(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0014】
(画像形成装置10の構成)
まず、画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0015】
画像形成装置10は、
図1に示されるように、各構成部品が内部に収容される装置本体11を備えている。装置本体11の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される複数の収容部12と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部14と、収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、が設けられている。また、装置本体11の上部には、画像形成部14によって画像が形成された記録媒体Pが排出される排出部18が設けられている。
【0016】
画像形成部14は、画像を保持する像保持体としての感光体ドラム32(感光体の一例)を有している。感光体ドラム32は、一方向(例えば、
図1における反時計回り方向)へ回転するようになっている。感光体ドラム32の周囲には、感光体ドラム32の回転方向上流側から順に、感光体ドラム32を帯電させる帯電装置としての帯電ロール23と、帯電ロール23によって帯電した感光体ドラム32を露光して感光体ドラム32に静電潜像を形成する露光装置36と、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像して黒色のトナー画像を形成する現像装置38と、現像装置38によって感光体ドラム32に形成された黒色のトナー画像を記録媒体Pに転写する転写ロール26と、が設けられている。
【0017】
露光装置36は、制御部20から送られた画像信号に基づき静電潜像を形成するようになっている。制御部20から送られる画像信号としては、例えば、制御部20が外部装置から取得した画像信号がある。現像装置38は、現像剤を保持しながら回転して当該現像剤を感光体ドラム32へ供給する現像ロール38Aを備えている。
【0018】
転写ロール26は、感光体ドラム32に対向しており、感光体ドラム32とで記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを上方へ搬送するようになっている。転写ロール26と感光体ドラム32との間が、感光体ドラム32に形成されたトナー画像が記録媒体Pに転写される転写位置Tとされている。
【0019】
搬送部16は、各収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール46と、送出ロール46によって送り出された記録媒体Pが搬送される搬送路48と、搬送路48に沿って配置され送出ロール46によって送り出された記録媒体Pを転写位置Tへ搬送する複数の搬送ロール50と、を備えている。複数の搬送ロール50は、トナー画像と記録媒体Pとを位置合わせするべく、転写位置Tへ導入される感光体ドラム32上のトナー画像のタイミングに合わせて、記録媒体Pを転写位置Tへ供給するレジロール50A、50Bを有している。レジロール50Aが、例えば、駆動ロールとされ、レジロール50Bが、例えば、レジロール50Aに従動して回転する従動ロールとされる。なお、レジロール50Bが駆動ロールでレジロール50Aが従動ロールであってもよいし、レジロール50A、50Bの両方が駆動ロールであってもよい。
【0020】
転写位置Tの上方側(搬送方向下流側)には、転写ロール26によって記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置56が設けられている。この定着装置56の上方側(搬送方向下流側)には、トナー画像が定着された記録媒体Pを排出部18へ排出する排出ロール52が設けられている。
【0021】
定着装置56は、加熱ロール56A及び加圧ロール56Bを有している。定着装置56では、回転する加熱ロール56Aと加圧ロール56Bとで記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを搬送しながら、加熱ロール56Aによる加熱と、加圧ロール56Bによる加圧によってトナー画像を記録媒体Pに定着させる。加熱ロール56Aが、例えば、駆動ロールとされ、加圧ロール56Bが、例えば、加熱ロール56Aに従動して回転する従動ロールとされる。なお、加圧ロール56Bが駆動ロールで加熱ロール56Aが従動ロールであってもよいし、加熱ロール56A及び加圧ロール56Bの両方が駆動ロールであってもよい。
【0022】
(駆動機構60)
感光体ドラム32(第1回転部材の一例)、現像ロール38A(第1回転部材の一例)、レジロール50A(第2回転部材の一例)及び加熱ロール56A(第2回転部材の一例)を回転させる駆動機構60について説明する。なお、以下に示す
図2〜
図7では、駆動機構60の各ギヤにおけるギヤ歯の図示を省略し、図中において外周が接しているギヤ同士は、ギヤ歯が噛み合っているものとする。
【0023】
駆動機構60は、
図2及び
図3に示されるように、駆動部の一例としての駆動モータ62を有している。さらに、駆動機構60は、駆動モータ62の駆動力を感光体ドラム32(
図1参照)、現像ロール38A(
図1参照)、レジロール50A(
図1参照)及び加熱ロール56A(
図1参照)のそれぞれに伝達する伝達機構310、320、330、340と、を有している。
【0024】
(駆動モータ62の駆動力を感光体ドラム32に伝達する伝達機構310)
伝達機構310(第1伝達機構の一例)は、
図2及び
図3に示されるように、駆動モータ62の駆動軸(図示省略)に設けられ駆動モータ62の駆動力によって回転する駆動ギヤ64と、駆動ギヤ64と噛み合うギヤ66と、を有している。さらに、伝達機構310は、感光体ドラム32(
図1参照)の回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を有しており、該ギヤと、駆動ギヤ64と、ギヤ66と、を含むギヤ列によって伝達機構310が構成される。このギヤ列は、駆動モータ62の駆動力を感光体ドラム32に伝達して感光体ドラム32を回転させる。駆動ギヤ64からギヤ66までの伝達経路が、
図2において、二点鎖線200にて示されている。なお、ギヤ66が、感光体ドラム32の回転軸に直接固定される構成であってもよい。
【0025】
また、本実施形態では、駆動モータ62は、正転及び逆転する構成ではなく、駆動ギヤ64(駆動軸)が一方向(
図2における時計周り方向)に回転駆動される構成とされる。
【0026】
(駆動モータ62の駆動力を現像ロール38Aに伝達する伝達機構320)
伝達機構320(第1伝達機構の一例)は、
図2及び
図3に示されるように、駆動ギヤ64と、駆動ギヤ64と噛み合うギヤ68と、ギヤ68と噛み合うギヤ70と、を有している。さらに、伝達機構320は、現像ロール38Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を有しており、該ギヤと、駆動ギヤ64と、ギヤ68、70と、を含むギヤ列によって伝達機構320が構成される。このギヤ列は、駆動モータ62の駆動力を現像ロール38Aに伝達して現像ロール38Aを回転させる。駆動ギヤ64からギヤ70までの伝達経路が、
図2において、二点鎖線202、204にて示されている。なお、ギヤ70が、現像ロール38Aの回転軸に直接固定される構成であってもよい。
【0027】
(駆動モータ62の駆動力をレジロール50Aに伝達する伝達機構330)
伝達機構330(第2伝達機構の一例)は、
図2及び
図3に示されるように、駆動ギヤ64と、ギヤ68と、ギヤ68と噛み合うギヤ72と、ギヤ72と同軸上に配置されたギヤ74、76(
図4参照)と、ギヤ74と噛み合うギヤ78と、を有している。さらに、当該伝達機構330は、ギヤ78と同軸上に配置されたギヤ80、82(
図4参照)と、ギヤ82と噛み合うギヤ84と、を有している。
【0028】
ギヤ72は、
図4及び
図5に示されるように、支持板192、194(フレーム)に回転可能に支持された回転軸71に対して固定されている。ギヤ74及びギヤ76は、回転軸71の軸方向への移動が制限された状態で(回転軸71の軸方向において位置決めされた状態で)、回転軸71に対して回転可能に支持されている。
【0029】
ギヤ82は、支持板192、194に回転可能に支持された回転軸81に対して固定されている。ギヤ78及びギヤ80は、回転軸81の軸方向への移動が制限された状態で(回転軸81の軸方向において位置決めされた状態で)、回転軸81に対して回転可能に支持されている。なお、ギヤ80は、ギヤ76と噛み合っている。
【0030】
ギヤ74とギヤ76との間及び、ギヤ78とギヤ80との間のそれぞれには、後述の切り替え機構の一部を構成するカップリング130、140が配置されている。各カップリング130、140が、各ギヤ74、78に連結する連結状態(
図4参照)と、各ギヤ76、80に連結する後述の連結状態(
図5参照)と、に切り替わるようになっている。なお、切り替え機構の具体的な構成は、後述する。
【0031】
図4に示す連結状態では、各ギヤ74、78の各回転軸71、81に対する回転が制限され、各ギヤ74、78が各回転軸71、81と一体回転するようになっている。よって、
図4に示す連結状態では、回転軸71の回転力は、ギヤ74、78を介して、回転軸81に伝達される。
【0032】
したがって、
図4に示す連結状態では、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、74、78、82、84及び、レジロール50Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力をレジロール50Aに伝達する第1経路(第1駆動経路の一例)が形成される。第1経路における駆動ギヤ64からギヤ84までの経路が、
図2において、二点鎖線202、206、208(
図4に示す208(A))、210にて示されている。
【0033】
一方、
図5に示す連結状態では、各ギヤ76、80の各回転軸71、81に対する回転が制限され、各ギヤ76、80が各回転軸71、81と一体回転するようになっている。よって、
図5に示す連結状態では、回転軸71の回転力は、ギヤ76、80を介して、回転軸81に伝達される。
【0034】
したがって、
図5に示す連結状態では、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、76、80、82、84及び、レジロール50Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力をレジロール50Aに伝達する第2経路(第2駆動経路の一例)が形成される。第2経路における駆動ギヤ64からギヤ84までの経路が、
図2において、二点鎖線202、206、208(
図5に示す208(B))、210にて示されている。
【0035】
また、第2経路のギヤ列の一部を構成するギヤ76、80のギヤ比と、第1経路のギヤ列の一部を構成するギヤ74、78のギヤ比とは異なり、ギヤ74の1回転あたりのギヤ78の回転数よりも、ギヤ76の1回転あたりのギヤ80の回転数が多くなっている。したがって、第1経路で駆動モータ62の駆動力が伝達される場合に比べ、第2経路で駆動モータ62の駆動力が伝達されるほうが、レジロール50Aの回転速度が速く、記録媒体Pの搬送速度が速くなる。
【0036】
なお、第1経路により駆動モータ62の駆動力がレジロール50Aに伝達される場合は、ギヤ76、80は、それぞれ、回転軸71、81に対して空転する。第2経路により駆動モータ62の駆動力がレジロール50Aに伝達される場合は、ギヤ74、78は、それぞれ、回転軸71、81に対して空転する。
【0037】
このように、本実施形態では、駆動モータ62の駆動力をレジロール50Aへ伝達する伝達機構330が、ギヤ比が異なる第1経路及び第2経路を有する伝達機構で構成されている。
【0038】
(駆動モータ62の駆動力を加熱ロール56Aに伝達する伝達機構340)
伝達機構340(第2伝達機構の一例)は、
図2及び
図3に示されるように、駆動ギヤ64と、ギヤ68、72、74、76(
図4参照)と、ギヤ74と噛み合うギヤ90と、ギヤ90と同軸上に配置されたギヤ92、94(
図4参照)と、を有している。さらに、当該伝達機構340は、ギヤ94と噛み合うギヤ96と、ギヤ96と噛み合うギヤ98と、ギヤ98と同軸上に配置されたギヤ100と、ギヤ100と噛み合うギヤ102と、を有している。なお、ギヤ98、100は、回転軸103(
図6参照)に固定されている。
【0039】
ギヤ94は、
図4及び
図5に示されるように、支持板192、194に回転可能に支持された回転軸91に対して固定されている。ギヤ90及びギヤ92は、回転軸91の軸方向への移動が制限された状態で(回転軸91の軸方向において位置決めされた状態で)、回転軸91に対して回転可能に支持されている。なお、ギヤ92は、ギヤ76と噛み合っている。
【0040】
ギヤ90とギヤ92との間には、後述の切り替え機構の一部を構成するカップリング150が配置されている。カップリング150は、カップリング130、140と同様に、後述のように、ギヤ90に連結する連結状態(
図4参照)と、ギヤ92に連結する連結状態(
図5参照)と、に切り替わるようになっている。
【0041】
図4に示す連結状態では、各ギヤ74、90の各回転軸71、91に対する回転が制限され、各ギヤ74、90が各回転軸71、91と一体回転するようになっている。よって、
図4に示す連結状態では、回転軸71の回転力は、ギヤ74、90を介して、回転軸91に伝達される。
【0042】
したがって、
図4に示す連結状態では、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、74、90、94、96、98、100、102及び、加熱ロール56Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力を加熱ロール56Aに伝達する第3経路(第1駆動経路の一例)が形成される。第3経路における駆動ギヤ64からギヤ102までの経路が、
図2において、二点鎖線202、206、211(
図4に示す211(A))、212、214、216にて示されている。
【0043】
一方、
図5に示す連結状態では、各ギヤ76、92の各回転軸71、91に対する回転が制限され、各ギヤ76、92が各回転軸71、91と一体回転するようになっている。したがって、
図5に示す連結状態では、回転軸71の回転力は、ギヤ76、92を介して、回転軸91に伝達される。
【0044】
したがって、
図5に示す連結状態では、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、76、92、94、96、98、100、102及び、加熱ロール56Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力を加熱ロール56Aに伝達する第4経路(第2駆動経路の一例)が形成される。第4経路における駆動ギヤ64からギヤ102までの経路が、
図2において、二点鎖線202、206、211(
図5に示す211(B))、212、214、216にて示されている。
【0045】
また、第4経路のギヤ列の一部を構成するギヤ76、92のギヤ比と、第3経路のギヤ列の一部を構成するギヤ74、90のギヤ比とは異なり、ギヤ74の1回転あたりのギヤ90の回転数よりも、ギヤ76の1回転あたりのギヤ92の回転数が多くなっている。したがって、第3経路で駆動モータ62の駆動力が伝達される場合に比べ、第4経路で駆動モータ62の駆動力が伝達されるほうが、加熱ロール56Aの回転速度が速く、記録媒体Pの搬送速度が速くなる。
【0046】
なお、第3経路により駆動モータ62の駆動力が加熱ロール56Aに伝達される場合は、ギヤ76、92は、それぞれ、回転軸71、91に対して空転する。第4経路により駆動モータ62の駆動力が加熱ロール56Aに伝達される場合は、ギヤ74、90は、それぞれ、回転軸71、91に対して空転する。
【0047】
このように、本実施形態では、駆動モータ62の駆動力を加熱ロール56Aへ伝達する伝達機構340が、ギヤ比が異なる第3経路及び第4経路を有する伝達機構で構成されている。
【0048】
(伝達機構330、340の経路を切り替える切替機構350)
駆動機構60は、さらに、伝達機構330、340の経路を切り替える切替機構350を有している。切替機構350は、制御部20によって制御されると共に駆動モータ62の駆動力によって作動して、伝達機構330、340のそれぞれを、第1、第3経路と、第2、第4経路とに切り替える機構である。
【0049】
具体的には、切替機構350は、
図6、
図7及び
図8に示されるように、伝達機構340の一部を構成するギヤ98と同軸上に配置された2段ギヤ120と、ラック160(移動部材の一例)と、2段ギヤ120の駆動力をラック160に伝達する伝達部410、420と、を有している。さらに、切替機構350は、
図4及び
図5に示されるように、回転軸71、81、91のそれぞれに配置されたカップリング130、140、150(連結部材の一例)と、を有している。
【0050】
伝達部410(第1伝達部の一例)は、
図6、
図7及び
図8に示されるように、2段ギヤ120の後述の第1歯121と噛み合うギヤ104のみを有しており、単一のギヤで構成されている。なお、伝達部410は、1以外の奇数個のギヤで構成されていてもよい。
【0051】
伝達部420(第2伝達部の一例)は、2段ギヤ120の後述の第2歯122と噛み合うギヤ106と、ギヤ106と噛み合うギヤ108と、を有しており、2つのギヤで構成されている。ギヤ106とギヤ104とは、独立して回転可能に同じ軸線上に配置されている。なお、伝達部420は、2以外の偶数個のギヤで構成されていてもよい。
【0052】
さらに、伝達部420が奇数個のギヤで構成され、伝達部410が偶数個のギヤで構成されていてもよい。この場合では、伝達部420が第1伝達部の一例として機能し、伝達部410が第2伝達部の一例として機能する。また、ギヤ106とギヤ104とは、異なる軸線上に配置されていてもよい。
【0053】
2段ギヤ120は、
図6及び
図7に示されるように、図示しない支持体(フレーム)に回転可能に支持された回転軸103に支持されている。2段ギヤ120には電磁クラッチ128が内蔵されており、この電磁クラッチ128によって、2段ギヤ120は、回転軸103に対して一体回転する状態と、回転軸103に対して相対回転する状態と、に切り替わるようになっている。
【0054】
また、2段ギヤ120の第1歯121は、2段ギヤ120における軸方向一方側(
図6及び
図7における左側)に配置され、2段ギヤ120の第2歯122は、2段ギヤ120における軸方向他方側(
図6及び
図7における右側)に配置されている。
【0055】
また、第1歯121は、
図8に示されるように、2段ギヤ120の外周の一部に形成されている。第2歯122は、第1歯121に対して回転軸103を挟んで反対側に配置されると共に、2段ギヤ120の外周の一部に形成されている。具体的には、第1歯121及び第2歯122のそれぞれは、例えば、2段ギヤ120の120度の範囲で形成される。このように、2段ギヤ120は、軸方向の異なる位置であって且つ周方向の異なる位置に配置された第1歯121及び第2歯122を有している。
【0056】
さらに、2段ギヤ120は、回転位置によって、第1歯121がギヤ104に噛み合う状態と、第2歯122がギヤ106に噛み合う状態と、第1歯121及び第2歯122がいずれのギヤとも噛み合っていない状態と、に変化する構成とされる。すなわち、2段ギヤ120は、第1歯121がギヤ104に対向する第1回転位置において、
図6に示されるように、第1歯121がギヤ104に噛み合い、第2歯122がギヤ106に対向する第2回転位置において、
図7に示されるように、第2歯122がギヤ106に噛み合う。
【0057】
本実施形態では、電磁クラッチ128によって2段ギヤ120が回転軸103に対して一体回転する状態における駆動モータ62の駆動量に基づき、2段ギヤ120の回転位置が制御部20によって把握される。なお、2段ギヤ120の周辺に光センサ等の検知部を設けて、2段ギヤ120の回転位置を検知してもよい。
【0058】
ラック160は、ギヤ104と噛み合う第1歯161と、ギヤ108と噛み合う第2歯162と、を有している。第1歯161は、第2歯162に対する2段ギヤ120側(
図2における左側)に配置されている。
【0059】
ラック160は、図示しない支持体(フレーム)に
図2における上下方向に移動可能に支持されている。ラック160は、第1歯161と噛み合うギヤ104が、
図2における時計周り方向へ回転することで下方へ移動するようになっている。ラック160は、第2歯162と噛み合うギヤ108が、
図2における反時計周り方向へ回転することで上方へ移動するようになっている。
【0060】
また、ラック160には、各カップリング130、140、150の後述の各アーム138、148、158が差し込まれる溝部163、164、165が形成されている。溝部163、164、165は、上から溝部165、163、164の順で、ラック160に配置されている。各溝部163、164、165は、
図2における左側に開口している。
【0061】
カップリング130は、
図4及び
図5に示されるように、ギヤ74とギヤ76との間で回転軸71の軸方向へ移動可能に回転軸71に支持されている。カップリング130は、ギヤ74の凹状の被連結部74Aと軸方向の一方(
図4及び
図5における右側)に連結する凸状の連結部134と、ギヤ76の凹状の被連結部76Aと軸方向の他方(
図4及び
図5における左側)に連結する凸状の連結部136と、を有している。
【0062】
凸状の連結部134及び凸状の連結部136は、それぞれ、凹状の被連結部74A及び凹状の被連結部76Aに差し込まれることで、凹状の被連結部74A及び凹状の被連結部76Aと回り止め状態で連結される。なお、被連結部74Aが凸状で連結部134が凹状に構成されていてもよい。被連結部76A及び連結部136の関係においても同様である。
【0063】
さらに、カップリング130は、
図2に示されるように、半径方向外側に突出するアーム138(突出部)を有している。アーム138は、ラック160の溝部163に差し込まれており、ラック160が上下動することで、カップリング130が予め定められた回転角度の範囲で回転する構成とされる。具体的には、カップリング130は、
図2に示す回転位置と、
図3に示す回転位置と、の間で回転するようになっている。カップリング130は、当該回転に伴って回転軸71の軸方向の一方及び他方へ移動し、
図2に示す回転位置において、カップリング130の連結部134が、ギヤ74の被連結部74Aに差し込まれて被連結部74Aに連結された連結状態となる。また、カップリング130は、
図3に示す回転位置において、カップリング130の連結部136が、ギヤ76の被連結部76Aに差し込まれて被連結部76Aに連結された連結状態となる。なお、カップリング130は、例えば、回転運動を直線運動に変換するカム等の機械要素により、
図2に示す回転位置と
図3に示す回転位置との間での回転に伴って、回転軸71の軸方向の一方及び他方へ移動するようになっている。
【0064】
なお、カップリング140、150は、カップリング130と同様に構成されている。カップリング130の上記説明における回転軸71、連結部134、136、被連結部74A、76A、アーム138及び溝部163のそれぞれは、カップリング140の構成において、回転軸81、連結部144、146、被連結部78A、80A、アーム148及び溝部164が対応する。
【0065】
したがって、カップリング140の
図2に示す回転位置において、
図4に示されるように、カップリング140の連結部144が、ギヤ78の被連結部78Aに差し込まれて被連結部78Aに連結された連結状態となる。また、カップリング140の
図3に示す回転位置において、
図5に示されるように、カップリング140の連結部146が、ギヤ80の被連結部80Aに差し込まれて被連結部80Aに連結された連結状態となる。
【0066】
また、カップリング130の上記説明における回転軸71、連結部134、136、被連結部74A、76A、アーム138及び溝部163のそれぞれは、カップリング150の構成において、回転軸91、連結部154、156、被連結部90A、92A、アーム158及び溝部165が対応する。
【0067】
したがって、カップリング150の
図2に示す回転位置において、
図4に示されるように、カップリング150の連結部154が、ギヤ90の被連結部90Aに差し込まれて被連結部90Aに連結された連結状態となる。また、カップリング150の
図3に示す回転位置において、
図5に示されるように、カップリング150の連結部156が、ギヤ92の被連結部92Aに差し込まれて被連結部92Aに連結された連結状態となる。
【0068】
そして、切替機構350では、以下のように動作して、伝達機構330、340のそれぞれを、第2、第4経路から第1、第3経路へ切り替えるようになっている。
【0069】
すなわち、切替機構350では、2段ギヤ120が電磁クラッチ128によって回転軸103に対して一体回転する状態において、駆動モータ62の駆動力によって、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、76、92、94、96、98を介して、2段ギヤ120が回転される。
【0070】
このとき、2段ギヤ120の回転位置が制御部20によって制御され、2段ギヤ120の第1歯121がギヤ104に噛み合って回転することで、ラック160が下方へ移動する。ラック160が下方へ移動することで、カップリング130、140、150が
図2に示す回転位置に回転する。
図2に示す回転位置において、
図4に示されるように、カップリング130、140、150の連結部134、144、154のそれぞれが、被連結部74A、78A、90Aに連結された連結状態となる。この連結状態において、各ギヤ74、78、90の各回転軸71、81、91に対する回転が制限され、各ギヤ74、78、90が各回転軸71、81、91と一体に回転する状態となる。なお、このとき、各ギヤ76、80、92は、各回転軸71、81、91に対して空転する状態となる。
【0071】
一方、切替機構350では、以下のように動作して、伝達機構330、340のそれぞれを、第1、第3経路から第2、第4経路へ切り替えるようになっている。
【0072】
すなわち、切替機構350では、2段ギヤ120が電磁クラッチ128によって回転軸103に対して一体回転する状態において、駆動モータ62の駆動力によって、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、74、90、94、96、98を介して、2段ギヤ120が回転される。
【0073】
このとき、2段ギヤ120の回転位置が制御部20によって制御され、2段ギヤ120の第2歯122がギヤ106に噛み合って回転することでギヤ108が回転し、ラック160が上方へ移動する。ラック160が上方へ移動することで、カップリング130、140、150が
図3に示す回転位置に回転する。
図3に示す回転位置において、
図5に示されるように、カップリング130、140、150の連結部136、146、156のそれぞれが、被連結部76A、80A、92Aに連結された連結状態となる。この連結状態において、各ギヤ76、80、92の各回転軸71、81、91に対する回転が制限され、各ギヤ76、80、92が各回転軸71、81、91と一体に回転する状態となる。なお、このとき、各ギヤ74、78、90は、各回転軸71、81、91に対して空転する状態となる。
【0074】
なお、伝達機構330、340は、例えば、初期状態において、第2、第4経路で駆動モータ62の駆動力を伝達するようになっている。また、切替動作は、画像形成指令(プリント指令)を制御部20が取得した際に、必要に応じて、制御部20によって画像形成動作を実行する前に実行される。
【0075】
また、例えば、画像形成動作においてレジロール50A及び定着装置56における搬送速度を基準速度とする場合に、第2、第4経路から第1、第3経路へ切り替えられる。レジロール50A及び定着装置56における搬送速度を基準速度とする場合とは、例えば、予め定められた厚みを有する普通紙が記録媒体Pとして、操作部(図示省略)を通じて選択された場合が該当する。
【0076】
また、例えば、画像形成動作においてレジロール50A及び定着装置56における搬送速度を、基準速度より速い速度とする場合に、第1、第3経路から第2、第4経路へ切り替えられる。レジロール50A及び定着装置56における搬送速度を基準速度よりも速い速度とする場合とは、例えば、普通紙よりも厚い厚紙が記録媒体Pとして、操作部(図示省略)を通じて選択された場合が該当する。
【0077】
さらに、画像形成動作を実行する際には、電磁クラッチ128によって、2段ギヤ120は、回転軸103に対して相対回転する状態へ切り替わり、2段ギヤ120は回転軸103に対して空転するようになっている。
【0078】
(本実施形態の作用)
ここでは、伝達機構330、340のそれぞれを、初期状態の第1、第3経路から第2、第4経路に切り替える場合について説明する。
【0079】
例えば、操作部(図示省略)を通じて記録媒体Pとして厚紙が選択された場合に、画像形成指令を制御部20が取得すると、制御部20が切替機構350を作動させて、伝達機構330、340のそれぞれを、第1、第3経路から第2、第4経路に切り替える。具体的には、以下のように、切替動作が実行される。
【0080】
まず、2段ギヤ120に内蔵された電磁クラッチ128によって、2段ギヤ120が回転軸103に対して一体回転する状態に変化する。この状態において、駆動モータ62の駆動力によって、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、74、90、94、96、98を介して、2段ギヤ120が回転される。
【0081】
このとき、2段ギヤ120の回転位置が制御部20によって制御され、2段ギヤ120の第2歯122がギヤ106に噛み合って回転することでギヤ108が回転し、ラック160が上方へ移動する。ラック160が上方へ移動することで、カップリング130、140、150が
図3に示す回転位置に回転する。
図3に示す回転位置において、
図5に示されるように、カップリング130、140、150の連結部136、146、156のそれぞれが、被連結部76A、80A、92Aに連結された連結状態となる。
【0082】
この連結状態において、各ギヤ76、80、92の各回転軸71、81、91に対する回転が制限され、各ギヤ76、80、92が各回転軸71、81、91と一体に回転する状態となる。このとき、各ギヤ74、78、90は、各回転軸71、81、91に対して空転する状態となる。
【0083】
次に、2段ギヤ120に内蔵された電磁クラッチ128によって、2段ギヤ120が回転軸103に対して相対回転する状態に変化し、以下の画像形成動作が実行される。
【0084】
すなわち、感光体ドラム32は、回転されながら帯電ロール23によって帯電される。帯電された感光体ドラム32が露光装置36によって露光されて、感光体ドラム32の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム32に形成された静電潜像は、回転する現像ロール38Aから供給される現像剤によって現像される。これにより、感光体ドラム32には、黒色のトナー画像が形成される。
【0085】
転写位置Tへ導入される感光体ドラム32上のトナー画像のタイミングに合わせて、回転するレジロール50A、50Bによって、記録媒体Pとしての厚紙が転写位置Tへ供給される。そして、転写位置Tにおいて、感光体ドラム32上の黒色のトナー画像が記録媒体Pに転写される。
【0086】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、転写位置Tから定着装置56へ搬送される。定着装置56では、回転する加熱ロール56Aと加圧ロール56Bとで記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを搬送しながら、加熱ロール56Aによる加熱と、加圧ロール56Bによる加圧によってトナー画像を記録媒体Pに定着させる。トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール52によって、排出部18へ排出される。
【0087】
この画像形成動作では、駆動ギヤ64と、ギヤ66と、感光体ドラム32(
図1参照)の回転軸に固定されたギヤ(図示省略)と、を含むギヤ列で構成された伝達機構310によって、駆動モータ62の駆動力が感光体ドラム32に伝達されて感光体ドラム32が回転する。
【0088】
また、駆動ギヤ64と、ギヤ68、70と、現像ロール38Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列によって構成され伝達機構320によって、駆動モータ62の駆動力が現像ロール38Aに伝達されて現像ロール38Aが回転する。
【0089】
さらに、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、76、80、82、84及び、レジロール50Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力がレジロール50Aに伝達される。すなわち、伝達機構330の第2経路によって、レジロール50Aに伝達され、レジロール50Aが回転する。これにより、レジロール50Aの回転速度が、第1経路による駆動伝達の場合よりも速くなり、普通紙よりも搬送抵抗が大きい厚紙であっても、記録媒体Pの搬送速度の低下が抑制される。
【0090】
また、駆動ギヤ64、ギヤ68、72、76、92、94、96、98、100、102及び、加熱ロール56Aの回転軸に固定されたギヤ(図示省略)を含むギヤ列を介して、駆動モータ62の駆動力が加熱ロール56Aに伝達される。すなわち、伝達機構340の第4経路によって、加熱ロール56Aに伝達され、加熱ロール56Aが回転する。これにより、加熱ロール56Aの回転速度が、第3経路による駆動伝達の場合よりも速くなり、普通紙よりも搬送抵抗が大きい厚紙であっても、記録媒体Pの搬送速度の低下が抑制される。
【0091】
このように、本実施形態では、感光体ドラム32、現像ロール38A、レジロール50A及び加熱ロール56Aを単一(共通)の駆動モータ62で駆動する構成において、伝達機構330、340のそれぞれを、第1、第3経路から第2、第4経路に切り替えることで、感光体ドラム32及び現像ロール38Aの回転速度を維持したまま、レジロール50A及び加熱ロール56Aの回転速度が変更される。
【0092】
また、本実施形態では、前述のとおり、切替機構350を動作させる駆動源としても、感光体ドラム32、現像ロール38A、レジロール50A及び加熱ロール56Aを回転駆動する駆動モータ62を用いる。従って、本実施形態では、感光体ドラム32及び現像ロール38Aの回転速度を維持したまま、レジロール50A及び加熱ロール56Aの回転速度が変更する場合において、感光体ドラム32、現像ロール38A、レジロール50A及び加熱ロール56Aの回転に加えて、切替機構350を作動も、共通の駆動部(駆動モータ62)によって行われる。
【0093】
さらに、本実施形態では、単一のギヤ104を用いて2段ギヤ120からラック160へ駆動力を伝達してラック160を下方へ移動させ、2つのギヤ106、108を用いて2段ギヤ120からラック160へ駆動力を伝達してラック160を上方へ移動させる。このように、本実施形態では、駆動モータ62において、逆転の駆動をせずに、ラック160を上方又は下方へ移動させて、レジロール50A及び加熱ロール56Aの回転速度が変更される。
【0094】
(変形例)
上記実施形態では、第1回転部材の一例として、感光体ドラム32及び現像ロール38Aを用いたが、これに限られず、回転する部材であれば、他のロールやベルトであってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、第2回転部材の一例として、レジロール50A及び加熱ロール56Aを用いたが、これに限られず、回転する部材であれば、他のロール(搬送ロール等)やベルトであってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、切替機構350は、2段ギヤ120と、ラック160と、伝達部410、420と、カップリング130、140、150と、を有していたが、これに限られない。切替機構350としては、上記以外の機械要素を含んで構成されていてもよい。
【0097】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成しても良い。