(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記録紙に形成された画像に光を照射する光源と、前記記録紙上で前記光源からの照射光の正反射光を通過させる光路を構成する光学系と、該光学系により誘導される光を受光する固体撮像素子と、を備える画像検査装置において、
前記光源から前記記録紙への光路上に配置され、前記光源からの照射光の内、所定の偏光方向に直線偏光された光を前記記録紙に向かって透過させる第1偏光子と、
前記光学系の一部として設けられて、前記固体撮像素子が受光する光の偏光方向を規制する第2偏光子と、
を備え、
複数画素を第1方向に配列させたラインセンサーを前記第1方向と直交する第2方向に複数列配列して、前記固体撮像素子を構成しており、
前記第2偏光子が、前記記録紙からの正反射光を遮光する測色用フィルターと前記正反射光を透過させる光沢測定用フィルターとを有するとともに、前記固体撮像素子を構成する画素毎に、前記測色用フィルターと前記光沢測定用フィルターのいずれかを配置し、
1枚の記録紙を通紙させる間に、当該記録紙の画像の色画像データと光沢画像データとを同時に出力することを特徴とする画像検査装置。
前記第2偏光子において、前記第2方向に沿って隣接する全画素位置において、少なくとも1つの前記光沢測定用フィルターを配置させていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査装置。
前記第2偏光子は、前記第1方向に沿った全ての画素位置に少なくとも1つの前記光沢測定用フィルターを配置させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
前記第2偏光子において、前記第1方向に沿って前記光沢測定用フィルターと前記測色用フィルターを交互に配置させることを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
前記第1偏光子による偏光方向は、前記記録紙の被照射面に対する入射光の入射面に対して垂直であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像検査装置。
前記光源は、前記固体撮像素子の全画素で前記記録紙からの前記正反射光を結像させるように配置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<本発明を実施するための形態における基本構成>
以下、本発明の実施形態における基本構成につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、同一部分又は対応する部分に同一符号を付してある。又、本基本構成は、以下の各実施形態における構成において共通する構成を説明するものである。尚、以下の各実施形態を含め、本発明による画像形成装置は、画像読取機構及び画像検査機構の双方を備える装置であればよく、例えば、コピー機や、コピー機能を備えたプリンター又は複合機などであっても構わない。
【0019】
1.画像形成装置の構成
図1を参照して、画像形成装置1の構成について説明する。
図1は、画像形成装置1の内部構成を示す概略構成図である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1は、原稿から画像を読み取る画像読取装置2と、画像を印刷するための記録紙10を収納するとともに画像形成装置1内に当該記録紙10を給紙する給紙機構3と、画像読取装置2で読み取って得られた原稿画像データに基づいてトナー画像を記録紙10に転写する作像装置4と、作像装置4で記録紙10に転写されたトナー画像を定着させる定着装置5と、定着装置5によりトナー画像が定着されて画像形成された記録紙10の印刷状態を検査する画像検査装置6と、画像検査装置6で検査された印刷後の記録紙10を排紙する排紙機構7と、を備える。
【0021】
画像読取装置2は、原稿へ光を照射する光源21と、原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する固体撮像素子22と、原稿からの反射光を固体撮像素子22に結像させる結像レンズ23と、原稿が載置される原稿ガラス板24と、光源21からの光を反射して原稿表面に照射させる反射鏡25と、原稿からの反射光を結像レンズ23に誘導する反射鏡26A〜26Cと、シェーディング補正のための補正値を生成するための基準板27と、を備える。
【0022】
結像レンズ23及び固体撮像素子22はそれぞれ、原稿の読取方向(「副走査方向」に相当する。)に対して垂直な方向(「主走査方向」に相当する。)に複数の素子を画素毎に並べた素子群で構成される。又、固体撮像素子22は、各画素の受光面に、原色系又は補色系の色フィルターが設置されるため、この色フィルターを透過した光を各画素の素子が受光することによって、原稿上の画像をカラー画像として読み取る。更に、光源21と反射鏡25,26Aとが第1スライダー部211に具備されるとともに、反射鏡26B,26Cが第2スライダー部212に具備される。この第1及び第2スライダー部211,212が、レール及びモーターなどの不図示の移動機構により、同時に副走査方向に移動することで、原稿ガラス板24表面に載置された原稿の副走査方向への読取が実行される。
【0023】
このように構成される画像読取装置2では、原稿の画像を読み取る際、原稿は、原稿載置台の原稿ガラス板24上に載置されるか、又は、自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)により原稿ガラス板24上に搬送される。このとき、原稿の読取位置に対して、光源21からの照射光と反射鏡25からの反射光とが照射されると、この照射光に対する原稿からの反射光が反射鏡26Aに入射される。そして、反射鏡26Aから反射光が、反射鏡26B,26Cをそれぞれ順に反射し、結像レンズ23に誘導され、原稿からの反射光が結像レンズ23を透過して、固体撮像素子22の撮像領域に結像される。固体撮像素子22が、副走査方向に沿った読取幅に合わせた一定間隔で、その受光量に応じた電気信号を1ラインごとに出力することで、原稿上の画像に基づく二次元の原稿画像データが生成される。
【0024】
又、画像読取装置2は、この原稿の画像の読取動作を行う前に、第1スライダー部211及び第2スライダー部212を移動させて、第1スライダー部211を基準板27の直下位置まで移動させ、基準板27の読取動作を行う。これにより、固体撮像素子22から出力される電気信号の出力値を主走査方向にシェーディング補正するための補正値を生成できる。従って、固体撮像素子22から出力される電気信号に対して、この補正値に基づくシェーディング補正を施すことにより、生成された原稿画像データにおいて、光源21による主走査方向の光量のバラツキを抑制できる。
【0025】
給紙機構3は、
図1に示すように、画像が印刷される記録紙10を収納する給紙カセット31と、給紙カセット31に収納された記録紙10を取り出す給紙ローラー対32と、を備える。又、給紙機構3の下流側には、給紙ローラー対32によって給紙カセット31から記録紙搬送路に給紙された記録紙10を画像転写機構4に搬送する搬送ローラー対33が設けられている。尚、記録紙搬送路は、画像形成機構で画像が印刷される記録紙10が搬送される、給紙カセット31から排紙トレイ72までの搬送経路を表す。このように構成される給紙機構3は、給紙ローラー対32が回転駆動することによって、給紙カセット31に収納された記録紙10を一枚ずつ取り出して、記録紙搬送路に供給する。そして、給紙カセット31から排紙された記録紙10は、記録紙10の搬送方向に沿って給紙機構3の下流側に設置される搬送ローラー33の回転により、作像装置4へ搬送される。
【0026】
作像装置4は、Y(Yellow)M(Magenta)C(Cyan)K(Key tone)の各色の静電潜像が形成される感光ドラム41〜44と、感光ドラム41〜44それぞれに担持されたYMCK各色のトナーが転写される中間転写部45と、中間転写部45に転写されたトナーを記録紙10に転写する二次転写ローラー46とを備える。このとき、感光ドラム41〜44のそれぞれは、不図示であるが、その周囲に、コロナ放電などにより感光ドラム41〜44を帯電させる帯電器と、帯電した感光ドラム41〜44にレーザー光などを照射して静電潜像を形成させる露光器と、YMCK各色のトナーを攪拌することで帯電して感光ドラム41〜44に付着させる現像器と、中間転写部45に転写後に感光ドラム41〜44に残留したトナーを除去するクリーニング部材とを備える。
【0027】
又、中間転写部45は、感光ドラム41〜44からYMCK各色のトナーが転写される中間転写ベルト451と、中間転写ベルト451を回転させる駆動ローラー452及び従動ローラー453と、感光ドラム41〜44それぞれに対して中間転写ベルト451を挟んで対向する位置に設置される一次転写ローラー454〜457とを備える。さらに、この中間転写部45は、記録紙10に転写されずに中間転写ベルト451に残留したトナーを中間転写ベルト451表面上から除去するために、不図示のクリーニング部材を備える。そして、二次転写ローラー46は、中間転写ベルト451を挟んで、駆動ローラー452と対向する位置に設置される。
【0028】
このように構成される作像装置4において、感光ドラム41〜44では、画像読取機構2で取得された原稿画像データに基づいて、感光ドラム41〜44それぞれの表面にYMCK各色の静電潜像が形成された後、帯電したYMCK各色のトナーが感光ドラム41〜44それぞれの静電潜像上に担持される。又、中間転写部45では、駆動ローラー452によって中間転写ベルト451が回転し、感光ドラム41〜44それぞれに担持されているYMCK各色のトナー画像が、所定電位に印加された一次転写ローラー454〜457の静電気力によって、中間転写ベルト451に転写される。
【0029】
このとき、中間転写ベルト451は、記録紙10に転写するトナー画像が形成される部分が感光ドラム41〜44と順次接触することによって、YMCKの順に各色のトナー画像が感光ドラム41〜44より転写される。又、感光ドラム41〜44表面におけるYMCK各色のトナー画像は、中間転写ベルト451にトナーを転写するタイミングにあわせて、感光ドラム41〜44の順に形成される。
【0030】
そして、中間転写ベルト451表面にYMCK各色のトナーが転写されて形成されたトナー画像は、当該トナー画像が形成された中間転写ベルト451表面が二次転写ローラー46に対向する位置まで移動したときに、中間転写ベルト451と二次転写ローラー46とによって挟持される記録紙10に転写される。記録紙10へのトナー画像の転写は、二次転写ローラー46への印加電圧によって、帯電された各色のトナーが二次転写ローラー46に引き寄せられることによって実現される。又、トナー画像が転写される記録紙10は、上述の給紙機構3より二次転写ローラー46まで搬送されるだけでなく、記録紙10を反転させる記録紙反転機構(不図示)を定着装置5よりも下流側に備える場合は、記録紙反転機構より二次転写ローラー46より搬送される。
【0031】
定着装置5は、記録紙10上のトナーを定着させるべく加熱するハロゲンランプなどを備えた加熱ローラー51と、加熱ローラー51と記録紙10を挟持して記録紙10を加圧する加圧ローラー52とを備える。この定着装置5は、作像装置4と定着装置5との間に設置された搬送ローラー対53などによる誘導によって、作像装置4でトナー画像が転写された記録紙10が搬送される。このトナー画像が転写された記録紙10は、加熱ローラー51と加圧ローラー52との間を通過することによって、加熱ローラー51による加熱と、加熱ローラー51及び加圧ローラー52による加圧とを受ける。これにより、転写されたトナー画像が記録紙10上に定着し、記録紙10に原稿画像データによる画像が印刷される。尚、加熱ローラー51は、電磁誘導によりその表面に渦電流を生じさせることによって、加熱ローラー51表面が加熱されるものであってもよい。
【0032】
排紙機構7は、画像検査装置6を通過した記録紙10を画像形成装置1外部に排紙するための排紙ローラー対71と、画像形成装置1外部に設けられるとともに排紙ローラー71によって排紙された記録紙10を受ける排紙トレイ72とを備える。このように構成される排紙機構7は、排紙ローラー71が駆動することにより、定着装置5でトナー画像が記録面に定着されて画像印刷された記録紙10を画像検査装置6から誘導し、画像形成装置1外部の排紙トレイ72に排出する。
【0033】
2.画像検査装置の構成
画像検査装置6は、
図2に示すように、画像が印刷された記録紙10に光を照射する光源61と、記録紙10からの反射光を受光して電気信号に変換する固体撮像素子62と、記録紙10からの反射光を固体撮像素子62に結像させる結像レンズ63と、副走査方向(記録紙搬送路Qにおける搬送方向に相当する。)に移動する記録紙10の画像記録面が当接するガラス板64と、記録紙10からの反射光を結像レンズ63に誘導する反射鏡65A〜65Cと、シェーディング補正のための補正値を生成するための基準板66と、光源61から出射される光を直線偏光にそろえる第1偏光子67と、固体撮像素子62に結像させる光の偏光方向を決定する第2偏光子68と、を備える。
【0034】
反射鏡65Aは、光源61からの光の入射角とほぼ同等の角度で反射する正反射光の光路上に配置される。即ち、その読取位置P1における記録紙10の法線を基準として、光源61と読取位置P1と結ぶ直線と、反射鏡65Aと読取位置P1とを結ぶ直線とが対称となるような位置に、反射鏡65Aが設置される。又、光源61と読取位置P1とを結ぶ光源61からの光の光路上に、第1偏光子67が配置される。光源61は、例えば、LED(Light Emitted Diode)光源と、このLED光源からの光を均一に照射させる導光部材とで構成されるもの等のように、指向性を備えた光が照射されるものとすることが好ましい。そして、光源61は、後述する固体撮像素子62の全ての画素において記録紙10からの正反射光が結像されるように配置されている。
【0035】
記録紙10の画像を読み取る際、光源61からの光が第1偏光子67を透過することで、第1偏光子67の透過軸で規制される偏光方向に直線偏光する光が、記録紙10の読取位置P1に照射される。第1偏光子67により偏光方向が揃えられた照射光が記録紙10を入射すると、この照射光に対する正反射光と拡散反射光とが、記録紙10の読取位置P1で反射して、反射鏡65Aに向かう光路上を進む。尚、光源61から第1偏光子67を通じて記録紙10へ入射する光の入射方向は、記録紙10の紙面(被画像検査面)の法線となす角が45°以下であることが好ましい。又、第1偏光子67による偏光方向は、記録紙10の被照射面に対する入射光の入射面に対して垂直であることが好ましい。
【0036】
このとき、反射鏡65Aに向かう光路が、読取位置P1での正反射光の光路に一致していることから、正反射光と異なり、あらゆる方向に進む拡散反射光は、その一部のみが反射鏡65Aに入射する。従って、反射鏡65Aに入射される正反射光の光強度が、同じく反射鏡65Aに入射される拡散反射光の光強度よりも強くなる。又、正反射光は、第1偏光子67により規制された偏光方向と同じ偏光方向で直線偏光された光とされる一方で、拡散反射光は、偏光方向が定まらない非偏光の光となる。この反射鏡65Aを反射した正反射光及び拡散反射光は、反射鏡65B,65Cによって結像レンズ63に誘導され、固体撮像素子62の撮像領域で結像するよう、結像レンズ63を透過する。即ち、反射鏡65A〜65C及び結像レンズ63によって、記録紙10からの正反射光を通過させる光学系が構成されるとともに、当該光学系の一部として、第1偏光子67が具備される。
【0037】
結像レンズ63から固体撮像素子62への光路上には、透過軸方向の異なる光学素子(「光学フィルター」に相当する。)を有する第2偏光子68が配置され、この第2偏光子68の透過軸方向に沿った偏光方向の光が固体撮像素子62に入射する。即ち、第2偏光子68を構成する各光学素子の透過軸方向によって、結像レンズ63を透過した正反射光又は拡散反射光のいずれかを選択的に固体撮像素子62における各画素へ入射させることができる。従って、第2偏光子68における光学素子の透過軸方向が正反射光の偏光方向の光を遮る方向である場合、拡散反射光を透過して、固体撮像素子62へ入射させる。一方、第2偏光子68における光学素子の透過軸方向が正反射光の偏光方向の光を遮る方向でない場合は、主に正反射光を透過して、固体撮像素子62へ入射させる。
【0038】
このとき、第2偏光子68における正反射光を遮光する光学素子68a(以下、「測色用光学素子」と呼ぶ)は、
図3(d)のように、その透過軸方向を、第1偏光子67の透過軸方向に対して垂直とする。これにより、その偏光方向が測色用光学素子(「
測色用フィルター」に相当する。)68aの透過軸に対して垂直となる正反射光が遮光されるため、固体撮像素子62における測色用光学素子68aに相対する画素には、拡散反射光のみが入射される。そして、固体撮像素子62では、入射された拡散反射光に対して光電変換動作を行い、記録紙10に形成された画像の色成分を表す画像データを、制御装置8(
図4参照)に出力する。
【0039】
一方、第2偏光子68における正反射光を遮光しない光学素子68b(以下、「光沢測定用光学素子」と呼ぶ)は、
図3(a)又は(b)のように、その透過軸方向を、第1偏光子67の透過軸方向に対して平行又は交差させる。これにより、光沢測定用光学素子(「
光沢測定用フィルター」に相当する。)68bにより正反射光が遮光されずに、固体撮像素子62における光沢測定用光学素子68bに相対する画素に正反射光が入射される。そして、固体撮像素子62では、入射された正反射光に対して光電変換動作を行い、記録紙10に形成された画像の光沢成分を表す画像データを、制御装置8(
図7参照)に出力する。
【0040】
即ち、
図3(a)のように、透過軸方向を第1偏光子67の透過軸方向と一致させた光沢測定用光学素子68bは、正反射光の偏光方向が透過軸方向と一致するため、正反射光を通過し、拡散反射光の一部(光沢測定用光学素子68bの透過軸と変更方向が不一致となる拡散反射光)を遮光する。又、
図3(b)のように、透過軸方向を第1偏光子67の透過軸方向に対して平行でなく垂直でない角度で交差させた光沢測定用光学素子68bは、透過させる正反射光の光束を、
図3(a)の場合よりも低減させることとなるが、透過できる拡散反射光の光束よりも十分に多い。そして、
図3(b)のように透過軸方向を決定することで、固体撮像素子62に入射される正反射光の光量を低減できるため、固体撮像素子62における正反射光の受光量が、固体撮像素子62のダイナミックレンジを超えることを防ぐことができる。よって、
図3(a)又は
図3(b)の構成の光沢測定用光学素子68bを配置した場合、固体撮像素子62からは、正反射光の光量に基づく画像データを出力できる。
【0041】
更に、
図3(c)のように、全ての反射光が透過可能な光沢測定用光学素子68bを配置した場合(光学素子のない構成も含む)、固体撮像素子62には、正反射光及び拡散反射光それぞれが入射されることとなるが、正反射光は拡散反射光に比べてその光量が多い。従って、光学素子自体を設けないものとすることでも、
図3(a)又は
図3(b)の構成の光沢測定用光学素子68bを配置する場合と同様、固体撮像素子62からは、正反射光の光量に基づく画像データを出力できる。
【0042】
画像検査装置6は、上述のように、第2偏光子68が、透過軸方向の異なる測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bを備えることによって、拡散反射光及び正反射光それぞれによる画像データを固体撮像素子62より出力できる。これにより、画像検査装置6は、1枚の記録紙10に対して、一度の読み出し動作によって、測色用光学素子68aを透過する拡散光に基づく画像データ(以下、「色画像データ」と呼ぶ。)と、光沢測定用光学素子68bを透過する正反射光に基づく画像データ(以下、「光沢画像データ」と呼ぶ。)と、を出力することができる。
【0043】
画像検査装置6は、1枚の記録紙10に対する読取動作を行う際に、当該記録紙10の色画像データと光沢画像データとを同時に出力することができる。又、この画像検査装置6は、記録紙10の画像の読取動作を行う前に、基準板67の読取動作を行う。これにより、制御装置8(
図4参照)では、基準板67に対する読取動作を行った際の固体撮像素子62から出力される電気信号を、シェーディング補正用データとして予め記憶させる。
【0044】
従って、制御装置8(
図4参照)は、シェーディング補正用データを、固体撮像素子62から出力される色画像データ及び光沢画像データそれぞれに対して使用して、シェーディング補正を施すことにより、光源61による主走査方向の光量のバラツキを抑制できる。又、基準板67は、白板と黒板とが記録紙10の搬送方向に隣接する形状で構成されるとともに、記録紙10の搬送方向にスライド可能とされるものとしてもよい。これにより、基準板67の白板部分と黒板部分それぞれについて、シェーディング補正用データを生成し、色画像データ及び光沢画像データそれぞれについて、白黒それぞれの基準に合わせたシェーディング補正を施すことができる。
【0045】
3.画像検査装置の動作を制御するための構成部分について
上述のようにして、記録紙10の画像の読取動作を行う画像検査装置6は、
図4に示す構成の制御装置8から信号が与えられることでその動作が制御される。又、この制御装置8に制御される画像検査装置6は、固体撮像素子62で生成した色画像データ及び光沢画像データそれぞれを制御装置8に出力する。この画像検査装置6の動作を制御するための構成について、
図4に示すブロック図を参照して説明する。尚、制御装置8は、画像形成装置1内の画像検査装置6を含む各装置及び機構2〜7に対して通信を行い、各装置及び機構2〜7の動作を制御するための構成を備えるが、
図4においては、画像検査装置6との関係する構成を表し、その他の構成及び説明については省略する。
【0046】
制御装置8は、各種演算処理や制御を実行するCPU(Central Processing Unit)81と、制御プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)82と、演算データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)83と、固体撮像素子62から出力される電気信号より色画像データ及び光沢画像データそれぞれを生成する画像データ生成部84と、画像データ生成部84でシェーディング補正するための補正値となるシェーディング補正データを生成するシェーディング補正値演算部85と、画像検査装置6と信号の送受信を行う入出力インターフェース87と、制御装置8内の各ブロック間の通信を成立させるために信号を送受信するバス88と、を備える。
【0047】
一方、画像検査装置6は、光源61の発光量を設定するためのPWM(Pulse Width Modulator)回路などで構成される発光制御部610と、固体撮像素子62における撮像動作を制御するための撮像制御部620と、固体撮像素子62から出力される電気信号を増幅する出力アンプ621と、を備える。尚、光源61がLED(light Emitting Device)によって構成されるとき、発光制御部610をLEDに与えるパルス電流のデューティー比を偏光するPWM回路等で構成されるものとしても構わない。
【0048】
画像検査装置6では、制御装置8からの制御信号が、撮像制御部620に与えられる。これにより、画像検査装置6は、固体撮像素子62によって撮像動作を行い、色画像データと光沢画像データとで構成される1フレーム分の画像データを生成して出力する。即ち、固体撮像素子62で生成された色画像データ及び光沢画像データそれぞれが、出力アンプ621を通じて、制御装置8に交互に出力される。
【0049】
制御装置8は、画像検査装置6で1枚の記録紙10より読み取られて得られた画像データを、入出力インターフェース87より受信すると、この画像データが画像データ生成部84に送出する。尚、制御装置8のシェーディング補正値演算部85では、既に、画像検査装置6において基準板67を読み取った際の画像データが入力され、当該画像データからシェーディング補正値を算出して記憶している。
【0050】
そして、画像データ生成部84は、画像検査装置6から与えられた1フレーム分の画像データに対して、各画素の画像データの入力タイミングに同期して処理して、色画像データと光沢画像データとを分離する。そして、色画像データ及び光沢画像データそれぞれは、シェーディング補正値演算部85で予め取得されたシェーディング補正値に基づいて、シェーディング補正が施される。このように、制御装置8の各部が動作することによって、画像検査装置6で記録紙10を読み取った際に出力される画像データに基づいて、色画像データ及び光沢画像データそれぞれが生成される。
【0051】
尚、画像検査装置6が色画像データを出力する場合と、光沢画像データを出力する場合とで、出力アンプ621の増幅率を変化させるものとしても構わない。即ち、画像検査装置6が色画像データを出力する場合には、出力アンプ621の増幅率を大きくする一方で、画像検査装置6が光沢画像データを出力する場合には、出力アンプ621の増幅率を小さくする。これにより、制御装置8で生成される色画像データ及び光沢画像データそれぞれを同一階調によるデータとして処理できる。尚、色画像データ及び光沢画像データのデータ値の増幅について、出力アンプ621で行うものではなく、制御装置8の画像データ生成部84で行うものとしても構わない。
【0052】
本発明の画像形成装置1は、固体撮像素子62を、複数画素を1列に配列したラインセンサーを複数列並べて構成している。又、本発明の画像形成装置1は、第2偏光子68は、固体撮像素子62の各画素に対応させた光学素子を有しており、主走査方向又は副走査方向のいずれかに並ぶ複数の光学素子群毎に、当該光学素子群における少なくとも一つの光学素子を光沢測定用光学素子68bとし、残りの光学素子を測色用光学素子68aとする。これにより、画像検査装置6は、第2偏光子68の透過光を受ける固体撮像素子62から、色画像データ及び光沢画像データそれぞれを出力できる。
【0053】
以下の各実施形態は、上述した画像形成装置1を基本構成とする画像形成装置を説明するものであり、画像検査装置において色画像データ及び光沢画像データを出力する構成について、より詳細に説明するものである。よって、以下の各実施形態では、画像検査装置6における固体撮像素子62及び第2偏光子68の構成を中心に、その詳細について説明する。
【0054】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の画像形成装置における画像検査装置の固体撮像素子62の構成を示す概略図であり、
図6は、当該画像検査装置における第2偏光子68の構成を示す概略図である。尚、本実施形態では、その説明を簡単にするため、
図5に示すように、画像検査装置6が、10画素のラインセンサーを3列に配列した固体撮像素子62を備えているものとするが、これらの数値に限定されるものではない。
【0055】
本実施形態の画像形成装置1における画像検査装置6は、
図5に示すように、固体撮像素子62を、複数画素を1列に配列したラインセンサーCL1〜CL3を副走査方向(「第2方向」に相当する。)に並べて構成する。ラインセンサーCL1は、画素を形成する光電変換素子となるフォトダイオードP1−1〜P1−10を主走査方向(「第1方向」に相当する。)に配列させて構成される。又、ラインセンサーCL1は、不図示の転送デバイスを通じて、フォトダイオードP1−1〜P1−10それぞれからの出力電荷を転送させ、アンプA1で電圧信号に変換して制御装置8に出力する。同様に、ラインセンサーCL2は、フォトダイオードP2−1〜P2−10とアンプA2を備え、ラインセンサーCL3は、フォトダイオードP3−1〜P3−10とアンプA3を備える。
【0056】
第2偏光子68は、
図6に示すように、上述した固体撮像素子62におけるラインセンサーCL1〜CL3の構成に対応するように、3列のフィルター列FL1〜FL3を副走査方向に並設している。フィルター列FL1は、ラインセンサーCL1を構成するフォトダイオードP1−1〜P1−10それぞれへの入射光路上に配置されるフィルターF1−1〜F1−10で構成される。フィルター列FL2は、ラインセンサーCL2のフォトダイオードP2−1〜P2−10それぞれへの入射光路上に配置されるフィルターF2−1〜F2−10で構成される。フィルター列FL3は、ラインセンサーCL3のフォトダイオードP3−1〜P3−10それぞれへの入射光路上に配置されるフィルターF3−1〜F3−10で構成される。
【0057】
この第2偏光子68は、副走査方向に隣接して並ぶ3つのフィルターF1−N〜F3−N(Nは、フィルター列におけるフィルター位置を示し、本例では、1以上10以下の自然数)のうち、1つのフィルターを光沢測定用光学素子68bで構成するとともに、残りの2つのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。即ち、本実施形態の第2偏光子68は、副走査方向に隣接して並ぶ複数のフィルターのうち、少なくとも一つを光沢測定用光学素子68bで構成し、残りのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。尚、
図6の構成例では、測定用光学素子68bとして、
図3(c)で示すような光学素子のない構成としている。
【0058】
又、第2偏光子68は、各列のフィルター列FL1〜FL3それぞれにおいて、隣接する3つのフィルターを一群とし、そのうちの1つのフィルターを光沢測定用光学素子68bで構成するとともに、残りの2つのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。
図6の例では、フィルター列FL1で主走査方向に隣接する3つのフィルターF1−N〜F1−(N+2)のうち、フィルターF1−(N+2)を光沢測定用光学素子68bで構成すると、残りのフィルターF1−N,F1−(N+1)を測色用光学素子68aで構成する。
【0059】
そして、フィルター列FL2では、隣接する3つのフィルターF2−N〜F2−(N+2)のうち、フィルターF2−(N+1)を光沢測定用光学素子68bで構成し、フィルターF2−N,F2−(N+2)を測色用光学素子68aで構成する。更に、フィルター列FL3では、隣接する3つのフィルターF3−N〜F3−(N+2)のうち、フィルターF3−Nを光沢測定用光学素子68bで構成し、フィルターF3−(N+1),F3−(N+2)を測色用光学素子68aで構成する。
【0060】
このように構成することで、第2偏光子68のフィルターF1−N,F1−(N+1),F2−N,F2−(N+2),F3−(N+1),F3−(N+2)では、測色用光学素子68aの透過軸に対して垂直となる正反射光が遮光されるため、固体撮像素子62のフォトダイオードP1−N,P1−(N+1),P2−N,P2−(N+2),P3−(N+1),P3−(N+2)それぞれには、拡散反射光のみが入射される。一方、第2偏光子68のフィルターF1−(N+2),F2−(N+1),F3−Nでは、光沢測定用光学素子68bを正反射光が透過するため、固体撮像素子62のフォトダイオードP1−(N+2),P2−(N+1),P3−Nには、正反射光が入射される。
【0061】
従って、固体撮像素子62では、ラインセンサーCL1〜CL3それぞれから、2画素分の色画像データと1画素分の光沢画像データとが3画素周期で出力される。又、固体撮像素子62から出力される画像データは、副走査方向で同一画素位置となる画像データのうち、2画素分が色画像データとなる一方で1画素分が光沢画像データとなる。そして、固体撮像素子62から出力される3ライン分の画像データは、主走査方向に沿った3画素周期内で、光沢画像データの副走査方向における画素位置が1画素毎に切り換わる。
【0062】
このようにすることで、画像検査装置6は、3ライン分ごとに記録紙10の色画像データと光沢画像データとを同時に出力できるため、画像検査装置6における記録紙10に対する検査動作にかかる時間を短縮でき、記録紙10を印字出力するまでの搬送速度を速めることができる。又、制御装置7は、画像検査装置6から2ライン分の色画像データと1ライン分の光沢画像データを受ける。このとき、上述したように、光沢画像データの画素位置を主走査方向及び副走査方向それぞれで隣接させない構成とすることで、光沢画像データを出力する画素位置の色画像データについて、隣接する周囲の画素位置から取得された色画像データにより補間して算出できる。
【0063】
尚、本実施形態において、
図6の構成例のように、光沢測定用光学素子68bを
図3(c)で示すような光学素子のない構成としたが、
図7の構成例のように、透過軸方向を第1偏光子67の透過軸方向と一致させた光学素子(
図3(a)参照)で光沢測定用光学装置68bを構成するものとしても構わないし、
図8の構成例のように、透過軸方向を第1偏光子67の透過軸方向に対して傾斜させた光学素子(
図3(b)参照)で光沢測定用光学装置68bを構成するものとしても構わない。
【0064】
又、本実施形態において、上述したように、光沢測定用光学素子68bについて、光学素子を設置しない構成として、全ての反射光を透過できるものとしたが、
図9に示すように、透過する反射光の光量を減衰させる減光(ND:Natural Density)フィルター68cを設置する構成としても構わない。即ち、第2偏光子68のフィルターF1−(N+2),F2−(N+1),F3−Nを、減光(ND:Natural Density)フィルター68cで構成することで、光量を減衰させた正反射光を固体撮像素子62のフォトダイオードP1−(N+2),P2−(N+1)P3−Nに入射させる。従って、固体撮像素子62に入射される正反射光の光量を低減できるため、固体撮像素子62における正反射光の受光量が、固体撮像素子62のダイナミックレンジを超えることを防ぐことができる。
【0065】
尚、本実施形態において、画像検査装置6は、記録紙10に対して3行分毎に色画像データとともに光沢画像データを読み取るものとしたが、1行分毎に色画像データとともに光沢画像データを読み取るものであってもよい。1行分毎に色画像データとともに光沢画像データを読み取るものとした場合、ラインセンサーCL1〜CL3が、L(Lは、1以上の自然数)行目〜L+2行目の色画像データ及び光沢画像データを出力した後、記録紙10が1行分だけ搬送されて、ラインセンサーCL1〜CL3が、L+1行目〜L+3行目の色画像データ及び光沢画像データを出力する。
【0066】
その後、記録紙10が更に1行分だけ搬送されると、ラインセンサーCL1〜CL3が、L+2行目〜L+4行目の色画像データ及び光沢画像データを出力する。このとき、ラインセンサーCL1〜CL3それぞれから、L+2行目の色画像データ及び光沢画像データが出力されることとなる。従って、色画像データ及び光沢画像データそれぞれを補間しなくても、記録紙10全面の色画像データと光沢画像データとを取得できる。
【0067】
又、本実施形態において、固体撮像素子62を複数列のラインセンサーで構成するものであればよく、上述の例のようにラインセンサーCL1〜CL3によって構成されるものに限らない。そして、第2偏光子68は、固体撮像素子62を構成するラインセンサーと同数のフィルター列によって構成することで、固体撮像素子62の各画素に対応したフィルターを備える。
【0068】
このとき、第2偏光子68は、副走査方向に隣接して並ぶK(Kは、3以上の整数)個のフィルターを1群のフィルター群とするとき、各フィルター群の少なくとも一つのフィルターを光沢測定用光学素子68bで構成し、残りのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。又、第2偏光子68は、各フィルター列で主走査方向に並ぶフィルターにおいて、光沢測定用光学素子68bが隣接しないように構成する。即ち、上記フィルター群における測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bの配置位置が、主走査方向に隣接するフィルター群で異なるものとする。
【0069】
本実施形態の別例として、
図10に示すように、固体撮像素子62を4列のラインセンサーCL1〜CL4で構成した場合について、以下に説明する。このとき、第2偏光子68は、
図11に示すように、固体撮像素子62のラインセンサーCL1〜CL4それぞれに対応するフィルター列FL1〜FL4を備える。そして、副走査方向に隣接して並ぶ4つのフィルターF1−N〜F4−Nのうち、1つのフィルターを光沢測定用光学素子68bで構成するとともに、残りの3つのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。
【0070】
又、第2偏光子68は、各列のフィルター列FL1〜FL4それぞれにおいて、隣接する4つのフィルターを一群とし、そのうちの1つのフィルターを光沢測定用光学素子68bで構成するとともに、残りの3つのフィルターを測色用光学素子68aで構成する。
図11の例では、フィルター列FL1で主走査方向に隣接する4つのフィルターF1−N〜F1−(N+3)のうち、フィルターF1−(N+3)を光沢測定用光学素子68bで構成し、フィルター列FL2では、隣接する4つのフィルターF2−N〜F2−(N+3)のうち、フィルターF2−(N+2)を光沢測定用光学素子68bで構成し、フィルター列FL3では、隣接する4つのフィルターF3−N〜F3−(N+3)のうち、フィルターF3−(N+1)を光沢測定用光学素子68bで構成し、フィルター列FL4では、隣接する4つのフィルターF4−N〜F4−(N+2)のうち、フィルターF4−Nを光沢測定用光学素子68bで構成する。
【0071】
従って、固体撮像素子62では、ラインセンサーCL1〜CL4それぞれから、3画素分の色画像データと1画素分の光沢画像データとが4画素周期で出力される。又、固体撮像素子62から出力される画像データは、副走査方向で同一画素位置となる画像データのうち、3画素分が色画像データとなる一方で1画素分が光沢画像データとなる。そして、固体撮像素子62から出力される4ライン分の画像データは、主走査方向に沿った4画素周期内で、光沢画像データの副走査方向における画素位置が1画素毎に切り換わる。このようにすることで、画像検査装置6は、4ライン分ごとに記録紙10の色画像データと光沢画像データとを同時に出力できるため、
図5及び
図6の構成例と比べ、記録紙10を印字出力するまでの搬送速度を更に速めることができる。
【0072】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図12は、本実施形態の画像形成装置における画像検査装置の固体撮像素子62の構成を示す概略図であり、
図13は、当該画像検査装置における第2偏光子68の構成を示す概略図である。尚、
図12及び
図13において、
図5及び
図6における構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。本実施形態では、その説明を簡単にするため、
図12に示すように、画像検査装置6が、10画素のラインセンサーを5列に配列した固体撮像素子62を備えているものとするが、これらの数値に限定されるものではない。
【0073】
本実施形態の画像形成装置1における画像検査装置6は、
図12に示すように、固体撮像素子62を、複数画素を1列に配列したラインセンサーCL1〜CL5を副走査方向に並べて構成する。そして、第1の実施形態と同様、ラインセンサーCL1は、フォトダイオードP1−1〜P1−10とアンプA1を備え、ラインセンサーCL2は、フォトダイオードP2−1〜P2−10とアンプA2を備え、ラインセンサーCL3は、フォトダイオードP3−1〜P3−10とアンプA3を備え、ラインセンサーCL4は、フォトダイオードP4−1〜P4−10とアンプA4を備え、ラインセンサーCL5は、フォトダイオードP5−1〜P5−10とアンプA5を備える。
【0074】
第2偏光子68は、
図13に示すように、上述した固体撮像素子62におけるラインセンサーCL1〜CL5の構成に対応するように、5列のフィルター列FL1〜FL5を並設している。そして、第1の実施形態は、フィルター列FL1は、フィルターF1−1〜F1−10を備え、フィルター列FL2は、フィルターF2−1〜F2−10を備え、フィルター列FL3は、フィルターF3−1〜F3−10を備え、フィルター列FL4は、フィルターF4−1〜F4−10を備え、フィルター列FL5は、フィルターF5−1〜F5−10を備える。
【0075】
本実施形態では、
図13に示すように、フィルター列FL1〜FL4それぞれの各フィルターF1−1〜F4−10それぞれを、
図3(d)に示す測色用光学素子68aで構成する。又、フィルター列FL5の各フィルターF5−1〜F5−10それぞれを、
図3(a)〜(c)に示す光沢測定用光学素子68bで構成する。尚、
図13の構成例では、フィルター列FL5に対して、
図3(c)で示すような光学素子のない構成としている。
【0076】
このように構成することで、第2偏光子68のフィルター列FL1〜FL4では、測色用光学素子68aの透過軸に対して垂直となる正反射光が遮光されるため、固体撮像素子62のラインセンサーCL1〜CL4それぞれには、拡散反射光のみが入射される。一方、第2偏光子68のフィルター列FL5では、光沢測定用光学素子68bを正反射光が透過するため、固体撮像素子62のラインセンサーCL5には、正反射光が入射される。
【0077】
画像検査装置6では、記録紙10の反射光を第2偏光子68に透過させることで、固体撮像素子62は、ラインセンサーCL1〜CL4から4ライン分の色画像データを出力すると同時に、ラインセンサーCL5より1ライン分の光沢画像データを出力する。このようにすることで、画像検査装置6は、5ライン分ごとに記録紙10の色画像データと光沢画像データとを同時に出力できるため、画像検査装置6における記録紙10に対する検査動作にかかる時間を短縮でき、記録紙10を印字出力するまでの搬送速度を速めることができる。又、4ライン分の色画像データを用いることにより、色画像データの副走査方向の解像度を高めることができ、画像検査装置6からの色画像データに基づく色再現性を高精細なものとできる。
【0078】
本実施形態において、第1の実施形態と同様、フィルター列FL5の各フィルターF5−1〜F5−10それぞれを、
図3(a)及び(b)に示す光沢測定用光学素子68bで構成するものとしても構わないし、減光フィルター68c(
図9参照)で構成するものとしても構わない。
【0079】
又、本実施形態において、固体撮像素子62を複数列のラインセンサーで構成するものであればよく、上述の例のようにラインセンサーCL1〜CL5によって構成されるものに限らない。更に、第2偏光子68についても、固体撮像素子62を構成するラインセンサーの列数と同数のフィルター列で構成するものであって、K(Kは、3以上の整数)列のフィルター列のうち、少なくとも1列を光沢測定用光学素子68bで構成する。そして、測色用光学素子68aによるフィルター列の列数を、光沢測定用光学素子68bによるフィルター列の列数より多いことが好ましい。
【0080】
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図14は、本実施形態の画像形成装置における画像検査装置の第2偏光子68の構成を示す概略図である。尚、本実施形態の画像形成装置は、第1の実施形態と同様、
図5に示す構成の固体撮像素子を備えるものとして、以下に説明する。そして、本実施形態では、その説明を簡単にするため、第1の実施形態と同様、
図5に示すように、画像検査装置6が、10画素のラインセンサーを3列に配列した固体撮像素子62を備えているものとするが、これらの数値に限定されるものではない。又、
図14において、
図6における構成と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0081】
本実施形態の画像形成装置1における画像検査装置6は、
図14に示すように、第2偏光子68を、3列のフィルター列FLx1〜FLx3を副走査方向に並べて構成する。フィルター列FLx1〜FLx3はいずれも同一の構成を有しており、測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bとを交互に配置している。即ち、第2偏光子68において、副走査方向に一列に並んで配置される測色用光学素子68aと、副走査方向に一列に並んで配置される光沢測定用光学素子68bとが、主走査方向に交互に配置される。又、第2偏光子68における測色用光学素子68aは、
図3(a)に示すように、透過軸方向を第1偏光子67の透過軸方向と一致させた光学素子とされる。
【0082】
このように構成することで、第2偏光子68のフィルターF1−N,F2−N,F3−Nでは、正反射光が遮光されるため、固体撮像素子62のフォトダイオードP1−N,P2−N,P3−Nそれぞれには、拡散反射光のみが入射される。一方、第2偏光子68のフィルターF1−(N+1),F2−(N+1),F3−(N+1)では、正反射光が透過するため、固体撮像素子62のフォトダイオードP1−(N+1),P2−(N+1),P3−(N+1)には、正反射光が入射される。
【0083】
従って、固体撮像素子62では、ラインセンサーCL1〜CL3それぞれから、同一周期で、色画像データと光沢画像データとを交互に出力する。このようにすることで、画像検査装置6は、3ライン分ごとに記録紙10の色画像データと光沢画像データとを同時に出力できるため、画像検査装置6における記録紙10に対する検査動作にかかる時間を短縮でき、記録紙10を印字出力するまでの搬送速度を速めることができる。
【0084】
尚、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、固体撮像素子62を複数列のラインセンサーで構成するものであればよく、上述の例のようにラインセンサーCL1〜CL3によって構成されるものに限らない。そして、第2偏光子68は、固体撮像素子62を構成するラインセンサーと同数のフィルター列によって構成することで、固体撮像素子62の各画素に対応したフィルターを備える。
【0085】
又、本実施形態において、測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bとを主走査方向で同一画素位置に配置したフィルター列FLx1〜FLx3によって第2偏光子68を構成するものとしたが、
図15に示すように、2列目については、1列目及び3列目のフィルター列FLx1,FLx3とは逆に測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bとを配置したフィルター列FLy2で構成されるものとしても構わない。即ち、第2偏光子68において、主走査方向及び副走査方向のいずれにおいても、測色用光学素子68aと光沢測定用光学素子68bとが交互に配置される。
【0086】
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態の画像形成装置について、以下に、図面を参照して説明する。
図16は、本実施形態の画像形成装置における画像検査装置の第2偏光子68の構成を示す概略図である。尚、本実施形態の画像形成装置は、第2の実施形態と同様、
図12に示す構成の固体撮像素子を備えるものとして、以下に説明する。そして、本実施形態では、その説明を簡単にするため、第2の実施形態と同様、
図12に示すように、画像検査装置6が、10画素のラインセンサーを5列に配列した固体撮像素子62を備えているものとするが、これらの数値に限定されるものではない。
【0087】
本実施形態の画像形成装置1における画像検査装置6は、
図16に示すように、第2偏光子68として、他孔状に微細加工した金属薄膜68dを備える。この第2偏光子68を構成する金属薄膜68bは、固体撮像素子62を構成するラインセンサーCL1〜CL5を覆う板形状を有している。そして、金属薄膜68bは、主走査方向及び副走査方向それぞれに沿って、一画素置きに貫通穴681を設けた多孔板形状である。
【0088】
このように構成することで、金属薄膜68dの貫通穴681のみを反射光が通過することとなるため、固体撮像素子62には、金属薄膜68dの貫通穴681を通過した反射光が入射されることとなる。ところで、固体撮像素子62は、ラインセンサーCL1,CL3,CL5それぞれにおいて、貫通穴681に対応する画素位置に奇数番目のフォトダイオードPD1を配置している一方で、ラインセンサーCL2,CL4それぞれにおいて、貫通穴681に対応する画素位置に偶数番目のフォトダイオードPD4を配置している。即ち、ラインセンサーCL1,CL3,CL5における偶数番目のフォトダイオードPD2と、ラインセンサーCL2、CL4における奇数番目のフォトダイオードPD3とが、金属薄膜68dで覆われる。
【0089】
固体撮像素子62は、貫通穴681を通過する正反射光を、ラインセンサーCL1,CL3,CL5におけるフォトダイオードPD1と、ラインセンサーCL2,CL4におけるフォトダイオードPD4で受光する。一方、ラインセンサーCL1,CL3,CL5におけるフォトダイオードPD2と、ラインセンサーCL2,CL4におけるフォトダイオードPD3とは、金属薄膜68dで覆われているため、主走査方向及び副走査方向それぞれで隣接した画素位置の貫通穴681を通過する拡散反射光を受光する。
【0090】
従って、固体撮像素子62は、各ラインセンサーCL1〜CL5から、光沢画像データと色画像データとを画素毎に交互に出力する。このとき、ラインセンサーCL1,CL3,CL5が、色画像データ、光沢画像データの順に交互に出力する場合、ラインセンサーCL2,CL4が、光沢画像データ、色画像データの順に交互に出力する。
【0091】
尚、本実施形態においても、第2の実施形態と同様、固体撮像素子62を複数列のラインセンサーで構成するものであればよく、上述の例のようにラインセンサーCL1〜CL4によって構成されるものに限らない。そして、第2偏光子68は、固体撮像素子62を構成するラインセンサーを覆う多孔状の金属薄膜68dで構成するとともに、金属薄膜68dにおける貫通穴681は、各ラインセンサーに対応する位置に1画素置きに設けられる。又、本実施形態において、第2偏光子68を構成するものとしては、記録紙10からの反射光を遮光するものであればよく、金属薄膜68dに限らず、例えば、遮光性を有する樹脂材料で構成された薄膜等のように、金属以外の材質で構成されるものとしても構わない。
【0092】
上述の基本構成及び第1〜第4の実施形態において、第2偏光子68が、固体撮像素子62と結像レンズ63との間に配置されるものとしたが、記録紙10からの正反射光の進む光路上に配置されるものであればよい。即ち、第2偏光子68は、記録紙10の読取位置P1と反射鏡65Aとを結ぶ光路上、反射鏡65A,65Bを結ぶ光路上、反射鏡65B,65Cの光路上、反射鏡65Cと結像レンズ63とを結ぶ光路上などに、配置するものとしても構わない。
【0093】
又、上述の基本構成及び第1〜第4の実施形態において、第1偏光子67が、光源61と読取位置P1との間に配置されるものとしたが、例えば、記録紙10の読取位置P1と反射鏡65Aとを結ぶ光路上などのように、第2偏光子68に入射される前に記録紙10からの反射光を偏光する位置に配置してもよい。更に、上述の基本構成及び第1〜第4の実施形態において、本発明における画像形成装置として、電子写真方式による画像形成装置を例に挙げて説明したが、上述した画像検査装置及び制御装置を備えるものであれば、電子写真方式に限られず、インクジェット方式など、他の方式による画像形成機構を備えた画像形成装置であっても構わない。