【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、記録部の一例であって、画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取部の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。実施例1のスキャナ部U2には、入力部の一例としてのユーザインタフェースU0が支持されている。前記ユーザインタフェースU0は、操作者が入力をして、複写機Uの操作が可能である。
【0017】
オートフィーダU3の上部には、媒体の収容容器の一例としての原稿トレイTG1が配置されている。原稿トレイTG1には、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容可能である。原稿トレイTG1の下方には、原稿の排出部の一例としての原稿の排紙トレイTG2が形成されている。原稿トレイTG1と原稿の排紙トレイTG2との間には、原稿の搬送路U3aに沿って、原稿の搬送ロールU3bが配置されている。
【0018】
スキャナ部U2の上面には、透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGが配置されている。実施例1のスキャナ部U2には、プラテンガラスPGの下方に、読取り用の光学系Aが配置されている。実施例1の読取り用の光学系Aは、プラテンガラスPGの下面に沿って、左右方向に移動可能に支持されている。なお、読取り用の光学系Aは、通常時は、
図1に示す初期位置に停止している。
読取り用の光学系Aの右方には、撮像部材の一例としての撮像素子CCDが配置されている。撮像素子CCDには、画像処理部GSが電気的に接続されている。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成装置の一例としての露光装置ROSに電気的に接続されている。
【0019】
プリンタ部U1には、像保持体の一例としての感光体ドラムPRが配置されている。感光体ドラムPRの周囲には、帯電部材の一例としての帯電ロールCR、現像装置G、転写装置の一例としての転写ユニットTU、清掃器の一例としてのドラムクリーナCLpが配置されている。
現像装置Gの右方には、現像剤の収容容器の一例としてのカートリッジKが配置されている。カートリッジKを支持するカートリッジホルダKSと現像装置Gとの間は、リザーブタンクRTを有する現像剤の搬送装置GHで接続されている。
【0020】
転写ユニットTUの下方には、媒体の収容容器の一例としての給紙トレイTR1〜TR4が配置されている。各給紙トレイTR1〜TR4から、搬送路SH1が延びている。搬送路SH1には、媒体の取り出し部材の一例としてのピックアップロールRp、捌き部材の一例としての捌きロールRs、搬送部材の一例としての搬送ロールRa、送出部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
転写ユニットTUの左方には、加熱ロールFhや加圧ロールFpを有する定着装置Fが配置されている。定着装置Fから、排紙トレイTRhの間は排出路SH2で接続されている。排出路SH2とレジロールRrとの間は、反転路SH3で接続されている。排出路SH2には、正逆回転可能な搬送ロールRbや排出ロールRhが配置されている。
【0021】
(画像形成動作の説明)
前記原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置を順次通過して、原稿の排紙トレイTG2に排出される。
前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿を搬送して複写を行う場合は、読取り用の光学系Aは初期位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合、読取り用の光学系Aが左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿が、露光されながら走査される。
原稿Giからの反射光は、読取り用の光学系Aを通って、撮像素子CCDに集光される。前記撮像素子CCDは、撮像面上に集光された原稿の反射光を電気信号に変換する。
【0022】
画像処理部GSは、撮像素子CCDから入力された読取信号を、デジタルの画像信号に変換して、プリンタ部U1の書込回路DLに出力する。前記書込回路DLは、入力された画像書込信号に応じた制御信号を、露光装置ROSに出力する。
露光装置ROSは、レーザービームLを出力して、帯電ロールCRで帯電された感光体ドラムPRの表面に潜像を形成する。感光体ドラムPRの表面の潜像は、現像装置Gで可視像に現像される。転写ユニットTUの転写ロールTRは、感光体ドラムPRの表面の可視像を、搬送路SH1を搬送されてきた媒体の一例としての記録シートSに転写する。記録シートSに転写された可視像は、定着装置Fで定着される。定着装置Fを通過した記録シートSは、両面印刷がされる場合には、反転路SH3に搬送され、排紙トレイTRhに排出される場合には、排出ロールRhで排出される。
【0023】
(オートフィーダU3の説明)
図2は実施例1の原稿搬送装置の要部拡大説明図である。
図1、
図2において、実施例1の原稿搬送装置の一例としてのオートフィーダU3では、原稿トレイTG1から原稿の排紙トレイTG2までC字状の原稿の搬送路U3aが形成されている。
実施例1の前記原稿の搬送路U3aの右上部、すなわち、原稿Giの搬送方向上流端部には、原稿取出部材の一例としてのナジャーロール1が配置されている。ナジャーロール1の左方には、原稿捌き部材の一例としての原稿捌きロール2が配置されている。
【0024】
原稿捌きロール2に対して、原稿Giの搬送方向下流側には、原稿の搬送部材の一例としてのテイクアウェイロール3が配置されている。テイクアウェイロール3に対して、原稿Giの搬送方向の下流側には、原稿の送出時期の調整部材の一例としての原稿レジロール4が配置されている。
原稿レジロール4に対して、原稿Giの搬送方向の下流側には、プラテンガラスPG上に、画像が読み取られる画像読取り位置6が設定されている。
原稿の読取り位置の一例としての画像読取り位置6に対して、原稿Giの搬送方向の下流側には、原稿の搬送部材の一例としてのアウトロール7が配置されている。
【0025】
アウトロール7に対して、原稿Giの搬送方向の下流側には、原稿の搬送部材の一例であって、原稿の排出部材の一例としてのイグジットロール8が配置されている。
原稿Giの搬送方向に対して、イグジットロール8の上流側とテイクアウェイロール3の上流側との間には、原稿の反転路11が形成されている。
イグジットロール8の上流側には、原稿の反転路11と原稿の搬送路U3aとの分岐部分に、搬送の切替部材の一例としてのゲート12が配置されている。また、テイクアウェイロール3の上流側には、原稿の反転路11と搬送路U3aとの合流部分に、搬送の切替部材の一例としてのゲート13が配置されている。
【0026】
実施例1の原稿の搬送路U3aでは、テイクアウェイロール3の上流側の近傍には、媒体の検知部材の一例としてのプレレジセンサ16が配置されている。また、原稿レジロール4の下流側の近傍には、媒体の検知部材の一例としてのレジセンサ17が配置されている。さらに、イグジットロール8の上流側には、媒体の検知部材の一例としての排出センサ18が配置されている。
【0027】
(原稿搬送装置の伝達系の説明)
図3は実施例1の原稿搬送装置の伝達系の説明図であり、
図3Aは斜視図、
図3Bは
図3Aの矢印IIIB方向から見た図である。
図3において、実施例1のイグジットロール8は、下方に配置された駆動部材の一例としての駆動ロール21を有する。駆動ロール21の上方には、従動部材の一例としての従動ロール22が配置されている。従動ロール22の軸は、支持部材の一例としてのアーム23の先端に回転可能に支持されている。アーム23の基端は、前後方向に延びる支持軸24に回転可能に支持されている。アーム23の基端部には、押し付け支持部23aが形成されている。押し付け支持部23aには、押し付け部材の一例としてのコイルばね26の一端が支持されている。コイルばね26は、押し付け支持部23aを上方に付勢している。よって、コイルばね26の力で、従動ロール22は、駆動ロール21に押し付けられる。
【0028】
なお、実施例1の駆動ロール21は、駆動ロール21と原稿Giとの間の摩擦係数μ1が、原稿Gi間の摩擦係数μ2に対して、μ1>μ2を満たすように、駆動ロール21の材料が選択され且つ、駆動ロール21の表面に高摩擦加工がされている。すなわち、オートフィーダU3で使用可能な原稿Giの紙種の中で、最もμ2が大きな原稿Giに対しても、μ1>μ2となるように駆動ロール21が構成されている。したがって、原稿Giの搬送方向の長さが長く、イグジットロール8の位置において、原稿Giの後部が反転路11に搬送され且つ原稿Giの前部が原稿の排紙トレイTG2に向けて搬送される場合でも、前部は駆動ロール21で原稿の排紙トレイTG2に向けて搬送可能、且つ、後部はテイクアウェイロール3で搬送可能である。
【0029】
前記支持軸24の後端には、第1の連結部材の一例としての第1レバー27が支持されている。第1レバー27は、支持軸24と一体的に回転可能に支持されている。第1レバー27は、右方に延びる被押し上げ部27aを有する。
第1レバー27の右方には、第2レバー28が支持されている。第2レバー28は、図示しない枠体に、軸部28aを中心として回転可能に支持されている。軸部28aの左方には、押上部28bが形成されている。押上部28bは、第1レバー27の被押し上げ部27aに向けて延びている。押上部28bは、上面が、被押し上げ部27aの下面に接触可能に構成されている。
【0030】
押上部28bの後方には、左方に延びる被付勢部28cが形成されている。被付勢部28cの左端には、付勢部材の一例としてのコイルばね29の一端が連結されている。コイルばね29の他端は、図示しない枠体に支持されている。コイルばね29は、被付勢部28cを下方に引っ張る力を作用させる。また、第2レバー28は、作動部材の接触部の一例として、前記軸部28aから右下方に延びるカム接触部28dを有する。
前記第1レバー27および前記第2レバー28、コイルばね29により、実施例1の連結部材27〜29が構成されている。
【0031】
前記オートフィーダU3の後部には、駆動源の一例としてのモータユニットM2が支持されている。なお、実施例1のモータユニットM2は、正逆回転可能なモータユニットにより構成されている。
モータユニットM2の出力軸31には、歯車の一例としての駆動ギア32が支持されている。駆動ギア32には、歯車の一例としての第1の中間ギア33が噛み合っている。第1の中間ギア33の同軸には、歯車の一例としての第2の中間ギア34が支持されている。第2の中間ギア34には、歯車の一例としての第3の中間ギア36が噛み合っている。
第3の中間ギア36には、歯車の一例としてのイグジットギア37が噛み合っている。イグジットギア37は、イグジットロール8の駆動ロール21の軸38の後端に支持されている。
【0032】
なお、第3の中間ギア36には、歯車の一例としての第4の中間ギア41が噛み合っている。第4の中間ギア41の同軸には、駆動の切替部材の一例としてのクラッチを介して、歯車の一例としての第5の中間ギア42が支持されている。第5の中間ギア42には、歯車の一例としての第6の中間ギア43が噛み合っている。第6の中間ギア43には、図示しない原稿捌きロール2の軸の歯車が噛み合っている。なお、ナジャーロール1には、原稿捌きロール2から図示しない歯車を介して駆動が伝達可能に構成されている。
また、第2の中間ギア34には、歯車の一例としての第7の中間ギア46が噛み合っている。第7の中間ギア46の前方には、同軸上に、回転の伝達部材の一例としての第1のプーリー47が支持されている。第1のプーリー47の下方には、回転の伝達部材の一例としての第2のプーリー48が配置されている。第2のプーリー48は、アウトロール7の駆動軸49に支持されている。
【0033】
第2のプーリー48の左方には、回転の伝達部材の一例としての第3のプーリー51が配置されている。第3のプーリー51の左方には、回転の伝達部材の一例としての第4のプーリー52が配置されている。第4のプーリー52は、原稿レジロール4の駆動軸53に支持されている。
第4のプーリー52の右上方には、回転の伝達部材の一例としての第5のプーリー54が配置されている。前記各プーリー47〜54の間には、回転の伝達部材の一例としての伝達ベルト56が架けられている。
【0034】
第7の中間ギア46の後方には、同軸上に、歯車の一例としての第8の中間ギア61が支持されている。第7の中間ギア46、第1のプーリー47および第8の中間ギア61の軸上には、切替部材の一例としてのスイングアーム62が支持されている。スイングアーム62の中央部は、第7の中間ギア46等の軸に対して回転可能に支持されている。
スイングアーム62の上部には、歯車の一例としての第9の中間ギア63が支持されている。また、スイングアーム62の下部には、歯車の一例としての第10の中間ギア64が支持されている。第9の中間ギア63および第10の中間ギア64は、共に第8の中間ギア61に噛み合っている。
【0035】
第8の中間ギア61の左方には、歯車の一例としての第11の中間ギア66が配置されている。第11の中間ギア66は、テイクアウェイロール3の軸67に支持されている。
図3Bにおいて、第3のプーリー51の軸68の後部には、歯車の一例としての第12の中間ギア69が回転可能に支持されている。第12の中間ギア69は、第11の中間ギア66に噛み合っている。
【0036】
前記スイングアーム62では、モータユニットM2が正回転駆動をしている場合には、
図3の実線の矢印で示す方向に各ギア32〜69が回転する。よって、第9の中間ギア63および第10の中間ギア64が第8の中間ギア61の外周に沿って移動して、
図3A、
図3Bに示す状態となる。したがって、第9の中間ギア63が、第11の中間ギア66に噛み合い、且つ、第10の中間ギア64が、第12の中間ギア69から離間した状態となる。
一方、モータユニットM2が逆回転駆動をしている場合には、
図3の破線の矢印で示す方向に各ギア32〜69が回転する。よって、第9の中間ギア63および第10の中間ギア64が第8の中間ギア61の外周に沿って移動する。そして、第9の中間ギア63が、第11の中間ギア66から離間し、且つ、第10の中間ギア64が第12の中間ギア69に噛み合った状態となる。
【0037】
(各ロールへの回転の伝達の説明)
したがって、実施例1の駆動の伝達系31〜79では、モータユニットM2が正回転駆動すると、駆動ギア32から中間ギア33〜36を介して、イグジットギア37に正回転が伝達される。よって、イグジットロール8の駆動ロール21は、原稿Giを原稿の排紙トレイTG2に向けて搬送する方向に回転する。また、原稿レジロール4およびアウトロール7には、駆動ギア32、第1の中間ギア33、第2の中間ギア34、第7の中間ギア46、プーリー47〜54および伝達ベルト56を介して回転が伝達されて、原稿Giを搬送方向の下流側に向けて搬送する方向に回転する。
【0038】
さらに、テイクアウェイロール3には、駆動ギア32、第1の中間ギア33、第2の中間ギア34、第7の中間ギア46、第8の中間ギア61、第9の中間ギア63、第11の中間ギア66を介して回転が伝達されて、原稿Giを搬送方向の下流側に向けて搬送する方向に回転する。また、原稿捌きロール2やナジャーロール1にも、駆動ギア32、中間ギア33〜36,41〜43を介して回転が伝達されて、原稿Giを搬送方向の下流側に向けて搬送する方向に回転する。なお、原稿捌きロール2やナジャーロール1には、第4の中間ギア41に設けられたクラッチが接続された場合に回転が伝達され、クラッチが切断されると回転が伝達されない。
【0039】
また、実施例1の駆動の伝達系31〜69では、モータユニットM2が逆回転すると、正回転時と同様に駆動が伝達され、イグジットロール8、原稿レジロール4、アウトロール7が逆回転する。一方、テイクアウェイロール3は、駆動ギア32、第1の中間ギア33、第2の中間ギア34、第7の中間ギア46、第8の中間ギア61、第10の中間ギア64、第12の中間ギア69、第11の中間ギア66を介して回転が伝達されて、正回転時と同じ原稿Giを搬送方向の下流側に向けて搬送する方向に回転する。すなわち、実施例1のテイクアウェイロール8は、モータユニットM2が正回転しても逆回転しても、同じ回転方向に回転する。なお、実施例1の原稿捌きロール2やナジャーロール1においては、クラッチが切断され逆回転が伝達されない。
【0040】
(イグジットロールの接触、離間機構の説明)
図4は実施例1の接触・離間機構の説明図であり、
図4Aは前方から見た図、
図4Bは後方から見た図である。
図5は実施例1の昇降ギアの分解説明図である。
図3〜
図5において、第1の歯車部材の一例としてのイグジットギア37の右方には、第2の歯車部材の一例としての昇降ギア71が配置されている。昇降ギア71は、軸の一例としてのシャフト72に回転可能に支持されている。昇降ギア71は、前側に配置されたカムギア73と、後側に配置されたロックギア74とを有する。
【0041】
前記カムギア73およびロックギア74は円板状に形成されている。前記カムギア73およびロックギア74の外周には、第1の歯車部の一例としての第1ギア部73a,74aと、第1ギア部73a,74aに対して周方向に隙間をあけて形成された第2の歯車部の一例としての第2ギア部73b,74bと、を有する。各ギア部73a,73b,74a,74bは、イグジットギア37に噛み合った場合に、回転が伝達可能に構成されている。すなわち、実施例1では、カムギア73およびロックギア74は、ともにイグジットギア37に噛み合うことが可能に、軸方向の長さや位置が設定されている。
【0042】
モータユニットM2の正回転時の昇降ギア71の回転方向Yaに対して、第1ギア部73a,74aの下流側且つ第2ギア部73b,74bの上流側の隙間により、ギアの歯が欠けた部位である第1の欠け歯部73c,74cが構成されている。同様に、第2のギア部73b,74bの下流側且つ第1のギア部73a,74aの上流側の隙間により、第2の欠け歯部73d,74dが構成されている。各欠け歯部73c,73d,74c,74dは、欠け歯部73c,73d,74c,74dがイグジットギア37に対向した場合に、イグジットギア37の歯に、各ギア部73a,73b,74a,74bが接触しないように、周方向の幅が設定されている。なお、実施例1では、各欠け歯部73c,73d,74c,74dの中心どうしの成す角は、90度に設定されている。
【0043】
図4、
図5において、前記カムギア73には、ロックギア74側に向けて突出する被案内部材の一例としてのピン76が支持されている。
ロックギア74には、ピン76に対応して、案内部の一例としてのガイド溝77が形成されている。ガイド溝77は、軸72を中心とする部分円弧状に形成されている。また、ロックギア74には、カムギア73側の面に、付与部材の支持部の一例としてのバネの支持部78が形成されている。
【0044】
カムギア73とロックギア74との間には、回転力の付与部材の一例としてのねじりバネ79が配置されている。ねじりバネ79は、一端がピン76に支持され、他端はバネの支持部78に支持されている。したがって、ねじりバネ79は、カムギア73に対してロックギア74を、回転方向Yaに向けて回転させる力を付与している。
前記符号31〜79を付した各部材により、実施例1の駆動の伝達系31〜79が構成されている。
【0045】
前記ロックギア74の後面には、被停止部材の一例としての被ロック部材81が配置されている。実施例1の被ロック部材81は、ロックギア74の後方に突出する同軸の柱状に一体的に形成されている。前記被ロック部材81は、第1の被停止部の一例としての第1のロック爪82が形成されている。前記第1のロック爪82に対して、被ロック部材81の周方向にずれた位置に第2のロック爪83が形成されている。実施例1の第1のロック爪82に対して、第2のロック爪83は、前記昇降ギア71の回転方向Yaに対して、周方向の位相が、180度未満の一例としての90度上流側にズレた位置に配置されている。
【0046】
各ロック爪82,83は、被ロック部材81の外周面81aに対して、径方向に突出する爪状に形成されている。各ロック爪82,83は、昇降ギア71の回転方向Yaに対して下流側の面が径方向に沿った段差面82a,83aを有する。段差面82a,83aの外端から上流側には、外周面81aまで滑らかに接続する傾斜面82b,83bが形成されている。
【0047】
被ロック部材81の左方には、停止部材の一例としてのロック部材86が配置されている。ロック部材86は、停止用の駆動源の一例としてのソレノイド87を有する。ソレノイド87は、軸87aを中心として導線が巻きつけられた電磁コイルにより構成されている。したがって、通電時に、軸87aの先端部に磁力が発生する。
軸87aの先には、停止部材の本体の一例としてのロックレバー88が配置されている。実施例1のロックレバー88は、磁性体の板により構成されている。ロックレバー88は、基端部88aがロック部材86の枠体に回転可能に支持されている。
【0048】
ロックレバー88の基端には、付勢部材の一例としての引張バネ89が支持されている。引張バネ89は、ロックレバー88の基端側を引っ張っている。したがって、ロックレバー88は、引張バネ89の弾性力で、ソレノイド87の軸87aから離れる方向の力を受ける。
ロックレバー88の先端部には、停止部の一例としてのロック部88bが形成されている。ロック部88bは、ロックレバー88から被ロック部材81側に折り曲げられた形状に形成されている。ロック部88bは、ロック爪82,83の段差面82a,83aに係合可能に構成されている。
【0049】
前記カムギア73の前面には、作動部材の一例としてのカム91が配置されている。実施例1のカム91は、カムギア73の前方に突出する同軸の柱状に一体的に形成されている。また、カム91は、第2レバー28のカム接触部28dの上面に接触可能に構成されている。
前記カム91の外周面には、第1の係合部の一例として、回転中心であるシャフト72からの径が極小の短径面91aが設けられている。また、短径面91aに対して、位相が90度ずれた位置には、第2の係合部の一例としての径が極大の長径面91bが設けられている。実施例1の短径面91aと長径面91bは、カム接触部28dに接触した場合に、回転位置が安定するように、平面状に切除された形状、いわゆるDカット形状に形成されている。
【0050】
前記短径部91aは、前記ロック部88bが、第1のロック爪82の段差面82aに接触した場合に、前記カム接触部28dに接触する位置に対応して形成されている。また、前記長径部91bは、前記ロック部88bが、第2のロック爪83の段差面83aに接触した場合に、前記カム接触部28dに接触する位置に対応して形成されている。
【0051】
(イグジットロールの接触、離間動作の説明)
図6は実施例1の昇降ギアの動作の説明図であり、
図6Aは初期位置の説明図、
図6Bは
図6Aに示す状態からソレノイドがオンになった場合の説明図、
図6Cは
図6Bに示す状態から昇降ギアが回転してソレノイドがオフになった場合の説明図、
図6Dは
図6Cに示す状態から昇降ギアが回転してロックレバーが第2のロック爪に接触した状態の説明図である。
図7は
図6の続きの昇降ギアの動作の説明図であり、
図7Aは
図6Dに示す状態から昇降ギアが回転して駆動ロールから従動ロールが離間した状態の説明図、
図7Bは
図7Aに示す状態からからソレノイドがオンになった場合の説明図、
図7Cは
図7Bに示す状態から昇降ギアが回転してソレノイドがオフになった場合の説明図、
図7Dは
図7Cに示す状態から昇降ギアが回転してロックレバーが第1のロック爪に接触した状態の説明図である。
【0052】
図4、
図6において、実施例1の昇降ギア71では、初期位置では、ソレノイド87がオフの状態となっている。よって、ロックレバー88が引張バネ89の弾性力で、
図6Aに示す係合位置に移動する。したがって、ロックレバー88は、第1のロック爪82に接触した状態で保持される。よって、ロックギア74が
図6Aに示す状態に保持される。
この時、カムギア73では、短径面91aがカム接触部28dに接触した状態となっている。実施例1の短径面91aは、平面状になっており、接触部28dに面接触した状態で姿勢が安定する。よって、短径面91aと接触部28dとの接触に伴って、カムギア73の回転が規制される。よって、カムギア73も
図6Aに示す状態で保持される。
【0053】
なお、このとき、カムギア73とロックギア74との間では、ねじりバネ79の弾性力が作用している。
よって、
図6Aに示す初期位置では、第1の欠け歯部73c,74cがイグジットギア37に対向した状態で保持される。したがって、昇降ギア71には回転力が伝達されない。
また、
図4において、この状態では、第2のレバー28の被付勢部28cがコイルばね29で引っ張られている。よって、押上部28bが被押し上げ部27aを持ち上げない状態で保持される。よって、従動ロール22は、駆動ロール21に対して、コイルばね26で接触した状態で保持される。
【0054】
図6A、
図6Bにおいて、
図6Aに示す状態からソレノイド87がオンになると、ロックレバー88が第1のロック爪82から離間する。したがって、ロックギア74が回転可能な状態となる。したがって、ねじりバネ79の弾性力が作用して、ロックギア74は回転方向Yaの方向に回転する。よって、
図6Bに示すように、ロックギア74の第1のギア部74aがイグジットギア37に噛み合う。
【0055】
図6B、
図6Cにおいて、ロックギア74の第1のギア部74aがイグジットギア37に噛み合うと、イグジットギア37の回転に伴って、ロックギア74が回転する。ロックギア74が回転すると、ピン76がガイド溝77の内側の範囲では、ロックギア74がカムギア73に対して相対的に回転する。ピン76がガイド溝77の端に接触すると、カムギア73にも回転力が伝達される。よって、
図6Cに示すように、カムギア73も回転を開始する。カムギア73が回転を開始すると、カムギア73の第1のギア部73aがイグジットギア37に噛み合う。よって、カムギア73およびロックギア74は、第1のギア部73a,74aの噛み合いで回転する。
【0056】
このとき、カム91も回転して、接触部28dとの接触位置が、短径面91aから長径面91bに向けて変化する。よって、第2のレバー28が軸部28aを中心として回転を開始する。よって、押上部28bが、被押し上げ部27aを押し上げ始めて、従動ロール22が駆動ロール21から離間しはじめる。
また、
図6Cにおいて、後述する離間時間t4に対応して、ロックギア74が回転すると、ソレノイド87がオフになる。よって、ロックレバー88は、引張バネ89の弾性力で、
図6Cに示す係合位置に移動する。
【0057】
図6C、
図6Dにおいて、カムギア73およびロックギア74が回転すると、先行して回転していたロックギア74の第1のギア部74aがイグジットギア37から離れる。よって、ロックギア74への回転力が付与されなくなる。この時、カムギア73は、まだ、第1のギア部73aがイグジットギア37と噛み合っていて、回転を継続している。よって、カムギア73が回転すると、ねじりバネ79を介して、ロックギア74が回転方向に押される。この時、ロックレバー88は係合位置に移動している。よって、ロックギア74は、第2のロック爪83がロックレバー88に接触して停止されるまで回転する。
【0058】
図6D、
図7Aにおいて、後続のカムギア73が回転すると、第1のギア部73aもイグジットギア37から離れる。このとき、長径面91bの角が第2のレバー28の接触部28dを超える。よって、カム91の死点を超えた形となり、コイルばね29の弾性力で、長径面91bがカム接触部28dに接触するまで、カム91およびカムギア73が回転する。なお、ロックギア74はロックレバー88で停止されている。
よって、
図7Aに示すように、長径面91bがカム接触部28dに接触した状態では、従動ロール22が駆動ロール21から離間した状態で保持される。
【0059】
図7A〜
図7Dにおいて、
図7Aに示す状態からソレノイド87がオンになると、
図6B〜
図6Dの場合と同様に、ロックギア74とカムギア73が順次回転して、
図6Aに示す初期位置に戻る。すなわち、従動ロール22が駆動ロール21に接触した状態に戻る。
【0060】
(実施例1の制御部の説明)
図8は実施例1の画像形成装置の制御部が備えている各機能をブロック図で示した図である。
図8において、複写機Uが有する制御部の一例としてのコントローラCは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、コントローラCは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、コントローラCは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、コントローラCは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1のコントローラCは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、コントローラCは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0061】
(コントローラCに接続された信号出力要素)
前記プリンタ部U1のコントローラCは、ユーザインタフェースU0、センサ16〜18等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
U0:ユーザインタフェース
ユーザインタフェースU0は、電源の投入部の一例としての電源ボタンU01や、表示部の一例としての表示パネルU02、動作開始用の入力部材の一例としてのスタートボタンU03、数値の入力部材の一例としてのテンキーU04、その他の図示しない入力ボタン等を備えている。
プレレジセンサ16は、テイクアウェイロール3の近傍に搬送された原稿Giを検出する。
レジセンサ17は、原稿レジロール4を通過した原稿Giを検出する。
排出センサ18は、イグジットロール8に向けて搬送された原稿Giを検出する。
【0062】
(コントローラCに接続された被制御要素)
コントローラCは、駆動源の駆動回路D1や、オートフィーダの駆動回路D2、ソレノイドの駆動回路D3、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されている。コントローラCは、各回路D1〜D3,E等へ、それらの制御信号を出力している。
D1:駆動源の駆動回路
駆動源の駆動回路D1は、駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、感光体ドラムPR、現像装置Gの現像剤保持体、転写ベルトTB、定着装置Fの加熱ロールFh、搬送ロールRa等を回転駆動する。
【0063】
D2:オートフィーダの駆動回路
原稿搬送装置の駆動回路の一例としてのオートフィーダの駆動回路D2は、モータユニットM2の駆動を制御して、オートフィーダU3の各ローラ1〜8を回転駆動する。
D3:ソレノイドの駆動回路
接触・離間用の駆動回路の一例としてのソレノイドの駆動回路D3は、ソレノイド87の駆動を制御して、ロックレバー88の移動を制御する。
【0064】
E:電源回路
電源回路Eは、現像用の電源回路E1、帯電用の電源回路E2、転写用の電源回路E3と定着用の電源回路E4とを有している。
E1:現像用の電源回路
現像用の電源回路E1は、現像装置Gの現像剤保持体に現像電圧を印加する。
E2:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路E2は、帯電ロールCRに帯電電圧を印加する。
E3:転写用の電源回路
転写用の電源回路E3は、転写ロールTRに転写電圧を印加する。
E4:定着用の電源回路
定着用の電源回路E4は、定着装置Fの加熱ロールFhの加熱部材に加熱用の電力を供給する。
【0065】
(コントローラCの機能)
コントローラCは、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、コントローラCは次の機能を有している。
C1:画像形成の制御手段
画像形成の制御手段C1は、スキャナ部U2での画像の読取りや複写機Uの各部材の駆動や各電圧の印加時期等を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
【0066】
C2:駆動源の制御手段
駆動源の制御手段C2は、駆動源の駆動回路D1を介してメインモータM1の駆動を制御し、感光体ドラムPR等の駆動を制御する。
C3:電源回路の制御手段
電源回路の制御手段C3は、各電源回路E1〜E4を制御して、各部材へ印加される電圧や、各部材へ供給される電力を制御する。
【0067】
C4:原稿の搬送制御手段
排出部材の制御手段の一例としての原稿の搬送制御手段C4は、オートフィーダの駆動回路D2を介して、オートフィーダU3の各ロール1〜8の駆動を制御する。実施例1の原稿の搬送制御手段C4は、ユーザインタフェースU0への入力に基づいて原稿Giの片面読み取り時には、ジョブが開始されるとモータユニットM2を正回転させる。そして、原稿の搬送制御手段C4は、プレレジセンサ17の位置まで原稿Giの先端が到達すると、一旦、モータユニットM2を停止させ、原稿Giを画像読取り位置6に搬送する時期に合わせてモータユニットM2を再駆動させる。そして、原稿の搬送制御手段C4は、ジョブが終了するとモータユニットM2を停止させる。
【0068】
また、実施例1の原稿の搬送制御手段C4は、原稿Giの両面読み取り時には、ジョブが開始されるとモータユニットM2を正回転させる。そして、原稿の搬送制御手段C4は、原稿Giの後端が、排出センサ18で検出されると、モータユニットM2を逆回転させる。したがって、原稿Giは、搬送方向が前後反転して、反転路11に搬送される。また、原稿の搬送制御手段C4は、反転路11を搬送された原稿Giがプレレジセンサ16で検出され、テイクアウェイロール3に原稿Giが到達すると、モータユニットM2を逆回転から正回転にする。なお、実施例1では、原稿の搬送制御手段C4は、両面読取りの場合は、原稿の排紙トレイTG2に積載される原稿の順番が変わらないように、両面読み取り後に、更に、原稿Giを反転路11に搬送する。すなわち、合計で、反転路11を2回通過させ、画像読取り位置6を3回通過させる。
【0069】
C5:接触・離間の制御手段
接触・離間の制御手段C5は、初期位置の復帰手段C5Aと、読取時の制御手段C5Bと、タイマTMとを有し、ソレノイド87を介して、ロックレバー88を制御して、駆動ロール21と従動ロール22との接触および離間を制御する。
C5A:初期位置の復帰手段
初期位置の復帰手段C5Aは、復帰時期の判別手段の一例としての電源投入の判別手段C5A1と、第1の回転量の記憶手段の一例としての第1時間の記憶手段C5A2と、第2の回転量の記憶手段の一例としての第2時間の記憶手段C5A3と、第3の回転量の記憶手段の一例としての第3時間の記憶手段C5A4と、を有する。そして、実施例1の初期位置の復帰手段C5Aは、昇降ギア71の位置を予め設定された初期位置に復帰させる。実施例1では、初期位置は、ロックレバー88が第1のロック爪82に接触して、駆動ロール21が従動ロール22に接触する昇降ギア71の位置に設定されている。
【0070】
C5A1:電源投入の判別手段
電源投入の判別手段C5A1は、初期位置への復帰時期の一例としての電源投入時であるか否かを判別する。実施例1の電源投入の判別手段C5A1は、電源がオフになる値が「0」に初期化される電源投入フラグFL1に基づいて、電源投入時であるか否かを判別する。
C5A2:第1時間の記憶手段
第1時間の記憶手段C5A2は、昇降ギア71の回転方向に対して、長径面91bから短径面91aまでの第1の回転量に対応する第1時間t1を記憶する。なお、実施例1では、第1の回転量は、3/4回転、すなわち、270度に設定されている。よって、第1時間t1は、昇降ギア71が3/4回転する時間に設定されている。
【0071】
C5A3:第2時間の記憶手段
第2時間の記憶手段C5A3は、昇降ギア71の回転方向に対して、短径面91aから長径面91bまでの第2の回転量に対応する第2時間t2を記憶する。なお、実施例1では、第2の回転量は、1/2回転、すなわち、180度に設定されている。よって、第2時間t2は、昇降ギア71が1/2回転する時間に設定されている。
C5A4:第3時間の記憶手段
第3時間の記憶手段C5A4は、昇降ギア71の回転方向に対して、1回転分の回転量から第2の回転量を減算した第3の回転量に対応する第3時間t3を記憶する。なお、実施例1では、第3の回転量は、1/2回転、すなわち、180度に設定されている。よって、第3時間t3は、昇降ギア71が1/2回転する時間に設定されている。
【0072】
なお、実施例1の初期位置の復帰手段C5Aは、電源投入時に、ソレノイド87がオフにして、ロックレバー88がロック爪82,83に接触可能な係合位置に移動させる。そして、第1時間t1が経過すると、ソレノイド87をオンにして、ロックレバー88がロック爪82,83から離脱する解除位置に移動させる。そして、第2時間t2が経過すると、ソレノイド87をオフにして、係合位置に移動させる。そして、第3時間t3が経過すると、初期位置への復帰動作を終了する。
【0073】
C5B:読取時の制御手段
読取時の制御手段C5Bは、離間時期の判別手段C5B1と、離間時間の記憶手段C5B2と、接触時期の判別手段C5B3と、接触時間の記憶手段C5B4と、を有し、原稿Giの画像を読み取る場合に、駆動ロール21と従動ロール22との接触及び離間を制御する。
C5B1:離間時期の判別手段
離間時期の判別手段C5B1は、駆動ロール21と従動ロール22とを離間させる時期になったか否かを判別する。実施例1の離間時期の判別手段C5B1は、両面読取り動作時に、モータユニットM2が逆回転から正回転に移行した場合に、離間させる時期になったと判別する。
【0074】
C5B2:離間時間の記憶手段
離間時間の記憶手段C5B2は、駆動ロール21と従動ロール22とを離間させる場合に、ソレノイド87をオンにする時間である離間時間t4を記憶する。実施例1では、離間時間t4は、昇降ギア71の回転に伴って、第1のロック爪82がロックレバー88の位置を通過し且つ第2のロック爪83がロックレバー88の位置に到達する前の範囲の時間が予め設定されている。
【0075】
C5B3:接触時期の判別手段
接触時期の判別手段C5B3は、駆動ロール21と従動ロール22とを接触させる時期になったか否かを判別する。実施例1の接触時期の判別手段C5B3は、駆動ロール21と重道ロール22とが離間した状態で、排出センサ18が原稿Giの前端を検知した場合に接触させる時期になったと判別する。
C5B4:接触時間の記憶手段
接触時間の記憶手段C5B4は、駆動ロール21と従動ロール22とを接触させる場合に、ソレノイド87をオンにする時間である接触時間t5を記憶する。実施例1では、接触時間t5は、昇降ギア71の回転に伴って、第2のロック爪83がロックレバー88の位置を通過し且つ第1のロック爪82がロックレバー88の位置に到達する前の範囲の時間が予め設定されている。
TM:タイマ
計時手段の一例としてのタイマTMは、前記各時間t1〜t5を計時する。
【0076】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の複写機Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(実施例1のイグジットロールの接触・離間処理のフローチャートの説明)
図9は実施例1のイグジットロールの接触・離間処理のフローチャートの説明図である。
図9のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記複写機UのコントローラCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理と並行して実行される。
【0077】
図9に示すフローチャートは複写機Uの電源投入により開始される。
図9のST1において、電源投入フラグFL1が「0」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST9に進む。
ST2において、次の処理(1),(2)を実行して、ST3に進む。
(1)モータユニットM2の正回転を開始する。なお、この時、ソレノイド87はオフの状態で保持する。
(2)タイマTMに第1時間t1をセットする。
【0078】
ST3において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。すなわち、第1時間t1が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に進み、ノー(N)の場合はST3を繰り返す。
ST4において、次の処理(1),(2)を実行して、ST5に進む。
(1)ソレノイド87をオンにする。
(2)タイマTMに第2時間t2をセットする。
ST5において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。すなわち、第2時間t2が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST5を繰り返す。
【0079】
ST6において、次の処理(1),(2)を実行して、ST7に進む。
(1)ソレノイド87をオフにする。
(2)タイマTMに第3時間t3をセットする。
ST7において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。すなわち、第3時間t3が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST8に進み、ノー(N)の場合はST7を繰り返す。
ST8において、次の処理(1),(2)を実行して、ST9に進む。
(1)モータユニットM2を停止させる。
(2)電源投入フラグFL=「1」にする。
【0080】
ST9において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST10に進み、ノー(N)の場合はST9を繰り返す。
ST10において、ユーザインタフェースU0への入力に基づいて、原稿Giの両面読取りを行うか否かを判別する。ノー(N)の場合はST11に進み、イエス(Y)の場合はST12に進む。
ST11において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST1に戻り、ノー(N)の場合はST11を繰り返す。
ST12において、モータユニットM2が逆回転を開始したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST13に進み、ノー(N)の場合はST12を繰り返す。
【0081】
ST13において、モータユニットM2が正回転を開始したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に進み、ノー(N)の場合はST13を繰り返す。
ST14において、次の処理(1),(2)を実行して、ST15に進む。
(1)ソレノイド87をオンにする。
(2)離間時間t4をタイマTMにセットして、離間時間t4の計時を開始する。
ST15において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。すなわち、離間時間t4が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST16に進み、ノー(N)の場合はST15を繰り返す。
【0082】
ST16において、ソレノイド87をオフにする。そして、ST17に進む。
ST17において、排出センサ18がオンになったか否かを判別する。すなわち、原稿Giの前端を検出したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST18に進み、ノー(N)の場合はST17を繰り返す。
ST18において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST19に進む。
(1)ソレノイド87をオンにする。
(2)接触時間t5をタイマTMにセットして、接触時間t5の計時を開始する。
【0083】
ST19において、タイマTMがタイムアップしたか否かを判別する。すなわち、接触時間t5が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST20に進み、ノー(N)の場合はST19を繰り返す。
ST20において、ソレノイド87をオフにする。そして、ST21に進む。
ST21において、ジョブが終了したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST12に戻り、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
【0084】
(オートフィーダU3の機能)
前記構成を備えた実施例1のオートフィーダU3では、給紙時期になると、モータユニットM2が正回転する。これに伴って、ナジャーロール1は、原稿トレイTG1に収容された原稿Giを取り出す。原稿捌きロール2は、ナジャーロール1により取り出された原稿Giを1枚づつ分離する。テイクアウェイロール3は、原稿捌きロール2により1枚づつ分離された原稿Giを搬送する。原稿レジロール4は、下流側の画像読取り位置6に向けて、タイミングを合わせて原稿Giを送り出す。アウトロール7は、画像読取り位置6で画像が読み取られた原稿Giを下流側に搬送する。
【0085】
片面読み取り時は、イグジットロール8は、原稿Giを原稿の排紙トレイTG2に向けて搬送する。
両面読み取り時は、搬送方向の下流端が排出センサ18を通過すると、モータユニットM2が逆回転をする。したがって、原稿Giは、搬送方向が前後逆になって、原稿の反転路11に向けて搬送される。原稿の反転路11を通過した原稿Giは、再びテイクアウェイロール3に搬送される。
【0086】
テイクアウェイロール3に原稿Giが搬送されると、モータユニットM2が逆回転から正回転に移行する。この時、ソレノイド87が作動して、
図6A〜
図6D、
図7Aに示す状態を経て、イグジットロール8の駆動ロール21と従動ロール22とが離間する。よって、モータユニットM2が正回転すると、イグジットロール8とテイクアウェイロール3とで、原稿Giが引っ張り合いになるが、実施例1では、イグジットロール8の駆動ロール21と従動ロール22とが離間する。よって、原稿Giがイグジットロール8とテイクアウェイロール3とで引っ張り合いになることが防止される。
【0087】
モータユニットM2が正回転を開始すると、テイクアウェイロール3や原稿レジロール4、アウトロール7、イグジットロール8が正回転を開始する。そして、テイクアウェイロール3等で搬送された原稿Giは、表裏反転された状態で画像読取り位置6を通過する。よって、第2面の画像が読み取られる。
図6C、
図6Dにおいて、第2面の画像が読み取られた原稿Giの前端が、排出センサ18を通過すると、ソレノイド87が作動する。よって、
図7A〜
図7D、
図6Aに示す状態を経て、駆動ロール21と従動ロール22とが接触する。よって、イグジットロール8に差し掛かった原稿Giは、イグジットロール8で搬送される。
【0088】
ここで、オートフィーダU3において、原稿詰まりが発生することがある。利用者が詰まった原稿を除去した場合に、利用者が指を触れる等して昇降ギア71が回転してしまう場合がある。電源が切られた状態で詰まった原稿を除去する作業が行われると、昇降ギア71がブレーキをかける等の制御もできず、昇降ギアが回転したか否かを検知することが困難である。昇降ギア71の回転位置が不明であると、駆動ロール21と従動ロール22との接触、離間動作ができなくなったり、接触と離間が入れ替わったりする恐れがある。よって、従来の構成では、昇降ギアの回転位置を検出するセンサを使用して、回転位置を予め設定された初期位置まで戻していた。しかしながら、センサを使用すると、製造費用が上昇する問題があった。
【0089】
図10は実施例1の昇降ギアの初期位置への復帰動作の説明図であり、
図10Aは電源オン時にロックレバーが第1のロック爪の下流側に位置している場合の説明図、
図10Bは電源オン時にロックレバーが第2のロック爪の上流側に位置している場合の説明図、
図10Cは電源オン時にロックレバーが第1のロック爪の上流側且つ第2のロック爪の下流側に位置している場合の説明図である。
これに対して、実施例1の昇降ギア71では、電源オン時には、ST2〜ST8の処理が行われて初期位置に復帰する。例えば、
図10Aの(i)の位置にロックレバー88が位置していた場合、ST2,ST3の処理で、(ii)の位置に移動する。そして、ST4,ST5の処理で、(iii)の位置に移動する。そして、ST6、ST7の処理で、(iv)の位置に移動する。同様に、
図10Bの(i)や
図10Cの(i)の位置にロックレバー88が位置していても、ST2〜ST8の処理で、(iv)の位置、すなわち、初期位置に移動する。
【0090】
したがって、初期位置への復帰処理が行われる実施例1では、昇降ギア71の回転位置を検知するセンサを配置しなくても、初期位置に確実に復帰させることが可能である。よって、センサを使用する従来の構成に比べて、実施例1では、製造費用を抑制することが可能である。
【0091】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、プリンタ、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、単色現像の画像形成装置に限定されず、多色、いわゆるカラーの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、原稿Giの第2面を読み取った後に、もう一度反転路11を原稿Giが通過する構成とすることが望ましいが、第2面を読み取り後、反転路11に搬送せずに原稿の排紙トレイTG2に搬送することも可能である。
【0092】
(H03)前記実施例において、イグジットロール8の逆回転時に、原稿レジロール4と、アウトロール7も逆回転する伝達系の構成を例示したが、これに限定されない。例えば、原稿レジロール4やアウトロール7の駆動を、第7の中間ギア46から伝達するのではなく、第11の中間ギア66から伝達させることで、原稿レジロール4やアウトロール7は、テイクアウェイロール3と同様に、モータユニットM2の正逆回転に関わらず同じ回転方向に回転し続けさせることも可能である。また、1つのモータユニットM2で、全てのロール1〜8を駆動することが望ましいが、例えば、イグジットロール8のみを正逆回転可能なモータで駆動し、その他のロール1〜7は正回転のみの別のモータで駆動する構成とすることも可能である。また、伝達系のギアの数や位置関係は、例示した構成に限定されず、ギアの数の増減や位置の変更等、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0093】
(H04)前記実施例において、各センサ16〜18の設置位置やこれに基づく制御は、設計や仕様に応じて、適宜変更可能である。
(H05)前記実施例において、第1のロック爪32と第2のロック爪33とのなす角度を90度に設定する構成を例示したが、これに限定されない。設計や仕様等に応じて、180度を除く、任意の角度に設定することが可能である。なお、なす角が変更された場合には、各ギア部73a,73b,74a,74bや第1の回転量〜第3の回転量も対応する値に変更される。
【0094】
(H06)前記実施例において、昇降ギア71として、部分的に歯が欠けた歯車を使用する構成を例示したがこれ限定されない。例えば、電磁クラッチとギアを組み合わせたり等、駆動の伝達、非伝達が切り替え可能な任意の構成を採用可能である。
(H07)前記実施例において、従動ロール22を駆動ロール21に対して接近、離間させる構成を例示したがこれに限定されない。例えば、駆動ロール21を従動ロール22に対して接近、離間させる構成とすることも可能である。また、駆動ロール21および従動ロール22を両方共、接近、離間する方向に移動させることも可能である。