(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態のヒータ1−1、1−4および変形例のヒータ1−2、1−3、1−5、1−6は、基板2と、一対の抵抗発熱体3、4と、導体5、6、7と、電極8、9と、熱伝導体10と、を具備する。一対の抵抗発熱体3、4は、基板2の短手方向に間隔をおいて、基板2の長手方向に延びて形成される。導体5〜7は、一対の抵抗発熱体3、4と電気的に接続される。電極8、9は、導体5、6と電気的に接続される。熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4の間に配置される。また、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と同じ材料で形成される。
【0010】
また、以下に説明する実施形態のヒータ1−1、1−4および変形例のヒータ1−2、1−3、1−5、1−6では、熱伝導体10は、少なくとも2つの熱伝導層が積層されて一対の抵抗発熱体3、4の膜厚より厚く形成され、熱伝導層のうち基板2と接する基層は、一対の抵抗発熱体3、4と同じ材料で形成される。
【0011】
また、以下に説明する実施形態のヒータ1−1および変形例のヒータ1−2、1−3では、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4および導体5〜7のそれぞれと電気的に非接触である。
【0012】
また、以下に説明する実施形態のヒータ1−4および変形例のヒータ1−5、1−6では、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれと電気的に接続される導体7に対して電気的に接触する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態の1−1、1−4および変形例のヒータ1−2、1−3、1−5、1−6では、短手方向において、一対の抵抗発熱体3、4と熱伝導体10との間隔が0.3mm以上0.5mm以下である。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る画像形成装置100は、通過する媒体を加熱するヒータ1と、媒体を加熱時に加圧する加圧ローラ203と、を具備し、媒体を加熱および加圧することで、媒体に付着したトナー像を定着させる。
【0015】
〔実施形態1〕
図1を参照して、実施形態を説明する。
図1は、実施形態1のヒータを示す模式図である。なお、
図1では、基板2の短手方向において、一対の抵抗発熱体3、4と熱伝導体10との隙間を強調して図示している。また、各実施形態、各変形例および各図において同一符号を付した要素は、同一の要素であるのでその説明は省略あるいは簡略化する。
【0016】
図1に示す本実施形態のヒータ1−1は、電子機器類に搭載され、主に通過する紙などの媒体を加熱するものである。また、本実施形態のヒータ1−1は、一対の抵抗発熱体3、4が基板2の長手方向に延びて形成されるものである。
【0017】
ヒータ1−1は、
図1に示すように、基板2と、一対の抵抗発熱体3、4と、導体5〜7と、電極8、9と、熱伝導体10と、オーバーコート層11と、を具備する。なお、一対の抵抗発熱体3、4、導体5〜7、電極8、9および熱伝導体10のそれぞれは、例えばスクリーン印刷等により基板2上に形成される。
【0018】
基板2は、長手方向の幅および長手方向と交差する短手方向の幅を有する矩形状の平板である。基板2は、例えば、アルミナ等のセラミック、ガラスセラミック、耐熱複合材料などから構成されており、耐熱性および絶縁性を有している。基板2は、ヒータ1−1が装着されるスペースに対応する厚さ(長手方向と短手方向とに直交する方向の厚さ)で形成されている。基板2の厚さは、例えば、0.5mm〜1.0mm程度である。本実施形態における基板2の短手方向の設計上の長さは、6.0mmである。ここで、基板2およびヒータ1−1の長手方向は同方向であり、基板2およびヒータ1−1の短手方向は同方向である。
【0019】
一対の抵抗発熱体3、4は、電気を流すことで発熱するものであり、基板2上に形成されている。一対の抵抗発熱体3、4は、例えば酸化ルテニウム(RuO
2)やグラファイト、銀・パラジウム(Ag−Pd)合金を含む材料等から構成される抵抗発熱体ペーストを基板2上にスクリーン印刷等により塗布して焼成させることで形成されている。一対の抵抗発熱体3、4は、基板2の短手方向(以下、単に「短手方向」と称する)に間隔をおいて、基板2の長手方向(以下、単に「長手方向」と称する)に延びて形成されている。つまり、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向において、互いに離間して配置されている。本実施形態における一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれは、短手方向における長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。一対の抵抗発熱体3、4は、長手方向における基板2上での一端部が同じ位置に位置している。一対の抵抗発熱体3、4において、一方の抵抗発熱体3は後述する導体5と電気的に接続され、他方の抵抗発熱体4は後述する導体6と電気的に接続されている。また、本実施形態における一方の抵抗発熱体3および他方の抵抗発熱体4のそれぞれの短手方向の設計上の長さは、0.8mmである。
【0020】
導体5〜7は、一対の抵抗発熱体3、4に電力を供給するものであり、基板2上に形成されている。導体5〜7は、例えば銀(Ag)を主成分とする導体ペーストを基板2上にスクリーン印刷等により塗布して焼成させることで形成されている。導体5は、一方の抵抗発熱体3の一端部(基板2の長手方向他端部2b側)から基板2の長手方向一端部2aに向かって延びて形成されている。導体5は、短手方向における長さが、一方の抵抗発熱体3の短手方向における長さと同じ長さで一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。導体5は、一端部が電極8と電気的に接続され、他端部が一方の抵抗発熱体3と電気的に接続されている。つまり、導体5は、電極8および一対の抵抗発熱体3、4のうち一方の抵抗発熱体3のそれぞれと電気的に接続される。導体6は、他方の抵抗発熱体4の一端部から基板2の長手方向一端部2aに向かって延びて形成されている。導体6は、短手方向における長さが、他方の抵抗発熱体4の短手方向における長さと同じ長さで一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。導体6は、一端部が電極9と電気的に接続され、他端部が他方の抵抗発熱体4と電気的に接続されている。つまり、導体6は、電極9および一対の抵抗発熱体3、4のうち他方の抵抗発熱体4のそれぞれと電気的に接続される。導体7は、一方の抵抗発熱体3の他端部から他方の抵抗発熱体4の他端部に向かって延びて形成されている。導体7は、長手方向における長さが、一方の抵抗発熱体3および他方の抵抗発熱体4のそれぞれの短手方向における長さより大きい長さで一定となるように、短手方向に沿う帯状に形成されている。導体7は、一端部が一方の抵抗発熱体3と電気的に接続され、他端部が他方の抵抗発熱体4と電気的に接続されている。つまり、導体7は、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれと電気的に接続される。
【0021】
電極8、9は、外部からの電力を導体5、6に供給するものであり、基板2上に形成されている。電極8、9は、一対の抵抗発熱体3、4に対して、基板2の長手方向一端部2a側に配置されている。電極8は、導体5と電気的に接続され、電極9は、導体6と電気的に接続されている。電極8と電極9とは、導体5、一方の抵抗発熱体3、導体7、他方の抵抗発熱体4および導体6を介して、電気的に接続されている。
【0022】
熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を伝えるものであり、基板2上に形成されている。熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4の間に配置されている。熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と電気的に非接触で、長手方向に延びて形成されている。熱伝導体10は、短手方向における長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。熱伝導体10は、長手方向における基板2上での一端部の位置が、一対の抵抗発熱体3、4の長手方向における基板2上での一端部と同じ位置に位置している。熱伝導体10は、長手方向の他端部が導体7と離間しており、導体7と電気的に非接触である。つまり、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4および導体5〜7のそれぞれと電気的に非接触である。
【0023】
本実施形態における熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と同時に基層が形成され、この基層の上に、複数の熱伝導層を積み重ねることで、形成されている。つまり、本実施形態における熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と同時に形成される基層と、この基層の上に複数積み重ねられる熱伝導層と、を含んで構成されている。基層と複数の熱伝導層とを含んで構成される熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4の膜厚より厚く形成されている。このため、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と同じ膜厚での熱伝導率に対して、熱伝導率が比例する断面積が大きくなっている。ここで、基層は、一対の抵抗発熱体3、4と同時に形成される熱伝導層であり、基板2と接する熱伝導層である。
【0024】
熱伝導体10を構成する基層は、一対の抵抗発熱体3、4と同じ材料で形成されている。つまり、基層は、一対の抵抗発熱体3、4と同じ抵抗発熱体ペーストを基板2上にスクリーン印刷等により塗布して焼成させることで形成されている。本実施形態における基層は、一対の抵抗発熱体3、4と同時に形成されている。また、本実施形態における基層の短手方向の設計上の長さは、2.4mmである。基層の膜厚は、一対の抵抗発熱体3、4の膜厚と同様の厚さである。また、熱伝導体10を構成する複数の熱伝導層は、導体5〜7と同じ材料で形成されている。つまり、基層と複数の熱伝導層とを含む熱伝導体10は、熱伝導性の優れた銀を含んでおり、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を伝える。また、複数の熱伝導層は、銀を主成分とする導体5〜7と同じ材料で形成されており、酸化ルテニウムや銀・パラジウム合金を含む一対の抵抗発熱体3、4と同じ材料で形成される基層よりも、熱伝導性がよい。また、複数の熱伝導層は、銀を主成分としており、酸化ルテニウムや銀・パラジウム合金を含む基層より安価である。
【0025】
ここで、一対の抵抗発熱体3、4と基層とが同時に形成されるとは、一対の抵抗発熱体3、4と基層とを、例えばスクリーン印刷等により同じ工程で基板2に対して塗布して形成することである。
【0026】
また、一対の抵抗発熱体3、4と基層との短手方向における間隔は、一対の抵抗発熱体3、4と基層とを別々に形成する場合に生じる位置ずれを考慮しない間隔であり、一対の抵抗発熱体3、4と基層とを別々に形成する場合より狭い間隔である。本実施形態における一対の抵抗発熱体3、4と基層との短手方向における間隔は、0.3mm以上0.5mm以下の間隔に設定されることが好ましい。本実施形態における設計上の間隔は、0.3mmである。
【0027】
ここで、一対の抵抗発熱体3、4と基層との短手方向における間隔を0.3mm以上としたのは、0.3mmを下回ると、例えば製造時のスクリーン印刷等での位置ずれやパターンにじみにより、一対の抵抗発熱体3、4と熱伝導体10とが電気的に接触する虞があるからである。また、一対の抵抗発熱体3、4と基層との短手方向における間隔を0.5mm以下としたのは、0.5mmを超えると、熱伝導体10の体積が小さくなるため、熱伝導の効果が小さくなるからである。
【0028】
また、一対の抵抗発熱体3、4と複数の熱伝導層との短手方向における間隔は、一対の抵抗発熱体3、4と複数の熱伝導層とは別々に形成されるため、例えばスクリーン印刷等における位置ずれで一対の抵抗発熱体3、4と複数の熱伝導層とが電気的にショートしない間隔に設定されている。本実施形態における一対の抵抗発熱体3、4と複数の熱伝導層との短手方向における間隔は、0.5mmより大きく設定されることが好ましい。
【0029】
オーバーコート層11は、基板2上に形成される一対の抵抗発熱体3、4、導体5〜7および熱伝導体10を覆っている保護層である。本実施形態におけるオーバーコート層11は、長手方向に沿う帯状に形成され、一対の抵抗発熱体3、4、導体5〜7および熱伝導体10を覆っている。オーバーコート層11は、一対の抵抗発熱体3、4、導体5〜7および熱伝導体10が直接大気に露出することを防止し、外部からの干渉(例えば、機械的、化学的、電気的な干渉)によって一対の抵抗発熱体3、4、導体5〜7および熱伝導体10が損傷・破損することを抑制する。オーバーコート層11は、基板2より高い熱伝導率を有しており、例えばアルミナ等の熱伝導性の優れた無機酸化物フィラーが25重量%〜35重量%加えられ、熱伝導率が2〔W/(m・k)〕以上となるガラス層である。
【0030】
次に、ヒータ1−1の動作について説明する。ヒータ1−1には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−1では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−1では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−1は、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0031】
また、ヒータ1−1が媒体を加熱する場合においては、さまざまな媒体がヒータ1−1を通過する。ヒータ1−1の長手方向の長さは、媒体のサイズ(長手方向と平行な長さ)に対応させるため、加熱される媒体の最大サイズに合わせて設定される。また、通常、ヒータ1−1と媒体との長手方向における位置関係は、さまざまな媒体の中心と、一対の抵抗発熱体3、4の長手方向の中心とが一致(ほぼ一致も含む)する。このため、ヒータ1−1では、一対の抵抗発熱体3、4に対して小さいサイズの媒体が通過する場合には、通過する媒体と対向する部分の熱を媒体が受けることになるが、一対の抵抗発熱体3、4のうち媒体と非対向する部分(相対的に高温部分)からの熱を、媒体と対向する部分(相対的に低温部分)へ伝えるので、基板2における長手方向の温度差が大きくなることを抑える。また、ヒータ1−1では、一対の抵抗発熱体3、4に対して大きいサイズの媒体が通過する場合には、通過する媒体と対向する部分の熱を媒体が受けることになるが、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が長手方向にも伝わり、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が長手方向に熱拡散させるので、基板2における長手方向の温度差が大きくなることを抑える。したがって、ヒータ1−1は、さまざまな媒体の通過時においても、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0032】
なお、上記実施形態1では、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されているが、これに限定されるものではない。
図2は、実施形態1のヒータの変形例1を示す模式図である。ヒータ1−2では、
図2に示すように、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなるように形成されている。また、ヒータ1−2では、熱伝導体10は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。
【0033】
次に、ヒータ1−2の動作について説明する。ヒータ1−2には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−2では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−2では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−2は、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0034】
なお、上記実施形態1の変形例1では、熱伝導体10は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されているが、これに限定されるものではない。
図3は、実施形態1のヒータの変形例2を示す模式図である。ヒータ1−3では、
図3に示すように、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなるように形成されている。また、ヒータ1−3では、熱伝導体10は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に長くなるように形成されている。つまり、ヒータ1−3では、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4との短手方向における間隔が一定となるように、形成されている。
【0035】
次に、ヒータ1−3の動作について説明する。ヒータ1−3には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−3では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−3では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−3では、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0036】
〔実施形態2〕
次に、実施形態2について説明する。
図4は、実施形態2のヒータを示す模式図である。
【0037】
図4に示すヒータ1−4がヒータ1−1と異なる点は、一対の抵抗発熱体3、4の間に配置される熱伝導体10が、導体7と電気的に接触している点である。
【0038】
熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4の間に配置されている。熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4と電気的に非接触で、長手方向に延びて形成されている。熱伝導体10は、短手方向における長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれと電気的に接続される導体7に対して電気的に接触する。本実施形態における熱伝導体10は、長手方向の他端部が導体7と電気的に接触している。つまり、熱伝導体10は、導体7と電気的に接続されている。このため、熱伝導体10では、一対の抵抗発熱体3、4の通電時に、長手方向において生じる電位差を設定可能である。
【0039】
次に、ヒータ1−4の動作について説明する。ヒータ1−4には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−4では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−4では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−4は、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0040】
また、ヒータ1−4は、熱伝導体10の長手方向において生じる電位差を設定可能なため、紙などの媒体を加熱する電子機器類に搭載されるヒータとして好ましい。
【0041】
なお、上記実施形態2では、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されているが、これに限定されるものではない。
図5は、実施形態2のヒータの変形例1を示す模式図である。ヒータ1−5では、
図4に示すように、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなるように形成されている。また、ヒータ1−5では、熱伝導体10は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されている。
【0042】
次に、ヒータ1−5の動作について説明する。ヒータ1−5には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−5では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−5では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−5は、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0043】
なお、上記実施形態2の変形例1では、熱伝導体10は、短手方向の長さが一定となるように、長手方向に沿う帯状に形成されているが、これに限定されるものではない。
図6は、実施形態2のヒータの変形例2を示す模式図である。ヒータ1−6では、
図6に示すように、一対の抵抗発熱体3、4は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に短くなるように形成されている。また、ヒータ1−6では、熱伝導体10は、短手方向の長さが、長手方向の両端部から中央部に向かって徐々に長くなるように形成されている。つまり、ヒータ1−6では、熱伝導体10は、一対の抵抗発熱体3、4との短手方向における間隔が一定となるように、形成されている。
【0044】
次に、ヒータ1−6の動作について説明する。ヒータ1−6には、電極8、9のそれぞれを介して外部から電力が供給される。ヒータ1−6では、電力が供給されることで、一対の抵抗発熱体3、4のそれぞれが長手方向に通電される。また、ヒータ1−6では、一対の抵抗発熱体3、4からの熱を熱伝導体10が伝える。したがって、ヒータ1−6では、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができる。
【0045】
なお、上記実施形態およびその変形例では、熱伝導体10は、基層の上に複数の熱伝導層を積み重ねて構成されているが、基層の上に1つの熱伝導層を積み重ねて構成されていてもよい。この場合、基層と熱伝導層とを合わせた膜厚が、一対の抵抗発熱体3、4の膜厚より厚いことが好ましい。
【0046】
また、上記実施形態およびその変形例では、熱伝導体10は、基層の上に複数の熱伝導層を積み重ねて構成されているが、基層のみから構成されていてもよい。
【0047】
また、上記実施形態およびその変形例では、一対の抵抗発熱体3、4および熱伝導体10のそれぞれの長手方向の一端部は、長手方向における基板2上で同じ位置に位置しているが、熱伝導体10の一端部が一対の抵抗発熱体3、4の一端部より長手方向一端部2aに突出していてもよいし、熱伝導体10の一端部が一対の抵抗発熱体3、4の一端部より長手方向他端部2bに後退して(つまり熱伝導体10の一端部が長手方向他端部2b側に凹んで)いてもよい。
【0048】
次に、ヒータを備えた定着装置の一実施形態について説明する。
図7は、ヒータの使用例である定着装置を示す説明図である。同図に示すように、定着装置200は、上述した実施形態およびその変形例のヒータ1−1〜1−6(以下、単に「ヒータ1」と称する)のいずれも使用することができる。定着装置200では、支持体202の周りに円筒状に巻き回された定着フィルムベルト201の底部にヒータ1が設置されている。定着フィルムベルト201は、例えばポリイミド等の耐熱性の樹脂材料から形成されている。ヒータ1および定着フィルムベルト201に対向する位置には、加圧ローラ203が配設されている。加圧ローラ203は、表面に耐熱性の弾性材料、例えばシリコーン樹脂層204を有し、定着フィルムベルト201を圧接した状態で、回転軸205周りに回転する(同図に示す矢印A)ことができる。
【0049】
トナー定着工程では、定着フィルムベルト201とシリコーン樹脂層204との接触面において、媒体である複写用紙P上に付着したトナー像T1が定着フィルムベルト201を介してヒータ1により加熱溶融される。その結果、少なくともトナー像T1の表面部は融点を超え、軟化して溶融する。その後、加圧ローラ203の用紙排出側では複写用紙Pがヒータ1から離間するとともに、定着フィルムベルト201からも離間し、トナー像T2は自然に放熱して再び固化することで、トナー像T2が複写用紙Pに定着する。
【0050】
上記定着装置200では、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができるヒータ1を用いたことで、複写用紙P上に付着したトナー像T1の加熱溶融の不均一を抑制することができる。
【0051】
次に、ヒータを備えた画像形成装置の一実施形態について説明する。
図8は、ヒータの使用例である画像形成装置を示す説明図である。なお、本実施形態で、画像形成装置は、複写機100である。同図に示すように、複写機100には、上述した定着装置200を含む各構成要素が筐体101内に収められている。筐体101の上部には、ガラス等の透明材料からなる原稿載置台が備え付けられており、画像情報を読み取る対象となる原稿P1を原稿載置台上で往復動させて(同図に示す矢印Y)スキャンする構成となっている。
【0052】
筐体101内の上部には光照射用ランプと反射鏡とからなる照明装置102が設けられており、照明装置102から照射された光が原稿載置台上の原稿P1の表面で反射し、短焦点小径結像素子アレイ103によって感光ドラム104上にスリット露光される。なお、感光ドラム104は回転可能(同図に示す矢印Z)に設置されている。
【0053】
また、筐体101内に設置された感光ドラム104の近傍には、帯電器105が設けられており、感光ドラム104が帯電器105により一様(ほぼ一様も含む)に帯電される。感光ドラム104は、例えば酸化亜鉛感光層または有機半導体感光層で被覆されている。帯電した感光ドラム104には、短焦点小径結像素子アレイ103によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器106による加熱で軟化溶融する樹脂等からなるトナーを用いて顕像化され、トナー像となる。
【0054】
カセット107内に収容されている複写用紙Pは、給送ローラ108と感光ドラム104上のトナー像と同期をとって上下方向に圧接して回転される一対の搬送ローラ109によって、感光ドラム104上に送り込まれる。そして、転写放電器110によって感光ドラム104上のトナー像が複写用紙P上に転写される。
【0055】
その後、感光ドラム104上から下流側に送られた複写用紙Pは、搬送ガイド111によって定着装置200に導かれて加熱定着処理(上記トナー定着工程)された後、トレイ112に排出される。なお、トナー像が転写された後、感光ドラム104上の残留トナーはクリーナ113により除去される。
【0056】
定着装置200は、複写用紙Pの移動方向と直交する方向に、複写機100が複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より大きい抵抗発熱体を備えたヒータ1(
図7参照)が加圧ローラ203の外周に取り付けられたシリコーン樹脂層204(
図7参照)に加圧された状態で設けられている。
【0057】
そして、ヒータ1と加圧ローラ203との間を送られる複写用紙P上の未定着トナー像は、抵抗発熱体の発熱を利用して溶融され、複写用紙P上に文字、英数字、記号、図面等の複写像を現出させることができる。
【0058】
本実施形態の複写機100によれば、長手方向における基板2の温度の不均一を抑制することができるヒータ1を用いたことで、複写用紙P上の未定着トナー像の加熱溶融の不均一を抑制することができる。
【0059】
なお、ヒータ1を複写機100等の画像形成装置の定着用に使用した例について説明したが、これに限らず、家庭用電気製品、業務用や実験用の精密機械や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。