(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0016】
=運転計画生成装置の構成=
本実施形態に係る運転計画生成装置100は、
図4に示すように、発電機1(G1)(発電設備1(G1)とも記す)、発電機2(G2)(発電設備2(G2)とも記す)、負荷L(負荷設備Lとも記す)、太陽光発電機PV、蓄電池B(蓄電設備Bとも記す)が、送電線路Tを介して接続されて構成される電力系統1000における発電機1(G1)、発電機2(G2)及び蓄電池Bの運転計画を生成する装置である。
【0017】
図4には、発電機1(G1)及び発電機2(G2)が記載されているが、両者を区別して説明する必要がない場合には、まとめて発電機G(発電設備G)と記す。
【0018】
発電設備Gは、火力発電所や水力発電所、原子力発電所における発電機、あるいはディーゼル発電機などのように、電力に変換されるエネルギーの使用量を制御することにより発電量を制御可能な電力生成装置である。
【0019】
また太陽光発電機PVは、電力に変換される太陽光エネルギーの使用量が気象条件に大きく依存し、発電量を制御することが困難な電力生成装置である。
【0020】
また蓄電設備Bは、発電設備Gや太陽光発電機PVにより生成された電力を内部に充電し、内部に充電した電力を放電することが可能な装置である。
【0021】
負荷設備Lは、発電設備G、太陽光発電機PV及び蓄電設備Bから送電線路Tを介して供給される電力を消費する装置である。
【0022】
また
図4には示されていないが、電力系統1000には、上記構成要素以外にも、調相設備Sや変圧器、風力発電機などが含まれていてもよい。
【0023】
また本実施形態に係る運転計画生成装置100は、最適潮流計算を行って、発電設備G及び蓄電設備Bの1週間分の運転計画を生成する場合を一例として説明する。もちろん運転計画の生成対象期間は1週間に限られず、1日、2日、1か月など、適宜設定することができる。詳細は後述する。
【0024】
本実施形態に係る運転計画生成装置100の全体構成を
図1及び
図2に示す。
図1は、運転計画生成装置100のハードウェア構成を説明するための図であり、
図2は、運転計画生成装置100の機能構成を説明するための図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る運転計画生成装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、通信装置130、記憶装置140、入力装置150、出力装置160及び記録媒体読取装置170を有して構成されるコンピュータである。
【0026】
CPU110は運転計画生成装置100の全体の制御を司るもので、記憶装置140に記憶される本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成される制御プログラム600をメモリ120に読み出して実行することにより、運転計画生成装置100としての各種機能を実現する。
【0027】
例えば、詳細は後述するが、CPU110により制御プログラム600が実行され、メモリ120や通信装置130、記憶装置140等のハードウェア機器と協働することにより、取得部101、運転計画算出部102などが実現される。
【0028】
メモリ120は例えば半導体記憶装置により構成することができる。
【0029】
通信装置130は、ネットワークカードなどのネットワークインタフェースである。通信装置130は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して他のコンピュータからデータを受信し、受信したデータを記憶装置140やメモリ120に記憶する。また通信装置130は、記憶装置140やメモリ120に記憶されているデータを、ネットワークを介して他のコンピュータへ送信する。
【0030】
入力装置150は、キーボードやマウス、マイク等の装置であり、運転計画生成装置100の操作者による情報の入力を受け付けるための装置である。出力装置160は、LCD(Liquid Crystal Display)やプリンタ、スピーカ等の装置であり、情報を出力するための装置である。
【0031】
記憶装置140は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができる。記憶装置140は、各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための物理的な記憶領域を提供する装置である。
図3には、記憶装置140に制御プログラム600及びデータ記憶部700が記憶されている様子を示す。
【0032】
なお、制御プログラム600は、記録媒体読取装置170を用いて、記録媒体(各種の光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ等)800から記憶装置140に読み出すことで、運転計画生成装置100に格納されるようにすることもできるし、通信装置130を介して通信可能に接続される他のコンピュータから取得することで、運転計画生成装置100に格納されるようにすることもできる。
【0033】
またデータ記憶部700には、後述する運転計画算出部102によって参照される目的関数や制約条件、負荷設備Lの電力消費量の所定時間毎の予測値、太陽光発電機PVの発電量の所定時間毎の予測値、系統データなどが記憶されている。
【0034】
また電力系統1000に風力発電機が含まれる場合には、データ記憶部700には、風力発電機の発電量の所定時間毎の予測値も記憶されている。
【0035】
系統データは、例えば送電線路Tの線路インピーダンス、負荷Lの有効電力及び無効電力、発電機Gの燃料費係数(円/kWh等の指標)、発電機Gの有効電力及び無効電力、蓄電池Bの有効電力及び無効電力、調相設備Sの容量、ノード電圧に対する上下限値等を含む。
【0036】
次に、
図2に示すように、本実施形態に係る運転計画生成装置100は、取得部101、運転計画算出部102の各機能ブロックを備えて構成されている。
【0037】
取得部101は、運転計画生成装置100が最適潮流計算を行う際に用いる、発電設備Gの発電コストを算出するための目的関数や、発電設備G及び蓄電設備Bの運転に関する制約条件を、入力装置150、あるいは通信装置130から取得して、データ記憶部700に記憶する。
【0038】
また運転計画生成装置100は、運転計画の対象期間中(本実施形態では一例として1週間)の負荷設備Lの電力消費量の所定時間毎(例えば1時間毎)の予測値、太陽光発電機PVの発電量の所定時間毎の予測値、及び系統データを、入力装置150あるいは通信装置130から取得して、データ記憶部700に記憶する。
【0039】
電力系統1000に風力発電機が含まれる場合には、運転計画生成装置100は、風力発電機の発電量の所定時間毎の予測値も取得してデータ記憶部700に記憶する。
【0040】
運転計画算出部102は、運転計画の対象期間中の負荷設備Lの電力消費量の所定時間毎の予測値、太陽光発電機PVの発電量の所定時間毎の予測値、系統データ、及び電力系統1000に風力発電機が含まれる場合には風力発電機の発電量の所定時間毎の予測値に基づいて、制約条件を満たしつつ目的関数の値を最小にするような、発電設備G及び蓄電設備Bの運転計画を算出する。
【0041】
つまり運転計画算出部102は、目的関数と制約条件とを用いて、電力系統1000の運用状態がより最適な状態になるような、操作量、電圧解、その他従属変数を計算する。運転計画算出部102は、数理計画法などの最適化手法を用いて最適潮流計算を行うことで、最適解を計算する。
【0042】
なお、以下の説明において、電力系統1000に風力発電機が含まれる場合については特に記載しないが、本実施形態に係る運転計画生成装置100は、電力系統1000に風力発電機が含まれる場合には、風力発電機の発電量の所定時間毎の予測値を用いて、発電設備G及び蓄電設備Bの運転計画を算出する。
【0043】
続いて、本実施形態に係る運転計画生成装置100が行う最適潮流計算について説明する。運転計画生成装置100は、式(1)〜(4)のように非線形最適化問題として与えられる最適化問題を解くことにより、最適潮流計算を行う。
【0044】
Minimize f ( x, u, z ) (1)
Subject to g
1(x, u, z) = 0 (2)
g
2(x, u, z) = 0 (3)
h(x, u, z) ≦0 (4)
ここで、xは電圧解、uは操作量、zは操作量により従属的に決まる変数(発電機Gの無効電力や変圧器タップ値など)である。
【0045】
式(1)は目的関数、式(2)は潮流方程式であらわされる等式制約、式(3)は潮流方程式以外の等式制約(変圧器等の特性、SVC(Static Var Compensator)などの制御ロジック)、式(4)は不等式制約(電圧の指定値、送電線路Tの潮流値等)である。
【0046】
本実施形態に係る運転計画生成装置100は、数理計画法などの手法によって、式(1)〜式(4)のように与えられた非線形最適化問題に対して、最適潮流計算を行う。
【0047】
なお、式(2)において潮流方程式が与えられるが、潮流方程式は電力系統1000内の各ノードで指定された有効電力と無効電力の供給あるいは消費が各ノードの電圧や線路インピーダンスからなる回路方程式により得られた有効電力と無効電力と一致していることを意味する。
【0048】
<目的関数>
発電機Gの有効電力出力の発電コストを算出するための目的関数は、例えば以下の式(5)のように定式化される。
【0049】
【数1】
ここで、Gi(i=1〜n)は発電機番号、Gnは発電機の数、P
Gi(t)は時刻tにおける発電機Giの有効電力出力値、a
Gi、b
Gi、c
Giは発電機Giの有効電力P
Gi(t)と発電コストFcostの関係を示す係数である。発電コストFcostは、発電機Giの有効電力出力P
Gi(t)の二次関数で近似されるため、このような定式化が行われる。
【0050】
<制約条件>
次に制約条件について説明する。上述した様に、制約条件には等式制約と不等式制約とが含まれる。本実施形態では、等式制約の例として潮流方程式を含み、不等式制約の例として、電圧の上下限制約や送電線路Tの潮流制約、設備容量制約等を含む。
【0051】
潮流方程式は、例えば式(6)、(7)により表される。式(6)は有効電力成分に関する潮流方程式であり、式(7)は無効電力成分に関する潮流方程式である。
【0053】
【数3】
ここで、Giは発電機番号、P
Gi(t)は時刻tにおけるGi発電機の有効電力出力値、Biは蓄電池番号、P
Bi(t)は時刻tにおける蓄電池Biの有効電力出力値、Liは負荷番号、P
Li(t)は時刻tにおける負荷Liの有効電力消費量、Q
Gi(t)は時刻tにおける発電機Giの無効電力出力値、Q
Bi(t)は時刻tにおける蓄電池Biの無効電力出力値、Q
Li(t)は時刻tにおける負荷Liの無効電力消費量、θi(t)、θj(t)は、それぞれ時刻tにおけるノードi、jの位相角の値である。
【0054】
Vi(t)、Vj(t)は、それぞれ時刻tにおけるノードi、jの電圧振幅の値である。Gij(t)、Bij(t)はそれぞれ時刻tにおける電力系統のアドミタンス行列のi行j列の実部と虚部である。
【0055】
なお、変圧器タップや調相設備容量を考慮する場合は、アドミタンス行列は変圧器タップや調相設備容量を変数とする関数となる。
【0056】
送電線路Tの潮流制約は、例えば式(8)のように表される。
【0057】
【数4】
ここで、θi(t)、θj(t)は、それぞれ時刻tにおけるノードi、jの位相角の値である。Vi(t)、Vj(t)は、それぞれ時刻tにおけるノードi、jの電圧振幅の値である。Gij(t)、Bij(t)はそれぞれ時刻tにおける電力系統のアドミタンス行列のi行j列の実部と虚部である。また、線路熱容量の定格値をP
Rとする。
【0058】
また電圧の振幅V
i(t)の上下限制約は、例えば式(9)のように表現される。電圧の振幅V
i(t)の上下限制約は、各ノードの電圧の振幅を所定範囲内に維持するための制約である。
【0059】
【数5】
ただし、V
Liは電圧の下限値、V
Uiは電圧の上限値である。
【0060】
その他、設備容量の上下限や変化率などの各種制約については、これらを設備容量制約として与えることができる。設備容量制約には、例えば、以下の(a)〜(j)のような制約が含まれる。
【0061】
(a)発電機Gの有効電力出力値上下限制約
(b)発電機Gの無効電力出力値上下限制約
(c)発電機Gの有効電力出力変化率上下限制約
(d)蓄電池Bの有効電力出力値上下限制約
(e)蓄電池Bの無効電力出力値上下限制約
(f)蓄電池BのSOC上下限制約
(g)調相設備容量上下限制約
(h)変圧器タップ変動幅上下限制約
(i)変圧器移相角上下限制約
(j)運転計画生成対象期間中の蓄電池BのSOC(充電率制約条件とも記す)。
【0062】
上記(j)に示す充電率制約条件は、運転計画の生成対象期間中(本実施形態では例えば1週間)の特定期間(例えば1日)の開始時点及び終了時点における蓄電池Bの充電率SOCを定めた制約である。
【0063】
具体的には、充電率制約条件は、運転計画の対象期間中の特定期間の開始時点(例えば所定時刻)における蓄電池Bの充電率である第1充電率と、特定期間の終了時点(例えば翌日の同時刻)における蓄電池Bの充電率である第2充電率と、を定めた制約である。
【0064】
以下に、具体的な例を参照しながら、本実施形態に係る充電率制約条件について説明する。
【0065】
図5は、運転計画の対象期間を、1週間(月曜日〜日曜日)に設定すると共に、この1週間の各日にそれぞれ対応するように7つの特定期間を設定した場合において、それぞれの特定期間の開始時点及び終了時点における蓄電池Bの充電率を設定した充電率制約条件の例を示す。
【0066】
この充電率制約条件は、月曜日の開始時点(月曜日の0時)における蓄電池Bの充電率(第1充電率)を50%とし、月曜日の終了時点(月曜日の24時)における蓄電池Bの充電率(第2充電率)を45%とすることを規定している。
【0067】
同様に、この充電率制約条件は、火曜日の開始時点(=月曜日の終了時点)における蓄電池Bの充電率(第1充電率)を45%とし、火曜日の終了時点における蓄電池Bの充電率(第2充電率)を40%とすることを規定している。
【0068】
さらに同様に、この充電率制約条件は、日曜日の開始時点における蓄電池Bの充電率(第1充電率)を35%とし、日曜日の終了時点における蓄電池Bの充電率(第2充電率)を50%にすることを規定している。
【0069】
なお、本実施形態では、
図5中に記載されているように、月曜日から金曜日の各日を平日とし、土曜日及び日曜日を休日とした場合を例示しているが、曜日と平日及び休祝日との対応関係は、特定の関係に限定されるものではない。
【0070】
例えば、月曜日から金曜日のいずれかの日が国民の祝日である場合には、その日は平日ではなく休祝日としてよい。
【0071】
さらに、例えば本実施形態に係る電力系統1000が、ある企業内で運用される電力系統1000であるような場合には、曜日とは関係なく、その企業の操業日を平日とし、非操業日を休祝日とすればよい。
【0072】
つまり、本実施形態においては、運転計画の対象期間(例えば1週間)のうち、相対的に電力使用量の多い日と少ない日とを区別できれば良く、そのための一例として、電力使用量が多い日として平日を想定し、少ない日として休祝日を想定しているに過ぎない。
【0073】
次に、本実施形態に係る充電率制約条件における蓄電池Bの充電率の設定方法ついて説明する。
【0074】
<第1の方法>
第1の方法では、運転計画生成装置100は、毎日の日電力量(電力消費量の予測値の1日の合計値)の比から充電率制約条件のSOCを定める。つまり、運転計画生成装置100は、1週間の負荷データ(電力消費量の予測値)から各曜日間の日電力量の比率を算出し、これらの比から充電率制約条件のSOCを定める。なお各曜日の日電力量の比率を算出する際には、運転計画生成装置100は、平日と休祝日とに分けて算出する。
【0075】
具体的には、運転計画生成装置100は、平日の各曜日間の日電力量の比率を計算する。平日の各曜日間の日電力量の比率は、平日の全電力量が1となるように正規化した係数である。
【0076】
また運転計画生成装置100は、休日の各曜日間の日電力量の比率を計算する。休日の各曜日間の日電力量の比率は、休日の全電力量が1となるように正規化した係数である。
【0077】
そして運転計画生成装置100は、SOCの下限値を金曜日の計画終端時のSOC目標値に設定する。
【0078】
そして運転計画生成装置100は、平日の各日の日電力量の比率、及び休祝日の各日の日電力量の比率に基づき、毎日のSOC目標値を算出する。
【0080】
P
L1、P
L2、…P
L7を1週間の各日の日電力量とする。また、週間計画開始時(月曜日の開始時点)のSOCをSOC
0、週間計画終端時(日曜日の終了時点)のSOCをSOC
7とし、SOCの上下限値をSOC
max 、SOC
minとする。なお、これらの値はあらかじめ与えられているものとする。
【0081】
平日の日電力量の各曜日間の比率をK
1、K
2、…K
5とすると、K
1、K
2、…K
5は、式(10)〜(14)で計算される。
【0082】
K
1= P
L1/( P
L1+ P
L2+…+ P
L5) (10)
K
2= P
L2/( P
L1+ P
L2+…+ P
L5) (11)
K
3= P
L3/( P
L1+ P
L2+…+ P
L5) (12)
K
4= P
L4/( P
L1+ P
L2+…+ P
L5) (13)
K
5= P
L5/( P
L1+ P
L2+…+ P
L5) (14)
ただし、K
1+K
2+K
3+K
4+K
5=1となる。
【0083】
また休日の日電力量の各曜日間の比率をK
6、K
7とすると、K
6、K
7は、式(15)(16)で計算される。
【0084】
K
6= P
L6/( P
L6+ P
L7) (15)
K
7= P
L7/( P
L6+ P
L7) (16)
ただし、 K
6+K
7 =1となる。
【0085】
また金曜日の計画終端時のSOC目標値は、式(17)となる。
【0086】
SOC
5= SOC
min (17)
そして、毎日の計画終端時(月曜日から日曜日の各日の終了時点)のSOC目標値(SOC
1 からSOC
7)は、各曜日間の日電力量の比率K
1…K
7を用いて、式(18)〜(24)により算出することができる。
【0087】
そして運転計画生成装置100は、式(18)〜(24)により算出した各日のSOC目標値を充電率制約条件として、データ記憶部700に記憶する。
【0088】
SOC
1= SOC
0−K
1(SOC
0−SOC
min) (18)
SOC
2= SOC
1−K
2(SOC
0−SOC
min) (19)
SOC
3= SOC
2−K
3(SOC
0−SOC
min) (20)
SOC
4= SOC
3−K
4(SOC
0−SOC
min) (21)
SOC
5= SOC
4−K
5(SOC
0−SOC
min) (22)
SOC
6= SOC
5+K
6(SOC
7−SOC
min) (23)
SOC
7= SOC
6+K
7(SOC
7−SOC
min) (24)
ただし、上述した様に、K
1+K
2+K
3+K
4+K
5=1、K
6+K
7 =1となる。
【0089】
なお式(22)と式(24)は、理解容易化のために記載しているが、金曜日の計画終端時のSOC目標値は、予め式(17)により与えられており、同様に、日曜日の計画終端時のSOC目標値SOC
7も予め与えられている。式(22)及び式(24)を用いて計算した値は、予め与えられた値と同じになるため、計算を行わなくてもよい。
【0090】
上記の様に計算することにより、運転計画生成装置100は、運転計画生成対象期間内の特定期間が平日である場合には、当該特定期間の開始時点における充電率である第1充電率と、終了時点における充電率である第2充電率との差分が、対象期間内の全平日の電力消費量の合計値と、当該特定期間における電力消費量の合計値と、の比率に応じた値になるように第1充電率及び第2充電率の値を定める。
【0091】
また特定期間が休祝日である場合には、運転計画生成装置100は、当該特定期間の第1充電率と第2充電率との差分が、対象期間内の全休祝日の電力消費量の合計値と、当該特定期間における電力消費量の合計値と、の比率に応じた値になるように第1充電率及び第2充電率の値を定める。
【0092】
<第2の方法>
第2の方法では、運転計画生成装置100は、発電機Gの発電コストを求めるための目的関数を、制約条件を満たしつつ最小化するように最適化計算を行うことにより、運転計画生成対象期間内の各日のSOC目標値を計算する。
【0093】
この場合、運転計画生成装置100は、一日を1時点と考え、1週間一括で最適化計算を行い、SOC目標値を計算する。
【0094】
運転計画生成装置100は、式(25)〜(28)を用いて最適化計算を行う。
【0095】
発電機Gの有効電力出力の発電コストを表す目的関数は、例えば式(25)のように表される。
【0096】
【数6】
ここで、Gi(i=1〜n)は発電機番号、Gnは発電機Gの数、P
Gi(x)は日付xにおける発電機Giの日間での有効電力出力量、a
Gi、b
Gi、c
Giは発電機Giの有効電力と発電コストの関係を示す係数である。発電コストは、発電機Gの有効電力出力の二次関数で近似されるため、式(25)のような定式化が行われる。
【0097】
次に制約条件について説明する。制約条件のうち、等式制約は需給バランス制約であり、不等式制約は設備容量制約等である。
【0098】
需給バランス制約は、例えば式(26)のように表わされる。
【0099】
【数7】
ただし、Giは発電機番号、P
Gi(x)は日付xにおける発電機Giの日間での有効電力出力量、Biは蓄電池番号、P
Bi(x)は日付xにおける蓄電池Biの日間での有効電力出力量、Liは負荷番号、 P
Li(t)は日付xにおける負荷Liの日電力量である。
【0100】
また設備容量制約は、例えば、式(27)(28)により表される。
【0101】
【数8】
ただし、P
GiMINは日間での発電機Gの有効電力出力量の下限値、P
GiMAXは日間での発電機Gの有効電力出力量の上限値である。
【0102】
【数9】
ただし、SOC
BiMINは蓄電池BのSOCの下限値、SOC
BiMAXは蓄電池BのSOCの上限値である。
【0103】
また、週間計画開始時(例えば月曜日の開始時点)および週間計画終了時(例えば日曜日の終了時点)の蓄電池BのSOCの値は、あらかじめ設定で決めるものとして制約として組み込む。
【0104】
運転計画生成装置100は、上記の目的関数と制約条件を作成し最適化計算を行うことにより、運転計画生成対象期間内の各日のSOC目標値を計算することができる。
【0105】
そして運転計画生成装置100は、各日のSOC目標値を充電率制約条件として、データ記憶部700に記憶する。
【0106】
=処理の流れ=
次に、本実施形態に係る運転計画生成装置100が、
図5に示した充電率制約条件を含む様々な制約条件を満たしつつ、発電コストFcostに関する目的関数を最小化するように最適潮流計算を行う場合の処理の流れを示すフローチャートを
図6に示す。
【0107】
まず運転計画生成装置100は、データ記憶部700から、負荷設備Lの電力消費量の1時間毎の予測値、太陽光発電機PVからの1時間毎の発電量の予測値、及び系統データを取得する(S1000)。これらの予測値は、各種の気象予報や過去の実績データなどを用いて予め計算されている。
【0108】
次に運転計画生成装置100は、発電設備Gの発電コストFcostを求めるための目的関数、及び発電設備G及び蓄電設備Bの運転に関する制約条件を、データ記憶部700から取得する(S1010)。
【0109】
そして運転計画生成装置100は最適潮流計算を行い、制約条件を満たしつつ、目的関数を最小化するような、1週間分の発電設備G及び蓄電設備Bの運転計画を生成する(S1020)。
【0110】
そして運転計画生成装置100は、生成した運転計画を出力装置160あるいは通信装置130に出力する(S1030)。
【0111】
=運転計画=
このようにして本実施形態に係る運転計画生成装置100が、
図5に示した充電率制約条件を含む制約条件を満たしつつ、発電コストFcostに関する目的関数を最小化するように生成した1週間分の運転計画を、
図7及び
図8に示す。
【0112】
図7に記載されている「負荷有効電力」は、負荷設備Lの電力消費量の所定時間毎の予測値を表す。
【0113】
また同様に、
図7に記載されている「太陽光発電機」は、各種の気象予報や過去の発電実績などを用いて予め計算された太陽光発電機PVからの所定時間毎の発電量の予測値である。
【0114】
図7に示すように、運転計画生成装置100は、発電機G1及び発電機G2の発電コストFcostを最小化するように最適潮流計算を行った結果、平日の月曜日から金曜日の各日においては、1日のうちで「負荷有効電力」が相対的に低くなる時間帯(深夜)に、発電機G1に対して「負荷有効電力」を上回る電力を発電させて、余剰電力を蓄電池Bに充電しておくようにし、蓄電池Bに充電しておいた電力を、1日のうちで「負荷有効電力」が相対的に高くなる時間帯(昼間)に放電して、発電機G1及び発電機G2の発電量を抑制する、という運転計画を生成している。そのため、発電機G1の運転が平準化されると共に、発電機G1、発電機G2の発電量を全体として抑制することができ、発電機G1及び発電機G2を効率的に運用することが可能となる。
【0115】
また、
図8に示すように、運転計画生成装置100は、
図5に示した充電率制約条件を満たすように、各日の蓄電池Bの運転計画を生成している。
【0116】
具体的には、運転計画生成装置100は、平日の月曜日から金曜日の各日においては、各日の開始時点における蓄電池Bの充電率である第1充電率よりも、終了時点における第2充電率の方が小さくなるように蓄電池Bの運転計画を生成している。
【0117】
また運転計画生成装置100は、休祝日の土曜日及び日曜日においては、各日の開始時点における蓄電池Bの充電率である第1充電率よりも、終了時点における第2充電率の方が大きくなるように蓄電池Bの運転計画を生成している。
【0118】
このように、本実施形態に係る運転計画生成装置100は、1週間の負荷有効電力の変動特性を考慮し、負荷有効電力が休祝日に比べて大きい平日では、1日の最終時刻における蓄電池BのSOCが、1日の開始時刻における蓄電池BのSOCよりも少なくなるように、蓄電池BのSOCを設定する。一方で、負荷有効電力が平日に比べて小さい休祝日では、1日の最終時刻における蓄電池BのSOCが、1日の開始時刻における蓄電池BのSOCよりも多くなるように、蓄電池BのSOCを設定する。
【0119】
このように設定することにより、負荷有効電力が休祝日に比べて大きな平日においては、蓄電池Bの充電率を日々下げていくことにより生み出される電力によって発電機G1からの発電量を減少させることができる。
【0120】
逆に負荷有効電力が平日に比べて少ない休祝日においては、蓄電池Bの充電率を日々上げていくために必要となる充電電力を発電機G1に生成させることで、発電機G1の発電量を増加させることができる。
【0121】
このようにして、本実施形態に係る運転計画生成装置100によれば、電力系統1000内の発電機G1の発電量をより平準化させるように運転計画が生成されるため、より効率的に電力系統1000を運用することが可能となる。
【0122】
なお、本実施形態に係る運転計画生成装置100は、上記の様にして求めた運転計画を出力装置160に出力するか、あるいは通信装置130を介して他のコンピュータに送信することで処理を終了するが、
図9に示すように、電力系統1000内の各構成機器を制御するようにすることもできる。
【0123】
図9に示す例では、運転計画生成装置100が、2つの発電機G、蓄電池B、及び調相設備Sに対する制御を行う様子が示されている。
【0124】
このような態様によれば、より効率的かつ柔軟な電力系統1000の運用を行うことが可能となる。
【0125】
次に、本実施形態に係る運転計画生成装置100によって生成された運転計画を、本実施形態とは異なる装置により生成された運転計画と比較しながら、本実施形態に係る運転計画生成装置100によって生成された運転計画について説明する。
【0126】
具体的には、以下に比較例として示す運転計画は、運転計画生成対象期間中(1週間)の各日の開始時点及び終了時点の蓄電池BのSOCを毎日50%に戻すように充電率制約条件を定めて、電力系統1000に対する最適潮流計算を行った場合に得られた発電機G及び蓄電池Bの運転計画である。なお、充電率制約条件以外の条件は本実施形態と同じである。
【0127】
図10は、比較例の充電率制約条件を用いて電力系統1000に対する最適潮流計算を行った場合に得られた蓄電池Bの運転計画を示す。
【0128】
また
図11は、比較例の充電率制約条件を用いて電力系統1000に対する最適潮流計算を行った場合に得られた、電力系統1000内の発電機G1、発電機G2、太陽光発電機PV、負荷L、蓄電池Bのそれぞれの電力需給状況を表す。
【0129】
そして
図12は、月曜日から日曜日の各日の発電機Gの日発電量の計画値を、本実施形態に係る充電率制約条件を用いて算出した場合と、比較例に係る充電率制約条件を用いて算出した場合と、を比較した図である。
【0130】
図12に示されているように、本実施形態に係る充電率制約条件を用いて生成した運転計画では、比較例と比べて、平日では、蓄電池Bの充電率を日々低下させることにより生じる放電電力により、発電機Gによる発電量が減少し、休日では、蓄電池Bの充電率を日々上昇させることにより必要となる充電電力により、発電機Gによる発電量は増加する結果となり、1週間全体を通してみると、発電機Gの運転がより平準化されている。
【0131】
このように、蓄電池Bの1日の最終時刻のSOCを平休日などの曜日情報により異なる値に設定することにより、比較例のように1日単位での負荷平準化ではなく、1週間単位での負荷平準化が行われ、発電機Gをより効率的に運用することが可能となる。
【0132】
=様々な実施形態=
上記実施形態では、運転計画の対象期間が月曜日から日曜日までの1週間であり、充電率制約条件の中で、各日の7日分の開始時点及び終了時点における蓄電池Bの充電率を定め、しかも、平日の場合は、開始時点の充電率である第1充電率よりも終了時点の充電率である第2充電率の方が小さくなるように蓄電池Bの充電率を定め、休祝日の場合は、第1充電率よりも第2充電率の方が大きくなるように蓄電池Bの充電率を定める場合について説明したが、充電率制約条件において充電率を定めるタイミングや充電率の値は、適宜変更することができる。
【0133】
例えば、運転計画の対象期間を1週間とし、そのうちの例えば月曜日についてのみ、開始時点における第1充電率よりも終了時点における第2充電率の方が小さくなるように充電率制約条件を定めてもよい。このような態様によっても、少なくとも月曜日の開始時点における蓄電池Bの充電率と、終了時点における蓄電池Bの充電率と、の差分に応じて生じる電力が、電力需要の高まる月曜日の昼間に消費されることにより、発電機Gの発電量を抑制することができるので、電力系統の効果的な運用を実現することができる。
【0134】
あるいは、例えば、運転計画の対象期間を1週間とし、そのうちの例えば月曜日及び火曜日の2日間を1つの特定期間として、月曜日の開始時点における第1充電率よりも火曜日の終了時点における第2充電率の方が大きくなるように充電率制約条件を定めてもよい。
【0135】
このような態様によれば、例えば、気象予報によって水曜日の1日の電力需要の合計値が月曜日の電力需要の合計値及び火曜日の電力需要の合計値に比べて大幅に増加するという予測が得られているような場合に、電力需要が比較的小さい月曜日及び火曜日のうちに蓄電池Bに電力を充電しておき、水曜日に蓄電池Bに充電しておいた電力を使用する、という運転計画を生成することで、より効率的で適切な電力系統1000の運用を行うことを可能にできる。
【0136】
このことからわかるように、充電率制約条件において定められる蓄電池Bの充電率は、平日、休祝日に分けて定める必要はなく、例えば、運転計画の対象期間中の特定期間の開始時点における蓄電池Bの充電率である第1充電率と、特定期間の終了時点における蓄電池Bの充電率である第2充電率とが、互いに異なるように、蓄電池Bの充電率を定めるようにすればよい。
【0137】
このような態様によって、発電機G、負荷L及び蓄電池Bを備えて構成される電力系統1000における発電機G及び蓄電池Bの運転計画を生成するに際し、より適切な発電機G及び蓄電池Bの運転計画を生成することが可能となる。
【0138】
また、運転計画の対象期間中の特定期間における電力消費量の予測値の合計値が所定値よりも大きい場合には、第1充電率よりも第2充電率の方が小さくなるように蓄電池Bの充電率を定め、特定期間における電力消費量の予測値の合計値が所定値以下の場合には、第1充電率よりも第2充電率の方が大きくなるように蓄電池Bの充電率を定めるようにすることもできる。
【0139】
このような態様によれば、運転計画の対象期間中において電力消費量が相対的に小さな特定期間中に蓄電池Bに電力を充電しておき、電力消費量が相対的に大きな特定期間中に、蓄電池Bに充電しておいた電力を使用する、という運転計画を生成することができるので、より効率的で適切な電力系統1000の運用を行うことが可能になる。
【0140】
なお、上記所定値の値は、過去の実績や気象予報などの情報を用いて適宜設定すればよい。
【0141】
また、運転計画の対象期間中の開始時点及び終了時点の蓄電池Bの充電率が等しくなるように、運転計画の対象期間中の各特定期間における充電率の変化量を定めるようにしても良い。
【0142】
例えば、
図5に示したように、運転計画の対象期間を月曜日から日曜日までの1週間とした場合に、月曜日の開始時点の蓄電池Bの充電率と、日曜日の終了時点の蓄電池Bの充電率と、が等しくなるように、各曜日における蓄電池Bの充電率の変化量を定めるとよい。
【0143】
このような態様によれば、毎週、1週間単位で運転計画を継続的に生成することが容易にできる。
【0144】
なお、運転計画の対象期間を、連続する7暦日の各日に対応する7つの特定期間を含むようにした場合には、運転計画の対象期間の中に、電力消費量が相対的に多い平日(一般的には月曜日から金曜日)と、電力消費量が相対的に少ない休祝日(一般的には土曜日及び日曜日)と、を含むようにでき、発電機Gの発電量の平準化を図る際に蓄電池Bをより活用することができるようになるため、より効率的で好ましい運転計画を生成することが可能となる。
【0145】
また、式(18)〜(24)に示したように、運転計画生成対象期間内の特定期間が平日である場合には、当該特定期間の開始時点における充電率である第1充電率と、終了時点における充電率である第2充電率との差分が、対象期間内の全平日の電力消費量の合計値と、当該特定期間における電力消費量の合計値と、の比率に応じた値になるように第1充電率及び第2充電率の値を定め、また、特定期間が休祝日である場合には、当該特定期間の第1充電率と第2充電率との差分が、対象期間内の全休祝日の電力消費量の合計値と、当該特定期間における電力消費量の合計値と、の比率に応じた値になるように第1充電率及び第2充電率の値を定めるようにすることも効果的である。
【0146】
このような態様によれば、運転計画生成対象期間内のそれぞれの特例期間における電力需要の差に応じて、蓄電池Bへの充電量及び放電量が制御されるので、より一層合理的に電力系統1000内の発電機Gの発電量を平準化することが可能となる。
【0147】
以上、本実施形態に係る運転計画生成装置100について説明したが、本実施形態に係る運転計画生成装置100によれば、発電機G、負荷L及び蓄電池Bを備えて構成される電力系統1000における発電機G及び蓄電池Bの運転計画を生成するに際し、より適切な発電機G及び蓄電池Bの運転計画を生成することが可能となる。
【0148】
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。