,82,95)で覆うことで、冷媒案内機構(60)が構成される。
【0023】
第7の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、上記冷媒案内管(96)は、該冷媒案内管(96)の流入端(96a)がカバー部材(95)に接続していることを特徴とする。
【0024】
第7の発明では、冷媒案内管(96)の流入端(96a)がカバー部材(95)に接続される。これにより、カバー部材(95)の内部に冷媒案内管(96)を配設する構成と比較して、部品点数の削減を図ることができる。収容空間(97)の冷媒は、内圧によって冷媒案内管(96)に流入し、上部空間(46)へ搬送される。
【0025】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記継手部材(51,52)は、上記室内配管(32)の液側端部と液側の上記連絡配管(12)とを接続する液側継手部材(51)と、上記室内配管(32)のガス側端部とガス側の上記連絡配管(13)とを接続するガス側継手部材(52)とで構成され、上記冷媒搬送機構(60)は、上記液側継手部材(51)を収容する収容空間(72)を形成する液側カバー部材(62)と、該液側カバー部材(62)の収容空間(72)と上記上部空間(46)とを連通させる液側冷媒案内管(71)と、上記ガス側継手部材(52)を収容する収容空間(92)を形成するガス側カバー部材(82)と、該ガス側カバー部材(82)の収容空間(92)と上記上部空間(46)とを連通させるガス側冷媒案内管(91)とを有していることを特徴とする。
【0026】
第8の発明では、下部空間(45)において、室内配管(32)の液側端部と液側連絡配管(12)とが液側継手部材(51)で接続され、且つ室内配管(32)のガス側端部とガス側連絡配管(13)とがガス側継手部材(52)で接続される。冷媒搬送機構(60)は、各継手部材(51,52)に対応して設けられる。つまり、液側継手部材(51)は、液側カバー部材(62)の収容空間(72)に収容され、液側カバー部材(62)の収容空間(72)に溜まった冷媒は液側冷媒案内管(71)を介して上部空間(46)へ搬送される。ガス側継手部材(52)は、ガス側カバー部材(82)の収容空間(92)に収容され、ガス側カバー部材(82)の収容空間(92)に溜まった冷媒はガス側冷媒案内管(91)を介して上部空間(46)へ搬送される。
【0027】
第9の発明は、 第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記継手部材(51,52)は、上記熱交換器(31)の液側端部と液側の上記連絡配管(12)とを接続する液側継手部材(51)と、上記熱交換器(31)のガス側端部とガス側の上記連絡配管(13)とを接続するガス側継手部材(52)とで構成され、上記冷媒搬送機構(60)は、上記液側継手部材(51)及びガス側継手部材(52)を収容する1つの収容空間(97)を形成する1つのカバー部材(95)と、該カバー部材(95)の収容空間(97)と上記上部空間(46)とを連通させる1つの冷媒案内管(96)とを有していることを特徴とする。
【0028】
第9の発明は、下部空間(45)において、室内配管(32)の液側端部と液側連絡配管(12)とが液側継手部材(51)で接続され、且つ室内配管(32)のガス側端部とガス側連絡配管(13)とがガス側継手部材(52)で接続される。冷媒搬送機構(60)は、両者の継手部材(51,52)を収容する1つのカバー部材(95)を有する。各継手部材(51,52)から漏洩した冷媒は、1つのカバー部材(95)の収容空間(97)に溜まり込む。この冷媒は、1つの冷媒案内管(96)を介して上部空間(46)へ搬送される。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明によれば、下部空間(45)に配置された継手部材(51,52)から漏洩した冷媒を上部空間(46)へ送ることができる。これにより、漏洩した冷媒を上部空間(46)で拡散させたり、この冷媒を上部空間(46)から下部空間(45)へ流れ落ちる際に拡散させたりすることができる。この結果、ケーシング(40)の底部に高濃度の可燃性の冷媒が溜まり込むことを防止できるので、この冷媒が機外に漏れて何らかの着火源に曝されて発火してしまうことを回避でき、ひいてはこの空気調和機の信頼性を向上できる。
【0030】
第2の発明によれば、継手部材(51,52)から漏洩した冷媒がケーシング(40)の底部へ直接的に流出してしまうことをカバー部材(62,82,95)によって確実に防止できる。また、冷媒の圧力を利用して該冷媒を上部空間(46)へ送ることができ、冷媒搬送機構(60)の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0031】
第3の発明によれば、継手部材(51,52)から漏洩した冷媒をドレンパン(44)に溜め込むことができるので、この冷媒の拡散を促すことができ、且つドレンパン(44)に溜まった冷媒を凝縮水とともにケーシング(40)の外部へ排出することができる。また、ドレンパン(44)に溜まった冷媒を凝縮水によって希釈することも可能である。また、ドレンパン(44)は、凝縮水の受け容器と、冷媒の受け容器を兼ねるので、部品点数の削減を図ることができる。
【0032】
第4の発明によれば、ドレンパン(44)に排出された冷媒を排水口(44b)からケーシング(40)の外部へ確実に排出でき、ケーシング(40)内での冷媒の濃縮を確実に回避できる。
【0033】
第5の発明によれば、カバー部材(62,82,95)の収容空間(72,92,97)に貯まった冷媒を速やかに冷媒案内管(71,91,96)へ流入させることができる。
【0034】
第6の発明によれば、室内配管(32)の端部と冷媒案内管(71,91,96)とをろう付けによって一体的なユニットとすることができる。これにより、このユニットの周囲にカバー部材(62,82,95)を設けることで、冷媒搬送機構(60)を容易に製造することができる。
【0035】
第7の発明によれば、冷媒搬送機構(60)の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0036】
第8の発明によれば、液側継手部材(51)とガス側継手部材(52)とがそれぞれ異なるカバー部材(62,82)に収容されるため、液側連絡配管(12)を流れる液冷媒と、ガス側連絡配管(13)を流れるガス冷媒とが互いに熱交換してしまうことを回避できる。また、カバー部材(62,82)に形成される収容空間(72,92)の体積が比較的小さくなるため、冷媒が漏洩した際の収容空間(72,92)の昇圧を促すことができる。この結果、漏洩した冷媒を確実に上部空間(46)へ送ることができる。
【0037】
第9の発明によれば、液側継手部材(51)とガス側継手部材(52)とが、1つのカバー部材(95)に収容され、このカバー部材(95)の収容空間(97)に溜まった冷媒を1つの冷媒案内管(96)より上部空間(46)へ送る構成としている。この結果、カバー部材(95)や冷媒案内管(96)の部品点数を削減でき、冷媒搬送機構(60)の簡素化、低コスト化を図ることができる。